(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068599
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】裾上げが簡単にできるパンツ
(51)【国際特許分類】
A41D 1/06 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
A41D1/06 M
A41D1/06 502G
A41D1/06 502K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021191581
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】521427276
【氏名又は名称】アブクマソーイング有限会社
(72)【発明者】
【氏名】後藤 定一
(57)【要約】
【課題】パンツ丈の調整に道具を使わず簡単に出来るようにする。
【解決手段】本発明は
図4に示すように、パンツ身頃裏側の膝から裾辺りの内周面にインナーを設け、パンツ表側の裾端付近の周回方向にそって所定間隔で適宜に取り付けた係合素子と、パンツ身頃裏側に設けたインナーの外周回方向にそって所定間隔で適宜に取り付けた係合素子が相対して嵌合するようにし、折り返した裾をパンツの表身頃とインナーとの間に収まるようにした。
インナーの裾が出たときは、
図4のようにインナーの裾をおり返し、インナー裾端の外周回方向にそって所定間隔で適宜に取り付けた係合素子とインナーに適宜に取り付けた他の係合素子に嵌合するようにし解決した。
又、裾を嵌合するインナーに、パンツの裾を折り返して出来た実際の股下寸法を印字し、定規なしでも簡単にパンツ丈の調整が出来る様にした。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンツ身頃裏側の膝から裾辺りの内周面にパンツ身頃裾端より奥まったインナーを設け、インナーの一端をパンツ膝側の身頃裏内周面に固定し、他端の裾側は固定しない端とした状態のパンツであって、
パンツ身頃表側の裾端付近の周回方向にそって所定間隔で適宜箇所に取り付けた係合素子と、パンツ身頃裏側の内周面に設けたインナーの外周回方向にそって所定間隔で適宜箇所に取り付けた係合素子が相対して嵌合するようにし、
さらにインナーの外周回方向そって所定間隔で適宜箇所に取り付けた係合素子を元本とし、それを複製するようにインナーの外周長さ方向上下にそって所定間隔に複製した係合素子を取り付けたパンツ。
【請求項2】
上記請求項1のパンツに取り付けたインナーの裾端付近の外周回方向にそって適宜に係合素子を取り付け、同じインナーの外周に所定間隔に沿って適宜に取り付けた他の係合素子が相対して嵌合するようにしたパンツ。
【請求項3】
上記請求項1のパンツ身頃の裾を折り返して、折り返した裾の先端の真下にあるインナーに、パンツの裾を折り返して出来た実際の股下寸法を適宜間隔で、パンツの脇線に直角に描いた線と共に印字したパンツ。
【請求項4】
上記請求項1,2,3記載の係合素子を、凹状係合素子と凸状係合素子としたパンツ。
【請求項5】
上記請求項1、2、3記載の係合素子を、フック状係合素子とループ状係合素子としたパンツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丈を調整する機能のついたパンツ、及びパンツ丈を調整する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自分の股下に合うようにパンツ丈を調整するには、あらかじめ股下寸法がわかる場合は物差し等でパンツの股下寸法を出し、わからないときはパンツを実際にはいてみて自分の股下に合わせてパンツ丈の長さを決め、長すぎる分はカットをして、ミシンで三巻をするか、裾端をロックしまつり縫いをするか、両面テープを取り付けアイロンなどで温度を加えて圧着するなどしてパンツ丈を調整するので、必ず裾上げする道具が必要であり直ちにパンツ丈を調整できなかった。
又、一度調整したパンツ丈を異なるパンツ丈に調整し直すには、調整の終わったパンツをほどいて再調整するので、大変困難であった。
【0003】
又、スナップや面ファスナーでパンツ丈を調整することが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)
【0004】
しかしながら、パンツの脇身頃縫い代と股下縫い代に係合素子を取り付けたパンツの裾を内周面に折り返して係合素子どうしを嵌合した調整後のパンツを着用すると、折り返してはあるが嵌合せず自由な状態の前身頃中心辺りや後身頃中心辺りに、足のつま先が引っ掛かり着用しにくかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3984265号
【特許文献2】特開2017-53062 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数人が着回しするような作業着やレンタルユニフォーム等においては、手軽に何度でもパンツ丈を調整することや、パンツを難なく素早く着用すること求められるので、丈を調整する機能のついたパンツ、及びパンツ丈を調整する方法を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るパンツは、
図1に示すように、パンツ身頃裏側2の膝から裾辺りの内周面にインナー3を設け、インナー3の一端をパンツ膝側の身頃裏内周面に固定し、他端の裾側は固定しない端とした状態のパンツを作り、
パンツ身頃表側1の裾端付近の周回方向にそって所定間隔で適宜箇所に取り付けた係合素子4が、パンツ身頃裏側の内周面に設けたインナー3の外周回方向にそって所定間隔で適宜箇所に取り付けた係合素子4に相対して嵌合するようにしたものである。
さらにインナーの外周回方向に所定間隔にそって適宜に取り付けた係合素子を元本とし、それを複製するようにインナー3の外周長さ方向上下にそって所定間隔に複製した係合素子4を取り付けたものである。
【0008】
さらに、パンツの丈を短く調整した事により、インナー3がおり返したパンツ表身頃1裾端から露出した時に、インナー3の裾端をおり返したパンツ表身頃1の裾端より奥にする為に、インナー3の裾端付近の外周回方向にそって適宜に係合素子4を取り付け、同じインナーの外周にそって適宜に取り付けた他の係合素子が相対して嵌合するようにした。
【0009】
又 定規を使用することなくパンツの脇線に直角にパンツの丈を調整する為に、パンツ身頃の裾を折り返して、折り返した裾の先端の真下にあるインナー3に、パンツの裾を折り返して出来た実際の股下寸法9を適宜間隔で、パンツの脇線に対し直角にひいた線10と共に印字した。
【発明の効果】
【0010】
本発明で
図3のようにパンツ丈を調整すると、パンツ表身頃1の裾を折り返しインナー3の係合素子5にパンツ表身頃1の裾端に取り付けた係合素子6を嵌合するので、
図3で示すようにパンツ表身頃1の折り返した裾がインナー3とパンツ身頃裏2の間に収まり、インナー3の一端はパンツ膝側の身頃裏内周面に固定してあるので、本発明で丈を調整したパンツは、足のつま先が折り返した裾に引っ掛かることなく快適に着用することが出来る。
【0011】
さらに
図4のように、パンツの丈を短く調整した事により、インナー3がおり返したパンツ表身頃1裾端から露出した時は、インナー3の裾端付近の外周回方向にそって適宜に係合素子6を取り付け、同じインナーの外周にそって適宜に取り付けた他の係合素子5が相対して嵌合するようにしたので、
図4に示すように、おり返したパンツ表身頃1裾端から露出したインナー3を外周側に折り返し、パンツ表身頃1を折り返して嵌合したインナー3の係合素子の下辺りの係合素子5に嵌合すれば、パンツ表身頃1の折り返した裾とインナー3の折り返し裾、両方ともインナー3とパンツ身頃裏2の間に収まり、インナーの裾端が露出することなく快適に着用することが出来る。
【0012】
又
図3に示すように、パンツの裾を折り返して出来た実際の股下寸法9を適宜間隔で、パンツの脇線に対し直角にひいた線10と共に印字してあるので、定規が無くても股下寸法がわかれば、パンツ表身頃1の裾を折り返しインナー3の係合素子5にパンツ表身頃1の裾に取り付けた係合素子6を嵌合しただけで手軽に何度でもパンツ丈の調整が出来、又、やり直しも簡単に出来る。
【0013】
股下寸法がわからなくても、表のままでパンツを着用し、足の長さに合わせてパンツ身頃を内周面に折り返し、折り返した裾端の一部を近くにあるインナー3の係合素子5に、パンツ表身頃1の裾に取り付けてある係合素子6を嵌合し、あとは脇線に直角に印字した線10に沿って周回方向にパンツ表身頃とインナー3に相対した係合素子を嵌合すれば、着用したままで簡単にパンツ丈を調整することが出来る。
【0014】
又、インナー3とパンツ身頃表1が,パンツの裾端近くの係合素子4で嵌合しているので、パンツ内周面にあるインナー3の捻じれや捲れがなく,パンツの着用が素早く快適に出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】本発明のパンツ丈を調整する前の凹状係合素子と凸状係合素子を使用した、一実施例を示す部分断面図
【
図3】本発明のパンツ丈を76cmに調整し凹状係合素子と凸状係合素子を使用した、一実施例を示す部分断面図
【
図4】本発明のパンツ丈を64cmに調整し凹状係合素子と凸状係合素子を使用した、一実施例を示す部分断面図
【
図5】本発明のパンツ丈を調整する前のフック状係合素子とループ状係合素子を使用した、一実施例を示す部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図2ないし
図4は本発明の係合素子4を凸状係合素子5と凹状係合素子6とした実施例を示す。
縫い代12は実際に本発明パンツを作成する時に参考になると考え表記した。
又、凸状係合素子5と凹状係合素子6は、入れ替えて凸状係合素子6と凹状係合素子5としても同じような効果が得られる。
【0017】
図2はパンツ丈を調整する前の部分断面図で
パンツ身頃裏側2の膝から裾辺りの内周面にインナー3を設け、インナー3の一端をパンツ膝側の身頃裏内周面に布芯11とミシンステッチ13で固定し、他端の裾側は固定しない端とした状態のパンツを作る。
パンツ表側1の裾端付近の周回方向にそって適宜に取り付けた凹状係合素子6が、パンツ身頃裏側の内周面に設けたインナー3の外周回方向にそって適宜に取り付けた凸状係合素子5に相対して嵌合するようにしてある。
さらにインナーの外周回方向にそって適宜に取り付けた凸状係合素子5を元本とし、それを複製するようにインナー3の外周長さ方向上下にそって所定間隔に複製し凸状係合素子5を取り付けたものである。
また、パンツ身頃の裾を折り返して、折り返した裾の先端の真下にあるインナー3に、パンツの裾を折り返して出来た実際の股下寸法9を適宜間隔で、パンツの脇線に対し直角にひいた線10と共にインナー3の外周面に印字してある。
また、インナー3の裾端付近の外周回方向にそって適宜に凹状係合素子6を取り付け、同じインナー3の外周にそって適宜に取り付けた凸状係合素子5に相対して嵌合するようにしてある。
【0018】
図3はパンツ丈を76cmに調整した部分断面図で
パンツ表身頃1の裾を折り返し、インナー3の外周回方向にそって適宜に取り付けた凸状係合素子5の76の股下寸法の位置に、相対するように位置したパンツ表身頃1のパンツ表側の裾端付近の周回方向にそって適宜に取り付けた凹状係合素子6を嵌合する。
パンツ丈を76cmに調整した場合にはインナー3が、折り返したパンツ表身頃1裾端から露出せず奥まっている所にあるので、これでパンツ丈を76cmに調整する作業は完了した。
【0019】
図4はパンツ丈を64cmに調整した部分断面図で
パンツ表身頃1の裾を折り返し、インナー3の外周回方向にそって適宜に取り付けた凸状係合素子5の64の股下寸法の位置に、相対するように位置したパンツ表身頃1のパンツ表側の裾端付近の周回方向にそって適宜に取り付けた凹状係合素子6を嵌合しパンツ丈を64cmに調整すると、
インナー3が折り返したパンツ表身頃1裾端から露出するので、露出したインナー3を外周側に折り返し、折り返したインナー3の裾端が、パンツ表身頃1の裾を折り返し64cm調整したパンツの裾端から露出しなくなるところにある、インナー3の外周回方向にそって適宜に取り付けた係合素子を元本とし、それを複製するようにインナー3の外周長さ方向上下にそって所定間隔に複製した凸状係合素子5の最適な所に、折り返したインナー3の外周回方向にそって適宜に取り付けてある凹状係合素子6を嵌合して、インナー3が出ないようにする。
【0020】
図5は本発明の係合素子4をループ状係合素子7とフック状係合素子8とした実施例を示す。
この場合は、インナー3の外周長さ方向上下にテープ状のループ状係合素子7を所定間隔で適宜に取り付け、インナー3に取り付けたテープ状のループ状係合素子7の裾端付近にフック状係合素子8を取り付けた。
この場合は、インナー3に取り付けたループ状係合素子7がテープ状になっているので、パンツ丈を調整する為に、パンツ表側の裾端付近の周回方向に所定間隔に適宜に取り付けたフック状係合素子8を、連続してテープ状のループ状係合素子7に嵌合できるので、細かくパンツ丈を調整するのに有効である。
しかしながら、実際にループ状係合素子7とフック状係合素子8とでパンツ丈を調整すると、調整している最中にお互いの係合素子が中途半端に嵌合してしまいパンツ丈を調整するのに難儀をした、この現象を軽減するために、
パンツ表側の裾端付近の周回方向に取り付けたフック状係合素子8に係合素子保護シールを取り付けるか、
パンツ表側の裾端付近の周回方向に取り付けたフック状係合素子8の係合する面をパンツ身頃表1に向い合せ、パンツ身頃表1に向い合せたフック状係合素子8の四方のうちの一辺のみをミシンステッチで固定する、パンツ丈の調整位置が決まったらフック状係合素子8を固定していない一辺をめくり返して係合する面を露出させ、インナー3に取り付けたループ状係合素子に押し付ければ、容易にパンツ丈を調整が出来る。
【符号の説明】
【0021】
1 パンツ身頃表
2 パンツ身頃裏
3 インナー
4 係合素子
5 凸状係合素子
6 凹状係合素子
7 ループ状係合素子
8 フック状係合素子
9 股下寸法
10脇線に直角にひいた線
11布芯
12縫い代
13ミシンステッチ