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特開2023-68660拡張された視野窓を提供するディスプレイ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068660
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】拡張された視野窓を提供するディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20230510BHJP
   G03H 1/02 20060101ALI20230510BHJP
   G02B 5/32 20060101ALI20230510BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20230510BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G03H1/02
G02B5/32
H04N5/64 511A
H04N5/66 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175650
(22)【出願日】2022-11-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0148479
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】徐 元澤
(72)【発明者】
【氏名】楊 大鎬
(72)【発明者】
【氏名】金 善一
(72)【発明者】
【氏名】申 俸受
(72)【発明者】
【氏名】成 基榮
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
2K008
5C058
【Fターム(参考)】
2H199CA12
2H199CA24
2H199CA27
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA45
2H199CA68
2H199CA85
2H199CA96
2H249CA01
2H249CA05
2H249CA15
2H249CA22
2K008AA14
2K008EE01
2K008EE04
2K008FF17
2K008HH01
2K008HH06
2K008HH18
2K008HH19
2K008HH26
5C058AA06
5C058AA18
5C058BA31
5C058BA35
(57)【要約】
【課題】拡張された視野窓を提供するディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】ディスプレイ装置に係り、該ディスプレイ装置は、光を利用して映像を生成する映像生成器、参照光として、1つの映像が入射されれば、信号光として、1つの映像に対応する複数個の映像を空間的に互いに異なる地点にフォーカシングさせるホログラフィック光学素子、及び映像生成器から受信された映像をホログラフィック光学素子に所定方向に入射させる映像偏向器を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を利用して映像を生成する映像生成器と、
参照光として、1つの映像が入射されれば、信号光として、前記1つの映像に対応する複数個の映像を空間的に互いに異なる地点にフォーカシングさせるホログラフィック光学素子と、
前記映像生成器から受信された前記映像を、前記ホログラフィック光学素子に所定方向に入射させる映像偏向器と、
を含む、ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記複数個の映像は、同一平面上にフォーカシングされる、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記複数個の映像は、同一焦点面上にフォーカシングされる、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
フォーカシングされた前記複数個の映像間の間隔は、ユーザの瞳孔サイズ以上である、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
フォーカシングされた前記複数個の映像間の間隔は、2mm~10mmである、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記1つの映像と、前記複数個の映像は、実質的に同一光特性を有する、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記1つの映像が、前記ホログラフィック光学素子に第1方向に入射されれば、前記ホログラフィック光学素子は、前記複数個の映像の中心が第1位置になるように、前記複数個の映像をフォーカシングさせ、
前記1つの映像が、前記ホログラフィック光学素子に、前記第1方向と異なる第2方向に入射されれば、前記ホログラフィック光学素子は、前記複数個の映像の中心が第1位置と異なる第2位置になるように、前記複数個の映像をフォーカシングさせる、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記第1位置と前記第2位置は、同一焦点面上に位置する、請求項7に記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第1位置と前記第2位置との間隔は、ユーザの瞳孔サイズ以上である、請求項7に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
前記映像生成器と前記映像偏向器との間に配され、前記映像生成器から出力された映像に含まれた光全体を、前記映像偏向器に入射させる光学系をさらに含む、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
前記ホログラフィック光学素子は、
前記1つの映像が入射され、前記複数個の映像が出力される第1面と、
前記第1面と対向しながら、外部環境に対応する外部光が入射される第2面と、
を含む、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項12】
前記映像生成器及び前記映像偏向器は、一体化された、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項13】
前記所定方向が調節されるように、前記映像生成器、前記映像偏向器及び前記ホログラフィック光学素子のうち少なくとも一つを制御するプロセッサをさらに含む、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
前記映像生成器、前記映像偏向器及び前記ホログラフィック光学素子のうち少なくとも一つは、2軸駆動し、前記所定方向を調節する、請求項13に記載のディスプレイ装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記映像生成器に印加される映像情報に、前記2軸駆動による映像の形態歪曲を補償する歪曲補償アルゴリズムを適用する、請求項14に記載のディスプレイ装置。
【請求項16】
前記歪曲補償アルゴリズムは、前記映像情報に含まれたピクセルの位置情報と、フォーカシングされた映像に含まれたピクセルの位置情報と、をマッピングさせるマッピングアルゴリズムの逆変換されたアルゴリズムである、請求項15に記載のディスプレイ装置。
【請求項17】
ユーザの目を追跡するアイトラッキングセンサをさらに含み、
前記プロセッサは、前記アイトラッキングセンサから受信された結果に基づき、前記映像生成器、前記映像偏向器及び前記ホログラフィック光学素子のうち少なくとも一つを制御する、請求項13に記載のディスプレイ装置。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記所定方向が経時的に周期的に変わるように、前記映像生成器、前記映像偏向器及び前記ホログラフィック光学素子のうち少なくとも一つを制御する、請求項13に記載のディスプレイ装置。
【請求項19】
前記映像生成器は、
それぞれが光を放出する複数個の光源と、
前記複数個の光源のうちいずれか1つの光源から放出された光を利用し、前記映像を生成する空間光変調器と、
を含み、
前記所定方向は、前記複数個の光源のうち、光を放出する光源によって決定される、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項20】
前記ディスプレイ装置は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)である、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡張された視野窓を提供するディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD:head mount display)は、めがねのように、眼前に着用して映像を見るディスプレイであり、現在商用化段階に至り、エンターテイメント産業に広く適用されている趨勢である。それと共に、医療分野、教育分野、産業分野において、応用が可能な形態に発展している。
【0003】
該ヘッドマウントディスプレイは、仮想現実(VR:virtual reality)、拡張現実(AR:augmented reality)として提供する多様なアプリケーション(application)にも適用される。
【0004】
なお、該ヘッドマウントディスプレイにおいて、ユーザが映像を観察することができる領域(視野窓(eye box))を広げることができる方策が持続的に模索されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、拡張された視野窓を提供するディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によるディスプレイ装置は、光を利用して映像を生成する映像生成器と、参照光として1つの映像が入射されれば、信号光として、前記1つの映像に対応する複数個の映像を空間的に互いに異なる地点にフォーカシングさせるホログラフィック光学素子と、前記映像生成器から受信された前記映像を、前記ホログラフィック光学素子に所定方向に入射させる映像偏向器と、を含む。
【0007】
そして、前記複数個の映像は、同一平面上にもフォーカシングされる。
【0008】
また、前記複数個の映像は、同一焦点面上にもフォーカシングされる。
そして、フォーカシングされた前記複数個の映像間の間隔は、ユーザの瞳孔サイズ以上でもある。
【0009】
また、フォーカシングされた前記複数個の映像間の間隔は、2mm~10mmであるディスプレイ装置である。
【0010】
そして、前記1つの映像と、前記複数個の映像は、実質的に同一光特性を有する。
【0011】
また、前記1つの映像が、前記ホログラフィック光学素子に第1方向に入射されれば、前記ホログラフィック光学素子は、前記複数個の映像の中心が第1位置になるように、前記複数個の映像をフォーカシングさせ、前記1つの映像が、前記ホログラフィック光学素子に、前記第1方向と異なる第2方向に入射されれば、前記ホログラフィック光学素子は、前記複数個の映像の中心が第1位置と異なる第2位置になるように、前記複数個の映像をフォーカシングさせることができる。
【0012】
そして、前記第1位置と前記第2位置は、同一焦点面上に位置することができる。
また、前記第1位置と前記第2位置との間隔は、ユーザの瞳孔サイズ以上でもある。
【0013】
そして、前記映像生成器と前記映像偏向器との間に配され、前記映像生成器から出力された映像に含まれた光全体を、前記映像偏向器に入射させる光学系をさらに含むものでもある。
【0014】
また、前記ホログラフィック光学素子は、前記1つの映像が入射され、前記複数個の映像が出力される第1面と、前記第1面と対向しながら、外部環境に対応する外部光が入射される第2面と、を含むものでもある。
【0015】
そして、前記映像生成器及び前記映像偏向器は、一体化されうる。
【0016】
また、前記所定方向が調節されるように、前記映像生成器、前記映像偏向器及び前記ホログラフィック光学素子のうち少なくとも一つを制御するプロセッサをさらに含むものでもある。
【0017】
そして、前記映像生成器、前記映像偏向器及び前記ホログラフィック光学素子のうち少なくとも一つは、2軸駆動し、前記所定方向を調節することができる。
また、前記プロセッサは、前記映像生成器に印加される映像情報に2軸駆動による映像の形態歪曲を補償する歪曲補償アルゴリズムを適用しうる。
【0018】
そして、前記歪曲補償アルゴリズムは、前記映像情報に含まれたピクセルの位置情報と、フォーカシングされた映像に含まれたピクセルの位置情報とをマッピングさせるマッピングアルゴリズムの逆変換されたアルゴリズムでもある。
【0019】
また、ユーザの目を追跡するアイトラッキングセンサをさらに含み、前記プロセッサは、前記アイトラッキングセンサから受信された結果に基づき、前記映像生成器、前記映像偏向器及び前記ホログラフィック光学素子のうち少なくとも一つを制御しうる。
【0020】
そして、前記プロセッサは、前記所定方向が経時的に周期的に変わるように、前記映像生成器、前記映像偏向器及び前記ホログラフィック光学素子のうち少なくとも一つを制御しうる。
【0021】
また、前記映像生成器は、それぞれが光を放出する複数個の光源と、前記複数個の光源のうちいずれか1つの光源から放出された光を利用し、前記映像を生成する空間光変調器と、を含み、前記所定方向は、前記複数個の光源のうち、光を放出する光源によっても決定される。
【0022】
そして、前記ディスプレイ装置は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)でもある。
【発明の効果】
【0023】
開示されたディスプレイ装置は、実際の外部前景と共に、立体感がある多重映像を提供するために、さらに臨場感ある拡張現実経験を提供することができる。
また、開示されたディスプレイ装置は、観察可能領域が拡張されたディスプレイ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一実施形態によるディスプレイ装置の概略的な構成図である。
図2A】映像偏向器を2軸駆動する構造の一例を示す分解斜視図である。
図2B図2Aに図示された映像偏向器を2軸駆動する構造の一例の斜視図である。
図3】映像偏向器の2軸駆動によるフォーカシングされた映像の位置変化を図示した図である。
図4】他の実施形態による映像偏向器を図示した図である。
図5】他の実施形態によるディスプレイを装置を図示した図である。
図6】一実施形態による2軸駆動が可能なホログラフィック光学素子を含むディスプレイ装置を図示した図である。
図7】一実施形態による自発光映像生成器を含むディスプレイ装置を図示した図である。
図8】一実施形態による映像を偏向させることができる自発光映像生成器を含むディスプレイ装置を図示した図である。
図9】一実施形態による複数個の光源を含むディスプレイ装置を図示した図である。
図10A】一実施形態による映像の形態歪曲を補償するアルゴリズムについて説明する参照図である。
図10B】一実施形態による映像の形態歪曲を補償するアルゴリズムについて説明する参照図である。
図10C】一実施形態による映像の形態歪曲を補償するアルゴリズムについて説明する参照図である。
図11】前述の実施形態によるディスプレイ装置を採用した多様な電子機器を図示した図である。
図12】前述の実施形態によるディスプレイ装置を採用した多様な電子機器を図示した図である。
図13】前述の実施形態によるディスプレイ装置を採用した多様な電子機器を図示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付された図面を参照し、多様な実施形態による、拡張された視野窓を提供するディスプレイ装置について詳細に説明する。以下の図面において、同一参照符号は、同一構成要素を称し、図面上において、各構成要素の大きさは、説明の明瞭さ及び便宜さのために誇張されてもいる。第1、第2のような用語は、多様な構成要素についての説明にも使用されるが、該構成要素は、用語によって限定されるものではない。該用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。
【0026】
単数の表現は、文脈上、明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、それは、特別に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むものでもあるということを意味する。
【0027】
また、図面において、各構成要素の大きさや厚みは、説明の明瞭性のために誇張されてもいる。また、所定の物質層が、基板上や他層上に存在すると説明されるとき、該物質層は、該基板や該他層に直接接しながら存在することもでき、その間に、他の第三層が存在しうるのである。そして、以下の実施形態において、各層をなす物質は、例示的なものであり、それら以外に他の物質が使用されるものでもある。
【0028】
また、明細書に記載された「…部」、「…モジュール」のような用語は、1または複数の機能や動作を処理する単位を意味し、それらは、ハードウェアまたはソフトウェアによって具現されるか、あるいはハードウェアとソフトウェアとの結合によっても具現される。
【0029】
本実施形態で説明する特定実行は、例示であり、いかなる方法によっても、技術的範囲を限定するものではない。明細書の簡潔さのために、従来の電子的な構成、制御システム、ソフトウェア、システムの他の機能的な側面の記載は、省略されうる。また、図面に図示された構成要素間の線の連結または連結部材は、機能的な連結、及び/または物理的、ああるいは回路的連結を例示的に示したものであり、実際の装置においては、代替可能であったり、追加されたりする多様な機能的な連結、物理的な連結、または回路連結としても示される。
【0030】
「前記」の用語、及びそれと類似した指示用語の使用は、単数及び複数のいずれにも該当しうる。
【0031】
図1は、一実施形態によるディスプレイ装置10の概略的な構成図である。図1を参照すれば、一実施形態によるディスプレイ装置10は、映像を生成する映像生成器110、映像生成器110から受信された映像を、特定方向に偏向させる映像偏向器120、及び参照光として、1つの映像が入射されれば、信号光として、1つの映像に対応する複数個の映像を空間的に互いに異なる地点にフォーカシングさせるホログラフィック光学素子130を含むものでもある。ディスプレイ装置10は、映像生成器110に映像信号を提供するか、あるいはホログラフィック光学素子130に入射される映像の方向を制御するプロセッサ140、及び映像生成器110と映像偏向器120との間に配され、映像生成器110から出力された映像に含まれた光全体を映像偏向器120に入射させる光学系150をさらに含むものでもある。前述の光学系150は、1以上のレンズを含むものでもある。
【0032】
映像生成器110は、光源112及び空間光変調器114を含むものでもある。
【0033】
光源112は、可干渉性光を放出する可干渉性光源でもある。高可干渉性を有する光を提供するために、例えば、レーザダイオード(LD:laser diode)を光源112として使用することができる。また、光源112は、発光ダイオード(LED:light emitting diode)でもある。該発光ダイオードは、レーザよりは空間干渉性(spatial coherence)が低いが、光がある程度の空間干渉性しか有していないのであるならば、空間光変調器114によって十分に回折及び変調されうる。該発光ダイオード以外にも、空間干渉性を有する光を放出するものであるならば、他のいかなる光源でも使用が可能である。
【0034】
光源112は、発散される光を放出する点光源でもある。LEDまたはLDのような点光源が、直接空間光変調器114に光を照射することができ、設計の便宜上、該点光源は、他のところに配され、光ファイバを介し、空間光変調器114に光を照射することもできる。光源112は、赤色光、緑色光及び青色光をそれぞれ提供する多数のレーザダイオードまたは発光ダイオードを含むものでもある。
【0035】
空間光変調器114は、プロセッサ140から提供される映像情報により、光を利用して映像を生成することができる。前述の映像は、二次元映像または三次元映像でもある。例えば、該映像情報は、CGH(Computer Generated Hologram)信号でもあり、空間光変調器114は、CGHにより、ホログラムパターンを形成することができる。光源112から放出され、空間光変調器114に入射される入射光が、空間光変調器114で形成されたホログラムパターンによって回折された結果、立体感を有するホログラフィック映像が生成されうる。空間光変調器130は、位相変調だけ行うことができる位相変調器、振幅変調だけ行うことができる振幅変調器、及び位相変調と振幅変調とをいずれも行うことができる複合変調器のうちいずれかを使用することもできる。例えば、空間光変調器114は、LCoS(Liquid Crystal on Silicon)、DMD(Digital Micromirror Device)または半導体変調器でもある。
【0036】
映像偏向器120は、映像生成器110から出力された映像を偏向させ、ホログラフィック光学素子130に所定方向に入射させることができる。映像偏向器120は、入射された映像を透過させて偏向させる透過型偏向器、入射された映像光を反射させて偏向させる反射型偏向器などを含むものでもある。映像偏向器120については、後述する。
【0037】
ホログラフィック光学素子130は、1つの映像が入射されれば、前述の1つの映像に対応した複数個の映像を空間的に互いに異なる地点にフォーカシングさせることができる。
ホログラフィック光学素子130は、参照光と信号光とを利用し、ホログラムパターンが事前に形成されてもいる。該信号光は、参照光により、ホログラフィック光学素子130にホログラム方式で記録され、該参照光と同一光特性を有する光により、ホログラフィック光学素子130からも出力される。例えば、互いに異なる焦点情報を有する複数個の第1信号光と、第1光特性を有する第1参照光とがホログラフィック光学素子130に入射されれば、複数個の第1信号光と、第1参照光との干渉パターンがホログラム方式でもってホログラフィック光学素子130に記録されうる。該ホログラム方式は、透過方式、反射方式及びフローティング方式などがあり、前述の方式のうち、任意の方式が適用されうる。その後、第1参照光と同一光特性を有する光が、ホログラフィック光学素子130に入射されれば、ホログラフィック光学素子130に記録された信号光のうち、複数個の第1信号光だけが出力される。
【0038】
なお、該信号光は、該信号光が記録されるときの参照光と同一光特性を有する光にだけ反応して出力されるのみ、光特性が異なる光には反応しない。従って、外部環境に対応する外部光が入射されれば、該外部光は、ホログラフィック光学素子130と反応せず、ホログラフィック光学素子130を透過してしまう。
【0039】
それにより、ユーザは、仮想の現実、または仮想の情報が込められている映像と、ユーザが実際に対面している現実世界の背景被写体(background subject)とを共に見ることができる。従って、本実施形態によるディスプレイ装置10は、拡張現実(AR:augmented reality)または混合現実(MR:mixed reality)を具現するところにも適用される。その場合、本実施形態によるディスプレイ装置10は、ニアアイ(near-eye)ARディスプレイ装置でもある。
【0040】
一実施形態によるホログラフィック光学素子130は、反射型でもある。例えば、ホログラフィック光学素子130は、映像偏向器120からの映像が入射されながら、複数個の映像が出力される第1面S、及び第1面Sと対向しながら、外部環境に対応する外部光が入射される第2面Sを含むものでもある。しかしながら、それに限定されるものではない。ホログラフィック光学素子130は、透過型でもある。
【0041】
ホログラフィック光学素子130は、物質厚及び屈折率などにより、波長選択性及び角度選択性が調節されうる。ホログラフィック光学素子130は、不揮発性(non-volatile)物質でもある。例えば、ホログラフィック光学素子130は、フォトポリマー(photo-polymer)及び無機結晶(inorganic crystal)のうち少なくとも一つを含む物質によっても形成される。ホログラフィック光学素子130の厚みは、約1mmないし約10mmでもある。例えば、厚みが約3mmであるフォトポリマーには、約0.1nmの帯域幅を有する参照光でもって、約500個の信号光が記録され、厚みが約5mmであるフォトポリマーには、約0.05nmの帯域幅を有する参照光でもって、約500個の信号光が記録されうる。
【0042】
前述のところのように、1つの参照光により、複数個の信号光が記録されたホログラフィック光学素子130に、参照光でもって映像が入射されれば、ホログラフィック光学素子130から信号光として、焦点が互いに異なる複数個の映像が出力されうる。出力される複数個の映像は、入射される映像と実質的に同一でもある。すなわち、出力される複数個の映像の光特性は、入射される映像の光特性と同一でもある。そして、出力される複数個の映像は、互いに異なる地点にもフォーカシングされる。
【0043】
前述の複数個の映像は、同一平面上、例えば、同一焦点面上にもフォーカシングされる。フォーカシングされる複数個の映像の中心も、焦点面上にも配される。
【0044】
フォーカシングされた映像P,P,P,P間の間隔dは、ユーザの瞳孔サイズ以上でもある。例えば、フォーカシングされた映像P,P,P,P間の間隔dは、約1mmないし10mmでもある。フォーカシングされた映像P,P,P,P間の間隔dが瞳孔サイズより小さければ、複数個のフォーカシングされた映像P,P,P,Pが1つの瞳孔を透過し、ユーザは、同一の複数個映像を同時に観察する問題が生じてしまう。また、フォーカシングされた映像P,P,P,Pの間隔dが過度に大きければ、映像観察可能領域内に、映像が存在しないブラック領域が大きくなる問題がある。従って、フォーカシングされた映像P,P,P,P間の間隔dは、ユーザの瞳孔サイズ以上、瞳孔サイズの3倍以下でもある。
【0045】
前述のところのように、ホログラフィック光学素子130により、1つの映像が入力されれば、焦点が異なる複数個の映像が出力されるが、ユーザの目がフォーカシングされた地点のうちいずれか1つに位置することになれば、映像を観察することができる。フォーカシングされた映像P,P,P,Pが複数個であるが、映像を観察することができる地点も複数個になり、映像観察可能領域(eye box)が拡張されうる。
【0046】
また、ホログラフィック光学素子130に入射される映像の方向を調節することにより、フォーカシングされる複数個の映像の中心も、調節されうる。例えば、ホログラフィック光学素子130に入射される映像の方向が2軸方向に調節されれば、フォーカシングされた複数個の映像の中心も、2軸方向に調節されうる。それにより、ホログラフィック光学素子130に係わる映像の方向を調節することにより、映像観察可能領域は、追加してさらに拡張されうる。前述の方向調節は、映像偏向器120によっても調節される。
【0047】
映像偏向器120は、映像生成器110から入射された光をホログラフィック光学素子130に反射させ、映像を偏向させることができる。映像偏向器120は、多様な駆動構造により、2軸駆動されうる。ユーザの目、例えば、瞳孔がXY平面内で位置が移動され、映像偏向器120は、例えば、X方向とY方向とに光の進行方向を変化させるようにも駆動される。
【0048】
図2Aは、映像偏向器120を2軸駆動する構造の一例を示す分解斜視図であり、図2Bは、図2Aに図示された映像偏向器120を2軸駆動する構造の一例の斜視図である。図2A図2Bとを参照すれば、映像偏向器120は、フレーム219に2軸駆動されうるように支持される。例えば、映像偏向器120の第1コーナー211は、支持部215によってピボットされるように支持される。支持部215は、例えば、フレーム219と、映像偏向器120の第1コーナー211との間に介在される球形体、ボールジョイント構造などによっても具現される。弾力支持部216は、映像偏向器120の第2コーナー212を弾力的に支持する。第2コーナー212は、第1コーナー211と、第1対角線DL1方向に対向するコーナーでもある。一例として、弾力支持部216は、映像偏向器120の第2コーナー212と、フレーム219との間に介在される圧縮スプリングによっても具現される。
【0049】
弾力支持部216は、例えば、Z方向に第2コーナー212を弾力的に支持することができる。第1アクチュエータ217及び第2アクチュエータ218は、それぞれ映像偏向器120の第3コーナー213及び第4コーナー214を変位させる。第3コーナー213及び第4コーナー214は、第1対角線DL1と交差する第2対角線DL2方向のコーナーである。第1アクチュエータ217及び第2アクチュエータ218として、ボイスコイルモータ、形状記憶合金と、それを加熱するヒータのような多様な駆動構造が採用されうる。
【0050】
一例として、第1アクチュエータ217及び第2アクチュエータ218は、第3コーナー213及び第4コーナー214をZ方向に変位させることができる。ここで、第1アクチュエータ217及び第2アクチュエータ218は、第3コーナー213及び第4コーナー214を映像偏向器120を含む平面に直交する方向に変位させることもできるということは、言うまでもない。第3コーナー213及び第4コーナー214の変位を同じものにしたり、異なるものにしたりすることにより、瞳孔の位置により、映像偏向器120を、X軸とY軸とにつき、2軸ピボットさせ、入射される映像の反射程度を調節し、ホログラフィック光学素子130に入射される方向を調節することができる。
【0051】
図3は、映像偏向器120の2軸駆動によるフォーカシングされた映像P,P,P,Pの位置変化を図示した図面である。映像偏向器120が、第1方向に映像をホログラフィック光学素子130に入射させれば、ホログラフィック光学素子130は、フォーカシングされた映像P,P,P,Pの中心が、第1位置になるように、焦点が互いに異なる映像を出力することができる。そして、映像偏向器120が、第2方向に映像をホログラフィック光学素子130に入射させれば、ホログラフィック光学素子130は、フォーカシングされた映像P,P,P,Pの中心が第2位置になるように、焦点が互いに異なる映像を出力することができる。
【0052】
フォーカシングされた映像P,P,P,Pの動き変化は、参照光と信号光との記録によるホログラムパターンによっても決定される。フォーカシングされた映像P,P,P,Pは、同一平面上、例えば、同一焦点面上で動きうる。フォーカシングされた映像P,P,P,Pの位置変化は、ホログラフィック光学素子130に入射される映像の進行方向の変化程度に比例しうる。フォーカシングされた映像P,P,P,Pが重複されて瞳孔を通過することを防止するために、フォーカシングされた映像P,P,P,Pの移動距離、すなわち、フォーカシングされた映像P,P,P,Pの中心の位置変化は、ユーザの瞳孔サイズ以上でもある。例えば、フォーカシングされた映像P,P,P,Pの移動距離は、約1mm以上でもある。
【0053】
図2Aないし図3で説明した映像偏向器120は、反射型であるが、それに限定されるものではない。映像偏向器は、透過型でもある。
【0054】
図4は、他の実施形態による映像偏向器120aを図示した図面である。図4に図示されているように、映像偏向器120aは、互いに対向しながら離隔配置される第1電極層310及び第2電極層320、入射された光を、第1電極層310及び第2電極層320に印加された電圧によって偏向させる偏向層330を含むものでもある。また、光偏向器120aは、第1電極層310及び第2電極層320それぞれを支持する第1基板340及び第2基板350をさらに含むものでもある。
【0055】
第1電極層310それぞれは、離隔配置される複数個の電極素子311を含むものでもある。複数個の電極素子311は、ブレーズド回折格子(blazed grating)パターンにも形成される。例えば、複数個の電極素子311は、互いに離隔配置され、ストライプ形状でもある。複数個の電極素子311は、第1方向(例えば、x方向)に一定ピッチにも配される。該ピッチが狭く形成されることにより、映像偏向器120aの光の回折角度または偏向角度が増大しうる。
【0056】
偏向層330は、第1電極層310と第2電極層320との間にも配される。偏向層330は、入力された電圧によって配向が変わる液晶分子331を含むものでもある。液晶分子331は、長径方向が一方向、例えば、x方向と並行になるように初期配列されうる。
【0057】
液晶分子331は、ポジティブ(positive)タイプの誘電率異方性(dielectric anisotropy)を有する分子でもあるが、それに制限されるものではない。第1電極層310と第2電極層320とのそれぞれに電圧が印加されれば、第1電極層310と第2電極層320との間の偏向層330内に電界(E-field:electric field)が形成される。該電界の強度、すなわち、印加された電圧の電圧差により、液晶分子331が電界と並行な配向にも回転される。そのような現象を利用し、第1基板340を介して入射された光の相変調(phase modulation)を引き起こすことができる。第1電極層310と第2電極層320との間に形成された電界により、液晶分子331の長径の配向が回転されることにより、映像偏向器120aは、電気的プリズムを形成し、光を特定方向に偏向させる。偏向要素として、液晶分子331について説明したが、それに限定されるものではない。印加された電気的信号により、光を偏向させることができる要素であるならば、液晶分子331以外の他の要素でもよい。
【0058】
前述の映像偏向器120は、例示的なものに過ぎず、ホログラフィック光学素子130に入射される映像の方向を調節することができる光学素子であるならば、いずれでもよい。例えば、映像偏向器120は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)スキャナ、ガルバノミラー(Galvano mirror)、線形空間光変調器(linear spatial light modulator)なども適用されうる。
【0059】
ホログラフィック光学素子130に入射される映像の方向は、ユーザの瞳孔に係わる追跡結果、またはユーザ命令に基づくものである。
【0060】
図5は、他の実施形態によるディスプレイ装置10aを図示した図面である。図5を参照すれば、ディスプレイ装置10aは、アイトラッキングセンサ160をさらに含むものでもある。アイトラッキングセンサ160は、ユーザの目、すなわち、ユーザの瞳孔の動きを追跡し、瞳孔の位置情報をプロセッサ140に伝達することができ、プロセッサ140は、瞳孔の位置情報により、光が瞳孔に伝達されるように、映像偏向器120を制御しうる。
【0061】
または、ディスプレイ装置10aは、ユーザインターフェース170をさらに具備しうる。ユーザインターフェース170から入力されるユーザの入力信号により、第1アクチュエータ217及び第2アクチュエータ218を駆動し、光が瞳孔に伝達されるように、映像偏向器120をピボット運動させることができる。
または、プロセッサ140は、経時的にホログラフィック光学素子130に入射される映像の方向が、経時的に周期的に変わるように、映像偏向器120を制御することもできる。
【0062】
ホログラフィック光学素子130に入射される映像の方向を調節するために、映像偏向器120ではなく、ホログラフィック光学素子130を駆動させることもできる。
図6は、一実施形態による2軸駆動が可能なホログラフィック光学素子130を含むディスプレイ装置10bを図示した図面である。ホログラフィック光学素子130は、図2A及び図2Bに図示された駆動構造により、2軸駆動されうる。ホログラフィック光学素子130を2軸駆動させることにより、フォーカシングされる映像の位置を変更することができる。
【0063】
または、映像生成器110が出力される映像の方向を調節することができる。図7は、一実施形態による自発光映像生成器110aを含むディスプレイ装置10cを図示した図面である。自発光映像生成器110aは、光源(図示せず)から放出される光量を調節することにより、映像を生成することができる。例えば、自発光映像生成器110aは、マイクロ単位の光源を含むマイクロディスプレイ装置でもある。自発光映像生成器110aから放出される光の発散角は、5°以下でもある。自発光映像生成器110aから放出される光の直進性が強い場合、光学系150は、必要ではなくなる。映像偏向器120を2軸駆動させ、映像の進行方向を調節することができる。
【0064】
または、自発光映像生成器110aと映像偏向器120とが一体化されうる。図8は、一実施形態による映像を偏向させることができる自発光映像生成器110bを含むディスプレイ装置10dを図示した図面である。図8に図示されているように、ディスプレイ装置10dは、光を放出することにより、映像を出力する自発光映像生成器110b、及び自発光映像生成器110bから入射された映像に反応し、複数個の映像を互いに異なる地点にフォーカシングさせるホログラフィック光学素子130を含むものでもある。
【0065】
自発光映像生成器110bは、直進性が強い光、例えば、発散角が5°以下である光を利用し、映像を生成することができる。また、自発光映像生成器110bは、2軸駆動し、ホログラフィック光学素子130に入射される映像の方向を調節することができる。2軸駆動が可能な自発光映像生成器110bを利用し、ディスプレイ装置10bを簡素化させることができる。なお、自発光映像生成器110bの代わりに、ホログラフィック光学素子130が2軸駆動を行うことができるということは、言うまでもない。
【0066】
図9は、一実施形態による複数個の光源112aを含むディスプレイ装置を図示した図面である。図9を参照すれば、それぞれが光を放出する複数個の光源112a、複数個の光源112aのうちいずれか1つの光源112-1,112-2,112-3から放出された光を利用して映像を生成する空間光変調器114、及び空間光変調器114で生成された映像が入射されれば、前述の映像に対応する複数個の映像を互いに異なる地点にフォーカシングさせるホログラフィック光学素子130を含むものでもある。ディスプレイ装置10eは、複数個の光源112a及び空間光変調器114を制御するプロセッサ140をさらに含むものでもある。
【0067】
プロセッサ140の制御下において、複数個の光源112aのうちいずれか1以上が選択的に駆動されうる。複数個の光源112aにおける光それぞれは、互いに異なる光進路を有するように、複数個の光源112aが空間的に離隔配置されうる。言い換えれば、各光源112-1,112-2,112-3は、互いに異なる位置で映像を生成することができる波長帯域の光を提供することができる。図9には、各光源112-1,112-2,112-3が一つであるように図示されているが、それに限定されるものではない。光源112-1,112-2,112-3それぞれは、多数のレーザまたは発光ダイオードのアレイを含むものでもある。
【0068】
空間光変調器114は、映像情報により、複数個の光源112aのうちいずれか1つの光源112-1,112-2,112-3から放出された光を変調することができる。プロセッサ140は、複数個の光源112aのうち1以上を選択して駆動するとき、駆動光源に同期し、空間光変調器114に印加される変調信号を制御する。空間光変調器114は、空間光変調器114で生成された映像は、光源112別に互いに異なる方向に進み、ホログラフィック光学素子130に互いに異なる方向に入射されうる。
【0069】
ホログラフィック光学素子130は、参照光として、1つの映像が入射されれば、前述の映像に対応する複数個の映像を、互いに異なる地点にフォーカシングさせる。ホログラフィック光学素子130に入射される映像の進行方向により、フォーカシングされる複数個の映像の中心も、変わりうる。
【0070】
プロセッサ140は、ユーザの目に対する追跡結果に基づき、複数の光源112aのうち、ユーザの瞳孔位置に焦点を形成する光源を駆動光源として選択することができる。
【0071】
プロセッサ140は、駆動光源が選択されれば、選択されていない光源は、オフ(off)状態にし、選択された駆動光源だけがオン(on)状態になるようにし、駆動光源における光を使用して映像を形成するように、空間光変調器114を制御しうる。
【0072】
複数個の光源112aのうちいずれか1つの光源を選択することにより、ホログラフィック光学素子130に入射される映像の方向を調節することもできる。例えば、第1光源112-1がオン状態になり、残り光源112-2,112-3がオフ状態になれば、空間光変調器114は、第1光源112-1から放出された光を基に映像を生成し、生成された映像は、第1方向にホログラフィック光学素子130に入射される。ホログラフィック光学素子130は、前記複数個の映像の中心が第1位置になるように、前記複数個の映像をフォーカシングさせることができる。また、第2光源112-2がオン状態になり、残り光源112-1,112-3がオフ状態になれば、空間光変調器114は、第2光源112-2から放出された光を基に映像を生成し、生成された映像は、第2方向にホログラフィック光学素子130に入射される。ホログラフィック光学素子130は、前記複数個の映像の中心が第2位置になるように、前記複数個の映像をフォーカシングさせることができる
【0073】
なお、映像生成器110、映像偏向器120及びホログラフィック光学素子130のうち少なくとも一つが2軸ピボット運動により、ホログラフィック光学素子130に入射される映像の進行方向を調節する一方、2軸ピボット運動により、映像の歪曲が発生しうる。
【0074】
図10Aないし図10Cは、一実施形態による映像の形態歪曲を補償するアルゴリズムについて説明する参照図面である。図10A及び図10Cに図示されているように、プロセッサ140は、原映像(または、「映像情報」とも称することができる)のピクセル位置情報と、フォーカシングされた映像P,P,P,Pの対応するピクセルの位置情報を一対一マッピングさせるマッピングアルゴリズムを獲得することができる。前述のマッピングアルゴリズムを獲得するために、ディスプレイ装置において、観測者の目が配される位置にイメージセンサが配され、フォーカシングされた映像P,P,P,Pを獲得することができる。そして、プロセッサ140は、前述のマッピングアルゴリズムを逆変換させることにより、歪曲補償アルゴリズムを獲得することができる。
【0075】
そして、図10Bに図示されているように、プロセッサ140は、映像情報のピクセル情報に基づき、原映像に該歪曲補償アルゴリズムを適用し、該歪曲補償アルゴリズムが適用された映像情報を、空間光変調器114に印加することができ、空間光変調器114は、該歪曲補償アルゴリズムが適用された映像情報を基に光を変調し、映像を生成することができる。
【0076】
図10Cに図示されているように、該歪曲補償アルゴリズムが適用された映像は、映像偏向器120及びホログラフィック光学素子130を介して進みながら、映像の形態歪曲が補償され、該形態歪曲が補償された仮想映像が、観察者の目に入射されうる。
【0077】
マッピングアルゴリズムは、フォーカシングされた映像P,P,P,Pと原映像(または、映像情報)とのピクセル単位の関係からも獲得されるが、それに限定されるものではない。該マッピングアルゴリズムは、フォーカシングされた映像P,P,P,Pの一部ピクセルと、原映像において対応する一部ピクセルとの関係から獲得され、歪曲補償アルゴリズムは、一部ピクセルの位置情報に基づきうる。そして、プロセッサ140は、原映像(または、映像情報)のうち一部ピクセルに歪曲補償アルゴリズムを適用した後、原映像における残りピクセルには、線形補間法を適用し、補償された映像情報を獲得することができる。
【0078】
図11ないし図13は、前述の実施形態によるディスプレイ装置を採用した多様な電子機器を図示する。図11ないし図13に図示されているように、該ディスプレイ装置は、ウェアラブル装置にも適用される。例えば、該ディスプレイ装置は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:head mounted display)にも適用される。また、該ディスプレイ装置は、めがね型ディスプレイ(glasses-type display)、ゴーグル型ディスプレイ(goggle-type display)などにも適用される。図11ないし図13に図示されたウェアラブル電子機器は、スマートフォン(smartphone)と連動されても動作される。そのようなディスプレイ装置は、仮想の現実を提供するか、あるいは仮想の映像と、外部の実際映像とを共に提供することができるヘッドマウント型、めがね型またはゴーグル型の仮想現実(VR)ディスプレイ装置、拡張現実(AR)ディスプレイ装置または混合現実(MR)ディスプレイ装置でもある。
【0079】
また、該ディスプレイ装置は、スマートフォン内にも具備され、そのようなスマートフォン自体をディスプレイ装置として使用することもできる。言い換えれば、図11ないし図13のようなウェアラブル機器ではない小型電子機器(モバイル電子機器)内に、ディスプレイ装置を適用することもできる。それ以外にも、ディスプレイ装置の適用分野は、多様に変化されうる。例えば、該ディスプレイ装置は、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)または混合現実(MR)を具現するのに適用されるだけではなく、それ以外に、他の分野にも適用されうる。例えば、ユーザが着用することができる小型テレビや小型モニタなどにも適用されうる。
【0080】
前述のディスプレイ装置は、図面に図示された実施形態を参照して説明されたが、それらは、例示的なものに過ぎず、当該分野で当業者であるならば、それらから多様な変形、及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解するであろう。従って、開示された実施形態は、限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されなければならない。権利範囲は、前述の説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にある全ての差異は、該権利範囲に含まれたものであると解釈されなければならないのである。
【符号の説明】
【0081】
110 映像生成器
112 光源
114 空間光変調器
120 映像偏向器
130 ホログラフィック光学素子
140 プロセッサ
150 光学系
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13