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特開2023-68560ホウ素含有化合物、オレフィン重合用触媒、およびオレフィン重合体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068560
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】ホウ素含有化合物、オレフィン重合用触媒、およびオレフィン重合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 211/54 20060101AFI20230510BHJP
   C07F 5/02 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
C07C211/54
C07F5/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179786
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足利 駿輔
(72)【発明者】
【氏名】原田 恭行
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 浩志
【テーマコード(参考)】
4H006
4H048
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AB40
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB40
4H048VA11
4H048VA30
4H048VB10
(57)【要約】
【課題】オレフィン重合用触媒における助触媒として有用な新規なホウ素含有化合物を提供すること。
【解決手段】下記一般式(A)で表されるホウ素含有化合物(A)。
[R123NH]+[BQ4- …(A)
〔一般式(A)において、R1は炭素数2以上のアリール基以外の炭化水素基または水素原子である。R2およびR3は、それぞれ独立に、アリール基である。R1、R2およびR3の炭素数の合計は15以上である。4つのQは、それぞれ独立に、アリール基である。〕
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(A)で表されるホウ素含有化合物(A)。
[R123NH]+[BQ4- …(A)
〔一般式(A)において、R1は炭素数2以上のアリール基以外の炭化水素基または水素原子である。
2およびR3は、それぞれ独立に、アリール基である。
1、R2およびR3の炭素数の合計は15以上である。
4つのQは、それぞれ独立に、アリール基である。〕
【請求項2】
前記一般式(A)においてR1は炭素数2以上のアリール基以外の炭化水素基である請求項1に記載のホウ素含有化合物(A)。
【請求項3】
前記一般式(A)においてR1は水素原子である請求項1に記載のホウ素含有化合物(A)。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のホウ素含有化合物(A)と、遷移金属錯体(B)とを含む、オレフィン重合用触媒。
【請求項5】
請求項4に記載のオレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを重合させるオレフィン重合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホウ素含有化合物、より詳細にはオレフィン重合用触媒における助触媒として有用なホウ素含有化合物、ならびにこれを用いたオレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンの重合においては、主触媒である遷移金属錯体を活性化させるための助触媒として、ボレート化合物が広く用いられている。
しかしながらボレート化合物は、イオン性化合物であるため、オレフィン重合に頻繁に用いられる炭化水素溶媒に対する溶解度が低い。このためボレート化合物には、ボレート化合物の溶液を作製する際に大量の溶媒を必要としたり、完全には溶解していないスラリー状態で用いることで反応器への供給性が不安定になったりするなどの問題があった。
【0003】
このような問題を解決するため、炭素数の多い(炭素鎖長の長い)炭化水素基を置換基として持つアンモニウムカチオンを含むボレート化合物が数多く報告されている。(例えば、特許文献1~5)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第97/35893号
【特許文献2】国際公開第2010/092554号
【特許文献3】国際公開第2019/210026号
【特許文献4】国際公開第2019/210027号
【特許文献5】国際公開第2019/210030号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のボレート化合物には、炭化水素溶媒に対する溶解性向上などの観点からさらなる改善の余地があった。
そこで本発明は、オレフィン重合用触媒における助触媒として有用であり、かつ炭化水素溶媒に対する溶解性が高く、好ましくはオレフィンの重合において高い重合活性を発現することもできる新規ホウ素含有化合物、ならびにこれを用いたオレフィン重合用触媒およびオレフィン重合の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、たとえば以下の[1]~[5]に関する。
[1]
下記一般式(A)で表されるホウ素含有化合物(A)。
[R123NH]+[BQ4- …(A)
〔一般式(A)において、R1は炭素数2以上のアリール基以外の炭化水素基または水素原子である。
2およびR3は、それぞれ独立に、アリール基である。
1、R2およびR3の炭素数の合計は15以上である。
4つのQは、それぞれ独立に、アリール基である。〕
【0007】
[2]
前記一般式(A)においてR1は炭素数2以上のアリール基以外の炭化水素基である前記[1]のホウ素含有化合物(A)。
【0008】
[3]
前記一般式(A)においてR1は水素原子である前記[1]のホウ素含有化合物(A)。
【0009】
[4]
前記[1]~[3]のいずれかのホウ素含有化合物(A)と、遷移金属錯体(B)とを含む、オレフィン重合用触媒。
【0010】
[5]
前記[4]のオレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを重合させるオレフィン重合体の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、オレフィン重合用触媒における助触媒として有用であり、かつ炭化水素溶媒に対する溶解性が高く、好ましくはオレフィンの重合において高い重合活性を発現することもできる新規ホウ素含有化合物、ならびにこれを用いたオレフィン重合用触媒およびオレフィン重合の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
[ホウ素含有化合物(A)]
本発明に係るホウ素含有化合物(A)(以下、単に「化合物(A)」または「成分(A)」とも記載する。)は、下記一般式(A)で表されることを特徴としている。
[R123NH]+[BQ4- …(A)
([R 1 2 3 NH] + で表されるカチオン部)
<R 1
一般式(A)において、R1は炭素数2以上のアリール基以外の炭化水素基または水素原子である。
【0013】
前記アリール基以外の炭化水素基の炭素数は2以上、好ましくは6以上、より好ましくは12以上である。R1がこのような炭素数を有する炭化水素基であると、化合物(A)は炭化水素溶媒への溶解性に優れる。前記炭素数の上限は、たとえば30であってもよい。
【0014】
一方、R1が水素原子であると、化合物(A)と後述する遷移金属錯体(B)を含む触媒の存在下でオレフィンの重合を行った際に、高い重合活性が発現する。
前記アリール基以外の炭化水素基は、置換基を有していてもよく有していなくてもよい。
【0015】
前記アリール基以外の炭化水素基は、直鎖状飽和炭化水素基、分岐状飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、直鎖状不飽和炭化水素基、または環状不飽和炭化水素基、アリールアルキル基であってもよい。
【0016】
無置換の前記アリール基以外の炭化水素基の具体例としては、
エチル基、プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、n-オクタデシル基、n-イコシル基、n-テトライコシル基、n-トリアコンチル基、硬化牛脂アルキル基、iso-プロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、iso-ブチル基、ペンタン-2-イル基、2-メチルブチル基、iso-ペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基(1,1-ジメチルプロピル基)、シアミル基、ペンタン-3-イル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、iso-ヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基(2-メチルペンタン-2-イル基)、3-メチルペンタン-2-イル基、4-メチルペンタン-2-イル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、テキシル基、3-メチルペンタン-3-イル基、3,3-ジメチルブタ-2-イル基、ヘキサン-3-イル基、2-メチルペンタン-3-イル基、ヘプタン-4-イル基、2,4-ジメチルペンタン-2-イル基、3-エチルペンタン-3-イル基、4,4-ジメチルペンチル基、4-メチルヘプタン-4-イル基、tert-オクチル基(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基)、4-プロピルヘプタン-4-イル基、2,3,3-トリメチルブタン-2-イル基、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基などの直鎖状または分岐状飽和炭化水素基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、3-メチルシクロペンチル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、4-シクロヘキシルシクロヘキシル基、4-フェニルシクロヘキシル基などの環状飽和炭化水素基;
エテニル基(ビニル基)、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、1-メチルエテニル基(イソプロペニル基)、17-オクタデセニル基、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基(プロパルギル基)、1-ブテニル基、2-ブテニル基などの直鎖状または分岐状不飽和炭化水素基;
シクロ1-ブテニル基、シクロ2-ブテニル基、1-シクロペンテニル基、1-シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基などの環状不飽和炭化水素基;および
ベンジル基、2-フェニルエチル基、4-フェニルブチル基、6-フェニルヘキシル基、12-フェニルドデシル基、18-フェニルオクタデシル基、1,1-ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基などのアリールアルキル基
が挙げられる。
【0017】
これらの中でもn-ヘキシル基、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-オクタデシル基、tert-オクチル基(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基)、シクロデシル基、1-アダマンチル基、および硬化牛脂アルキル基が好ましく、
n-ヘキシル基、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、およびn-オクタデシル基、がより好ましい。
【0018】
前記置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、およびヘテロ原子含有炭化水素基が挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0019】
前記ヘテロ原子含有炭化水素基としては、後述する一般式(Q1)中のRとしての炭化水素基炭中の水素原子の一部または全部をヘテロ原子含有基に置き換えたものが挙げられる。前記ヘテロ原子含有炭化水素基の例としては、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、硫黄含有基が挙げられる。
【0020】
前記ハロゲン含有基としては、例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリヨードメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタクロロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ノナクロロブチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、ドデカフルオロヘキシル基、6,6,6-トリフルオロヘキシル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、ペンタブロモフェニル基、ペンタヨードフェニル基、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロフェニル基、ビス(トリイソプロピルシリル)トリフルオロフェニル基、ビス(tert-ブチルジメチルシリル)トリフルオロフェニル基、ジ-tert-ブチル-フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ジ-tert-ブチル-フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、ビス(トリフルオロメチル)フルオロフェニル基、ビス(トリフルオロメチル)トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロベンジル基、トリフルオロメトキシフェニル基、ビストリフルオロメトキシフェニル基、トリフルオロメチルチオフェニル基、ビストリフルオロメチルチオフェニル基、フルオロビフェニル基、ジフルオロビフェニル基、トリフルオロビフェニル基、テトラフルオロビフェニル基、ペンタフルオロビフェニル基、パーフルオロビフェニル-2-イル基、パーフルオロビフェニル-3-イル基、ジ-tert-ブチル-フルオロビフェニル基、トリフルオロメチルビフェニル基、ビストリフルオロメチルビフェニル基、トリフルオロメトキシビフェニル基、ビストリフルオロメトキシビフェニル基、トリフルオロメチルジメチルシリル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、フルオロフェノキシ基、ジフルオロフェノキシ基、トリフルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、ジ-tert-ブチル-フルオロフェノキシ基、トリフルオロメチルフェノキシ基、ビストリフルオロメチルフェノキシ基、トリフルオロメトキシフェノキシ基、ビストリフルオロメトキシフェノキシ基、ジフルオロメチレンジオキシフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニルイミノメチル基、トリフルオロメチルチオ基、α-パーフルオロナフチル基、β-パーフルオロナフチル基が挙げられる。
【0021】
前記ハロゲン含有基の中でも、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基、ペンタフルオロビフェニル基、トリフルオロメチルビフェニル基、ビストリフルオロメチルビフェニル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、ビストリフルオロメチルフェノキシ基、ビストリフルオロメチルフェノキシ基、ジフルオロメチレンジオキシフェニル基、トリフルオロメチルチオ基が好ましく、トリフルオロメチル基、フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロビフェニル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基がより好ましい。
【0022】
前記ケイ素含有基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ-iso-プロピルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、シクロペンタジエニルジメチルシリル基、ジ-n-ブチル(シクロペンタジエニル)シリル基、シクロペンタジエニルジフェニルシリル基、インデニルジメチルシリル基、ジ-n-ブチル(インデニル)シリル基、インデニルジフェニルシリル基、フルオレニルジメチルシリル基、ジ-n-ブチル(フルオレニル)シリル基、フルオレニルジフェニルシリル基、4-トリメチルシリルフェニル基、4-トリエチルシリルフェニル基、4-トリ-iso-プロピルシリルフェニル基、4-tert-ブチルジフェニルシリルフェニル基、4-トリフェニルシリルフェニル基、4-トリス(トリメチルシリル)シリルフェニル基、3,5-ビス(トリメチルシリル)フェニル基が挙げられる。
【0023】
前記ケイ素含有基の中でも、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ-iso-プロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、シクロペンタジエニルジメチルシリル基、シクロペンタジエニルジフェニルシリル基、インデニルジメチルシリル基、インデニルジフェニルシリル基、フルオレニルジメチルシリル基、フルオレニルジフェニルシリル基、4-トリメチルシリルフェニル基、4-トリエチルシリルフェニル基、4-トリ-iso-プロピルシリルフェニル基、4-トリフェニルシリルフェニル基、3,5-ビス(トリメチルシリル)フェニル基などが好ましく、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、4-トリメチルシリルフェニル基、4-トリエチルシリルフェニル基、4-トリ-iso-プロピルシリルフェニル基、3,5-ビス(トリメチルシリル)フェニル基がより好ましい。
【0024】
前記酸素含有基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、アリルオキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、iso-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、メタリルオキシ基、プレニルオキシ基、オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、トルイルオキシ基、iso-プロピルフェノキシ基、アリルフェノキシ基、tert-ブチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、iso-プロポキシフェノキシ基、アリルオキシフェノキシ基、ビフェニルオキシ基、ビナフチルオキシ基、メトキシメチル基、アリルオキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシエチル基、アリルオキシエチル基、ベンジルオキシエチル基、フェノキシエチル基、メトキシプロピル基、アリルオキシプロピル基、ベンジルオキシプロピル基、フェノキシプロピル基、メトキシビニル基、アリルオキシビニル基、ベンジルオキシビニル基、フェノキシビニル基、メトキシアリル基、アリルオキシアリル基、ベンジルオキシアリル基、フェノキシアリル基、ジメトキシメチル基、ジ-iso-プロポキシメチル基、ジオキソラニル基、テトラメチルジオキソラニル基、ジオキサニル基、メトキシフェニル基、iso-プロポキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチレンジオキシフェニル基、3,5-ジメチル-4-メトキシフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル基、フリル基、メチルフリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、テトラヒドロピラニル基、フロフリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基が挙げられる。
【0025】
前記酸素含有基の中でも、メトキシ基、エトキシ基、iso-プロポキシ基、アリルオキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、プレニルオキシ基、オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、トルイルオキシ基、iso-プロピルフェノキシ基、アリルフェノキシ基、tert-ブチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、ビフェニルオキシ基、ビナフチルオキシ基、アリルオキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシメトキシ基、2-メトキシエトキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ基、メトキシアリル基、ベンジルオキシアリル基、フェノキシアリル基、ジメトキシメチル基、ジオキソラニル基、テトラメチルジオキソラニル基、ジオキサニル基、ジメチルジオキサニル基、メトキシフェニル基、iso-プロポキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチレンジオキシフェニル基、3,5-ジメチル-4-メトキシフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル基、フリル基、メチルフリル基、テトラヒドロピラニル基、フロフリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基等などが好ましく、メトキシ基、iso-プロポキシ基、tert-ブトキシ基、アリルオキシ基、フェノキシ基、ジメトキシメチル基、ジオキソラニル基、メトキシフェニル基、iso-プロポキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、3,5-ジメチル-4-メトキシフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル基、フリル基、メチルフリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基がより好ましい。
【0026】
前記窒素含有基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アリルアミノ基、ジアリルアミノ基、N、N-ジヘキシルアミノ基、N、N-ジデシルアミノ基、N、N-ジドデシルアミノ基、N、N-ジオクタデシルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モリホリル基、アゼピニル基、ジメチルアミノメチル基、ジベンジルアミノメチル基、ピロリジニルメチル基、ジメチルアミノエチル基、ベンジルアミノメチル基、ベンジルアミノエチル基、ピロリジニルエチル基、ジメチルアミノビニル基、ベンジルアミノビニル基、ピロリジニルビニル基、ジメチルアミノプロピル基、ベンジルアミノプロピル基、ピロリジニルプロピル基、ジメチルアミノアリル基、ベンジルアミノアリル基、ピロリジニルアリル基、アミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、3,5-ジメチル-4-ジメチルアミノフェニル基、3,5-ジ-iso-プロピル-4-ジメチルアミノフェニル基、ジュロリジニル基、テトラメチルジュロリジニル基、ピロリジニルフェニル基、ピロリルフェニル基、ピリジルフェニル基、キノリルフェニル基、イソキノリルフェニル基、インドリニルフェニル基、インドリルフェニル基、カルバゾリルフェニル基、ジ-tert-ブチルカルバゾリルフェニル基、ピロリル基、メチルピロリル基、フェニルピロリル基、ピリジル基、キノリル基、テトラヒドロキノリル基、iso-キノリル基、テトラヒドロ-iso-キノリル基、インドリル基、インドリニル基、カルバゾリル基、ジ-tert-ブチルカルバゾリル基、イミダゾリル基、ジメチルイミダゾリジニル基、ベンゾイミダソリル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、ベンゾオキサゾリル基が挙げられる。
【0027】
前記窒素含有基の中でも、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アリルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリル基、ジメチルアミノメチル基、ベンジルアミノメチル基、ピロリジニルメチル基、ジメチルアミノエチル基、ピロリジニルエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ピロリジニルプロピル基、ジメチルアミノアリル基、ピロリジニルアリル基、アミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、3,5-ジメチル-4-ジメチルアミノフェニル基、3,5-ジ-iso-プロピル-4-ジメチルアミノフェニル基、ジュロリジニル基、テトラメチルジュロリジニル基、ピロリジニルフェニル基、ピロリルフェニル基、カルバゾリルフェニル基、ジ-tert-ブチルカルバゾリルフェニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基、テトラヒドロキノリル基、iso-キノリル基、テトラヒドロ-iso-キノリル基、インドリル基、インドリニル基、カルバゾリル基、ジ-tert-ブチルカルバゾリル基、イミダゾリル基、ジメチルイミダゾリジニル基、ベンゾイミダソリル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、ベンゾオキサゾリル基などが好ましく、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基、ジメチルアミノフェニル基、3,5-ジメチル-4-ジメチルアミノフェニル基、3,5-ジ-iso-プロピル-4-ジメチルアミノフェニル基、ジュロリジニル基、テトラメチルジュロリジニル基、ピロリジニルフェニル基、ピロリル基、ピリジル基、カルバゾリル基、イミダゾリル基がより好ましい。
【0028】
前記硫黄含有基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ベンジルチオ基、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、メチルチオメチル基、ベンジルチオメチル基、フェニルチオメチル基、ナフチルチオメチル基、メチルチオエチル基、ベンジルチオエチル基、フェニルチオエチル基、ナフチルチオエチル基、メチルチオビニル基、ベンジルチオビニル基、フェニルチオビニル基、ナフチルチオビニル基、メチルチオプロピル基、ベンジルチオプロピル基、フェニルチオプロピル基、ナフチルチオプロピル基、メチルチオアリル基、ベンジルチオアリル基、フェニルチオアリル基、ナフチルチオアリル基、メルカプトフェニル基、メチルチオフェニル基、チエニルフェニル基、メチルチエニルフェニル基、ベンゾチエニルフェニル基、ジベンゾチエニルフェニル基、ベンゾジチエニルフェニル基、チエニル基、テトラヒドロチエニル基、メチルチエニル基、チエノフリル基、チエノチエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、チエノベンゾフリル基、ベンゾジチエニル基、ジチオラニル基、ジチアニル基、オキサチオラニル基、オキサチアニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、チアゾリジニル基が挙げられる。
【0029】
前記硫黄含有基の中でも、チエニル基、メチルチエニル基、チエノフリル基、チエノチエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、チエノベンゾフリル基、ベンゾジチエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基が好ましい。
【0030】
前記ヘテロ原子含有炭化水素基の他の例としては、後述する一般式(Q1)中のRとしての炭化水素基においてメチレン基の一部を-CO-、-CH(OH)-、-NR-(Rは、水素原子または炭化水素基(炭素数は例えば1~4である。)である。)、-O-、-S-、または-SO2-で表される構造に置き換えた基、および前記炭化水素基においてメチン基の一部を窒素原子、または≡SiHで表される構造に置き換えた基が挙げられる。
【0031】
<R 2 およびR 3
一般式(A)において、R2およびR3は、それぞれ独立に、アリール基である。
前記アリール基は、置換基を有していてもよく有していなくてもよい。
前記置換基の例としては、前記アリール基以外の炭化水素基が有することのある置換基、メチル基、および前記アリール基以外の炭化水素基が挙げられる。
【0032】
前記アリール基の具体例としては、
フェニル基、トリル基(o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基)、キシリル基(2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基)、メシチル基、クメニル基、ジュリル基、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル基、アリルフェニル基、(ブタ-3-エン-1-イル)フェニル基、(ブタ-2-エン-1-イル)フェニル基、メタリルフェニル基、プレニルフェニル基、(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル基、n-ヘキシルフェニル基、n-オクチルフェニル基、n-デシルフェニル基、n-ドデシルフェニル基、n-オクタデシルフェニル基、アダマンチルフェニル基、3,5-ジ-アダマンチルフェニル基、トリメチルシリルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、terフェニル基、ビナフチル基、アセナフタレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フェロセニル基が挙げられる。フェニル基が1つの置換基を有する場合、置換基の位置はオルト位、メタ位またはパラ位であり、好ましくはパラ位である。
【0033】
これらの中でも、フェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル基、4-n-ヘキシルフェニル基、4-n-オクチルフェニル基、4-n-デシルフェニル基、4-n-ドデシルフェニル基、4-n-オクタデシルフェニル基が好ましく、
フェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル基、4-n-ドデシルフェニル基、4-n-オクタデシルフェニル基がより好ましい。
【0034】
また、R1、R2およびR3のうちの2つ以上の基は、互いに結合して環を形成していてもよく、互いに結合していなくてもよい。製造の容易性等の観点からは、これらの基は好ましくは互いに結合していない。
【0035】
<R 1 ~R 3 の合計の炭素数>
1、R2およびR3の炭素数の合計は15以上であり、好ましくは20以上、より好ましくは30以上、さらに好ましくは45以上である。R1、R2およびR3の炭素数の合計がこのような範囲にあるため、本発明の化合物(A)は、炭化水素溶媒への高い溶解性を有する。炭素数R1、R2およびR3の炭素数の合計の上限は、たとえば100であってもよい。
【0036】
<カチオンの例示>
[R123NH]+で表されるカチオンの具体例としては、下記式で表されるカチオンが挙げられる。
【0037】
【化1】
【0038】
【化2】
【0039】
([BQ 4 - で表されるアニオン部)
一般式(A)において、4つのQは、それぞれ独立にアリール基である。
前記アリール基は、置換基を有していてもよく有していなくてもよい。
複数個のQ同士は、互いに結合して環を形成していてもよく、互いに結合していなくてもよい。
【0040】
前記Qとしてのアリール基(以下「アリール基(Q)」とも記載する。)としては、好ましくは下記一般式(Q1)で表される炭素数6~20のアリール基(以下「アリール基(Q1)」とも記載する。)が挙げられる。
【0041】
【化3】
【0042】
〔一般式(Q1)において、*は、ホウ素原子への結合である。
複数個のRは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基および炭化水素置換シリル基からなる群から選択される置換基(rq1)または水素原子であり、*に隣接するR(すなわち、ホウ素原子との結合に対するオルト位のR)のうち少なくとも1つは、前記置換基(rq1)である。
前記置換基(rq1)が複数個存在する場合、複数個の置換基(rq1)同士は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。複数個の置換基(rq1)同士は、互いに結合して、置換基を有していてもよい芳香族環を形成していてもよく、互いに結合していなくてもよい。〕
【0043】
前記Rとしてのハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。
【0044】
前記炭化水素基の例としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂環式炭化水素基は脂肪族炭化水素部を含んでいてもよく、芳香族炭化水素基は脂肪族炭化水素部および/または脂環式炭化水素部を含んでいてもよい。
前記炭化水素基は、不飽和結合を有していてもよく、有していなくてもよい。前記脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐を有していてもよい。
【0045】
前記炭化水素基の具体例としては、
メチル基、および前記R1の具体例として挙げた直鎖状または分岐状のアルキル基;
ビニル基、アリル基、プロペニル基、iso-プロペニル基、アレニル基、ブタ-3-エン-1-イル基、クロチル基、ブタ-3-エン-2-イル基、メタリル基、ブタ-1,3-ジエニル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、ペンタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-2-エン-1-イル基、iso-ペンテニル基、2-メチルブタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-4-エン-2-イル基、プレニル基、2-メチル-ブタ-2-エン-1-イル基、ペンタ-3-エン-2-イル基、2-メチル-ブタ-3-エン-2-イル基、ペンタ-1-エン-3-イル基、ペンタ-2,4-ジエン-1-イル基、ペンタ-1,3-ジエン-1-イル基、ペンタ-1,4-ジエン-3-イル基、iso-プレニル基(2-メチル-ブタ-1,3-ジエン-1-イル基)、ペンタ-2,4-ジエン-2-イル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基、ヘキサ-4-エン-1-イル基、ヘキサ-3-エン-1-イル基、ヘキサ-2-エン-1-イル基、4-メチル-ペンタ-4-エン-1-イル基、3-メチル-ペンタ-4-エン-1-イル基、2-メチル-ペンタ-4-エン-1-イル基、ヘキサ-5-エン-2-イル基、4-メチル-ペンタ-3-エン-1-イル基、3-メチル-ペンタ-3-エン-1-イル基、2,3-ジメチル-ブタ-2-エン-1-イル基、2-メチルペンタ-4-エン-2-イル基、3-エチルペンタ-1-エン-3-イル基、ヘキサ-3,5-ジエン-1-イル基、ヘキサ-2,4-ジエン-1-イル基、4-メチルペンタ-1,3-ジエン-1-イル基、2,3-ジメチル-ブタ-1,3-ジエン-1-イル基、ヘキサ-1,3,5-トリエン-1-イル基、2-(シクロペンタジエニル)プロパン-2-イル基、2-(シクロペンタジエニル)エチル基などの直鎖状または分岐状のアルケニル基もしくは不飽和二重結合含有基;
エチニル基、プロパ-2-イン-1-イル基、プロパルギル基、ブタ-1-イン-1-イル基、ブタ-2-イン-1-イル基、ブタ-3-イン-1-イル基、ペンタ-1-イン-1-イル基、ペンタ-2-イン-1-イル基、ペンタ-3-イン-1-イル基、ペンタ-4-イン-1-イル基、3-メチル-ブタ-1-イン-1-イル基、ペンタ-3-イン-2-イル基、2-メチル-ブタ-3-イン-1-イル基、ペンタ-4-イン-2-イル基、ヘキサ-1-イン-1-イル基、3,3-ジメチル-ブタ-1-イン-1-イル基、2-メチル-ペンタ-3-イン-2-イル基、2,2-ジメチル-ブタ-3-イン-1-イル基、ヘキサ-4-イン-1-イル基、ヘキサ-5-イン-1-イル基などの直鎖状または分岐状のアルキニル基もしくは不飽和三重結合含有基;
ベンジル基、2-メチルベンジル基、4-メチルベンジル基、2,4,6-トリメチルベンジル基、3,5-ジメチルベンジル基、クミニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルベンジル基、4-tert-ブチルベンジル基、3,5-ジ-tert-ブチルベンジル基、1-フェニルエチル基、ベンズヒドリル基、クミル基(2-フェニルプロパン-2-イル基)、2-(4-メチルフェニル)プロパン-2-イル基、2-(3,5-ジメチルフェニル)プロパン-2-イル基、2-(4-tert-ブチルフェニル)プロパン-2-イル基、2-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)プロパン-2-イル基、3-フェニルペンタン-3-イル基、4-フェニルヘプタ-1,6-ジエン-4-イル基、1,2,3-トリフェニルプロパン-2-イル基、1,1-ジフェニルエチル基、1,1-ジフェニルプロピル基、1,1-ジフェニル-ブタ-3-エン-1-イル基、1,1,2-トリフェニルエチル基、トリチル基(トリフェニルメチル基)、トリ-(4-メチルフェニル)メチル基、2-フェニルエチル基、スチリル基(2-フェニルビニル基)、2-(2-メチルフェニル)エチル基、2-(4-メチルフェニル)エチル基、2-(2,4,6-トリメチルフェニル)エチル基、2-(3,5-ジメチルフェニル)エチル基、2-(2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル)エチル基、2-(4-tert-ブチルフェニル)エチル基、2-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)エチル基、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イル基、3-フェニルプロピル基、シンナミル基(3-フェニルアリル基)、ネオフィル基(2-メチル-2-フェニルプロピル基)、3-メチル-3-フェニルブチル基、2-メチル-4-フェニルブタン-2-イル基、シクロペンタジエニルジフェニルメチル基、2-(1-インデニル)プロパン-2-イル基、(1-インデニル)ジフェニルメチル基、2-(1-インデニル)エチル基、2-(テトラヒドロ-1-インダセニル)プロパン-2-イル基、(テトラヒドロ-1-インダセニル)ジフェニルメチル基、2-(テトラヒドロ-1-インダセニル)エチル基、2-(1-ベンゾインデニル)プロパン-2-イル基、(1-ベンゾインデニル)ジフェニルメチル基、2-(1-ベンゾインデニル)エチル基、2-(9-フルオレニル)プロパン-2-イル基、(9-フルオレニル)ジフェニルメチル基、2-(9-フルオレニル)エチル基、2-(1-アズレニル)プロパン-2-イル基、(1-アズレニル)ジフェニルメチル基、2-(1-アズレニル)エチル基などの芳香族含有直鎖状または分岐状アルキル基および不飽和二重結合含有基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、n-ブチルシクロペンタジエニル基、n-ブチル-メチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、1-メチルシクロペンチル基、1-アリルシクロペンチル基、1-ベンジルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アリルシクロヘキシル基、1-ベンジルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘプテニル基、シクロヘプタトリエニル基、1-メチルシクロヘプチル基、1-アリルシクロヘプチル基、1-ベンジルシクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクテニル基、シクロオクタジエニル基、シクロオクタトリエニル基、1-メチルシクロオクチル基、1-アリルシクロオクチル基、1-ベンジルシクロオクチル基、4-シクロヘキシル-tert-ブチル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、ノルボルナジエニル基、2-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、7-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-7-イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-イル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、1-(2-メチルアダマンチル)、1-(3-メチルアダマンチル)、1-(4-メチルアダマンチル)、1-(2-フェニルアダマンチル)、1-(3-フェニルアダマンチル)、1-(4-フェニルアダマンチル)、1-(3,5-ジメチルアダマンチル)、1-(3,5,7-トリメチルアダマンチル)、1-(3,5,7-トリフェニルアダマンチル)、ペンタレニル基、インデニル基、フルオレニル基、インダセニル基、テトラヒドロインダセニル基、ベンゾインデニル基、アズレニル基などの環状飽和および不飽和炭化水素基;
フェニル基、トリル基(o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基)、キシリル基(2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基)、メシチル基、クメニル基、ジュリル基、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル基、tert-ブチルフェニル基(例えば4-tert-ブチルフェニル基)、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル基、アリルフェニル基、(ブタ-3-エン-1-イル)フェニル基、(ブタ-2-エン-1-イル)フェニル基、メタリルフェニル基、プレニルフェニル基、アダマンチルフェニル基(例えば4-アダマンチルフェニル基)、3,5-ジ-アダマンチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、terフェニル基、ビナフチル基、アセナフタレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フェロセニル基などの芳香族炭化水素基などが挙げられる。フェニル基が1つの置換基を有する場合、置換基の位置はオルト位、メタ位またはパラ位であり、好ましくはパラ位である。
【0046】
前記直鎖状または分岐状のアルキル基の中でも、メチル基、エチル基、1-プロピル基、1-ブチル基、1-ペンチル基、1-ヘキシル基、1-ヘプチル基、1-オクチル基、1-ノニル基、1-デカニル基、1-ウンデカニル基、1-ドデカニル基、1-オクタデシル基、iso-プロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、iso-ブチル基、iso-ペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ペンタン-3-イル基、iso-ヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、テキシル基、3-メチルペンタン-3-イル基、ヘプタン-4-イル基、2,4-ジメチルペンタン-2-イル基、3-エチルペンタン-3-イル基、4,4-ジメチルペンチル基、4-メチルヘプタン-4-イル基、4-プロピルヘプタン-4-イル基、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基などが好ましく、メチル基、エチル基、1-プロピル基、1-ブチル基、1-ペンチル基、1-ヘキシル基、iso-プロピル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、2,4-ジメチルペンタン-2-イル基、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基、tert-オクチル基などの炭素数1~20の炭化水素基がより好ましい。
【0047】
前記直鎖状または分岐状のアルケニル基もしくは不飽和二重結合含有基の中でも、ビニル基、アリル基、ブタ-3-エン-1-イル基、クロチル基、メタリル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、プレニル基、ペンタ-1,4-ジエン-3-イル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基、2-メチルペンタ-4-エン-2-イル基、2-(シクロペンタジエニル)プロパン-2-イル基、2-(シクロペンタジエニル)エチル基などが好ましく、ビニル基、アリル基、ブタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、プレニル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基がより好ましい。
【0048】
前記直鎖状または分岐状のアルキニル基もしくは不飽和三重結合含有基の中でも、エチニル基、プロパ-2-イン-1-イル基、プロパルギル基、ブタ-2-イン-1-イル基、ブタ-3-イン-1-イル基、ペンタ-3-イン-1-イル基、ペンタ-4-イン-1-イル基、3-メチル-ブタ-1-イン-1-イル基、3,3-ジメチル-ブタ-1-イン-1-イル基、ヘキサ-4-イン-1-イル基、ヘキサ-5-イン-1-イル基などが好ましく、プロパ-2-イン-1-イル基、プロパルギル基、ブタ-2-イン-1-イル基、ブタ-3-イン-1-イル基がより好ましい。
【0049】
前記芳香族含有直鎖状または分岐状のアルキル基および不飽和二重結合含有基の中でも、ベンジル基、2-メチルベンジル基、4-メチルベンジル基、2,4,6-トリメチルベンジル基、3,5-ジメチルベンジル基、クミニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルベンジル基、4-tert-ブチルベンジル基、3,5-ジ-tert-ブチルベンジル基、ベンズヒドリル基、クミル基、1,1-ジフェニルエチル基、トリチル基、2-フェニルエチル基、2-(4-メチルフェニル)エチル基、2-(2,4,6-トリメチルフェニル)エチル基、2-(3,5-ジメチルフェニル)エチル基、2-(2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル)エチル基、2-(4-tert-ブチルフェニル)エチル基、2-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)エチル基、スチリル基、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イル基、3-フェニルプロピル基、シンナミル基、ネオフィル基、シクロペンタジエニルジフェニルメチル基、2-(1-インデニル)プロパン-2-イル基、(1-インデニル)ジフェニルメチル基、2-(1-インデニル)エチル基、2-(9-フルオレニル)プロパン-2-イル基、(9-フルオレニル)ジフェニルメチル基、2-(9-フルオレニル)エチル基などが好ましく、ベンジル基、ベンズヒドリル基、クミル基、1,1-ジフェニルエチル基、トリチル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、シンナミル基がより好ましい。
【0050】
前記環状飽和および不飽和炭化水素基の中でも、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、1-メチルシクロペンチル基、1-アリルシクロペンチル基、1-ベンジルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アリルシクロヘキシル基、1-ベンジルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘプテニル基、シクロヘプタトリエニル基、1-メチルシクロヘプチル基、1-アリルシクロヘプチル基、1-ベンジルシクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクテニル基、シクロオクタジエニル基、4-シクロヘキシル-tert-ブチル基、ノルボルニル基、2-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、ペンタレニル基、インデニル基、フルオレニル基などが好ましく、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、1-メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基がより好ましい。
【0051】
前記芳香族炭化水素基の中でも、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル基、アリルフェニル基、プレニルフェニル基、4-アダマンチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ビナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、フェロセニル基などが好ましく、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル基、アリルフェニル基、4-アダマンチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基がより好ましい。
【0052】
ヘテロ原子含有炭化水素基の例としては、
Rとしての前記炭化水素基中の水素原子の一部または全部をR1の説明の中で挙げたヘテロ原子含有基に置き換えたもの、
Rとしての前記炭化水素基においてメチレン基の一部を-CO-、-CH(OH)-、-NR-(Rは、水素原子または炭化水素基(炭素数は例えば1~4である。)である。)、-O-、-S-、または-SO2-で表される構造に置き換えた基、および
Rとしての前記炭化水素基においてメチン基の一部を窒素原子、または≡SiHで表される構造に置き換えた基
が挙げられ(ただし、一般式(Q1)で表されるアリール基の炭素数が20以下となる範囲で選択される。)が挙げられ、好ましくはハロゲン原子含有炭化水素基が挙げられる。このハロゲン原子含有炭化水素基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
【0053】
前記ヘテロ原子含有炭化水素基に含まれるヘテロ原子(好ましくは、窒素原子)の一部または全部には、プロトンが配位結合していてもよい。
前記ハロゲン原子含有炭化水素基としては、好ましくはフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられ、これらの中でもトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等のパーフルオロ炭化水素基が好ましい。
【0054】
前記炭化水素置換シリル基としては、好ましくはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基が挙げられる。
前記Rは、好ましくはハロゲン原子、またはヘテロ原子含有炭化水素基であり、特に好ましくは、フッ素原子、トリフルオロメチル基、またはパーフルオロフェニル基(ペンタフルオロフェニル基)である。
【0055】
前記アリール基の少なくとも1つのオルト位(ホウ素原子との結合に対するオルト位)にある置換基(rq1)は、好ましくは電子吸引基であり、より好ましくはハロゲン原子またはハロゲン原子含有炭化水素基であり、さらに好ましくはハロゲン原子である。オルト位に電子吸引基を有すると、本発明の化合物(A)は、オレフィン重合用触媒における助触媒としての性能に優れる。
【0056】
複数の置換基(rq1)同士が結合して形成される芳香族環としては、例えばナフタレン、アントラセン、フェナントレンが挙げられる。この芳香族環は、置換基を有していてもよく、この置換基は、好ましくはハロゲン原子またはハロゲン化アルキル基であり、より好ましくはフッ素原子またはトリフルオロメチル基である。
【0057】
[BQ4-で表され、Qがそれぞれ独立に前記アリール基(Q1)であるアニオンの具体例としては、
テトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレートイオン、
テトラキス(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボレートイオン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(1-ナフチル)ボレートイオン、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン(以下「[B(C6F5)4]-」とも記載する。)、
テトラキス(3,5-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロフェニル)ボレートイオン、
テトラキス(3,5-ビス(トリイソプロピルシリル)トリフルオロフェニル)ボレートイオン、
テトラキス(3,5-ビス(tert-ブチルジメチルシリル)トリフルオロフェニル)ボレートイオン、
テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)トリフルオロフェニル)ボレートイオン、
テトラキス(パーフルオロビフェニル-2-イル)ボレートイオン、
(ペンタフルオロフェニル)トリス(パーフルオロビフェニル-2-イル)ボレートイオン、
ビス(ペンタフルオロフェニル)ビス(パーフルオロビフェニル-2-イル)ボレートイオン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(パーフルオロビフェニル-2-イル)ボレートイオン、
テトラキス(パーフルオロビフェニル-3-イル)ボレートイオン、
(ペンタフルオロフェニル)トリス(パーフルオロビフェニル-3-イル)ボレートイオン、
ビス(ペンタフルオロフェニル)ビス(パーフルオロビフェニル-3-イル)ボレートイオン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(パーフルオロビフェニル-3-イル)ボレートイオン、
テトラキス(α-パーフルオロナフチル)ボレートイオン、
(ペンタフルオロフェニル)トリス(α-パーフルオロナフチル)ボレートイオン、
ビス(ペンタフルオロフェニル)ビス(α-パーフルオロナフチル)ボレートイオン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(α-パーフルオロナフチル)ボレートイオン、
テトラキス(β-パーフルオロナフチル)ボレートイオン、
(ペンタフルオロフェニル)トリス(β-パーフルオロナフチル)ボレートイオン、
ビス(ペンタフルオロフェニル)ビス(β-パーフルオロナフチル)ボレートイオン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(β-パーフルオロナフチル)ボレートイオン、
ビス(3,4,5,6,3',4',5',6'-オクタフルオロビフェニル-2,2'-ジイル)ボレートイオン、ならびに
これらのアニオン中のフッ素原子を塩素原子、臭素原子等の他のハロゲン原子に換えたものが挙げられる。
【0058】
これらの中でも、
[B(C6F5)4]-
テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)トリフルオロフェニル)ボレートイオン、
テトラキス(パーフルオロビフェニル-3-イル)ボレートイオン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(パーフルオロビフェニル-3-イル)ボレートイオン、
テトラキス(2-パーフルオロビフェニル)ボレートイオン、
テトラキス(α-パーフルオロナフチル)ボレートイオン、
テトラキス(β-パーフルオロナフチル)ボレートイオン、および
ビス(3,4,5,6,3',4',5',6'-オクタフルオロビフェニル-2,2'-ジイル)ボレートイオン
が好ましく、[B(C6F5)4]-、テトラキス(α-パーフルオロナフチル)ボレートイオン、およびテトラキス(β-パーフルオロナフチル)ボレートイオンが特に好ましい。
【0059】
前記アリール基(Q)としては、前記アリール基(Q1)以外のアリール基(以下「アリール基(Q2)」とも記載する。)も挙げられる。
アリール基(Q2)の好ましい例としては、フェニル基、m-トリル基、p-トリル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2-ナフチル基、3-ビフェニル基、および4-ビフェニル基、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5-ビス(トリフルオロメチル)-4-フルオロフェニル基、3-ヒドロキシフェニル基、4-ヒドロキシフェニル基、4-(4'-ヒドロキシフェニル)フェニル基、6-ヒドロキシ-2-ナフチル基、4-アミノフェニル基、4-ヒドロキシ-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル基、4-アミノ-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル基が挙げられる。
【0060】
[BQ4-で表され、Qとして少なくとも1つの前記アリール基(Q2)を有するアニオンの具体例としては、
テトラキスフェニルボレートイオン、
テトラキス(p-トリル)ボレートイオン、
トリ(p-トリル)(フェニル)ボレートイオン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(フェニル)ボレートイオン、
トリス(2,4-ジメチルフェニル)(フェニル)ボレートイオン、
テトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレートイオン、
トリス(3,5-ジメチルフェニル)(フェニル)ボレートイオン、
テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートイオン、
トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(フェニル)ボレートイオン、
テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートイオン、
テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)-4-フルオロフェニル)ボレートイオン、
トリフェニル(3-ヒドロキシフェニル)ボレートイオン、
トリフェニル(4-ヒドロキシフェニル)ボレートイオン、
ジフェニル-ジ(4-ヒドロキシフェニル)ボレートイオン、
トリフェニル(3,4-ジヒドロキシフェニル)ボレートイオン、
トリ(p-トリル)(4-ヒドロキシフェニル)ボレートイオン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(4-ヒドロキシフェニル)ボレートイオン、
トリス(2,4-ジメチルフェニル)(4-ヒドロキシフェニル)ボレートイオン、
トリス(3,5-ジメチルフェニル)(4-ヒドロキシフェニル)ボレートイオン、
トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-ヒドロキシフェニル)ボレートイオン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(4-(4'-ヒドロキシフェニル)フェニル)ボレートイオン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)ボレートイオン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(4-ヒドロキシフェニル)ボレートイオン、
テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)-4-フルオロフェニル)ボレートイオン、
トリフェニル(4-アミノフェニル)ボレートイオン、
ジフェニル-ジ(4-アミノフェニル)ボレートイオン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(4-アミノフェニル)ボレートイオン、
テトラ(4-ヒドロキシ-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレートイオン、
テトラ(4-アミノ-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレートイオン、これらのボレートイオン中のフッ素原子を塩素原子、臭素原子等の他のハロゲン原子に換えたものが挙げられる。
【0061】
これらの中では、テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートイオン、テトラキス(ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)-4-フルオロフェニル)ボレートイオンが好ましい。
【0062】
<ホウ素含有化合物(A)の具体例>
本発明のホウ素含有化合物(A)の具体例としては、下記式(A-1)~(A-5)、(A-9)~(A-13)で表される化合物が挙げられる。
【0063】
【化4】
【0064】
【化5】
【0065】
【化6】
【0066】
【化7】
【0067】
<ホウ素含有化合物(A)の製造方法>
本発明に係るホウ素含有化合物(A)の製造方法の例としては、米国特許出願公開第2019/0330392号明細書、米国特許第5493056号明細書、米国特許第7297653号明細書、米国特許第11041031号明細書に記載の方法などを利用した方法が挙げられる。具体的には、化合物(A)は、主に以下のような二段階からなる方法で製造することができる。
【0068】
一段階目は、一般式(A’):R123N(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ前記一般式(A)におけるR1、R2およびR3と同義である。)で表されるアミンを溶媒(ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン等)に溶解させ、この溶液に塩化水素を添加することで、一般式(A’’):[R123NH]+Cl-(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ前記一般式(A)におけるR1、R2およびR3と同義である。)で表される塩(A’’)を合成する。得られた塩(A’’)は、濾過等により単離する。
【0069】
二段階目で、塩(A’’)と、前記一般式[BQ4-で表されるアニオンを包含するアルカリ金属塩(リチウムボレート塩、ナトリウムアルミネート塩等)とを溶媒(シクロヘキサン、ジクロロメタン、メチルシクロヘキサン等)中で混合することにより、化合物(A)と副生成物のアルカリ金属塩化物とを合成でき、後者を濾過等により除去することで化合物(A)を単離することができる。
【0070】
[オレフィン重合用触媒]
本発明のオレフィン重合用触媒は、上述した本発明の化合物(A)および遷移金属錯体(B)を含んでいる。
【0071】
(遷移金属錯体(B))
遷移金属錯体(B)としては、特に制限はなく、たとえば従来公知のオレフィン重合用触媒に用いられる遷移金属錯体が挙げられる。
前記遷移金属錯体(B)の例としては、下記一般式(B1)で表される化合物(非架橋型メタロセン化合物)および一般式(B2)で表される化合物(架橋型メタロセン化合物)から選ばれる少なくとも1種のメタロセン化合物が挙げられる。
【0072】
【化8】
【0073】
式(B1)および(B2)中、Mは周期表第4族または第5族の原子を示す。Mの具体例としては、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、バナジウム原子、ニオブ原子、タンタル原子が挙げられ、好ましくはチタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子が挙げられる。
【0074】
式(B1)および(B2)中、Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基(すなわち、前記炭化水素基が有する少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換された基)、中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示す。
【0075】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1~30、好ましくは1~20、さらに好ましくは1~10の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基;炭素原子数3~30、好ましくは3~20、さらに好ましくは3~10の脂環族炭化水素基;炭素原子数6~30、好ましくは6~20、さらに好ましくは6~10の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0076】
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,1-ジエチルプロピル基、1-エチル-1-メチルプロピル基、1,1,2,2-テトラメチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1,1,3-トリメチルブチル基などの炭素原子数1~30、好ましくは1~20、さらに好ましくは1~10の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などの炭素原子数2~30、好ましくは2~20、さらに好ましくは2~10の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基などの炭素原子数2~30、好ましくは2~20、さらに好ましくは2~10の直鎖状または分岐状のアルキニル基が挙げられる。
【0077】
脂環族炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-メチル-1-シクロヘキシル基、アダマンチル基などの炭素原子数3~30、好ましくは3~20、さらに好ましくは3~10の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基などの炭素原子数5~30の環状不飽和炭化水素基が挙げられる。
【0078】
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数6~30、好ましくは6~20、さらに好ましくは6~10の非置換アリール基;トリル基、ジメチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、t-ブチルフェニル基、ジ-t-ブチルフェニル基などのアルキル基置換アリール基;などのアリール基が挙げられる。
【0079】
炭化水素基は、少なくとも一つの水素原子が他の炭化水素基で置換されていてもよい。少なくとも一つの水素原子が他の炭化水素基で置換された炭化水素基としては、例えば、ベンジル基、クミル基などのアリール基置換アルキル基、シクロヘキシルメチル基などの環状飽和炭化水素基置換アルキル基が挙げられる。
【0080】
ハロゲン化炭化水素基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基などの炭素原子数1~30、好ましくは1~20、さらに好ましくは1~10のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
【0081】
中性の共役または非共役ジエンとしては、例えば、炭素原子数4~20の中性の共役または非共役ジエンが挙げられる。具体的には、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-3-メチル-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジベンジル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-2,4-ヘキサジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジトリル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ブタジエンが挙げられる。
【0082】
アニオン配位子としては、例えば、メトキシ、tert-ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシなどのアリーロキシ基;アセテート、ベンゾエートなどのカルボキシレート基;メシレート、トシレートなどのスルホネート基が挙げられる。
【0083】
孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタンなどのエーテル類が挙げられる。
【0084】
式(B1)および(B2)中、jは1~4の整数、好ましくは2~4の整数、さらに好ましくは2または3を示す。jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0085】
式(B1)および(B2)中、Cp1およびCp2は、互いに同一でも異なっていてもよく、Mと共にサンドイッチ構造を形成することができるシクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基を示す。置換シクロペンタジエニル基とは、シクロペンタジエニル基が有する少なくとも1つの水素原子が置換基で置換された基である。
【0086】
置換シクロペンタジエニル基における置換基としては、例えば、炭化水素基(好ましくは炭素原子数1~20の炭化水素基、以下「炭化水素基(f1)」として参照することがある。)またはケイ素含有基(好ましくは炭素原子数1~20のケイ素含有基、以下「ケイ素含有基(f2)」として参照することがある。)が挙げられる。その他、置換シクロペンタジエニル基における置換基としては、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、窒素含有基などのヘテロ原子含有基(ケイ素含有基(f2)を除く)を挙げることもできる。
【0087】
炭化水素基(f1)としては、好ましくは炭素原子数1~20の炭化水素基であり、例えば、直鎖状または分岐状の炭化水素基(例:アルキル基、アルケニル基、アルキニル基)、環状飽和炭化水素基(例:シクロアルキル基)、環状不飽和炭化水素基(例:アリール基)が挙げられる。炭化水素基(f1)としては、前記例示の基のうち互いに隣接する炭素原子に結合した任意の二つの水素原子が同時に置換されて脂環または芳香環を形成している基も含む。
【0088】
炭化水素基(f1)としては、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカニル基、アリル(allyl)基などの直鎖状の脂肪族炭化水素基;イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、アミル基、3-メチルペンチル基、ネオペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチル-1-プロピルブチル基、1,1-プロピルブチル基、1,1-ジメチル-2-メチルプロピル基、1-メチル-1-イソプロピル-2-メチルプロピル基などの分岐状の脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの環状不飽和炭化水素基およびこれらの核アルキル置換体;ベンジル基、クミル基などの、飽和炭化水素基が有する少なくとも1つの水素原子がアリール基で置換された基が挙げられる。
【0089】
ケイ素含有基(f2)としては、好ましくは炭素原子数1~20のケイ素含有基であり、例えば、シクロペンタジエニル基の環炭素にケイ素原子が直接共有結合している基が挙げられ、具体的には、アルキルシリル基(例:トリメチルシリル基)、アリールシリル基(例:トリフェニルシリル基)が挙げられる。
【0090】
ヘテロ原子含有基(ケイ素含有基(f2)を除く)としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、N-メチルアミノ基、トリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
【0091】
炭化水素基(f1)の中でも、炭素原子数1~20の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基などが好適な例として挙げられる。
【0092】
置換シクロペンタジエニル基は、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基およびこれらが有する一つ以上の水素原子が上記炭化水素基で置換された基も包含し、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基の場合はシクロペンタジエニル基に縮合する不飽和環の二重結合の一部または全部が水添されていてもよい。
【0093】
式(B2)中、Yは炭素原子数1~30の2価の炭化水素基、炭素原子数1~20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-Ge-、-Sn(スズ)-、-NRa-、-P(Ra)-、-P(O)(Ra)-、-BRa-または-AlRa-を示す。ただし、Raは炭素原子数1~20の炭化水素基、炭素原子数1~20のハロゲン化炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子または窒素原子に炭素原子数1~20の炭化水素基が1個または2個結合した窒素化合物残基(-NRHまたは-NR2;Rは炭素原子数1~20の炭化水素基)である。
【0094】
一般式(B1)または(B2)で表されるメタロセン化合物としては、一般式(B2)で表される化合物が好ましく、国際公開第01/27124号パンフレットに開示されているような、一般式(I)で表される架橋型メタロセン化合物(以下「架橋型メタロセン化合物(B2a)」ともいう。)がさらに好ましい。
【0095】
【化9】
【0096】
架橋型メタロセン化合物(B2a)は、構造上、次の特徴[m1]~[m3]を備える。
[m1]二つの配位子のうち、一つは置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基であり、他の一つは置換基を有していてもよいフルオレニル基である。
[m2]二つの配位子が、炭素原子またはケイ素原子からなる共有結合架橋部(以下「架橋部」ともいう。)によって結合されている。
[m3]メタロセン化合物を構成する遷移金属(M)が周期表第4族の原子、具体的には、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である。
【0097】
以下、架橋型メタロセン化合物(B2a)が有する、シクロペンタジエニル基、フルオレニル基、架橋部およびその他特徴について、順次説明する。
(シクロペンタジエニル基)
式(B2a)中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基が好ましく、隣接する二つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
【0098】
例えば、R1、R2、R3およびR4は全て水素原子であるか、またはR1、R2、R3およびR4のいずれか一つ以上が炭化水素基(好ましくは炭素原子数1~20の炭化水素基)またはケイ素含有基(好ましくは炭素原子数1~20のケイ素含有基)である。その他、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、窒素含有基などのヘテロ原子含有基を挙げることもできる。
【0099】
1、R2、R3およびR4のうちの二つ以上が水素原子以外の置換基である場合は、前記置換基は互いに同一でも異なっていてもよく;R1、R2、R3およびR4のうちの隣接する二つの基同士は互いに結合して脂環または芳香環を形成していてもよい。
【0100】
1~R4における炭化水素基の例示および好ましい基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義した炭化水素基(f1)が挙げられる。R1~R4におけるケイ素含有基の例示および好ましい基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義したケイ素含有基(f2)が挙げられる。R1~R4におけるヘテロ原子含有基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて例示した基が挙げられる。
【0101】
(フルオレニル基)
式(B2a)中、R5、R8、R9およびR12はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基が好ましい。R6およびR11は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有基が好ましく;R7およびR10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有基が好ましく;R6およびR7は互いに結合して環を形成していてもよく、R10およびR11は互いに結合して環を形成していてもよい。
【0102】
重合活性の視点からみるとR6およびR11がいずれも水素原子ではないか、R7およびR10がいずれも水素原子ではないことが好ましく、R6、R7、R10およびR11がいずれも水素原子ではないことがさらに好ましい。また、R6およびR11が炭化水素基およびケイ素含有基から選ばれる同一の基であるか、R7とR10が炭化水素基およびケイ素含有基から選ばれる同一の基であることが特に好ましい。さらに、R6およびR7が互いに結合して脂環または芳香環を形成し、R10およびR11が互いに結合して脂環または芳香環を形成していることがもっとも好ましい。
【0103】
5~R12における炭化水素基の例示および好ましい基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義した炭化水素基(f1)が挙げられる。R5~R12におけるケイ素含有基の例示および好ましい基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義したケイ素含有基(f2)が挙げられる。R5~R12におけるヘテロ原子含有基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて例示した基が挙げられる。
【0104】
6およびR7(R10およびR11)が互いに結合して脂環または芳香環を形成した場合の置換フルオレニル基としては、後述する一般式[I]~[VI]で表される化合物に由来する構造の基が好適な例として挙げられる。
【0105】
(架橋部)
式(B2a)中、R13およびR14はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を示し、Yは炭素原子またはケイ素原子を示す。架橋部の架橋原子Yに、互いに同一でも異なっていてもよいアルキル基またはアリール基[R13およびR14]が結合していることである。さらに、R13およびR14が互いに結合して環構造を形成してもよい。
【0106】
アルキル基としては上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義した炭化水素基(f1)が挙げられる。R13およびR14が互いに結合した環構造としてはY1が炭素原子の場合、シクロヘキシル基やシクロペンチル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基およびこれらが有する芳香族水素(sp2型水素)の一つ以上が置換基で置換された基が挙げられる。置換基としては、上記置換シクロペンタジエニル基の箇所にて定義した炭化水素基(f1)およびケイ素含有基(f2)や、ハロゲン原子およびハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
【0107】
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基などの炭素原子数6~14、好ましくは6~10の非置換アリール基;トリル基、ジメチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、t-ブチルフェニル基などのアルキル基置換アリール基;シクロヘキシルフェニル基などのシクロアルキル基置換アリール基;クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジクロロフェニル基、ジブロモフェニル基などのハロゲン化アリール基;(トリフルオロメチル)フェニル基、ビス(トリフルオロメチル)フェニル基などのハロゲン化アルキル基置換アリール基が挙げられる。置換基の位置は、メタ位および/またはパラ位が好ましい。これらの中でも、置換基がメタ位および/またはパラ位に位置する置換フェニル基がさらに好ましい。
【0108】
(架橋型メタロセン化合物のその他の特徴)
式(B2a)中、Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素原子数4~20の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1~4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0109】
Qにおけるハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素原子数4~20の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、式(B1)および(B2)中におけるQと同様の原子または基を挙げることができる。
【0110】
(好ましい架橋型メタロセン化合物(B2a)の例示)
以下に架橋型メタロセン化合物(B2a)の具体例を示すが、特にこれによって本発明の範囲が限定されるものではない。なお、例示化合物中、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニルとは式[I]で示される構造の化合物に由来する基を指し、テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニルとは式[II]で示される構造の化合物に由来する基を指し、オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式[III]で示される構造の化合物に由来する基を指し、ジベンゾフルオレニルとは式[IV]で示される構造の化合物に由来する基を指し、1,1',3,6,8,8'-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式[V]で示される構造の化合物に由来する基を指し、1,3,3',6,6',8-ヘキサメチル-2,7-ジヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式[VI]で示される構造の化合物に由来する基を指す。
【0111】
【化10】
【0112】
一般式(B1)、(B2)または(B2a)で表されるメタロセン化合物の具体例としては、国際公開第2013/161833号の[0078]~[0079]に挙げられた化合物、国際公開第2014/123212号の[0259]~[0262]に挙げられた化合物が挙げられる。
前記遷移金属錯体(B)としては、下記一般式(B3)で表される化合物(B3)も挙げられる。
【0113】
【化11】
【0114】
〈R 1 からR 16
式(B3)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であり、R1からR16までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。
【0115】
1からR16における炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基およびケイ素含有基としては、上述した式(B2a)におけるR1~R14として例示した炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基およびケイ素含有基が挙げられる。
【0116】
1からR16までの置換基のうち、隣接した2つの置換基(例:R1とR2、R2とR3、R4とR6、R4とR7、R5とR6、R5とR7、R6とR8、R7とR8、R9とR10、R10とR11、R11とR12、R13とR14、R14とR15、R15とR16)が互いに結合して環を形成していてもよく、R4およびR5が互いに結合して環を形成していてもよく、R6およびR7が互いに結合して環を形成していてもよく、R1およびR8が互いに結合して環を形成していてもよく、R3およびR4が互いに結合して環を形成していてもよく、R3およびR5が互いに結合して環を形成していてもよい。前記環形成は、分子中に2箇所以上存在してもよい。
【0117】
本明細書において、2つの置換基が互いに結合して形成された環(付加的な環)としては、例えば、脂環、芳香環、ヘテロ環が挙げられる。具体的には、シクロヘキサン環;ベンゼン環;水素化ベンゼン環;シクロペンテン環;フラン環、チオフェン環等のヘテロ環およびこれに対応する水素化ヘテロ環が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン環;ベンゼン環および水素化ベンゼン環である。また、このような環構造は、環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。
【0118】
1およびR3は、水素原子であることが好ましい。
2は、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であることが好ましく、炭化水素基であることがさらに好ましく、炭素数1~20の炭化水素基であることがより好ましく、アリール基ではないことがさらに好ましく、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基または環状飽和炭化水素基であることがとりわけ好ましく、遊離原子価を有する炭素(シクロペンタジエニル環に結合する炭素)が3級炭素である置換基であることが特に好ましい。
【0119】
2としては、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、tert-アミル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基が例示でき、より好ましくはtert-ブチル基、tert-ペンチル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基等の遊離原子価を有する炭素が3級炭素である置換基であり、特に好ましくは1-アダマンチル基、tert-ブチル基である。
4は、前記遷移金属錯体(3)を下記一般式(B3')で表した場合に、水素原子であることが好ましい形態の一つである。
【0120】
【化12】
【0121】
この場合、前記遷移金属錯体(3)は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、一般式(B3')で表される遷移金属錯体の全ての鏡像異性体、例えば一般式(B3")で表される遷移金属錯体を包含する。
【0122】
【化13】
【0123】
式(B3')および(B3")の表記において、MQj部分が紙面手前に、架橋部が紙面奥側に存在するものとする。すなわち、これらの遷移金属錯体では、シクロペンタジエン環のα位(架橋部位が置換した炭素原子を基準とする)に、中心金属側に向いた水素原子(R4)が存在する。
【0124】
一方、上述した一般式(B3)においては、MQj部分および架橋部が紙面手前に存在するのか、紙面奥側に存在するかは特定されていない。すなわち一般式(B3)で表される化合物(B3)は、特定の構造の遷移金属化合物とその鏡像異性体とを包含している。
【0125】
4、R5、R6およびR7から選ばれる少なくとも1つは、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であることが好ましく、R4、R5が水素原子または炭化水素基であることがより好ましく、R5が直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基等のアルキル基、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基であることがさらに好ましく、炭素数1~10のアルキル基であることがとりわけ好ましい。また、合成上の観点からはR4、R5が共にアルキル基であることも好ましい形態の一つであり、炭素数1~10のアルキル基が特に好ましい。また同様に合成上の観点からは、R6およびR7は水素原子であることも好ましい。R5およびR7が互いに結合して環を形成していることがより好ましく、当該環がシクロヘキサン環等の6員環であることが特に好ましい。
【0126】
8は、炭化水素基であることが好ましく、メチル基等のアルキル基であることが特に好ましい。
一般式(B3)において、フルオレン環部分は公知のフルオレン誘導体から得られる構造であれば特に制限されない。R9、R12、R13およびR16は、好ましくは水素原子である。
【0127】
10、R11、R14およびR15は、好ましくは水素原子、炭化水素基、酸素原子含有炭化水素基または窒素原子含有炭化水素基であり、より好ましくは炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1~20の炭化水素基であり、たとえば、2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル基、3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル基, 2,7-ジフェニル-3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル基が挙げられ、特に好ましくは2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル基である。
【0128】
10とR11が互いに結合して環を形成し、かつR14とR15が互いに結合して環を形成していてもよい。このような置換フルオレニル基としては、例えば、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基、1,1,3,3,6,6,8,8-オクタメチル-2,3,6,7,8,10-ヘキサヒドロ-1H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基、1',1',3',6',8',8'-ヘキサメチル-1'H,8'H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基が挙げられ、特に好ましくは1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基が挙げられる。
【0129】
〈M、Q、j〉
式(B3)において、Mは、第4族遷移金属であり、好ましくはTi、ZrまたはHfであり、より好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
【0130】
Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子である。
Qにおけるハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、上述した式(B2a)におけるハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子として例示したものが挙げられる。
【0131】
jは1~4の整数であり、好ましくは2である。jが2以上の整数であるとき、Qは同一または異なる組合せで選んでもよい。
前記化合物(B3)の具体例としては、国際公開第2006/68308号の第11~15頁に列挙された化合物、国際公開第2014/50816号の[0075]-[0086]に列挙された化合物、特開2008/045008号の[0072]-[0084]に列挙された化合物が挙げられる。
【0132】
前記遷移金属錯体(B)としては、特開平11-315109号公報、特開2000-239312号公報、国際公開第2001/55231号、Chemical Review誌2011年111巻2363-2449項に記載されているような下記一般式(B4)で表される化合物(B4)も挙げられる。
【0133】
【化14】
【0134】
一般式(B4)中、Mは周期律表第4~10族の遷移金属原子を示し、
mは、1~6の整数を示し、
19~R24は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
また、mが2以上の場合にはR19~R24で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、
nは、Mの価数を満たす数であり、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0135】
具体的には、ビス{N-(5-アダマンチル-3-メチルサリチリデン)-2-メチルシクロヘキシルアミナト}ジルコニウム(IV)ジクロリド、ビス{N-(3-tert-ブチルサリチリデン)-2,3,4,5,6-ペンタフルオロアニリナト}チタニウム(IV)ジクロリドなどが例示できる。
【0136】
前記遷移金属錯体(B)としては、国際公開第2009/5003号、特開2011-178682号公報、特開2011-195584号公報に記載されているような下記一般式(B5)で表される化合物(B5)も挙げられる。
【0137】
【化15】
【0138】
一般式(B5)中、R25~R30は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結していてもよい。また、R25はZと連結していてもよい。
【0139】
Mは、周期律表第3~10族から選ばれる遷移金属原子を示す。
nはMの原子価を示す。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、Xで示される原子や基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0140】
Yは、酸素原子、窒素原子、リン原子または硫黄原子を示す。
Zは、置換基を有していてもよい炭化水素基またはヘテロ環式化合物残基を示し、YとNとを結ぶ最短結合数は4~6である。
【0141】
YとZとを結ぶ結合は二重結合もしくは三重結合であってもよく、YとR25とを結ぶ結合は二重結合もしくは三重結合であってもよい。また式中、点線表示は配位結合を示す。
一般式(B5)で表される化合物(B5)としては、トリクロロ{6-[(2'-メトキシ-κO1-ビフェニル-2-イル)イミノ-κN1-メチル]-4-メチル-2-(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン-1-イル)フェノラト}チタン(IV)が挙げられる。
【0142】
前記遷移金属錯体(B)としては、例えば、米国特許第5272236号明細書等に記載されている下記一般式(B6)で表される化合物(B6)も挙げられる。
11n …(B6)
【0143】
一般式(B6)中、M1は、周期表第4族またはランタニド系列の金属であり、
1は、非局在化π結合基の誘導体であり、金属M1活性サイトに拘束幾何形状を付与しており、
Xは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、または炭素数1~20の炭化水素基、シリル基もしくはゲルミル基である。
【0144】
nは1~2の整数であり、Mの価数およびXの種類に応じて、化合物(B6)全体として電気的に中性になるように選択される。
前記化合物(B6)の中でも、下記一般式(B6a)で示される化合物が好ましい。
【0145】
【化16】
【0146】
式(B6a)中、M1はチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、Xは、上記と同様である。CpはM1にπ結合しており、かつ置換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基である。Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期表第14族の元素(たとえばケイ素、ゲルマニウムまたは錫)であり、Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、ZとYとで縮合環を形成してもよい。
【0147】
一般式(B6a)で示される化合物の具体例としては、[ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン]チタンジクロリド等の、特表2017-511396の[0062]に記載された化合物、ならびにこれらの化合物において、チタンを、ジルコニウム、またはハフニウムに置き換えた化合物、およびこれらの化合物において上記式(B6a)中の2つのXを1つの共役または非共役ジエン(たとえば、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ペンタジエン))に置き換えた化合物が挙げられる。
遷移金属錯体(B)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0148】
(化合物(C))
本発明のオレフィン重合用触媒は、好ましくは以下の化合物(C)を含む。
化合物(C)(以下「成分(C)」と記載することもある。)は、
(C-1)有機金属化合物(以下「成分(C-1)」ともいう。)、好ましくは下記一般式(C-1a)で表される有機アルミニウム化合物(C-1a)、下記一般式(C-1b)で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物(C-1b)、または下記一般式(C-1c)で表される第2族または第12族金属のジアルキル化合物(C-1c)、
a mAl(ORb)n p q … (C-1a)
〔一般式(C-1a)中、Ra およびRb は、炭素原子数が1~15の炭化水素基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。〕
【0149】
a AlRa 4 … (C-1b)
〔一般式(C-1b)中、Ma はLi、NaまたはKを示し、Ra は炭素原子数が1~15(好ましくは1~4)の炭化水素基を示す。〕
【0150】
a rbb s t … (C-1c)
〔一般式(C-1c)中、Ra およびRb は、炭素原子数が1~15の炭化水素基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Mb は、Mg、ZnおよびCdから選ばれ、Xはハロゲン原子を示し、rは0<r≦2、sは0≦s≦1、tは0≦t≦1であり、かつr+s+t=2である。〕、および
(C-2)有機アルミニウムオキシ化合物(以下「成分(C-2)」ともいう。)
からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0151】
《有機金属化合物(C-1)》
有機アルミニウム化合物(C-1a)としては、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウムなどのトリ-n-アルキルアルミニウム、
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリ-t-ブチルアルミニウム、トリ-2-メチルブチルアルミニウム、トリ-3-メチルヘキシルアルミニウム、トリ-2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐状アルキルアルミニウム、
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム、
トリフェニルアルミニウム、トリ(4-メチルフェニル)アルミニウムなどのトリアリールアルミニウム、
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド、
一般式(i-C4H9)xAly(C5H10)z(式中、x、y、zは正の数であり、z≦2xである。)で表されるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム、
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド、
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド、
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド、
一般式Ra 2.5Al(ORb)0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム、
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)などのアルキルアルミニウムアリーロキシド、
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド、
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド、
エチルアルミニウムジクロリドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム、
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドおよびその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム、
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを例示することができる。また、上記一般式Ra mAl(ORb)npqで表される化合物に類似する化合物も使用することができ、例えば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物として具体的には、(C2H5)2AlN(C2H5)Al(C2H5)2などを挙げることができる。
【0152】
第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物(C-1b)としては、例えば、LiAl(C254、LiAl(C7154が挙げられる。
第2族または第12族金属のジアルキル化合物(C-1c)としては、例えば、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジn-ブチルマグネシウム、エチルn-ブチルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジn-ブチル亜鉛、ジフェニル亜鉛が挙げられる。
これらの中では、前記有機アルミニウム化合物(C-1a)が好ましい。
有機金属化合物(C-1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0153】
《有機アルミニウムオキシ化合物(C-2)》
有機アルミニウムオキシ化合物(C-2)としては、例えば、従来公知のアルミノキサンであってもよく、特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼンに対して不溶性または難溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。従来公知のアルミノキサンは、例えば、下記(1)~(4)の方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
【0154】
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば、塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物等の炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
【0155】
(2)ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の媒体中で、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
【0156】
(3)デカン、ベンゼン、トルエン等の媒体中で、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド等の有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0157】
(4)トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウムと、3級アルコール、ケトン、およびカルボン酸等の炭素-酸素結合を持つ有機化合物とを反応させて生成する化合物を、熱分解反応等の非加水分解的転化をする方法。
【0158】
なお、上記アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また、回収された上記アルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
【0159】
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、具体的には、有機アルミニウム化合物(C-1a)として例示したものと同一の有機アルミニウム化合物が挙げられる。これらの中でも、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
【0160】
その他、有機アルミニウムオキシ化合物(C-2)としては、例えば、修飾メチルアルミノキサンが挙げられる。修飾メチルアルミノキサンとは、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムとを用いて調製されるアルミノキサンである。このような化合物は、一般にMMAOと呼ばれている。MMAOは、米国特許第4960878号明細書および米国特許第5041584号明細書で挙げられている方法で調製することができる。また、東ソー・ファインケム(株)社等からもトリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとを用いて調製された、Rがイソブチル基であるアルミノキサンが、MMAOやTMAOといった名称で商業生産されている。
【0161】
このようなMMAOは、各種溶媒への溶解性および保存安定性を改良したアルミノキサンであり、具体的には上記のようなベンゼンに対して不溶性または難溶性のものとは違い、脂肪族炭化水素や脂環族炭化水素に溶解するという特徴を持つ。
【0162】
さらに、有機アルミニウムオキシ化合物(C-2)としては、例えば、ホウ素原子を含む有機アルミニウムオキシ化合物や、国際公開第2005/066191号、国際公開第2007/131010号に例示されているようなハロゲンを含むアルミノキサン、国際公開第2003/082879号に例示されているようなイオン性アルミノキサンを挙げることもできる。
有機アルミニウムオキシ化合物(C-2)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0163】
〈有機化合物成分(D)〉
本発明のオレフィン重合用触媒は、さらに有機化合物成分(D)を含んでいてもよい。
有機化合物成分(D)は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分(D)としては、例えば、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、アミド、ポリエーテルおよびスルホン酸塩等が挙げられる。
【0164】
〈各成分の使用法および添加順序〉
オレフィン重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。以下では、本発明の化合物(A)、遷移金属錯体(B)、化合物(C)を、それぞれ「成分(A)」、「成分(B)」、「成分(C)」と記載する。
(1)成分(A)および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(2)成分(A)、成分(B)および成分(C)を任意の順序で重合器に添加する方法。
【0165】
[オレフィン重合体の製造方法]
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、上述のオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィン(エチレン、炭素数3~20のα-オレフィンなど)を重合する工程[P]を有することを特徴としている。ここで「重合」とは、単独重合および共重合の総称である。また「オレフィン重合用触媒の存在下でオレフィンを重合する」とは、上記(1)~(4)の各方法のように任意の方法でオレフィン重合用触媒の各成分を重合器に添加して前記オレフィンを重合する態様を包含する。
【0166】
本発明では、重合は、溶液重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。不活性炭化水素媒体は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、重合に供給されうる液化オレフィン自身を溶媒として用いる、いわゆるバルク重合法を用いることもできる。
【0167】
オレフィン重合用触媒を用いてオレフィンの重合を行うに際して、オレフィン重合用触媒を構成し得る各成分の使用量は以下のとおりである。また、オレフィン重合用触媒において、各成分の含有量を以下のとおりに調節することができる。
【0168】
本発明の化合物(A)(成分(A))は、成分(A)と成分(B)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(A)/(M)〕が通常1~100、好ましくは1~20となるような量で用いることができる。モル比が前記範囲にあると、成分(B)と接触するサイトを2つ以上有する成分(A)の割合が低く、成分(A)は、オレフィン重合用触媒を炭化水素媒体中で使用する際に炭化水素媒体との親和性が低いため、触媒の固定化および活性化性能に優れる。
【0169】
成分(B)は、反応容積1リットル当り、通常1×10-10~1×10-2モル、好ましくは1×10-8~1×10-3モルとなるような量で用いられる。
【0170】
成分(C-1)は、成分(C-1)と成分(B)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(C-1)/M〕が通常1~50,000、好ましくは10~20,000となるような量で用いることができる。
成分(C-2)は、成分(C-2)中のアルミニウム原子と成分(B)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔Al/M〕が通常10~5,000、好ましくは20~2,000となるような量で用いることができる。
【0171】
本発明の製造方法において、重合温度は、通常-50~+200℃、好ましくは0~200℃、より好ましくは40~150℃であり、重合圧力は、通常常圧~10MPaゲージ圧、好ましくは常圧~5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行うこともできる。得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素等を存在させるか、重合温度を変化させるか、または成分(C)の使用量により調節することができる。
【0172】
特に水素は、触媒の重合活性を向上させる効果や、重合体の分子量を増加または低下させる効果が得られることがあり、好ましい添加物であるといえる。系内に水素を添加する場合、その量はオレフィン1モルあたり0.00001~100NL程度が適当である。系内の水素濃度は、水素の供給量を調整する以外にも、水素を生成または消費する反応を系内で行う方法や、膜を利用して水素を分離する方法、水素を含む一部のガスを系外に放出することによっても調整することができる。
【0173】
本発明の製造方法で得られたオレフィン重合体(たとえば、エチレン単独重合体、エチレン/α-オレフィン共重合体)に対しては、オレフィン重合体を上記方法で合成した後に、必要に応じて公知の触媒失活処理工程、触媒残渣除去工程、乾燥工程等の後処理工程を行ってよい。
【0174】
〈オレフィン〉
本発明の製造方法の一つの態様において、重合反応に供給されるオレフィンとしては、
エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンが挙げられる。
【0175】
この態様においては、エチレンを単独重合してもよく、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとを共重合してもよく、炭素数3~20のα-オレフィンを単独重合または共重合してもよい。
【0176】
前記α-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、ビニルシクロヘキサンなどの炭素数3から20の直鎖状または分岐状のα-オレフィンを例示することができる。α-オレフィンとしては、炭素数3~10のα-オレフィン、例えば炭素数3から10の直鎖状または分岐状のα-オレフィンが好ましく、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンがより好ましく、プロピレンがさらに好ましい。これらのα-オレフィンは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0177】
また、エチレンないし炭素数3~20のα-オレフィンと共に非共役ポリエンを共重合してもよい。
【実施例0178】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<測定方法>
[ホウ素含有化合物の同定]
ホウ素含有化合物の構造は、270MHz 1H-NMR(日本電子製GSH-270)等を用いて常法に従って測定し、決定した。
【0179】
[ホウ素含有化合物のメチルシクロヘキサンへの溶解度]
20mLのガラス容器に、ホウ素含有化合物100μmmоl、メチルシクロヘキサン10mLを加え、超音波を30分照射した。その後、25℃環境下でろ過を行い、ろ液の溶媒を減圧留去し、残渣重量を測定した。残渣重量をホウ素含有化合物のメチルシクロヘキサン10mLへの溶解量と見なし、ホウ素含有化合物のメチルシクロヘキサンへの溶解度を算出した。
【0180】
[オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)]
オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求めた。Waters社製「Alliance GPC 2000」ゲル浸透クロマトグラフ(高温サイズ排除クロマトグラフ)により得られる分子量分布曲線から計算したものであり、操作条件は下記の通りである:
【0181】
操作条件
測定装置;ゲル浸透クロマトグラフ allianceGPC2000型(Waters社)
解析ソフト;クロマトグラフィデータシステム Empower(商標、Waters社)
カラム;TSKgel GMH6-HT×2 + TSKgel GMH6-HT×2(内径7.5mm×長さ30cm,東ソー社)
移動相;o-ジクロロベンゼン〔ОDCB〕(富士フイルム和光純薬 特級)
検出器;示差屈折計(装置内蔵)
カラム温度;140℃
流速;1.0mL/分
注入量;400μL
サンプリング時間間隔;1秒
試料濃度;0.15%(w/v)
分子量較正 単分散ポリスチレン(東ソー社)/分子量495から分子量2060万
【0182】
<1-オクテン含有率>
エチレン/1-オクテン共重合体における1-オクテン含有率は、FT-IR(日本分光製FT-IR410型赤外分光光度計)により測定した。
【0183】
測定方法
FT-IRは、実施例等で得られた重合体を135℃に加熱し、ホットプレスにて溶解延伸後、室温下加圧冷却することで得られたフィルムを測定サンプルとして用い、検量線を利用して1-オクテン構造単位含有率を測定した。検量線作成用のエチレン/1-オクテン共重合体のサンプルの1-オクテン構造単位含有率も、上記条件と同条件の13C-NMR測定によって特定した。
【0184】
<ホウ素含有化合物(A)の合成>
[実施例A1]
(ホウ素含有化合物(A-1)の合成)
N,N-ジフェニルアミン、1-ブロモヘキサン、ジメチルスルホキシド(以下「DMSO」と記載する。)、ジエチルエーテル、ジクロロメタンは富士フイルム和光純薬株式会社より、1Mの塩化水素のジエチルエーテル溶液、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートエチルエーテルコンプレックスとして、東京化成工業株式会社より購入したものをそのまま使用した。また、水酸化カリウムはMerck社より購入したものを嫌気下で砕き、粉末状態にして使用した。
【0185】
充分に乾燥、窒素置換した30mLの反応器に、水酸化カリウム粉末2.0g、1-ブロモヘキサン3.8mL、DMSO5.0mLを加え攪拌した。その後、N,N-ジフェニルアミン3.0gをDMSO10mLに溶解させ、その溶液を滴下し、90℃で一晩撹拌を続けた。得られた懸濁液を水100mLでクエンチし、ジクロロメタン100mLで2回に分けて抽出を行い、有機層を水100mLで2回、Brine100mLで1回洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製し、下記式(A-1’)で示される化合物2.8gを得た。
1H NMR(CDCl3)δ:0.87(3H,s),1.30(6H,m),1.66(2H,m),3.68(2H,t),6.90-7.29(10H,m) ppm
【0186】
【化17】
【0187】
続いて、十分に乾燥、窒素置換した50mLの反応器に、上記式(A-1’)で示される化合物2.0g、ジエチルエーテル15mLを加え撹拌した。その後、氷浴下で1Mの塩化水素のジエチルエーテル溶液11mLを滴下したのち、室温に戻し2時間撹拌を続けた。得られた懸濁液中の不溶物を濾過により回収し、減圧乾燥することにより、下記式(A-1’’)で示される化合物0.4gを得た。
1H NMR(CDCl3)δ 0.85(3H,s),1.26(6H,m),1.84(2H,m),3.77(2H,m),7.27(4H,t),7.42(4H,t),7.56-7.59(4H,d) ppm
【0188】
【化18】
【0189】
充分に乾燥、窒素置換した50mLの反応器に、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートエチルエーテルコンプレックス1.4g、ジクロロメタン10mLを加え攪拌した。その後、上記式(A-1’’)で示される化合物0.4gを加え、室温で2時間撹拌を続けた。得られた懸濁液中の不溶物をガラスフィルター上のセライトを通すことで除去し、溶媒を留去した。残渣をヘキサンと水を用いて超音波処理により洗浄した後、濾過と減圧乾燥をすることにより、下記式(A-1)で示されるホウ素含有化合物0.5g得た。
1H NMR(CDCl3)δ:0.83(3H,s),1.23(4H,m),1.36(2H,m),1.61(2H,m),3.99(2H,m),7.26-7.34(4H,m),7.42(4H,t),7.53-7.61(6H,m) ppm
【0190】
【化19】
【0191】
[実施例A2]
(ホウ素含有化合物(A-2)の合成)
1-ブロモオクタデカンは、富士フイルム和光純薬株式会社より購入したものをそのまま使用した。
【0192】
充分に乾燥、窒素置換した100mLの反応器に、水酸化カリウム粉末1.3g、1-ブロモオクタデカン4.0mL、DMSO15mLを加え攪拌した。その後、N,N-ジフェニルアミン2.0gをDMSO5mLに溶解させ、その溶液を滴下し、50℃で一晩撹拌を続けた。得られた懸濁液を水100mLでクエンチし、ジクロロメタン50mLで4回に分けて抽出を行い、有機層をBrine100mLで3回、水100mLで1回洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製し、下記式(A-2’)で示される化合物3.5gを得た。
1H NMR(CDCl3)δ:0.88(3H,s),1.26(30H,m),1.65(2H,m),3.67(2H,t),6.90-6.99(4H,m),7.22-7.28(6H,m) ppm
【0193】
【化20】
【0194】
続いて、充分に乾燥、窒素置換した50mLの反応器に、上記式(A-2’)で示される化合物2.0g、ジエチルエーテル10mLを加え攪拌した。その後、氷浴下で1Mの塩化水素のジエチルエーテル溶液12mLを滴下したのち、室温に戻し1時間撹拌を続けた。得られた懸濁液中の不溶物を濾過により回収し、減圧乾燥することにより、下記式(A-2’’)で示される化合物1.6gを得た。
1H NMR(CDCl3)δ:0.88(3H,s),1.25(30H,m),1.71(2H,m),3.67(2H,t),7.04(2H,t),7.15-7.18(4H,d),7.27-7.33(4H,t),ppm
【0195】
【化21】
【0196】
続いて、充分に乾燥、窒素置換した50mLの反応器に、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートエチルエーテルコンプレックス1.1g、ジクロロメタン10mLを加え攪拌した。その後、上記式(A-2’’)で示される化合物0.5gをジクロロメタン5mLに溶解させたのちに滴下し、室温で終夜撹拌を続けた。得られた懸濁液中の不溶物をガラスフィルター上のセライトを通すことで除去し、溶媒を留去した。この残渣をジクロロメタン/ヘキサン(= 1/1)溶液で洗浄することで、未反応のリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートエチルエーテルコンプレックスが沈殿するので、沈殿物を濾過により除去した。濾液を乾固した後、ヘキサンを用いて超音波処理しながら洗浄を行い、デカンテーションすることで、沈殿した白色固体を回収した。これを減圧乾燥することにより、下記式(A-2)で示されるホウ素含有化合物0.7gを得た。
1H NMR(CDCl3)δ:0.87(3H,m),1.24(30H,m),1.61(2H,m),4.00(2H,t),7.30-7.33(4H,m),7.57-7.59(6H,m) ppm
【0197】
【化22】
【0198】
[実施例A3]
(ホウ素含有化合物(A-3)の合成)
ビス(4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル)アミンはFluorochem社より購入したものをそのまま使用した。
【0199】
充分に乾燥、窒素置換した100mLの反応器に、水酸化カリウム粉末0.5g、1-ブロモオクタデカン1.7g、DMSO10mLを加え攪拌した。その後、ビス(4-tert-オクチル)ジフェニルアミン0.7gをDMSO5mLに溶解させ、その溶液を滴下し、50℃で7時間撹拌を続けた。得られた懸濁液を水100mLでクエンチし、ジクロロメタン50mLで2回に分けて抽出を行い、有機層をBrine100mLで2回、水100 mLで2回洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製し、下記式(A-3’)で示される化合物1.4gを得た。
1H NMR(CDCl3)δ:0.74(18H,s),0.88(3H,d),1.26(32H,m),1.35(12H,s),1.69(4H,s),3.63(2H,t),6.86-6.89(4H,d),7.20-7.23(4H,d) ppm
【0200】
【化23】
【0201】
続いて、充分に乾燥、窒素置換した50mLの反応器に、上記式(A-3’)で示される化合物1.4g、ジエチルエーテル20mLを加え攪拌した。その後、氷浴下で1Mの塩化水素のジエチルエーテル溶液12mLを滴下したのち、室温に戻し2時間撹拌を続けた。得られた懸濁液中の不溶物を濾過により回収し、減圧乾燥することにより、下記式(A-3’’)で示される化合物1.4gを得た。
1H NMR(CDCl3)δ:0.67(18H,s),0.87(3H,d),1.20(32H,m),1.34(12H,s),1.71(4H,s),3.74(2H,m),7.42-7.45(4H,d),7.65-7.68(4H,d) ppm
【0202】
【化24】
【0203】
充分に乾燥、窒素置換した50mLの反応器に、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートエチルエーテルコンプレックス1.0g、ジクロロメタン20mLを加え攪拌した。その後、上記式(A-3’’)で示される化合物1.4gを加え、室温で一晩撹拌を続けた。得られた懸濁液中の不溶物をガラスフィルター上のセライトを通すことで除去し、溶媒を留去した。この残渣にヘキサンで超音波処理をしながら洗浄および上澄みのデカンテーションを3回繰り返すことで、未反応の塩酸塩を除去した。続いてこの上澄み液を乾固し、ジクロロメタン/ヘキサン=1/4で再沈殿を行い、濾過することで、未反応のリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートエチルエーテルコンプレックスを除去した。この濾液を乾固し、下記式(A-3)で示されるホウ素含有化合物1.0gを得た。
1H NMR(CDCl3)δ:0.67(18H,s),0.88(3H,d),1.25(32H,m),1.37(12H,s),1.74(4H,s),3.94(2H,t),7.15-7.18(4H,d),7.53-7.56(4H,d) ppm
【0204】
【化25】
【0205】
[実施例A4]
(ホウ素含有化合物(A-4)の合成)
ビス(4-tert-オクチル)ジフェニルアミンは、東京化成工業株式会社より購入したものをそのまま使用した。
【0206】
充分に乾燥、窒素置換した50mLの反応器に、ビス(4-tert-ブチル)ジフェニルアミン4.7g、ジエチルエーテル10mLを加え攪拌した。その後、氷浴下で1Mの塩化水素のジエチルエーテル溶液25mLを滴下したのち、室温に戻し2時間撹拌を続けた。得られた懸濁液中の不溶物を濾過により回収し、減圧乾燥することにより、下記式(A-4’)で示される化合物4.8gを得た。
1H NMR(CDCl3)δ:1.27(18H,s),7.36-7.40(4H,d),7.50-7.53(4H,d) ppm
【0207】
【化26】
【0208】
続いて、充分に乾燥、窒素置換した50mLの反応器に、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートエチルエーテルコンプレックス0.9g、ジクロロメタン15mLを加え攪拌した。その後、上記式(A-4’)で示される化合物0.3gを加え、室温で終夜撹拌を続けた。得られた懸濁液中の不溶物をガラスフィルター上のセライトを通すことで除去し、溶媒を留去した。この残渣にヘキサンで超音波処理しながら洗浄を行い、上澄み液をデカンテーションすることで、沈殿した白色固体を回収した。これを減圧乾燥することにより、下記式(A-4)で示されるホウ素含有化合物0.2gを得た。
1H NMR(CDCl3)δ:1.27(18H,s),7.16-7.19(4H,d),7.58-7.61(4H,d) ppm
【0209】
【化27】
【0210】
[実施例A5]
(ホウ素含有化合物(A-5)の合成)
充分に乾燥、窒素置換した50mLの反応器に、ビス(4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル)アミン0.3g、ジエチルエーテル10mLを加え攪拌した。その後、氷浴下で1Mの塩化水素のジエチルエーテル溶液1.2mLを滴下したのち、室温に戻し2時間撹拌を続けた。得られた懸濁液中の不溶物を濾過により回収し、減圧乾燥することにより、下記式(A-5’)で示される化合物0.3gを得た。
1H NMR(CDCl3)δ:0.71(18H,s),1.33(12H,s),1.71(2H,s),7.33-7.36(8H,d) ppm
【0211】
【化28】
【0212】
続いて、充分に乾燥、窒素置換した50mLの反応器に、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートエチルエーテルコンプレックス0.7g、ジクロロメタン15mLを加え攪拌した。その後、上記式(A-5’)で示される化合物塩酸塩0.3gを加え、室温で2時間撹拌を続けた。得られた懸濁液中の不溶物をガラスフィルター上のセライトを通すことで除去し、溶媒を留去した。この残渣にジクロロメタン/ヘキサン=1/2で再沈殿を行い、濾過することで、未反応のリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートエチルエーテルコンプレックスを除去した。この操作を3回繰り返し、濾液を乾固することにより、下記式(A-5)で示されるホウ素含有化合物0.8gを得た。
1H NMR(CDCl3)δ:0.69(18H,s),1.38(12H,s),1.76(4H,s),7.12-7.15(4H,d),7.55-7.58(4H,d) ppm
【0213】
【化29】
【0214】
[比較例a6]
(ホウ素含有化合物(a-6)の合成)
充分に乾燥、窒素置換した100mLの反応器に、水酸化カリウム粉末0.5g、ヨードメタン1.4g、DMSO10mLを加え攪拌した。その後、ビス(4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル)アミン0.7gをDMSO5mLに溶解させ、その溶液を滴下し、50℃で7時間撹拌を続けた。得られた懸濁液を水100mLでクエンチし、ジクロロメタン50mLで2回に分けて抽出を行い、有機層をBrine100mLで2回、水100mLで2回洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製し、下記式(a-6’)で示される化合物0.6gを得た。
1H NMR(CDCl3)δ:0.75(18H,s),1.36(12H,s),1.69(4H,s),3.28(3H,s),6.88-6.91(4H,d),7.22-7.25(4H,d) ppm
【0215】
【化30】
【0216】
続いて、充分に乾燥、窒素置換した50mLの反応器に、上記式(a-6’)で示される化合物0.6g、ジエチルエーテル20mLを加え攪拌した。その後、氷浴下で1Mの塩化水素のジエチルエーテル溶液12mLを滴下したのち、室温に戻し2時間撹拌を続けた。得られた懸濁液中の不溶物を濾過により回収し、減圧乾燥することにより、下記式(a-6’’)で示される化合物0.6gを得た。
1H NMR(CDCl3)δ:0.67(18H,s),1.35(12H,s),1.71(4H,s),3.63(3H,s),7.42-7.45(4H,d),7.65-7.68(4H,d) ppm
【0217】
【化31】
【0218】
充分に乾燥、窒素置換した50mLの反応器に、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートエチルエーテルコンプレックス1.0g、ジクロロメタン20mLを加え攪拌した。その後、上記式(a-6’’)で示される化合物0.6gを加え、室温で一晩撹拌を続けた。得られた懸濁液中の不溶物をガラスフィルター上のセライトを通すことで除去し、溶媒を留去した。この残渣にヘキサンで超音波処理をしながら洗浄・上澄みのデカンテーションを3回繰り返すことで、未反応の塩酸塩を除去した。続いてこの上澄み液を乾固し、ジクロロメタン/ヘキサン=1/4で再沈殿を行い、濾過することで、未反応のリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートエチルエーテルコンプレックスを除去した。この濾液を乾固し、下記式(a-6)で示されるホウ素含有化合物0.4gを得た。
1H NMR(CDCl3)δ:0.67(18H,s),1.36(12H,s),1.74(4H,s),3.65(3H,s),7.15-7.18(4H,d),7.53-7.56(4H,d) ppm
【0219】
【化32】
[比較例A7]
(ホウ素含有化合物(a-7)の合成)
ホウ素含有化合物(a-7)として、東京化成工業株式会社より購入したN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートをそのまま使用した。
【0220】
[比較例A8]
(ホウ素含有化合物(a-8)の合成)
ホウ素含有化合物(a-8)として、ジ硬化牛脂アルキルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを、特開2019-59795号公報に記載の方法で合成した。
【0221】
<遷移金属化合物(B)>
遷移金属化合物(B)として、従来公知の方法で製造した下記式(B-1)~(B-2)で表される遷移金属化合物を使用した。
【0222】
【化33】
【0223】
<ホウ素含有化合物(A)を用いたエチレン重合>
[実施例X1]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、トルエン250mLを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、トリイソブチルアルミニウムをアルミニウム原子換算で0.20mmol、引き続き、上記遷移金属化合物(B-1)を0.015μmol、実施例A1で得られたホウ素含有化合物(A-1)0.060μmolを加え重合を開始した。エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、50℃で5分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのメタノール溶媒中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃で10時間真空乾燥し、オレフィン重合体1.62gを得た。
【0224】
[実施例X2~X5]
ホウ素含有化合物(A-1)の代わりに、実施例A2~A5で得られたホウ素含有化合物(A-2)~(A-5)を用いたこと以外は、実施例X1と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体を得た。得られた重合体の重量を表1に示す。
【0225】
[比較例X6~X8]
ホウ素含有化合物(A-1)の代わりに、比較例A6~A8で得られたホウ素含有化合物(a-6)~(a-8)を用いたこと以外は、実施例X1と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体を得た。得られた重合体の重量を表1に示す。
【0226】
実施例X1~X5および比較例X6~X8の評価結果等を表1に示す。
【0227】
【表1】
【0228】
本発明のホウ素含有化合物(A-1)~(A-5)は、比較例X7のホウ素含有化合物(a-7)同等以上の重合活性を示しながら、脂肪族炭化水素であるメチルシクロヘキサンに対する高い溶解度を示した。
【0229】
前記一般式(A)におけるR1がアリール基以外の炭化水素基の場合には、炭化水素基がより長くなるほどメチルシクロヘキサンに対する溶解度が顕著に向上した。
また、前記一般式(A)におけるR1が水素の場合には、R1がアルキル基の場合と比べ重合活性が向上した。
【0230】
<ホウ素含有化合物(A)を用いたエチレン/1-オクテン共重合>
[実施例X9]
充分に窒素置換した内容積1リットルのSUS製オートクレーブに、窒素雰囲気下、ヘプタン470mL、1-オクテン30mL、トリイソブチルアルミニウム0.30mmolを添加した後、エチレンを流通させ反応器内をエチレンで飽和させた。次に、撹拌しながらエチレンにて80℃、0.8MPaGに昇温昇圧し、上記遷移金属化合物(B-2)を0.050μmol、続いて実施例A3で得られたホウ素含有化合物(A-3)0.50μmolを挿入し、10分間重合を行い、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのメタノール/アセトン=(1/3)混合溶媒中に加えてポリマーを析出させた。同溶媒で洗浄後、80℃で10時間真空乾燥し、オレフィン重合体5.42gを得た。得られた重合体のMwは6,840,000、1-オクテン含有率は19.4mоl%であった。
【0231】
[実施例X10]
ホウ素含有化合物(A-3)の代わりに、実施例A5で得られたホウ素含有化合物(A5)を用いたこと以外は、実施例X9と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体を得た。得られた重合体の重量を表2に示す。
【0232】
[比較例X11]
ホウ素含有化合物(A-3)の代わりに、比較例A8で得られたホウ素含有化合物(a-8)を用いたこと以外は、実施例X9と同様の方法で重合を行い、オレフィン重合体を得た。得られた重合体の重量を表2に示す。
【0233】
実施例X9~X10および比較例X11の評価結果等を表2に示す。
【0234】
【表2】