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特開2023-68652運転者の行動に基づいた車両のための自律運転システムの運行設計ドメインのカスタマイズ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068652
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】運転者の行動に基づいた車両のための自律運転システムの運行設計ドメインのカスタマイズ
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/08 20200101AFI20230510BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20230510BHJP
【FI】
B60W50/08
B60W60/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022175314
(22)【出願日】2022-11-01
(31)【優先権主張番号】17/517,393
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マヘシュ サロード
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241DA13Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB12Z
3D241DB32Z
3D241DC38Z
3D241DC43Z
3D241DC46Z
3D241DC49Z
3D241DC51Z
3D241DD02Z
(57)【要約】
【課題】車両を自律的に制御するための自律車両運転システムに関する。
【解決手段】当該システムは、環境検出システムと、運行ドメイン定義を含むメモリと、電子プロセッサと、を含む。電子プロセッサは、現在の運転シナリオに対応する、車両の運転者の行動特性を検出することと、行動特性の検出に応答して、環境検出システムを介して、現在の運転シナリオを特定することと、特定された現在の運転シナリオに基づいて、運行ドメイン定義を調整することと、を行うように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を自律的に制御するための自律車両運転システムであって、
環境検出システムと、
前記環境検出システムに接続された電子プロセッサであって、
現在の運転シナリオに対応する、前記車両の運転者の行動特性を検出することと、
前記行動特性の検出に応答して、前記環境検出システムを介して、前記現在の運転シナリオを特定することと、
特定された前記現在の運転シナリオに基づいて、前記自律運転システムが動作するように設計されているドメインの記述である前記システムの運行設計ドメインを調整することと、
を行うように構成された電子プロセッサと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記現在の運転シナリオを特定することは、前記現在の運転シナリオの特徴を識別することを含み、前記運行ドメイン定義を調整することは、前記特徴に基づいている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記特徴は、ロケーション、時刻、気象条件、交通状況及び道路の種類からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記行動特性は、顔の表情である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記行動特性は、前記車両の速度調整である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記行動特性は、前記車両を自律的に制御させるための要求である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記運転シナリオは、駐車シナリオである、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記運転シナリオは、通行シナリオである、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
自律運転システムを含む車両を動作させるための方法であって、
現在の運転シナリオに対応する、前記車両の運転者の行動特性を検出することと、
前記行動特性の検出に応答して、環境検出システムを介して、前記現在の運転シナリオを特定することと、
特定された前記現在の運転シナリオに基づいて、前記システムの運行ドメイン定義を調整することであって、前記運行設計ドメインは、前記自律運転システムが動作するように設計されているドメインの記述である、ことと、
を含む方法。
【請求項10】
前記現在の運転シナリオを特定することは、前記現在の運転シナリオの特徴を識別することを含み、前記運行ドメイン定義を調整することは、前記特徴に基づいている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記特徴は、ロケーション、時刻、気象条件、交通状況及び道路の種類からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記行動特性は、顔の表情である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記行動特性は、前記車両の速度調整である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記行動特性は、前記車両を自律的に制御させるための要求である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記運転シナリオは、駐車シナリオである、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記運転シナリオは、通行シナリオである、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、例えば、人間が運転を行う車両も運行されている環境において、車両が運行されているときの自律型車両の動作を改善することに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
現代の車両は、種々の部分的に自律的な運転機能、例えば、アダプティブクルーズコントロール、衝突回避システム、自動駐車(self‐parking)などを含む。完全な自律的運転が目標であるが、少なくとも市場に即応し、商業的に実現可能な規模では未だに達成されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の概要
自律型車両は、特定の運行設計ドメイン(ODD)内で自律的に動作することに限定されている。ODDは、電子プロセッサが所定のレベルの信頼度で車両の自律運転システムを動作させるように訓練される1つ以上のパラメータにより定義される。ODDを作成するための現在のアプローチは、システム制限、安全性及び平均的なユーザ反応に基づき得るが、ODD設計のこのような方法は、多くの場合に、自律運転システムが車両の制御を行うことを個々のユーザが好むコーナーケースを識別することができない。例えば、ユーザのなかには、カーブを他の運転者より遅く運転することを好み、車両の制御が自律運転システムに切り替わることに頼る人がある。
【0004】
したがって、本明細書においては、特に、運転者の行動に基づいた車両のための自律運転システムの運行設計ドメインのカスタマイズためのシステム及び方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
例えば、一実施形態は、車両を自律的に制御するための自律車両運転システムを提供する。このシステムは、環境検出システムと、運行ドメイン定義を含むメモリと、電子プロセッサとを含む。電子プロセッサは、車両の運転者の、現在の運転シナリオに対応する行動特性を検出し、環境検出システムを介して、現在の運転シナリオを、行動特性の検出に応答して特定するように構成されている。電子プロセッサは、特定された現在の運転シナリオに基づいて、運行ドメイン定義を調整するようにさらに構成されている。
【0006】
別の実施形態は、自律運転システムを含む車両を動作させるための方法を提供する。この方法は、車両の運転者の、現在の運転シナリオに対応する行動特性を検出することと、行動特性の検出に応答して、環境検出システムを介して、現在の運転シナリオを特定することとを含む。また、この方法は、特定された現在の運転シナリオに基づいて、システムの運行ドメイン定義を調整することも含む。
【0007】
他の態様、特徴及び実施形態は、詳細な説明及び添付の図面を考慮することにより明らかになるであろう。
【0008】
添付の図面においては、個々の図全体を通して同一の参照番号が同一又は機能的に類似した要素を指し、以下の詳細な説明と共に、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を形成する。さらに、添付の図面は、特許請求される発明を含む概念の実施形態を実証し、これらの実施形態の種々の基本方式及び利点を説明するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】いくつかの実施形態に係る車両を制御するための自律運転システムのブロック図である。
図2】いくつかの実施形態に係る図1の自律運転システムの電子コントローラのブロック図である。
図3】いくつかの実施形態に係る図1の自律運転システムを含む車両を動作させるための方法のフローチャートである。
図4】いくつかの実施形態に係る図1の車両の運転シナリオの図である。
【0010】
当業者であれば、図面中の要素は、単純かつ明確に示されており、必ずしも正確な縮尺では描かれていないことを理解するであろう。例えば、図面中のいくつかの要素の寸法は、示される実施形態の理解の向上に役立つように、他の要素に対して誇張されていることがある。
【0011】
装置及び方法の構成要素は、適宜、図面中の従来の符号により表されている。ここでは、本明細書の説明の恩恵を受ける当業者に容易に明らかとなる詳細によって本開示を不明瞭にしないように、実施形態の理解に関連する特定の詳細のみを示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明を実施するための形態
任意の実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、その適用において以下の説明に記載し又は以下の図面に示す構成要素の構成及び配置の詳細に限定されることを意図するものではないことを理解されたい。実施形態は、他の構成も可能であり、種々の形式で実施し又は実行することが可能である。例えば、実施形態は本明細書においては完全自律運転システムに関して記載されているが、開示するシステム及び方法を部分自律運転システムに適用することもできる。
【0013】
種々の実施形態を実現するために、複数のハードウェア及びソフトウェアベースの装置並びに複数の異なる構造的構成要素を使用することができる。加えて、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア及び電子的構成要素又はモジュールを含み得るが、これらは、論述のために、構成要素の大部分がハードウェアのみで実現されているかのように図示され記載される場合がある。ただし、当業者であれば、詳細な説明を読むことに基づいて、少なくとも1つの実施形態において、本発明の電子ベースの態様が1つ以上のプロセッサにより実行可能な(例えば非一時的コンピュータ可読媒体上に記憶された)ソフトウェアにおいて実現することができることを認識するであろう。例えば、本明細書に記載された「制御ユニット」及び「コントローラ」は、1つ以上の電子プロセッサと、非一時的コンピュータ可読媒体を含む1つ以上のメモリモジュールと、1つ以上の通信インタフェースと、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)と、種々の構成要素を接続する種々の接続(例えばシステムバス)とを含み得る。これらがどのように組み合わされるか又は分割されるかにかかわらず、ハードウェア及びソフトウェア構成要素は、同一のコンピュータデバイスに配置することができ、又は、1つ以上のネットワーク若しくは他の適切な通信リンクにより接続された異なるコンピュータデバイス間に分散させることができる。
【0014】
説明を容易にするために、本明細書に提示された例示的なシステムの一部は、その構成要素部分それぞれの単一の例示と共に示される。いくつかの例においては、システムの全ての構成要素を説明せず又は示していないことがある。他の実施形態は、示している構成要素それぞれをより多く又はより少なく含むものとしてもよく、いくつかの構成要素を組み合わせてもよく又は追加の若しくは代替的な構成要素を含むものとしてもよい。
【0015】
図1に、車両105を制御するための自律運転システム100を示す。車両105は、四輪車両として示されているが、種々のタイプ及び設計の車両を包含することができる。例えば、車両105は、自動車、オートバイ、トラック、バス、セミトラクタ又は前述のものの組み合わせなどであってよい。
【0016】
自律運転システム100は、電子コントローラ110及び環境検出システム115を含み、これらは両方とも、車両105の車両制御システム120及び全地球測位システム(GPS)125に通信可能に連結されている。システム、例えば、電子コントローラ110、環境検出システム115、車両制御システム120、GPS125、並びに、車両105の他の種々のモジュール及び構成要素は、これらの間の通信を可能にする1つ以上の制御バス又はデータバス(例えばバス130)により若しくはこうしたバスを介して、互いに電気的に連結されているか又は接続されている。様々なモジュール及び構成要素間の相互接続及び通信のための制御バス及びデータバスの使用は、本明細書に記載する本発明の考慮において当業者に公知であろう。いくつかの実施形態においては、バス130は、コントローラエリアネットワーク(CAN(商標))バスである。いくつかの実施形態においては、バス130は、自動車イーサネットであるFlexRay(商標)通信バス又は別の適切な有線バスである。代替的な実施形態においては、車両105の構成要素の一部又は全部を、適切なワイヤレスモダリティ(例えば、Bluetooth(商標)又は別の種類の近距離無線通信)を使用して通信可能に接続することができる。
【0017】
図1に示されている実施形態により、自律運転システム100及び車両105の構成要素及び接続が提供されるが、これらは一例でしかない。このため、システム100及び車両105の構成要素及び接続は、本明細書に示し説明する以外の形式で構築することができる。また、システム100及び/又は車両105は、図1に示された構成要素より少ない構成要素又は追加の構成要素も含み得ると理解されたい。
【0018】
電子コントローラ110は、環境検出システム115からセンサ情報を受信して、自律運転動作を実行するように構成されている。これに応じて、電子コントローラ110は、環境検出システム115からの情報に基づいて、車両制御システム120に1つ以上のコマンドを送信することにより、車両100を駆動させる(制御する)。電子コントローラ110は、自動的に又はユーザ入力に応答して、自律運転動作を自動的に起動することができる。
【0019】
環境検出システム115は、特に、車両105及びその周囲環境の1つ以上の属性を特定するための1つ以上のセンサ116を含む。環境検出システム115は、これらの属性に関する情報を電子コントローラ110に送信する。また、このような情報は、車両105の他のシステム(例えば車両制御システム)のうちの1つ以上に送信することもできる。センサ116は、例えば、車両制御センサ(例えば、アクセルペダル位置、ブレーキペダル位置及びハンドル位置を検出するセンサ)、車輪速度センサ、車両速度センサ、ヨーセンサ、力センサ、走行距離センサ及び車両近接センサ(例えば、カメラ、レーダ、LIDAR及び超音波センサ)を含み得る。いくつかの実施形態においては、センサ116は、その各視野に従って車両105の周囲及び/又は内部の環境の1つ以上の画像をキャプチャするように構成された1つ以上のカメラを含む。環境検出システム115は、複数のタイプの撮像デバイス/センサを含み得るものであり、これらはそれぞれ、車両105の内部又は外部の異なる位置に配置することができる。例えば、センサ116又はその構成要素のうちの1つ以上を、車両105の一部分(例えばサイドミラー又はトランクドア)の外部に取り付けることができ、又は車両105内部に取り付けることができる(例えばバックミラーのそばに配置することができる)。また、環境検出システム115のセンサ116は、車両105がある地点から別の地点に移動するとき、車両105の周囲環境における要素からの車両の距離及び同要素に対する位置を示す信号を受信するように構成されている。センサ116は、図示されていない車両105の1つ以上の他のシステムの1つ以上のセンサを含み得る。
【0020】
車両制御システム120は、車両105の自律制御又は手動制御に関与する構成要素を含む。例えば、いくつかの実施形態においては、車両制御システム120は、ステアリングシステム135と、ブレーキシステム140と、アクセルシステム145とを含む。システム135,140,145はそれぞれ、車両105のステアリング、ブレーキ及び加速それぞれを実行するための機械的構成要素及び電気的構成要素を含む。図1に示された実施形態により車両制御システム120の構成要素が提供されるが、これは単なる一例でしかない。他の実施形態においては、車両制御システム120は、追加の構成要素、より少ない構成要素、又は異なる構成要素を含む。
【0021】
いくつかの実施形態においては、また、自律運転システム100は、通信ネットワーク155を介して、サーバ150に通信可能に連結されている。通信ネットワーク155を、ワイドエリアネットワーク(例えばインターネット)、ローカルエリアネットワーク(例えばイーサネット又はWi-Fi(商標)ネットワーク)、携帯電話データネットワーク(例えば、ロングタームエボリューション(LTE(商標))ネットワーク)及びこれらの組み合わせ又は派生形を使用して実現することができる。いくつかの実施形態においては、自律運転システム100及びサーバ150は、1つ以上の中間デバイス、例えば、ルータ、ゲートウェイなど(図示せず)を介して通信する。
【0022】
図1に示されている実施形態においては、サーバ150は、1つ以上のデータベースを含み、又は通信ネットワーク155を介して1つ以上のリモートデータベースにアクセス可能である。1つ以上のデータベースは、地図データ、例えば道路データ、1つ以上のロケーションについての現在の気象データ及び/又は1つ以上の道路についての建設現場データを含む。
【0023】
図2は、図1の車両105に含まれる電子コントローラ110の1つの例示的な実施形態のブロック図である。電子コントローラ110は、電子コントローラ110内の構成要素及びモジュールに電力、動作制御及び保護を提供する複数の電気的構成要素及び電子的構成要素を含む。電子コントローラ110は、特に、電子プロセッサ200(例えば、プログラマブル電子マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又は同様のデバイス)と、メモリ210と、通信インタフェース215とを含む。電子プロセッサ200は、メモリ210及び通信インタフェース215に通信可能に連結されている。電子プロセッサ200は、メモリ210及び通信インタフェース215と協調して、特に、本明細書に記載された方法を実施するように構成されている。電子コントローラ110を、特定の機能又はサブ機能を実行するようにそれぞれが構成されている、いくつかの独立したコントローラ(例えばプログラマブル電子コントローラ)において実現することができる。加えて、電子コントローラ110は、通信機能、信号の処理及び以下に列挙される方法の適用を扱うための追加の電子プロセッサ、メモリ又は特定用途向け集積回路(ASIC)を含むサブモジュールを含み得る。他の実施形態においては、電子コントローラ110は、追加の構成要素、より少ない構成要素、又は異なる構成要素を含む。
【0024】
メモリ210は、1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体によって構成可能であり、少なくともプログラム記憶ドメイン及びデータ記憶ドメインを含む。プログラム記憶ドメイン及びデータ記憶ドメインは、種々のタイプのメモリ、例えば、読み出し専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)(例えばダイナミックRAM(「DRAM」)、同期DRAM(「SDRAM」)など)、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(「EEPROM」)、フラッシュメモリ又は他の適切なメモリデバイスの組み合わせを含み得る。
【0025】
メモリ210は、ODD220を含む。ODD220は、自律運転システム100が車両105の制御を行うことができ又は行うことができない場所及び時を定義する複数のパラメータである。ODD220は、例えば、車両105の自律運転(又はその自律機能)が適切に動作するように設計された特定の運行ドメインを定義している。各ドメインは、潜在的な定義の対象となるが、ODD220は、車両105又は機能動作を設計する際に考慮されているドメインの少なくとも一般的な記述を提供する。ドメインは、例えば、道路の種類、速度範囲、環境条件(気象、日中/夜間など)、道路及び車線のいく何形状、インフラストラクチャ状態(舗装の状態)、特定の地理的位置及び他のドメイン制約を指定する。例えば、車両105が前輪駆動の4ドア乗用車両である実施形態においては、ODD220は、以下のドメイン、すなわち、舗装道路、0~110マイル/時の速度、降雨、日中及び夜間を指定することができる。別の例として、車両105が四輪駆動のピックアップトラックである実施形態においては、ODD220は、以下のドメイン、すなわち、舗装道路、12インチより短い障害物を有するオフロード、0~90マイル/時の速度、降雨、降積雪、泥、日中及び夜間を指定することができる。車両105がODD220内の状況で運行されているとき、自律運転システム100は、運転者に、自律運転システム100に車両105を制御させたいかどうかを促すことができる。以下でより詳細に説明するように、電子プロセッサ200は、現在の運転シナリオに基づいて、ODD220の1つ以上のパラメータを修正することができる。
【0026】
いくつかの実施形態においては、メモリ205のデータの少なくとも一部を電子コントローラ110の外部のストレージ(例えばサーバ150)に記憶することができる。電子コントローラ110のメモリ205は、電子プロセッサ200により実行される際に、電子プロセッサ200に、図3に示す例示的な方法300を実行させるためのソフトウェアを含む。
【0027】
通信インタフェース215は、1つ以上の有線接続及び/又は無線接続、例えばバス130を介した車両105の構成要素を介して、電子コントローラ110から外部のデバイスに情報を送信し、外部のデバイスから情報を受信する。通信インタフェース210は、ユーザ入力の受信、システム出力の提供、又はこれら両方の組み合わせを行う。通信インタフェース210は、例えば車両105の運転者からの要求を受信して、電子コントローラ110により実現される車両105の自律運転動作を行わせる(及び/又は止めさせる)ように構成され得る。通信インタフェース210を1つ以上のユーザ入力デバイス(例えば、キーパッド、タッチセンサ式表面、ボタン、マイクロフォン、撮像デバイス及び/又は別の入力デバイス)に通信可能に連結させ、これらとの情報交換を行うことができる。また、通信インタフェース210を、1つ以上のユーザ出力デバイス、例えば、スピーカ、電子ディスプレイスクリーン(いくつかの実施形態においては、タッチスクリーンであることができ、このため、入力デバイスとしても機能することもできる)などに通信可能に連結させることができる。ユーザ入力デバイス及び/又はユーザ出力デバイスのうちの1つ以上は、車両105に一体化することができる(例えば、構成要素の一部は、示されていない車両105のヘッドユニットの一部であることができる)。いくつかの実施形態においては、通信インタフェース210は送受信機225を含む。電子コントローラ110は、送受信機225を利用して、車両105内及び/又は外の他のデバイス(例えばサーバ150)と無線通信することができる。また、通信インタフェース210は、他の入力及び出力機構も含み得る。これらは、簡明性のために本明細書においては説明しないが、ハードウェア、ソフトウェア又はこれら両方の組み合わせで実現することができる。
【0028】
図2には、単一の電子プロセッサ200、メモリ205及び通信インタフェース210のみが示されているが、電子コントローラ110の代替的な実施形態は複数の処理ユニット、メモリモジュール及び/又は入力/出力インタフェースを含み得ると理解されたい。また、車両105は、他の電子コントローラを含み得るものであり、それぞれ電子コントローラ110と同様の構成要素及び電子コントローラ110と同様に構成された構成要素を含むことに留意されたい。いくつかの実施形態においては、電子コントローラ110は、半導体(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ[「FPGA」]半導体)チップ上に部分的に又は全体的に実装される。同様に、本明細書に記載する種々のモジュール及び制御ユニットを、示されているように個々のコントローラとして又は単一のコントローラの構成要素として実現することができる。いくつかの実施形態においては、アプローチの組み合わせを使用することができる。
【0029】
図3に、自律運転システム100を含む車両105を動作させるための方法300の例を示す。例として、方法300は、電子コントローラ110、特に、電子プロセッサ200に関して説明される。ただし、方法300の一部を、複数のデバイス(例えば、車両105の又はこれに接続された1つ以上の追加の制御ユニット/コントローラ/プロセッサ)の間で分散させることができる。
【0030】
ステップ305において、電子プロセッサ200は、現在の運転シナリオに対応する、車両105の運転者の行動特性を検出する。行動特性とは、現在の運転状況に応答して車両105の運転者が行った行動(例えば、運転者が運転シナリオを扱いにくいと感じたとき又はストレスを感じたときに行った応答)であり得る。一例においては、行動特性は、運転者の顔の表情である。いくつかの実施形態においては、行動特性は、自律運転システム100が車両105を自律的に制御することを要求する運転者の入力である。行動特性は、車両105の速度調整であり得る。行動特性は、環境検出システム115の1つ以上のセンサ116を介して検出することができる。一例においては、運転者の顔の表情が、車両105内のカメラによりキャプチャされた画像上で、電子プロセッサ200により実行される顔認識を介して検出され、速度調整が車両105のブレーキペダルセンサ及び/又はオドメータを介して決定される。いくつかの実施形態においては、環境検出システム115は、現在の運転シナリオを特定する際に、GPS125からの情報及び/又はサーバからの地図データを利用する。
【0031】
車両105の現在の運転シナリオは、1つ以上の特定の特徴を含む現在の環境状況である。例えば、特徴は、ロケーション、時刻(特定の時間、又は、日中若しくは夜間のいずれであるか)、気象条件(例えば、降雨、霧、降積雪など)、交通状況、道路状況などであることができる。運転シナリオは、駐車シナリオ(車両105を駐車しようとするとき)又は通行シナリオ(車両105をある場所で能動的に運転しているとき)であることができる。現在の運転シナリオのロケーションは、一般的なタイプのロケーション(例えば、農村ロケーション、郊外、都市、建設現場ゾーン、住宅エリア、高速道路など)、又は特定のロケーション(例えば特定の道路又はその一部)であり得る。交通状況は、車両105が走行している道路上の一般的な交通レベル又は車両105を取り巻く1つ以上の他の車両の特定の位置(例えば他の車両が車両105の後方の死角にあること)であり得る。道路状況は、車両105が現在走行している道路の任意の特徴であり得る。道路状況は、例えば、道路の種類(ダート、砂利、雪、氷、舗装など)、道路の品質(例えば、道路に凹凸があるか又は滑らかであるか)、道路の特定の速度制限、道路の曲率の程度などであり得る。
【0032】
ブロック310において、電子プロセッサ200は、行動特性の検出に応答して、環境検出システム115を介して現在の運転シナリオを特定し、ブロック315において、特定された運転シナリオに基づいて、ODD220を調整する。電子プロセッサ200は、特に現在の運転シナリオの1つ以上の特定の特徴を識別し、識別された特徴に基づいてODD220を調整することができる。一例においては、電子プロセッサ200は、現在の運転シナリオ(又はその特徴)又は類似する運転シナリオ(例えば、現在の運転シナリオにおいて識別される特徴に類似する1つ以上の特徴を含む運転シナリオ)又は特徴に従って、1つ以上のパラメータ(例えば信頼度レベル又は重み)を調整することにより、ODD220を変更する。ODD220は、車両105が現在類似する運転シナリオにあるとシステム100が特定したとき、自律運転システム100による車両105の制御(又は自律運転システム100による車両105の自動制御)を許可するか否かが最終的に車両105の運転者に促されるように、(例えば経時的に)調整することができる。
【0033】
電子プロセッサ200は、例えば、自律運転システム100が車両105の制御を行い、これに応じてODD220の調整を運転者が望む(又はいくつかの実施形態においては、望まない)運転シナリオ(及び/又はその特徴)を学習するために、1つ以上のタイプの機械学習及び/又はパターン認識プロセスを実行することができる。
【0034】
図4に、車両105の運転シナリオ400の例を示す。示されている例においては、運転シナリオ400は、車両105が建設現場ゾーンに入り、左側車線402に合流しなければならない状況である。この例においては、電子コントローラ110は、例えばシステム100への引き継ぎ要求の検出によって、自律運転システム100による車両105の制御を車両105の運転者が望んでいることを検出する。ついで、車両は、例えば環境検出システム115の1つ以上のセンサ116を介して、1つ以上の特徴を識別することにより、運転シナリオを特定する。例えば、電子コントローラ110は、車両105のカメラを介して、1つ以上の交通コーン404及び建設現場標識406を含む画像をキャプチャする。カメラによりキャプチャされた画像を使用して、電子プロセッサ200は、車両105が建設現場ゾーンに入っていると特定する。例えば、電子プロセッサ200は、コンピュータビジョンアルゴリズム、例えば畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を利用して、1つ以上の交通コーン404及び建設現場標識406を認識することができる。周囲環境に含まれる1つ以上の交通コーン404及び建設現場標識406に基づいて、電子プロセッサ200は、車両105が建設現場ゾーンに入っていると特定し、建設現場ゾーンを、車両105のODD220内に配置することができる運転シナリオのタイプとして定義することができる。いくつかの実施形態においては、電子プロセッサ200は、現在の運転シナリオがODD220内に配置されるべきかどうかを決定するために、信頼度レベルを計算する。一例においては、電子プロセッサ200は、以前に検出された運転シナリオ(及び/又はその特徴)及び対応する行動特性に関する履歴データを使用して、運転者に車両105を制御するように促すか否かに関する、車両105の現在の運転シナリオについての信頼度レベルを計算する。
【0035】
方法300は、車両105がシステム100を介して自律的に運転されることを一般的に運転者が好むであろう運転シナリオを識別することに関して記載されているが、方法300は、運転者が自律運転システム100の介入無しに車両105を手動で制御することを好むであろう運転シナリオを識別することにも適用できることを理解されたい。例えば、システム100は、システム100により実行された自律運転動作を運転者が中断したことの検出に応答して図3の方法300のステップ310~315を実行し、システム100が、類似する後続の運転シナリオにおいて、自律運転動作の実行を最終的に運転者に提供しないこととするように、ODD220を調整することができる。
【0036】
いくつかの実施形態においては、自律運転システム100は、そのODD220又はODD220に関連する特定の情報(例えば、自律運転システム100が車両105を制御することを運転者が望む可能性が高い特定の運転シナリオの1つ以上の特徴)を他のデバイス/システムと共有するように構成されている。一例においては、自律運転システム100は、ODD220に関する情報を、例えば通信ネットワーク155を介して、他の車両(図示せず)の他の自律運転システムと共有する。システム100からの(及び他の車両の他の自律運転システムからの)情報は、リモートサーバ(例えばサーバ150)に記憶される。当該情報を(例えば電子プロセッサ200又は別個のリモート電子プロセッサにより)分析して、車両が手動で運転されるのではなく自律的に運転されることを個々の運転者の大多数が好む特定の運転シナリオを識別することができる。自律運転システム100のODD220及びネットワーク155の他の車両のODDは、当該情報に基づいて調整可能である。例えば、複数の車両から収集されたODDデータが自律運転制御の許可でなく運転者が車両を手動で制御する共通のロケーションを示す場合、ネットワーク155の車両のODDは、特定のロケーションでの自律運転動作を提案しない(又は提案する確率を低くする)こととするように調整される。
【0037】
前述の明細書においては、特定の実施形態を説明してきた。ただし、当業者であれば、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、種々の修正及び変形を行うことができることを理解されたい。したがって、明細書及び図面は、限定の意味ではなく例示的な意味で考察されるべきであり、全てのこのような修正が本教示の範囲内に含まれることが意図される。
【0038】
この文書において、第1及び第2、上及び下などの関係性を表す語は、1つのエンティティ又はアクションを別のエンティティ又はアクションと区別するためにのみ使用しているものであり、必ずしもこのようなエンティティ又はアクション間の実際の関係又は順序を必要とせず又は暗示しない。「備える」、「備えている」、「有する」、「有している」、「含む」、「含んでいる」、「含有する」、「含有している」又はこれらの任意の変形は、要素のリストを備え、有し、含み、含有するプロセス、方法、物品又は装置がこれらの要素のみを含むのではなく、このようなプロセス、方法、物品若しくは装置に明確に列挙されておらず又は固有ではない他の要素も含み得るように、非排他的な包含をカバーすることを意図している。「~を備える」、「~を有する」、「~を含む」又は「~を含有する」に続く要素は、それ以上の制約なく、その要素を備え、有し、含み、含有するプロセス、方法、物品又は装置における追加の同一要素の存在を排除しない。「1つの(“a”,“an”)」なる語は、本明細書において、特に断りない限り、1つ以上と定義される。「実質的に」、「ほぼ」、「およそ」、「約」なる用語又はこれらの任意の他の変形は、当業者により理解されるように近似であることと定義され、1つの非限定的な実施形態においては、この用語は、10%以内、別の実施形態においては、5%以内、別の実施形態においては、1%以内、別の実施形態においては、0.5%以内の差を有すると定義される。本明細書で使用する場合、「連結されている」なる用語は接続されていることと定義されるが、必ずしも直接的でなくてよく、必ずしも機械的でなくてよい。特定の形式において「構成されている」デバイス又は構造は、少なくともその形式において構成されているが、列挙されていない形式において構成されていてもよい。
【0039】
種々の特徴、利点及び実施形態が、以下の特許請求の範囲に記載される。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を自律的に制御するための自律車両運転システムであって、
環境検出システムと、
前記環境検出システムに接続された電子プロセッサであって、
現在の運転シナリオに対応する、前記車両の運転者の行動特性を検出することと、
前記行動特性の検出に応答して、前記環境検出システムを介して、前記現在の運転シナリオを特定することと、
特定された前記現在の運転シナリオに基づいて、前記自律車両運転システムが動作するように設計されているドメインの記述である前記自律車両運転システムの運行設計ドメインを調整することと、
を行うように構成された電子プロセッサと、
を備える自律車両運転システム。
【請求項2】
前記現在の運転シナリオを特定することは、前記現在の運転シナリオの特徴を識別することを含み、前記運行設計ドメインを調整することは、前記特徴に基づいている、請求項1に記載の自律車両運転システム。
【請求項3】
前記特徴は、ロケーション、時刻、気象条件、交通状況及び道路の種類からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項2に記載の自律車両運転システム。
【請求項4】
前記行動特性は、顔の表情である、請求項1に記載の自律車両運転システム。
【請求項5】
前記行動特性は、前記車両の速度調整である、請求項1に記載の自律車両運転システム。
【請求項6】
前記行動特性は、前記車両を自律的に制御させるための要求である、請求項1に記載の自律車両運転システム。
【請求項7】
前記運転シナリオは、駐車シナリオである、請求項1に記載の自律車両運転システム。
【請求項8】
前記運転シナリオは、通行シナリオである、請求項1に記載の自律車両運転システム。
【請求項9】
自律車両運転システムを含む車両を動作させるための方法であって、
現在の運転シナリオに対応する、前記車両の運転者の行動特性を検出することと、
前記行動特性の検出に応答して、環境検出システムを介して、前記現在の運転シナリオを特定することと、
特定された前記現在の運転シナリオに基づいて、前記自律車両運転システムの運行設計ドメインを調整することであって、前記運行設計ドメインは、前記自律車両運転システムが動作するように設計されているドメインの記述である、ことと、
を含む方法。
【請求項10】
前記現在の運転シナリオを特定することは、前記現在の運転シナリオの特徴を識別することを含み、前記運行設計ドメインを調整することは、前記特徴に基づいている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記特徴は、ロケーション、時刻、気象条件、交通状況及び道路の種類からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記行動特性は、顔の表情である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記行動特性は、前記車両の速度調整である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記行動特性は、前記車両を自律的に制御させるための要求である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記運転シナリオは、駐車シナリオである、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記運転シナリオは、通行シナリオである、請求項9に記載の方法。
【外国語明細書】