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特開2023-68678光触媒抗菌脱臭材料、その製造方法、抗菌脱臭材、および抗菌脱臭フィルター
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  • 特開-光触媒抗菌脱臭材料、その製造方法、抗菌脱臭材、および抗菌脱臭フィルター 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068678
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】光触媒抗菌脱臭材料、その製造方法、抗菌脱臭材、および抗菌脱臭フィルター
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/46 20060101AFI20230511BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20230511BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20230511BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20230511BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20230511BHJP
   A61L 9/014 20060101ALI20230511BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
B01J29/46 M
B01J35/02 J
B01J35/02 H
B01J37/08
A61L9/00 C
A61L9/01 B
A61L9/014
B01D39/20 A
B01D39/20 D
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179880
(22)【出願日】2021-11-03
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】591269712
【氏名又は名称】アンデス電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119264
【弁理士】
【氏名又は名称】富沢 知成
(72)【発明者】
【氏名】工藤 友宇子
(72)【発明者】
【氏名】工藤 武志
【テーマコード(参考)】
4C180
4D019
4G169
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA10
4C180CC03
4C180CC04
4C180CC15
4C180CC16
4C180EA02X
4C180EA03X
4C180EA04X
4C180EA05X
4C180EA06X
4C180EA07X
4C180EA14X
4C180EA25X
4C180EA26X
4C180EA27X
4C180EA28X
4C180EA29X
4C180EA34X
4C180EA36X
4C180EA37X
4C180EA38X
4D019AA01
4D019BA02
4D019BA05
4D019BC05
4D019BC06
4D019BC07
4G169AA01
4G169AA03
4G169AA08
4G169BA01A
4G169BA02A
4G169BA02B
4G169BA04A
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4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA08A
4G169BA09A
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4G169BA14A
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4G169BB04B
4G169BC31A
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4G169BC33A
4G169BC50A
4G169BC50B
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169BC67A
4G169BC68A
4G169BC72A
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169CA11
4G169DA06
4G169EA03X
4G169EA03Y
4G169EA11
4G169EB18X
4G169EB19
4G169FB06
4G169FB13
4G169FB23
4G169FB30
4G169FC08
4G169HA01
4G169HB01
4G169HC02
4G169HC29
4G169HD09
4G169HD10
4G169HE07
4G169HF02
4G169ZA10B
(57)【要約】      (修正有)
【課題】抗菌性能および脱臭性能のいずれにおいても十分な性能を備えた光触媒抗菌脱臭材料を提供すること。
【解決手段】光触媒抗菌脱臭材料10は、光触媒層1、および光触媒層1の表面に担持された助触媒7からなり、光触媒層1には抗菌金属ならびに吸着材6が含まれているという構成を有する。光触媒層1は、酸化チタンナノ分散体2と、ともに酸化チタンナノ分散体2中に分散している抗菌金属担持酸化チタン粒子3および吸着材6とからなる。ここで、抗菌金属担持酸化チタン粒子3は酸化チタン粒子に抗菌金属が担持されてなる。助触媒7としては金属粒子が好適に用いられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒層、および該光触媒層の表面に担持された助触媒からなる光触媒抗菌脱臭材料であって、該光触媒層には抗菌金属ならびに吸着材が含まれていることを特徴とする、光触媒抗菌脱臭材料。
【請求項2】
前記光触媒層は、酸化チタンナノ分散体と、ともに該酸化チタンナノ分散体中に分散している抗菌金属担持酸化チタン粒子および吸着材とからなることを特徴とする、請求項1に記載の光触媒抗菌脱臭材料。
【請求項3】
前記助触媒が金属粒子であることを特徴とする、請求項2に記載の光触媒抗菌脱臭材料。
【請求項4】
前記金属粒子が白金、金、またはパラジウムの少なくともいずれかであることを特徴とする、請求項3に記載の光触媒抗菌脱臭材料。
【請求項5】
前記抗菌金属担持酸化チタン粒子の担持抗菌金属が銀、または銅の少なくともいずれかであることを特徴とする、請求項2、3、4のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料。
【請求項6】
前記抗菌金属担持酸化チタン粒子のチタン粒子は平均一次粒子径が5nm以上100nm以下であることを特徴とする、請求項2、3、4、5のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料。
【請求項7】
前記酸化チタンナノ分散体は平均一次粒子径が1nm以上30nm以下であることを特徴とする、請求項2、3、4、5、6のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料。
【請求項8】
前記吸着材がゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、活性炭、粘土鉱物または珪藻土の少なくともいずれかであることを特徴とする、請求項2、3、4、5、6、7のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料。
【請求項9】
前記抗菌金属担持酸化チタン粒子は抗菌金属が酸化チタン粒子に対してモル比で0.001以上0.1以下担持されてなり、
前記光触媒層の組成は
前記酸化チタンナノ分散体を1とした場合の重量比で、前記抗菌金属担持酸化チタン粒子が0.01以上1.0以下、
前記吸着材が0.5以上2.0以下であり、
また、前記助触媒たる金属粒子は該酸化チタンナノ分散体に含まれる酸化チタンの量に対してモル比で0.00005以上0.01以下担持されている
ことを特徴とする、請求項2、3、4、5、6、7、8のいずれかに記載光触媒抗菌脱臭材料。
【請求項10】
前記光触媒層には、光触媒機能向上効果のある金属粒子たる層中金属粒子が含まれていることを特徴とする、請求項2、3、4、5、6、7、8、9のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料。
【請求項11】
前記層中金属粒子は鉄単体、鉄化合物、コバルト単体、コバルト化合物、ニッケル単体、ニッケル化合物の少なくともいずれかであることを特徴とする、請求項10に記載の光触媒抗菌脱臭材料。
【請求項12】
前記層中金属粒子は、前記酸化チタンナノ分散体に含まれる酸化チタンの量に対して重量比で0.00001以上0.05以下含まれていることを特徴とする、請求項10、11のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料。
【請求項13】
酸化チタンナノ分散体を調製する酸化チタンナノ分散体調製過程、抗菌金属担持酸化チタン粒子を調製する抗菌金属担持酸化チタン粒子調製過程、該酸化チタンナノ分散体および該抗菌金属担持酸化チタン粒子を用いて光触媒層形成用の塗布液を調製する光触媒層用塗布液調製過程、該塗布液を基材に塗布しこれを焼成して光触媒層を成膜する焼成成膜過程、および成膜された該光触媒層上に助触媒を含浸法により担持する助触媒含浸担持過程とからなることを特徴とする、光触媒抗菌脱臭材料製造方法。
【請求項14】
前記酸化チタンナノ分散体調製過程では平均一次粒子径1nm以上30nm以下の分散液が得られ、
前記抗菌金属担持酸化チタン粒子調製過程では銀または銅の少なくともいずれかを酸化チタン粒子に対してモル比で0.001~0.1担持した平均一次粒子径5nm以上100nm以下の酸化チタン粒子が得られ、
前記助触媒含浸担持過程では前記助触媒として白金、金、またはパラジウムの少なくともいずれかが前記酸化チタンナノ分散体に含まれる酸化チタンの量に対してモル比で0.00005以上0.01以下担持されることを特徴とする、請求項13に記載の光触媒抗菌脱臭材料製造方法。
【請求項15】
得られる前記光触媒層の組成が、
前記酸化チタンナノ分散体を1とした場合の重量比で、前記抗菌金属担持酸化チタン粒子が0.01以上1.0以下、
前記吸着材が0.5以上2.0以下
であることを特徴とする、請求項13、14のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料製造方法。
【請求項16】
前記焼成成膜過程で得られる光触媒層の中に光触媒機能向上効果のある金属粒子たる層中金属粒子を含ませるため、前記光触媒層用塗布液調製過程では単体または化合物形態の金属粒子が添加されることを特徴とする、請求項13、14、15のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料製造方法。
【請求項17】
前記金属粒子は鉄単体、鉄化合物、コバルト単体、コバルト化合物、ニッケル単体、ニッケル化合物の少なくともいずれかであり、得られる前記光触媒層中の含有量が酸化チタンナノ分散体に含まれる酸化チタンの量に対して重量比0.00001以上0.05以下となるよう添加されることを特徴とする、請求項16に記載の光触媒抗菌脱臭材料製造方法。
【請求項18】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料が基材に形成されてなることを特徴とする、抗菌脱臭材。
【請求項19】
前記基材がガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維、ガラス板、セラミック板、または金属板のいずれかであることを特徴とする、請求項18に記載の抗菌脱臭材。
【請求項20】
請求項13、14、15、16のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料製造方法により得られる光触媒抗菌脱臭材料がフィルター基材またはその他の基材に形成されていることを特徴とする、抗菌脱臭材。
【請求項21】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料がフィルター基材に塗布されてなることを特徴とする、抗菌脱臭フィルター。
【請求項22】
前記フィルター基材が多孔質金属フィルター基材または多孔質セラミックフィルター基材であることを特徴とする、請求項21に記載の抗菌脱臭フィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒抗菌脱臭材料、その製造方法、抗菌脱臭材、および抗菌脱臭フィルターであり、特に抗菌性能と脱臭性能双方の性能を向上することのできる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光触媒は、光を照射することにより光触媒機能を発揮し、悪臭ガスや細菌、ウイルス等を分解することから、抗菌脱臭材料として用いられている。しかしながら、光が照射されていない場合、光触媒機能は発揮されない。そこで、光が照射されていない状態でも抗菌脱臭効果を得るために、抗菌材や吸着材と光触媒を組み合わせた光触媒材料についての提案が多くなされている。
【0003】
たとえば、吸着材と光触媒を組み合わせた材料については、本願発明者らが酸化チタンナノ分散液と吸着材を含有してなる混合液を基材に塗布形成する方法を開示している(特許文献1参照)。また、抗菌金属と光触媒を組み合わせた材料については、抗菌金属を分散付着させた酸化チタン粒子をフィルタ基材の表面に分散担持させる方法が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許6568402「吸着材-光触媒ハイブリッド型脱臭材料、その製造方法、脱臭フィルター、脱臭材およびその製造方法」
【特許文献2】特開2000-70673「抗菌脱臭性光触媒型フィルタ及びその製造方法」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、吸着剤と光触媒を組み合わせた方法では、脱臭性能は十分に発揮できるものの、抗菌材を含んでいないため、光が照射されていない状態では抗菌効果が発揮されない。一方、光触媒と抗菌金属を組み合わせた材料は、光が照射されていない状態での抗菌性能は十分に発揮できるものの、抗菌金属が光触媒の表面反応サイトを覆ってしまうため、光を照射した状態でのガス分解性能が低下し、ガスを酸化分解する際に発生する好ましくない中間生成物が増加するという問題がある。
【0006】
そこで本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の問題点をなくし、抗菌性能および脱臭性能のいずれにおいても十分な性能を備えた光触媒抗菌脱臭材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者は上記課題について検討した結果、酸化チタンナノ分散体、抗菌金属担持酸化チタン粒子、吸着材を含有し、かつ選択的に所定の金属微粒子を含有してなる液体を基材に塗布して焼成し、その表面に別の所定の金属微粒子を担持することによって解決できることを見出し、これに基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
【0008】
〔1〕 光触媒層、および該光触媒層の表面に担持された助触媒からなる光触媒抗菌脱臭材料であって、該光触媒層には抗菌金属ならびに吸着材が含まれていることを特徴とする、光触媒抗菌脱臭材料。
〔2〕 前記光触媒層は、酸化チタンナノ分散体と、ともに該酸化チタンナノ分散体中に分散している抗菌金属担持酸化チタン粒子および吸着材とからなることを特徴とする、〔1〕に記載の光触媒抗菌脱臭材料。
〔3〕 前記助触媒が金属粒子であることを特徴とする、〔2〕に記載の光触媒抗菌脱臭材料。
〔4〕 前記金属粒子が白金、金、またはパラジウムの少なくともいずれかであることを特徴とする、〔3〕に記載の光触媒抗菌脱臭材料。
〔5〕 前記抗菌金属担持酸化チタン粒子の担持抗菌金属が銀、または銅の少なくともいずれかであることを特徴とする、〔2〕、〔3〕、〔4〕のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料。
〔6〕 前記抗菌金属担持酸化チタン粒子のチタン粒子は平均一次粒子径が5nm以上100nm以下であることを特徴とする、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料。
【0009】
〔7〕 前記酸化チタンナノ分散体は平均一次粒子径が1nm以上30nm以下であることを特徴とする、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料。
〔8〕 前記吸着材がゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、活性炭、粘土鉱物または珪藻土の少なくともいずれかであることを特徴とする〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料。
〔9〕 前記抗菌金属担持酸化チタン粒子は抗菌金属が酸化チタン粒子に対してモル比で0.001以上0.1以下担持されてなり、前記光触媒層の組成は前記酸化チタンナノ分散体を1とした場合の重量比で、前記抗菌金属担持酸化チタン粒子が0.01以上1.0以下、前記吸着材が0.5以上2.0以下であり、また、前記助触媒たる金属粒子は該酸化チタンナノ分散体に含まれる酸化チタンの量に対してモル比で0.00005以上0.01以下担持されていることを特徴とする、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、〔8〕のいずれかに記載光触媒抗菌脱臭材料。
〔10〕 前記光触媒層には、光触媒機能向上効果のある金属粒子たる層中金属粒子が含まれていることを特徴とする、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、〔8〕、〔9〕のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料。
〔11〕 前記層中金属粒子は鉄単体、鉄化合物、コバルト単体、コバルト化合物、ニッケル単体、ニッケル化合物の少なくともいずれかであることを特徴とする、〔10〕に記載の光触媒抗菌脱臭材料。
【0010】
〔12〕 前記層中金属粒子は、前記酸化チタンナノ分散体に含まれる酸化チタンの量に対して重量比で0.00001以上0.05以下含まれていることを特徴とする、〔10〕、〔11〕のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料。
〔13〕 酸化チタンナノ分散体を調製する酸化チタンナノ分散体調製過程、抗菌金属担持酸化チタン粒子を調製する抗菌金属担持酸化チタン粒子調製過程、該酸化チタンナノ分散体および該抗菌金属担持酸化チタン粒子を用いて光触媒層形成用の塗布液を調製する光触媒層用塗布液調製過程、該塗布液を基材に塗布しこれを焼成して光触媒層を成膜する焼成成膜過程、および成膜された該光触媒層上に助触媒を含浸法により担持する助触媒含浸担持過程とからなることを特徴とする、光触媒抗菌脱臭材料製造方法。
〔14〕 前記酸化チタンナノ分散体調製過程では平均一次粒子径1nm以上30nm以下の分散液が得られ、
前記抗菌金属担持酸化チタン粒子調製過程では銀または銅の少なくともいずれかを酸化チタン粒子に対してモル比で0.001~0.1担持した平均一次粒子径5nm以上100nm以下の酸化チタン粒子が得られ、
前記助触媒含浸担持過程では前記助触媒として白金、金、またはパラジウムの少なくともいずれかが前記酸化チタンナノ分散体に含まれる酸化チタンの量に対してモル比で0.00005以上0.01以下担持されることを特徴とする、〔13〕に記載の光触媒抗菌脱臭材料製造方法。
〔15〕 得られる前記光触媒層の組成が、前記酸化チタンナノ分散体を1とした場合の重量比で、前記抗菌金属担持酸化チタン粒子が0.01以上1.0以下、前記吸着材が0.5以上2.0以下であることを特徴とする、〔13〕、〔14〕のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料製造方法。
〔16〕 前記焼成成膜過程で得られる光触媒層の中に光触媒機能向上効果のある金属粒子たる層中金属粒子を含ませるため、前記光触媒層用塗布液調製過程では単体または化合物形態の金属粒子が添加されることを特徴とする、〔13〕、〔14〕、〔15〕のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料製造方法。
【0011】
〔17〕 前記金属粒子は鉄単体、鉄化合物、コバルト単体、コバルト化合物、ニッケル単体、ニッケル化合物の少なくともいずれかであり、得られる前記光触媒層中の含有量が酸化チタンナノ分散体に含まれる酸化チタンの量に対して重量比0.00001以上0.05以下となるよう添加されることを特徴とする、〔16〕に記載の光触媒抗菌脱臭材料製造方法。
〔18〕 〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、〔8〕、〔9〕、〔10〕、〔11〕、〔12〕のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料が基材に形成されてなることを特徴とする、抗菌脱臭材。
〔19〕 前記基材がガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維、ガラス板、セラミック板、または金属板のいずれかであることを特徴とする、〔18〕に記載の抗菌脱臭材。
〔20〕 〔13〕、〔14〕、〔15〕、〔16〕のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料製造方法により得られる光触媒抗菌脱臭材料がフィルター基材またはその他の基材に形成されていることを特徴とする、抗菌脱臭材。
〔21〕 〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、〔8〕、〔9〕、〔10〕、〔11〕、〔12〕のいずれかに記載の光触媒抗菌脱臭材料がフィルター基材に塗布されてなることを特徴とする、抗菌脱臭フィルター。
〔22〕 前記フィルター基材が多孔質金属フィルター基材または多孔質セラミックフィルター基材であることを特徴とする、〔21〕に記載の抗菌脱臭フィルター。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光触媒抗菌脱臭材料、その製造方法、抗菌脱臭フィルター、抗菌脱臭材およびその製造方法は上述のように構成されるため、これらによれば、抗菌性能および脱臭性能のいずれにおいても十分な性能を備えた光触媒抗菌脱臭材料等を提供することが可能となった。つまり、高い抗菌性能と脱臭性能の両立が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明光触媒抗菌脱臭材料の基本構成を示す断面視の概念図である。
図1-2】本発明光触媒抗菌脱臭材料に係る抗菌金属担持酸化チタン粒子の構成を示す概念図である。
図2】層中金属粒子を備えている本発明光触媒抗菌脱臭材料の基本構成を示す断面視の概念図である。
図3】本発明光触媒抗菌脱臭材料製造方法の基本構成を示すフロー図である。
図4】層中金属粒子を含む本発明光触媒抗菌脱臭材料製造方法の構成を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面も用いながら本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明光触媒抗菌脱臭材料の基本構成を示す断面視の概念図である。また、図1-2は、本発明光触媒抗菌脱臭材料に係る抗菌金属担持酸化チタン粒子の構成を示す概念図である。これらに示すように本光触媒抗菌脱臭材料10は、光触媒層1、および光触媒層1の表面に担持された助触媒7からなり、光触媒層1には抗菌金属4ならびに吸着材6が含まれているという基本構成を有する。光触媒層1は、酸化チタンナノ分散体2と、ともに酸化チタンナノ分散体2中に分散している抗菌金属担持酸化チタン粒子3および吸着材6とからなる。ここで、抗菌金属担持酸化チタン粒子3は酸化チタン粒子5に抗菌金属4が担持されている構成である。助触媒7としては金属粒子が好適に用いられる。
【0015】
助触媒7として用いる金属粒子の担持は、光触媒機能の向上に効果がある。金属粒子としては、白金、金、パラジウムの少なくともいずれかが望ましい。担持方法には含浸法、析出沈殿法、光析出法などがあるが、特に限定されない。かかる金属粒子の担持量は、酸化チタンナノ分散体2に含まれる酸化チタンの量に対してモル比で0.00005~0.01とすることが望ましい。なお、以下の説明において数値範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」の意味である。
【0016】
本光触媒抗菌脱臭材料10の抗菌金属担持酸化チタン粒子3は、平均一次粒子径5~50nmの酸化チタン粒子5に、抗菌金属4として銀または銅の少なくともいずれかが担持された構成とすることができる。酸化チタン粒子3の結晶形はアナターゼ型であることが必要だが、少量のルチル型を含んでいてもよい。抗菌金属担持酸化チタン粒子3の酸化チタン粒子5は、平均一次粒子径が5~100nmとすることが望ましい。
【0017】
抗菌金属4は、酸化チタン粒子5に対してモル比で0.001~0.1担持され、担持量が0.1を超えると抗菌金属4が酸化チタン粒子5の表面を覆うため、光照射時の抗菌および脱臭性能が低下し、ガスを酸化分解する際の中間生成物の発生が多くなり、好ましくない。抗菌金属4の酸化チタン粒子5への担持方法は、含浸法、析出沈殿法、光析出法などがあるが、特に限定されない。水や有機溶媒に分散した状態で用いてもよい。
【0018】
酸化チタンナノ分散体2はナノ微粒子であるため、高い光触媒活性を有し、かつバインダー効果も得ることができる。かかる効果を得るために、その平均一次粒子径は1?30nmとすることが望ましい。また酸化チタンナノ分散体2は、結晶形はアナターゼ型であることが必要だが、少量のルチル型を含んでいてもよい。分散体は、均質な分散状態であればよい。
【0019】
本光触媒抗菌脱臭材料10の吸着材としては、たとえば、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、活性炭、粘土鉱物または珪藻土の少なくともいずれかを好適に用いることができる。もちろんこれらに限定されず、光触媒抗菌脱臭材料10を構成するための吸着材として機能し得るものであれば、全て用いることができる。
【0020】
本光触媒抗菌脱臭材料10の組成について説明する。まず、抗菌金属担持酸化チタン粒子3は、抗菌金属4が酸化チタン粒子5に対してモル比で0.001以上0.1以下担持された構成とすることが望ましい。そして、光触媒層1における抗菌金属担持酸化チタン粒子3の組成比は、酸化チタンナノ分散体2を1とした場合の重量比で、0.01以上1.0以下とすることが望ましい。1.0を超えると光を照射した状態でのガス分解性能が低下し、中間生成物が増加する。一方、0.01以下では 光が照射されていない状態において十分な抗菌効果が得られない。
【0021】
また、光触媒層1における吸着材6の組成比は、酸化チタンナノ分散体2を1とした場合の重量比で、0.5以上2.0以下とすることが望ましい。2.0を超えると、吸着剤が光触媒の表面反応サイトを覆ってしまうため、光を照射した状態でのガス分解性能が低下し、中間生成物が増加する。また、光を照射した状態での抗菌性能が低下する。一方、0.5以下では 光が照射されていない状態でのガス吸着性能が低下する。
【0022】
図2は、層中金属粒子を備えている本発明光触媒抗菌脱臭材料の基本構成を示す断面視の概念図である。図示するように本光触媒抗菌脱臭材料210は、図1を用いて説明した各構成要素に加えて、光触媒層21に光触媒機能向上効果のある金属粒子たる層中金属粒子28が含まれている構成とすることができる。層中金属粒子28としては鉄単体、鉄化合物、コバルト単体、コバルト化合物、ニッケル単体、ニッケル化合物の少なくともいずれかを好適に用いることができる。
【0023】
層中金属粒子28として鉄化合物を用いる場合には、たとえば、酸化鉄、硝酸鉄、硫酸鉄、酢酸鉄、塩化鉄などがよい。また、層中金属粒子28の組成は、酸化チタンナノ分散体22に含まれる酸化チタンの量に対して、重量比で0.00001以上0.05以下とすることが、より良好な光触媒機能向上効果を得る上で望ましい。
【0024】
図3は、本発明光触媒抗菌脱臭材料製造方法の基本構成を示すフロー図である。図示するように本製法は、酸化チタンナノ分散体2を調製する酸化チタンナノ分散体調製過程P1、抗菌金属担持酸化チタン粒子3を調製する抗菌金属担持酸化チタン粒子調製過程P2、酸化チタンナノ分散体2および抗菌金属担持酸化チタン粒子3を用いて光触媒層形成用の塗布液Sを調製する光触媒層用塗布液調製過程P3、塗布液Sを基材Mに塗布しこれを焼成して光触媒層1を成膜する焼成成膜過程P4、および成膜された光触媒層1上に助触媒7を含浸法により担持する助触媒含浸担持過程P5とからなることを、主たる構成とする。なお光触媒層用塗布液調製過程P3では吸着材6も添加される。
【0025】
かかる構成の本フローによれば、酸化チタンナノ分散体調製過程P1にて酸化チタンナノ分散体2が調製され、他方、抗菌金属担持酸化チタン粒子調製過程P2にて抗菌金属担持酸化チタン粒子3が調製され、光触媒層用塗布液調製過程P3にて、既に調製された酸化チタンナノ分散体2および抗菌金属担持酸化チタン粒子3を用いて光触媒層形成用の塗布液Sが調製され、焼成成膜過程P4にて塗布液Sが基材Mに塗布され、焼成されて光触媒層1が基材M上に成膜され、助触媒含侵担持過程P5にて成膜された光触媒層1上に含浸法によって助触媒7が担持され、光触媒抗菌脱臭材料10が得られる。
【0026】
酸化チタンナノ分散体調製過程P1で調製される酸化チタンナノ分散体2の状態は、ゾル状、スラリー状など特に限定せず、均質に分散されていればよい。この時の濃度は、固形分として1~20重量%含まれるように調製することが望ましい。なお、20重量%を越えると、後の過程において基材M上に固定されにくくなる可能性がある。
【0027】
本発明光触媒抗菌脱臭材料製造方法によれば、酸化チタンナノ分散体調製過程P1では平均一次粒子径1nm以上30nm以下の分散液(酸化チタンナノ分散体2)が得られ、抗菌金属担持酸化チタン粒子調製過程P2では銀または銅の少なくともいずれかの抗菌金属4を酸化チタン粒子5に対してモル比で0.001~0.1担持した平均一次粒子径5nm以上100nm以下の酸化チタン粒子3が得られ、助触媒含浸担持過程P5では助触媒7として白金、金、またはパラジウムの少なくともいずれかが酸化チタンナノ分散体に含まれる酸化チタンの量に対してモル比で0.00005以上0.01以下担持されて、光触媒抗菌脱臭材料10を得ることができる。
【0028】
また、本発明光触媒抗菌脱臭材料製造方法によって、酸化チタンナノ分散体2を1とした場合の重量比で、抗菌金属担持酸化チタン粒子3が0.01以上1.0以下、吸着材6が0.5以上2.0以下という組成の光触媒層1を有する光触媒抗菌脱臭材料10を得ることができる。
【0029】
図4は、層中金属粒子を含む本発明光触媒抗菌脱臭材料製造方法の構成を示すフロー図である。図示するように本フローでは、図3にて示した内容に加えて、焼成成膜過程P24で得られる光触媒層21の中に光触媒機能向上効果のある金属粒子たる層中金属粒子28を含ませるため、光触媒層用塗布液調製過程P23では単体または化合物形態の金属粒子28’が添加される構成とすることができる。
【0030】
かかる構成の本フローによれば、酸化チタンナノ分散体調製過程P1にて酸化チタンナノ分散体22が調製され、他方、抗菌金属担持酸化チタン粒子調製過程P2にて抗菌金属担持酸化チタン粒子23が調製され、光触媒層用塗布液調製過程P23にて、既に調製された酸化チタンナノ分散体22、抗菌金属担持酸化チタン粒子23、および金属粒子28’を用いて光触媒層形成用の塗布液S’が調製され、焼成成膜過程P24にて塗布液S’が基材Mに塗布され、焼成されて光触媒層21が基材M上に成膜され、助触媒含侵担持過程P25にて成膜された光触媒層21上に含浸法によって助触媒27が担持され、光触媒抗菌脱臭材料210が得られる。
【0031】
これにより、焼成成膜過程P24で得られる光触媒層21の中に光触媒機能向上効果のある金属粒子たる層中金属粒子28が含まれることとなり、本発明光触媒抗菌脱臭材料210の光触媒機能をより高めることができる。
【0032】
なお、金属粒子28’としては、鉄単体、鉄化合物、コバルト単体、コバルト化合物、ニッケル単体、ニッケル化合物の少なくともいずれかを好適に用いることができる。また、添加量は、得られる光触媒層21中の含有量が酸化チタンナノ分散体22に含まれる酸化チタンの量に対して重量比0.00001以上0.05以下とすることが望ましい。
【0033】
以上説明したいずれかの構成の光触媒抗菌脱臭材料が基材に形成されてなる抗菌脱臭材、またはいずれかの構成の光触媒抗菌脱臭材料製造方法により得られる光触媒抗菌脱臭材料がフィルター基材またはその他の基材に形成されている抗菌脱臭材も、本発明の範囲内である。
【0034】
なお、抗菌脱臭材の基材としては、たとえば、ガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維、ガラス板、セラミック板、または金属板など、脱臭材を構成し得る材料を特に限定なく用いることができる。
【0035】
以上説明したいずれかの構成の光触媒抗菌脱臭材料がフィルター基材に塗布されてなる抗菌脱臭フィルターもまた、本発明の範囲内である。この場合、フィルター基材としては多孔質金属フィルター基材または多孔質セラミックフィルター基材を好適に用いることができる。
【実施例0036】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明がこれに限定されるものではない。
[光触媒抗菌脱臭材料の作製および評価]
種々の条件にて光触媒抗菌脱臭材料を作製し、その評価を行った。
[1 酸化チタンナノ分散体の調製]
蒸留水500gを95~100℃に加熱撹拌して硝酸0.7gを添加し、チタンテトライソプロポキシド100gを20g/minの速度で滴下した。その後、30分間加熱撹拌し、酸化チタンスラリーを得た。得られた酸化チタンスラリーに蒸留水を固形分濃度で10重量%になるように加え、超音波処理を30分間施し、平均粒径10nm以下の酸化チタンナノ分散体を得た。
【0037】
[2 抗菌金属担持酸化チタン粒子の調製]
酸化チタン粒子(日本アエロジル(株)製P25)1.5g、硝酸銀0.06g、エタノール3.0g、および蒸留水25.44gを混合して、撹拌しながら紫外線(ケミカルランプ)を30分間照射し、乾燥して、銀が酸化チタン粒子に対してモル比で0.02担持された銀担持酸化チタン粒子を得た。
【0038】
[3 光触媒抗菌脱臭材料の作製]
[実施例1]
上記方法により作製した酸化チタンナノ分散体(10重量%、平均粒径10nm以下)50g、銀担持酸化チタン粒子0.5g、ゼオライト(東ソー(株)製HSZ-891HOA)8.0g、硝酸鉄九水和物0.02g、シリカ化合物(SiO固形分濃度10重量%)1.0g、およびエタノール40.48gを入れ、超音波処理を30分間施し、塗布液を調製した。調製した塗布液を浸漬法によりシリカ繊維フィルター(75mm×75mm、アドバンテック製QR-100)またはソーダガラス基板(50mm×50mm)に塗布し、450℃で30分間焼成して、成膜を行った。次に、ヘキサクロロ白金(IV)酸水溶液に成膜したフィルターを浸漬し、白金が成膜した酸化チタンナノ分散体に含まれる酸化チタンに対してモル比で0.00005となるように含浸法により担持し、光触媒抗菌脱臭材料を作製した。
【0039】
[実施例2]
銀担持酸化チタン粒子を0.1g、エタノールを40.88gにした以外は実施例1と同様にして、光触媒抗菌脱臭材料を作製した。
[実施例3]
成膜したフィルターへの白金担持量を、成膜した酸化チタンナノ分散液に含まれる酸化チタンに対してモル比で0.003となるようにした以外は実施例1と同様にして、光触媒抗菌脱臭材料を作製した。
【0040】
[比較例1]
銀担持酸化チタン粒子を添加せず、エタノールを40.98gとした以外は実施例1と同様にして、光触媒抗菌脱臭材料を作製した。
[比較例2]
成膜したフィルターに白金を担持しない以外は実施例1と同様にして、光触媒抗菌脱臭材料を作製した。
[比較例3]
銀担持酸化チタン粒子を添加せず、エタノールを40.89gとした以外は実施例1と同様にして、塗布液を調製した。調製した塗布液を浸漬法によりシリカ繊維フィルターまたはソーダガラス基板に塗布し、450℃で30分間焼成して、成膜を行った。次に、硝酸銀水溶液に成膜したフィルターを浸漬し、ブラックライトを照射して、銀が成膜した酸化チタンナノ分散液に含まれる酸化チタンに対して重量比で0.003となるように光析出法により担持して、光触媒抗菌脱臭材料を作製した。
各実施例および比較例の試料の概要を表1にまとめる。
【0041】
【表1】
【0042】
[4 評価方法]
上記方法で作製した試料について、下記の方法で評価を行った。
脱臭性能
20Lの反応容器内にシリカ繊維フィルター基材に成膜した試料を設置し、エタノール約25ppmを注入後、ブラックライト照射時のエタノールおよび中間生成物であるアセトアルデヒド濃度を測定した。エタノール除去率は、初期濃度とガス注入10分後の濃度から算出した。
【0043】
抗菌性能
抗菌性試験は、JIS R1702:2020に準拠して実施した。ガラス基板に成膜した試料に試験菌として大腸菌を滴下し、光照射条件ではブラックライト(紫外線放射照度0.25mW/cm)照射4時間後の生菌数、暗所条件では24時間後の生菌数を測定した。また、JIS Z 2801 抗菌性試験方法に準拠して、抗菌活性値を求めた。抗菌活性値は抗菌効果の程度を判定する指標の値である。
【0044】
[評価結果]
表2に、各実施例および比較例の評価結果をまとめて示す。ここに示すように実施例1~3で作製した試料は、いずれもエタノール分解時に生成するアセトアルデヒドが3ppm以下となった。また、抗菌活性値は、光照射条件、暗所条件のいずれにおいても4.0以上となった。無加工品の24時間培養後菌数(B)を抗菌加工品の24時間培養後菌数(C)で除した数の対数値で算出される抗菌活性値は、2.0以上(99%以上の死滅率)で抗菌効果があると規定されている。したがって、実施例1?3の試料は十分に高い抗菌効果を有することが確認できた。
【0045】
【表2】
【0046】
一方、抗菌金属担持酸化チタン粒子を用いなかった比較例1は、暗所での抗菌性が認められなかった。また、表面に白金を担持しなかった比較例2は、エタノール分解時に生成するアセトアルデヒド濃度が増え、光照射での抗菌活性値が低くなった。また、抗菌金属担持酸化チタン粒子を用いず表面に銀を担持した比較例3は、アセトアルデヒドが大量に生成し、抗菌活性値は光照射および暗所下のどちらも2以下に低下した。これら各比較例との比較により、本発明の光触媒抗菌脱臭材料は光触媒機能と抗菌機能のどちらの機能も十分に発揮されていることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の光触媒抗菌脱臭材料、その製造方法、抗菌脱臭フィルター、抗菌脱臭材およびその製造方法によれば、高い抗菌性能と脱臭性能が両立する抗菌脱臭材料等を提供することができる。したがって、空気浄化機製造・使用分野を初めとして、関連する全分野において産業上利用性が高い発明である。
【符号の説明】
【0048】
1、21…光触媒層
2、22…酸化チタンナノ分散体
3、23…抗菌金属担持酸化チタン粒子
4、24…抗菌金属
5、25…酸化チタン粒子
6、26…吸着材
7、27…助触媒
10、210…光触媒抗菌脱臭材料
28…層中金属粒子
28’…層中金属粒子用の金属粒子
M…基材
P1…酸化チタンナノ分散体調製過程
P2…抗菌金属担持酸化チタン粒子調製過程
P3、P23…光触媒層用塗布液調製過程
P4、P24…焼成成膜過程
P5、P25…助触媒含侵担持過程
S、S’…塗布液
図1
図1-2】
図2
図3
図4