(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068455
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】教育支援装置、教育支援方法及び教育支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/20 20120101AFI20230510BHJP
【FI】
G06Q50/20
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179592
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東出 治久
(72)【発明者】
【氏名】大貫 明人
(72)【発明者】
【氏名】友田 光哉
(72)【発明者】
【氏名】稲富 梨奈
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 雄輝
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】生徒の状態の変化の原因を容易に把握すること。
【解決手段】教育支援装置10は、各生徒にそれぞれ装着されたウェアラブル端末から各生徒の生体情報を取得し、取得した生体情報に基づいて、各生徒の授業中の集中度合いを示す集中度をそれぞれ算出する。そして、教育支援装置10は、算出した各集中度の統計処理を行い、統計処理が行われた結果を出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各生徒にそれぞれ装着されたウェアラブル端末から前記各生徒の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記生体情報取得部によって取得された生体情報に基づいて、前記各生徒の授業中の集中度合いを示す集中度をそれぞれ算出する算出部と、
前記算出部によって算出された集中度の統計処理を行う統計部と、
前記統計部によって統計処理が行われた結果を出力する出力部と
を有することを特徴とする教育支援装置。
【請求項2】
前記生徒が授業を受けている環境に関する情報である環境情報を取得する環境情報取得部をさらに有し、
前記統計部は、前記環境情報取得部によって取得された環境情報を用いて、同一または類似する環境ごとに集中度の統計処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の教育支援装置。
【請求項3】
前記生体情報取得部は、前記ウェアラブル端末から加速度をさらに取得し、
前記加速度を用いて、前記生徒の動作を抽出する抽出部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の教育支援装置。
【請求項4】
前記統計部は、授業の科目ごと、または、先生ごとに各集中度の統計処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の教育支援装置。
【請求項5】
前記算出部によって算出された集中度が所定の閾値以下であるか判定し、前記集中度が前記所定の閾値以下であると判定した場合には、前記ウェアラブル端末が所定の動作を行うように制御する判定部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の教育支援装置。
【請求項6】
前記生体情報取得部によって取得された生体情報に基づいて、前記生徒が入眠状態であるか判定し、入眠状態であると判定した場合には、前記ウェアラブル端末を振動させるように制御する判定部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の教育支援装置。
【請求項7】
教育支援装置によって実行される教育支援方法であって、
各生徒にそれぞれ装着されたウェアラブル端末から前記各生徒の生体情報を取得する生体情報取得工程と、
前記生体情報取得工程によって取得された生体情報に基づいて、前記各生徒の授業中の集中度合いを示す集中度をそれぞれ算出する算出工程と、
前記算出工程によって算出された集中度の統計処理を行う統計工程と、
前記統計工程によって統計処理が行われた結果を出力する出力工程と
を含んだことを特徴とする教育支援方法。
【請求項8】
各生徒にそれぞれ装着されたウェアラブル端末から前記各生徒の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、
前記生体情報取得ステップによって取得された生体情報に基づいて、前記各生徒の授業中の集中度合いを示す集中度をそれぞれ算出する算出ステップと、
前記算出ステップによって算出された集中度の統計処理を行う統計ステップと、
前記統計ステップによって統計処理が行われた結果を出力する出力ステップと
を実行させることを特徴とする教育支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、教育支援装置、教育支援方法及び教育支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、授業を受けている生徒の状態を判定する技術が知られている。このような技術として、例えば、生徒の画像からうつむき加減を算出し、生徒の居眠り状態や頷き状態を識別することで、生徒の状態を把握する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の技術では、生徒の状態の変化の原因を容易に把握することができないという課題があった。例えば、先生の相性や科目の得意・不得意に応じて、生徒の集中度合が変化している場合であっても、生徒の状態の変化の原因を容易に把握することができなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、生徒の状態の変化の原因を容易に把握することができる教育支援装置、教育支援方法及び教育支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の教育支援装置は、各生徒にそれぞれ装着されたウェアラブル端末から前記各生徒の生体情報を取得する生体情報取得部と、前記生体情報取得部によって取得された生体情報に基づいて、前記各生徒の授業中の集中度合いを示す集中度をそれぞれ算出する算出部と、前記算出部によって算出された集中度の統計処理を行う統計部と、前記統計部によって統計処理が行われた結果を出力する出力部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、生徒の状態の変化の原因を容易に把握することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る教育支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る教育支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、生徒のスマートフォンに表示される統計情報の表示例を示す図である。
【
図4】
図4は、先生のタブレット端末に表示される統計情報の表示例を示す図である。
【
図5】
図5は、統計データの利活用を説明する図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る教育支援装置における処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る教育支援装置、教育支援方法及び教育支援プログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本願に係る教育支援装置、教育支援方法及び教育支援プログラムが限定されるものではない。
【0010】
[実施の形態]
以下の実施形態では、実施形態に係る教育支援システムの構成、教育支援装置の構成、教育支援装置における処理の流れを順に説明し、最後に実施形態による効果を説明する。実施形態に係る教育支援装置10は、各生徒にそれぞれ装着されたウェアラブル端末から各生徒の生体情報を取得し、取得した生体情報に基づいて、各生徒の授業中の集中度合いを示す集中度をそれぞれ算出する。そして、教育支援装置10は、算出した各集中度の統計処理を行い、統計処理が行われた結果を出力する。
【0011】
[教育支援システムの構成]
実施の形態に係る教育支援システムの構成を説明する。
図1は、実施の形態に係る教育支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、教育支援システム1は、教育支援装置10、生徒A、Bにそれぞれ装着されたウェアラブル端末20A、20B、生徒A、Bが所持するスマートフォン30A、30B、および、先生が所持するタブレット端末40を有する。なお、ウェアラブル端末20A、20Bおよびスマートフォン30A、30Bについて、特に区別なく説明する場合には、ウェアラブル端末20、スマートフォン30と記載する。
【0012】
教育支援装置10と、ウェアラブル端末20A、20Bと、スマートフォン30A、30Bと、タブレット端末40とは、ネットワーク50を介して通信を行うものとする。なお、
図1に示す構成は一例にすぎず、具体的な構成や各装置の数は特に限定されない。また、
図1に示すネットワークの形態についても一例にすぎず、各装置は、有線または無線を問わず、インターネット、LANやVPN(Virtual Private Network)などの任意の通信網を介して通信してもよい。
【0013】
教育支援装置10は、各生徒にそれぞれ装着されたウェアラブル端末20A、20Bから生徒A、Bの生体情報(例えば、心拍数、血圧、体温等)を取得し、取得した生体情報に基づいて、各生徒の授業中の集中度合いを示す集中度をそれぞれ算出する。そして、教育支援装置10は、表示要求を受け付けた場合には、算出した集中度を、生徒ごとや科目ごと、先生ごとに統計処理を行い、統計処理が行われた結果を生徒A、Bのスマートフォン30A、30Bや先生のタブレット端末40に出力する。例えば、教育支援装置10は、生徒Aのスマートフォン30Aから表示要求を受け付けた場合には、生徒Aに関する統計結果をスマートフォン30Aに出力する。
【0014】
ウェアラブル端末20A、20Bは、生徒A、Bがそれぞれ装着するデバイスである。ここでウェアラブル端末20A、20Bは、負担が少ない生徒の手首に装着するリストバンド型の端末であるものとする。ウェアラブル端末20A、20Bは、装着した生徒A、Bの位置データ、利用時間、加速度データまたは生体情報を計測し、計測したデータを教育支援装置10に送信する。なお、生体情報は、例えば、心拍数、体温、血流または呼吸数である。
【0015】
スマートフォン30A、30Bは、生徒A、Bがそれぞれ所持する情報処理端末である。例えば、スマートフォン30A、30Bは、生徒A、Bの操作を受け付けることで、教育支援装置10に統計情報の表示を要求し、生徒自身が授業中にどれほど集中しているかを示す時系列データを表示する。また、スマートフォン30A、30Bは、科目ごとや先生ごとに授業中の集中度を表示することができる。これにより、生徒A、Bは、自身の科目や先生との相性を把握することが可能である。なお、生徒A、Bが所持する情報処理端末はスマートフォン30A、30Bに限定されるものではなく、例えば、タブレット型端末や、ノート型PCや、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置であってもよい。
【0016】
タブレット端末40は、先生が所持する情報処理端末である。例えば、タブレット端末40は、先生による操作を受け付けることで、教育支援装置10に統計情報の表示を要求し、各生徒A、Bが授業中にどれほど集中しているかを示す時系列データを表示する。また、タブレット端末40は、科目ごとやクラスごと等の全体としての生徒の集中度を表示することができる。これにより、先生は、自身の授業における生徒の状態を把握することが可能である。なお、先生が所持する情報処理端末はスマートフォン30A、30Bに限定されるものではなく、例えば、スマートフォンや、ノート型PCや、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置であってもよい。
【0017】
[教育支援装置]
次に、教育支援装置10について説明する。
図2は、実施の形態に係る教育支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、教育支援装置10は、通信処理部11、制御部12及び記憶部13を有する。
【0018】
通信処理部11は、無線または有線にて他の装置との間で通信を行う。通信処理部11は、ネットワーク等を介して接続された他の装置との間で、各種情報を送受信する通信インタフェースである。通信処理部11は、NIC(Network Interface Card)等で実現され、LAN(Local Area Network)やインターネットなどの電気通信回線を介した他の装置と制御部12(後述)との間の通信を行う。例えば、通信処理部11は、各ウェアラブル端末20から生体データを受信し、スマートフォン30およびタブレット端末40に生徒の授業に対する集中度を統計した統計データを送信する。
【0019】
記憶部13は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等の記憶装置である。なお、記憶部13は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)等のデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。記憶部13は、教育支援装置10で実行されるOS(Operating System)や各種プログラムを記憶する。さらに、記憶部13は、プログラムの実行で用いられる各種情報を記憶する。記憶部13は、生体情報記憶部13a、環境情報記憶部13bおよび統計情報記憶部13cを有する。
【0020】
生体情報記憶部13aは、各生徒にそれぞれ装着されたウェアラブル端末20から取得された生徒の生体情報を記憶する。生体情報記憶部13aは、生体情報として、例えば、心拍数、体温、血流または呼吸数を記憶する。例えば、生体情報記憶部13aは、生徒ごとに、生体情報と生体情報が計測された計測時間とを対応付けて記憶する。また、生体情報記憶部13aは、ウェアラブル端末20から取得された加速度を記憶してもよい。
【0021】
環境情報記憶部13bは、生徒が授業を受けている環境に関する情報である環境情報を記憶する。例えば、環境情報記憶部13bは、環境情報として、教室の気温や湿度を記憶する。なお、環境情報はこれに限定されるものではない。例えば、環境情報記憶部13bは、環境情報として、教室の明るさや音等を記憶してもよい。また、環境情報記憶部13bは、教室の座席の配列、座席に座る生徒を識別する情報を記憶する。なお、環境情報記憶部13bは、教室の座席の配列については、予め設定されているものとする。また、環境情報記憶部13bは、座席に座る生徒を識別する情報については、予め設定されていてもよいし、ウェアラブル端末20の位置データから自動で登録されるようにしてもよい。また、環境情報記憶部13bは、授業の時間割に関する情報として、各授業の開始時間および終了時間と科目を記憶する。
【0022】
統計情報記憶部13cは、生徒の授業に対する集中度について統計した統計データを記憶する。統計情報記憶部13cは、例えば、各生徒について、時系列で変化する集中度を示す時系列データを記憶する。また、統計情報記憶部13cは、各生徒について、科目ごとや、先生ごとに、授業に対する集中度に関する情報を記憶する。例えば、統計情報記憶部13cは、各生徒について、ある科目における授業中での集中度の平均値を記憶する。また、例えば、統計情報記憶部13cは、各生徒について、ある科目における授業中において、所定の閾値以上の集中度を有していた時間が、ある科目における授業時間全体に対してどれくらいの割合であったかを示す値を記憶する。
【0023】
制御部12は、教育支援装置10全体を制御する。制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路である。また、制御部12は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、内部メモリを用いて各処理を実行する。また、制御部12は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。制御部12は、生体情報取得部12a、環境情報取得部12b、算出部12c、統計部12d、抽出部12e、判定部12fおよび出力部12gを有する。
【0024】
生体情報取得部12aは、各生徒にそれぞれ装着されたウェアラブル端末20から各生徒の生体情報を取得する。例えば、生体情報取得部12aは、定期的に、各生徒にそれぞれ装着されたウェアラブル端末20から、生体情報と生体情報が計測された計測時間とを取得し、生体情報記憶部13aに格納する。また、生体情報取得部12aは、ウェアラブル端末20から加速度や角速度をさらに取得し、生体情報記憶部13aに格納してもよい。
【0025】
環境情報取得部12bは、生徒が授業を受けている環境に関する情報である環境情報を取得する。例えば、環境情報取得部12bは、定期的に、教室に設置されたセンサ等から温度および湿度を取得し、環境情報記憶部13bに格納する。
【0026】
算出部12cは、生体情報取得部12aによって取得された生体情報に基づいて、各生徒の授業中の集中度合いを示す集中度をそれぞれ算出する。例えば、算出部12cは、授業の開始時間から終了時間までの各生徒の生体情報(心拍数、体温、血流、呼吸数等)を用いて、生徒ごとに、所定時間ごとの集中度を算出する。ここで、算出部12cは、生体情報を用いて、どのように集中度を算出してもよく、既存のどのような手法を適用してもよい。算出部12cは、例えば、生体情報を入力データとして集中度を出力するように学習された学習済みモデルに、生体情報を入力し、学習済みモデルの出力結果として、集中度を得るようにしてもよい。また、例えば、生徒が授業に集中しているときは動きがキビキビと板書を取る動作を行う傾向があると考えられ、一方、生徒の集中力が欠如しているときは、動きが止まっていたり、鈍く動いたりする等の傾向があると考えられる。このため、算出部12cは、生体情報だけでなく、ウェアラブル端末20から取得した加速度および角速度のうちいずれか一つ、または両方を用いて、生徒の動きの状態を検出し、生徒の動きの状態を加味して集中度を算出してもよい。具体的には、例えば、まず、算出部12cは、上述したように、生体情報に基づいて、集中度を算出する。そして、算出部12cは、例えば、加速度または角速度を入力データとして生徒の動きの状態を検出するように学習された学習済みモデルに、手首に装着されたウェアラブル端末20から取得した加速度または角速度を入力し、学習済みモデルの出力結果として、生徒の動きの状態を得る。そして、例えば、算出部12cは、生徒の動きの状態に応じて、生体情報に基づいて算出された集中度の値に所定の値を加算または減算する。つまり、具体例を挙げて説明すると、例えば、算出部12cは、生徒の動きの状態がキビキビしていると検出した場合には、集中度の値に所定の値を加算する。また、例えば、算出部12cは、生徒の動きが止まっている状態である場合には、集中度の値に所定の値を減算する。
【0027】
統計部12dは、算出部12cによって算出された集中度の統計処理を行う。例えば、統計部12dは、授業の科目ごと、または、先生ごとに各集中度の統計処理を行う。例えば、統計部12dは、各生徒について、各科目における授業中での集中度の平均値を計算するとともに、全生徒について、各科目における授業中での集中度の平均値を計算し、統計情報記憶部13cに格納する。
【0028】
また、例えば、統計部12dは、環境情報取得部12bによって取得された環境情報を用いて、同一または類似の環境ごとに集中度の統計処理を行うようにしてもよい。例えば、統計部12dは、環境情報取得部12bによって取得された環境情報から、座席ごとに分類して、生徒の集中度の統計処理を行ってもよい。これにより、統計部12dは、どの座席で生徒が集中しやすいか、もしくは、集中し難いかを把握できるような情報を集計することができる。また、例えば、統計部12dは、同一または類似する温度または湿度ごとに分類して、生徒の集中度の統計処理を行ってもよい。
【0029】
また、例えば、統計部12dは、各生徒について、各科目における授業中において、所定の閾値以上の集中度を有していた時間が、各科目における授業時間全体に対してどれくらいの割合であったかを示す値を計算するとともに、全生徒について、各科目における授業時間全体に対してどれくらいの割合であったかを示す値を計算し、統計情報記憶部13cに格納する。
【0030】
抽出部12eは、加速度を用いて、生徒の動作を抽出する。例えば、抽出部12eは、生徒の手首に装着されたウェアラブル端末20から取得された加速度を用いて、生徒の動作を抽出し、生徒がノートを取っているか否か、もしくは、内職(授業内容と異なる勉強を行っている)を行っているか否かを判定し、判定結果を統計情報記憶部13cに格納する。なお、抽出部12eは、内職を行っているか否かの判定手法について、どのような手法であってもよいが、例えば、生徒の動作が黒板の板書以外の動作を検出した場合や、一定期間以上、他の生徒との動くタイミングが違う場合に、内職を行っていると判定する。
【0031】
判定部12fは、算出部12cによって算出された集中度が所定の閾値以下であるか判定し、集中度が所定の閾値以下であると判定した場合には、ウェアラブル端末20が所定の動作を行うように制御する。ここでウェアラブル端末20の所定の動作とは、集中力が落ちた生徒に注意を喚起することができる動作であればどのような動作であってもよく、例えば、判定部12fは、ウェアラブル端末20を振動させたり、音や光を出力させたりする。また、判定部12fは、閾値を複数設け、集中度の低下に応じて段階的に、動作の内容を変化させるようにしてもよい。また、判定部12fは、生体情報取得部12aによって取得された生体情報に基づいて、生徒が入眠状態であるか判定し、入眠状態であると判定した場合には、ウェアラブル端末20を振動させるように制御するようにしてもよい。ウェアラブル端末20は、振動させることにより、入眠状態に入ったタイミングで生徒を起こすことが可能である。また、判定部12fは、入眠状態にある生徒の情報と時刻を統計情報記憶部13cに格納するようにしてもよい。なお、ここで入眠状態とは、覚醒状態から眠りに入るまでの状態、つまり、深い眠りに入る前の状態のことをいう。
【0032】
出力部12gは、統計部12dによって統計処理が行われた結果を出力する。例えば、出力部12gは、生徒のスマートフォン30から表示要求を受け付けた場合には、該当生徒に関する統計結果を統計情報記憶部13cから取得し、統計結果をスマートフォン30に表示させる。なお、出力部12gは、統計結果をウェアラブル端末20に表示させてもよい。
【0033】
ここで、
図3の例を用いて、生徒のスマートフォン30に表示される統計情報の表示例について説明する。
図3は、生徒のスマートフォンに表示される統計情報の表示例を示す図である。なお、
図3の例では、生徒Aに関する統計結果を表示する場合を例示する。
図3の左側の画面例が示すように、出力部12gは、生徒Aが授業中にどれほど集中しているかを示す時系列データをスマートフォン30に表示させる。
【0034】
また、
図3の中央の画面例が示すように、出力部12gは、科目ごとに、生徒Aの授業中の集中度をスマートフォン30に表示させる。例えば、出力部12gは、各科目における授業中において、所定の閾値以上の集中度を有していた時間が、授業時間全体に対してどれくらいの割合であったかを示す数値をスマートフォン30に表示させる。
図3の例を挙げて説明すると、例えば、出力部12gは、科目Aについては、所定の閾値以上の集中度を有していた時間が、授業時間全体に対して「75%」であることをスマートフォン30に表示させている。なお、出力部12gが表示する内容はこれに限定されるものではなく、科目ごとに、授業中での集中度の平均値を表示するようにしてもよい。
【0035】
また、
図3の右側の画面例が示すように、出力部12gは、先生ごとに、生徒Aの授業中の集中度をスマートフォン30に表示させる。例えば、出力部12gは、授業を担当した先生ごとに、授業中において、所定の閾値以上の集中度を有していた時間が、授業時間全体に対してどれくらいの割合であったかを示す数値をスマートフォン30に表示させる。なお、出力部12gが表示する内容はこれに限定されるものではなく、先生ごとに、授業中での集中度の平均値を表示するようにしてもよい。
【0036】
このように、教育支援装置10では、生徒に関する統計結果をスマートフォン30に表示させるので、生徒は集計されたデータを自身のスマートフォン30で確認することができ、生徒自身の科目や先生の相性等を把握することで、生徒の状態の変化の原因を容易に把握することが可能である。
【0037】
また、例えば、出力部12gは、先生のタブレット端末40から表示要求を受け付けた場合には、生徒に関する統計結果を統計情報記憶部13cから取得し、統計結果をタブレット端末40に表示させる。また、出力部12gは、入眠状態であった生徒の情報をタブレット端末40に表示してもよいし、生徒がノートを取っているか、内職をしているか等の情報も表示してもよい。
【0038】
ここで、
図4の例を用いて、先生のタブレット端末40に表示される統計情報の表示例について説明する。
図4は、先生のタブレット端末に表示される統計情報の表示例を示す図である。
図4の左側の画面例が示すように、出力部12gは、各生徒が授業中にどれほど集中しているかを示す時系列データをタブレット端末40にそれぞれ表示させる。
【0039】
また、
図4の中央の画面例が示すように、出力部12gは、クラスごとに、生徒の授業中の集中度をタブレット端末40に表示させる。例えば、出力部12gは、各クラスにおいて、授業中の集中度の平均値が所定の閾値以上である生徒の数が、クラス全体の生徒の数に対してどれくらいの割合であったかを示す数値をタブレット端末40に表示させる。
図4の例を挙げて説明すると、例えば、出力部12gは、クラスAについては、授業中の集中度の平均値が所定の閾値以上である生徒の数がクラス全体の生徒の数に対して「75%」であることをタブレット端末40に表示させている。
【0040】
また、
図4の右側の画面例が示すように、出力部12gは、教室の座席の配列をタブレット端末40に表示させてもよい。そして、タブレット端末40に表示された座席のうち、いずれかの座席が選択させると、出力部12gは、当該座席に座る生徒の授業中の集中度の平均値をタブレット端末40に表示させてもよい。
【0041】
このように、教育支援装置10では、各生徒に関する統計結果をタブレット端末40に表示させるので、生徒全員のデータを確認することができ、クラス別の集中度や座席別の集中度の統計を確認したり、眠気などの原因も判断したりすることができ、生徒の状態の変化の原因を容易に把握することが可能である。
【0042】
ここで、
図5を用いて、統計データの利活用を説明する。
図5は、統計データの利活用を説明する図である。
図5に例示するように、教育支援装置10は、各生徒にそれぞれ装着されたウェアラブル端末20A、20Bから生徒A、Bのバイタルデータ(例えば、心拍数、血圧、体温等)を集計し、入眠状態を判定した生徒Aのウェアラブル端末20Aを振動させたり、解析データを生徒Bのスマートフォン30Bに出力したりする。
【0043】
また、教育支援装置10は、統計処理が行われたクラスAの生徒の統計データをクラスAの担任の先生Aのタブレット端末40Aに出力する。これにより、先生Aは、自身の授業効率の改善を図ることができる。また、教育支援装置10は、教頭先生等の管理職の先生の端末装置(図示略)に、複数のクラスA、Bの集約された統計データを表示させるようにしてもよい。これにより、管理職の先生が、どの先生の授業が眠くなるのか、なぜ眠くなるのか等を確認することで、統計データを基に、先生ごとに適切なフィードバックやトレーニングを行うようにしてもよい。また、各先生、もしくは生徒個別に何らかの問題があった場合には、職員会議を開いて問題を解決するようにしてもよい。また、データを利活用することで、学校全体の学習環境の改善を図るようにしてもよい。
【0044】
[教育支援処理の処理手順]
次に、
図6を用いて、第1の実施形態に係る教育支援装置10による処理手順の例を説明する。
図6は、実施の形態に係る教育支援装置における教育支援処理を示すフローチャートである。
【0045】
図6に例示するように、教育支援装置10の生体情報取得部12aは、各生徒にそれぞれ装着されたウェアラブル端末20から各生徒の生体情報を取得する(ステップS101)。そして、環境情報取得部12bは、生徒が授業を受けている環境に関する情報である環境情報を取得する(ステップS102)。
【0046】
続いて、算出部12cは、生体情報取得部12aによって取得された生体情報に基づいて、各生徒の授業中の集中度合いを示す集中度をそれぞれ算出する(ステップS103)。例えば、算出部12cは、授業の開始時間から終了時間までの各生徒の生体情報(心拍数、体温、血流、呼吸数等)を用いて、生徒ごとに、所定時間ごとの集中度を算出する。
【0047】
そして、統計部12dは、算出部12cによって算出された集中度の統計処理を行う(ステップS104)。例えば、統計部12dは、環境情報取得部12bによって取得された環境情報に基づく、同一の環境ごとに集中度の統計処理を行う。また、統計部12dは、授業の科目ごと、または、先生ごとに各集中度の統計処理を行う。その後、統計部12dは、統計結果を統計情報記憶部13cに格納する(ステップS105)。
【0048】
[実施の形態の効果]
教育支援装置10は、各生徒にそれぞれ装着されたウェアラブル端末から各生徒の生体情報を取得し、取得した生体情報に基づいて、各生徒の授業中の集中度合いを示す集中度をそれぞれ算出する。そして、教育支援装置10は、算出した各集中度の統計処理を行い、統計処理が行われた結果を出力する。このため、教育支援装置10では、生徒の状態の変化の原因を容易に把握することが可能である。
【0049】
例えば、教育支援装置10では、生徒に関する統計結果をスマートフォン30に表示させるので、生徒は集計されたデータを自身のスマートフォン30で確認することができ、生徒自身の科目や先生の相性等を把握することで、生徒の状態の変化の原因を容易に把握することが可能である。
【0050】
また、教育支援装置10では、各生徒に関する統計結果をタブレット端末40に表示させるので、生徒全員のデータを確認することができ、クラス別の集中度や座席別の集中度の統計を確認したり、眠気などの原因も判断したりすることができ、生徒の状態の変化の原因を容易に把握することが可能である。
【0051】
[システム構成等]
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUやGPU及び当該CPUやGPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0052】
また、本実施形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0053】
[プログラム]
また、上記実施形態において説明した教育支援装置10が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。例えば、実施形態における教育支援装置10が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータがプログラムを実行することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、かかるプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記実施形態と同様の処理を実現してもよい。
【0054】
図7は、プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
図7に例示するように、コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有し、これらの各部はバス1080によって接続される。
【0055】
メモリ1010は、
図7に例示するように、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、
図7に例示するように、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、例えばディスプレイ1130に接続される。
【0056】
ここで、
図7に例示するように、ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、上記の、プログラムは、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュールとして、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。
【0057】
また、上記実施形態で説明した各種データは、プログラムデータとして、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出し、各種処理手順を実行する。
【0058】
なお、プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限られず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0059】
上記の実施形態やその変形は、本願が開示する技術に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0060】
10 教育支援装置
11 通信処理部
12 制御部
12a 生体情報取得部
12b 環境情報取得部
12c 算出部
12d 統計部
12e 抽出部
12f 判定部
12g 出力部
13 記憶部
13a 生体情報記憶部
13b 環境情報記憶部
13c 統計情報記憶部
20A、20B ウェアラブル端末
30A、30B スマートフォン
40 タブレット端末
50 ネットワーク
【手続補正書】
【提出日】2023-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各生徒にそれぞれ装着されたウェアラブル端末から前記各生徒の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記生徒が授業を受けている環境に関する情報である環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記生体情報取得部によって取得された生体情報に基づいて、前記各生徒の授業中の集中度合いを示す集中度をそれぞれ算出する算出部と、
前記環境情報取得部によって取得された環境情報から、座席ごとに前記算出部によって算出された集中度を分類し、前記座席ごとに前記集中度の統計処理を行う統計部と、
前記統計部によって統計処理が行われた結果を出力する出力部と
を有することを特徴とする教育支援装置。
【請求項2】
前記生体情報取得部は、前記ウェアラブル端末から加速度をさらに取得し、
前記加速度を用いて、前記生徒の動作を抽出する抽出部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の教育支援装置。
【請求項3】
前記統計部は、授業の科目ごと、または、先生ごとに各集中度の統計処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の教育支援装置。
【請求項4】
前記算出部によって算出された集中度が所定の閾値以下であるか判定し、前記集中度が前記所定の閾値以下であると判定した場合には、前記ウェアラブル端末が所定の動作を行うように制御する判定部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の教育支援装置。
【請求項5】
前記生体情報取得部によって取得された生体情報に基づいて、前記生徒が入眠状態であるか判定し、入眠状態であると判定した場合には、前記ウェアラブル端末を振動させるように制御する判定部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の教育支援装置。
【請求項6】
教育支援装置によって実行される教育支援方法であって、
各生徒にそれぞれ装着されたウェアラブル端末から前記各生徒の生体情報を取得する生体情報取得工程と、
前記生徒が授業を受けている環境に関する情報である環境情報を取得する環境情報取得工程と、
前記生体情報取得工程によって取得された生体情報に基づいて、前記各生徒の授業中の集中度合いを示す集中度をそれぞれ算出する算出工程と、
前記環境情報取得工程によって取得された環境情報から、座席ごとに前記算出工程によって算出された集中度を分類し、前記座席ごとに前記集中度の統計処理を行う統計工程と、
前記統計工程によって統計処理が行われた結果を出力する出力工程と
を含んだことを特徴とする教育支援方法。
【請求項7】
各生徒にそれぞれ装着されたウェアラブル端末から前記各生徒の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、
前記生徒が授業を受けている環境に関する情報である環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記生体情報取得ステップによって取得された生体情報に基づいて、前記各生徒の授業中の集中度合いを示す集中度をそれぞれ算出する算出ステップと、
前記環境情報取得ステップによって取得された環境情報から、座席ごとに前記算出ステップによって算出された集中度を分類し、前記座席ごとに前記集中度の統計処理を行う統計ステップと、
前記統計ステップによって統計処理が行われた結果を出力する出力ステップと
を実行させることを特徴とする教育支援プログラム。