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  • 特開-ネジ節鉄筋用継手用グラウト止治具 図1
  • 特開-ネジ節鉄筋用継手用グラウト止治具 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068594
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】ネジ節鉄筋用継手用グラウト止治具
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/12 20060101AFI20230510BHJP
   E04G 21/20 20060101ALI20230510BHJP
   E04C 5/18 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
E04G21/12 105E
E04G21/20
E04C5/18 102
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179866
(22)【出願日】2021-11-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】516125358
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 利弘
(74)【代理人】
【識別番号】100205523
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 浩也
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 利弘
【テーマコード(参考)】
2E164
2E174
【Fターム(参考)】
2E164BA23
2E164BA50
2E174AA03
2E174DA64
2E174DA67
(57)【要約】      (修正有)
【課題】2本のネジ節鉄筋にグラウト注入材を用いて連結するネジ節継手であって、継手の両端部よりグラウト注入材が排出されたことで継手性能を保証する場合、グラウト注入材の先行排出を確認後さらに後行が排出するまでの間、先行側の排出が垂れ流しとなり、周りを汚し高価なグラウト注入材が無駄となるため、敏速にグラウト材の先行側の排出を止め、再利用できるグラウト止治具を提供する。
【解決手段】ネジ節鉄筋1と継手2の隙間からグラウト注入材5が両端から先行して漏れだすのを止めるグラウト止治具3であって、スポンジのように柔軟性で吸水性に優れた材質で、ネジ節鉄筋1の全体を覆うのに取り付け易いように片側を割った割れ部があり、手で絞めつけても良く、面ファスナー4やバネクリップを利用してハンドレスとしても良く、遠方の継手2の排出を止めるために面ファスナーにグラウト止を装着しても良い。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材質がスポンジである図1に示すグラウト止治具(3)であって、
ネジ節鉄筋(1)外径より小さい内径(C)と、
継手(2)外径より大きい外径(D)と、
側面から内径(C)まで割れている割れ部(6)と、
を備え、
内径(C)はネジ節鉄筋(1)を覆うため、空洞である、
ことを特徴とするグラウト止治具(3)。
【請求項2】
グラウト止治具(3)の内径(C)は、円形であり、
高さ(H)が面ファスナー(4)幅(B)より高い、
ことを特徴とする請求項1に記載のグラウト止治具(3)。
【請求項3】
請求項1のグラウト止治具(3)の使用方法であって、
グラウト注入材(5)の注入するステップと、
ネジ節鉄筋(1)全体を覆うように取り付けるステップと、
手、面ファスナー(4)、またはバネクリップを利用して締め付けるステップと、
を備えることを特徴とするグラウト止治具(3)の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本のネジ節鉄筋(1)にグラウト注入材(5)を用いて連結する継手(2)において使用されるものである。継手(2)性能を確保するためには、グラウト注入材(5)が継手(2)両端からの排出を確認しなければならないが、重力や継手(2)とネジ節鉄筋(1)の内部の複雑な抵抗により、グラウト注入材(5)の排出がどこから排出するのか見当がつかない状況の中、片端からの先行排出を確認し、次の後行片端から排出確認するまでの間、先行して排出されるグラウト注入材(5)が周りを汚し、高価なグラウト注入材(5)が無駄になっている状況があったが、従来、先行して排出されるグラウト注入材(5)を敏速に止める治具が存在しなかった。
【背景技術】
【0002】
そこで、ネジ鉄筋の接続部の隙間を効率的に封止できるグラウトストッパーが見られた。(特許文献1参照)
【0003】
また、グラウト材の漏れ止め作業を効率的に行える治具と、この漏れ防止治具を使ってグラウト材の充填を確実に行える鉄筋連結方法も見られた。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-111982号公報
【特許文献2】特開平7―139095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし上記先行発明には、次のような問題点があった。
【0006】
特許文献1:継手と鉄筋のグラウト止は鉄筋の二面幅から漏れ出す設定で作製されており、グラウト材が漏れ出しは、何処から漏れるのか見当がつかず、二面幅に装着しても、他方から漏れ出すのを防止できない。また、反力で他端から反力で漏れ出すことを想定し、2面幅の両端部を止めることとなっており、セットする手間が必要で注入作業は略一人で完結され、両端部からの漏れ出しを確認しすることで検査に合格となるため、瞬時の動作が必要であり、全周からの漏れ出しと瞬時に漏れを阻止することができない。
【0007】
特許文献2:二つのU字状の治具がネジ鉄筋の長手方向にそって、単に重ね配置されるだけである。そのため、受け部材に近い側の治具においてU字状の腕の間の空間が外部と連通することになる。つまり、受け部材の内部空間は二つの治具によっては完全に封止されないため、グラウト材の注入に伴って、グラウト材が十分に充填されない場合がある。
【0008】
また、継手(2)内のグラウト注入材(5)が継手(2)の両端から漏れ出しを確認することで検査に合格となるため、どちらかの端部より先行してグラウト注入材(5)があふれ出した後、注入を継続し他端部からグラウト注入材(5)があふれ出したら注入完了となる。よって、先行側は垂れ流しとなり、先行あふれ出しを確認後すぐさまグラウト注入材(5)を止めなければ、周りをグラウト注入材(5)で汚し、グラウト材の無駄となり、周囲を汚すことになり、敏速な治具が必要となった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、材質がスポンジである図1に示すグラウト止治具(3)であって、空洞であり、ネジ節鉄筋(1)外径より小さい内径(C)と、継手(2)外径より大きい外径(D)と、筒状の側面が内径(C)まで割れている割れ部(6)と、を備えることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明は、グラウト止治具(3)の内径(C)は、円形であり、高さ(H)が面ファスナー(4)幅(B)より高い、ことを特徴としている。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1のグラウト止治具(3)の使用方法であって、グラウト注入材(5)の注入するステップと、ネジ節鉄筋(1)全体を覆うように取り付けるステップと、手、面ファスナー(4)、またはバネクリップを利用して締め付けるステップと、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ワンマン施工が可能となる上、先行して漏れ出るグラウト注入材(5)を確認し、敏速に装着でき止めることができる。また、、施工場所を汚さずグラウト注入材(5)の作業ができ、取り外しも楽で再利用も可能である。さらに、天候により雨の日に施工しなければならない時など、継手(2)に水が入らない様に養生にも使用でき品質向上ができる。安全上の面でも、スポンジリング材質のグラウト止治具(3)と面ファスナー(4)は軽量であるため、高所作業で誤って落下させたときでも、人に当たった際に支障を与えることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】グラウト止治具(3)
図2】縦型継手(2)と横型継手(2)のグラウト注入材(5)の先行側の排出を止め、後行側の排出確認ができるグラウト止治具(5)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明であるグラウト止治具(3)は、円柱状であり、材質はスポンジであってもよい。スポンジとは、内部に細かな孔が無数に空いた多孔質の柔らかい物質であり、液体にひたすと孔内の空気と置換される形で液体を吸い取り、また外部からの力で容易に放出する特性を有するであって、材質は、当該性質を有しているものであればよく、素材は特に定めない。グラウト止治具(3)は、ネジ節鉄筋(1)の節に食い込むように面ファスナー幅(B)より高く(H)してもよく、一定の高さ(H)毎に切断し、ネジ節鉄筋(1)の外径サイズ毎に、ネジ節鉄筋(1)の外径より小さい内径(C)を形成し、内径(C)から外側にかけて割り部(6)を設け、継手(2)外径より大きい外径(D)とする。グラウト止治具(3)の内径(C)は、円形であってもよい。
[本発明の実施例]
【0015】
(ステップS1) 2本のネジ節鉄筋(1)にグラウト注入材(5)を用いて連結する継手(2)において、設計図書により指定された継手(2)を確認する。
(ステップS2) ネジ節鉄筋(1)の鋼種サイズを確認し、ネジ節鉄筋(1)のマーキングを確認する。
(ステップS3) 設計図書により有機グラウト・無機グラウトの有無を確認し、規定のグラウト注入材(5)を用意する
【0016】
(ステップS4) グラウト注入材(5)を注入前に継手(2)の向きを確認し、グラウト注入材(5)を注入する。縦型の場合にはグラウト注入材(5)は下側の端部から排出されることが考えられるので、下側の端部からグラウト注入材(5)の排出を確認後、ネジ節鉄筋(1)全体を覆うようにグラウト止治具(3)を取り付ける。
(ステップS5) 連続して注入し上部から排出が確認出来たら注入を止める。
(ステップS6) 手の届かない遠方の継手(2)の排出を止めるためにあらかじめ面ファスナー(4)をグラウト止治具(3)に装着しても良い
【0017】
(ステップS7) 横型連結の継手(2)では、先行端部から排出を確認後、グラウト止治具(3)を装着し、手、面ファスナー(4)、またはバネクリップを利用して締め付け、あふれ出しを止める。
(ステップS8) 反対の端部から排出を確認したら、グラウト注入材(5)を止める。
【0018】
(ステップS9) 縦型の継手(2)は排出側が略下側となるので先にグラウト止治具(3)を装着しても良い。
(ステップS10) 少し時間を置きグラウト止治具(3)を外すと再度漏れ出しを無くすことができる。
(ステップS11) 縦型の継手(2)の場合は、雨が降ると無機質のグラウト注入材(5)は乾きにくいので、雨で流れることが予想されるので、天候状況を確認してグラウト止治具(3)で上部をカバーすると品質が保たれる。
【符号の説明】
【0019】
1ネジ節鉄筋
2継手
3グラウト止治具
4面ファスナー
5グラウト注入材
6割り部
7グラウト注入孔
A二面幅
B面ファスナー幅
Cリング内径
Dリング外径
Hリング高さ
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材質がスポンジであり、
外形が円柱状であり、
内部が空洞のグラウト止治具であって、
ネジ節鉄筋外径より小さい内径と、
継手外径より大きい外径と、
側面から空洞まで割れている割れ部と、
を備え、
内部の空洞は、前記ネジ節鉄筋を覆うために空洞である、
ことを特徴とするグラウト止治具。
【請求項2】
面ファスナー部を備え、
グラウト止治具の空洞の断面は、円形であり、
グラウト止治具の高さは、前記面ファスナー幅より高い、
ことを特徴とする請求項1に記載のグラウト止治具。
【請求項3】
請求項1のグラウト止治具の使用方法であって、
グラウト注入材を継手に注入するステップと、
ネジ節鉄筋全体を覆うようにグラウト止治具を取り付けるステップと、
手、面ファスナー、またはバネクリップを利用してグラウト止治具を締め付けるステップと、
を備えることを特徴とするグラウト止治具の使用方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、材質がスポンジであり、外形が円柱状であり、内部が空洞のグラウト止治具であって、ネジ節鉄筋外径より小さい内径と、継手外径より大きい外径と、側面から空洞まで割れている割れ部と、を備え、内部の空洞は、前記ネジ節鉄筋を覆うために空洞である、ことを特徴とするとしている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項2の発明は、請求項1のグラウト止治具であって、面ファスナー部を備え、
グラウト止治具の空洞の断面は円形であり、グラウト止治具の高さは、前記面ファスナー幅より高い、ことを特徴としている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項3の発明は、グラウト注入材を継手に注入するステップと、ネジ節鉄筋全体を覆うようにグラウト止治具を取り付けるステップと、手、面ファスナー、またはバネクリップを利用してグラウト止治具を締め付けるステップと、を備えることを特徴としている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明であるグラウト止治具(3)は、円柱状であり、材質はスポンジであってもよい。
スポンジとは、内部に細かな孔が無数に空いた多孔質の柔らかい物質であり、液体にひたすと孔内の空気と置換される形で液体を吸い取り、また外部からの力で容易に放出する特性を有するであって、材質は、当該性質を有しているものであればよく、素材は特に定めない。グラウト止治具(3)は、ネジ節鉄筋(1)の節に食い込むように面ファスナー幅(B)より高く(H)してもよく、一定の高さ(H)毎に切断し、ネジ節鉄筋(1)の外径サイズ毎に、ネジ節鉄筋(1)の外径より小さい内径(C)である空洞を形成し、空洞から外側にかけて割り部(6)を設け、継手(2)外径より大きい外径(D)とする。グラウト止治具(3)の空洞は、円形であってもよい。