(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068453
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】包装容器及び包装容器内容物の判定方法
(51)【国際特許分類】
A61J 1/03 20230101AFI20230510BHJP
B65D 77/00 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
A61J1/03
B65D77/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179589
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(71)【出願人】
【識別番号】000112912
【氏名又は名称】フロイント産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102853
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹野 寧
(72)【発明者】
【氏名】福岡 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】安永 峻也
(72)【発明者】
【氏名】今井 聖
【テーマコード(参考)】
3E067
4C047
【Fターム(参考)】
3E067AB99
3E067BA06A
3E067BB01A
3E067BC06A
3E067EE20
3E067FC01
3E067GD10
4C047AA25
4C047AA34
4C047BB13
4C047BB17
4C047BB20
4C047BB21
4C047BB22
4C047CC15
4C047CC19
4C047GG23
(57)【要約】
【課題】容器内に収容された錠剤に関する情報を外部から非接触にて取得可能な包装容器を提供する。
【解決手段】紙製の包装箱1内にはPTP包装された錠剤2が収容されている。錠剤2は、表面増強ラマン散乱を発する金ナノ粒子を用いたナノタグ6を有する。包装箱1には、容器の内外を連通する形で透孔4が設けられている。透孔4は、ナノタグ6に対して照射されるレーザ光及びナノタグ6からのラマン散乱光が通過可能な大きさとなっている。PTP3内の錠剤2は透孔4に臨んで配置されている。ラマン分光器11から透孔4に向けてレーザ光を照射し、ナノタグ6からのラマン散乱光を測定することにより、錠剤2の真贋が判定できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品や食品の錠剤を収容する包装容器であって、
前記錠剤は、表面増強ラマン散乱を発する貴金属ナノ粒子を用いた標識部を有し、
前記包装容器は、該包装容器の内外を連通し前記標識部に対して照射されるレーザ光が通過可能な開口部を有することを特徴とする包装容器。
【請求項2】
請求項1記載の包装容器において、
前記開口部は、前記レーザ光が通過可能なシール部材によって封止されており、
前記シール部材の材質は、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ビニロン、ポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、ナイロン、アクリル、トリアセテート、ポリカーボネート、アラミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ポリノルボルネンの群から選ばれることを特徴とする包装容器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の包装容器において、
前記開口部は、前記レーザ光及び前記標識部からのラマン散乱光が通過可能となるよう、少なくとも直径1μm以上に形成されてなることを特徴とする包装容器。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の包装容器において、
前記錠剤は、PTP包装された状態で前記包装容器内に収容されることを特徴とする包装容器。
【請求項5】
包装容器内に収容された内容物の判定方法であって、
前記内容物は、表面増強ラマン散乱を発する貴金属ナノ粒子を用いた標識部を有し、
前記包装容器は、該包装容器の内外を連通し前記標識部に対して照射されるレーザ光が通過可能な開口部を有し、
前記開口部を介して前記標識部に対して前記レーザ光を照射し、前記標識部からのラマン散乱光を検出することにより、前記包装容器内の前記内容物の情報を得ることを特徴とする包装容器内容物の判定方法。
【請求項6】
請求項5記載の包装容器内容物の判定方法において、
前記内容物が医薬品や食品の錠剤であることを特徴とする包装容器内容物の判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品や食品の錠剤等の包装容器に関し、特に、医薬品錠剤の情報を容器外から非接触にて取得可能な包装容器とその用法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医薬品錠剤や食品をはじめとする多様な商品(以下、医薬品錠剤等と略記する)が、ネット販売等によりグロ-バルに流通している。このような社会環境の中、偽造品の増加に伴い、商品の正当性や安全性の維持が課題となっている。特に医薬品は使用者の生命に関わるため、その真贋は非常に重要な問題であり、製造、流通、使用の各段階において、容易かつ確実な判断が求められる。例えば、特許文献1には、ナノビーコンを用いた偽造防止技術が提案されており、そこでは、医薬品錠剤に貴金属ナノ粒子によるナノビーコンを点着し、そのラマン散乱光から錠剤の真贋を判定する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-165193号公報
【特許文献2】特開2005-38389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、医薬品等、特に医薬品錠剤は、単体がそのまま露出状態で流通することは極めて稀であり、通常、化粧箱や段ボールなどに包装・収容された状態で取り扱われ、箱詰めされた形で医療機関や使用者の手元に届けられる。このため、錠剤単体にビーコンを付しても、出荷や流通、使用段階において、包装内の医薬品錠剤の真贋を容易に判別できないという課題があった。この場合、包装箱の外側にバーコードなどを印刷したり、特許文献2のように紙材質のランダム性を記録したりすることで、当該製品の正当性や安全性はある程度担保され得るが、開封されたものや精巧な偽物容器などは看過されてしまうおそれがあり、包装内の医薬品等に関する有効な識別手段が求められていた。
【0005】
本発明の目的は、容器内に収容された医薬品錠剤等に関する情報を外部から非接触にて取得可能な包装容器とその用法を提供することある。
【0006】
なお、ここで包装とは、物品の輸送、保管、取引、使用などに当たって、その価値及び状態を維持するための適切な材料、容器、それらに物品を収納する作業並びにそれらを施す技術又は施した状態を言い(JIS Z0108)、例えば、錠剤や健康食品、菓子の箱収容やPTP(Press Through Pack)などが挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の包装容器は、医薬品や食品の錠剤を収容する包装容器であって、前記錠剤は、表面増強ラマン散乱を発する貴金属ナノ粒子を用いた標識部を有し、前記包装容器は、該包装容器の内外を連通し前記標識部に対して照射されるレーザ光が通過可能な開口部を有することを特徴とする。
【0008】
前記包装容器において、前記開口部を前記レーザ光が通過可能なシール部材によって封止しても良く、前記シール部材の材質を、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ビニロン、ポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、ナイロン、アクリル、トリアセテート、ポリカーボネート、アラミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ポリノルボルネンの群から選ぶようにしても良い。
【0009】
また、前記開口部を、前記レーザ光及び前記標識部からのラマン散乱光が通過可能となるよう、少なくとも直径1μm以上に形成しても良い。さらに、前記錠剤が、PTP包装された状態で前記包装容器内に収容されていても良い。
【0010】
一方、本発明の包装容器内容物の判定方法は、包装容器内に収容された内容物の判定方法であって、前記内容物は、表面増強ラマン散乱を発する貴金属ナノ粒子を用いた標識部を有し、前記包装容器は、該包装容器の内外を連通し前記標識部に対して照射されるレーザ光が通過可能な開口部を有し、前記開口部を介して前記標識部に対して前記レーザ光を照射し、前記標識部からのラマン散乱光を検出することにより、前記包装容器内の前記内容物の情報を得ることを特徴とする。
【0011】
この場合、前記包装容器内容物の判定方法において、前記内容物が医薬品や食品の錠剤であっても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明の包装容器によれば、該包装容器内に収容された錠剤に貴金属ナノ粒子を用いた標識部を設けると共に、包装容器にレーザ光が通過可能な開口部を設けることにより、包装容器の外側から非接触状態で容器内の錠剤の情報を得ることができる。したがって、包装容器内に収容された錠剤の真贋を包装容器の外部から把握することが可能となる。
【0013】
本発明の包装容器内容物の判定方法によれば、内容物に表面増強ラマン散乱を発する貴金属ナノ粒子を用いた標識部を付し、包装容器にその内外を連通し標識部に対して照射されるレーザ光が通過可能な開口部を設け、この開口部を介して標識部に対してレーザ光を照射し、標識部からのラマン散乱光を検出するようにしたので、包装容器内の内容物の情報を包装容器の外部から得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施の形態である包装箱の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1の包装箱を用いて包装箱内の錠剤の真贋を判定する様子を示す説明図である。
【
図3】モデルコーティング錠のラマン散乱光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は散乱強度(Intensity)、横軸はラマンシフト値(cm
-1)を示している。
【
図4】包装箱内に収容したモデルコーティング錠のラマン散乱光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は散乱強度(Intensity)、横軸はラマンシフト値(cm
-1)を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である包装箱(包装容器)1の構成を示す斜視図であり、包装箱1内には、PTPにて包装(以下、PTP包装と称する)された医薬品錠剤2(以下、錠剤2と略記する)が収容されている。錠剤2は、複数個が個別にPTP包装されており、包装箱1には複数個のPTP3が収容されている。ここでは、錠剤2に付した貴金属ナノタグからのラマン散乱光を測定することにより、個々の錠剤2の真贋を包装箱1の外側から容易かつ確実に取得、判定できるようになっている。
【0016】
包装箱1は紙にて形成されており、
図1に示すように、その一面1aには、箱内外を連通する形で透孔(開口部)4が設けられている。包装箱1内には、錠剤2が透孔4に臨む形で収容・配置されている。透孔4は、レーザ光(検査光)が通過可能な大きさ(例えば少なくとも直径1μm)形成されている。本実施の形態では、内容物の目視確認やレーザ光照射の作業性を考慮して、透孔4は直径約10mmの円形に形成されている。
【0017】
透孔4は、透明のフィルム(シール部材)5によって封止されている。この場合、フィルム5の材質としては、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニロン、ポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、ナイロン、アクリル、トリアセテート、ポリカーボネート、アラミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ポリノルボルネンの群から選ばれる。
【0018】
錠剤2には、金ナノ粒子(貴金属ナノ粒子)を用いたナノタグ分散液(金ナノインク)により、ナノタグ(標識部;ナノビーコン)6が形成されている。特許文献1などに記載されているように、金ナノ粒子あるいは銀ナノ粒子のような貴金属ナノ粒子の集合体には、集合体表面近傍におけるラマン活性分子のラマン散乱強度を著しく増強させる表面増強ラマン散乱(SERS)などの表面増強効果があることが知られている。
【0019】
そこで、貴金属ナノ粒子を極微量のリポータ分子に吸着させてナノタグ分散液を作成し、これにレーザ光を照射すると、貴金属ナノ粒子の材質やナノ構造、リポータ分子の種類、照射光の波長、検出器の光学特性などの組み合わせに依存する特徴的な光信号(SERSシグナル)が得られる。そして、このSERSシグナルを検知し、前述のナノ粒子の材質等を暗号鍵として該信号を解析することにより、極微量の貴金属ナノ構造体をナノビーコンとして用いて錠剤2の真贋判定を行うことが可能となる。
【0020】
包装箱1では、このラマン散乱を利用して包装箱内の錠剤2の真贋判定を行う。そのため、錠剤2の表面には、金ナノタグ分散液を極微量(例えば、100nL)点着したナノタグ6が形成されている。ナノタグ6は、極微量のナノタグ分散液にて形成されるため、肉眼ではほとんど目視できない大きさ(20μm以下)となっている(
図1では、説明のためナノタグ6を実際よりも拡大して示している)。ナノタグ6は、ラマン分光器11にて検出され、PC(パーソナルコンピュータ)12にて錠剤2の真贋が判定される。なお、ナノタグ6としては、例えば、200nL、あるいは、500nLを塗布すれば十分である。
【0021】
錠剤2の真贋判定を行うには、
図2に示すように、ラマン分光器11の上方に包装箱1を持って行く。このとき、ラマン分光器11の上面側では、レーザ光が上向きに照射されている。包装箱1は、ラマン分光器11の上方にて、透孔4が設けられた一面1aを下に向けた状態で適宜動かされ、レーザ光が透孔4に当たるようにする。そして、レーザ光が透孔4を介して包装箱1内に入りナノタグ6に当たると、ラマン散乱により、前述のSERSシグナルが発出される。ナノタグ6から発せられたSERSシグナルは、包装箱1の内側から透孔4を通過して包装箱外に進み、ラマン分光器11によって検知される。ラマン分光器11にて検知されたSERSシグナルはPC12に送られ、スペクトルに分析されてPCモニタ上に表示される。
【0022】
前述のように、ラマン散乱光のスペクトルは、ナノ粒子の材質等によって特定の値を示す。これは換言すれば、正規のナノタグ6を持たない錠剤の場合には、特定のスペクトルを示さないことを意味する。つまり、偽薬の場合、SERSシグナルのラマンシフト値が特定のピーク値を示さない。したがって、この特定値を予め把握しておき、それと判定時に得られた値とを比較すれば、当該錠剤2が正規のナノタグ6を有するか否か、すなわち正規品か否が即座に判定できる。
【0023】
次に、このような包装箱1にて実際の錠剤の真贋が判定可能かどうかを確認した実験結果について説明する。ここではまず、ナノタグを形成したナノタグコート錠剤を作成し、当該錠剤にレーザ光を照射してそのSERSシグナルを解析した。その上で、当該錠剤をPTP包装して紙製の包装箱1に収容し、箱に形成した透孔4を介してレーザ光を照射し、その際のSERSシグナルを解析した。
【0024】
(ナノタグコート錠剤の作成)
金ナノ粒子に塩化ナトリウム水溶液を加えて凝集させ、リポータ分子としてアデニンを200μMとなるように加え、アデニンを含むナノタグ分散液を得た。このナノタグ分散液100nLをモデルコーティング錠表面に滴下し、乾燥させた。モデルコーティング錠には、フィルムコーティング基剤PVAを徐放錠(R錠:直径8mm)にスプレーコーティングして調製したものを使用した。
【0025】
(SERSシグナルの確認)
前記モデルコーティング錠に対し、ラマン分光器RAMmini(ラムダビジョン製)を用いてレーザ光(785nm,40mW)を1秒間照射し、ナノタグからのSERSシグナルを取得した。
図3に示すように、当該実験により、SERSシグナルのスペクトルに、ナノタグに含まれるアデニン固有のSERSピークを750cm
-1近傍に確認した。
【0026】
(包装箱収容状態における確認)
錠剤と同じ大きさの透孔4(直径8mm)を設けた包装箱1を用意し、透孔4からナノタグコート錠剤2が目視できるような形で、PTP包装した錠剤2を包装箱1内に固定した。ラマン分光器RAMmini(ラムダビジョン製)の対物レンズを長焦点対応に換えて焦点距離を約60mmとし、ラマン分光器11と錠剤2との間の距離がおおよそ60mmとなるように包装箱1を配置した(
図2参照)。透孔4を通してナノタグコート錠剤2にレーザ(同前)を1秒間照射しSERSシグナルを確認した(
図4)。
【0027】
この場合、
図4の実線はナノタグコート錠剤2からのシグナル、点線は包装箱1の紙からのバックグラウンドである。
図3と
図4の実線を比べると、
図4のスペクトルにおいてもアデニン固有の750cm
-1近傍のSERSピークが観察されている。このことから、包装箱1内に収容したナノタグコート錠剤2からのSERSシグナルを、透孔4を通して包装箱1外から検出できることが確認された。
【0028】
このように、包装箱1では、錠剤2に金ナノ粒子を用いたナノタグ6を付すと共に、包装箱1にレーザ光が通過可能な透孔4を設けることにより、包装箱1の外側から、非接触状態でナノタグ6を検出できる。したがって、本発明による包装箱1を用いることにより、包装箱1内に収容された錠剤2の真贋を、錠剤2と接触することなく、包装箱1の外部から容易かつ確実に判定することが可能となる。また、ナノタグ6は極微小なため、外見上ほとんど判別できない状態とすることができ、錠剤上にステルス性の高い標識を設けることが可能となる。
【0029】
さらに、金ナノインクは、リポータ分子に可視領域に吸収を持たないピリジンやアデニンなどを選び、極微量を印刷することで実質的に不可視インクとすることができる。このため、錠剤デザインを損なうことなく、当該錠剤に関する管理用の情報を付加することもできる。その場合、目に見えない状態で錠剤データを添付できることから、全く同一に見える偽薬(ニセの薬)であっても、本発明を適用することにより容易に真贋の区別が可能であると共に、錠剤上の情報のみにて、その製造から流通、投薬、服用まで一貫した管理を行うことも可能となる。
【0030】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前記透孔4の封止は、フィルムではなく、アクリル板等の薄板状の封止部材であっても良く、包装箱内の物品によっては、透孔4を封止せず開口状態のままとしても良い。また、透孔4の形状も円形ではなく、三角形や四角形等の多角形形状であっても良く、さらに、その寸法も収容物品やその大きさに応じて適宜設定可能である(例えば、1μm以上、15mm以下)。但し、収容物が医薬品や食品の場合は、遮光や悪戯防止などの観点から、透孔4のサイズは、ほとんど目視できない大きさ(10μm以下程度)が好ましい。加えて、包装容器は、前述の包装箱1のような紙容器には限定されず、合成樹脂製や木製などの容器であっても良く、その形状も、円柱・角柱状や錐体状など直方体状のものには限られない。
【0031】
また、前述の実施形態では、包装箱1内にPTP3が複数個収容されている構成を示したが、PTP3を複数個まとめて透明フィルム内に収容し、このまとめパッケージを包装箱1内に1個又は複数個収容した状態としても良い。発明者らの実験によれば、この状態でも、レーザ光によって錠剤2の情報を取得可能であった。
【0032】
さらに、前述の実施形態では、レーザ光として、波長785nmのものを挙げたが、これはあくまでも一例であり、例えば、532nmや405nm、488nm、671nmの波長のレーザ光を使用することも可能である。なお、薬局や家庭内など、蛍光の影響が懸念される場所で使用することが想定される場合は、671nmや785nmのような長波長側のレーザ光が好ましい。加えて、ラマン分光器11と包装箱1との間の距離は、錠剤の種類や形状、ラマン分光器の性能、装置体格等に応じて、例えば、30mm程度~500mm程度に適宜設定可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、薬や健康食品などの錠剤以外にも、ガムやチョコレートなどの菓子やその他のパッケージ化された食品、商品にも適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 包装箱(包装容器)
1a 一面
2 医薬品錠剤
3 PTP
4 透孔
5 フィルム
6 ナノタグ(標識部)
11 ラマン分光器
12 PC