(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068577
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】内部統制構築システム、内部統制構築方法、及び内部統制構築プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20230510BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179834
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】521481555
【氏名又は名称】株式会社リフレーミング
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 希
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】内部統制の効果を十分発揮させる内部統制構築システム、内部統制構築方法、及び内部統制構築プログラム提供する。
【解決手段】送受信部と、管理部と、業務チェックリスト記憶部と、内部統制文書記憶部とを備え、管理部は、業務チェックリストが出力段階にあるかの判定を行う判定部と、業務チェックリストの項目内の情報の追加、変更、項目を新たに追加する、項目を削除する、等の変更を行う業務チェックリスト変更部と、業務チェックリストの変更に伴って、内部統制文書の等の変更箇所の推定を行い、内部統制文書に変更内容の候補が記載される内部統制文書変更部と、業務チェックリスト生成部と、内部統制文書生成部と、業務チェックリストの項目と内部統制文書の項目との対応関係を示す対応表を記憶する対応表記憶部とを備え、内部統制文書変更部は、対応表に基づき内部統制文書に変更内容の候補を記載する内部統制構築サーバを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務チェックリストと併せて内部統制文書を管理するための内部統制構築システムであって、
1又は複数の担当者端末と、1又は複数の承認者端末と、内部統制構築サーバと、を備え、
前記内部統制構築サーバは、
ネットワークを介して、前記1又は複数の担当者端末、及び前記1又は複数の承認者端末とデータの送受信を行う送受信部と、
管理部と、
前記業務チェックリストを記憶する業務チェックリスト記憶部と、
前記内部統制文書を記憶する内部統制文書記憶部と、
を備え、前記管理部は、
前記業務チェックリストの全ての業務にチェックがなされ、出力段階にあるかの判定を行う判定部と、
前記1又は複数の担当者端末から送信された業務チェックリスト情報に基づき、前記業務チェックリストの項目内の情報の追加、変更、項目を新たに追加する、項目を削除する、等の変更を行う業務チェックリスト変更部と、
前記業務チェックリストの項目の変更の内容を含む情報を受信して、前記内部統制文書の変更内容の推定を行い、前記内部統制文書に変更内容の候補を記載する内部統制文書変更部と、
新たな業務チェックリストを生成して前記業務チェックリスト記憶部に記憶させる業務チェックリスト生成部と、
新たな内部統制文書を生成し、前記内部統制文書記憶部に記憶させる内部統制文書生成部と、
前記業務チェックリストの項目と前記内部統制文書の項目との対応関係を示す表である対応表を記憶する対応表記憶部と
を備え、前記内部統制文書変更部は、前記業務チェックリストの項目の変更の内容を含む情報を用いて、前記対応表に基づき、前記内部統制文書に変更内容の候補を記載することを特徴とする内部統制構築システム。
【請求項2】
前記業務チェックリスト生成部は、所定期間に1つの業務チェックリストを生成することを特徴とする請求項1に記載の内部統制構築システム。
【請求項3】
前記業務チェックリスト変更部によって、前記業務チェックリストに項目を新たに追加する、項目を削除する、等の変更が行われた場合、前記業務チェックリストに変更履歴を付けるとともに、前記1又は複数の承認者端末に対して項目を新たに追加する、項目を削除する、等の変更に対する承認を要求するリクエスト信号を送信し、前記1又は複数の承認者端末からの承認を要求することを特徴とする請求項1又は2に記載の内部統制構築システム。
【請求項4】
前記内部統制文書変更部は、前記業務チェックリストの項目の変更の内容を含む情報を受信すると、変更される前記業務チェックリストの項目が前記対応表内に存在するかを判定し、
前記対応表に変更される前記業務チェックリストの項目が存在する場合、前記内部統制文書に変更内容の候補を記載し、
前記対応表に変更される前記業務チェックリストの項目が存在しない場合、前記1又は複数の担当者端末に、変更される前記業務チェックリストの項目に対応する前記内部統制文書の項目に関する情報を送信するように要求する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内部統制構築システム。
【請求項5】
前記内部統制文書変更部は、変更される前記業務チェックリストの項目に対応する前記内部統制文書の項目に関する情報を受信すると、前記対応表に、変更される前記業務チェックリストの項目とそれに対応する前記内部統制文書の項目とを追加し、新たな対応表を対応表記憶部に記憶させることを特徴とする請求項4に記載の内部統制構築システム。
【請求項6】
前記業務チェックリスト生成部は、前の期間の前記業務チェックリストをもとに前記新たな業務チェックリストを生成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の内部統制構築システム。
【請求項7】
前記内部統制文書生成部は、前記新たな業務チェックリストをもとに、予め設定されたフォーマットに沿って前記内部統制文書を生成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の内部統制構築システム。
【請求項8】
前記対応表記憶部は、各業務のそれぞれに必要な項目の一覧を記載した一覧表をさらに記憶し、
前記業務チェックリスト変更部は、前記業務チェックリスト変更部が新たに項目を追加する際、前記一覧表を参照することにより、必要な項目が全て業務チェックリスト内に記載されているかどうかを確認することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の内部統制構築システム。
【請求項9】
職務経歴書生成部をさらに備え、
前記1又は複数の担当者端末は、前記業務チェックリスト変更部に前記業務チェックリスト情報を送信する際、前記業務チェックリスト情報を受け付けた際のコーポレート担当者の識別IDを同時に送信し、
前記1又は複数の承認者端末は、前記業務チェックリスト変更部に承認情報を送信する際、前記承認情報を受け付けた際の承認者の識別IDを同時に送信し、
前記職務経歴書生成部は前記業務チェックリストの、前記識別IDと、その項目とから、前記コーポレート担当者、及び、前記承認者の職務経歴書を生成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の内部統制構築システム。
【請求項10】
新たな業務チェックリストを生成して業務チェックリスト記憶部に記憶させる業務チェックリスト生成ステップと、
内部統制文書を生成して内部統制文書記憶部に記憶させる内部統制文書生成ステップと、
1又は複数のコーポレート担当者から業務チェックリスト情報の入力を受け付け、業務チェックリスト変更部に前記業務チェックリスト情報を送信する情報送信ステップと、
前記1又は複数のコーポレート担当者から受け付けた入力が前記業務チェックリスト情報の項目内の情報の追加、変更であるのか、項目自体の追加、変更、削除であるのかを判定する修正判定ステップと、
前記修正判定ステップにおける前記判定が項目内の情報の追加、変更であった場合、変更履歴を付けて、修正された業務チェックリストを、業務チェックリスト記憶部に記憶させる記憶ステップと、
前記修正判定ステップにおける前記判定が項目自体の追加、削除であった場合、変更履歴を付けるとともに、前記1又は複数の承認者端末に対してアラートを送信し、前記1又は複数の承認者端末からの承認を要求する承認要求ステップと、
前記承認要求ステップののち、前記1又は複数の承認者端末から承認の可否情報を受信する可否情報受信ステップと、
前記可否情報受信ステップにおいて、前記承認が可であれば、変更履歴を付けて、修正された前記業務チェックリストを、前記業務チェックリスト記憶部に記憶させる承認可ステップと、
前記可否情報受信ステップにおいて、前記承認が否であれば、前記情報送信ステップに戻る承認否ステップと、
前記業務チェックリストの全ての業務にチェックがなされ、出力段階にあるかの判定を行う出力段階判定ステップと、
前記出力段階判定ステップにおいて、出力段階にあると判定された場合、前記業務チェックリストを出力する出力ステップと、
前記出力段階判定ステップにおいて、出力段階にないと判定された場合、前記情報送信ステップに戻る出力否ステップと、
を備えることを特徴とする内部統制構築方法。
【請求項11】
コンピュータに、
新たな業務チェックリストを生成して業務チェックリスト記憶部に記憶させる業務チェックリスト生成手段と、
内部統制文書を生成して内部統制文書記憶部に記憶させる内部統制文書生成手段と、
1又は複数のコーポレート担当者から業務チェックリスト情報の入力を受け付け、業務チェックリスト変更部に前記業務チェックリスト情報を送信する情報送信手段と、
前記1又は複数のコーポレート担当者から受け付けた入力が前記業務チェックリスト情報の項目内の情報の追加、変更であるのか、項目自体の追加、変更、削除であるのかを判定する修正判定手段と、
前記修正判定手段における前記判定が項目内の情報の追加、変更であった場合、変更履歴を付けて、修正された業務チェックリストを、業務チェックリスト記憶部に記憶させる記憶手段と、
前記修正判定手段における前記判定が項目自体の追加、削除であった場合、変更履歴を付けるとともに、前記1又は複数の承認者端末に対してアラートを送信し、前記1又は複数の承認者端末からの承認を要求する承認要求手段と、
前記承認要求手段ののち、前記1又は複数の承認者端末から承認の可否情報を受信する可否情報受信手段と、
前記可否情報受信手段において、前記承認が可であれば、変更履歴を付けて、修正された前記業務チェックリストを、前記業務チェックリスト記憶部に記憶させる承認可手段と、
前記可否情報受信手段において、前記承認が否であれば、前記情報送信手段に戻る承認否手段と、
前記業務チェックリスト及び前記内部統制文書内の全ての業務にチェックがなされ、出力段階にあるかの判定を行う出力段階判定手段と、
前記出力段階判定手段において、出力段階にあると判定された場合、前記業務チェックリストを出力する出力手段と、
前記出力段階判定手段において、出力段階にないと判定された場合、前記情報送信手段に戻る出力否手段と、
を実現させるための内部統制構築プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部統制構築システム、内部統制構築方法、及び内部統制構築プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
非上場企業が上場準備をするにあたり、内部統制の構築は必須である。一般的に、企業内部に内部統制の構築に対して知見のある者がいれば、その者が内部統制を構築し、企業内部に知見のある者がいなければ、企業外部に内部統制構築支援を依頼する。
【0003】
内部統制は企業内部の基幹システムである。内部統制の構築のし方によって業務効率が変わり、内部統制の目的である牽制と確認を発揮することで業務フロー自体が適切に運用されることを実現できる。内部統制監査報告等、監査については専門性が求められるが、内部統制の運用は、その性質を理解した上で運用されなければ、内部統制による効果を十分発揮することが出来ない。
【0004】
企業は上場するにあたり、上場企業に求められる体制、その体制の文書化、及び管理を求められる。J-SOX法における内部統制監査時には、3点セットと呼ばれる内部統制文書、即ちリスクコントロールマトリックス(Risk Control Matrix;RCM、以下、RCMと呼ぶ)、業務フローチャート、業務記述書が必要とされるが、これらの文書は形骸化されやすい。即ち、これらの文書を用いて実際の業務を遂行することは稀であり、例えば業務チェックリスト等を作成し、それを元に業務を行い、月次決算や決算書作成等、実際の業務を遂行することが多い。また、業務チェックリストに変更が生じることも多く、業務チェックリストの管理は煩雑である。
【0005】
こういった問題に対して、特許文献1において、従来のワークフロー管理システムから、RCMを自動で生成する方法が開示されている。
【0006】
また、コーポレート業務は企業によって実施内容が異なることが多く、コーポレート業務担当者、及び承認者が実施した業務内容も企業によって異なる。さらに、複数のコーポレート担当者、及び承認者によって、企業のコーポレート業務が実施される場合、複数のコーポレート担当者、及び承認者のそれぞれがコーポレート業務のうち互いに異なる業務を担当するのが一般的である。従って、コーポレート業務担当者、及び承認者が実施可能なコーポレート業務は、各担当者、各承認者によって異なり、各担当者、各承認者が担当可能なコーポレート業務を把握することが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1において開示されている方法は、従来のワークフロー管理システムから、監査人による監査に応じてRCMを作成する方法である。この方法では、RCMを作成するためにはワークフロー情報が必要であり、ワークフロー情報の作成に手間を要する。
【0009】
上記問題点を鑑み、本発明は、業務チェックリストを管理するとともに、内部統制文書を自動作成することにより内部統制の効果を十分発揮させる内部統制構築システム、内部統制構築方法、及び内部統制構築プログラム提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、業務チェックリストと併せて内部統制文書を管理するための内部統制構築システムであって、1又は複数の担当者端末と、1又は複数の承認者端末と、内部統制構築サーバと、を備え、内部統制構築サーバは、ネットワークを介して、1又は複数の担当者端末、及び1又は複数の承認者端末とデータの送受信を行う送受信部と、管理部と、業務チェックリストを記憶する業務チェックリスト記憶部と、内部統制文書を記憶する内部統制文書記憶部と、を備え、管理部は、業務チェックリストの全ての業務にチェックがなされ、出力段階にあるかの判定を行う判定部と、1又は複数の担当者端末から送信された業務チェックリスト情報に基づき、業務チェックリストの項目内の情報の追加、変更、項目を新たに追加する、項目を削除する、等の変更を行う業務チェックリスト変更部と、業務チェックリストの項目の変更の内容を含む情報を受信して、内部統制文書の変更内容の推定を行い、内部統制文書に変更内容の候補を記載する内部統制文書変更部と、 新たな業務チェックリストを生成して業務チェックリスト記憶部に記憶させる業務チェックリスト生成部と、新たな内部統制文書を生成し、内部統制文書記憶部に記憶させる内部統制文書生成部と、業務チェックリストの項目と内部統制文書の項目との対応関係を示す表である対応表を記憶する対応表記憶部と備え、内部統制文書変更部は、業務チェックリストの項目の変更の内容を含む情報を用いて、対応表に基づき、内部統制文書に変更内容の候補を記載することを要旨とする。
【0011】
本発明の第1の態様において、業務チェックリスト生成部は、各月に1つの業務チェックリストを生成してもよい。
【0012】
本発明の第1の態様において、業務チェックリスト変更部によって、業務チェックリストに変更、項目を新たに追加する、項目を削除する、等の変更が行われた場合、業務チェックリストに変更履歴を付けるとともに、1又は複数の承認者端末に対してアラートを送信し、1又は複数の承認者端末からの承認を要求してもよい。
【0013】
本発明の第1の態様において、内部統制文書変更部は、業務チェックリストの項目の変更の内容を含む情報を受信すると、変更される前記業務チェックリストの項目が前記対応表内に存在するかを判定し、対応表に変更される前記業務チェックリストの項目が存在する場合、内部統制文書に変更内容の候補を記載し、対応表に変更される業務チェックリストの項目が存在しない場合、1又は複数の担当者端末に、変更される業務チェックリストの項目に対応する内部統制文書の項目に関する情報を送信するように要求してもよい。
【0014】
本発明の第1の態様において、内部統制文書変更部は、変更される業務チェックリストの項目に対応する内部統制文書の項目に関する情報を受信すると、対応表に、変更される業務チェックリストの項目とそれに対応する内部統制文書の項目とを追加し、新たな対応表を対応表記憶部に記憶させてもよい。
【0015】
本発明の第1の態様において、業務チェックリスト生成部は、前の月の業務チェックリストをもとに新たな業務チェックリストを生成してもよい。
【0016】
本発明の第1の態様において、内部統制文書生成部は、新たな業務チェックリストをもとに、予め設定されたフォーマットに沿って内部統制文書を生成してもよい。
【0017】
本発明の第1の態様において、対応表記憶部は、各業務のそれぞれに必要な項目の一覧を記載した一覧表をさらに記憶し、業務チェックリスト変更部は、業務チェックリスト変更部が新たに項目を追加する際、一覧表を参照することにより、必要な項目が全て業務チェックリスト内に記載されているかどうかを確認してもよい。
【0018】
本発明の第1の態様において、職務経歴書生成部をさらに備え、1又は複数の担当者端末は、業務チェックリスト変更部に業務チェックリスト情報を送信する際、業務チェックリスト情報を受け付けた際のコーポレート担当者の識別IDを同時に送信し、1又は複数の承認者端末は、業務チェックリスト変更部に承認情報を送信する際、承認情報を受け付けた際の承認者の識別IDを同時に送信し、職務経歴書生成部は業務チェックリストの、識別IDと、その項目とから、コーポレート担当者、及び、承認者の職務経歴書を生成してもよい。
【0019】
本発明の第2の態様は、新たな業務チェックリストを生成して業務チェックリスト記憶部に記憶させる業務チェックリスト生成ステップと、内部統制文書を生成して内部統制文書記憶部に記憶させる内部統制文書生成ステップと、1又は複数のコーポレート担当者から業務チェックリスト情報、又は内部統制文書情報の入力を受け付け、業務チェックリスト変更部に業務チェックリスト情報を送信する情報送信ステップと、1又は複数のコーポレート担当者から受け付けた入力が業務チェックリスト情報の項目内の情報の追加、変更であるのか、項目自体の追加、変更、削除であるのかを判定する修正判定ステップと、修正判定ステップにおける判定が項目内の情報の追加、変更であった場合、変更履歴を付けて、修正された業務チェックリストを、業務チェックリスト記憶部に記憶させる記憶ステップと、修正判定ステップにおける判定が項目自体の追加、削除であった場合、変更履歴を付けるとともに、1又は複数の承認者端末に対してアラートを送信し、1又は複数の承認者端末からの承認を要求する承認要求ステップと、承認要求ステップののち、1又は複数の承認者端末から承認の可否情報を受信する可否情報受信ステップと、可否情報受信ステップにおいて、承認が可であれば、変更履歴を付けて、修正された業務チェックリストを、業務チェックリスト記憶部に記憶させる承認可ステップと、可否情報受信ステップにおいて、承認が否であれば、情報送信ステップに戻る承認否ステップと、業務チェックリストの全ての業務にチェックがなされ、出力段階にあるかの判定を行う出力段階判定ステップと、出力段階判定ステップにおいて、出力段階にあると判定された場合、業務チェックリストを出力する出力ステップと、出力段階判定ステップにおいて、出力段階にないと判定された場合、情報送信ステップに戻る出力否ステップとを備えることを要旨とする。
【0020】
本発明の第3の態様は、内部統制構築プログラムであって、コンピュータに、新たな業務チェックリストを生成して業務チェックリスト記憶部に記憶させる業務チェックリスト生成手段と、内部統制文書を生成して内部統制文書記憶部に記憶させる内部統制文書生成手段と、1又は複数のコーポレート担当者から業務チェックリスト情報の入力を受け付け、業務チェックリスト変更部に業務チェックリスト情報を送信する情報送信手段と、1又は複数のコーポレート担当者から受け付けた入力が業務チェックリスト情報の項目内の情報の追加、変更であるのか、項目自体の追加、変更、削除であるのかを判定する修正判定手段と、修正判定手段における判定が項目内の情報の追加、変更であった場合、変更履歴を付けて、修正された業務チェックリストを、業務チェックリスト記憶部に記憶させる記憶手段と、修正判定手段における判定が項目自体の追加、削除であった場合、変更履歴を付けるとともに、1又は複数の承認者端末に対してアラートを送信し、1又は複数の承認者端末からの承認を要求する承認要求手段と、承認要求手段ののち、1又は複数の承認者端末から承認の可否情報を受信する可否情報受信手段と、可否情報受信手段において、承認が可であれば、変更履歴を付けて、修正された業務チェックリストを、業務チェックリスト記憶部に記憶させる承認可手段と、可否情報受信手段において、承認が否であれば、情報送信手段に戻る承認否手段と、業務チェックリストの全ての業務にチェックがなされ、出力段階にあるかの判定を行う出力段階判定手段と、出力段階判定手段において、出力段階にあると判定された場合、業務チェックリストを出力する出力手段と、出力段階判定手段において、出力段階にないと判定された場合、情報送信手段に戻る出力否手段とを実現させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、業務チェックリストを管理するとともに、内部統制文書を自動作成することにより内部統制の効果を十分発揮させる内部統制構築システム、内部統制構築方法、及び内部統制構築プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る内部統制構築システムの全体構成の一例を示す概要図である。
【
図2】第1の実施形態に係る内部統制構築サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る業務チェックリスト管理部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】内部統制文書の一つである業務記述書の一例を示す図である。
【
図8】第1の実施形態に係る対応表の一例を示す表である。
【
図9】内部統制文書の一つである業務記述書の一例を示す図である。
【
図10】第1の実施形態に係る内部統制構築システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図11】第1の実施形態に係る内部統制構築システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図12】第2の実施形態に係る内部統制構築サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。実施形態に係る図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものである。
【0024】
又、実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、各構成要素の構成や配置、レイアウト等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0025】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る内部統制構築システムを以下に説明する。
図1に、本実施形態に係る内部統制構築システム10の構成の一例を示す。
図1に示す内部統制構築システム10は、内部統制構築サーバ101、1又は複数の担当者端末1021~102a、1又は複数の承認者端末1031~103b、ネットワーク104から構成される。
【0026】
内部統制構築サーバ101、1又は複数の担当者端末1021~102a、1又は複数の承認者端末1031~103bは、パーソナルコンピュータ(PC)、メインフレーム、ワークステーション、クラウドコンピューティングシステム等、種々の電子計算機(計算リソース)である。図示の1又は複数の担当者端末1021~102a、1又は複数の承認者端末1031~103bはパーソナルコンピュータであり、文書作成結果の表示のためのディスプレイ、その他、入力用のキーボード、マウス等が接続されている。ネットワーク104は、インターネット、光ネットワーク、電話回線網等、いかなる通信網であってもよい。
【0027】
1又は複数の担当者端末1021~102a、1又は複数の承認者端末1031~103b、及び内部統制構築サーバ101は、ネットワーク104を介して接続されているが、1又は複数の担当者端末1021~102a、1又は複数の承認者端末1031~103b、及び内部統制構築サーバ101はいずれも同一の企業に属するものであるとする。
【0028】
1又は複数の担当者端末1021~102aは、1又は複数のコーポレート担当者がコーポレート業務を行い、コーポレート業務の業務チェックリストを作成、及び、業務チェックリストへチェック内容を記入する際に使用する端末である(aは1以上の整数)。1又は複数の担当者端末1021~102aは、1又は複数のコーポレート担当者から業務チェックリスト情報の入力を受け付け、ネットワーク104を介して内部統制構築サーバ101に業務チェックリスト情報を送信する。業務チェックリスト情報は、業務チェックリスト変更部302に、業務チェックリスト記憶部203に記憶されている業務チェックリストの項目内の情報の追加、変更、項目を新たに追加する、項目を削除する、等の変更を実行させるための情報である。
【0029】
1又は複数の承認者端末1031~103bは、1又は複数の承認者が、1又は複数のコーポレート担当者が作成した業務チェックリストに対して承認を行う端末である(bは1以上の整数)。1又は複数の承認者端末1031~103bは、1又は複数の承認者から業務チェックリスト承認のための情報の入力を受け付け、ネットワーク104を介して内部統制構築サーバ101に業務チェックリスト承認のための情報を送信する。1又は複数の承認者端末1031~103bは、内部統制構築サーバ101から1又は複数のコーポレート担当者が作成した業務チェックリストを受信する。その後、1又は複数の承認者端末1031~103bは、1又は複数の承認者から業務チェックリストの承認の可否情報を受け付け、ネットワーク104を介して内部統制構築サーバ101に業務チェックリストの承認の可否情報を送信する。ここで、1又は複数の承認者による承認は、1又は複数の承認者の全員の承認であってもよく、また、1又は複数の承認者のうち少なくとも一人の承認であってもよい。
【0030】
内部統制構築サーバ101は、1又は複数のコーポレート担当者が行うコーポレート業務を管理し、業務チェックリストから内部統制文書を生成する。
【0031】
ここで、業務チェックリストとは、企業内の複数の業務のそれぞれについて、複数の項目を設定し、企業内の各業務の内容について、複数の項目に記入することで企業内の業務を管理するリストである。業務チェックリストは、内部統制文書とは異なり、企業が、業務内容、複数の項目等を、独自に設定したものである。業務チェックリストの項目としては、例えば、期限、頻度、内容、担当者、キーコン、等である。
【0032】
図2に、本実施形態に係る内部統制構築サーバ101の構成の一例を示す。本実施形態に係る内部統制構築サーバ101は、送受信部201、管理部202、業務チェックリスト記憶部203、内部統制文書記憶部204、出力部205とから構成される。
【0033】
送受信部201は、ネットワーク104に接続されており、ネットワーク104を介して、1又は複数の担当者端末1021~102a及び1又は複数の承認者端末1031~103bとデータの送受信を行う。
【0034】
管理部202は、業務チェックリスト記憶部203に記憶されている業務チェックリスト及び内部統制文書記憶部204に記憶されている内部統制文書の変更、新たな業務チェックリストの生成、新たな内部統制文書の生成を行う。
【0035】
業務チェックリスト記憶部203は、業務チェックリストを記憶する。コーポレート業務は所定期間、一般的には月ごとに行われ、所定期間に1つ、月ごとであれば各月に1つの業務チェックリストが作成される。従って、業務チェックリスト記憶部203は、所定期間ごとの業務チェックリストが記憶されている。
【0036】
内部統制文書記憶部204は、管理部202において生成された内部統制文書を記憶する。
【0037】
出力部205は、後述するが、判定部301によって出力段階にあると判断された業務チェックリストを、ディスプレイ、プリンター等に出力する。
【0038】
図3に、本実施形態に係る管理部202の構成の一例を示す。管理部202は、判定部301、業務チェックリスト変更部302、内部統制文書変更部303、業務チェックリスト生成部304、内部統制文書生成部305、対応表記憶部306から構成される。
【0039】
図4に、本実施形態で生成される業務チェックリストの一例を示す。
図4に示す業務チェックリストには、業務種別、業務内容、チェックボックス、担当部署、担当者ID、日付が記載されている。業務内容詳細に記載されている業務が終了したのち、チェックボックスに「×」印のチェックが記入され、その業務が終了したことの確認を行った担当者のIDと日付が記載されている。
図4に示す業務チェックリストは一例であり、業務内容等によって内容は異なる。
【0040】
図5に、本実施形態で生成される、内部統制文書の一つである業務記述書の一例を示す。業務記述書は、J-SOX法における内部統制監査時に使用する文書の一つであり、企業の業務内容を記述したものである。
図5に示す業務記述書は、
図4に示す業務チェックリストの内容を踏まえて作成されたものとする。
図4と比較すると、
図5に示す業務記述書は、
図4に示す業務チェックリストの各項目を、その項目順に記載したものであることがわかる。
図5は、内部統制文書の一例として業務記述書を挙げているが、本実施形態では、内部統制文書としてはこれに限定されるものではなく、リスクコントロールマトリックス(RCMと呼ぶ)、業務フローチャート等についても、同様に生成され得る。本実施形態においては、業務チェックリストから業務記述書を生成するものとする。
【0041】
判定部301は、業務チェックリスト内の全ての業務にチェックがなされ、出力段階にあるかの判定を行う。業務チェックリスト内の全ての業務にチェックがなされていれば、判定部301は出力段階にあると判定し、判定部301は、送受信部201及びネットワーク104を介して1又は複数の担当者端末1021~102a及び1又は複数の承認者端末1031~103bに出力段階であることを通知し、業務チェックリストを出力部205から出力できるようにする。
【0042】
業務チェックリスト変更部302は、1又は複数の担当者端末1021~102aからネットワーク108及び送受信部201を介して送信された業務チェックリスト情報に基づき、業務チェックリスト記憶部203に記憶されている業務チェックリストの項目内の情報の追加、変更、項目を新たに追加する、項目を削除する、等の変更を行う。
【0043】
業務チェックリスト変更部302は、業務チェックリストの項目内の情報の追加、変更が行われた場合、変更履歴を付けて、修正された業務チェックリストを、業務チェックリスト記憶部203に記憶させる。ここで、変更履歴は、1又は複数の担当者端末1021~102a、及び1又は複数の承認者端末1031~103bにおいて変更内容、変更日時等がわかればどのような形式であってもよく、例えば、変更したことを示すフラグを立てることであってもよい。以下で述べる変更履歴においても同様である。
【0044】
業務チェックリスト変更部302は、項目を新たに追加する、項目を削除する、等の項目自体の変更が行われた場合、変更履歴を付けるとともに、1又は複数の承認者端末1031~103bに対して、項目を新たに追加する、項目を削除する、等の項目自体の変更に対する承認を要求するリクエスト信号を送信し、1又は複数の承認者端末1031~103bからの承認を要求してもよい。
【0045】
1又は複数の承認者端末1031~103bからの承認が可であれば、業務チェックリスト変更部302は、変更履歴を付けて、修正された業務チェックリストを、業務チェックリスト記憶部203に記憶させる。1又は複数の承認者端末1031~103bからの承認が否であれば、業務チェックリスト変更部302は、1又は複数の担当者端末1021~102aに対して、1又は複数の承認者端末1031~103bからの承認が否であることを知らせる情報を送信する。このとき、例えば、1又は複数の担当者端末1021~102aに対して、承認が否であることを知らせる情報に併せて、否となった理由を知らせる情報を送信する、チェックリストの当該変更を元に戻す、等の処理を実行してもよい。
【0046】
また、業務チェックリスト変更部302は、業務チェックリストの項目を新たに追加したのち、当該項目を追加した場合に必要な項目が業務チェックリスト内にない場合、新たに追加した項目についてのチェックを要求するリクエスト信号を送信するように設定できる。例えば、業務チェックリストに有価証券を購入するという項目を追加したのち、四半期で評価損益を判定するような項目が業務チェックリスト内にない場合、アラートを出すことが出来る。この場合、例えば、後述する対応表記憶部306に、各業務のそれぞれに必要な項目の一覧を記載した一覧表を記憶させておき、業務チェックリスト変更部302が新たに項目を追加する際、一覧表を参照することにより、必要な項目が全て業務チェックリスト内に記載されているかどうかを確認してもよい。
【0047】
図6に、業務チェックリスト変更部302によって、業務チェックリストの項目内の情報の追加が行われた場合の、追加後の業務チェックリストの一例を示す。
図6に示す業務チェックリストは、
図4に示す業務チェックリストの、4番目の項目である、業務内容「売上計上:出荷データを売上データへ変換する」の業務が終了したことが、担当者IDが133である担当者によって、□月◎日に確認されたことを示している。
【0048】
図7に、1又は複数の担当者端末1021~102aからネットワーク108及び送受信部201を介して送信された業務チェックリスト情報に基づき、業務チェックリスト変更部302によって、業務チェックリストの項目が新たに追加された場合の、追加後の業務チェックリストの一例を示す。
図7に示す業務チェックリストは、
図4に示す業務チェックリストの、6番目の項目である、業務種別「照合」、業務内容「販売担当者は請求書を売上伝票と照合する」が新たに追加されている。
【0049】
内部統制文書変更部303は、業務チェックリストの項目の変更内容を含む情報を受信して、内部統制文書の対応する項目の変更内容の候補を内部統制文書に記載する。具体的には、内部統制文書変更部303は、業務チェックリスト変更部302による業務チェックリストの項目を新たに追加、変更する、項目を削除する、等の変更に伴って、後述する、対応表記憶部306に記憶されている対応表に基づき、内部統制文書記憶部204に記憶されている内部統制文書の項目を新たに追加、変更する、項目を削除する、等の変更箇所の推定を行い、内部統制文書に変更内容の候補を記載する。
【0050】
内部統制文書変更部303は、業務チェックリスト変更部302から変更される業務チェックリストの項目を受信すると、業務チェックリスト変更部302によって変更される業務チェックリストの項目が対応表内に存在するかを判定する。対応表に項目が存在する場合、内部統制文書変更部303は、内部統制文書に変更内容の候補を記載する。対応表に項目が存在しない場合、内部統制文書変更部303は、1又は複数の担当者端末1021~102aに、変更される業務チェックリストの項目に対応する内部統制文書の項目に関する情報を送信するように要求する。内部統制文書変更部303は、内部統制文書の項目に関する情報を受信すると、対応表に、変更される業務チェックリストの項目とそれに対応する内部統制文書の項目とを追加し、新たな対応表を対応表記憶部306に記憶させる。
【0051】
変更内容が記載された内部統制文書は、1又は複数の担当者端末1021~102a、及び1又は複数の承認者端末1031~103bにおいて確認する事ができ、変更内容の候補の中から、変更内容を選択することが出来、又、変更内容の候補を修正することもできる。
【0052】
内部統制文書変更部303は、後述する、内部統制文書生成部305が業務チェックリスト生成部304によって生成された業務チェックリストを基に内部統制文書を生成する際、業務チェックリスト生成部304によって生成された業務チェックリストの項目に対応する内部統制文書の項目の判定も行う。
【0053】
業務チェックリスト生成部304は、新たな業務チェックリストを生成して業務チェックリスト記憶部203に記憶させる。業務チェックリストは所定期間ごと、一般的には月ごとに生成される。本実施形態では、月ごとに生成されるものとする。
【0054】
本実施形態において、業務チェックリスト生成部304は、新たに生成される業務チェックリストの1つ前の月の業務チェックリストをもとに新たな業務チェックリストを生成する。新たに生成される業務チェックリストの1つ前の月において、業務チェックリスト変更部302によって業務チェックリストの項目が追加、変更、又は削除される、といった業務チェックリストの項目自体の変更がなされた場合、新たに生成される業務チェックリストは、項目自体の変更後の、各項目内に情報が記載されていない業務チェックリストが生成される。最初に業務チェックリストを作成する場合等、新たに生成される業務チェックリストの1つ前の月の業務チェックリストが存在しない場合、例えば、業務チェックリストは予め作成されたものを用い、業務チェックリスト生成部304は業務チェックリストを生成しないものとしてもよい。
【0055】
業務チェックリストの生成は、自動で行われてもよく、又は、1又は複数の担当者端末1021~102aが、1又は複数のコーポレート担当者から業務チェックリストを生成するための情報の入力を受け付け、ネットワーク104を介して業務チェックリスト生成部304に業務チェックリストを生成するための情報を送信し、業務チェックリスト生成部304が受信した業務チェックリストを生成するための情報に応じて業務チェックリストを生成してもよい。
【0056】
内部統制文書生成部305は、新たな内部統制文書を生成し、内部統制文書記憶部204に記憶させる。業務チェックリストが所定期間ごとに生成されるため、内部統制文書生成部305もこれに合わせて所定期間ごとに内部統制文書を生成する。
【0057】
内部統制文書生成部305は、業務チェックリスト生成部304によって生成された業務チェックリストを基に、内部統制文書を生成してもよく、又は、新たに生成される内部統制文書の1つ前の月の内部統制文書をもとに内部統制文書を生成してもよい。最初に内部統制文書を作成する場合等、新たに生成される内部統制文書の1つ前の月の内部統制文書が存在しない場合、内部統制文書生成部305は、業務チェックリスト生成部304によって生成された、又は予め作成された業務チェックリストを基に内部統制文書を生成する。生成される内部統制文書は、本実施形態において、RCM、業務フローチャート、業務記述書である。以下では、内部統制文書生成部305が、業務チェックリストを基に、内部統制文書として業務記述書を生成する方法を説明する。
【0058】
図4、
図5に示すように、内部統制文書生成部305が業務チェックリストを基に業務記述書を生成する際、業務記述書はあらかじめ設定されたフォーマットに沿って生成される。本実施形態では、一例として、以下のようなフォーマットに沿って業務記述書が生成される。
【0059】
図5に示すように、業務の項目である「1.受注」、「2.出荷」、「3.売上計上」、「4.請求」は、
図4に示す業務チェックリストの業務種別ごとに記述されたものである。
図5に示す業務の項目は、
図4に示す業務の項目から、対応表記憶部306に記憶されている対応表に基づき、内部統制文書変更部303によって決定される。
【0060】
内部統制文書生成部305は、業務チェックリストに記載されている担当部署名に「担当者」を付加し、業務記述書に主語として記載する。
図4、及び
図5を参照すると、
図4の業務チェックリストに記載されている、担当部署である「販売」、「出荷」、「経理」に所属する者がそれぞれの業務を担当するものとして、担当部署名に「担当者」を付加した者が、
図5の業務記述書において、それぞれの業務を遂行する担当者であるとして、業務記述書の記載の主語として表記される。
【0061】
また、内部統制文書生成部305は、業務チェックリストに記載されている項目である業務種別から、対応表記憶部306に記憶されている対応表に基づき、内部統制文書変更部303によって業務記述書の項目を決定する。内部統制文書生成部305が、業務種別から内部統制文書変更部303によって業務記述書の項目を決定する手順は、内部統制文書変更部303が業務チェックリスト変更部302から変更される業務チェックリストの項目を受信してから、内部統制文書の項目を決定する手順と同様である。
【0062】
図4、及び
図5を参照すると、
図4の業務種別が「受注」である場合、内部統制文書変更部303によって業務記述書の項目が「受注」であると判定され、
図5の業務記述書には、「受注」の項目が記載される。業務チェックリストの項目が対応表にない場合、1又は複数の担当者端末1021~102aから業務チェックリストの項目に対応する内部統制文書の項目の入力を受け付ける。入力された内部統制文書の項目は内部統制文書に記載され、対応表に業務チェックリストの項目と、入力された内部統制文書の項目が記載される。
【0063】
また、内部統制文書生成部305は、業務チェックリストに記載されている業務内容を、業務記述書の主語の後に記載する。例えば、
図4に示すように、業務種別が「受注」であり、業務内容が「電話注文の場合、受注メモを作成する」のが、担当部署「販売」の担当者である場合、
図5の業務記述書には、「受注」の項目において、「販売担当者が、電話注文の場合、受注メモを作成する」と記載される。
【0064】
内部統制文書が生成されたのち、1又は複数の承認者端末1031~103bからの承認を経て、生成された内部統制文書は内部統制文書記憶部204に記憶される。
【0065】
以上に述べた方法は、内部統制文書生成部305が、業務チェックリストを基に、内部統制文書として業務記述書を生成する方法であるが、内部統制文書生成部305が業務フローチャートを生成するには、業務チェックリストに、各業務の順番、又は、各業務間の前後関係が記載されていればよい。
【0066】
又、RCMは、業務上想定されるリスクと、そのリスクに対する統制(コントロール)の対応表である。業務チェックリストに基づいて業務を遂行する際、1又は複数の承認者による承認が必要である業務は、業務上想定されるリスクのある業務であるとみなすことができる。従って、内部統制文書生成部305がRCMを生成するには、業務チェックリストの、1又は複数の承認者による承認が必要である業務に対して、1又は複数の承認者によって承認が行われる際、承認された場合の統制(コントロール)、又は次の業務と、承認されなかった場合の統制(コントロール)が明記されていればよい。
【0067】
対応表記憶部306は、業務チェックリストの項目と内部統制文書の項目との対応関係を示す表である対応表を記憶する。対応表は、内部統制文書変更部303が、業務チェックリスト変更部302による業務チェックリストの変更に伴って、内部統制文書記憶部204に記憶されている内部統制文書の変更箇所の推定を行う際に使用される。また、内部統制文書生成部305が業務チェックリストを基に業務記述書を生成する際にも使用される。
【0068】
図8に、対応表記憶部306に記憶されている対応表の一例を示す。一例として、
図8に示す対応表には、
図4、6、7に示す業務チェックリストの項目の一つである「業務内容」に対応する、
図5に示す業務記述書の項目が示されている。
【0069】
図9に、
図7に示す業務チェックリストの項目の追加が行われた場合の、
図8に示す対応表に基づく変更内容の候補が記載された業務記述書の一例を示す。
図9では、変更内容の候補が、ハイライト等によって示されている。
図7において、業務チェックリストの「照合」の項目が追加され、
図8の対応表においては、業務チェックリストの「照合」の項目は業務記述書の「請求」の項目に対応するため、
図9において、「請求」の項目に、業務チェックリストの「業務内容詳細」の内容が記載されている。
【0070】
図9に示す例において、
図8の対応表で業務チェックリストの「照合」の項目は業務記述書の「請求」の項目にのみ対応していたが、業務チェックリストの1つの項目に対して、業務記述書の複数の項目の候補があってもよい。その場合、業務記述書の複数の項目の候補が表示され、1又は複数のコーポレート担当者、又は、1又は複数の承認者によって、業務記述書の複数の項目の候補から、最適な項目が選択されてもよい。
【0071】
対応表記憶部306に記憶されている対応表は、予め、機械学習等によって作成されたものである。業務チェックリストの項目の追加が行われる際、対応表に、新たに追加される項目が記載されていない場合がある。その場合は、業務記述書に、対応表に対応する項目の記載がないことを、例えば「対応項目なし」等の表示によって示し、1又は複数のコーポレート担当者、又は、1又は複数の承認者によって、業務記述書に、対応する項目を記入する。業務記述書に記入された、対応する項目は、業務チェックリストに追加された項目とともに対応表に追加され、対応表が対応表記憶部306に記憶される。
【0072】
次に、
図10、及び
図11を参照しながら、本実施形態に係る内部統制構築システムの動作を説明する。
図10、及び
図11は、内部統制構築システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図10は、業務チェックリスト変更部302が、受信した業務チェックリスト情報に基づき、業務チェックリストの項目内の情報の追加、変更を行う場合の内部統制構築システムの動作を説明する。
【0073】
ステップS1001において、業務チェックリスト生成部304は、新たな業務チェックリストを生成して業務チェックリスト記憶部203に記憶させる。
【0074】
ステップS1002において、内部統制文書生成部305は、内部統制文書を生成して内部統制文書記憶部204に記憶させる。
【0075】
ステップS1003において、1又は複数の担当者端末1021~102aは、1又は複数のコーポレート担当者から業務チェックリスト情報の入力を受け付け、ネットワーク104を介して業務チェックリスト変更部302に業務チェックリスト情報を送信する。
【0076】
ステップS1004において、業務チェックリスト変更部302は、1又は複数の担当者端末1021~102aが、1又は複数のコーポレート担当者から受け付けた入力が業務チェックリスト情報の項目内の情報の追加、変更であるのか、項目自体の追加、変更、削除であるのかを判定する。
【0077】
ステップS1004における判定が項目内の情報の追加、変更であった場合、ステップS1005において、業務チェックリスト変更部302は、変更履歴を付けて、修正された業務チェックリストを、業務チェックリスト記憶部203に記憶させ、ステップS1006に進む。
【0078】
ステップS1004における判定が項目自体の追加、変更、削除であった場合は、ステップS1008において、
図11に示す11Aに進む。
【0079】
ステップS1006において、判定部301が、業務チェックリストの全ての業務にチェックがなされ、出力段階にあるかの判定を行う。
【0080】
ステップS1006において、業務チェックリストの全ての業務にチェックがなされていれば、ステップS1007において、判定部301は出力段階にあると判定し、判定部301は、送受信部201及びネットワーク104を介して1又は複数の担当者端末1021~102a及び1又は複数の承認者端末1031~103bに出力段階であることを通知し、業務チェックリスト及び内部統制文書を出力する。
【0081】
ステップS1006において、業務チェックリスト及び内部統制文書内の全ての業務にチェックがなされていなければ、ステップS1003に戻る。
【0082】
図11は、業務チェックリスト変更部302が、受信した業務チェックリスト情報に基づき、業務チェックリストの項目を新たに追加、変更する、項目を削除する、等の項目自体の変更を行う場合の内部統制構築システムの動作を説明する。
図11に示すフローチャートは、
図10に示すフローチャートの、ステップS1004における判定が項目自体の追加、変更、削除であった場合の、
図11に示す11Aから開始される。
【0083】
ステップS1101において、業務チェックリスト変更部302は、変更履歴を付けるとともに、1又は複数の承認者端末1031~103bに対してアラートを送信し、1又は複数の承認者端末1031~103bからの承認を要求する。
【0084】
ステップS1102において、業務チェックリスト変更部302は、1又は複数の承認者端末1031~103bから承認の可否情報を受信し、承認が可であるか、否であるかを判定する。
【0085】
ステップS1102における承認が可であれば、ステップS1103において、業務チェックリスト変更部302は、変更履歴を付けて、修正された業務チェックリストを、業務チェックリスト記憶部203に記憶させ、内部統制文書変更部303へ変更される業務チェックリストの項目を送信し、ステップS1104に進む。
【0086】
ステップS1102における承認が否であれば、業務チェックリスト変更部302は、1又は複数の担当者端末1021~102aに対して、1又は複数の承認者端末1031~103bからの承認が否であることを知らせる情報と、否となった理由を知らせる情報とを送信し、チェックリストの当該変更を元に戻し、11Bに進む。11Bは、
図10のステップS1009に接続される。
【0087】
ステップS1104において、内部統制文書変更部303は、業務チェックリスト変更部302から変更される業務チェックリストの項目を受信すると、業務チェックリスト変更部302によって変更される業務チェックリストの項目が対応表内に存在するかを判定する。
【0088】
ステップS1104において対応表に項目が存在すると判定された場合、ステップS1105において、内部統制文書変更部303は、内部統制文書に変更内容の候補を記載し、ステップS1106に進む。
【0089】
ステップS1104において対応表に項目が存在しないと判定された場合、ステップS1107において、内部統制文書変更部303は、1又は複数の担当者端末1021~102aに、変更される業務チェックリストの項目に対応する内部統制文書の項目に関する情報を送信するように要求し、ステップS1108に進む。
【0090】
ステップS1108において、内部統制文書変更部303は、内部統制文書の項目に関する情報を受信すると、対応表に、変更される業務チェックリストの項目とそれに対応する内部統制文書の項目とを追加し、新たな対応表を対応表記憶部306に記憶させ、変更履歴を付けて内部統制文書の項目を追加し、1又は複数の承認者端末1031~103bに対してアラートを送信し、1又は複数の承認者端末1031~103bからの追加した内部統制文書の項目についての承認を要求して、ステップS1109に進む。
【0091】
ステップS1106において、内部統制文書変更部303は、1又は複数の担当者端末1021~102aに対して、変更内容の候補の中から、変更内容を選択、又は、変更内容を修正する情報を要求し、1又は複数の担当者端末1021~102aから変更内容を選択、又は、変更内容を修正する情報を受信すると、変更履歴を付けて内部統制文書の項目の内容を選択、又は、修正し、1又は複数の承認者端末1031~103bに対してアラートを送信し、1又は複数の承認者端末1031~103bからの承認を要求して、ステップS1109に進む。
【0092】
ステップS1109において、内部統制文書変更部303は、1又は複数の承認者端末1031~103bから承認の可否情報を受信し、承認が可であるか、否であるかを判定する。
【0093】
ステップS1109における承認が可であれば、ステップS1110において、内部統制文書変更部303は、変更履歴を付けて、修正された内部統制文書を、内部統制文書記憶部204に記憶させる。11Cに進む。11Cは、
図10のステップS1010に接続される。
【0094】
ステップS1109における承認が否であれば、ステップS1111において、内部統制文書変更部303は、1又は複数の担当者端末1021~102aに対して、1又は複数の承認者端末1031~103bからの承認が否であることを知らせる情報と、否となった理由を知らせる情報とを送信し、内部統制文書の当該変更を元に戻し、11Bに進む。11Bは、
図10のステップS1009に接続される。
【0095】
(第2の実施形態)
1又は複数のコーポレート担当者は、1又は複数のコーポレート担当者の各々が一つの企業内のコーポレート業務のすべてを遂行するのではなく、各々は、一つの企業内のコーポレート業務のうちの一部を担当し、1又は複数のコーポレート担当者すべてで一つの企業内のコーポレート業務のすべてを遂行する。従って、本実施形態において、1又は複数のコーポレート担当者はそれぞれ識別IDを有する。1又は複数の承認者についても同様に、それぞれ識別IDを有する。
【0096】
図12に、本実施形態に係る内部統制構築サーバ1201の構成の一例を示す。本実施形態に係る内部統制構築サーバ1201は、第1の実施形態に係る内部統制構築サーバ101に、職務経歴書生成部1202をさらに備えた構成をなす。
【0097】
1又は複数の担当者端末1021~102aは、ネットワーク108及び送受信部201を介して業務チェックリスト変更部302、又は内部統制文書変更部303に業務チェックリスト情報、又は内部統制文書情報を送信する際、1又は複数のコーポレート担当者の識別IDを同時に送信する。
【0098】
同様に、1又は複数の承認者端末1031~103bは、ネットワーク108及び送受信部201を介して業務チェックリスト変更部302、又は内部統制文書変更部303に承認情報を送信する際、1又は複数の承認者の識別IDを同時に送信する。
【0099】
業務チェックリスト変更部302、又は内部統制文書変更部303は、変更履歴を付けて、修正された業務チェックリスト、又は修正された内部統制文書を、業務チェックリスト記憶部203、又は内部統制文書記憶部204に記憶させる際、業務チェックリスト、又は内部統制文書の修正された項目は、1又は複数のコーポレート担当者のうち誰によるものであるか、また、1又は複数の承認者のうち、誰によって承認されたかがわかるように、修正された項目に、その項目を修正したコーポレート担当者の識別IDと、その項目を承認した承認者の識別IDとを記録する。
【0100】
職務経歴書生成部1202は、業務チェックリスト記憶部203に記録された業務チェックリスト、又は内部統制文書記憶部204に記憶された内部統制文書の、識別IDと、その項目とから、コーポレート担当者、及び、承認者が業務チェックリスト、又は内部統制文書の項目のうち、担当した項目の業務を抽出し、職務経歴書を生成する。これにより、コーポレート担当者、及び、承認者がこれまでに担当したコーポレート業務の内容を正確に把握することが出来る。
【0101】
以上、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0102】
10 内部統制構築システム
101、1201 内部統制構築サーバ
1021~102a 1又は複数の担当者端末
1031~103b 1又は複数の承認者端末
104 ネットワーク
201 送受信部
202 管理部
203 業務チェックリスト記憶部
204 内部統制文書記憶部
301 判定部
302 業務チェックリスト変更部
303 内部統制文書変更部
304 業務チェックリスト生成部
305 内部統制文書生成部
306 対応表記憶部
1202 職務経歴書生成部