(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068439
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】サーマルプリントヘッド
(51)【国際特許分類】
B41J 2/335 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
B41J2/335 101F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179564
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(72)【発明者】
【氏名】有瀧 康之
(72)【発明者】
【氏名】一色 翔太
(72)【発明者】
【氏名】西 宏治
【テーマコード(参考)】
2C065
【Fターム(参考)】
2C065GA01
2C065GB01
2C065JF03
2C065JF07
2C065JF11
2C065JF12
2C065JF17
2C065JF19
(57)【要約】
【課題】素子を保護することのできるサーマルプリントヘッドを提供する。
【解決手段】本実施形態のサーマルプリントヘッドは、基板と、基板上に配置され、熱を蓄熱する絶縁層と、絶縁層上に配置された共通電極と、蓄熱層上に配置され、共通電極と離隔して配置された発熱抵抗体と、絶縁層、共通電極、及び発熱抵抗体上を覆うように配置され、絶縁性を有する第1ガラス層と、第1ガラス層上を覆うように配置され、導電性を有する第2ガラス層とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置され、熱を蓄積する絶縁層と、
前記絶縁層上に配置された共通電極と、
前記絶縁層上に配置され、前記共通電極と離隔して配置された発熱抵抗体と、
前記絶縁層、前記共通電極、及び前記発熱抵抗体上を覆うように配置され、絶縁性を有する第1ガラス層と、
前記第1ガラス層上を覆うように配置され、導電性を有する第2ガラス層と、
を備える、サーマルプリントヘッド。
【請求項2】
前記第1ガラス層は、
前記共通電極上に形成された第1の溝を有し、
前記第1の溝の底部において、前記共通電極と前記第2ガラス層とが電気的に接続される、請求項1に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項3】
前記第1の溝は、
前記共通電極上を第1の方向に延伸して配置されている、請求項2に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項4】
前記第1ガラス層は、
前記共通電極上に形成された第2の溝を有し、
前記第2の溝の底部において、前記共通電極と前記第2ガラス層とが電気的に接続される、請求項1に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項5】
前記第2の溝は、
前記共通電極上を第1の方向と交差する第2の方向に延伸して配置されている、請求項4に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項6】
前記絶縁層上に配置され、前記発熱抵抗体の通電を制御する駆動回路をさらに備え、
前記第2の溝は、
前記第1の方向において、前記駆動回路が配置される領域の間の第1領域と対向する前記共通電極上に配置される、請求項5に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項7】
前記絶縁層上に配置される配線をさらに備え、
前記第1ガラス層は、前記配線を覆う第3の溝を有し、
前記第3の溝の底部において、前記配線と前記第2ガラス層とが電気的に接続される、請求項1に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項8】
前記第3の溝は、
前記配線上を第1の方向と交差する第2の方向に延伸して配置されている、請求項7に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項9】
前記第2ガラス層は、
金属ペーストを含有する、請求項1~8のいずれか1項に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項10】
前記金属ペーストは、導電材料及びエポキシ樹脂を含有する、請求項9に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項11】
前記導電材料は、金属粒子を含み、銅、銀、パラジウム、イリジウム、白金、及び金の群から選ばれる少なくとも1つを備える、請求項10に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項12】
前記導電材料は、酸化ルテニウム、窒化タンタル、タンタル、及び銀パラジウムの群から選ばれる少なくとも1つを備える、請求項10に記載のサーマルプリントヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、サーマルプリントヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置及び半導体大規模集積回路(Large Scale Integration、以下、LSIと称する)にダメージを与える現象として静電気放電(Electro Static Discharge、以下、ESDと称する)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
素子や配線を保護している絶縁体上に帯電し、溜まった電荷によってESDによる電流がLSI内部に導通することにより、LSI内部の素子の特性変動や配線の破壊等を引き起こす可能性がある。
【0005】
本開示は、素子を保護することのできるサーマルプリントヘッドを提供する。
【0006】
本実施形態の一態様によれば、基板と、基板上に配置され、熱を蓄熱する絶縁層と、絶縁層上に配置された共通電極と、蓄熱層上に配置され、共通電極と離隔して配置された発熱抵抗体と、絶縁層、共通電極、及び発熱抵抗体上を覆うように配置され、絶縁性を有する第1ガラス層と、第1ガラス層上を覆うように配置され、導電性を有する第2ガラス層とを備える、サーマルプリントヘッドが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、素子を保護することのできるサーマルプリントヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るサーマルプリントヘッドを示す模式的な構成図である。
【
図2】
図2は、
図1で示す発熱抵抗体周辺A1を拡大した図である。
【
図3】
図3は、
図2のA2-A2線に沿う模式的な断面構造を拡大した図である。
【
図4】
図4は、第2の実施形態に係るサーマルプリントヘッドを示す発熱抵抗体周辺A1を拡大した図である。
【
図5】
図5は、
図4のA3-A3線に沿う模式的な断面構造を拡大した図である。
【
図6】
図6は、第3の実施形態に係るサーマルプリントヘッドを示す模式的な構成図である。
【
図7】
図7は、
図6のA4-A4線に沿う模式的な断面構造を拡大した図である。
【
図8】
図8は、第4の実施形態に係るサーマルプリントヘッドを示す模式的な構成図である。
【
図9】
図9は、
図8のA5-A5線に沿う模式的な断面構造を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本実施形態について説明する。以下に説明する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各構成部品の厚みと平面寸法との関係等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0010】
また、以下に示す実施形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものではない。本実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るサーマルプリントヘッド10を示す模式的な構成図の一例である。
図2は、
図1で示す発熱抵抗体6周辺A1を拡大した図である。
図3は、
図2のA2-A2線に沿う模式的な断面構造を拡大した図である。なお、
図1に示す平面図のデバイス面をX-Y面とし、X-Y面に垂直な方向をZ軸として説明する。
図3は、X方向からみたY-Z面である。すなわち、基板1の主走査方向をX方向、X方向と交差する副走査方向をY方向、厚さ方向をZ方向である。以下の説明において、主走査方向をX方向、副走査方向をY方向、厚さ方向をZ方向として説明する。なお、X方向を第1の方向、Y方向を第2の方向、Z方向を第3の方向とも称する。
【0012】
第1の実施形態に係るサーマルプリントヘッド10は、
図1、2、及び3に示すように、基板1と、基板1上に配置された絶縁層2と、絶縁層2上に配置された共通電極5と、絶縁層2上に配置され、共通電極5と離隔して配置された発熱抵抗体6と、共通電極5及び発熱抵抗体6を覆うように配置され、絶縁性を有する第1ガラス層8(
図1及び2では省略)と、第1ガラス層8を覆うように配置され、導電性を有する第2ガラス層9(
図1及び2では省略)とを備える。なお、
図1、2に示すように、絶縁層2上に配置された配線3と、共通電極5と電気的に接続され、発熱抵抗体6に導通する電流を制御する駆動回路4と、駆動回路4と電気的に接続されるコネクタ7とをさらに備えてもよい。以下の説明において、駆動回路4を駆動IC(駆動集積回路:駆動 Integrated Circuit)4とも称する。また、ESDによる電流をESD電流とも称する。
【0013】
基板1は、
図1に示すように、基板1上のデバイス面を平面視して、長方形状の絶縁材料で形成されている。絶縁材料としては、例えば、アルミナセラミックスにより形成可能である。又、基板1は、半導体材料により形成可能である。半導体材料としては、例えば、シリコン(Si)、シリコンカーバイト(SiC)、ガリウムリン(GaP)、ガリウムヒ素(GaAs)、インジウムリン(InP)、及びガリウムナイトライド(GaN)などが挙げられる。
【0014】
基板1の大きさは、限定されないが、一例を挙げると、第1の方向であるX方向の寸法は、例えば、50mm~150mm程度、第2の方向であるY方向の寸法は、例えば、2.0mm~10.0mm程度、第3の方向であるZ方向の寸法は、例えば、500μm~1mm程度であり、望ましくは700μm~800μm程度である。
【0015】
図1、2及び3に示すように、絶縁層2は、基板1上に配置されている。また、
図3に示すように、絶縁層2は、熱伝導性の低い絶縁材料で形成されている。絶縁層2の絶縁材料には、例えば、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、あるいは、シリコン酸窒化膜などを用いてもよい。絶縁層2は、熱伝導性が低いため、発熱抵抗体6によって発生する熱を蓄積することができる。以下の説明において、熱を蓄熱する絶縁層2を蓄熱層2とも称する。
【0016】
配線3は、
図1に示すように、コネクタ7と電気的に接続されている。
【0017】
図1に示すように、共通電極5は、X方向に延伸し、配線3と電気的に接続されている。
図2に示すように、共通電極5は、共通電極5Aと共通電極5Bとを有する。共通電極5Aは、共通電極5からY方向に延伸し、発熱抵抗体6と電気的に接続されている。
図1及び
図2に示すように、共通電極5Bは、共通電極5及び共通電極5Aと対向するように離隔され、発熱抵抗体6及び駆動IC4と電気的に接続されている。
図3に示すように、共通電極5は、蓄熱層2上に配置されている。
【0018】
図1及び2に示すように、発熱抵抗体6は、X方向に延伸し、共通電極5A及び共通電極5B上の少なくとも一部を覆うように配置されている。また、
図2及び3に示すように、発熱抵抗体6は、蓄熱層2上に配置されている。
【0019】
図1及び
図2に示すように、駆動IC4は、蓄熱層2上に配置され、コネクタ7と電気的に接続されている。また、駆動IC4は、各共通電極5Bに通電することで発熱抵抗体6に熱を発生させ制御する。すなわち、駆動IC4は、通電した共通電極5Bと、通電した共通電極5Bと対向する共通電極5Aとの間の発熱抵抗体6に熱を発生させ制御する。
【0020】
コネクタ7は、
図1に示すように、蓄熱層2上に配置されている。コネクタ7は、外部からの各端子とサーマルプリントヘッド10の各電極とを介して、駆動IC4と電気的に接続されている。
【0021】
図3に示すように、第1ガラス層8は、蓄熱層2上に配置されている。また、第1ガラス層8は、保護膜として共通電極5及び発熱抵抗体6を覆うように配置されている。なお、図示していないが、第1ガラス層8は、配線3を覆うように配置されていてもよい。第1ガラス層8は、絶縁性を有する。また、第1ガラス層8は、絶縁材料で形成されている。具体的な絶縁材料としては、例えば、ガラスの主成分である酸化シリコン、窒化シリコンなどが適用可能である。
【0022】
図3に示すように、第2ガラス層9は、第1ガラス層8上に配置されている。第2ガラス層9は、導電性を有する。また、第2ガラス層9は、金属ペーストを添加された絶縁材料で形成されている。具体的には、例えば、金属ペーストは、導電材料及びエポキシ樹脂などを含有する。導電材料としては、金属粒子を含み、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、イリジウム(In)、白金(Pt)、及び金(Au)群から選ばれる少なくとも1つを備えていても良い。なお、導電材料は、酸化ルテニウム(RuO
2)、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta)、及び銀パラジウム(Ag/Pd)群から選ばれる少なくとも1つを備えていてもよい。金属ペーストが添加された絶縁材料としては、例えば、ガラスの主成分である酸化シリコン、窒化シリコンなどが適用可能である。
【0023】
例えば、第1ガラス層8及び第2ガラス層9上に電荷が帯電しても第2ガラス層9は、導電性を有するため、帯電した電荷が第2ガラス層9を導通し、第2ガラス層9表面での局所的な帯電を抑制することができる。すなわち、発熱抵抗体6、共通電極5、及び配線3上を覆う第1ガラス層8上に配置された第2ガラス層9は、電荷が帯電しても、第1ガラス層8が絶縁破壊してESD電流が導通することを抑制することができる。
【0024】
[第1の実施形態の変形例]
図4は、
図1を示す発熱抵抗体6周辺A1を拡大した図である。
図5は、
図4のA3-A3線に沿う模式的な断面構造を拡大した図である。
図4は、Z方向からみたX-Y面である。
図5は、X方向からみたY-Z面である。以下の説明において、第1の実施形態に係るサーマルプリントヘッド10の変形例は、第1の実施形態の変形例とも称する。
【0025】
第1の実施形態と第1の実施形態の変形例の違いは、共通電極5上において、第1の実施形態の第1ガラス層8が全面に覆うのに対し、第1の実施形態の変形例の第1ガラス層8は、第1の溝11を有する点である。
図4及び5に示すように、第1の溝11とは、第1ガラス層8(
図4では省略)がX方向の一部で共通電極5を覆いかぶさらない箇所を称する。
図5に示すように、第1の溝11の底部において、第1ガラス層8が存在しないため、共通電極5と第2ガラス層9とが電気的に接続される。他の構成は、第1の実施形態と同じである。
【0026】
図4に示すように、第1の溝11は、共通電極5上をX方向に延伸して配置されている。なお、第1の溝11は、
図5においては、1本で形成されているが、複数本形成されていてもよい。
【0027】
例えば、発熱抵抗体6を覆う第1ガラス層8及び第2ガラス層9上に電荷が帯電しても第2ガラス層9は、導電性を有するため、帯電した電荷が第2ガラス層9を導通し、第2ガラス層9表面での局所的な帯電を抑制することができる。すなわち、発熱抵抗体6、共通電極5、及び配線3上に配置された第2ガラス層9は、電荷が帯電しても、第1ガラス層8が絶縁破壊してESD電流が導通することを抑制することができる。
【0028】
第2ガラス層9は、さらに、第1の溝11によって、帯電した電荷を共通電極5に導通することで、第2ガラス層9上に電荷が帯電することを抑制することができる。
【0029】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係るサーマルプリントヘッド10Aについて図面を用いて説明する。
図6は、第2の実施形態に係るサーマルプリントヘッド10Aを示す模式的な構成図の一例である。
図7は、
図6のA4-A4線に沿う模式的な断面構造を拡大した図である。
図6は、Z方向からみたX-Y面である。
図7は、X方向からみたY-Z方向である。
【0030】
第1の実施形態と第2の実施形態の違いは、共通電極5上において、第1の実施形態の第1ガラス層8が全面に覆うのに対し、第2の実施形態の第1ガラス層8が第2の溝12を有する点である。
図6及び7に示すように、第2の溝12とは、第1ガラス層8(
図6では省略)がY方向の一部で覆いかぶさらない箇所を称する。
図7に示すように、第2の溝の底部において、第1ガラス層8が存在しないため、共通電極5と第2ガラス層9とが電気的に接続される。他の構成は、第1の実施形態と同じである。
【0031】
図6に示すように、第2の溝12は、共通電極5上をY方向に延伸して配置されている。なお、第2の溝12は、
図6において、複数本形成されているが、1本で形成されていてもよい。
【0032】
第2の溝12は、
図6に示すように、X方向において、第1領域の一例である非駆動IC4配置領域(B1、B2)に対向する位置に配置されている。ここで、非駆動IC4配置領域(B1、B2)とは、X方向において、Y方向に延伸する共通電極5と駆動IC4との間の領域B1、あるいは駆動IC4と駆動IC4との間の領域B2の駆動ICが配置されていない領域である。なお、X方向において、駆動IC4を配置される駆動IC配置領域とも称する。つまり、第2の溝12は、Xの方向において、駆動IC配置領域との間の非駆動IC4配置領域(B1、B2)と対向する共通電極上に配置される。すなわち、駆動IC配置領域は、駆動IC4、発熱抵抗体6、及び共通電極5に導通するため、導通経路を保護する必要がある。そのため、駆動IC配置領域と異なる非駆動IC4配置領域(B1、B2)が好ましい。また、発熱抵抗体6によって熱を発することから保護膜の劣化による絶縁破壊を回避するためにも、熱源から離れた非駆動IC4配置領域(B1、B2)に対向する位置が好ましい。非駆動IC4配置領域(B1、B2)に対向する位置に第2の溝12を配置することで、電流経路を保護しつつ、帯電した電荷を抑制することができる。
【0033】
また、第2の溝12では、
図7に示すように、Y方向において、第2ガラス層9が共通電極5を覆うように配置されている。
【0034】
例えば、第1ガラス層8及び第2ガラス層9上に電荷が帯電しても第2ガラス層9は、導電性を有するため、帯電した電荷が第2ガラス層9を導通し、第2ガラス層9表面での局所的な帯電を抑制することができる。すなわち、発熱抵抗体6、共通電極5、及び配線3上を覆う第1ガラス層8上に配置された第2ガラス層9は、電荷が帯電しても、第1ガラス層8が絶縁破壊してESD電流が導通することを抑制することができる。
【0035】
第2ガラス層9は、さらに、第2の溝12によって、帯電した電荷を共通電極5に導通することで、第2ガラス層9上に電荷が帯電することを抑制することができる。
【0036】
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係るサーマルプリントヘッド10Bについて図面を用いて説明する。
図8は、第3の実施形態に係るサーマルプリントヘッド10Bを示す模式的な構成図の一例である。
図9は、
図8のA5-A5線に沿う模式的な断面構造を拡大した図である。
図8は、Z方向からみたX-Y面である。
図9は、Y方向からみたX-Z方向である。
【0037】
第1の実施形態と第3の実施形態の違いは、配線3上において、第1の実施形態の第1ガラス層8が全面に覆うのに対し、第3の実施形態の第1ガラス層8は、第3の溝13を有する点である。
図8及び9に示すように、第3の溝13とは、第1ガラス層8(
図8では省略)がY方向の一部で配線3を覆いかぶさらない箇所を称する。
図9に示すように、第3の溝13の底部において、第1ガラス層8が存在しないため、配線3と第2ガラス層9とが電気的に接続される。他の構成は、第1の実施形態と同じである。
【0038】
図8に示すように、第3の溝13は、配線3上をY方向に延伸して配置されている。なお、第3の溝13は、
図9においては、X方向の左右に1本ずつ形成されているが、複数本形成されていてもよい。
【0039】
例えば、発熱抵抗体6を覆う第1ガラス層8及び第2ガラス層9上に電荷が帯電しても第2ガラス層9は、導電性を有するため、帯電した電荷が第2ガラス層を導通し、第2ガラス層9表面での局所的な帯電を抑制することができる。すなわち、発熱抵抗体6、共通電極5、及び配線3上に配置された第2ガラス層9は、電荷が帯電しても、第1ガラス層8が絶縁破壊してESD電流が導通することを抑制することができる。
【0040】
第2ガラス層9は、さらに、第3の溝13によって、帯電した電荷を共通電極5に導通することで、第2ガラス層9上に電荷が帯電することを抑制することができる。
【0041】
(その他の実施形態)
上述のように、一実施形態について記載したが、開示の一部をなす論述及び図面は例示的なものであり、限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。このように、本実施形態は、ここでは記載しない様々な実施形態等を含む。
【符号の説明】
【0042】
1 基板
2 絶縁層
3 配線
5 共通電極
6 発熱抵抗体
8 第1ガラス層
9 第2ガラス層
10 サーマルプリントヘッド
11 第1の溝
12 第2の溝
13 第3の溝
B1、B2 非駆動回路配置領域