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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068485
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】フィルムアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/32 20060101AFI20230510BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20230510BHJP
   H01Q 1/50 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
H01Q1/32 A
H01Q1/38
H01Q1/50
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179636
(22)【出願日】2021-11-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯間 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】阿部 佳市
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA03
5J046AA06
5J046AB03
5J046AB17
5J046LA19
5J046PA06
5J046TA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】隙間に埃や異物が混入することを防止、フィルム部の粘着率低下、アンテナ性能のダウン及びフィルム部の耐久性低下の抑制するフィルムアンテナを提供する。
【解決手段】フィルムアンテナは、基材と、基材に接合されている接合部分202及び基材から突出している突出部分204を有するアンテナを内包するフィルム材200と、を備える。基材は、上面にフィルム材200の接合部分202の少なくとも一部が配置されており、フィルムアンテナを設置する設置対象面に設置される下面を有する下部材300と、フィルム材の接合部分202上に配置された中部材310と、中部材上に配置された上部材320と、を有する。フィルム材200の突出部分204は、基材の下端から突出している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムアンテナであって、
基材と、
前記基材に接合されている第1部分と前記基材から突出している第2部分とを有する、アンテナを内包するフィルム材と
を備え、
前記基材は、
上面に前記フィルム材の前記第1部分の少なくとも一部が配置されており、前記フィルムアンテナを設置する設置対象面に設置される下面を有する下部材と、
前記フィルム材の前記第1部分上に配置された中部材と、
前記中部材上に配置された上部材と
を有し、
前記フィルム材の前記第2部分は、前記基材の下端から突出している、フィルムアンテナ。
【請求項2】
前記基材は、
前記中部材に配置されたコネクタと、
前記コネクタと前記アンテナとを電気的に接続する配線と
を有する、請求項1に記載のフィルムアンテナ。
【請求項3】
前記フィルム材の前記第1部分は、少なくとも一部が傾斜している、請求項1又は2に記載のフィルムアンテナ。
【請求項4】
前記フィルム材の前記第1部分の傾斜部は、全て前記下部材上に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルムアンテナ。
【請求項5】
前記下部材は、前記上面側で、前記フィルム材が突出している側の端部が湾曲している、請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルムアンテナ。
【請求項6】
前記下部材は、基部と、前記基部の一端側から、前記フィルム材が突出している方向に延伸された第1延伸部と、前記基部の他端側から、前記フィルム材が突出している方向に延伸された第2延伸部とを有する、請求項2に記載のフィルムアンテナ。
【請求項7】
前記第1延伸部及び前記第2延伸部は、延伸方向に傾斜しており、前記フィルム材の前記第1部分の傾斜している部分が上面に配置されている、請求項6に記載のフィルムアンテナ。
【請求項8】
前記フィルム材の前記第1部分は、全体が前記下部材上に配置され、前記下部材は、前記上部材から前記設置対象面方向に全体が傾斜している、請求項1に記載のフィルムアンテナ。
【請求項9】
前記フィルム材の前記第1部分は、前記下部材の前記上面に配置されている部分と、前記下部材の前記上面に配置されておらず、前記設置対象面上に配置される部分とを含み、
前記基材の配線は、前記設置対象面上に配置される部分で、前記フィルム材内に配置されている配線と接続され、前記アンテナと電気的に接続されている、請求項2に記載のフィルムアンテナ。
【請求項10】
前記下部材は、前記上面側で、前記フィルム材が突出している側の端部が弾性素材で構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のフィルムアンテナ。
【請求項11】
前記上部材は、前記中部材の一端を覆い、前記フィルム材の前記第1部分と前記第2部分との境界に端部が配置されたカバー部分を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のフィルムアンテナ。
【請求項12】
前記下部材は、耐熱部材である、請求項1から11のいずれか一項に記載のフィルムアンテナ。
【請求項13】
フィルムアンテナであって、
基材と、
前記基材に内包されている第1部分と、前記基材から突出している第2部分とを有する、アンテナを内包するフィルム材と
を備え、
前記基材は、
上面に前記フィルム材の前記第1部分が配置されている基部と、前記基部から突き出している傾斜部であって、前記フィルム材の前記第2部分が配置されている傾斜部とを有する下部材と、
前記フィルム材の前記第1部分上に配置された中部材と、
前記中部材上に配置された上部材と、
を有する、フィルムアンテナ。
【請求項14】
前記中部材に配置されたコネクタと、
前記コネクタと前記アンテナとを電気的に接続する配線と
を備える、請求項13に記載のフィルムアンテナ。
【請求項15】
前記傾斜部は、前記基部の上面の高さから、前記基部の下面の高さまで傾斜している、請求項13又は14に記載のフィルムアンテナ。
【請求項16】
前記基部及び前記傾斜部は、前記フィルムアンテナを設置する設置対象面に設置される下面を有する、請求項13から15のいずれか一項に記載のフィルムアンテナ。
【請求項17】
フィルムアンテナであって、
基材と、
前記基材に接合されている第1部分と前記基材から突出している第2部分とを有する、アンテナを内包するフィルム材と
を備え、
前記フィルム材は、
前記第1部分と前記第2部分との境界よりも基材側に傾斜部分を有する、
フィルムアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両等の窓ガラスに貼着され、給電部及びアンテナを内包するフィルム部分により構成され、各種の通信システムで用いることのできるフィルムアンテナについて記載されている。
(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2006-5400号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の一実施態様によれば、フィルムアンテナが提供される。フィルムアンテナは、基材を備えてよい。フィルムアンテナは、アンテナを内包するフィルム材を備えてよい。フィルム材は、基材に接合されている第1部分と基材から突出している第2部分とを有してよい。基材は、上面にフィルム材の第1部分の少なくとも一部が配置されており、フィルムアンテナを設置する設置対象面に設置される下面を有する下部材を有してよい。基材は、フィルム材の第1部分上に配置された中部材を有してよい。基材は、中部材上に配置された上部材を有してよい。フィルム材の第2部分は、基材の下端から突出していてよい。
【0004】
上記基材は、上記中部材に配置されたコネクタと、上記コネクタと上記アンテナとを電気的に接続する配線とを有してよい。上記フィルム材の上記第1部分は、少なくとも一部が傾斜していてよい。上記フィルム材の上記第1部分の傾斜部は、全て上記下部材の上に配置されていてよい。上記下部材は、上記フィルム材の配置されている側で、上記フィルム材が突出している側の端部が湾曲していてよい。
【0005】
上記下部材は、基部と、上記基部の一端側から、上記フィルム材が突出している方向に延伸された第1延伸部と、上記基部の他端側から、上記フィルム材が突出している方向に延伸された第2延伸部とを有してよい。上記第1延伸部及び上記第2延伸部は、延伸方向に傾斜しており、上記フィルム材の上記第1部分の傾斜している部分が上面に配置されていてよい。上記フィルム材の上記第1部分は、全体が上記下部材の上に配置され、上記下部材は、上記上部材から上記設置対象面方向に全体が傾斜していてよい。
【0006】
上記フィルム材の上記第1部分は、上記下部材の上記上面に配置されている部分と、上記下部材の上記上面に配置されておらず、上記設置対象面上に配置される部分とを含んでよい。上記基材の配線は、上記設置対象面上に配置される部分で、上記フィルム材内に配置されている配線と接続され、上記アンテナと電気的に接続されていてよい。上記下部材は、上記上面側で、上記フィルム材が突出している側の端部が弾性素材で構成されていてよい。上記上部材は、上記中部材の一端を覆い、上記フィルム材の上記第1部分と上記第2部分との境界に端部が配置されたカバー部分を有してよい。上記下部材は、耐熱部材であってよい。
【0007】
本発明の一実施態様によれば、フィルムアンテナが提供される。フィルムアンテナは、基材を備えてよい。フィルムアンテナは、アンテナを内包するフィルム材を備えてよい。フィルム材は、基材に内包され接合されている第1部分と基材から突出している第2部分とを有してよい。基材は、上面にフィルム材の第1部分が配置されている基部と、基部から突き出している傾斜部であって、フィルム材の第2部分が配置されている傾斜部とを有する下部材を有してよい。基材は、フィルム材の第1部分上に配置された中部材を有してよい。基材は、中部材上に配置された上部材を有してよい。
【0008】
上記基材は、上記中部材に配置されたコネクタと、上記コネクタと上記アンテナとを電気的に接続する配線とを備えてよい。上記傾斜部は、上記基部の上面の高さから、上記基部の下面の高さまで傾斜していてよい。上記基部及び上記傾斜部は、上記フィルムアンテナを設置する設置対象面に設置される下面を有してよい。
【0009】
本発明の一実施態様によれば、フィルムアンテナが提供される。フィルムアンテナは、基材を備えてよい。フィルムアンテナは、基材に接合されている第1部分と基材から突出している第2部分とを有する、アンテナを内包するフィルム材を備えてよい。フィルム材は、第1部分と第2部分との境界よりも基材側に傾斜部分を有してよい。
【0010】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来のフィルムアンテナ60の一例を概略的に示す。
図2】従来のフィルムアンテナ60のX-X断面の一例を概略的に示す。
図3】本実施形態に係るフィルムアンテナ10の一例を概略的に示す。
図4】フィルムアンテナ10のY-Y断面の一例を概略的に示す。
図5】フィルムアンテナ10のZ-Z断面の一例を概略的に示す。
図6】基材100の他の一例を概略的に示す。
図7】基材100の他の一例を概略的に示す。
図8】基材100の他の一例を概略的に示す。
図9】下部材300の他の一例を概略的に示す
図10】下部材300の他の一例を概略的に示す。
図11】下部材300の他の一例を概略的に示す。
図12】フィルムアンテナ10の他の一例を概略的に示す。
図13】フィルムアンテナ10の他の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
給電部とアンテナを内包するフィルム材とを備えるフィルムアンテナにおいて、設置対象面とフィルム材との間に、フィルムの浮きである隙間が生じると、気泡により粘着力が低下したり、ゴミ混入により耐久性が低下したりすることが考えられる。本実施形態に係るフィルムアンテナでは、例えば設置対象面とフィルム材との間の隙間が、給電部側に内包され、外部から隔絶される形式を採用する。これにより、隙間に埃や異物が混入することを防止することができ、フィルム部の粘着率低下、アンテナ性能のダウン及びフィルム部の耐久性低下等の抑制に貢献することができる。
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
図1は、従来のフィルムアンテナ60の一例を概略的に示す。図2は、フィルムアンテナ60のX-X断面の一例を概略的に示す。
【0015】
フィルムアンテナ60は、基材600、フィルム材700、及びコネクタ800を備える。基材600は、給電部と呼ばれる場合もある。基材600は、下部材610、中部材620、及び上部材630を有する。下部材610は、板状であって、上面にフィルム材700の一部が配置されている。当該フィルム材700の一部上に中部材620が配置されており、中部材620上に上部材630が配置されている。
【0016】
フィルム材700は、アンテナ710及び配線712を内包する。中部材620には、コネクタ800及び配線802が配置されている。配線802と配線712とが接続されていて、コネクタ800とアンテナ710とが電気的に接続されている。
【0017】
下部材610は、フィルムアンテナ60が設置される設置対象面に接着される。下部材610は、コネクタ800、配線802、及び配線712の少なくともいずれかにおいて発生した熱が、設置対象面に伝わることを防止したり軽減したりする役割を担う。
【0018】
従来のフィルムアンテナ60は、設置対象面に設置された場合に、フィルム材700の浮き、すなわち、隙間ができてしまう場合があった。隙間に埃や異物が混入すると、フィルムアンテナ60の耐久性が低下する可能性が考えられる。フィルム材700を、基材600から突き出した後、急角度で折り曲げることによって、隙間を小さくしたり無くすことはできるが、折り曲げ部分における配線712の抵抗が高くなったり、折り曲げ部分において配線712が破損したりする可能性があり、望ましくない。
【0019】
図3は、本実施形態に係るフィルムアンテナ10の一例を概略的に示す。フィルムアンテナ10は、基材100及びフィルム材200を備えてよい。フィルムアンテナ10は、コネクタ400を備えてよい。
【0020】
フィルムアンテナ10は、コネクタ400を介して、図示しない無線機と接続されてよく、無線機にアンテナの機能を提供してよい。アンテナの機能の例として、5G(5th Generation Mobile Communication System)用の送受信機能、及びLTE(Long Term Evolution)用の送受信機能が挙げられるが、これらに限られない。
【0021】
フィルムアンテナ10は、例えば建物の透明な窓等の面に、接着されることで設置されてよい。これに限らず、フィルムアンテナ10は、任意の場所に設置されてよい。
【0022】
フィルム材200は、一部が基材100に固定されている。基材100及びフィルム材200は、フィルムアンテナ10を設置する設置対象の設置対象面に対して固定される。基材100及びフィルム材200は、例えば、設置対象面に接着される。
【0023】
フィルム材200は、アンテナ500と、アンテナ500とコネクタ400とを電気的に接続する配線502とを内包してよい。フィルム材200は、材質が透明であり、ガラス等に設置された際に景観を妨げないものであってよい。配線502は、フィルムアンテナ10を設置したときの美観の観点から、目視できないレベルの細さであってもよい。
【0024】
図4は、フィルムアンテナ10のY-Y断面の一例を概略的に示す。基材100は、下部材300、中部材310、及び上部材320を備える。
【0025】
下部材300は、フィルムアンテナ10を設置する設置対象面に設置される。例えば、下部材300の下面302が、設置対象面に接着される。下面302の設置対象面に対する接着方法は、任意の方法であってよい。接着方法の例として、接着剤及び両面テープ等を用いた接着や、下面302自体が接着性を有すること等が挙げられる。なお、下面302は、接着以外の方法で設置対象面に設置されてもよい。例えば、設置対象面がねじ止め可能な素材である場合、下部材300は、設置対象面にねじ止めされる。
【0026】
下部材300の上面304には、フィルム材200の一部が配置される。当該フィルム材200の一部は、上面304に対して固定されてよい。例えば、フィルム材200の一部は、上面304に接着されてよい。フィルム材200の一部の上面304に対する接着方法は、任意の方法であってよい。接着方法の例として、接着剤及び両面テープ等を用いた接着や、上面304自体が接着性を有すること、フィルム材200自体が接着性を有すること等が挙げられる。なお、フィルム材200の一部は、接着以外の方法で上面304に固定されてもよい。例えば、フィルム材200の一部が上面304にねじ止め等される。また、フィルム材200の一部は、中部材310による下部材300に対する圧力によって上面304に対して固定されてもよい。なお、フィルム材200を上面304に固定する方法は、フィルム材200に内包される配線を破断しないものであればよく、上記の例に限定されない。
【0027】
中部材310は、フィルム材200の一部上に配置されてよい。中部材310は、コネクタ400と、コネクタ400とフィルム材200のアンテナとを電気的に接続する配線とを含んでよい。
【0028】
上部材320は、中部材310の上に配置されてよい。上部材320は、中部材310を覆う形状を有してよい。上部材320は、中部材310の側面側を覆う形状を有してよい。上部材320は、下部材300に固定されてよい。図3及び図4では、上部材320が下部材300に留め具30によって固定されている例を示しているが、上部材320の下部材300に対する固定方法はこれに限らない。例えば、上部材320は、下部材300に対して接着されてもよい。なお、上部材320は、中部材310を覆う形状を有さなくてもよい。また、上部材320は、下部材300に固定されなくてもよい。
【0029】
図5は、フィルムアンテナ10のZ-Z断面の一例を概略的に示す。フィルム材200は、基材100に接合されている接合部分202と、基材100から突き出している突出部分204とを有する。接合部分202は、フィルム材200の第1部分の一例であってよい。突出部分204は、フィルム材200の第2部分の一例であってよい。
【0030】
中部材310は、コネクタ400と、コネクタ400とアンテナ500とを電気的に接続する配線402とを有する。図5において、配線402は、下部材300上において、アンテナ500の配線502と接続されている。
【0031】
フィルム材200の接合部分202は、少なくとも一部が傾斜している。図5に示す例において、接合部分202は、一部が下部材300の上に配置され、一部が傾斜している。図5に示す基材100では、下部材300が、基材100の、フィルム材200が突き出している方の端部まで延びておらず、途中で途絶える形状を有することによって、フィルム材200の一部が傾斜するように構成されている。図5に示すように、フィルム材200は、接合部分202と突出部分204との境界よりも基材100側に傾斜部分を有してよい。
【0032】
このように、従来と比較して、下部材300の、フィルム材200が突き出している方向への長さを短くすることによって、フィルム材200が傾斜する位置を、基材100の外ではなく、基材100の中とすることができる。これにより、隙間を基材100内に隠すことができ、下部材300による断熱機能をある程度維持したうえで、埃及び異物等の混入を抑制することができる。
【0033】
図5に示す上部材320は、カバー部分322を有する。カバー部分322は、中部材310の一端を覆い、接合部分202と突出部分204との境界に端部が配置されてよい。カバー部分322の端部が接合部分202と突出部分204との境界に位置することによって、フィルム材200と、設置対象面との間に隙間が生じる可能性を低減することができる。なお、上部材320は、カバー部分322を有さなくてもよい。
【0034】
下部材300の素材は、中部材310において発生する熱が設置対象面に伝わることを少しでも抑制することができる素材であれば、どのような素材であってもよい。下部材300は、耐熱部材であってもよい。下部材300を耐熱部材とすることによって、中部材310から設置対象面に伝わる熱の量を大幅に低減したり、熱が伝わらないようにしたりできる。下部材300と上部材320とは、同じ素材であってよい。
【0035】
下部材300及び上部材320と、中部材310とは、異なる素材であってよい。例えば、下部材300及び上部材320の素材はポリ塩化ビニル(PVC)、ABS樹脂等の樹脂であり、中部材310の素材は樹脂である。下部材300、中部材310、及び上部材320の素材は、すべて異なってもよい。なお、下部材300、中部材310及び上部材320の素材は、すべて同じであってもよい。
【0036】
下部材300は、上面304側の、突出部分204が突出している側の端部が弾性素材で構成されてもよい。これにより、下部材300の端部がフィルム材200に与える圧力を低減することができ、フィルム材200内の配線502が破損したりしてしまう可能性を低減できる。弾性素材の例として、ゴム等が挙げられるが、これに限らない。
【0037】
図6は、基材100の他の一例を概略的に示す。ここでは、図5に示す基材100とは異なる点を主に説明する。図6に例示する下部材300は、基部306及び傾斜部307を含む。基部306は、板形状を有し、傾斜部307は、基部306から延伸している。例えば、基部306は、直方体の形状を有する。図6に示す例において、フィルム材200の接合部分202の傾斜部は、全て下部材300の上に配置されている。図6に示す下部材300は、図5に示す下部材300と比較して、体積が大きく、少し複雑な形状を有するが、フィルム材200の隙間を生じなくすることができる。なお、下部材300は、全体が同じ素材であってもよく、一部が異なる素材であってもよい。例えば、傾斜部307は、基部306と異なる素材であってもよい。また、傾斜部307は、基部306と同じ素材であってもよい。
【0038】
図7は、基材100の他の一例を概略的に示す。ここでは、図5に示す基材100とは異なる点を主に説明する。図7に例示する下部材300は、上部材320から設置対象面方向に全体が傾斜している。フィルム材200の接合部分202は、全体が下部材300上に配置されている。下部材300の上に配置されたフィルム材200は、基材100の端部で設置対象面に接していてよい。図7に示す下部材300は、図5に示す下部材300と比較して、フィルム材200を屈曲させる角度を減らすことができ、配線502を伝搬する信号の品質を高めることができる。
【0039】
図8は、基材100の他の一例を概略的に示す。ここでは、図5に示す基材100とは異なる点を主に説明する。本例において、下部材300は、上面304側で、フィルム材200が突出している側の端部が湾曲している。当該湾曲している部分は、例えば面取りされて緩やかになっていてよい。図8では、下部材300が面取部Rを有する場合を例示している。これにより、下部材300の端部がフィルム材200に与える圧力を低減することができ、フィルム材200内の配線502が破損したりしてしまう可能性を低減できる。なお、下部材300は、当該湾曲している部分の材質のみが例えばゴム等の弾性素材で構成されていてもよい。
【0040】
図9及び図10は、下部材300の他の一例を概略的に示す。図9は、下部材300を上面側から見た形状、図10は、下部材300を側面側から見た形状を概略的に示す。なお、図9及び図10では、上部材320と固定される部分の図示を省略している。
【0041】
図9及び図10に例示する下部材300は、基部306と、基部306の一端側から、フィルム材200が突出している方向に延伸された延伸部308と、基部306の他端側から、フィルム材200が突出している方向に延伸された延伸部309とを有する。
【0042】
延伸部308及び延伸部309は、延伸方向に傾斜しており、フィルム材200の傾斜している部分が上面に配置されてよい。図6で例示した下部材300は、基部306の全幅に渡って延伸する傾斜部307を有するが、図9及び図10に例示する下部材300は、傾斜部307に代えて、基部306の両端部側に延伸する2つの延伸部308、309を有する。基部306の両端部側に延伸部308及び延伸部309を備えることにより、外部からの埃及び異物等の混入を防ぎつつ、下部材300の体積を低減することができる。
【0043】
図11は、下部材300の他の一例を概略的に示す。ここでは、図9及び図10に例示する下部材300と異なる点を主に説明する。図11は、下部材300を上面側から見た形状を概略的に示す。図11に示す下部材300は、フィルム材200が突出する側の形状が、波型である。なお、下部材300の、フィルム材200が突出する側の形状は、これに限らず、他の形状であってもよい。
【0044】
図12は、フィルムアンテナ10の他の一例を概略的に示す。ここでは、図5に示すフィルムアンテナ10とは異なる点を主に説明する。図12に示すフィルムアンテナ10において、フィルム材200の接合部分202は、下部材300の上面に配置されている部分212と、折り曲げ部分214と、下部材300の上面には配置されておらず、設置対象面上に配置される部分216とを含む。配線402は、接合部分202の部分216で、配線502と接続され、アンテナ500と電気的に接続されている。
【0045】
このように、配線402と配線502とが、接合部分202の部分216で接続するよう構成することによって、接合部分202の部分212には、配線502を配置しないようにできる。これにより、フィルム材200の変形の自由度を高めることができる。図12に示す例では、フィルム材200を、下部材300の形状に沿って配置している。これにより、折り曲げ部分214における配線502の抵抗が高くなったり、折り曲げ部分214において配線502が破損したりすることなく、フィルム材200と設置対象面との間に隙間が生ないようにできる。
【0046】
図13は、フィルムアンテナ10の他の一例を概略的に示す。ここでは、図5に示すフィルムアンテナ10とは異なる点を主に説明する。
【0047】
フィルム材200は、基材100に内包されている内包部分206と、基材100から突き出している突出部分208とを有する。図13に示す例において、フィルム材200の内包部分206は傾斜していない。内包部分206はフィルム材200の第1部分の一例であってよい。突出部分208は、フィルム材200の第2部分の一例であってよい。
【0048】
下部材300は、上面304にフィルム材200の内包部分206が配置されている基部332と、基部332から突き出している傾斜部334であって、フィルム材200の突出部分208が配置されている傾斜部334とを有する。傾斜部334は、基部332の上面の高さから基部332の下面の高さまで傾斜していてよい。基部332及び傾斜部334は、フィルムアンテナ10を設置する設置対象面に設置される下面を有する。
【0049】
中部材310は、フィルム材200の内包部分206の上に配置されている。中部材310は、コネクタ400及び配線402を有する。
【0050】
上部材320は、中部材310の上に配置されている。上部材320は、中部材310の一端を覆い、内包部分206と突出部分208との境界に端部が配置されてよいカバー部分322を有する。なお、上部材320は、カバー部分322を有さなくてもよい。
【0051】
図13に例示するフィルムアンテナ10は、下部材300が傾斜部334を有することによって、フィルム材200と設置対象面との間に隙間が発生することを防止する。
【0052】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0053】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0054】
10 フィルムアンテナ、30 留め具、60 フィルムアンテナ、100 基材、200 フィルム材、202 接合部分、204 突出部分、206 内包部分、208 突出部分、300 下部材、302 下面、304 上面、306 基部、307 傾斜部、308 延伸部、309 延伸部、310 中部材、320 上部材、322 カバー部分、332 基部、334 傾斜部、400 コネクタ、402 配線、500 アンテナ、502 配線、600 基材、610 下部材、620 中部材、630 上部材、700 フィルム材、710 アンテナ、712 配線、800 コネクタ、802 配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2022-03-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムアンテナであって、
基材と、
前記基材に接合されている第1部分と前記基材から突出している第2部分とを有する、アンテナを内包するフィルム材と
を備え、
前記基材は、
上面に前記フィルム材の前記第1部分の少なくとも一部が配置されており、前記フィルムアンテナを設置する設置対象面に設置される下面を有する下部材と、
前記フィルム材の前記第1部分上に配置された中部材と、
前記中部材上に配置された上部材と
前記中部材に配置されたコネクタと、
前記コネクタと前記アンテナとを電気的に接続する配線と
を有し、
前記フィルム材の前記第2部分は、前記基材の下端から突出している、フィルムアンテナ。
【請求項2】
フィルムアンテナであって、
基材と、
前記基材に接合されている第1部分と前記基材から突出している第2部分とを有する、アンテナを内包するフィルム材と
を備え、
前記基材は、
上面に前記フィルム材の前記第1部分の少なくとも一部が配置されており、前記フィルムアンテナを設置する設置対象面に設置される下面を有する下部材と、
前記フィルム材の前記第1部分上に配置された中部材と、
前記中部材上に配置された上部材と
を有し、
前記フィルム材の前記第2部分は、前記基材の下端から突出しており、
前記フィルム材の前記第1部分は、少なくとも一部が傾斜している、フィルムアンテナ。
【請求項3】
フィルムアンテナであって、
基材と、
前記基材に接合されている第1部分と前記基材から突出している第2部分とを有する、アンテナを内包するフィルム材と
を備え、
前記基材は、
上面に前記フィルム材の前記第1部分の少なくとも一部が配置されており、前記フィルムアンテナを設置する設置対象面に設置される下面を有する下部材と、
前記フィルム材の前記第1部分上に配置された中部材と、
前記中部材上に配置された上部材と
を有し、
前記フィルム材の前記第2部分は、前記基材の下端から突出しており、
前記フィルム材の前記第1部分の傾斜部は、全て前記下部材上に配置されている、フィルムアンテナ。
【請求項4】
前記下部材は、前記上面側で、前記フィルム材が突出している側の端部が湾曲している、請求項1からのいずれか一項に記載のフィルムアンテナ。
【請求項5】
前記下部材は、基部と、前記基部の一端側から、前記フィルム材が突出している方向に延伸された第1延伸部と、前記基部の他端側から、前記フィルム材が突出している方向に延伸された第2延伸部とを有する、請求項に記載のフィルムアンテナ。
【請求項6】
前記第1延伸部及び前記第2延伸部は、延伸方向に傾斜しており、前記フィルム材の前記第1部分の傾斜している部分が上面に配置されている、請求項に記載のフィルムアンテナ。
【請求項7】
フィルムアンテナであって、
基材と、
前記基材に接合されている第1部分と前記基材から突出している第2部分とを有する、アンテナを内包するフィルム材と
を備え、
前記基材は、
上面に前記フィルム材の前記第1部分の少なくとも一部が配置されており、前記フィルムアンテナを設置する設置対象面に設置される下面を有する下部材と、
前記フィルム材の前記第1部分上に配置された中部材と、
前記中部材上に配置された上部材と
を有し、
前記フィルム材の前記第2部分は、前記基材の下端から突出しており、
前記フィルム材の前記第1部分は、全体が前記下部材上に配置され、前記下部材は、前記上部材から前記設置対象面方向に全体が傾斜している、フィルムアンテナ。
【請求項8】
前記フィルム材の前記第1部分は、前記下部材の前記上面に配置されている部分と、前記下部材の前記上面に配置されておらず、前記設置対象面上に配置される部分とを含み、
前記基材の配線は、前記設置対象面上に配置される部分で、前記フィルム材内に配置されている配線と接続され、前記アンテナと電気的に接続されている、請求項に記載のフィルムアンテナ。
【請求項9】
フィルムアンテナであって、
基材と、
前記基材に接合されている第1部分と前記基材から突出している第2部分とを有する、アンテナを内包するフィルム材と
を備え、
前記基材は、
上面に前記フィルム材の前記第1部分の少なくとも一部が配置されており、前記フィルムアンテナを設置する設置対象面に設置される下面を有する下部材と、
前記フィルム材の前記第1部分上に配置された中部材と、
前記中部材上に配置された上部材と
を有し、
前記フィルム材の前記第2部分は、前記基材の下端から突出しており、
前記下部材は、前記上面側で、前記フィルム材が突出している側の端部が弾性素材で構成されている、フィルムアンテナ。
【請求項10】
前記上部材は、前記中部材の一端を覆い、前記フィルム材の前記第1部分と前記第2部分との境界に端部が配置されたカバー部分を有する、請求項1からのいずれか一項に記載のフィルムアンテナ。
【請求項11】
フィルムアンテナであって、
基材と、
前記基材に接合されている第1部分と前記基材から突出している第2部分とを有する、アンテナを内包するフィルム材と
を備え、
前記基材は、
上面に前記フィルム材の前記第1部分の少なくとも一部が配置されており、前記フィルムアンテナを設置する設置対象面に設置される下面を有する下部材と、
前記フィルム材の前記第1部分上に配置された中部材と、
前記中部材上に配置された上部材と
を有し、
前記フィルム材の前記第2部分は、前記基材の下端から突出しており、
前記下部材は、耐熱部材である、フィルムアンテナ。
【請求項12】
フィルムアンテナであって、
基材と、
前記基材に内包されている第1部分と、前記基材から突出している第2部分とを有する、アンテナを内包するフィルム材と
を備え、
前記基材は、
上面に前記フィルム材の前記第1部分が配置されている基部と、前記基部から突き出している傾斜部であって、前記フィルム材の前記第2部分が配置されている傾斜部とを有する下部材と、
前記フィルム材の前記第1部分上に配置された中部材と、
前記中部材上に配置された上部材と、
を有する、フィルムアンテナ。
【請求項13】
前記中部材に配置されたコネクタと、
前記コネクタと前記アンテナとを電気的に接続する配線と
を備える、請求項12に記載のフィルムアンテナ。
【請求項14】
前記傾斜部は、前記基部の上面の高さから、前記基部の下面の高さまで傾斜している、請求項12又は13に記載のフィルムアンテナ。
【請求項15】
前記基部及び前記傾斜部は、前記フィルムアンテナを設置する設置対象面に設置される下面を有する、請求項12から14のいずれか一項に記載のフィルムアンテナ。