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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068630
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】車両用灯具及びレーダ構造体
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20230510BHJP
   F21S 45/00 20180101ALI20230510BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20230510BHJP
【FI】
G01S7/03 240
F21S45/00
G01S7/03 246
F21W102:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168181
(22)【出願日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】17/516,737
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 尚暉
(72)【発明者】
【氏名】藺森 篤
(72)【発明者】
【氏名】西村 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 実
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 美穂
(72)【発明者】
【氏名】會澤 秀章
(72)【発明者】
【氏名】高山 将之
(72)【発明者】
【氏名】玉川 啓典
(72)【発明者】
【氏名】渡部 貴斗
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB01
5J070AB15
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC11
5J070AD09
5J070AD10
(57)【要約】
【課題】レーダユニットが振動するのを抑制することができる(その結果、レーダユニットの検知エリアが大きく変動するのを抑制することができる)車両用灯具等を提供する。
【解決手段】灯具ハウジング20と、凹部34を含み、前記灯具ハウジングに取り付けられ、前記灯具ハウジングとの間に第1空間を形成するアウターレンズ30と、前記第1空間に配置される灯具ユニットと、前記凹部を覆った状態で配置され、前記凹部との間に第2空間を形成するレーダカバー50と、前記第2空間に配置されるブラケット60と、前記ブラケットに着脱可能に固定されるレーダユニット70と、前記ブラケットの一端部を前記アウターレンズに固定する第1固定部34d1、34d2と、前記ブラケットの他端部を前記ハウジングに固定する第2固定部N1と、を備える車両用灯具。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯具ハウジングと、
凹部を含み、前記灯具ハウジングに取り付けられ、前記灯具ハウジングとの間に第1空間を形成するアウターレンズと、
前記第1空間に配置される灯具ユニットと、
前記凹部を覆った状態で配置され、前記凹部との間に第2空間を形成するレーダカバーと、
前記第2空間に配置されるブラケットと、
前記ブラケットに着脱可能に固定された状態で前記第2空間に配置されるレーダユニットと、
前記ブラケットの一端部を前記アウターレンズに固定する第1固定部と、
前記ブラケットの他端部を前記ハウジングに固定する第2固定部と、
を備える車両用灯具。
【請求項2】
前記第1固定部は、前記アウターレンズに設けられ、前記ブラケットの一端部を挟み込んだ状態で当該ブラケットの一端部を前記アウターレンズに固定する請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記レーダカバーは前記ブラケットに着脱可能に固定されている請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記凹部及び前記ブラケットの一方には、他方に当接する少なくとも1つの位置決めリブが設けられている請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記位置決めリブは、前記レーダカバーと前記凹部との間の隙間を均一に保つための位置決めリブである請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記ブラケットの他端部は、前記凹部を跨るように少なくとも1つの屈曲部を介して延びている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記ブラケットの他端部は最終的に前記ハウジングに向かって延び、その先端部が前記第2固定部により前記ハウジングに固定されている請求項6に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記アウターレンズと当該アウターレンズに隣接する前記レーダカバーとの間に段差部が形成されている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記アウターレンズに隣接する前記レーダカバーの端部は、屈曲部を介して後方に屈曲することにより、前記アウターレンズより後方に位置している請求項8に記載の車両用灯具。
【請求項10】
前記アウターレンズは、可視光に対して透明であり、前記レーダカバーは、可視光に対して不透明である請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項11】
アウターレンズに着脱可能に固定されるブラケットと、
前記ブラケットに着脱可能に固定された状態で前記ブラケットとの間に空間を形成するレーダカバーと、
前記ブラケットに着脱可能に固定された状態で前記空間に配置されるレーダユニットと、
を備えるレーダ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具及びレーダ構造体に関し、特に、レーダユニットが振動するのを抑制することができる(その結果、レーダユニットの検知エリアが大きく変動するのを抑制することができる)車両用灯具及びレーダ構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、灯具ハウジング(ランプ筐体)と、当該灯具ハウジングの下部から下方に延びる板状の部分に取り付けられたレーダユニット(レーダ装置)と、当該レーダユニットの前方に配置されたレーダカバーと、を備えた車両用灯具が記載されている(特に、特許文献1の図2参照)。レーダユニットは、高周波の電磁波(例えば、ミリ波)を車両周辺に送信し、送信範囲内に存在する対象物からの反射波を受信することにより、対象物を検出するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-38181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用灯具においては、レーダユニットは、灯具ハウジングの下部から下方に片持ち梁状に延びる板状の部分に取り付けられているため、車両用灯具が搭載された車両の振動(例えば、走行時の振動)により、片持ち梁状に延びる板状の部分(及びこれに取り付けられたレーダユニット)が当該板状の部分の根元(固定部)を支点として大きく振動し、レーダユニットの検知エリアが大きく変動するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、レーダユニットが振動するのを抑制することができる(その結果、レーダユニットの検知エリアが大きく変動するのを抑制することができる)車両用灯具及びレーダ構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる車両用灯具は、灯具ハウジングと、凹部を含み、前記灯具ハウジングに取り付けられ、前記灯具ハウジングとの間に第1空間を形成するアウターレンズと、前記第1空間に配置される灯具ユニットと、前記凹部を覆った状態で配置され、前記凹部との間に第2空間を形成するレーダカバーと、前記第2空間に配置されるブラケットと、前記ブラケットに着脱可能に固定された状態で前記第2空間に配置されるレーダユニットと、前記ブラケットの一端部を前記アウターレンズに固定する第1固定部と、前記ブラケットの他端部を前記灯具ハウジングに固定する第2固定部と、を備える。
【0007】
このような構成により、レーダユニットが振動するのを抑制することができる(その結果、レーダユニットの検知エリアが大きく変動するのを抑制することができる)。
【0008】
これは、レーダユニットが固定されるブラケットが、片持ち梁状にではなく、一端部がアウターレンズに固定され、他端部が灯具ハウジングに固定されていることによるものである。
【0009】
また、レーダユニットに対する熱(灯具ユニットが発生する熱)の影響を抑制することができるという利点がある。これは、レーダユニットが、灯具ユニットが発生する熱により高温になる第1空間(灯具ハウジングとアウターレンズにより形成される空間)より低温の第2空間(アウターレンズとレーダカバーにより形成される空間)に配置されることによるものである。
【0010】
さらに、レーダユニット故障時のメンテナンスを容易に行うことができるという利点がある。これは、レーダユニット及びレーダカバーがそれぞれ、ブラケットに着脱可能に固定されているため、車両用灯具そのものを車両から取り外すことなく、ブラケットからレーダカバーを外すことにより、レーダユニットを交換することができることによるものである。
【0011】
また、上記車両用灯具において、前記第1固定部は、前記アウターレンズに設けられ、前記ブラケットの一端部を挟み込んだ状態で当該ブラケットの一端部を前記アウターレンズに固定してもよい。
【0012】
また、上記車両用灯具において、前記レーダカバーは前記ブラケットに着脱可能に固定されていてもよい。
【0013】
また、上記車両用灯具において、前記凹部及び前記ブラケットの一方には、他方に当接する少なくとも1つの位置決めリブが設けられていてもよい。
【0014】
また、上記車両用灯具において、前記位置決めリブは、前記レーダカバーと前記凹部との間の隙間を均一に保つための位置決めリブであってもよい。
【0015】
また、上記車両用灯具において、前記ブラケットの他端部は、前記凹部を跨るように少なくとも1つの屈曲部を介して延びていてもよい。
【0016】
また、上記車両用灯具において、前記ブラケットの他端部は最終的に前記ハウジングに向かって延び、その先端部が前記第2固定部により前記ハウジングに固定されていてもよい。
【0017】
また、上記車両用灯具において、前記アウターレンズと当該アウターレンズに隣接する前記レーダカバーとの間に段差部が形成されていてもよい。
【0018】
また、上記車両用灯具において、前記アウターレンズに隣接する前記レーダカバーの端部は、屈曲部を介して後方に屈曲することにより、前記アウターレンズより後方に位置していてもよい。
【0019】
また、上記車両用灯具において、前記アウターレンズは、可視光に対して透明であり、前記レーダカバーは、可視光に対して不透明であってもよい。
【0020】
本発明にかかるレーダ構造体は、アウターレンズに着脱可能に固定されるブラケットと、前記ブラケットに着脱可能に固定された状態で前記ブラケットとの間に空間を形成するレーダカバーと、前記ブラケットに着脱可能に固定された状態で前記空間に配置されるレーダユニットと、を備えるレーダ構造体。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、レーダユニットが振動するのを抑制することができる(その結果、レーダユニットの検知エリアが大きく変動するのを抑制することができる)車両用灯具及びレーダ構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】車両用灯具10の正面図である。
図2】車両用灯具10の上面図である。
図3】車両用灯具10の分解斜視図である。
図4図2中の矢印80の方向から見た矢視図である。
図5図4のA-A断面図である。
図6図4のB-B断面図である。
図7】車両用灯具10の側面図である(レーダカバー50省略)。
図8】車両用灯具10の部分拡大斜視図(透視図)である。
図9】レーダカバー50の変形例である。
図10】レーダカバー50の変形例である。
図11】ブラケット60Aの一端部をねじN3によりハウジング20に固定し、ブラケット60Aの他端部(下端部)をねじN1によりハウジング20に固定した例(変形例)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態である車両用灯具10について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0024】
図1は、車両用灯具10の正面図である。図2は、車両用灯具10の上面図である。
【0025】
本実施形態の車両用灯具10は、ヘッドランプとして機能する車両用灯具で、自動車等の車両(図示せず)の前端部の左右両側にそれぞれ搭載される。左右両側に搭載される車両用灯具10は左右対称の構成であるため、以下、代表して、車両の前端部の左側(車両前方に向かって左側)に搭載される車両用灯具10について説明する。
【0026】
図3は、車両用灯具10の分解斜視図である。図4は、図2中の矢印80の方向から見た矢視図である。図5は、図4のA-A断面図である。図6は、図4のB-B断面図である。図7は、車両用灯具10の側面図である(レーダカバー50省略)。図8は、車両用灯具10の部分拡大斜視図(透視図)である。
【0027】
図2図3等に示すように、車両用灯具10は、灯具ハウジング20、アウターレンズ30、灯具ユニット40、レーダカバー50、ブラケット60、レーダユニット70を備える。
【0028】
灯具ハウジング20は、アクリルやポリカーボネイト等の合成樹脂製で、アウターレンズ30の下端部より下方に延長された延長部21を含む(図3図5参照)。
【0029】
アウターレンズ30は、灯具ユニット40が発光する光(可視光)に対して透明な材料製、例えば、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂(合成樹脂)製である。アウターレンズ30は、灯具ハウジング20の開口部を覆った状態で灯具ハウジング20に取り付けられ、灯具ハウジング20との間に空間S1(本発明の第1空間の一例)を形成する(図2参照)。アウターレンズ30は、その全周が灯具ハウジング20(開口部)に溶着されている。
【0030】
図2図3に示すように、アウターレンズ30は、車両の前端部側に配置される前方レンズ部31、車両の側方側に配置される側方レンズ部32、前方レンズ部31と側方レンズ部32との間に配置された湾曲レンズ部33を含む。なお、アウターレンズ30は、車両デザイン等との関係で、適宜の形状としてよい。
【0031】
アウターレンズ30は、凹部34を含む。凹部34は、湾曲レンズ部33の正面側に設けられている。凹部34は、ブラケット60(及びこのブラケット60に取り付けられたレーダカバー50、レーダユニット70)が挿入される凹部である。凹部34は、背面側に配置された底面34a、底面34aの左右両側に配置された側面34b、34c、底面34aの上側に配置された上面34d、底面34の下側に配置された下面34eによって囲まれている(図3図7等参照)。このように凹部34は、その底面34aが、左右両側に配置された側面34b、34c、上面34d及び下面34eによって囲まれているため、下面34eを省略する場合と比べ、一体感のある外観状の見栄えを実現することができる。
【0032】
凹部34の一方の側面34bには、ブラケット60(レーダユニット保持部61)の一方の側部に当接する位置決めリブ34b1が設けられている(図7参照)。同様に、凹部34の他方の側面34cには、ブラケット60(レーダユニット保持部61)の他方の側部に当接する位置決めリブ34c1が設けられている(図3図7参照)。また、図示しないが、凹部34の上面34dには、ブラケット60(レーダユニット保持部61)の上端部に当接する位置決めリブが設けられている。
【0033】
また、凹部34の上面34dには、フランジ部34d1、34d2が設けられている(図3図7等参照)。フランジ部34d1、34d2は、凹部34の底面34aとの間にブラケット60(レーダユニット保持部61)の上端部に設けられたフランジ部63a、63bが挿入されるスペースをあけて設けられている(図5参照)。
【0034】
灯具ユニット40は、アウターレンズ30と灯具ハウジング20により形成される空間S1に配置されている(図2参照)。
【0035】
灯具ユニット40は、ヘッドランプ用の灯具ユニットである。灯具ユニット40は、プロジェクタ型の灯具ユニット、リフレクタ型の灯具ユニット、ダイレクトプロジェクション型(直射型)の灯具ユニット、導光体(導光棒、導光板)を用いた灯具ユニットのいずれであってもよいし、これら以外の灯具ユニットであってもよい。ヘッドランプ用光源(図示せず)を点灯すると、ヘッドランプ用光源が発光した光は、アウターレンズ30の前方レンズ部31を透過して照射される。これにより、ヘッドランプが実現される。
【0036】
ブラケット60は、アクリルやポリカーボネイト等の合成樹脂製で、レーダユニット70を保持するレーダユニット保持部61、レーダユニット保持部61から下方に延びる延長部62を含む(図3図5等参照)。
【0037】
レーダユニット保持部61には、レーダユニット70(ケース71)に設けられたフランジ部72(図3中3箇所)に係合する係合部64(図3中3箇所)が設けられている。係合部64は、例えば、レーダユニット70(ケース71)に設けられたフランジ部72を左右両側から挟持する一対の爪部(フック部)で、フランジ部72(図3中3箇所)に対応する箇所(図3中3箇所)に設けられている。
【0038】
図5に示すように、延長部62は、レーダユニット保持部61の下端部から第1屈曲部C1を介して前方に延び、第2屈曲部C2を介して下方に延び、第3屈曲部C3を介して後方に延び、さらに第4屈曲部C4を介して下方に延びている。
【0039】
このように延長部62は、アウターレンズ30に設けられた凹部34(底面34aの下側に配置された下面34e)を跨るように形成されている。なお、下面34eを省略し、アウターレンズ30に設けられた凹部34の底面34aを鉛直下方向(図5中下方向)に延びる平らな形状にしてもよい。この場合、ブラケット60の延長部62を省略し、延長部62を鉛直下方向に延びる平らな形状にしてもよい。
【0040】
ブラケット60は、アウターレンズ30(凹部34)及び灯具ハウジング20(延長部21)に着脱可能に固定されている。具体的には、図5図7に示すように、ブラケット60(レーダユニット保持部61)の上端部に設けられたフランジ部63a、63bがアウターレンズ30の凹部34の上面34dに設けられたフランジ部34d1、34d2と底面34aとの間のスペースに挿入されることにより、ブラケット60の上端部(本発明のブラケットの一端部の一例)は、フランジ部34d1、34d2と底面34aとの間に挟み込まれた状態でアウターレンズ30(凹部34)に固定されている。フランジ部34d1、34d2が、本発明の第1固定部の一例である。
【0041】
一方、ブラケット60(延長部62)の下端部が灯具ハウジング20の延長部21にねじN1によりねじ止めされることにより(図1図5参照)、ブラケット60の下端部(本発明のブラケットの他端部の一例)は、灯具ハウジング20(延長部21)に固定されている。その際、ブラケット60の延長部62は、第3屈曲部C3から灯具ハウジング20の延長部21に向かって後方に延びているため、ねじN1により固定した際、前方から後方へ締め付ける力が加わりやすくなる。これにより、強固にブラケット60を灯具ハウジング20に固定することが可能となる。ねじN1が、本発明の第2固定部の一例である。
【0042】
以上のように、ブラケット60がアウターレンズ30(凹部34)及び灯具ハウジング20(延長部21)に着脱可能に固定された状態で、ブラケット60(レーダユニット保持部61の背面)とアウターレンズ30の凹部34の底面34aとは対向している(図5参照)。また、ブラケット60(レーダユニット保持部61)の左右両側が、アウターレンズ30の凹部34の側面34b、34cに設けられた位置決めリブ34b1、34c1に当接することにより(図7参照)、ブラケット60は、左右方向に関し、アウターレンズ30(凹部34)に対して位置決めされている。さらに、ブラケット60(レーダユニット保持部61)の上端部が、アウターレンズ30の凹部34の上面34dに設けられた位置決めリブ(図示せず)に当接することにより、ブラケット60は、上下方向に関し、アウターレンズ30(凹部34)に対して位置決めされている。なお、位置決めリブ34b1、34c1等は、ブラケット60に設けてもよい。
【0043】
レーダカバー50は、可視光に対して不透明な材料製、例えば、黒色の合成樹脂製である。レーダカバー50は、飛び石等からレーダユニット70を保護するため、外観性を確保するために設けられる。レーダカバー50は、アウターレンズ30の凹部34を覆った状態で配置され、アウターレンズ30(凹部34)との間に空間S2(本発明の第2空間の一例)を形成する(図5参照)。
【0044】
レーダカバー50は、ブラケット60に着脱可能に固定されている。具体的には、レーダカバー50の上端部に設けられた左右一対のフック部51(図8中一方のフック部51のみを図示)がブラケット60の上端部に形成された左右一対の貫通穴63(図7中一方の貫通穴63のみを図示)に挿入され当該貫通穴63周囲に係合することにより(図8参照)、レーダカバー50の上端部は、ブラケット60に固定されている。なお、貫通穴63に挿入され背面側に突出したフック部51が干渉しないように、凹部34の底面34aのうち貫通穴63から背面側に突出するフック部51に対応する部分には、凹部34a1が設けられている(図8参照)。
【0045】
一方、レーダカバー50の下端部がブラケット60にねじN2によりねじ止めされることにより(図1参照)、レーダカバー50の下端部は、ブラケット60に固定されている。
【0046】
なお、レーダカバー50は、レーダユニット70から送信される電磁波(垂直方向の広がり角はθ図5参照)、水平方向の広がり角はθ図2参照)のミリ波)が透過する範囲を覆うサイズであればよく、これを満たす限り、車両デザイン等との関係で、適宜の形状としてよい。
【0047】
レーダユニット70(レーダ装置)は、ケース71、このケース71内に収容される送信アンテナ、受信アンテナ(いずれも図示せず)等を有する。レーダユニット70は、送信アンテナから電磁波(ミリ波)を送信するミリ波レーダユニットである。電磁波(ミリ波)は、レーダカバー50を透過して、垂直方向の広がり角θ図5参照)、水平方向の広がり角θ図2参照)の範囲に送信される。そして、レーダユニット70は、その送信範囲内に存在する対象物によって反射されレーダカバー50を透過した反射波を受信アンテナによって受信する。受信された信号は制御装置、例えば、図示しないECU(Electronic Control Unit) によって信号処理が行われ、対象物(対象物との間の距離、角度、速度)が検出される。レーダユニット70においては、例えば76-81GHz帯のミリ波、特に79GHz帯のミリ波が用いられるが、この周波数帯に限定されない。
【0048】
なお、レーダユニット70のレーダ方式は、パルス方式、CW(Continuous Wave)方式のいずれであってもよいし、その他の方式であってもよい。また、レーダユニット70のアンテナ方式は、機械走査方式、ビーム切り替え方式、フェーズドアレー方式、ディジタルフォーミング方式のいずれであってもよいし、その他の方式であってもよい。
【0049】
レーダユニット70は、ブラケット60に着脱可能に固定されている。具体的には、図7に示すように、レーダユニット70は、ケース71に設けられたフランジ部72(図7中3箇所)にブラケット60に設けられた係合部64(図7中3箇所)が係合することにより、ブラケット60に着脱可能に固定されている。なお、係合部64に代えて、ねじ等の公知の固定手段を用いて、レーダユニット70をブラケット60に着脱可能に固定してもよい。
【0050】
上記構成の車両用灯具10は、図示しないが、灯具ハウジング20に設けられたフランジ部と車両(例えば、車体フレーム又はバンパー)とをねじ止めすることにより、車両に取り付けられる。
【0051】
次に、以上のようにレーダユニット70及びレーダカバー50が着脱可能に固定されたブラケット60をアウターレンズ30(凹部34)に着脱可能に固定する手順について説明する。
【0052】
まず、ブラケット60(レーダユニット保持部61)の上端部に設けられたフランジ部63a、63bを、アウターレンズ30の凹部34の上面34dに設けられたフランジ部34d1、34d2と底面34aとの間のスペースに挿入する(図5参照)。これにより、ブラケット60の上端部(本発明のブラケットの一端部の一例)が、フランジ部34d1、34d2と底面34aとの間に挟み込まれた状態でアウターレンズ30(凹部34)に固定される。
【0053】
次に、ブラケット60(延長部62)の下端部を、灯具ハウジング20の延長部21にねじN1によりねじ止めする(図1図5参照)。これにより、ブラケット60の下端部(本発明のブラケットの他端部の一例)が、灯具ハウジング20(延長部21)に固定される。
【0054】
その際、ブラケット60(レーダユニット保持部61)の左右両側が、アウターレンズ30の凹部34の側面34b、34cに設けられた位置決めリブ34b1、34c1に当接する(図7参照)。これにより、ブラケット60は、左右方向に関し、アウターレンズ30(凹部34)に対して位置決めされる。また、ブラケット60(レーダユニット保持部61)の上端部が、アウターレンズ30の凹部34の上面34dに設けられた位置決めリブ(図示せず)に当接する。これにより、ブラケット60は、上下方向に関し、アウターレンズ30(凹部34)に対して位置決めされる。
【0055】
以上のように、ブラケット60が、上下左右方向に関し、アウターレンズ30(凹部34)に対して位置決めされることにより、レーダカバー50と凹部34との間の隙間(図1中の符号G1~G3参照)が均一に保たれる。これにより、見栄えが向上する。
【0056】
以上のようにブラケット60の上端部がアウターレンズ30(凹部34)に固定され、かつ、ブラケット60の下端部が灯具ハウジング20(延長部21)に固定されているため、車両用灯具10が搭載された車両が走行時に振動しても、ブラケット60が、大きく振動するのが抑制される。これにより、レーダユニット70のFOV(検知幅)が大きく揺れて、ターゲットを見失うようなエラーが発生することが抑制される。
【0057】
次に、レーダユニット70を交換する手順について説明する。
【0058】
まず、ねじN2(図1図7参照)を外し、レーダカバー50をブラケット60から外す。これにより、レーダユニット70が露出する。次に、レーダユニット70をブラケット60から外し、別のレーダユニット70に交換する。その際、レーダユニット70は係合部64によりブラケット60に着脱可能に固定されているため、レーダユニット70を別のレーダユニット70に容易に交換することができる。
【0059】
次に、レーダユニット70を交換後、レーダカバー50をブラケット60に取り付ける手順について説明する。
【0060】
上記のようにレーダユニット70を別のレーダユニット70に交換した後、まず、レーダカバー50の上端部に設けられた左右一対のフック部51(図8中一方のフック部51のみを図示)を、ブラケット60の上端部に形成された左右一対の貫通穴63(図8中一方の貫通穴63のみを図示)に挿入し当該貫通穴63周囲に係合させる。これにより、レーダカバー50の上端部が、ブラケット60に固定される。その際、凹部34の底面34aのうち貫通穴63から背面側に突出するフック部51に対応する部分には、凹部34a1が設けられているため、貫通穴63に挿入され背面側に突出したフック部51は、凹部34の底面34aに干渉しない(図8参照)。
【0061】
次に、レーダカバー50の下端部を、ブラケット60にねじN2によりねじ止めする(図1図7参照)。これにより、レーダカバー50の下端部が、ブラケット60に固定される。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、レーダユニット70が振動するのを抑制することができる(その結果、レーダユニット70の検知エリアが大きく変動するのを抑制することができる)。
【0063】
これは、レーダユニット70が固定されるブラケット60が、片持ち梁状にではなく、一端部がアウターレンズ30に固定され、他端部が灯具ハウジング20に固定されていることによるものである。
【0064】
また、本実施形態によれば、レーダユニット70に対する熱(灯具ユニット40が発生する熱)の影響を抑制することができるという利点がある。これは、レーダユニット70が、灯具ユニット40が発生する熱により高温になる第1空間S1(灯具ハウジング20とアウターレンズ30により形成される空間)より低温の第2空間S2(アウターレンズ30とレーダカバー50により形成される空間)に配置されることによるものである。
【0065】
また、本実施形態によれば、レーダユニット70故障時のメンテナンスを容易に行うことができるという利点がある。これは、レーダユニット70及びレーダカバー50がそれぞれ、ブラケット60に着脱可能に固定されているため、車両用灯具10そのものを車両(図示せず)から取り外すことなく、ブラケット60からレーダカバー50を外すことにより、レーダユニット70を交換することができることによるものである。
【0066】
また、本実施形態によれば、レーダユニット70とレーダカバー50との間の距離が変化するのを抑制することができる(その結果、レーダカバー50を透過して車両周辺に送信される電磁波(レーダ信号)にノイズが発生するのを抑制することができる)。これにより、車両周辺に存在する対象物の検出精度が低下するのが抑制される。
【0067】
これは、レーダユニット70及びレーダカバー50が同一のブラケット60に固定されていることによるものである。すなわち、レーダユニット70及びレーダカバー50が同一のブラケット60に固定されているため、車両用灯具10が搭載された車両(図示せず)の振動(例えば、走行時の振動)によりレーダユニット70とレーダカバー50が同様に振動し、レーダユニット70とレーダカバー50との間の距離が変化しないことによるものである。
【0068】
次に、変形例について説明する。
【0069】
図9図10は、レーダカバー50の変形例である。
【0070】
図9に示すように、アウターレンズ30に隣接するレーダカバー50の端部(図9中上端部)をアウターレンズ30より後方に位置させることにより、アウターレンズ30とレーダカバー50との間に段差部90を形成してもよい。この段差部90は、例えば、レーダカバー50の端部(図10中上端部)を屈曲部52(図10中の一点鎖線参照)に沿って後方に屈曲させることにより形成することができる。この屈曲部52の角度θ52図9参照)は、適宜の角度としてよい。
【0071】
上記実施形態の車両用灯具10においてはアウターレンズ30とレーダカバー50の間には隙間G3(図5参照)が形成されるため、雨の中で車両用灯具10を搭載した車両が走行していると、その隙間G3に雨水が侵入する場合がある。これに対して、本変形例のように、段差部90を設けることにより、車両用灯具10を搭載した車両が走行中に受ける風の向きが変わり、雨水の方向を変えられるため、その隙間G3への雨水の侵入を防ぐことができる。さらに、段差部90に傾斜面を形成することにより、風の向きを制御できるため、雨水が向かう方向を積極的に変えることができ、さらに隙間G3への雨水の侵入を防ぐことが容易になる。
【0072】
上記実施形態では、ブラケット60の一端部(上端部)がアウターレンズ30(凹部34)に固定され、かつ、ブラケット60の他端部(下端部)がハウジング20に固定されている例について説明したが、これに限らない。例えば、図11に示すように、ブラケット60Aの一端部及び他端部(下端部)の両方がハウジング20に固定されていてもよい。これにより、ブラケット60Aをより強固にハウジング20に固定することができる。図11は、ブラケット60Aの一端部をねじN3によりハウジング20に固定し、ブラケット60Aの他端部(下端部)をねじN1によりハウジング20に固定した例(変形例)である。
【0073】
ブラケット60Aは、アクリルやポリカーボネイト等の合成樹脂製で、レーダユニット70を保持するレーダユニット保持部61、レーダユニット保持部61の下端部から下方に延びる延長部62、レーダユニット保持部61の上端部から後方に延びる延長部63を含む(図11参照)。
【0074】
図11に示すように、延長部63は、レーダユニット保持部61の上端部から第5屈曲部C5、傾斜部64を介して後方に延び、さらに第6~第9屈曲部C6~C9を介してハウジング20とアウターレンズ30との接合部を跨がるように後方に延びている。このように、延長部63は、ハウジング20とアウターレンズ30との接合部を跨がるようにレーダユニット保持部61の上端部から後方に延びている。
【0075】
また、図11に示す変形例においては、ブラケット60Aの傾斜部64とレーダカバー50とは両者が僅かな隙間G4を挟んで面一(又は略面一)となるように配置されている。これにより、見栄えが向上する。
【0076】
また、図11に示す変形例においては、凹部34の上面34dが省略されているため、ブラケット60Aのレーダユニット保持部61を図11中上下方向に延びるシンプルな形状とすることができる。
【0077】
また、上記実施形態では、本発明の車両用灯具を、ヘッドランプに適用した例について説明したが、これに限らない。例えば、ヘッドランプ以外の車両用灯具、例えば、リアコンビネーションランプ等の車両用信号灯具に適用してもよいし、その他の車両用灯具に適用してもよい。
【0078】
上記各実施形態で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
【0079】
上記各実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記各実施形態の記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0080】
10…車両用灯具、20…灯具ハウジング、21…延長部、30…アウターレンズ、31…前方レンズ部、32…側方レンズ部、33…湾曲レンズ部、34…凹部、34a…底面、34a1…凹部、34b…側面、34b1…位置決めリブ、34c…側面、34c1…位置決めリブ、34d…上面、34d1…フランジ部、34d2…フランジ部、40…灯具ユニット、50…レーダカバー、51…フック部、52…屈曲部、60…ブラケット、61…レーダユニット保持部、62…延長部、63…貫通穴、63a、63b…フランジ部、64…係合部、70…レーダユニット、71…ケース、72…フランジ部、90…段差部、C1…第1屈曲部、C2…第2屈曲部、C3…第3屈曲部、C4…第4屈曲部、N1、N2…ねじ、S1…第1空間、S2…第2空間、θ…広がり角、θ…広がり角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11