(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068689
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】ホース
(51)【国際特許分類】
F16L 11/133 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
F16L11/133
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179904
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】509165828
【氏名又は名称】玉石重機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】玉石 修介
(72)【発明者】
【氏名】玉石 祐介
【テーマコード(参考)】
3H111
【Fターム(参考)】
3H111AA02
3H111CA47
3H111DA17
3H111DB05
(57)【要約】
【課題】吸引能力の低下を防止して効率よく水の吸引を実現できるホースを提供する。
【解決手段】本発明のホースは、延伸方向の長さを有し、内部において液体を移動させる本体部と、前記本体部の周囲に装着される単数または複数の浮遊部材と、を備え、前記本体部が水溜まりにおいて使用される場合において、前記浮遊部材は、前記本体部を前記水溜まりで浮かせる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸方向の長さを有し、内部において液体を移動させる本体部と、
前記本体部の周囲に装着される単数または複数の浮遊部材と、を備え、
前記本体部が水溜まりにおいて使用される場合において、前記浮遊部材は、前記本体部を前記水溜まりで浮かせるホース。
【請求項2】
前記浮遊部材は、前記延伸方向における前記本体部の姿勢を制御する、請求項1記載のホース。
【請求項3】
前記浮遊部材は、前記本体部の延伸方向に沿って装着される、請求項1または2記載のホース。
【請求項4】
前記複数の浮遊部材のそれぞれは、前記本体部の延伸方向に沿う長手方向を有しており、
前記複数の浮遊部材のそれぞれは、前記本体部の外周に沿って装着される、請求項1から3のいずれか記載のホース。
【請求項5】
前記浮遊部材に空気を供給する空気供給部が更に備わる、請求項1から4のいずれか記載のホース。
【請求項6】
前記本体部が、水溜まりでの水の吸引もしくは排出に用いられる場合に、
前記空気供給部は、前記浮遊部材に、空気を供給する、請求項5記載のホース。
【請求項7】
前記本体部が、陸上で用いられる場合に、
前記空気供給部は、前記浮遊部材内部の空気を排出させて空気圧を低下させる、請求項5記載のホース。
【請求項8】
前記浮遊部材は、水溜まりにおいて視認容易な色味および明度の少なくとも一方を有する、請求項1から7のいずれか記載のホース。
【請求項9】
前記浮遊部材内部に、前記本体部の姿勢を制御するための液体を供給する液体供給部を、更に備える、請求項1から8のいずれか記載のホース。
【請求項10】
前記本体部および前記複数の浮遊部材は、延伸方向に伸縮可能な蛇腹形状を有する、請求項1から9のいずれか記載のホース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水害が発生した場所での氾濫した水の吸引や、工事などで必要となる水の吸引などに使用されるホースに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場所で様々な土木工事が行われる。例えば、建設物を建設するために地盤工事や基礎工事などが行われる。あるいは、河川改修や護岸工事など、河川、湖沼、海岸などでの土木工事も行われる。都市計画に基づいていたり、地域開発に基づいていたりする。
【0003】
このような土木工事においては、地下水の漏出が生じることがある。あるいは、河川改修などの土木工事では、河川や湖沼などに水がある。これらの水を吸引して排出、あるいは移動させる必要が生じる。
【0004】
また、我が国は災害の多い国である。豪雨、洪水、台風、地震、津波など、毎年のように多くの災害にさらされている。このような災害においては、水害もあわせて発生することが多い。河川や湖沼が氾濫したり、市街地が水没したりすることもある。
【0005】
このような場合にも、水害地での溢れた水を吸引して排出あるいは移動させる必要がある。
【0006】
このような土木工事で必要となる水の吸引や排出においては、ポンプとこれに接続されたホースが用いられる。ホースが、吸引する水の溜まっている水溜まりにセットされる。このホースにはポンプが接続されており、ポンプの吸引機能により、ホースの先端から水が吸引される。この吸引によって、ホースの先端から次々と水が吸引されて、水溜まりの水が排出される。
【0007】
これにより、護岸工事や基礎工事などの土木工事で生じる不要な水の排出や、水害時に発生した水溜まりの水の排出が行われる。
【0008】
上述したように、土木工事は多くの場所で行われているので、このような水の吸引は多くの場所で必要である。また、災害や水害は多くの場所で頻発しており、これらからの復旧のための水の吸引・排出も、多くの場所で必要である。このようなポンプとホースの組み合わせによる水の吸引・排出は、様々な場所で、行われている。
【0009】
このような工事や災害時の水溜まりからの水の排出に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1は、自走用エンジンEを搭載した第1の車両8と、この車両8に牽引可能な第2の車両9とからなり、両車両8,9のそれぞれに発電装置4を搭載する。第2の車両9にはポンプ運転用のエンジンE1を搭載し、第1の車両8の停止状態で運転される前記エンジンEの出力を動力取出装置10によって取り込み、動力取出装置10の出力で第1の車両8の発電装置4を駆動し、この発電装置4からの供給電力で駆動される電動機3を有する水中ポンプ2が第1の車両8に積載され、前記エンジンE1の出力で第2の車両9の発電装置4を駆動し、この発電装置4から供給電力で駆動される電動機3を有する水中ポンプ2が第2の車両9に積載されている排水ポンプ車を開示する。
【0012】
特許文献1のような排水ポンプ車は、ポンプにホースを接続して、ホースを水溜まりに浸して水を吸引する。また、特許文献1以外の排水装置などでも、ホースを水溜まりに浸して水を吸引する。水害で発生した水溜まり、氾濫水域となった河川や湖沼、土木工事現場で生じた水溜まりなどに、ホースを投入して、水を吸引する。
【0013】
このため、特許文献1などの排水技術を使用した水の吸引や排水では、水を実際に吸引して移動させるホースを必要とする。
【0014】
ここで、河川や湖沼、あるいは水没地域などを含めて、吸引を必要とする水溜まりは大きいことが多い。このため、長大なホースを必要とすることになる。また、複数のホースを必要とする。加えて、水を効率的に吸引するために、内径の大きなホースを必要とすることも多い。
【0015】
このような内径が大きかったり、長さが長かったりするホースは、水溜まりに入れると、その自重でたわんでしまう。あるいは、自重で水溜まりの中に沈んでしまう。更には、ねじれを生じたりすることもある。
【0016】
このような現象が生じると、水溜まりの中でのホースの位置の視認が困難となり、吸引・排水作業の効率を低下させる問題がある。また、作業の危険性を生じさせる問題もある。土木工事や水害で生じる水溜まりの水は、濁っていることが多いからである。
【0017】
また、たわみやねじれが生じると、吸引ポンプによる吸引能力を低下させる問題につながる。たわみやねじれが、ホース内部の水の移動が阻害されるからである。これは、吸引ポンプの能力を十分に発揮できないことに繋がり、吸引ポンプの負担を増加させる問題もある。
【0018】
当然に、吸引能力の低下により、吸引作業の時間が大きくなり、土木工事や水害復旧での時間が大きくなってしまう問題がある。これらは、作業、費用、安全性などの様々な面にデメリットが生じる。
【0019】
本発明は、上記課題に鑑み、吸引能力の低下を防止して効率よく水の吸引を実現できるホースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題に鑑み、本発明のホースは、延伸方向の長さを有し、内部において液体を移動させる本体部と、
前記本体部の周囲に装着される単数または複数の浮遊部材と、を備え、
前記本体部が水溜まりにおいて使用される場合において、前記浮遊部材は、前記本体部を前記水溜まりで浮かせる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のホースは、外周にある浮遊部材により水溜まりでも浮くことができる。水溜まりにおいて浮くことで、排水作業などの作業者がホースを視認可能である。これにより、作業効率や作業の安全性を高めることができる。
【0022】
また、浮遊部材で浮くことで、ホースの直進姿勢が整えられてホースにおいてじれやたわみが生じにくくなる。これにより、ホースによる吸引能力の低下が抑制される。結果として、吸引・排水能力が高まり、作業効率が高まる。
【0023】
このホースが使用されることで、土木工事や水害復旧などでの水溜まりからの水の排水作業を、より安全かつ効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】従来技術におけるホースによる氾濫や増水した場所からの水の吸引を示す写真である。
【
図2】従来技術におけるホースによる氾濫や増水した場所からの水の吸引を示す写真である。
【
図3】従来技術におけるホースによる氾濫や増水した場所からの水の吸引を示す写真である。
【
図4】本発明の実施の形態1におけるホースの正面図である。
【
図5】本発明の実施の形態1におけるホースの側面図である。
【
図6】本発明の実施の形態1におけるホースの模式図である。
【
図7】この液体を供給する液体供給部を備えるホースの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第1の発明に係るホースは、延伸方向の長さを有し、内部において液体を移動させる本体部と、
前記本体部の周囲に装着される単数または複数の浮遊部材と、を備え、
前記本体部が水溜まりにおいて使用される場合において、前記浮遊部材は、前記本体部を前記水溜まりで浮かせる。
【0026】
この構成により、湖沼や河川、水溜まりなどに使用する場合でも、本体部を水面に浮かせることができて、視認容易となる。
【0027】
本発明の第2の発明に係るホースでは、第1の発明に加えて、前記浮遊部材は、前記延伸方向における前記本体部の姿勢を制御する。
【0028】
この構成により、ホースを用いた吸引や排水の作業効率を高めることができる。また、資源の有効活用ができる。
【0029】
本発明の第3の発明に係るホースでは、第1または第2の発明に加えて、前記浮遊部材は、前記本体部の延伸方向に沿って装着される。
【0030】
この構成により、浮遊部材は本体部を水面に浮かせると共に姿勢を直進的に制御できる。
【0031】
本発明の第4の発明に係るホースでは、第1から第3のいずれかの発明に加えて、前記複数の浮遊部材のそれぞれは、前記本体部の延伸方向に沿う長手方向を有しており、
前記複数の浮遊部材のそれぞれは、前記本体部の外周に沿って装着される。
【0032】
この構成により、浮遊部材は本体部を水面に確実に浮かせると共に直進的に姿勢を制御できる。
【0033】
本発明の第5の発明に係るホースでは、第1から第4のいずれかの発明に加えて、前記浮遊部材に空気を供給する空気供給部が更に備わる。
【0034】
この構成により、必要な場合のみ、浮遊部材の浮遊能力を生じさせることができる。
【0035】
本発明の第6の発明に係るホースでは、第5の発明に加えて、前記本体部が、水溜まりでの水の吸引もしくは排出に用いられる場合に、
前記空気供給部は、前記浮遊部材に、空気を供給する。
【0036】
この構成により、必要な場合に、浮遊させて姿勢制御させる。
【0037】
本発明の第7の発明に係るホースでは、第5の発明に加えて、前記本体部が、陸上で用いられる場合に、
前記空気供給部は、前記浮遊部材内部の空気を排出させて空気圧を低下させる。
【0038】
この構成により、不要な場合には、ホースを収納可能にできる。
【0039】
本発明の第8の発明に係るホースでは、第1から第7のいずれかの発明に加えて、前記浮遊部材は、水溜まりにおいて視認容易な色味および明度の少なくとも一方を有する。
【0040】
この構成により、水溜まりで用いられたり、悪天候下で用いられたりしても、
【0041】
本発明の第9の発明に係るホースでは、第1から第8のいずれかの発明に加えて、前記浮遊部材内部に、前記本体部の姿勢を制御するための液体を供給する液体供給部を、更に備える。
【0042】
この構成により、本体部の姿勢制御をより確実に行える。
【0043】
本発明の第10の発明に係るホースでは、第1から第9のいずれかの発明に加えて、前記本体部および前記複数の浮遊部材は、延伸方向に伸縮可能な蛇腹形状を有する。
【0044】
この構成により、必要な長さだけの使用や収納の容易性を上げることができる。
【0045】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0046】
(発明者による解析)
図1~
図3は、従来技術におけるホースによる氾濫や増水した場所からの水の吸引を示す写真である。豪雨などで増水した湖沼や、氾濫したことによって生じた水溜まりなどでは、これらの水を吸引して排水することが必要となる。また、土木工事などにおいて生じてしまう水溜まりなどの水を吸引して排水することが必要となる。
【0047】
このような排水においては、ポンプと、ポンプに繋がれたホースが使用される。ホースの先端が湖沼や氾濫地域などの水溜まりに投入される。ホースに接続された吸引ポンプが動作することで、ホースの先端から水を吸引する。ホースと吸引ポンプの能力によって、水溜まりから水が排出される。
【0048】
しかしながら、ホースはその素材の特性から柔軟性があり、
図1~
図3の写真から明らかなように、ホースは水溜まりの中に沈んでしまう。あるいはねじれたり折れ曲がったりする。
【0049】
図1~
図3の写真からも分かる通り、災害や土木工事などで発生する水溜まりの水は濁っていることがほとんどであり、水溜まりの中で沈んだホースの状態を視認することができない。水溜まりにどれくらいの長さの部分が沈んでいるのか、ホースに折れ曲がりやねじれが生じているのかなどを、把握することは困難である。
【0050】
また、柔軟性がある状態で水溜まりに沈むことで、ホースは折れ曲がったりねじれたりする。このため、ホースによる吸引能力が低下して、必要となる排水が十分にできなくなることがある。あるいは、排水に要する時間が長大化する問題もある。
【0051】
また、濁った水の中に沈むことで、ホースが折れ曲がったりねじれたりしていることを作業者が視認することができない。このため、ホースの姿勢を適切にする作業を行うのが難しい。ホースの状態を視認できないうえ、姿勢を制御しようとしても、その制御状態を確認できない。
【0052】
また、水溜まりの中にホースが沈むことでホースが水圧を受ける。水圧を受けたホースは、吸引や排水能力が落ちることもあり得る。このようになることも、ホースを用いた排水作業の効率を下げることになる。
【0053】
発明者は、以上のような解析により、本発明に至った。
【0054】
(実施の形態1)
【0055】
(全体概要)
【0056】
図4,
図5を用いて、本発明の実施の形態1のホースの全体概要について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1におけるホースの正面図である。
図5は、本発明の実施の形態1におけるホースの側面図である。ホース1は、
図1~
図3などで説明したように、災害時の湖沼、氾濫時の水溜まり、土木工事で生じる水溜まりなどの水の排水に用いられる。
【0057】
ホース1は、本体部2と本体部2の周囲に装着される単数又は複数の浮遊部材3とを備える。本体部2は、いわゆるホース1として水を移動させる管路である。本体部2は、管路構造となっており、水を吸引して移動させて排水を行う。このため、本体部2は、延伸方向の長さを有し、その内部において液体を移動可能である。水溜まりなどに投入されれば、その先端から水を吸引して内部を移動させる。
【0058】
本体部2は、既存のホースが用いられてもよいし、本発明のホース1のために製造されたものが用いられてもよい。また、本体部2は、巻き取って収納できるように、柔軟性を有することが好ましい。柔軟性のある素材で構成されることが好ましい。
【0059】
浮遊部材3は、本体部2の周囲に装着される。
図4,
図5に示されるように、浮遊部材3は、本体部2の延伸方向に沿って装着される。
図4のように、本体部2の外周に浮遊部材3が装着される。また、装着される浮遊部材3は、本体部2の延伸方向に沿っている。すなわち、ホース1の横断面で見た場合には、
図4のように、浮遊部材3は本体部2の外周に装着されている。また、ホース1の長手方向で見た場合には、
図5のように、浮遊部材3は、本体部2の延伸方向に沿って装着されている。
【0060】
浮遊部材3は、水に対しての浮遊能力を有しており、これによりホース1が水溜まりにおいて使用される場合に、本体部2を水溜まりで浮かせることができる。例えば、浮遊部材3は、内部空間に空気を収容している。これにより、水に対して浮くことができ、ホース1すなわち本体部2を水溜まりにおいて浮かせることができる。
【0061】
災害や土木工事などでの水溜まり(増水した湖沼や河川を含む)の水の排水を行うのに、ホース1は、用いられる。このとき、浮遊部材3が本体部2に装着されており、かつ、延伸方向に沿って装着されている。このため、浮遊部材3は、本体部2を水溜まりの水面に浮かせることができる。
【0062】
これにより、作業者は本体部2、すなわちホース1を視認することができる。水溜まりに投入して排水作業を行っている場合でも、
図1~
図3のように、ホースが水溜まりの中に沈まない。浮遊部材3が、本体部2を水面に浮かせる。すなわち、視認可能な状態となる。
【0063】
視認可能であれば、作業者はホース1の状態を把握しながら排水作業を行える。例えば、本体部2が折れ曲がったりねじれたりしているかを確認しながら行える。折れ曲がったりねじれたりしていないことが確認できれば、排水作業の効率化につながる。
【0064】
また、本体部2の先端付近には浮遊部材3が装着されていないことで、先端は、水溜まりの中に投入できる。これにより、水溜まりの水を吸引できる。また、本体部2の多くは水面に浮いているのを視認できるので、作業者は確認しつつも安心して作業できる。また、折れ曲がりやねじれがないことを確認しながら作業できるので、本体部2が折れ曲がって吸引できなくなることによる事故などを防止できる。吸引ポンプへの悪影響も低減できる。
【0065】
また、浮遊部材3は本体部2を水に浮かせる能力を有して、本体部2の延伸方向に沿って設けられる。このため、ホース1の使用時において、本体部2の延伸方向における姿勢を制御できる。本体部2の周囲で浮遊させるので、本体部2の延伸方向の姿勢を制御できる。すなわち、本体部2が、より直進性をもって水溜まりにおいて使用できる。
【0066】
この姿勢制御により、本体部2が折れ曲がったりねじれたりすることが少なくなり、吸引能力や排水能力が低下することが抑制される。結果として、排水作業での作業効率が向上する。
【0067】
特に、吸引ポンプに接続されての吸引において、折れ曲がりやねじれが抑制されることで、吸引ポンプの吸引能力を損なわずに済む。勿論、折れ曲がりやねじれが抑制されることで、作業者の安全性も向上する。また、折れ曲がりやねじれなどを戻すなどの作業が減少して、その点での作業効率や安全性が高まる。
【0068】
図4,
図5に示されるように、浮遊部材3は、本体部2の外周であって延伸方向に沿って装着される。特に、複数の浮遊部材3が装着されることで、浮遊部材3による本体部2の浮遊能力や姿勢制御能力が更に高まる。
【0069】
浮遊部材3は、水との比重差の観点から浮遊能力を持てばよい。例えば、浮遊部材3の内部に空気が収容されればよい。あるいは、水より比重の低い油のような液体が収容されてもよい。
【0070】
空気であれば、比重が低いので、本体部2を水面に浮かせることが適切に行える。後者のように液体が収容されていることで、本体部2に水面に浮かべさせると共に本体部2の姿勢制御が高まる。より直進性をもって水面に浮かぶことができる。
【0071】
(空気供給部)
【0072】
図6は、本発明の実施の形態1におけるホースの模式図である。上述したように、浮遊部材3の内部には空気や比重の低い液体が収容される。このとき、空気供給部4が備わり、浮遊部材3内部に空気が供給されたり空気が排出されたりすることも好適である。
【0073】
図6には、空気供給部4が備わる状態が示されている。
【0074】
空気供給部4は、浮遊部材3に空気を供給できる。空気が供給できれば、浮遊部材3の浮遊能力が生まれる。これにより、本体部2を水面に浮かせることができる。例えば、ホース1が水溜まりの水の排出に使用される場合に、空気供給部4が浮遊部材3に空気を供給させてもよい。
【0075】
ホース1が使用される前の状態では、本体部2と浮遊部材3とはそろって巻き取られて収納されているような状態である。この状態からホース1が湖沼などの水溜まりに投入された後で、空気供給部4が、浮遊部材3に空気を供給する。この供給により、浮遊部材3の浮遊能力が生じると共に、浮遊部材3が直進的に伸びるようになり、本体部2の姿勢も制御できる。
【0076】
すなわち、本体部2が水溜まりでの水の吸引や排出に用いられる場合に、空気供給部4は、浮遊部材3に空気を供給する。
【0077】
また、ホース1の水の排出目的での使用が終了すると、空気供給部4は、浮遊部材3から空気を排出させる。こうして、本体部2の巻取りなどを可能にして、ホース1の収容を可能とする。
【0078】
また、本体部2が陸上で用いられる場合もある。このような場合には水に浮かせることの必要性が低いので、空気供給部4は、浮遊部材3内部の空気を排出させて気圧を低下させる。例えば、本体部2の大半は陸上にあって、一部のみが水中に入ることがある。このような場合には、空気供給部4は、浮遊部材3内部の空気を排出させる。
【0079】
こうして、陸上では柔軟性を優先させることができる。
【0080】
また、使用の際にのみ空気を浮遊部材3に供給することで、収納と使用との切り替えを可能とできる。使用の時には空気を浮遊部材3に供給して浮遊可能とし、収納の際には空気を排出して収容を可能とできる。
【0081】
また、陸上での使用や本体部2の大半が陸上にある場合には、陸上部分での柔軟性を優先して空気を排出させるのもよい。この場合には、本体部2が陸上の地形に沿った状態となり、使用の容易性が高まる。
【0082】
浮遊部材3への空気の供給や空気の排出が制御されることで、種々の状態に適切に対応できる。
【0083】
また、浮遊部材3は本体部2の延伸方向に沿って装着される。このとき、浮遊部材3が途中で区画に分けられていることも好適である。必要な区画のみに空気が供給されることで、浮遊が必要な部位だけを浮かせることができる。例えば、陸上と水中とか混在している場合には、水中に対応する区画部分にのみ空気を供給する。これにより、より地形や状況に適した本体部2の姿勢制御を行える。
【0084】
空気供給部4は、空気だけでなく、比重の低い液体を供給あるいは排出することでもよい。これにより、浮遊や姿勢制御を実行できる。
【0085】
図7は、この液体を供給する液体供給部を備えるホースの模式図である。
図7にあるように、液体供給部5を備える。液体供給部5は、空気供給部4と同様に、本体部2の姿勢を制御したり浮遊させたりするために、液体を浮遊部材3内部に供給する。あるいは、排出する。これにより、必要に応じた本体部2の浮遊や姿勢制御を適切に実現できる。
【0086】
以上のように、実施の形態1のホース1は、災害や土木工事で生じる水溜まりなどの水の排出において、作業効率や安全性を高めることができる。
【0087】
(実施の形態2)
【0088】
次に実施の形態2について説明する。実施の形態2では、種々のバリエーションなどを説明する。
【0089】
(色味、明度)
【0090】
浮遊部材3は、水溜まりにおいて視認容易な色味および明度の少なくとも一方を有することも好適である。
図1などに示すように水溜まりの水は濁っていることが多い。また、水の排出作業は夜間や悪天候の中で行われることも多い。
【0091】
このような状態で、浮遊部材3の色味が淡い色であったり、濁った水に近しい色であったりすると、ホース1の視認が難しくなる。また、暗い色であったり、明度が低かったりすると、やはりホース1の視認が難しくなる。
【0092】
このため、浮遊部材3が、水溜まりや悪天候下でも視認容易な色味および明度の少なくとも一方を有することが好適である。例えば、黄色や赤色などの識別しやすい色味であったり、高い明度を有していたりする。あるいは、発光的な発色をもっていることも好適である。
【0093】
また、浮遊部材3の色味がグラデーションを持っていることも好適である。グラデーションを持っていることで、視認容易性を高めることができる。また、明度が高いことで、視認容易となる。
【0094】
視認容易となれば、作業者はホース1の姿勢、状態、位置を確認しながら排水作業を行える。これにより、作業の効率や安全性がより高まる。また、作業者以外の関係者にとっても安全性が高まる。
【0095】
また、浮遊部材3のみでなく本体部2も、同様の色味や明度を有することも好適である。これにより、同様にホース1の視認が容易となるからである。
【0096】
(蛇腹形状)
本体部2および浮遊部材3は、延伸方向に伸縮可能な蛇腹形状を有していることも好適である。
【0097】
蛇腹形状を有していることで、伸縮容易となるからである。伸縮容易となることで、使用する場所に応じた使用の柔軟性が高まる。また、蛇腹形状であっても、浮遊部材3に空気や液体が供給されることで、本体部2の浮遊や姿勢制御が行える。これにより、使用時においての姿勢制御などは行いつつも、不使用時の収納を容易とできる、
【0098】
また、地形に合わせた使用も可能となる。
【0099】
加えて、水の排出を行う場所と作業する場所との距離に適切に対応することもできる。距離に応じて、蛇腹部分を伸ばしたり延ばさなかったりを混在させればよいからである。
【0100】
なお、実施の形態1~2で説明されたホースは、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0101】
1 ホース
2 本体部
3 浮遊部材
4 空気供給部
5 液体供給部