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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006868
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】ヒートポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 4/02 20220101AFI20230111BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
F24H4/02 A
F25B1/00 304T
F25B1/00 361Q
F25B1/00 399Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109702
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪田 広記
(72)【発明者】
【氏名】阿部 基
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AB22
3L122BA13
3L122BA32
3L122BB02
3L122BB13
3L122BB14
3L122BC12
3L122BC13
3L122BC14
3L122BC17
3L122CA13
3L122DA22
3L122DA23
3L122DA24
3L122EA09
3L122EA52
3L122EA64
(57)【要約】
【課題】高出力運転から通常出力運転への切り替え時における、動作安定化及び高効率化の両立を図る。
【解決手段】圧縮機制御部410Bは圧縮機14の回転数を所定の回転数変化率により増減制御する。膨張弁制御部410Cは電子膨張弁16の開度を所定の操作周期ごとに増減制御する。高性能モードから定格モードへ切り替えられた際、変化率変更部410Bcによって回転数変化率の値が減少することで、圧縮機14の回転数の減少割合が通常の増減制御時の場合よりも緩やかになり、操作周期変更部410Ccによって操作周期の値が減少することで、電子膨張弁16の開度がそれまでよりも小さな時間刻みにより素早く操作される。これらにより、前述した湯水の沸上温度の急激な低下によるアンダーシュート等を防止でき、ヒートポンプユニット3全体の動作を安定化できる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒と熱源との熱交換を行う熱源側熱交換器と、圧縮機と、減圧器と、水冷媒熱交換器の冷媒側流路とを冷媒配管で環状に接続して冷媒循環回路を形成し、
前記水冷媒熱交換器の水側流路を温水循環回路の湯水配管に接続し、
予め定められた通常出力により前記湯水配管に温水を生成する通常モードでの運転、及び、前記通常出力よりも大きな出力により前記湯水配管に温水を生成する高出力モードでの運転、を選択的に実行可能なヒートポンプ装置において、
前記圧縮機の回転数を、前記通常モードでの運転か前記高出力モードでの運転かに応じて各モードに対応した目標圧縮機回転数となるように、所定の回転数変化率により増減制御する圧縮機制御手段と、
前記冷媒循環回路における状態検出値が所望の目標値となるように、前記減圧器の開度を所定の操作周期ごとに増減制御する減圧器制御手段と、
前記高出力モードでの運転から前記通常モードでの運転に切り替えられた後の第1所定期間、前記圧縮機制御手段における前記回転数変化率の値を、それまでの第1値よりも小さな第2値に変更する、変化率変更手段と、
前記高出力モードでの運転から前記通常モードでの運転に切り替えられた後の第2所定期間、前記減圧器制御手段における前記操作周期の値を、それまでの第3値よりも小さな第4値に変更する、周期変更手段と、
を有することを特徴とするヒートポンプ装置。
【請求項2】
計時カウント機能を備え、カウント値が前記操作周期の値となる度、対応する操作タイミングを前記減圧器制御手段へ通知するタイマーと、
前記高出力モードでの運転から前記通常モードでの運転に切り替えられたとき、前記タイマーによる前記カウント値をリセットするリセット手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ装置。
【請求項3】
前記高出力モードでの運転から前記通常モードでの運転に切り替えられた後、所望の目標沸上温度と前記水冷媒熱交換器の水側流路から流出する湯水の実沸上温度との温度差が所定値以上である間は、前記回転数変化率の値に係わらず、前記圧縮機制御手段による前記増減制御を禁止して前記圧縮機の回転数を保持する、圧縮機回転数保持手段をさらに有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のヒートポンプ装置。
【請求項4】
前記熱源側熱交換器は、
前記熱源である空気と前記冷媒との熱交換を行う空気熱交換器であり、
かつ、
前記空気熱交換器に外気を送り込む送風ファンと、
前記送風ファンの回転数を、前記通常モードでの運転か前記高出力モードでの運転かに応じて各モードに対応した目標ファン回転数となるように増減制御するファン制御手段と、
前記高出力モードでの運転から前記通常モードでの運転に切り替えられた後、第3所定期間が経過するまでの間、前記ファン制御手段による前記増減制御を禁止して前記送風ファンの回転数を保持する、ファン回転数保持手段と、
を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のヒートポンプ装置。
【請求項5】
前記減圧器制御手段は、
前記圧縮機から吐出される冷媒の吐出温度と前記水冷媒熱交換器の前記冷媒側流路から流出する冷媒の流出温度との温度差が、所望の目標沸き上げ温度と外気温度と前記水冷媒熱交換器の前記水側流路に流入する湯水の入水温度とに基づいて算出される所定の目標温度差となるように、前記減圧器の開度を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のヒートポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水冷媒熱交換器を介して湯水の加温を行うヒートポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のヒートポンプ装置においては、特許文献1記載のように、深夜時間帯等の給湯負荷が小さい場合に低い回転数で圧縮機を駆動して予め定めた通常の加熱能力を得る通常出力運転(例えば加熱能力5kW)と、ユーザの使用時等の給湯負荷が大きい場合に高い回転数で圧縮機を駆動して通常出力より大きな加熱能力とする高出力運転(例えば加熱能力10kW)と、を切り替えて実行するものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-113897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のものでは、例えば高出力運転から通常出力運転に切り替わった場合、その切り替えに伴い、圧縮機の回転数が高回転数から低回転数へと切り替えられることとなる。その際、ヒートポンプ装置の出力を迅速に低下させるために圧縮機の回転数の減少を早く行いすぎると、生成される湯水の沸上温度が急激に低下し目標沸上温度をアンダーシュートしてしまう等、ヒートポンプ装置全体の動作が不安定化する。これを回避するために圧縮機の回転数の減少を極めて緩慢にすると、低効率である高出力運転が無駄に長く継続することとなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、冷媒と熱源との熱交換を行う熱源側熱交換器と、圧縮機と、減圧器と、水冷媒熱交換器の冷媒側流路とを冷媒配管で環状に接続して冷媒循環回路を形成し、前記水冷媒熱交換器の水側流路を温水循環回路の湯水配管に接続し、予め定められた通常出力により前記湯水配管に温水を生成する通常モードでの運転、及び、前記通常出力よりも大きな出力により前記湯水配管に温水を生成する高出力モードでの運転、を選択的に実行可能なヒートポンプ装置において、前記圧縮機の回転数を、前記通常モードでの運転か前記高出力モードでの運転かに応じて各モードに対応した目標圧縮機回転数となるように、所定の回転数変化率により増減制御する圧縮機制御手段と、前記冷媒循環回路における状態検出値が所望の目標値となるように、前記減圧器の開度を所定の操作周期ごとに増減制御する減圧器制御手段と、前記高出力モードでの運転から前記通常モードでの運転に切り替えられた後の第1所定期間、前記圧縮機制御手段における前記回転数変化率の値を、それまでの第1値よりも小さな第2値に変更する、変化率変更手段と、前記高出力モードでの運転から前記通常モードでの運転に切り替えられた後の第2所定期間、前記減圧器制御手段における前記操作周期の値を、それまでの第3値よりも小さな第4値に変更する、周期変更手段と、を有するものである。
【0006】
また、請求項2では、計時カウント機能を備え、カウント値が前記操作周期の値となる度、対応する操作タイミングを前記減圧器制御手段へ通知するタイマーと、前記高出力モードでの運転から前記通常モードでの運転に切り替えられたとき、前記タイマーによる前記カウント値をリセットするリセット手段と、をさらに有するものである。
【0007】
また、請求項3では、前記高出力モードでの運転から前記通常モードでの運転に切り替えられた後、所望の目標沸上温度と前記水冷媒熱交換器の水側流路から流出する湯水の実沸上温度との温度差が所定値以上である間は、前記回転数変化率の値に係わらず、前記圧縮機制御手段による前記増減制御を禁止して前記圧縮機の回転数を保持する、圧縮機回転数保持手段をさらに有するものである。
【0008】
また、請求項4では、前記熱源側熱交換器は、前記熱源である空気と前記冷媒との熱交換を行う空気熱交換器であり、かつ、前記空気熱交換器に外気を送り込む送風ファンと、前記送風ファンの回転数を、前記通常モードでの運転か前記高出力モードでの運転かに応じて各モードに対応した目標ファン回転数となるように増減制御するファン制御手段と、前記高出力モードでの運転から前記通常モードでの運転に切り替えられた後、第3所定期間が経過するまでの間、前記ファン制御手段による前記増減制御を禁止して前記送風ファンの回転数を保持する、ファン回転数保持手段と、を設けたものである。
【0009】
また、請求項5では、前記減圧器制御手段は、前記圧縮機から吐出される冷媒の吐出温度と前記水冷媒熱交換器の前記冷媒側流路から流出する冷媒の流出温度との温度差が、所望の目標沸き上げ温度と外気温度と前記水冷媒熱交換器の前記水側流路に流入する湯水の入水温度とに基づいて算出される所定の目標温度差となるように、前記減圧器の開度を制御するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の請求項1によれば、温水生成時には、熱源側熱交換器、圧縮機、減圧器を備えた冷媒循環回路を循環する冷媒からの加熱により水冷媒熱交換器において水側流路の水が加温される。生成された温水は、温水循環回路の湯水配管を介し、例えば給湯設備の貯湯タンクや温水暖房を行う暖房端末等に供給される。
このとき、請求項1のヒートポンプ装置は、所定の通常出力を得る通常モードでの運転と、前記通常出力よりも大きな出力を得る高出力モードでの運転が切り替え可能であり、そのいずれのモードであるかに応じて、前記圧縮機及び前記減圧器の両方が制御される。
【0011】
すなわち、圧縮機の回転数は、圧縮機制御手段によって、前記通常モード及び前記高出力モードに対応したそれぞれの目標圧縮機回転数となるように、所定の回転数変化率により増減制御される。この結果、例えば高出力モードから通常モードへ切り替えられた際には、圧縮機の回転数は、高出力モードに対応した相対的に高い回転数から、通常モードに対応した相対的に低い回転数へと減少制御される。
また、減圧器の開度は、減圧器制御手段によって、前記冷媒循環回路における状態検出値が所望の目標値となるように、所定の操作周期ごとに増減制御される。この結果、例えば高出力モードから通常モードへ切り替えられた際には、減圧器の開度は、結果として、高出力モード時における相対的に大きな開度から、通常モード時における相対的に小さな開度へと減少制御される。このように、請求項1によれば、高出力モードから通常モードへの切り替えの際に、圧縮機の回転数のみならず減圧器の開度も併せて制御されることとなる。これにより、ヒートポンプ装置の出力を迅速にかつ確実に低下させることができる。
【0012】
そして請求項1によれば、上記制御の際、変化率変更手段によって、圧縮機制御手段における前記回転数変化率の値が第1値→第2値に減少することで、圧縮機の回転数の減少割合が通常の増減制御時の場合よりも緩やかになる。さらに、周期変更手段によって、減圧器制御手段における前記操作周期の値が第3値→第4値に減少することで、減圧器の開度がそれまでよりも小さな時間刻みにより素早く操作される。これら2つの制御により、前述した湯水の沸上温度の急激な低下によるアンダーシュート等を防止でき、ヒートポンプ装置全体の動作を安定化することができる。
以上の結果、請求項1によれば、高出力運転から通常出力運転への切り替え時において、動作安定化及び高効率化の両立を図ることができる。
【0013】
また、請求項2によれば、計時カウント機能を備えたタイマーが設けられており、カウント値が操作周期の値となる度、対応する操作タイミングが減圧器制御手段へ通知されることで、当該減圧器制御手段がそのタイミングで減圧器の開度を操作する。ここで、高出力モードから通常モードへ切り替わったとき、前述のように、前記操作周期の値がより小さな値に変更されて短い時間間隔で開度操作が行われるようになる。しかしながら、その切り替わりタイミングが、そのとき設定されている操作周期の途中であった場合には、カウント値がその操作周期の値となるまでの間、上記のような時間間隔の短縮化が反映されないこととなる。
そこで請求項2によれば、高出力モードから通常モードへ切り替わったときには、リセット手段により、前記タイマーによる前記カウント値がリセットされる。これにより、そのリセット時に即座に操作タイミングであることが減圧器制御手段に通知されて減圧器の開度操作が行われ、それ以降は変更後の短い時間間隔で減圧器の開度が操作される。この結果、高出力モードから通常モードへ切り替え時に、減圧器の操作時間間隔の短縮化を迅速に反映することができる。
【0014】
また、請求項3によれば、実沸上温度が目標沸上温度よりある程度低下してしまった場合には、圧縮機の回転数の減少制御を中止してその時点の回転数を維持することにより、実沸上温度のそれ以上の低下を防止することができる。
【0015】
また、請求項4によれば、熱源熱交換器として空気熱交換器が用いられる。この場合、空気熱交換器における熱交換量は、空気熱交換器に外気を送り込む送風ファンのファン回転数により変化する。
ファン回転数は、ファン制御手段によって、前記通常モード及び前記高出力モードに対応したそれぞれの目標ファン回転数となるように増減制御される。この結果、例えば高出力モードから通常モードへ切り替えられた場合、送風ファンの回転数は、高出力モードに対応した相対的に高い回転数から通常モードに対応した相対的に低い回転数へと減少制御され、これによって空気熱交換器における熱交換量も小さくなる。
【0016】
しかしながら、前記送風ファンの回転数の減少を前記通常モードへ切り替え後にすぐに実行した場合、空気熱交換器における熱交換量が急激に小さくなりすぎて前記実沸上温度が急激に低下する等ヒートポンプ装置全体の動作が不安定化する可能性があり得る。
そこで請求項4によれば、前記通常モードへ切り替え後第3所定期間が経過するまでの間はその時点のファン回転数を維持することにより、実沸上温度の急激な低下を防止し前記不安定化を防止することができる。
【0017】
また、請求項5によれば、減圧器制御手段は、前記圧縮機からの冷媒の吐出温度と前記水冷媒熱交換器から流出する冷媒の流出温度との温度差が、(目標沸き上げ温度と外気温度と水冷媒熱交換器に流入する湯水の入水温度とに基づいて算出される)所定の目標温度差となるように前記減圧器の開度を制御する、いわゆる目標温度差制御を行う。これにより、沸き上げ中、運転効率が高効率となる比エンタルピー差を保ちながらヒートポンプ装置を運転させることができる。
特に、前記減圧器の開度を制御することにより、前記圧縮機から吐出される冷媒の吐出温度及び前記水冷媒熱交換器から流出する冷媒の流出温度の双方が変化する結果、減圧器の開度変化に対する吐出温度と流出温度との温度差の温度変化量が大きく、吐出温度と流出温度との温度差を所定の目標温度差とするまでの制御速度が速く、すばやく高効率で運転させることができる。また、前記所定の目標温度差を目標沸き上げ温度、外気温度、入水温度に基づき算出することにより、外気温度や入水温度といった条件が刻々と変化する沸き上げ時において、その時その時で運転効率が高効率となる所定の目標温度差を確実に求めることができ、ヒートポンプ装置を確実に高効率で運転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態のヒートポンプ式給湯装置の概略構成図
図2】加熱制御装置の機能的構成を表す機能ブロック図
図3】圧縮機及び室外ファンの目標回転数のモード別の挙動を表すグラフ図
図4】圧縮機制御部が実行する制御手順を表すフローチャート図
図5】膨張弁制御部が実行する制御手順を表すフローチャート図
図6】室外ファン制御部が実行する制御手順を表すフローチャート図
図7】本発明の一実施形態の制御を実行した場合の挙動を比較例と対比して示すタイムチャート図
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態は、本発明のヒートポンプ装置を給湯装置に適用した場合の実施形態である。
【0020】
<概略回路構成>
図1に示すように、本実施形態に係わるヒートポンプ式給湯装置100は、湯水を貯湯する貯湯タンク2を有したタンクユニット1と、ヒートポンプユニット3(ヒートポンプ装置に相当)と、を有している。
【0021】
前記ヒートポンプユニット3は、前記貯湯タンク2内の湯水を加熱するために水冷媒熱交換器15と、加熱循環ポンプ19(給水ポンプ)と、を備えている。水冷媒熱交換器15は、冷媒を流通させる冷媒側の流路15aと水側の流路15bとを有し、高温高圧の冷媒と貯湯タンク2内の湯水とを熱交換する。すなわち、前記水冷媒熱交換器15の前記水側の流路15aと前記貯湯タンク2とが湯水配管としての加熱往き管5及び加熱戻り管6によって環状に接続され、前記タンクユニット1と前記ヒートポンプユニット3とにわたる湯水循環回路としての加熱循環回路4が形成されている。
【0022】
加熱往き管5は、前記貯湯タンク2の下部に接続され、加熱戻り管6は、前記貯湯タンク2の上部に接続されている。前記加熱循環ポンプ19は、前記加熱往き管5の途中に設けられ、前記水側の流路15aを介し前記加熱往き管5からの湯水を前記加熱戻り管6へ流通させつつ、貯湯タンク2の湯水を循環させる。なお、前記加熱往き管5には、前記水冷媒熱交換器15の前記水側の流路15aに流入する入水温度T1(湯水の入口温度)を検出する入水温度センサ23が設けられ、前記加熱戻り管6には、前記水側の流路15aから前記貯湯タンク2に向かって流出する沸上温度Tb(実沸上温度に相当)を検出する沸上温度センサ24が設けられている。
【0023】
前記タンクユニット1において、貯湯タンク2の側面には、貯湯タンク2内の湯の温度を検出する貯湯温度センサ12が上下にわたり複数設けられている。前記貯湯タンク2の下部にはまた、貯湯タンク2に水を給水する給水管7が接続され、前記貯湯タンク2の上部にはまた、貯湯されている高温水を出湯する出湯管8が接続され、給水管7からは給水バイパス管9が分岐して設けられている。さらに、出湯管8からの湯と給水バイパス管9からの水とを混合して給湯設定温度の湯とする混合弁10と、混合弁10で混合後の給湯温度を検出する給湯温度センサ11と、が設けられている。
【0024】
前記ヒートポンプユニット3はまた、冷媒を圧縮する圧縮機14と、四方弁31と、前記水冷媒熱交換器15通過後の冷媒を減圧させる減圧器としての電子膨張弁16と、熱源としての空気と冷媒との熱交換を行う熱源側熱交換器としての空気熱交換器17と、空気熱交換器17に外気を送り込む室外ファン67(送風ファンに相当)と、を備えている。そして、前記圧縮機14と、前記四方弁31と、前記圧縮機14から吐出された冷媒が流通する前記水冷媒熱交換器15の前記冷媒側の流路15bと、前記電子膨張弁16と、前記空気熱交換器17とが冷媒配管18で環状に接続されることにより冷媒循環回路30が形成されている。
【0025】
前記四方弁31は4つのポートを備える弁であり、前記冷媒配管18のうち(冷媒主経路を構成する)前記配管部18b,18d用の2つのポートのそれぞれに対して、残りの前記配管部18a,18c用の2つのポートのいずれを接続するかを切り替える。前記配管部18a,18c用の2つのポートどうしは、ループ状に配置された前記配管部18a,18cからなる冷媒副経路によって接続されており、この冷媒副経路上に前記圧縮機14が設けられている。例えば四方弁31は、図1の状態に切り替えられた場合は、前記圧縮機14の吐出側である前記配管部18aを前記水冷媒熱交換器15の入口側である前記配管部18bに連通させることで空気熱交換器17を電子膨張弁16からの低温低圧の冷媒を蒸発させる蒸発器として機能させ、水冷媒熱交換器15において冷媒配管18内の冷媒から放熱して熱を放出し加熱循環回路4内に温水を生成することができる。また四方弁31が別の状態へ切り替えられた場合は、前記配管部18aを前記空気熱交換器17側である前記配管部18dに連通させ、空気熱交換器17を凝縮器として機能させることができる。
【0026】
冷媒循環回路30内には、冷媒として例えばR32冷媒が用いられ、ヒートポンプサイクルを構成している。前記圧縮機14と前記水冷媒熱交換器15の冷媒側の流路15bとの間の冷媒配管18には、圧縮機14から吐出される冷媒の吐出温度Toutを検出する吐出温度センサ20が設けられ、前記冷媒側の流路15bと前記電子膨張弁16との間の冷媒配管18には、前記冷媒側の流路15bから流出し前記電子膨張弁16に向かう冷媒の流出温度T2(冷媒の出口温度)を検出する流出温度センサ21が設けられ、前記空気熱交換器17の空気入口側には、外気温度Tairを検出する外気温度センサ22が設けられ、前記空気熱交換器17と前記圧縮機14との間の冷媒配管18には、圧縮機14へ吸入される冷媒の冷媒吸入温度Tinを検出する吸入温度センサ32が設けられている。なお、前記水冷媒熱交換器15には、前記冷媒が前記冷媒側の流路15aにおいて凝縮する際の冷媒凝縮温度Tconを検出する凝縮温度センサ33が設けられている。
【0027】
そして、前記タンクユニット1には、前記した各センサ12,11の検出結果が入力される貯湯制御装置40が設けられている。同様に、前記ヒートポンプユニット3には、前記した各センサ20,22,32,23,24,21,33の検出結果が入力される加熱制御装置50が設けられている。加熱制御装置50及び貯湯制御装置40は、互いに通信可能に接続されており、前記各センサ23,24,12,11,20,22,32,33の検出結果等に基づき、相互に連携しつつ、前記タンクユニット1及び前記ヒートポンプユニット3内の各機器の動作を制御する。
【0028】
なお、加熱制御装置50と貯湯制御装置40との間に制御上の主従関係があり、例えばセンサ12,11の検出結果に基づく運転指令を貯湯制御装置40が加熱制御装置50へ出力し、加熱制御装置50はこの運転指令と各センサ20,22,32,23,24,21,33の検出結果とに基づきヒートポンプユニット3内の各機器の動作を制御するようにしてもよい。以下、本明細書においては、このような場合を例にとって説明する。
【0029】
次に、前記ヒートポンプユニット3に備えられた前記加熱制御装置50について説明する。加熱制御装置50は、詳細な図示を省略するが、各種のデータやプログラムを記憶する記憶部と、演算・制御処理を行う制御部とを備えている。この加熱制御装置50の機能的構成を図2により説明する。
【0030】
図2に示すように、前記加熱制御装置50は、四方弁制御部410Aと、圧縮機制御部410Bと、膨張弁制御部410Cと、室外ファン制御部410Dと、モード設定部410Eと、ポンプ制御部410Fと、を機能的に備えている。
【0031】
本実施形態のヒートポンプユニット3では、予め定められた定格出力(例えば2.5kW程度。通常出力に相当)により貯湯タンク2への温水を生成する定格モード(通常モードに相当)と、この定格出力よりも大きな高出力(例えば4.0kW程度、通常出力より大きな出力に相当)により温水を生成する高性能モード(高出力モードに相当)と、の2つのモードが選択的に実行可能に用意されている。このいずれのモードでヒートポンプユニット3を運転するかは、貯湯制御装置40から出力される運転指令に基づき決定される。
【0032】
すなわち、モード設定部410Eには、前記貯湯制御装置40により出力された運転指令が入力される。モード設定部410Eは、前記運転指令に応じて、実際にヒートポンプユニット3を、上記2つのモードのうちいずれのモードで運転を行うか、及び、空気熱交換器17を蒸発器として機能させるか又は凝縮器として機能させるか、を決定する(定格モード及び高性能モードの詳細については後述)。そして、モード設定部410Eは、その決定結果に対応する運転情報を、前記四方弁制御部410A、前記圧縮機制御部410B、膨張弁制御部410C、室外ファン制御部410D、及び、ポンプ制御部410Fに出力する。なおこの運転情報には、適宜に決定された目標沸上温度Tboが含まれる。
【0033】
四方弁制御部410Aには、モード設定部410Eから、空気熱交換器17を蒸発器として機能させるか又は凝縮器として機能させるか、を表す前記運転情報が入力される。そして、四方弁制御部410Aは、前記運転情報が表す運転態様に対応する開閉信号を四方弁31へ出力し、四方弁31を切り替える。
【0034】
圧縮機制御部410Bは、目標回転数設定部410Baと、駆動信号出力部410Bbと、変化率変更部410Bcと、回転数保持部410Bdと、を備える。圧縮機制御部410Bには、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairと、前記沸上温度センサ24により検出された前記沸上温度Tbと、前記貯湯制御装置40の運転指令に対応した前記運転情報と、が入力される(直接入力される場合のほか、間接的に入力するようにしてもよい。以下同様)。
【0035】
目標回転数設定部410Baは、前記運転情報の表す各モード(定格モード又は高性能モード)と、入力された前記外気温度Tairと、に基づき、前記圧縮機14の目標回転数(圧縮機目標回転数)を設定する。
【0036】
目標回転数設定部410Baによる目標回転数の設定の一例を図3(a)により説明する。図3(a)は、横軸に前記外気温度Tairをとって圧縮機14の目標回転数の値の挙動を表した図である。
図示のように、定格モード時においては、0[℃]以下では目標回転数は約60[rps]の一定値に設定され、0[℃]からは外気温度Tairの上昇と共に徐々に低下し、外気温度Tair=7[℃]で約50[rps]となった後さらに低下し、外気温度Tair=30[℃]で約20[rps]に設定される。外気温度Tairが30[℃]以上では20[rps]の一定値に設定される。
これに対して、高性能モードにおいては、外気温度Tairのすべての温度域において、定格モードよりも高回転数側に設定される。すなわち、0[℃]以下では目標回転数は約110[rps]の一定値に設定され、0[℃]からは外気温度Tairの上昇と共に徐々に低下し、外気温度Tair=7[℃]で約100[rps]となった後さらに低下し、外気温度Tair=30[℃]で約75[rps]に設定される。外気温度Tairが30[℃]以上では75[rps]の一定値に設定される。
【0037】
図2に戻り、駆動信号出力部410Bbは、圧縮機14の回転数を、目標回転数設定部410Baにより設定された目標回転数とするための駆動信号(制御値)を生成して圧縮機14へと出力することで、圧縮機14の回転数を増減制御する(詳細な制御内容は後述)。その増減制御の際は、駆動信号出力部410Bbは、圧縮機14の回転数が予め定めた所定の回転数変化率(例えば毎秒当たり1.0[rps])で増減するように、駆動信号を生成する。
【0038】
目標回転数設定部410Baと駆動信号出力部410Bbとが、圧縮機制御手段として機能する。変化率変更部410Bc及び回転数保持部410Bdについては後述する。
【0039】
膨張弁制御部410Cは、目標温度差算出部410Caと、駆動信号出力部410Cbと、操作周期変更部410Ccと、タイマー410Cdと、タイマーリセット部410Ceと、を備える。膨張弁制御部410Cには、前記吐出温度センサ20により検出された前記冷媒吐出温度Toutと、前記流出温度センサ21により検出された前記冷媒流出温度T2と、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairと、前記入水温度センサ23により検出された前記入水温度T1と、前記貯湯制御装置40の運転指令に対応した前記運転情報と、が入力される。
目標温度差算出部410Caは、いわゆる目標温度差制御を行うための目標温度差を算出する。すなわち本実施形態の膨張弁制御部410Cでは、前記圧縮機14からの冷媒吐出温度Toutと前記水冷媒熱交換器15から流出する冷媒流出温度T2との温度差(冷媒循環回路における状態検出値に相当)が所定の目標温度差△H(所望の目標値に相当)となるように前記電子膨張弁16の開度を制御する、いわゆる目標温度差制御が行われる。そのために、目標温度差算出部410Cでは、前述の運転情報に対応するモード(定格モード又は高性能モード)に応じて適宜に決定される目標沸上温度Tboと、外気温度Tairと、水冷媒熱交換器15に流入する湯水の入水温度T1とに基づいて、前記の目標温度差△Hが算出される。
駆動信号出力部410Cbは、目標温度差算出部410Caにより算出された目標温度差△Hを実現するための電子膨張弁16の駆動信号(制御パルス)を生成して出力することで、電子膨張弁16の開度を増減制御する。
【0040】
なお、電子膨張弁16の開度の増減制御の際は、駆動信号出力部410Cbは、前記駆動信号の出力を、予め定めた所定の操作周期(例えば80秒ごと)で出力する。なお、この操作周期をカウントするためにタイマー410Cdが設けられており、1つの駆動信号の出力から操作周期が経過して次の駆動信号の出力タイミング(操作タイミングに相当)が到来したことがタイマー410Cdによって検知されると、その旨が駆動信号出力部410Cbに通知される。これによって、駆動信号出力部410Cbが駆動信号を電子膨張弁16へ当該操作周期ごとに出力することができる。
目標温度差算出部410Caと駆動信号出力部410Cbとが、減圧器制御手段として機能する。操作周期変更部410Cc及びタイマーリセット部410Ceについては後述する。
【0041】
室外ファン制御部410Dは、目標回転数設定部410Daと、駆動信号出力部410Dbと、回転数保持部410Dcと、を備える。室外ファン制御部410Dには、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairと、前記貯湯制御装置40の運転指令に対応した前記運転情報と、が入力される。
【0042】
目標回転数設定部410Daは、前記運転情報の表す各モード(定格モード又は高性能モード)と、入力された前記外気温度Tairと、に基づき、前記室外ファン67の目標回転数を設定する。詳細な値は省略するが、高性能モードにおいては、目標回転数は、外気温度Tairのすべての温度域において、定格モードよりも高回転数側に設定される。
【0043】
目標回転数設定部410Daによる目標回転数の設定の一例を図3(b)により説明する。図3(b)は、横軸に前記外気温度Tairをとって室外ファン67の目標回転数の値の挙動を表した図である。
図示のように、定格モード時においては、-3[℃]以下では目標回転数は約850[rpm]の一定値に設定され、-3[℃]からは外気温度Tairの上昇と共に徐々に低下し、外気温度Tair=7[℃]で約500[rpm]となる。外気温度Tairが7[℃]から22[℃]までは当該500[rpm]の一定値に設定される。外気温度Tairが22[℃]以上となると、外気温度Tairの上昇と共に再び徐々に低下し、外気温度Tair=30[℃]で約200[rpm]に設定される。外気温度Tairが30[℃]以上では200[rpm]の一定値に設定される。
これに対して、高性能モードにおいては、外気温度Tairのすべての温度域において、定格モードよりも高回転数側に設定される。すなわち、-3[℃]以下では目標回転数は約1000[rpm]の一定値に設定され、-3[℃]からは外気温度Tairの上昇と共に徐々に低下し、外気温度Tair=7[℃]で約800[rpm]となる。外気温度Tairが7[℃]から22[℃]までは当該800[rpm]の一定値に設定される。外気温度Tairが22[℃]以上となると、外気温度Tairの上昇と共に再び徐々に低下し、外気温度Tair=30[℃]で約480[rpm]に設定される。外気温度Tairが30[℃]以上では480[rpm]の一定値に設定される。
【0044】
図2に戻り、駆動信号出力部410Dbは、室外ファン67の回転数を、目標回転数設定部410Daにより設定された目標回転数とするための駆動信号を生成して室外ファン67へと出力することで、室外ファン67の回転数を増減制御する(詳細な制御内容は後述)。
目標回転数設定部410Daと駆動信号出力部41Dbとが、ファン制御手段として機能する。回転数保持部410Dcについては後述する。
【0045】
ポンプ制御部410Fには、前記沸上温度センサ24により検出された前記沸上温度Tbと、前記貯湯制御装置40の運転指令に対応した前記運転情報と、が入力される。ポンプ制御部410Fは、前記運転情報の表す各モード(定格モード又は高性能モード)と、入力された前記沸上温度Tbとに基づき、前記沸上ポンプ19の回転数を制御する。
【0046】
<高性能モードと定格モードとの切り替え>
上述したように、高性能モードでは、圧縮機制御部410Bの目標回転数設定部410Ba及び室外ファン制御部410Dの目標回転数設定部410Daにより、圧縮機14の及び室外ファン67の回転数が、定格モードよりも高回転数側にそれぞれ制御されることで、定格出力よりも大きな高出力が実現される。その後、高性能モードを終了して定格モードへと再び切り替えられるときには、上記とは逆で、前記目標回転数設定部410Ba及び前記目標回転数設定部410Daにより、圧縮機14の及び室外ファン67の回転数が低回転数側にそれぞれ制御されることで、定格出力へと復帰する。
【0047】
ここで、例えば高性能モードから定格モードへの切り替えの際、ヒートポンプユニット3の出力を迅速に低下させるために圧縮機14の回転数の減少を早く行いすぎると、生成される湯水の沸上温度が急激に低下し目標沸上温度をアンダーシュートしてしまう等、ヒートポンプユニット3全体の動作が不安定化する場合がある。これを回避するために、圧縮機14の回転数の減少を極めて緩慢にすることも考えられるが、その場合、低効率である高出力運転が無駄に長く継続することとなる。
【0048】
<実施形態の手法概要>
そこで、本実施形態では、圧縮機制御部410B、膨張弁制御部410C、室外ファン制御部410Dにおいて、変化率変更部410Bc及び回転数保持部410Bd、操作周期変更部及びタイマーリセット部410Ce、回転数保持部410Dc、がそれぞれ設けられ、上記弊害を防止するための制御が行われる。以下、その詳細を順を追って説明する。
【0049】
<圧縮機制御部での制御>
前述の高性能モードから定格モードへの切り替えの際の弊害を防止するために圧縮機制御部410Bにより行われる制御手順を、図4のフローチャートにより説明する。まずS10において、モード設定部410Eからの前記運転情報により、高性能モードから定格モードへの切り替えが指示されたか否かが判定される。定格モードへの切り替えが指示されていたらYes判定され、S20へ移行する。
【0050】
S20では、目標回転数設定部410Baにより、圧縮機14の目標回転数が、それまでの高性能モードに対応した値から、それよりも低い定格モードに対応した値に設定される(図3(a)参照)。
【0051】
その後、S30では、変化率変更部410Bc(変化率変更手段に相当)により、駆動信号出力部410Bbによって圧縮機14の回転数が増減変更されるときの前記回転数変化率が、それまでの値(第1値に相当。前述の例では毎秒当たり1.0[rps])から、それよりも小さい値(第2値に相当。例えば毎秒当たり0.2[rps])に変更される。すなわちこの場合は単位時間当たりの変化量が1/5に緩慢化するように変更される。
【0052】
なお、この回転数変化率の変更は、例えば以下の手法により行われる。例えば、圧縮機14の回転数を増減変更するときの最小の増減幅刻み、すなわち分解能が0.1[rps]であったとすると、前回駆動信号の出力後、その駆動信号の値に対しその最小増減幅分だけ増減させた値の今回駆動信号を出力するまでの出力間隔を、上記の例では5倍に増やすことで、前記した変化量1/5の緩慢化を実現する。
あるいは、分解能(上記の例では0.1[rps])に等しい最小増減幅に限られず、所定の増減幅(例えば1[rps])を基準単位として、前回駆動信号の出力後、その駆動信号の値に対し上記所定の増減幅分(1[rps])だけ増減させた値の駆動信号を出力するまでの出力間隔を5倍に増やすことで前記変化量1/5の緩慢化を実現するようにしてもよい。
【0053】
そして、S40で、回転数保持部410Bd(圧縮機回転数保持手段に相当)により、
前述のようにして入力されている、前記運転情報に含まれている前記目標沸上温度Tboと、前記沸上温度センサ24により検出された前記沸上温度Tbとの差Tbo-Tbが、所定値α(>0。例えばα=4。温度差の所定値に相当)以上となったか否かが判定される。Tbo<Tbである場合はNo判定され、後述のS60へ移行する。Tbo≧Tbである場合にはYes判定され、S50へ移行する。
【0054】
S50では、S20での低い目標回転数の設定に基づき駆動信号出力部410Bbによって圧縮機14の回転数が徐々に低下している状態が中断され、その中断時点での圧縮機14の回転数が維持されるような駆動信号が駆動信号出力部410Bbによって出力される。その後、S60へ移行する。
【0055】
S60では、変化率変更部410Bcにより、予め定められた、S30から開始されている回転数変化率を低く設定する処理を終了するための条件が成立したか否か、が判定される。この処理終了条件は、例えば、前記S10によりモード切替指示がなされS20で目標回転数の低下設定が開始されてから所定期間(第1所定期間に相当)が経過したこと、である。あるいは、実際の圧縮機14の回転数がS20で設定された、定格モードに対応した目標回転数に達したこと、であってもよい。このような処理終了条件が成立していない間はS60がNo判定され、S30に戻り同様の手順が繰り返される。終了処理条件が成立したらS60がYes判定され、S70へ移行する。
【0056】
S70では、変化率変更部410Bcにより、駆動信号出力部410Bbによって圧縮機14の回転数が増減変更されるときの上記回転数変化率が、前述の小さくされた値(第2値。前述の例では毎秒当たり0.2[rps])から、元の値(第1値。前述の例では毎秒当たり1.0[rps])に戻され、このフローを終了する。
【0057】
<膨張弁制御部での制御>
次に、膨張弁制御部410Cにより行われる制御手順を、図5のフローチャートにより説明する。まずS110において、モード設定部410Eからの前記運転情報により、高性能モードから定格モードへの切り替えが指示されたか否かが判定される。定格モードへの切り替えが指示されていたらYes判定され、S125へ移行する。
なお、このとき、図4のS20において前述したように、定格モードへの切り替えによって圧縮機14の目標回転数がそれまでよりも低い値に制御されるため冷媒循環回路30のヒートポンプバランスが変わり、前記の冷媒吐出温度Toutと冷媒流出温度T2との温度差が目標温度差△Hからずれる。そのため、前記目標温度差制御により、結果として、電子膨張弁16の開度が絞り方向に制御される。すなわち、高性能モードから定格モードへの切り替えに伴い、電子膨張弁16の開度は低下するように制御されることとなる。
【0058】
その後、S125では、タイマーリセット部410Ce(リセット手段に相当)により、前記タイマー410Cdでカウントしているカウント値がリセットされる。
【0059】
そして、S130で、操作周期変更部410Cc(周期変更手段に相当)により、駆動信号出力部410Cbによって電子膨張弁16の開度が増減変更されるときの前記操作周期が、それまでの値(第3値に相当。前述の例では80秒)から、それよりも小さい値(第4値に相当。例えば40秒)に変更される。すなわちこの場合は、操作周期が1/2に短縮化するように変更される。なおこのとき、直前の前記S125でタイマー410Cdのカウント値がリセットされているので、S130で変更された後の操作周期1/2が経過して次の駆動信号の出力タイミングが到来するまでのカウントが、タイマー410Cdによって直ちに開始されることとなる。
【0060】
その後、S160において、操作周期変更部410Ccにより、予め定められた、S130から開始されている開度の操作周期を低く設定する処理を終了するための条件が成立したか否か、が判定される。この処理終了条件は、例えば、前記S10によりモード切替指示がなされてから所定期間(第2所定期間に相当。上記第1所定周期と違う値でも同じ値でもよい)が経過したこと、である。あるいは、前記図4のフローと同様、実際の圧縮機14の回転数がS20で設定された、定格モードに対応した目標回転数に達したこと、であってもよい。このような処理終了条件が成立していない間はS160がNo判定され、S125に戻り同様の手順が繰り返される。終了処理条件が成立したらS160がYes判定され、S170へ移行する。
【0061】
S170では、操作周期変更部410Ccにより、駆動信号出力部410Cbによって電子膨張弁16の開度が増減変更されるときの上記操作周期が、前述の小さくされた値(第4値。前述の例では毎秒当たり40秒)から、元の値(第3値。前述の例では80秒)に戻され、このフローを終了する。
【0062】
<室外ファン制御部での制御>
前述の高性能モードから定格モードへの切り替えの際の弊害を防止するために室外ファン制御部410Dにより行われる制御手順を、図6のフローチャートにより説明する。まずS210において、モード設定部410Eからの前記運転情報により、高性能モードから定格モードへの切り替えが指示されたか否かが判定される。定格モードへの切り替えが指示されていたらYes判定され、S220へ移行する。
【0063】
S220では、目標回転数設定部410Daにより、室外ファン67の目標回転数が、それまでの高性能モードに対応した値(例えば700[rpm])から、それよりも低い定格モードに対応した値(例えば500[rpm])に設定される。但しこの時点では、当該目標回転数に対応した駆動信号は駆動信号出力部410Dbからは出力されないため(後述のS280で出力される)、実際の室外ファン67の回転数は、高性能モードに対応した値(上記の例では700[rpm])のまま保持される。
【0064】
その後、S260において、回転数保持部410Dc(ファン回転数保持手段に相当)により、予め定められた、S220で低く設定された目標回転数を出力せず実際の室外ファン67の回転数を高性能モードの値のまま保持する処理を終了するための条件が成立したか否か、が判定される。このような保持終了条件は、例えば、前記S210によりモード切替指示がなされS220で目標回転数の低下設定が開始されてから所定期間(第3所定期間に相当。上記第1所定周期若しくは第2所定周期と違う値でも同じ値でもよい)が経過したこと、である。なお、前記所定期間は、前記第1所定期間又は前記第2所定期間よりも短いほうが好ましい。その場合、モード切替に要する時間の短縮を図ることができる。
あるいは、保持終了条件は、前記沸上温度Tbが安定したこと(例えばTb=Tbo±3[℃]以内となったこと)、若しくは、図示しない適宜のセンサにより検出した圧縮機14から吐出される冷媒の吐出圧が所定値(例えば3.7MPa)以下となったこと、でもよい。この保持終了条件が成立したらS260がYes判定され、S270へ移行する。
【0065】
S270では、駆動信号出力部410Dbにより、前記S220で前記目標回転数設定部410Daにより設定された室外ファン67の目標回転数、すなわち低い定格モードに対応した値(前記の例では500[rpm])とするための駆動信号が室外ファン67へ出力され、このフローを終了する。
【0066】
<ヒートポンプユニットにおける時間挙動>
上述した制御により高性能モードから定格モードへの切り替え時に実現される本実施形態のヒートポンプユニット3における経時挙動を、そのような制御を行わない比較例と対比させて、図7により説明する。
【0067】
<比較例>
図7(a)に示す前記比較例では、時間t0で高性能モードから定格モードへ切り替えられる。圧縮機14の回転数の回転数変化率は、前述した本実施形態の制御が行われないため切替前の値が維持される結果、t11(例えばt1=t0+60秒)までの比較的短時間の間に急激に低下する。例えば、高性能モードに対応した100[rps]から、上記時間t11において、定格モードに対応した50[rps]まで一気に低下する。すなわちこの場合、目標回転数である50[rps]までの到達時間Ttは(上記の例では)Tt=60秒ということになる。
【0068】
一方、電子膨張弁16の操作周期についても、前述した本実施形態の制御が行われない結果切替前の値が維持される結果、t11より後のタイミングであるt12(例えばt12=t0+80秒)、その後のt13(例えばt13=t0+160秒)、その後のt14(例えばt14=t0+240秒)、で低開度側へ制御される。すなわち、この例では操作周期Th=80秒の間隔で電子膨張弁16の絞り方向への操作が行われている。
【0069】
室外ファン67の回転数は、時間t0での高性能モードから定格モードへ切り替えに伴い、直ちに、高性能モードに対応した値(前記の例では700[rpm]から定格モードに対応した値(前記の例では500[rpm])へ切り替えられている。
【0070】
以上のような制御の結果、この比較例では、前記沸上温度Tbが時間t0のモード切り替え時以降大きく低下し、この例では前記の時間t12の後のタイミング(例えばt0+100秒)にて目標沸上温度Tboとの偏差△T(Tb0-Tb)が約10[℃]に達している。この結果、偏差△Tが概ね0となり沸上温度Tbが目標沸上温度Tboと略等しくなるのは前記時間t14(=t0+240秒)以降となっている。
【0071】
<実施形態>
図7(b)に示す本実施形態においても、時間t0で高性能モードから定格モードへ切り替えられる。本実施形態では、圧縮機14の回転数の回転数変化率は、前述の制御により切替前の第1値から第2値に変更され(この例では例えば単位時間当たりの変化量が1/3に緩慢化)、その結果、t3(例えばt3=t0+120秒)までの比較的長時間でゆっくりと低下する。例えば、高性能モードに対応した100[rps]から、上記時間t3において、定格モードに対応した50[rps]よりもやや高い70[rps]まで低下する。
【0072】
このとき、電子膨張弁16の操作周期は、前述の制御により切替前の第3値から第4値に変更された結果、t1(例えばt1=t0+40秒)、その後のt2(例えばt2=t0+80秒)、その後のt3(例えばt3=t0+120秒)、で小刻みに低開度側へ制御される。すなわち、この例では操作周期Th=40秒の間隔で電子膨張弁16の絞り方向への操作が行われている。
【0073】
また、室外ファン67の回転数は、時間t0での高性能モードから定格モードへ切り替えられた後、時間t3までの間(前記の例では120秒)は高性能モードに対応した値が保持され、時間t3になってから定格モードに対応した値へ切り替えられている。
【0074】
上記により、本実施形態では、前記沸上温度Tbは、時間t0のモード切り替え時以降それほど大きくは低下せずゆっくりと低下する挙動となり、この例では前記の時間t3(例えばt0+120秒)にて目標沸上温度Tboとの偏差△T(Tb0-Tb)が前記α(前述の例では4[℃])に達する。これにより、圧縮機14の回転数は、前述の低減方向への制御が中断されて時間t3における回転数(上記の例では70[rps])が保持され、この回転数の保持は前述の処理終了条件が成立するまで継続される(図4のS60参照)。この例では時間t3の後の時間t4(例えばt0+200秒)にて処理終了条件が成立し、圧縮機14の回転数の前記保持が解かれる。これにより、圧縮機14の回転数は再び、前記の緩慢化した回転数変化率により、その後のt5(例えばt5=t0+240秒)までゆっくりと低下し、t5において定格モードに対応した50[rps]に至る。この結果、圧縮機14の回転数は、時間t0におけるモード切り替えから、目標回転数である50[rps]までの到達時間Ttは(上記の例では)Tt=240秒ということになる。そしてこの時間t5において、偏差△Tが概ね0となり沸上温度Tbが目標沸上温度Tboと略等しくなっている。
【0075】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態においては、温水生成時には、空気熱交換器17、圧縮機14、電子膨張弁16を備えた冷媒循環回路30を循環する冷媒からの加熱により水冷媒熱交換器15において水側流路15aの水が加温される。生成された温水は、加熱循環回路4の加熱往き管5及び加熱戻り管6を介し、タンクユニット1の貯湯タンク2に供給される。
【0076】
このとき、本実施形態のヒートポンプユニット3は、所定の定格出力を得る定格モードでの運転と、前記定格出力よりも大きな出力を得る高性能モードでの運転が切り替え可能であり、そのいずれのモードであるかに応じて、前記圧縮機14及び前記電子膨張弁16の両方が制御される。
【0077】
すなわち、圧縮機14の回転数は、圧縮機制御部410Bの目標回転数設定部410Ba及び駆動信号出力部410Bbによって、前記定格モード及び前記高性能モードに対応したそれぞれの目標圧縮機回転数となるように、所定の回転数変化率により増減制御される。この結果、例えば高性能モードから定格モードへ切り替えられた際には、圧縮機14の回転数は、高性能モードに対応した相対的に高い回転数から、定格モードに対応した相対的に低い回転数へと減少制御される。
【0078】
また、電子膨張弁16の開度は、膨張弁制御部410Cの目標温度差算出部410Ca及び駆動信号出力部410Cbによって、前記冷媒循環回路における状態検出値が所望の目標値となるように(前述の例では冷媒吐出温度Toutと冷媒流出温度T2との温度差が目標温度差△Hとなるように)、所定の操作周期ごとに増減制御される。この結果、例えば高性能モードから定格モードへ切り替えられた際には、電子膨張弁16の開度は、結果として、高性能モード時における相対的に大きな開度から、定格モード時における相対的に小さな開度へと減少制御される。このように、本実施形態では特に、高性能モードから定格モードへの切り替えの際に、圧縮機14の回転数のみならず電子膨張弁16の開度も併せて制御されることとなる。これにより、ヒートポンプユニット3の出力を迅速にかつ確実に低下させることができる。
【0079】
そして本実施形態では特に、上記制御の際、変化率変更部410Bcによって、前記回転数変化率の値が第1値→第2値に減少することで、圧縮機14の回転数の減少割合が通常の増減制御時の場合よりも緩やかになる。さらに、操作周期変更部410Ccによって、前記操作周期の値が第3値→第4値に減少することで、電子膨張弁16の開度がそれまでよりも小さな時間刻みにより素早く操作される。これら2つの制御により、前述した湯水の沸上温度Tbの急激な低下によるアンダーシュート等を防止できるので(図7(b)参照)、ヒートポンプユニット3全体の動作を安定化することができる。
以上の結果、本実施形態によれば、高性能モードから定格モードへの切り替え時において、動作安定化及び高効率化の両立を図ることができる。
【0080】
また、本実施形態では特に、膨張弁制御部410Cにおいて、計時カウント機能を備えたタイマー410Cdが設けられており、カウント値が操作周期Thの値となる度、対応する操作タイミングが駆動信号出力部410Cbへ通知されることで、当該駆動信号出力部410Cbがそのタイミングで駆動信号を出力して電子膨張弁16の開度を操作する。ここで、高性能モードから定格モードへ切り替わったとき、前述のように、前記操作周期Thの値がより小さな値に変更されて短い時間間隔で開度操作が行われるようになる(図7(a)及び図7(b)参照)。しかしながら、その切り替わりタイミングが、そのとき設定されている操作周期Thの途中であった場合には、カウント値がその操作周期Thの値となるまでの間、上記のような時間間隔の短縮化が反映されないこととなる。
【0081】
そこで本実施形態では特に、高性能モードから定格モードへ切り替わったときには、タイマーリセット部410Ceにより、前記タイマー410Cdによる前記カウント値がリセットされる。これにより、そのリセット時に即座に操作タイミングであることが駆動信号出力部410Cbに通知されて電子膨張弁16の開度操作が行われ、それ以降は変更後の短い時間間隔で電子膨張弁16の開度が操作される。この結果、高性能モードから定格モードへ切り替え時に、電子膨張弁16の操作時間間隔の短縮化を迅速に反映することができる。
【0082】
また、本実施形態では特に、目標沸上温度Tboと湯水の沸上温度Tbとの温度差△Tが所定値α以上である間は、前記回転数変化率の値に係わらず、回転数保持部410Bdにより、前記圧縮機制御部410Bにおける前記増減制御が禁止されて前記圧縮機14の回転数が保持される。
これにより、沸上温度Tbが目標沸上温度Tboよりある程度低下してしまった場合には、回転数保持部410Bdの制御により圧縮機14の回転数の減少制御を中止してその時点の回転数が維持されるので、沸上温度Tbのそれ以上の低下を防止することができる(図7(b)参照)。
【0083】
また、本実施形態では特に、熱源熱交換器として空気熱交換器17が用いられる。この場合、空気熱交換器17における熱交換量は、空気熱交換器17に外気を送り込む室外ファン67のファン回転数により変化する。
ファン回転数は、室外ファン制御部410Dにおいて、前記定格モード及び前記高性能モードに対応したそれぞれの目標ファン回転数となるように増減制御される。この結果、例えば高性能モードから定格モードへ切り替えられた場合、室外ファン67の回転数は、高性能モードに対応した相対的に高い回転数から定格モードに対応した相対的に低い回転数へと減少制御され、これによって空気熱交換器17における熱交換量も小さくなる。
【0084】
しかしながら、前記室外ファン67の回転数の減少を前記定格モードへ切り替え後にすぐに実行した場合、空気熱交換器17における熱交換量が急激に小さくなりすぎて前記沸上温度Tbが急激に低下する等、ヒートポンプユニット3全体の動作が不安定化する可能性があり得る。
そこで本実施形態では特に、前記定格モードへ切り替え後、前記第3所定期間(前述の例ではt0~t3までの間)が経過するまでの間はその時点のファン回転数を維持する。これにより、沸上温度Tbの急激な低下を防止し前記不安定化を防止することができる(図7(b)参照)。
【0085】
また、本実施形態では特に、膨張弁制御部410Cにおいて、前記圧縮機14からの冷媒の吐出温度Toutと前記水冷媒熱交換器15から流出する冷媒の流出温度T2との温度差が、(目標沸上温度Tboと外気温度Tairと水冷媒熱交換器15に流入する湯水の入水温度T1とに基づいて算出される)所定の目標温度差△Hとなるように前記電子膨張弁16の開度を制御する、いわゆる目標温度差制御が行われる。これにより、沸き上げ中、運転効率が高効率となる比エンタルピー差を保ちながらヒートポンプユニット3を運転させることができる。
【0086】
特に、前記電子膨張弁16の開度を制御することにより、前記圧縮機14から吐出される冷媒の吐出温度Tout及び前記水冷媒熱交換器15から流出する冷媒の流出温度T2の双方が変化する結果、電子膨張弁16の開度変化に対する吐出温度Toutと流出温度T2との温度差の温度変化量が大きく、吐出温度Toutと流出温度T2との温度差を所定の目標温度差△Hとするまでの制御速度が速く、すばやく高効率で運転させることができる。また、前記所定の目標温度差△Hを目標沸上温度Tbo、外気温度Tair、入水温度T1に基づき算出することにより、外気温度Tairや入水温度T1といった条件が刻々と変化する沸き上げ時において、その時その時で運転効率が高効率となる所定の目標温度差△Hを確実に求めることができ、ヒートポンプユニット3を確実に高効率で運転させることができる。
【0087】
なお、本発明は以上の態様に限定されることなく、その趣旨を変更しない範囲で適用可能なものである。
【0088】
例えば、膨張弁制御部410Cにおいて、前述の例では、前記圧縮機14からの冷媒吐出温度Toutと前記水冷媒熱交換器15から流出する冷媒流出温度T2との温度差が所定の目標温度差△Hとなるように、電子膨張弁16の開度を制御する温度差制御を行ったが、これに限られない。すなわち、前記冷媒吐出温度Toutが所定の目標吐出温度に一致するよう電子膨張弁16の弁開度を制御する吐出温度制御を行ってもよい。あるいは、圧縮機14から吐出される冷媒の吐出圧が所望の値となるように電子膨張弁16の弁開度を制御する吐出圧力制御を行ってもよい。あるいは、これら以外に、ヒートポンプユニット3のヒートポンプサイクルにおける適宜の状態検出値が、所望の目標値になるように電子膨張弁16の開度を制御する他の制御を行ってもよい。これらの場合も同様の効果を得る。
また例えば、本発明のヒートポンプユニット3を、前述のような給湯装置への給湯ではなく、温水暖房を行う暖房端末への湯水の加温に適用してもよい。この場合、水冷媒熱交換器15において水側流路15aの水が加温されて生成された温水は、加熱循環回路4の加熱往き管5及び加熱戻り管6を介し、それらに接続された前記暖房端末へと供給される。この場合も、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0089】
また、上記実施形態では、熱源側熱交換器としての、熱源である空気と冷媒との熱交換を行う空気熱交換器17を例にとって説明したがこれに限られない。
すなわち、熱源側熱交換器として、水や不凍液等の液体が熱源として供給されそれらの液体と冷媒とで熱交換を行う熱交換器を用いてもよい。また、地中又は比較的大容量の水源を熱源として、それら地中又は水源と冷媒とが熱交換を行う熱交換器を用いてもよい。さらには、前記地中又は前記水源の熱を用いたヒートポンプ回路と空気熱を用いた別のヒートポンプ回路とを備えた複合熱源型の構成としてもよい。さらには、熱源側熱交換器において前記冷媒と熱交換できるものであれば、前記液体や前記外気や前記水源に代えて、それ以外のもの(例えば、発煙、排煙、各種高温ガス等を含む気体や、熱砂、塵埃、各種粒子等を含む流動固体)を熱源側熱交換器に通じたり、太陽光、反射光、その他輻射等による熱を熱源側熱交換器に供給して用いる構成としても良い。
【0090】
また例えば、前記ヒートポンプサイクルとしては、減圧器としてエジェクターを用いたエジェクターサイクルでもよいものである。
【0091】
また、前記ヒートポンプサイクルでは、水冷媒熱交換器15を通過した後の高圧冷媒と圧縮機14の吸入側の低圧冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器(図示せず)を備えた構成としてもよい。この場合、前記流出温度センサ21は、水冷媒熱交換器15より下流側で、高圧冷媒が通過する前記内部熱交換器より上流側の冷媒温度を検出する位置に配設され、前記吐出温度センサ20の検出する冷媒吐出温度Toutと前記流出温度センサ21の検出する冷媒温度との温度差△Hが所定の目標温度差△Hmとなるように電子膨張弁16の開度が制御され、これによって、前記と同様の効果を得られるものである。
【符号の説明】
【0092】
2 貯湯タンク
3 ヒートポンプユニット(ヒートポンプ装置)
4 加熱循環回路(湯水循環回路)
5 加熱往き管(湯水配管)
6 加熱戻り管(湯水配管)
14 圧縮機
15 水冷媒熱交換器
16 電子膨張弁(減圧器)
17 空気熱交換器(熱源側熱交換器)
18 冷媒配管
30 冷媒循環回路
40 貯湯制御装置
50 加熱制御装置
67 室外ファン(送風ファン)
410B 圧縮機制御部
410Ba 目標回転数設定部(圧縮機制御手段)
410Bb 駆動信号出力部(圧縮機制御手段)
410Bc 変化率変更部(変化率変更手段)
410Bd 回転数保持部(圧縮機回転数保持手段)
410C 膨張弁制御部
410Ca 目標温度差算出部(減圧器制御手段)
410Cb 駆動信号出力部(減圧器制御手段)
410Cc 操作周期変更部(周期変更手段)
410Cd タイマー
410Ce タイマーリセット部(リセット手段)
410D 室外ファン制御部
410Da 目標回転数設定部
410Db 駆動信号出力部
410Dc 回転数保持部(ファン回転数保持手段)
△H 冷媒吐出温度と冷媒流出温度との温度差
△Hm 目標温度差
T1 入水温度
T2 冷媒流出温度
Tair 外気温度
Tbo 目標沸上温度
Tb 沸上温度(実沸上温度)
Tout 冷媒吐出温度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7