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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068629
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】車両用灯具及びレーダ構造体
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20230510BHJP
   F21S 45/00 20180101ALI20230510BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20230510BHJP
【FI】
G01S7/03 240
F21S45/00
F21W102:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168180
(22)【出願日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】17/516,739
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】横山 泰三
(72)【発明者】
【氏名】松丸 卓矢
(72)【発明者】
【氏名】平田 圭一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB01
5J070AB15
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC11
5J070AD09
5J070AD10
5J070AF03
(57)【要約】
【課題】車両用灯具全体を交換することなく、レーダユニットを交換することができる車両用灯具等を提供する。
【解決手段】灯具ハウジング20と、前記灯具ハウジングとの間に灯室S1を形成するアウターレンズ30と、前記灯室に配置される灯具ユニットと、ブラケット50と、前記ブラケットに着脱可能に固定されるレーダユニット60と、を備え、前記灯具ハウジングには、前記灯室に連通する貫通穴21が形成されており、前記ブラケットは、前記貫通穴を介して前記灯室に配置される第1部分54と、前記第1部分が前記灯室に配置された状態で前記貫通穴を閉塞する第2部分51、52と、を含み、前記第1部分が前記灯室に配置され、かつ、前記第2部分が前記貫通穴を閉塞した状態で前記ブラケットを前記ハウジングに着脱可能に固定する固定部と、を備え、前記レーダユニットは、前記第1部分に着脱可能に固定された状態で前記灯室に配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯具ハウジングと、
前記灯具ハウジングに取り付けられ、前記灯具ハウジングとの間に灯室を形成するアウターレンズと、
前記灯室に配置される灯具ユニットと、
ブラケットと、
前記ブラケットに着脱可能に固定されるレーダユニットと、を備え、
前記灯具ハウジングには、前記灯室に連通する貫通穴が形成されており、
前記ブラケットは、前記貫通穴を介して前記灯室に配置される第1部分と、前記第1部分が前記灯室に配置された状態で前記貫通穴を閉塞する第2部分と、を含み、
前記第1部分が前記灯室に配置され、かつ、前記第2部分が前記貫通穴を閉塞した状態で前記ブラケットを前記灯具ハウジングに着脱可能に固定する固定部と、を備え、
前記レーダユニットは、前記第1部分に着脱可能に固定された状態で前記灯室に配置されている車両用灯具。
【請求項2】
前記第1部分は、前記アウターレンズ近傍まで延びており、
前記レーダユニットは、前記第1部分の先端部に着脱可能に固定されている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記貫通穴は、前記灯具ハウジングの背面と前記灯室とを連通する貫通穴又は前記灯具ハウジングの下面と前記灯室とを連通する貫通穴である請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記貫通穴は、外形が多角形の貫通穴であり、
前記ブラケットの断面形状は、前記貫通穴に対応する多角形形状である請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第1部分及び前記ハウジングのうち一方には、他方に当接する位置決めリブが設けられている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記灯具ハウジングには、前記貫通穴を取り囲む立壁部が形成されている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記ブラケットには、閉塞部及び延長部の側面により囲まれた切欠部が形成されており、
前記切欠部には、前記レーダユニット保持部に着脱可能に固定されたコネクタが配置されている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記閉塞部には、前記コネクタから延びるケーブルを前記灯室外に引き出す貫通穴が形成されている請求項7に記載の車両用灯具。
【請求項9】
灯具ハウジングに形成された貫通穴を介して前記灯具ハウジングと当該灯具ハウジングに取り付けられたアウターレンズにより構成される灯室に配置される第1部分と、前記第1部分が前記灯室に配置された状態で前記貫通穴を閉塞する第2部分と、を含み、かつ、前記第1部分が前記灯室に配置され、かつ、前記第2部分が前記貫通穴を閉塞した状態で前記灯具ハウジングに着脱可能に固定されるブラケットと、
前記ブラケットに着脱可能に固定された状態で前記灯室に配置されるレーダユニットと、
を備えるレーダ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具及びレーダ構造体に関し、特に、車両用灯具全体を交換することなく、レーダユニットを交換することができる車両用灯具及びレーダ構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、灯具ハウジングと、当該灯具ハウジングに取り付けられ、灯具ハウジングとの間に灯室を形成するアウターレンズ(透光部材)と、前記灯室に配置されたランプユニット及びレーダユニット(レーダ装置)と、を備えた車両用灯具が記載されている(特に、特許文献1の図2参照)。レーダユニットは、高周波の電磁波(例えば、ミリ波)を車両周辺に送信し、送信範囲内に存在する対象物からの反射波を受信することにより、対象物を検出するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/173855号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用灯具においては、レーダユニットのメンテナンス(修理、交換)が考慮されておらず、レーザユニットに不具合が生じ交換が必要となった場合、車両用灯具全体を交換しなければならないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、車両用灯具全体を交換することなく、レーダユニットを交換することができる車両用灯具及びレーダ構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる車両用灯具は、灯具ハウジングと、前記灯具ハウジングに取り付けられ、前記灯具ハウジングとの間に灯室を形成するアウターレンズと、前記灯室に配置される灯具ユニットと、ブラケットと、前記ブラケットに着脱可能に固定されるレーダユニットと、を備え、前記灯具ハウジングには、前記灯室に連通する貫通穴が形成されており、前記ブラケットは、前記貫通穴を介して前記灯室に配置される第1部分と、前記第1部分が前記灯室に配置された状態で前記貫通穴を閉塞する第2部分と、を含み、前記第1部分が前記灯室に配置され、かつ、前記第2部分が前記貫通穴を閉塞した状態で前記ブラケットを前記灯具ハウジングに着脱可能に固定する固定部と、を備え、前記レーダユニットは、前記第1部分に着脱可能に固定された状態で前記灯室に配置されている。
【0007】
このような構成により、車両用灯具全体を交換することなく、レーダユニットを交換することができる。
【0008】
これは、第1部分が灯室に配置され、かつ、第2部分が灯具ハウジングに形成された貫通穴を閉塞した状態で灯具ハウジングに着脱可能に固定されるブラケットに、レーダユニットが着脱可能に固定されていることによるものである。
【0009】
また、上記車両用灯具において、前記第1部分は、前記アウターレンズ近傍まで延びており、前記レーダユニットは、前記第1部分の先端部に着脱可能に固定されていてもよい。
【0010】
また、上記車両用灯具において、前記貫通穴は、前記灯具ハウジングの背面と前記灯室とを連通する貫通穴又は前記灯具ハウジングの下面と前記灯室とを連通する貫通穴であってもよい。
【0011】
また、上記車両用灯具において、前記貫通穴は、外形が多角形の貫通穴であり、前記ブラケットの断面形状は、前記貫通穴に対応する多角形形状であってもよい。
【0012】
また、上記車両用灯具において、前記第1部分及び前記ハウジングのうち一方には、他方に当接する位置決めリブが設けられていてもよい。
【0013】
また、上記車両用灯具において、前記灯具ハウジングには、前記貫通穴を取り囲む立壁部が形成されていてもよい。
【0014】
また、上記車両用灯具において、前記ブラケットには、閉塞部及び延長部の側面により囲まれた切欠部が形成されており、前記切欠部には、前記レーダユニット保持部に着脱可能に固定されたコネクタが配置されていてもよい。
【0015】
また、上記車両用灯具において、前記閉塞部には、前記コネクタから延びるケーブルを前記灯室外に引き出す貫通穴が形成されていてもよい。
【0016】
本発明にかかるレーダ構造体は、灯具ハウジングに形成された貫通穴を介して前記灯具ハウジングと当該灯具ハウジングに取り付けられたアウターレンズにより構成される灯室に配置される第1部分と、前記第1部分が前記灯室に配置された状態で前記貫通穴を閉塞する第2部分と、を含み、かつ、前記第1部分が前記灯室に配置され、かつ、前記第2部分が前記貫通穴を閉塞した状態で前記灯具ハウジングに着脱可能に固定されるブラケットと、前記ブラケットに着脱可能に固定された状態で前記灯室に配置されるレーダユニットと、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、車両用灯具全体を交換することなく、レーダユニットを交換することができる車両用灯具及びレーダ構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】車両用灯具10の正面図である。
図2】車両用灯具10の分解斜視図である。
図3図1のA-A断面図である。
図4図1のB-B断面図である。
図5図4中の矢印80の方向から見た矢視図である。
図6】ブラケット50の斜視図である。
図7】ブラケット50が固定された灯具ハウジング20の背面図である。
図8】車両用灯具10の変形例を表す図である。
図9】車両用灯具10の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態である車両用灯具10について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0020】
図1は、車両用灯具10の正面図である。
【0021】
本実施形態の車両用灯具10は、リアコンビネーションランプとして機能する車両用信号灯具で、自動車等の車両(図示せず)の後端部の左右両側にそれぞれ搭載される。左右両側に搭載される車両用灯具10は左右対称の構成であるため、以下、代表して、車両の後端部の左側(車両前方に向かって左側)に搭載される車両用灯具10について説明する。
【0022】
図2は、車両用灯具10の分解斜視図である。図3は、図1のA-A断面図である。図4は、図1のB-B断面図である。
【0023】
図2に示すように、車両用灯具10は、灯具ハウジング20、アウターレンズ30、灯具ユニット40(40A~40C。図2中省略、図5参照)、ブラケット50、レーダユニット60、ガスケット70を備える。
【0024】
アウターレンズ30は、灯具ユニット40が発光する光(可視光)に対して透明な材料製、例えば、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂(合成樹脂)製である。アウターレンズ30は、灯具ハウジング20の開口部を覆った状態で灯具ハウジング20に取り付けられ、灯具ハウジング20との間に灯室S1を形成する(図3図4参照)。アウターレンズ30は、その全周が灯具ハウジング20(開口部)に溶着されている。
【0025】
灯具ハウジング20は、アクリルやポリカーボネイト等の合成樹脂製で、灯室S1に連通する貫通穴21が形成されている(図2図3図5参照)。貫通穴21は、外形が矩形の貫通穴である。貫通穴21は、灯具ハウジング20の背面と灯室S1とを連通している。灯具ハウジング20の正面側には、貫通穴21を取り囲む矩形リング状の立壁部22(図2参照)が設けられている。
【0026】
図4に示すように、アウターレンズ30は、車両の後端部側に配置される後方レンズ部31、車両の側方側に配置される側方レンズ部32を含む。後方レンズ部31と側方レンズ部32は、湾曲部33を介して連続している。なお、アウターレンズ30は、車両デザイン等との関係で、適宜の形状としてよい。
【0027】
図5は、図4中の矢印80の方向から見た矢視図である。図5は、灯具ユニット40(40A~40C)及びレーダユニット60の配置例を表している。なお、灯具ユニット40の数及び配置は、図5に示す例に限らず、適宜の数及び配置としてよい。
【0028】
灯具ユニット40(40A~40C)は、アウターレンズ30と灯具ハウジング20により形成される灯室S1に配置されている。
【0029】
灯具ユニット40Aは、例えば、ストップランプ及びテールランプ兼用の灯具ユニットで、図示しないが、ストップランプ及びテールランプ兼用のリフレクタ(反射面)、及び、ストップランプ及びテールランプ兼用の光源を備えている。ストップランプ及びテールランプ兼用の光源を点灯すると、ストップランプ及びテールランプ兼用の光源が発光した光は、ストップランプ及びテールランプ兼用のリフレクタ(反射面)で反射され、アウターレンズ30を透過して照射される。これにより、ストップランプ又はテールランプが実現される。
【0030】
灯具ユニット40Bは、例えば、ストップランプ用灯具ユニットで、図示しないが、ストップランプ用リフレクタ(反射面)、及び、ストップランプ用光源を備えている。ストップランプ用光源を点灯すると、ストップランプ用光源が発光した光は、ストップランプ用リフレクタ(反射面)で反射され、アウターレンズ30を透過して照射される。これにより、ストップランプが実現される。
【0031】
灯具ユニット40Cは、例えば、ターンランプ用灯具ユニットで、図示しないが、ターンランプ用リフレクタ(反射面)、及び、ターンランプ用光源を備えている。ターンランプ用光源を点灯すると、ターンランプ用光源が発光した光は、ターンランプ用リフレクタ(反射面)で反射され、アウターレンズ30を透過して照射される。これにより、ターンランプが実現される。
【0032】
図6は、ブラケット50の斜視図である。
【0033】
ブラケット50は、アクリルやポリカーボネイト等の合成樹脂製で、図2図6に示すように、矩形リング状部51、矩形リング状部51に設けられたフランジ部52、矩形リング状部51の一部を閉塞する閉塞部53、アウターレンズ30近傍まで延びる延長部54、延長部54の先端部に設けられたレーダユニット保持部55を含む。
【0034】
図6に示すように、ブラケット50には、閉塞部53及び延長部54の側面54a、54bにより囲まれたスペースS2(切欠部。図4参照)が形成されている。このスペースS2には、レーダユニット保持部55(又は当該レーダユニット保持部55に着脱可能に固定されたレーダユニット60)に着脱可能に固定されたコネクタ90が配置されている。
【0035】
ブラケット50(矩形リング状部51)の断面形状は、灯具ハウジング20に形成された貫通穴21(立壁部22)に対応する矩形形状である。矩形リング状部51には、ガスケット70が装着されている(図6参照)。
【0036】
フランジ部52は、矩形リング状部51の全周に設けられている。矩形リング状部51及びフランジ部52が本発明の第2部分の一例である。
【0037】
閉塞部53は、矩形リング状部51の一部、すなわち、延長部54以外の部分を閉塞している。閉塞部53には、コネクタ90から延びる給電及び各種信号の送受信を行うケーブル91(電源ケーブル等)を灯室S1外に引き出す貫通穴が形成されている。
【0038】
延長部54は、矩形リング状部51及び閉塞部53により囲まれた縁部をアウターレンズ30近傍まで延長した筒形状に構成されている。延長部54の先端部は、レーダユニット保持部55により閉塞されている。延長部54が本発明の第1部分の一例である。
【0039】
延長部54の長さL(図4参照)は、その先端部(レーダユニット保持部55)に固定されるレーダユニット60から送信される電磁波(ミリ波)の送信範囲(垂直方向の広がり角θ図3参照)、水平方向の広がり角θ図4参照)の範囲)が周囲構造物(例えば、灯具ユニット40(40A~40C))に干渉しないように考慮された長さとされている。
【0040】
レーダユニット保持部55には、レーダユニット60(ケース61)に設けられたフランジ部62(図2図6中3箇所)がねじ止めされるねじボス56(図2図6中3箇所)が設けられている。ねじボス56は、フランジ部62(図2図6中3箇所)に対応する箇所(図2図6中3箇所)に設けられている。
【0041】
図7は、ブラケット50が固定された灯具ハウジング20の背面図である。
【0042】
図7に示すように、ブラケット50は、灯具ハウジング20に着脱可能に固定されている。具体的には、図3図4に示すように、延長部54が貫通穴21を介して灯室S1に配置され、かつ、フランジ部52が貫通穴21の周囲の灯具ハウジング部分に当接した状態でフランジ部52が貫通穴21の周囲の灯具ハウジング部分にねじN1(図7中4箇所)によりねじ止めされることにより(図7参照)、ブラケット50は、灯具ハウジング20に着脱可能に固定されている。ねじN1が、本発明の固定部の一例である。
【0043】
以上のように、ブラケット50が灯具ハウジング20に着脱可能に固定された状態で、図3に示すように、矩形リング状部51は、貫通穴21(貫通穴21を取り囲む矩形リング状の立壁部22)に挿入されており、かつ、当該貫通穴21に挿入された状態の矩形リング状部51と当該貫通穴21を取り囲む矩形リング状の立壁部22とが互いに対向している。そして、この互いに対向する矩形リング状部51と立壁部22との間にガスケット70が配置されている。これにより、灯室S1が密閉された状態に保たれている。
【0044】
図2に示すように、レーダユニット60(レーダ装置)は、ケース61、このケース61内に収容される送信アンテナ、受信アンテナ(いずれも図示せず)等を有する。レーダユニット60は、送信アンテナから電磁波(ミリ波)を送信するミリ波レーダユニットである。電磁波(ミリ波)は、アウターレンズ30を透過して、垂直方向の広がり角θ図3参照)、水平方向の広がり角θ図4参照)の範囲に送信(照射)される。そして、レーダユニット60は、その送信範囲(照射範囲)内に存在する対象物によって反射されアウターレンズ30を透過した反射波を受信アンテナによって受信する。受信された信号は制御装置、例えば、図示しないECU(Electronic Control Unit) によって信号処理が行われ、対象物(対象物との間の距離、角度、速度)が検出される。レーダユニット60においては、例えば76-81GHz帯のミリ波、特に79GHz帯のミリ波が用いられるが、この周波数帯に限定されない。
【0045】
なお、レーダユニット60のレーダ方式は、パルス方式、CW(Continuous Wave)方式のいずれであってもよいし、その他の方式であってもよい。また、レーダユニット60のアンテナ方式は、機械走査方式、ビーム切り替え方式、フェーズドアレー方式、ディジタルフォーミング方式のいずれであってもよいし、その他の方式であってもよい。
【0046】
レーダユニット60は、ブラケット50に着脱可能に固定されている。具体的には、図6に示すように、ケース61に設けられたフランジ部62(図6中3箇所)がブラケット50に設けられたねじボス56(図6中3箇所)にねじN2(図6中3箇所)によりねじ止めされることにより、レーダユニット60は、ブラケット50(レーダユニット保持部55)に着脱可能に固定されている。
【0047】
上記構成の車両用灯具10は、灯具ハウジング20に設けられたフランジ部23、24(図2参照)と車両(例えば、車体フレーム又はバンパー)とをねじ止めすることにより、車両に取り付けられる。
【0048】
次に、以上のようにレーダユニット60が着脱可能に固定されたブラケット50を灯具ハウジング20に着脱可能に固定する手順について説明する。
【0049】
まず、ブラケット50の延長部54を灯具ハウジング20に形成された貫通穴21を介して灯室S1に配置し、かつ、ブラケット50のフランジ部52を灯具ハウジング20に形成された貫通穴21の周囲の灯具ハウジング部分に当接させる。次に、この状態でフランジ部52を貫通穴21の周囲の灯具ハウジング部分にねじN1(図7中4箇所)によりねじ止めする。その際、矩形リング状部51が、貫通穴21(貫通穴21を取り囲む矩形リング状の立壁部22)に挿入され、かつ、当該貫通穴21に挿入された状態の矩形リング状部51と当該貫通穴21を取り囲む矩形リング状の立壁部22とが互いに対向した状態となる。これより、ブラケット50(及びこれに固定されたレーダユニット60)は、上下左右方向に関し、灯具ハウジング20(及びアウターレンズ30)に対して位置決めされる。また、ブラケット50のフランジ部52が灯具ハウジング20に形成された貫通穴21の周囲の灯具ハウジング部分に当接することにより、ブラケット50(及びこれに固定されたレーダユニット60)は、奥行き方向に関し、灯具ハウジング20(及びアウターレンズ30)に対して位置決めされる。
【0050】
以上のように、ブラケット50(及びこれに固定されたレーダユニット60)が灯具ハウジング20(及びアウターレンズ30)に対して位置決めされることにより、レーダユニット60の取り付け精度が向上する。
【0051】
また、以上のように互いに対向する矩形リング状部51と立壁部22との間にガスケット70が配置される。これにより、灯室S1が密閉された状態に保たれる。
【0052】
次に、レーダユニット60を交換する手順について説明する。
【0053】
まず、ねじN1(図7参照)を外し、ブラケット50を灯具ハウジング20から外す。これにより、レーダユニット60が露出する。次に、レーダユニット60をブラケット50から外し、別のレーダユニット60に交換する。その際、レーダユニット60はねじN2(図6参照)によりブラケット50(レーダユニット保持部55)に着脱可能に固定されているため、レーダユニット60を別のレーダユニット60に容易に交換することができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によれば、車両用灯具10全体を交換することなく、レーダユニット60を交換することができる。
【0055】
これは、延長部54が灯室S1に配置され、かつ、矩形リング状部51及びフランジ部52が灯具ハウジング20に形成された貫通穴21を閉塞した状態で灯具ハウジング20に着脱可能に固定されるブラケット50(レーダユニット保持部55)に、レーダユニット60が着脱可能に固定されていることによるものである。
【0056】
また、本実施形態によれば、レーダユニット60が着脱可能に固定されたブラケット50を、灯具ハウジング20の背面側から灯室S1に取り付けることができる。また、レーダユニット60が着脱可能に固定されたブラケット50を、灯具ハウジング20の背面側から取り外すことにより、レーダユニット60を交換することができるため、レーダユニット60故障時のメンテナンスが可能となる。
【0057】
次に、変形例について説明する。
【0058】
図8は、車両用灯具10の変形例を表す図である。
【0059】
図8に示すように、本変形例のハウジング20Aには、ブラケット50の延長部54の先端部(下部)に当接する位置決めリブ25が設けられている。それ以外、上記実施形態の車両用灯具10(図3参照)と同様である。
【0060】
本変形例によれば、ブラケット50の延長部54の先端部(下部)が位置決めリブ25により位置決めされた状態で支持されているため、当該ブラケット50の延長部54の先端部(当該先端部に固定されたレーダユニット60)が自重により変位するのを抑制することができる。これにより、自重により変位してレーダユニット60の検知エリアが大きく変動するのを抑制することができる。
【0061】
また、本変形例によれば、ブラケット50の延長部54の先端部(下部)が位置決めリブ25により位置決めされた状態で支持されているため、車両用灯具10が搭載された車両(図示せず)が振動(例えば、走行時の振動)しても、当該ブラケット50の延長部54の先端部(当該先端部に固定されたレーダユニット60)が振動してレーダユニット60の検知エリアが大きく変動するのを抑制することができる。なお、位置決めリブ25は、ブラケット50に設けられていてもよい。
【0062】
図9は、車両用灯具10の変形例である。以下、車両用灯具10Aと記載する。
上記実施形態では、灯具ハウジング20に形成された貫通穴21は、灯具ハウジング20の背面と灯室S1とを連通する貫通穴である例について説明したが、これに限らない。例えば、図9に示すように、灯具ハウジング20に形成された貫通穴21は、灯具ハウジング20の下面と灯室S1とを連通する貫通穴であってもよい。
【0063】
本変形例において、レーダユニット60が着脱可能に固定されたブラケット50Aは、ハウジング20に形成された貫通穴21を介して灯室S1に挿入され(図9A中の矢印参照)、かつ、ブラケット50Aのフランジ部52Aと灯具ハウジング20に形成された貫通穴21の周囲の灯具ハウジング部分とがガスケット70を間に挟んで対向した状態で、ねじN2により灯具ハウジング20に着脱可能に固定される(図9B参照)。
【0064】
その際、図9Bに示すように、ブラケット50Aの上部に設けられた位置決めリブ57が灯具ハウジング20に設けられた位置決め凹部26に挿入される。これにより、レーダユニット60がアウターレンズ30に対して位置決めされる。なお、位置決めリブ57を灯具ハウジング20に設け、位置決め凹部26をブラケット50Aに設けてもよい。
【0065】
本変形例によれば、レーダユニット60が着脱可能に固定されたブラケット50Aを、灯具ハウジング20の下面側から灯室S1に取り付けることができる。また、レーダユニット60が着脱可能に固定されたブラケット50Aを、灯具ハウジング20の下面側から取り外すことにより、レーダユニット60を交換することができるため、レーダユニット60故障時のメンテナンスが可能となる。
【0066】
なお、図示しないが、灯具ハウジング20に形成された貫通穴21は、灯具ハウジング20の背面、下面以外、例えば、上面(又は側面)と灯室S1とを連通する貫通穴であってもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、灯具ハウジング20に形成された貫通穴21として、外形が矩形の貫通穴を用い、ブラケット50として、矩形リング状部51を含むブラケットを用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、灯具ハウジング20に形成された貫通穴21として、矩形以外の多角形の貫通穴を用い、ブラケット50として、矩形以外の多角形のリング状部を含むブラケットを用いてもよい。また、例えば、灯具ハウジング20に形成された貫通穴21として、多角形以外の形状(例えば、円形、楕円形)の貫通穴を用い、ブラケット50として、多角形以外の形状(例えば、円形、楕円形)のリング状部を含むブラケットを用いてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、本発明の車両用灯具を、リアコンビネーションランプに適用した例について説明したが、これに限らない。例えば、リアコンビネーションランプ以外の車両用信号灯具に適用してもよいし、車両用前照灯等のその他の車両用灯具に適用してもよい。なお、本発明の車両用灯具を、車両用前照灯に適用する場合、灯室S1に冷却ファンを配置するのが望ましい。
【0069】
上記各実施形態で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
【0070】
上記各実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記各実施形態の記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0071】
10…車両用灯具、20、20A…灯具ハウジング、21…貫通穴、22…立壁部、23、24…フランジ部、25…位置決めリブ、30…アウターレンズ、31…後方レンズ部、32…側方レンズ部、33…湾曲部、40(40A~40C)…灯具ユニット、50…ブラケット、51…矩形リング状部、52…フランジ部、53…閉塞部、54…延長部、54a、54b…側面、55…レーダユニット保持部、56…ねじボス、60…レーダユニット、61…ケース、62…フランジ部、70…ガスケット、90…コネクタ、91…ケーブル、N1、N2…ねじ、S1…灯室、S2…スペース、θ…広がり角、θ…広がり角
図1
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図9