(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068525
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0242 20230101AFI20230510BHJP
G09F 19/00 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
G06Q30/02 382
G09F19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179709
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】守岡 太郎
(72)【発明者】
【氏名】林田 敦
(72)【発明者】
【氏名】新井 朗
(72)【発明者】
【氏名】清水 悠花
(72)【発明者】
【氏名】石井 佑磨
(72)【発明者】
【氏名】金子 柚那
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】カメラを用いた広告の評価精度を活かしつつ、システムの構築コストを抑制することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】 本開示に係る情報処理装置は、アウトオブホーム(OOH)広告を目視した人数を推定する情報処理装置であって、第1地点で提供される第1広告を視認可能な人物を撮影した画像に基づく、広告に対する目視情報を取得する目視情報取得手段と、目視情報に基づいて特定される、人物の滞在時間と広告を目視した人数の指標との関係を取得する関係取得手段と、第2広告が提供される第2地点に配置される無線デバイスから受信する無線信号に基づく、無線デバイスと通信可能なデバイスを保持する人物の滞在時間を取得する滞在時間取得手段と、第2地点に関して得られた滞在時間に関係を適用して、第2広告を目視した人数を推定する推定手段と、を有する。このとき、目視情報は、第1広告を視認可能な人物の滞在時間と当該人物が第1広告を目視したかを示す情報を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウトオブホーム(OOH)広告を目視した人数を推定する情報処理装置であって、
第1地点で提供される第1広告を視認可能な人物を撮影した画像に基づく、広告に対する目視情報を取得する目視情報取得手段と、
前記目視情報に基づいて特定される、人物の滞在時間と広告を目視した人数の指標との関係を取得する関係取得手段と、
第2広告が提供される第2地点に配置される無線デバイスから受信する無線信号に基づく、前記無線デバイスと通信可能なデバイスを保持する人物の滞在時間を取得する滞在時間取得手段と、
前記第2地点に関して得られた前記滞在時間に前記関係を適用して、前記第2広告を目視した人数を推定する推定手段と、を有し、
前記目視情報は、前記第1広告を視認可能な人物の滞在時間と当該人物が前記第1広告を目視したかを示す情報を含む、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記滞在時間取得手段は、
前記無線デバイスから受信する前記無線信号に基づく受信履歴情報を取得する受信履歴取得手段と、
前記受信履歴情報から、前記無線デバイスと通信可能なデバイスを保持する人物の前記滞在時間を算出する算出手段と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記受信履歴情報は、前記第2広告を視認可能な人物の保持する通信デバイスが前記無線デバイスから受信する電波強度を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記関係取得手段は、前記第1地点で提供される広告が時間の経過に応じて異なる広告に切り替えられる場合、人物の滞在時間と広告を目視した人数の指標との前記関係を広告ごとに取得する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1広告と前記第2広告とは同一の内容の広告であり、
広告を目視した人数の指標は、広告が提供された地点に滞在した人物のうち当該広告を目視した人物の割合を表す、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウトオブホーム(ООH)広告を評価するための情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、広告側にカメラを取り付けてその前方を撮影し、画像処理を用いて撮影画像内の人物が当該広告を見たか否かを判定することにより、広告を評価する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、評価対象の広告ごとにカメラや画像認識用デバイスが必要となる。このため、評価対象の広告が増加するとシステム構築のコストが高くなる課題がある。
【0005】
一方、カメラを必要としない簡易的な構成として、Bluetooth(登録商標)やWi-Fiといった通信方式を用いた通信デバイスを広告に隣接させて配置することが考えられている。これは、人物が携帯しているスマートフォン等と当該通信デバイスとの無線通信に基づいて広告の周囲の人流を計測することにより、広告を評価しようとするものである。しかし、単に人流を計測するだけでは、どれだけの人物が広告に目を向けたのかを把握することができないという課題がある。また、本来、広告のコンテンツによって評価が変わるべきであるにも関わらず、コンテンツの違いを評価することができない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、カメラを用いた広告の評価精度を活かしつつ、システムの構築コストを抑制することが可能な技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するため、例えば本発明の情報処理装置は以下の構成を備える。すなわち、
アウトオブホーム(OOH)広告を目視した人数を推定する情報処理装置であって、
第1地点で提供される第1広告を視認可能な人物を撮影した画像に基づく、広告に対する目視情報を取得する目視情報取得手段と、
前記目視情報に基づいて特定される、人物の滞在時間と広告を目視した人数の指標との関係を取得する関係取得手段と、
第2広告が提供される第2地点に配置される無線デバイスから受信する無線信号に基づく、前記無線デバイスと通信可能なデバイスを保持する人物の滞在時間を取得する滞在時間取得手段と、
前記第2地点に関して得られた前記滞在時間に前記関係を適用して、前記第2広告を目視した人数を推定する推定手段と、を有し、
前記目視情報は、前記第1広告を視認可能な人物の滞在時間と当該人物が前記第1広告を目視したかを示す情報を含む、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カメラを用いた広告の評価精度を活かしつつ、システムの構築コストを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る広告評価システムの概要を説明する図
【
図2】本実施形態に係る、カメラと共に配置されたООH広告について説明するための図
【
図3】本実施形態に係る、無線デバイスと共に配置されたOOH広告について説明するための図
【
図4】本実施形態に係る情報処理装置の一例としてのサーバデバイスのハードウェア構成例を示すブロック図
【
図5】本実施形態に係るサーバデバイスの機能構成例を示すブロック図
【
図6】本実施形態に係る目視確率と滞在時間の関係について説明する図
【
図7】本実施形態に係る目視情報のデータ構造の一例を示す図
【
図8】本実施形態に係る滞在情報のデータ構造の一例を示す図
【
図9】本実施形態に係る受信履歴情報のデータ構造の一例を示す図
【
図10】本実施形態に係る関係情報のデータ構造の一例を示す図
【
図11】本実施形態に係る目視数推定処理の一連の動作を示すフローチャート
【
図12】本実施形態に係る関係情報のデータ構造の他の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<広告評価システムの概要>
図1は、本実施形態に係る広告評価システムの概要を示している。広告評価システムは、例えば、サーバデバイス100と、カメラ103と、エッジデバイス104と、無線デバイス106とを含む。
【0012】
広告101は、カメラ103と共に(例えば隣接して)第1地点に配置されるOOH広告であり、モニタ等に表示される静止画の広告、動画の広告を含む。また、広告101は、壁面等に配置された紙やシート状の、モニタ等の表示手段によらない広告も含む。広告102は、無線デバイス106と共に第2地点に配置されるOOH広告である。広告102も、広告101と同様に、モニタ等に表示される静止画の広告、動画の広告、或いは表示手段によらない壁面等に配置された広告を含む。
【0013】
カメラ103は、
図2に示すように、広告101の前方を撮影するカメラであり、例えば、広角なレンズを備えている。カメラ103は、広告101を視認可能な人物105が広告101の前を通過したり、広告101の前で停止したりする様子を連続するフレームとして撮影し、撮影画像を順次出力することができる。カメラ103は、エッジデバイス104と一体化されていてもよい。
【0014】
エッジデバイス104は、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどであってよい。エッジデバイスは、カメラ103で撮影された画像に画像認識処理を適用して、後述する目視情報を生成する。エッジデバイスは、例えば、予め学習されたディープニューラルネットワーク(DNN)を用いて、画像内の人物105の認識と追跡を行って、画像内のそれぞれの人物105が第1地点に滞在した時間(例えば秒)を特定する。本実施形態では、エッジデバイス104は、例えば、画像内のそれぞれの人物が画像内(或いは画像内の中心を含む所定の領域内)に滞在した時間を、各人物の第1地点の滞在時間として特定する。また、エッジデバイス104は、画像内の人物の視線方向を検出して、人物が広告101の位置に目を向けたかどうかを認識する。エッジデバイス104は、当該認識結果により、当該人物が広告101を目視したかを判定することができる。画像内の人物の認識・追跡と、広告を目視したかどうかの判定とは、公知の技術を使って実現することができる。画像内の人物の認識・追跡と、広告を目視したかどうかの判定とを1つ以上のDNNを用いて処理することができる。また、DNNに限らず、画像内の人物の認識・追跡と、広告を目視したかどうかの判定とを、他の機械学習手法や他の認識モジュールによって行ってもよい。
【0015】
エッジデバイス104は、画像内の人物の認識・追跡、目視したか等の判定により、それぞれの人物の第1地点の滞在時間と、各人物が広告101を目視したかを示す情報などを含む目視情報を生成する。エッジデバイス104は、生成した目視情報をサーバデバイス100に送信する。
【0016】
無線デバイス106は、
図3に示すように、広告102と共に配置される。無線デバイス106は、広告102の周辺を通行する人物107が保持するモバイルデバイス108に、例えばBluetooth(登録商標)又はWiFiのプローブリクエスト信号を送信する。モバイルデバイス108は、無線デバイス106から、例えば、無線デバイス106の識別子(例えばUUID)を含むアドバタイズパケットを受信すると、当該識別子などを含む受信情報を所定のデバイスに送信する。
図1に示す例では、簡単のため、モバイルデバイス108が受信情報を無線デバイス106に送信するように記載しているが、受信情報を受信する所定のデバイスは不図示の位置情報サーバであってよい。位置情報サーバ又は無線デバイス106は、モバイルデバイス108からの情報に基づいて、受信履歴情報を生成して、サーバデバイス100に送信する。受信履歴情報については後述する。
【0017】
再び
図1を参照して説明する。サーバデバイス100は、情報処理装置の一例としての1つ以上のサーバであり、後述する目視数推定処理を実行する。例えば、サーバデバイス100は、エッジデバイス104や無線デバイス106とネットワークを介して通信し、目視情報や受信履歴情報を取得する。サーバデバイス100は、目視情報を取得した後に、目視情報から得られる、人物の滞在時間と広告を目視した人数の指標との関係を取得する。なお、「人物の滞在時間と広告を目視した人数の指標との関係」を単に「滞在時間と目視確率の関係」ともいう。当該関係は、人物の滞在時間と広告を目視した人数の指標とに、機械学習を適用することによって取得してもよいし、目視情報に基づいて決定された上記関係がサーバデバイス100の管理者からの入力を受け付けてもよい。広告を目視した人数の指標は、広告が提供された地点に滞在した人物のうち広告を目視した人物の割合を示す。サーバデバイス100は、目視情報から、広告101を目視した人数を算出することができる。
【0018】
また、サーバデバイス100は、受信履歴情報から、無線デバイス106と通信可能なデバイスを保持する(つまり第2地点の)人物の滞在時間を算出することができる。受信履歴情報から算出される滞在時間は、例えば、人物が保持するデバイスが無線デバイス106から所定の電波強度以上で信号を受信する範囲に滞在した時間とすることができる。更に、サーバデバイス100は、第2地点に関して得られた人物の滞在時間に、第1地点に関して得られた、滞在時間と目視確率の関係を適用する。これにより、第2地点の広告を目視した人数を推定することができる。なお、本実施形態では、第2地点の広告を目視した人数を推定するために、どの地点の滞在時間と目視確率の関係を適用するかは、予め管理者によって設定されているものとする。
【0019】
<サーバデバイスの構成>
次に、
図4を参照して、サーバデバイス100のハードウェア構成例について説明する。サーバデバイス100は、メモリ401と、プロセッサ402と、通信インタフェース403と、入力インタフェース404と、ストレージ405とを含む。これらの要素はそれぞれバスに接続され、バスを介して互いに通信する。
【0020】
メモリ401は、データやコンピュータプログラムを一次的に記憶するための揮発性の記憶媒体である。また、ストレージ405は、データやコンピュータプログラムを永続的に記憶する不揮発性の記憶媒体である。また、ストレージ405は、サーバデバイス100の機能構成例で説明される後述のデータを格納する。
【0021】
プロセッサ402は、例えばCPUなどの1つ以上のプロセッサを含み、ストレージ405に記憶されているコンピュータプログラムをメモリ401に展開、実行することにより、サーバデバイス100の各種機能を実現する。通信インタフェース403は、サーバデバイス100の外部との間でデータの送受信を行うためのインタフェースである。通信インタフェース403はネットワークに接続され、ネットワークを介してエッジデバイス104や、無線デバイス106或いは不図示の位置情報サーバとデータをやりとりする。入力インタフェース404は、サーバデバイス100の管理者からの入力を受け付けるためのデバイスであるが、無くてもよい。
【0022】
次に、
図5を参照して、サーバデバイス100の機能構成例について説明する。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子、回路、機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによって様々なかたちで実現され得る。また、ここに示す情報のそれぞれは、後述するメモリ又はストレージの少なくとも一方に一時的又は永続的に格納される。
【0023】
目視情報取得部501は、エッジデバイス104において生成された目視情報を取得して、目視情報をデータベース510に格納する。目視情報取得部501は、目視情報をリアルタイムに取得してもよいし、所定の時間間隔で取得してもよい。
【0024】
関係取得部502は、目視情報から得られる、人物の滞在時間と広告を目視した人数の指標との関係(滞在時間と目視確率の関係)を取得する。ここで、広告を目視した人数の指標は、例えば、地点に滞在した人物のうち広告を目視した人物の割合(目視確率)を示す。
【0025】
図6には、滞在時間と目視確率の関係の一例を模式的に示している。
図6では、横軸が人物の滞在時間を示し、縦軸は目視確率を示している。すなわち、602は、人物の滞在時間ごとの、広告を目視した人数の指標(目視確率)を示している。関係601は、滞在時間ごとの目視確率に適合するように決められる、例えば関数などで特定される曲線である。関係601を使用することにより、一部の滞在時間のサンプルが得られていない場合であっても、各滞在時間における目視確率を算出することができる。
【0026】
サーバデバイス104は、人物の滞在時間と広告を目視した人数の指標とに、機械学習を適用することによって当該関係601を取得してもよい。或いは、目視情報に基づいて別途(管理者が統計的手法によって)決定した上記関係601を、サーバデバイス100の管理者からの入力として取得してもよい。
【0027】
受信履歴取得部503は、受信履歴情報を、無線デバイス106又は不図示の位置情報サーバから取得して、データベース510に格納する。滞在時間取得部504は、受信履歴情報から、無線デバイス106と通信可能なデバイスを保持する人物の滞在時間を算出する。上述のように、受信履歴情報から算出される滞在時間は、例えば、人物が保持するデバイスが無線デバイス106から所定の電波強度以上で信号を受信する範囲に滞在した時間とすることができる。
【0028】
目視数推定部505は、滞在時間取得部504によって算出された(第2地点の)人物の滞在時間に、(第1地点に関して得られた)滞在時間と目視確率の関係を適用して、第2地点の広告を目視した人数を推定する。例えば、目視数推定部505は、第2地点における滞在時間ごとの人物数に、第1地点における滞在時間ごとの目視確率を乗算して、滞在時間ごとの目視人数を算出し、得られた目視人数を合算する。
【0029】
目視数提供部506は、広告に対する目視人数の情報を外部装置に提供する。例えば、目視数提供部506は、地点A及び地点Bで提供している特定の広告に対して、不図示のクライアントデバイスから目視人数を取得する要求を受信した場合、例えば、特定の広告について、地点ごとの目視人数のリストを提供する。このようにすれば、広告を出した事業者又はその広告代理人は、広告を提供した地点ごとに広告の評価を行うことができる。
【0030】
データベース510は、例えばデータベースであり、例えば、目視情報テーブル511と、滞在時間情報テーブル512と、受信履歴情報テーブル513と、関係情報テーブル514とを含む。
【0031】
目視情報テーブル511について、
図7を参照して説明する。
図7は、目視情報テーブル511のデータ構造の一例を示している。目視情報は、ユーザIDと、地点と、取得時間と、目視の有無を示す情報と、滞在時間とを含む。ユーザIDは、人物を識別する識別子である。この例では、ユーザIDは、単に人物を区別するために割り当てられている。地点は、(カメラ103を備える)広告が提供された地点を特定する情報である。取得時間は、例えば、人物A1の目視情報が生成された時間であるが他の時間であってもよい。例えば、広告に対する目視があった場合には、目視があった最初の時間を取得時間にしてもよいし、或いは、人物105の地点Aにおける滞在が開始された時間であってもよい。目視の有無は、エッジデバイス104の認識処理により人物105が広告を目視したと判定されたか否かを示す。滞在時間は、(エッジデバイスによって認識された)人物105が地点Aに滞在した時間を示す。上述のように、地点Aにおける滞在時間は、画像内のそれぞれの人物が画像内(或いは画像内の所定の領域内)に滞在した時間である。
【0032】
滞在時間情報テーブル512について、
図8を参照して説明する。
図8は、滞在時間情報テーブル512のデータ構造の一例を示している。滞在時間情報テーブル512は、ユーザIDと、地点と、取得時間と、MACアドレスと、滞在時間とを含む。ユーザIDは、人物を識別する識別子である。この例では、ユーザIDは、単に人物を区別するために割り当てられている。地点は、(無線デバイスを備える)OOH広告が提供された地点を特定する情報である。取得時間は、例えば、人物B1の滞在時間情報が生成された時間であるが他の時間であってもよい。例えば、人物の地点Bにおける滞在が開始された時間であってもよい。MACアドレスは、人物107が保持するモバイルデバイス108のMACアドレスである。滞在時間は、人物107が地点Bに滞在した時間を示す。上述のように、滞在時間は、受信履歴情報から算出され、例えば、人物が保持するデバイスが所定の電波強度以上で無線デバイス106と通信可能な範囲に滞在した時間である。
【0033】
受信履歴情報テーブル513について、
図9を参照して説明する。
図9は、受信履歴情報テーブル513のデータ構造の一例を示している。受信履歴情報テーブル513は、取得情報と、UUIDと、MACアドレスと、電波強度とを含む。取得時間は、例えば、特定のモバイルデバイス108に対する取得時間が生成された時間である。UUIDは、アドバタイズ信号を送信する無線デバイス106を識別する識別子であり、MACアドレスはモバイルデバイス108のMACアドレスを示す。電波強度は、例えば、モバイルデバイス108が無線デバイス106からアドバタイズを受信したときの電波強度を示す。
【0034】
関係情報テーブル514について、
図10を参照して説明する。
図10は、関係情報テーブル514のデータ構造の一例を示している。関係情報テーブル514は、関係の識別子と、対象広告IDと、地点と、滞在時間と目視確率の関係とを含む。関係取得部502によって取得される滞在時間と目視確率の関係は、広告の内容が異なれば広告を目視する人数は異なり得るため、対象となる広告ごとに取得される。関係の識別子は、関係取得部502によって取得される滞在時間と目視確率の関係を識別する識別子である。対象広告IDは、滞在時間と目視確率の関係に対応する広告の識別子である。地点は、広告が提供された地点を示す。滞在時間と目視確率の関係は、滞在時間と目視確率の関係を特定する情報であり、例えば関数(すなわち、関係601)を特定する係数などの情報である。滞在時間と目視確率の関係がDNNによって特定される場合、DNNのハイパーパラメータや学習済みの重み係数であってもよい。
【0035】
<エッジデバイスの構成>
エッジデバイス104は、例えば
図4に示した構成と同様のハードウェア構成を有してよい。例えば、エッジデバイス104は、ストレージに格納されたコンピュータプログラムを1つ以上のプロセッサによって実行することにより、上述した画像内の人物の認識・追跡と広告を目視したかどうかの判定とを実行する。
【0036】
<無線デバイスの構成>
無線デバイス106は、例えば
図4に示した構成と同様のハードウェア構成を有してよい。例えば、無線デバイス106は、ストレージに格納されたコンピュータプログラムを1つ以上のプロセッサによって実行することにより、通信インタフェースにより、周囲のモバイルデバイス108にプローブリクエスト信号を送信する。
【0037】
<サーバデバイスにおける目視数推定処理の一連の動作>
次に、サーバデバイス100において実行される目視数推定処理の一連の動作について、
図11を参照して説明する。なお、本処理は、プロセッサ402がストレージ405に記録されるコンピュータプログラムを実行することにより実現される。以下の説明では、説明を容易にするために各ステップの処理主体をまとめてサーバデバイス100として説明するが、処理内容に応じてサーバデバイス100内の各ブロックが対応する処理を実行する。
【0038】
S1101において、サーバデバイス100は、ネットワークを介して、第1地点のエッジデバイス104から目視情報を取得する。サーバデバイス100は取得した目視情報を、データベース510に格納してよい。
【0039】
S1102において、サーバデバイス100は、取得した目視情報に基づいて、滞在時間と目視人数の指標との関係(滞在時間と目視確率の関係)を取得する。サーバデバイス100は、目視情報のデータを用いて、所定の時間間隔(例えば1秒ごと)ごとの滞在時間について、ユーザ数(人物数)をカウントし、第1地点における滞在時間ごとの人数を算出する。更に、サーバデバイス100は、滞在時間ごとの人数のうち、広告を目視した人数をカウントする。これにより、滞在時間ごとに、広告を目視した人数の指標(滞在した人物のうち当該広告を目視した人物の割合)を得ることができる。
【0040】
次に、サーバデバイス100は、人物の滞在時間と広告を目視した人数の指標とに、機械学習を適用することによって、滞在時間と目視確率の関係を取得してもよい。或いは、目視情報に基づいて決定された滞在時間と目視確率の関係を、サーバデバイス100の管理者からの入力として取得してもよい。滞在時間と目視確率の関係は、例えば、滞在時間と滞在人数についての関数であり、
図6に示した曲線601である。サーバデバイス100は、取得した関係をデータベース510に登録してよい。
【0041】
更に、サーバデバイス100は、第1地点で提供される第1広告に対する目視人数を算出してもよい。例えば、サーバデバイス100は、広告を目視した人数を、全ての滞在時間にわたって合算することにより、第1広告に対する目視人数を算出することができる。
【0042】
S1103において、サーバデバイス100は、第2地点の無線デバイス(或いは不図示の位置情報サーバ)から受信履歴情報を取得する。S1104において、サーバデバイス100は、受信履歴情報に基づいて、第2地点の人物の滞在時間を算出する。受信履歴情報のデータのうち、MACアドレスは人物が保持するデバイスに相当し、UUIDは地点に対応する。従って、サーバデバイス100は、例えば、UUIDとMACアドレスが特定の値であって且つ電波強度が所定の閾値より高いデータについて、取得時間を追跡することにより、人物の滞在時間を算出することができる。
【0043】
S1105において、サーバデバイス100は、人物の滞在時間と、滞在時間と目視確率の関係とから、第2地点の広告を目視した人数を推定する。滞在時間と目視確率の関係は、滞在時間と滞在人数を入力とする関数であるから、当該関数に、第2地点について計測された滞在時間と滞在人数を入力することにより、第2地点の広告を目視した人数を推定することができる。なお、学習済みの機械学習モデルを用いる場合であれば、当該機械学習モデルに滞在時間と滞在人数を入力することにより、第2地点の広告を目視した人数を推定することができる。
【0044】
S1106において、サーバデバイス100は、S1105で推定された広告の目視人数を、不図示の外部装置に提供する。なお、不図示の外部装置は、広告主或いは広告代理店などによって使用されるクライアント装置である。
【0045】
サーバデバイス100は、無線デバイス106が配置された地点の情報だけでなく、カメラを設置した地点の目視人数を合わせて提供してもよい。本処理の説明では、無線デバイス106を配置する地点の数が1つである場合を例に説明しているが、無線デバイス106を配置する地点の数が複数ある場合、それぞれの地点について算出した目視人数をリストにして外部装置に提供してもよい。このようにすれば、複数の地点についての広告の目視人数を合わせて提供することができる。サーバデバイス100は、外部装置に広告を目視した人数を提供すると、本一連の処理を終了する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態では、広告101を視認可能な人物を撮影した画像に基づいて得られる、広告に対する目視情報を取得するようにした。また、目視情報に基づいて特定される、滞在時間と目視確率の関係を取得するようにした。更に、無線デバイス106から受信する無線信号に基づいて得られる、無線デバイス106と通信可能なデバイス108を保持する人物の滞在時間を取得する。そして、広告102に関して得られた滞在時間に上記滞在時間と目視確率の関係を適用して、広告102を目視した人数を推定するようにした。このようにすることで、カメラを用いた広告の評価精度を活かしつつ、システムの構築コストを低減することができる。
【0047】
なお、上述の実施形態では、広告101及び広告102が時間に応じて変化しない場合を例に説明した。しかし、上述の実施形態は、広告101が時間の経過に応じて異なる広告に切り替えられる場合にも適用可能である。例えば、6時から15時までは広告Aを、15時から24時までは広告Bを提供する場合、サーバデバイス100は、滞在時間と目視確率の関係を、それぞれの広告ごとに取得する。例えば、
図10において上述した関係情報テーブル514を、
図12に示すように変更してもよい。
図12は、関係情報テーブル514のデータ構造の別の例を示している。関係情報テーブル514は、関係の識別子と、対象広告IDと、地点と、時間と、滞在時間と目視確率の関係とを含む。広告の内容が異なれば広告を目視する人数が異なり得るため、滞在時間と目視確率の関係は対象となる広告ごとに取得される。関係の識別子は、関係取得部502によって取得される滞在時間と目視確率の関係を識別する識別子である。「時間」以外の情報は、
図10に示したものと同一である。時間は、広告が地点Aで提供される時間を示す。
【0048】
サーバデバイス104は、(広告Aを提供する)第2地点で得られた滞在情報に、広告Aのための滞在時間と目視確率の関係を適用して、広告Aを目視した人数を推定する。一方、(広告Bを提供する)第3地点で得られた滞在情報に、広告Bのための滞在時間と目視確率の関係を用いて、広告Bを目視した人数を推定する。このようにすれば、1つの地点で複数の広告に対する滞在時間と目視確率の関係を取得することができ、複数の地点の異なる広告に対して、それぞれの目視人数を推定することが可能になる。すなわち、カメラを設置する広告の数を低減することができるため、システムの構築コストを更に低減することができる。
【0049】
上述する実施形態では、カメラ103を用いて得られる滞在時間の算出方法と、無線デバイス106を用いて得られる滞在時間の算出方法とが異なるため、類似の人流に対して類似した滞在時間の分布が得られない場合がある。このため、同一の人流に対して、無線デバイス106を用いて得られる滞在時間の分布が、カメラ103を用いて得られる滞在時間の分布に近づくように、実験等によって予め定めた補正方法を用いて補正してもよい。或いは、逆に、カメラ103を用いて得られる滞在時間の分布を補正するようにしてもよい。
【0050】
また、上述の実施形態では、第2地点の広告を目視した人数を推定するために、第1地点で得られた滞在時間と目視確率の関係を適用することを、予め管理者が設定している場合を例に説明した。しかし、カメラ103を配置した広告101が複数の地点で提供されている場合には、どの地点で得られた滞在時間と目視確率の関係を適用するかをサーバデバイス100が決定してもよい。例えば、第1地点と第3地点でカメラ103を用いて滞在時間が得られる場合、これらの(目視したか否かを問わない)滞在時間の分布のうち、無線デバイスを用いた第2地点の滞在時間の分布に最も近いものを用いるようにしてもよい。或いは、カメラ103を用いて得られる滞在時間の分布を補正する上記補正によって補正した上で、第2地点における滞在時間の分布に最も近いものを用いるようにしてもよい。
【0051】
更に、上述する実施形態では、カメラ103を配置する第1地点には無線デバイス106を配置しない場合を例に説明した。しかし、第1地点にも無線デバイス106を配置して、第1地点の滞在時間を計測するようにしてもよい。そして、カメラ103を配置した広告101が複数の地点で提供されている場合、無線デバイス106を用いて得られる滞在時間の分布のうち、第2地点における滞在時間の分布に最も近い地点の滞在時間と目視確率の関係を用いるようにしてもよい。
【0052】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
100…サーバデバイス、101、102…ООH広告、104…エッジデバイス、106…無線デバイス