(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068473
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】粒子画像解析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 15/14 20060101AFI20230510BHJP
G01N 21/05 20060101ALI20230510BHJP
G01N 21/15 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
G01N15/14 Z
G01N21/05
G01N21/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179619
(22)【出願日】2021-11-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和 2年 11月18日に、国際粉体工業展東京2020 POWTEX TOKYO 2020 粉体工学会 秋期研究発表会 シンポジウム「乾式粉体操作の最新動向」にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】000113355
【氏名又は名称】ホソカワミクロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 達也
(72)【発明者】
【氏名】笹邉 修司
【テーマコード(参考)】
2G057
【Fターム(参考)】
2G057AA02
2G057AA03
2G057AB08
2G057AC01
2G057AD17
2G057BA05
2G057CB03
2G057GA04
2G057JA02
2G057JA09
(57)【要約】
【課題】前回のサンプル液に含まれていた粒子が供給部に残留することを抑制できる粒子画像解析装置を提供する。
【解決手段】粒子画像解析装置は、粒子が混入された液体が内部に流れる透明なフローセルと、前記フローセルに前記液体を供給する供給口が底面に形成された有底筒状の供給部と、前記フローセルに光を照射する光源と、前記フローセルを挟んで前記光源の反対側に配置され、前記粒子を撮像する撮像部とを備え、前記供給部に洗浄液が流入する流入路が形成され、前記供給部の上部に前記洗浄液が排出される排出路が形成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子が混入された液体が内部に流れる透明なフローセルと、
前記フローセルに前記液体を供給する供給口が底面に形成された有底筒状の供給部と、
前記フローセルに光を照射する光源と、
前記フローセルを挟んで前記光源の反対側に配置され、前記粒子を撮像する撮像部と
を備え、
前記供給部に洗浄液が流入する流入路が形成され、
前記供給部の上部に前記洗浄液が排出される排出路が形成される
粒子画像解析装置。
【請求項2】
前記排出路は前記流入路よりも高い位置に設けられている
請求項1に記載の粒子画像解析装置。
【請求項3】
前記供給部の内周面は平面視円形をなし、
前記流入路は平面視における前記円形の第一接線上に配置される
請求項1又は2に記載の粒子画像解析装置。
【請求項4】
前記排出路は、平面視において、前記第一接線に直交する前記円形の第二接線の接点と前記流入路との間の180度以上の範囲に配置され、
前記範囲に前記第一接線の接点が配置されない
請求項3に記載の粒子画像解析装置。
【請求項5】
前記供給部の内周面は、下側に向かうに従って直径が小さくなる傾斜面と、該傾斜面の上側に配置され、上側に向かうに従って直径が小さくなるか又は直径が同じである壁面とを備える
請求項3又は4に記載の粒子画像解析装置。
【請求項6】
前記供給部の上面に、前記液体又は洗浄液を横溢させるための凹部が形成される
請求項1から5のいずれか一つに記載の粒子画像解析装置。
【請求項7】
前記供給部の外周部分に、前記流入路に接続される流入管が配置される第一切欠と、前記排出路に接続される排出管が配置される第二切欠とが形成される
請求項1から6のいずれか一つに記載の粒子画像解析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、粒子を検出する粒子画像解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子を含むサンプル液をシース液によって取り囲まれた状態で流す透明なフローセルに光を照射し、粒子を撮像する粒子画像解析装置がある。撮像された粒子の画像は制御装置によって処理され、粒子の粒径及び円形度等を演算し、表示部に演算結果を表示する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粒子画像解析装置は、サンプル液をフローセルに供給する供給部を備える。異なる種類の粒子を含む第1サンプル液及び第2サンプル液それぞれについて、粒子を検出することがある。この場合、第1サンプル液を供給部に供給して、粒子を検出した後、供給部を洗浄し、改めて第2サンプル液を供給部に供給して、粒子を検出しなければならない。
【0005】
洗浄は、供給部に洗浄液を供給して攪拌し、洗浄液を排出することによって行う。洗浄中に洗浄液に微小な泡が発生した場合、洗浄液を排出した後も泡が供給部に残留することがある。泡の表面には第1サンプル液が残留して古い粒子が含まれるため、第2サンプル液の粒子を検出するときに、第1サンプル液の粒子がフローセルに供給されるおそれがある。また、供給部に残留した泡が第2サンプル液に混入することによって、流入部の閉塞や撮像トラブルを発生させる恐れもある。
【0006】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、前回のサンプル液に含まれていた粒子が供給部に残留することを抑制できる粒子画像解析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る粒子画像解析装置は、粒子が混入された液体が内部に流れる透明なフローセルと、前記フローセルに前記液体を供給する供給口が底面に形成された有底筒状の供給部と、前記フローセルに光を照射する光源と、前記フローセルを挟んで前記光源の反対側に配置され、前記粒子を撮像する撮像部とを備え、前記供給部に洗浄液が流入する流入路が形成され、前記供給部の上部に前記洗浄液が排出される排出路が形成される。
【0008】
本開示の一実施形態においては、排出路を供給部の上部に形成することによって、洗浄液の液面に浮かんだ泡、液中に浮かんだ泡及び容器上部の側面に付着した泡等を洗浄中に排出路から排出する。
【0009】
本開示の一実施形態に係る粒子画像解析装置は、前記排出路は前記流入路よりも高い位置に設けられている。
【0010】
本開示の一実施形態においては、排出路は流入路よりも高い位置に設けられているので、洗浄液の供給当初に洗浄液が流入路から排出路に直接到達し、十分な洗浄を行わないまま排出されることを防止できる。
【0011】
本開示の一実施形態に係る粒子画像解析装置は、前記供給部の内周面は平面視円形をなし、前記流入路は平面視における前記円形の第一接線上に配置される。
【0012】
本開示の一実施形態においては、ポンプによって流入路に圧送された洗浄液が高圧であっても、洗浄液は流入路から内面に沿って円滑に流入する。そのため、洗浄液がしぶきを上げて流入路から流入し、泡が発生することを防止することができる。
【0013】
本開示の一実施形態に係る粒子画像解析装置は、前記排出路は、平面視において、前記第一接線に直交する前記円形の第二接線の接点と前記流入路との間の180度以上の範囲に配置され、前記範囲に前記第一接線の接点が配置されない。
【0014】
本開示の一実施形態においては、排出路は、平面視における第二接線の接点と流入路との間の前記範囲に配置される。そのため、洗浄液が流入路から排出路に至るまでの経路をできるだけ長くして、洗浄液が内面を洗浄する面積をできるだけ大きくすることができる。
【0015】
本開示の一実施形態に係る粒子画像解析装置は、前記供給部の内周面は、下側に向かうに従って直径が小さくなる傾斜面と、該傾斜面の上側に配置され、上側に向かうに従って直径が小さくなるか又は直径が同じである壁面とを備える。
【0016】
本開示の一実施形態においては壁面を設けることによって、遠心力によって傾斜面を上昇した洗浄液が供給部の外側に漏れることを抑制することができる。
【0017】
本開示の一実施形態に係る粒子画像解析装置は、前記供給部の上面に、前記液体又は洗浄液を横溢させるための凹部が形成される。
【0018】
本開示の一実施形態においては、液体又は洗浄液が過剰に供給された場合には、凹部から横溢させる。凹部から横溢した液体又は洗浄液をセンサに検出させることによって、液体又は洗浄液の供給を停止させるか又は作業者に横溢の発生を報知し、液体又は洗浄液の供給の停止を促すことができる。
【0019】
本開示の一実施形態に係る粒子画像解析装置は、前記供給部の外周部分に、前記流入路に接続される流入管が配置される第一切欠と、前記排出路に接続される排出管が配置される第二切欠とが形成される。
【0020】
本開示の一実施形態においては、第一切欠及び第二切欠を設けることによって、流入管及び排出管を配置する空間を確保し、粒子画像解析装置の小型化を促進させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示の一実施形態に係る粒子画像解析装置にあっては、排出路を供給部の上部に形成することによって、洗浄液の液面に浮かんだ泡を洗浄中に排出路から排出する。そのため、洗浄終了後に供給部に泡が残留することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】粒子画像解析装置の構成を示す模式図である。
【
図2】上側から視認した供給部の略示斜視図である。
【
図3】下側から視認した供給部の略示斜視図である。
【
図6】
図4のVI-VI線を切断線とし略示正面断面図である。
【
図7】攪拌機を挿入した状態における供給部の略示正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下本発明を実施の形態に係る粒子画像解析装置1を示す図面に基づいて説明する。以下の説明では図に示す上下左右を適宜使用する。
図1は、粒子画像解析装置1の構成を示す模式図である。粒子画像解析装置1は供給部2と、フローセル3とを備える。供給部2は、粒子を含むサンプル液50をフローセル3に供給する。供給部2の詳細は後述する。
【0024】
フローセル3は、ノズル4と、チャンバ5と、測定セル7とを備える。チャンバ5の上側にノズル4、下側に測定セル7が配置される。
【0025】
チャンバ5はブロック状をなし、チャンバ5の上面に貫通孔5aが形成される。ノズル4は筒形をなし、上下に延びる流路4aを備える。ノズル4の下端部は貫通孔5aに挿入される。
【0026】
チャンバ5の内部に第一流路6aと、第二流路6bとが形成される。第一流路6aは上下に延び、流路4aの下端に連なる。サンプル液50は、流路4aと第一流路6aを通じて、チャンバ5内を通流する。
【0027】
チャンバ5の側面に貫通孔5bが形成される。第二流路6bはチャンバ5の上部に形成される。第二流路6bは、差し込まれた筒形のノズル4の周囲に形成される。第二流路6bの上端は貫通孔5bに連なり、第二流路6bの下端は第一流路6aに連なる。貫通孔5bからシース液51が供給され、第二流路6b及び第一流路6aを通流する。
【0028】
チャンバ5の下側に測定セル7が配置される。測定セル7は石英等の透明な部材によって構成されている。測定セル7の内部に上下に延びる流路7aが形成されている。流路7aは測定セル7を貫通する。
【0029】
流路4aを流下したサンプル液50と、第二流路6bを流下したシース液51は第一流路6aにおいて合流する。第一流路6aはチャンバ5の下部に形成され、下方に向かうに従って左右幅が徐々に短くなり、測定セル7の流路7aに連なる。
【0030】
供給部2から供給されたサンプル液50は、ノズル4の流路4a、第一流路6a及び測定セル7の流路7aを通流する。押込みポンプ(図示略)によって、シース液51が貫通孔5bから第二流路6bに供給される。シース液51は、サンプル液50を取り囲みながら、第一流路6a及び測定セル7の流路7aを通流する。測定セル7の流路7aを通流したサンプル液50及びシース液51は吸引ポンプ9によって吸引される。押込みポンプの吐出流量及び吸引ポンプ9の吸引流量を適切に調整することによって、サンプル液50は、測定セル7の流路7aにおいて薄い層を形成し、この薄い層の中で粒子が配列される。サンプル液50は層状態を保ったまま、即ち粒子が配列された状態を保ったまま測定セル7の流路7aを通流する。
【0031】
測定セル7の流路7aの中途部において、流路7aの左側に光源8が設けられ、流路7aの右側に対物レンズ10及びカメラ12が設けられる。カメラ12は撮像部に対応する。測定セル7を挟んで両側に光源8及び対物レンズ10が配置され、光源8から測定セル7に向けて光が照射され、流路7aを流れる粒子をカメラ12が撮像する。カメラ12の撮像は制御装置13によって制御される。なお、光源8と、対物レンズ10及びカメラ12とは、測定セル7を挟んで両側に配置されればよく、光源8の位置と、対物レンズ10及びカメラ12の位置とは左右逆でもよい。
【0032】
対物レンズ10には、対物レンズ10を移動させる駆動部11が設けてある。駆動部11は対物レンズ10を移動させ、対物レンズ10の焦点距離を調整する。駆動部11は制御装置13によって制御される。作業者は操作部14を操作して、制御装置13に指令を入力する。操作部14は、例えばスイッチ、ボタン、キーボード、マウス又はタッチパネル等である。制御装置13は入力された指令に基づいて、対物レンズ10の移動、カメラ12による粒子の撮像、撮像した画像の記憶、撮像した画像の表示部15への表示等を実行する。制御装置13は不揮発性メモリ又はハードディスク等の記憶部(図示略)を有し、記憶部に画像を記憶する。表示部15は、例えば液晶ディスプレイである。制御装置13は、撮像した画像に対して画像処理を実行し、粒子の粒径及び円形度等を演算し、演算結果を表示部15に表示する。
【0033】
図2は、上側から視認した供給部2の略示斜視図、
図3は、下側から視認した供給部2の略示斜視図、
図4は、供給部2の略示平面図、
図5は、供給部2の略示左側面図、
図6は、
図4のVI-VI線を切断線とし略示正面断面図である。
図2~
図6において、攪拌機40(
図7参照)の記載を省略している。
【0034】
供給部2は、開口を上側に向けた有底円筒状をなす。供給部2は、円筒形の小径部20と、該小径部20よりも直径の大きい円筒形の中径部21と、該中径部21よりも直径の大きい円筒形の大径部22とを備える。小径部20の上側に中径部21が配置され、中径部21の上側に大径部22が配置される。小径部20、中径部21及び大径部22は同軸的に配置され、一体形成されている。中径部21の軸方向寸法は小径部20よりも短く、大径部22の軸方向寸法は中径部21よりも短い。
【0035】
小径部20、中径部21及び大径部22に亘って、筒状の内面23が形成されている。
図6に示すように、内面23は、第一内周面23aと、第二内周面23bと、第三内周面23cと、凹面23dとを備える。第一内周面23aは、大径部22の上端部に形成されており、上側に向かうに従って直径が小さくなるように傾斜した偏平な円錐台の周面の如き形状をなす。第二内周面23bは、大径部22の軸方向中途部であって、第一内周面23aの下側に形成される。第二内周面23bは、偏平な円筒の周面の如き形状をなす。第二内周面23bの直径は上下方向の各位置において略同じである。第二内周面23bの軸方向寸法は第一内周面23aと同程度である。
【0036】
第三内周面23cは、大径部22の下部から中径部21の上部に亘って形成されており、第二内周面23bの下側に形成される。第三内周面23cは、下側に向かうに従って直径が小さくなるように傾斜した円錐台の周面の如き形状をなす。第三内周面23cの軸方向寸法は、第一内周面23a及び第二内周面23bの軸方向寸法の合計よりも長い。第一内周面23a及び第二内周面23bは壁面に対応し、第三内周面23cは傾斜面に対応する。なお第一内周面23a、第二内周面23b及び第三内周面23cを曲面状に形成し、滑らかに連結させてもよい。第三内周面23cの上側に第一内周面23a又は第二内周面23bのいずれか一方のみを設けてもよい。また第一内周面23aの上側に、上側に向かうに従って直径が小さくなるように傾斜した第四内周面、又は、上下方向の各位置において直径が略同じの第五内周面を更に設けてもよい。
【0037】
凹面23dは、中径部21の下部から小径部20の上部に亘って形成されており、第三内周面23cの下側に形成される。凹面23dは、底面が下向きに突出するように湾曲した有底円筒形をなす。凹面23dの底面の中心に、サンプル液50を供給するための供給路20aが形成されている。
図6に示すように、供給路20aは上下に延び、小径部20を貫通する。
【0038】
図5及び
図6に示すように、小径部20の左部に排出路20bが形成されている。排出路20bは左右に延びる。排出路20bの右端部は右斜め上に延び、凹面23dの底面を貫通する。
【0039】
大径部22の左後部分に平面視L形の第一切欠24が形成されている。第一切欠24は、右面24bと前面24aとを備える。右面24bを貫通して、左右に延びる流入路22aが大径部22の内部に形成されている。流入路22aは、内面23と大径部22の外部とを連通させる。流入路22aは第二内周面23bを貫通する。
図4に示すように、平面視において、内面23の上縁は円形をなす。
図4の一点鎖線は、この円形に対する接線S1及びS2である。接線S1は円形の後端に接する。接線S1と円形との接点は第一接点P1である。流入路22aは接線S1上に形成されている。接線S2は円形の右端に接する。接線S2と円形との接点は第二接点P2である。
【0040】
大径部22の左前部分に平面視L形の第二切欠25が形成されている。第二切欠25は、右面25bと後面25aとを備える。右面25bを貫通して、左右に延びる排出路22bが大径部22の内部に形成されている。排出路22bは、大径部22の外部と内面23とを連通させる。排出路22bは第二内周面23bを貫通する。平面視において、排出路22bは、前記円形の前端に接する接線(図示略)上に形成されている。
図4にて矢印で示すように、排出路22bは、平面視において、大径部22の周方向における第二接点P2と流入路22aとの間の180度以上の範囲であって、第一接点P1が配置されない範囲Rに配置されている。なお流入路22aは範囲Rの外側に配置される。
図5に示すように、排出路22bは供給部2の上部に形成され、流入路22aよりも若干上側に配置されている。
【0041】
第一切欠24に流入管30(
図2参照)の一端部が配置され、流入路22aに接続される。流入管30の他端部は洗浄液52(
図7参照)を供給するポンプ(図示略)に接続される。ポンプが駆動して、洗浄液52が流入管30を通流し、供給部2の内側に流入する。第二切欠25に第一排出管31(
図2参照)の一端部が配置され、排出路22bに接続される。第一排出管31の他端部は前記吸引ポンプ9に接続される。排出路20bに第二排出管32(
図2参照)の一端部が接続される。第二排出管32の他端部は吸引ポンプ9に接続される。流入管30、第一排出管31及び第二排出管32それぞれに開閉弁(図示略)が取り付けられている。サンプル液50の測定時に各開閉弁は閉止される。
【0042】
図7は、攪拌機40を挿入した状態における供給部2の略示正面断面図である。
図7に示すように、供給部2の内側に攪拌機40が挿入されている。攪拌機40は、上下方向を軸方向とした支持柱41と、該支持柱41の下端から下方に突出した振動棒42と、支持柱41の下端部に取り付けられ、支持柱41の軸回りに回転可能な回転筒43と、該回転筒43から下方に突出した複数の回転棒44とを備える。
【0043】
振動棒42が回転筒43の内側に挿入されるように、回転筒43は支持柱41に対して同軸的に取り付けられている。回転棒44は回転筒43の下端から下方に突出している。振動棒42は振動し、超音波を発生する。サンプル液50の測定時に回転筒43及び振動棒42は停止している。
【0044】
サンプル液50の測定終了後、供給部2を洗浄する場合、流入管30及び第一排出管31それぞれの開閉弁が開放される。流入路22aを通して洗浄液52が供給部2の内側に流入する。洗浄液52は接線S1に沿って供給され、供給当初に、内面23の表面を平面視時計回りに渦を巻くように下方に移動し、内面23の表面全体を洗浄することができる。なお洗浄液52の供給時の圧力が高い場合、洗浄液52が第三内周面23cを上昇することがある。その場合でも、第二内周面23bによって洗浄液52の上昇を防止し、更に傾斜した第一内周面23aによって、洗浄液52の移動方向を供給部2の内側に誘導し、洗浄液52が供給部2の外側に漏れることを抑制することができる。
【0045】
また排出路22bは流入路22aよりも高い位置に配置されているので、洗浄液52の供給当初に洗浄液52が流入路22aから排出路22bに直接到達し、十分な洗浄を行わないまま排出されることを抑制できる。
【0046】
また排出路22bを範囲Rに配置させることによって、洗浄液52の供給当初に流入路22aから流入した洗浄液52を、排出路22bに至るまでに重力によって排出路22bよりも下方に移動させ、洗浄液52が流入路22aから排出路22bに直接到達することを抑制することができる。
【0047】
吸引ポンプ9が駆動し、排出路22bからの吸引が開始される。排出路22bは流入路22aよりも高い位置に配置されているので、洗浄液52の液面が排出路22bの位置まで上昇した後、排出路22bからの洗浄液52の排出が行われる。なお供給路20aからも洗浄液52の排出が行われるが、供給路20aからの排出量は流入路22aからの流入量よりも少ないので、液面は排出路22bの位置まで上昇する。排出路22bからの排出量は流入量よりも多いので、液面の位置は排出路22b付近となる。
【0048】
回転筒43が回転を開始し、振動棒42が振動を開始する。供給部2に貯留された洗浄液52は回転し、攪拌される。回転筒43及び回転棒44は平面視反時計回りに回転し、流入口からの流入方向とは逆向きに回転するので、洗浄液52は大きく攪拌される。また振動棒42の振動によって洗浄液52の攪拌が促進される。攪拌及び振動によって洗浄液52には気泡が発生する。発生した気泡は液面に浮かび、排出路22bから排出される。前述のように、液面の位置は排出路22b付近なので、気泡の排出は効率的に行われる。洗浄を終了する場合、流入管30の開閉弁を閉止し、第二排出管32の開閉弁を開放して、排出路20bから洗浄液52を吸引する。吸引は所定時間行われる。所定時間は、吸引ポンプ9による吸引流量と所定時間との積が、供給部2内の容積以上となるように、設定される。所定時間経過後、吸引ポンプ9は停止し、第一排出管31及び第二排出管32の開閉弁は閉止される。なお攪拌機40による攪拌を行わずに、又は攪拌機40を設けずに、供給部2を洗浄してもよい。
【0049】
図2~
図4に示すように、大径部22の上面における正面部分に凹部22cが形成されている。凹部22cは前後方向に延びる。供給部2の外側であって、凹部22cの下側に液体を検出するセンサ(図示略)が設けてある。供給部2に過剰なサンプル液50又は洗浄液52が供給され、液面が凹部22cまで上昇した場合、凹部22cからサンプル液50又は洗浄液52が横溢する。横溢したサンプル液50又は洗浄液52は、センサによって検出され、横溢が検出される。横溢が検出された場合、制御装置13は例えば流入管30の開閉弁を閉じ、供給部2への洗浄液52の流入を停止させるか、又は横溢の発生を表示部15に表示して作業者に報知し、作業者にサンプル液50の供給の停止を促す。なお自動的にサンプル液50を供給部2に供給する場合、横溢が検出された場合、制御装置13はサンプル液50の供給を停止させてもよく、洗浄液52を手動で供給部2に供給する場合、横溢が検出された場合、横溢の発生を表示部15に表示して作業者に報知してもよい。
【0050】
実施の形態に係る粒子画像解析装置1にあっては、供給部2の上部に排出路22bが形成されているので、洗浄液52の液面に浮かんだ泡、液中に浮かんだ泡及び容器上部の側面に付着した泡等を洗浄中に排出路22bから排出し、洗浄終了後に供給部2に泡が残留することを抑制することができる。泡に含まれる粒子も、泡と共に排出されるので、粒子が供給部2に残留して、次に行う測定において、測定精度が低下することを抑制することができる。
【0051】
また排出路22bは流入路22aよりも高い位置に設けられているので、洗浄液52の供給当初に洗浄液52が流入路22aから排出路22bに直接到達し、十分な洗浄を行わないまま排出されることを防止できる。
【0052】
また流入路22aは、平面視円形をなす内面23上縁の接線S上に配置される。ポンプによって流入路22aに圧送された洗浄液52が高圧であっても、洗浄液52は流入路22aから内面23に沿って円滑に流入する。そのため、洗浄液52がしぶきを上げて流入路22aから流入し、泡が発生することを防止することができる。
【0053】
また排出路22bは、平面視における第二接線S2の接点P2と流入路22aとの間の範囲Rに配置される。そのため、洗浄液52が流入路22aから排出路22bに至るまでの経路をできるだけ長くして、洗浄液52が内面23を洗浄する面積をできるだけ大きくすることができる。また流入路22aから流入した洗浄液52を排出路22bよりも下方に移動させ、供給直後の洗浄液52が排出路22bから直ちに排出されることを抑制することができる。
【0054】
また第一内周面23a及び第二内周面23bを設けることによって、第三内周面23cを上昇した洗浄液52が供給部2の外側に漏れることを抑制することができる。即ち、洗浄液52の漏洩を生じさせることなく、洗浄液52の流量を大きくし、洗浄力を高めることができる。
【0055】
またサンプル液50又は洗浄液52が過剰に供給された場合には、凹部22cから横溢させる。凹部22cから横溢したサンプル液50又は洗浄液52をセンサに検出させることによって、サンプル液50又は洗浄液52の供給を停止させるか、または作業者に横溢の発生を報知し、サンプル液50又は洗浄液52の供給の停止を促すことができる。
【0056】
また第一切欠24及び第二切欠25を設けることによって、流入管30及び第一排出管31を配置する空間を確保し、粒子画像解析装置1の小型化を促進させることができる。
【0057】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
1 粒子画像解析装置
2 供給部
3 フローセル
4 ノズル
4a 流路
5 チャンバ
5a 貫通孔
5b 貫通孔
6a 第一流路
6b 第二流路
7 測定セル
7a 流路
8 光源
10 対物レンズ
12 カメラ(撮像部)
13 制御装置
14 操作部
15 表示部
20 小径部
20a 供給路
20b 排出路
21 中径部
22 大径部
22a 流入路
22b 排出路
22c 凹部
23 内面
23a 第一内周面
23b 第二内周面
23c 第三内周面
23d 凹面
24 第一切欠
24a 前面
24b 右面
25 第二切欠
25a 後面
25b 右面
30 流入管
31 第一排出管
32 第二排出管
40 攪拌機
41 支持柱
42 振動棒
43 回転筒
44 回転棒
50 サンプル液
51 シース液
52 洗浄液
S1、S2 接線
P1 第一接点
P2 第二接点