(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068691
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】茶生葉加熱処理装置
(51)【国際特許分類】
A23F 3/06 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
A23F3/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179909
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000145116
【氏名又は名称】株式会社寺田製作所
(72)【発明者】
【氏名】山内 英樹
【テーマコード(参考)】
4B027
【Fターム(参考)】
4B027FP14
4B027FP20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】多量の茶生葉を投入しても茶生葉がこぼれることがなく短時間で投入することができ、茶生葉の加熱ムラがなくなるために製品向上につながる、茶生葉加熱処理装置を提供する。
【解決手段】茶生葉加熱処理装置は、一端が側壁4により閉鎖し、他端はテーパー状側壁3を設けて中央が一部開口している回転胴1と、該回転胴を回転させる駆動手段11と、前記回転胴を加熱する加熱手段とにより構成されるとともに、茶生葉の投入時に前記回転胴の開口が上を向くように傾斜させる傾斜機構を設けるという手段をとる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が側壁により閉鎖し、他端はテーパー状側壁を設けて中央が一部開口している回転胴と、
該回転胴を回転させる駆動手段と、
前記回転胴を加熱する加熱手段とにより構成するとともに、
茶生葉の投入時に前記回転胴の開口が上を向くように傾斜させる傾斜機構を設けることを特徴とする茶生葉加熱処理装置。
【請求項2】
前記回転胴は開口が上を向くように5~15度傾斜することを特徴とする請求項1記載の茶生葉加熱処理装置。
【請求項3】
前記回転胴内にくし形の桟を設けることを特徴とする請求項1または2記載の茶生葉加熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶生葉を加熱して殺青する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、茶生葉を炒って、加熱処理する装置には、連続式と回分式がある。連続式の茶生葉加熱処理装置は、半円筒型の処理胴の中に撹拌手が備えられており、処理胴の一端へ茶葉を投入し、撹拌手により茶生葉を撹拌しながら処理胴の他端へ移送し、これら移送中に茶生葉を加熱処理するものが多い。回分式の茶生葉加熱処理装置は、円筒状の回転胴へ茶生葉を収容し、回転により茶生葉を撹拌しながら、加熱処理するもの(例えば、特許文献1)が多い。
【0003】
茶生葉加熱処理装置と類似した構造のものとして特許文献2のような茶葉加熱処理装置(火入機)があったが、この茶葉加熱処理装置は、ほぼ乾燥が終わった茶葉を仕上乾燥し、香り付けをする装置であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-81168号公報
【特許文献2】特開2005-318861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2の茶葉加熱処理装置は、アクチュエータを利用して、茶葉の投入、取出をしており、構造が複雑だった。いずれにしても、取出時は回転胴を傾斜させて、回転して取り出していたが、投入時は回転胴を水平状態で回転させながら、茶葉を投入していた。
【0006】
茶生葉を加熱処理する場合、投入した当初の茶生葉(萎凋した葉を含む)は青臭さが発生するため、茶生葉の青臭さを除去するため、回転胴の回転を早める必要がある。しかし、一度に大量の茶生葉を投入すると、茶生葉が投入口よりこぼれてしまっていた。また、こぼさないように少しずつ時間をかけて投入すると、投入時間がかかり、最初に投入した茶生葉と最後に投入した茶生葉とでは、加熱時間が変わり、加熱ムラ及び品質ムラが生じてしまった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1手段の茶生葉加熱処理装置は、
一端が側壁により閉鎖し、他端はテーパー状側壁を設けて中央が一部開口している回転胴と、
該回転胴を回転させる駆動手段と、
前記回転胴を加熱する加熱手段とにより構成するとともに、
茶生葉の投入時に前記回転胴の開口が上を向くように傾斜させる傾斜機構を設ける
という手段をとる。
第2手段は、前記第1手段において、
前記回転胴は開口が上を向くように5~15度傾斜する
という手段をとる。
第3手段は、前記第1または2手段において、
前記回転胴内にくし形の桟を設ける
という手段をとる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のように、茶生葉を投入するときに回転胴を傾斜させることにより、多量の茶生葉を投入しても、茶生葉がこぼれることがなくなり、清潔である。また、短時間で投入することができるので、茶生葉の加熱ムラがなくなり、製品向上につながる。本発明の第3手段により、回転胴内の茶生葉の撹拌が良好となり、茶生葉の加熱ムラがなくなり、製品向上につながる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は通常時の茶生葉加熱処理装置の実施方法を示した正面説明図である。
【
図2】
図2は通常時の茶生葉加熱処理装置の実施方法を示した側面説明図である。
【
図3】
図3は投入時の茶生葉加熱処理装置の実施方法を示した正面説明図である。
【
図4】
図4は投入時の茶生葉加熱処理装置の実施方法を示した側面説明図である。
【
図5】
図5は取出時の茶生葉加熱処理装置の実施方法を示した正面説明図である。
【
図6】
図6は取出時の茶生葉加熱処理装置の実施方法を示した側面説明図である。
【
図7】
図7は茶生葉加熱処理装置の回転胴の内部の一例を示した説明図である。
【
図8】
図8は茶生葉加熱処理装置の回転胴の桟の一例を示した説明図である。
【
図9】
図9は茶生葉加熱処理装置の回転胴の桟の一例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して、本発明の実施例を説明する。1は回転胴であり、茶葉を収容するものである。この回転胴1は、周壁2とテーパー状側壁3と側壁4とより構成されており、テーパー状側壁3の先は開口5となっていて、この開口5は、茶生葉の投入、茶葉の取出と排気を兼ねており、必要に応じて通気性を有する蓋6を装着する。7は回転胴1全体を覆うカバーであり、保温の役目をしている。このカバー7の上部には、排気口8が備えられており、カバー7内の排気をする。10はガスバーナであり、回転胴1を下部より加熱する加熱手段である。この加熱手段は、ガスバーナ10でなくても、電熱ヒータ等、回転胴1を下部より加熱することができるものであればよい。加熱手段に電熱ヒータを用いる場合は、排気口8を設けなくてもよい。11は駆動手段であり、回転胴1を回転させる。13は送風ファン、14は送風ダクトであり、送風ダクト14を側壁4に接続し、回転胴1内へ送風する。21は温度計であり、カバー7の一部を開孔して、回転胴1の温度を非接触で計測する。回転胴1の温度は、制御盤22であらかじめ設定温度を定めておき、温度計21で計測した現在温度と比較して、現在温度が設定温度になるようにガスバーナ10や送風ファン13を調節する。
【0011】
次に、傾斜機構を説明する。31は支軸であり、外機枠12と内機枠9(カバー7、回転胴1等含む)をつないでおり、通常は、外機枠12に設けたハンドル受33と内機枠9に設けたハンドル32を固定している。傾斜時には、ハンドル32をハンドル受33から解放し、ロックを解除して、支軸31を軸として、内機枠9ごと回転胴1を傾斜する。元に戻すときには、支軸31を軸として、内機枠9ごと回転胴1の傾斜を元に戻し、ハンドル32をハンドル受33に固定し、ロックをする。また、開口5を上向きに傾斜させる投入時には、傾斜が5~15度程度となる位置に後ストッパー35を設け、内機枠9を後ストッパー35で止める。開口5を下向きに傾斜させる取出時には、傾斜が40度以上となる位置に前ストッパー34を設け、内機枠9を前ストッパー34で止める。
【0012】
傾斜機構の他の手段として、支軸31とアクチュエータ(図示しない)を設け、アクチュエータの駆動により、回転胴1を傾斜させてもよい。自動で傾斜させるためには、アクチュエータを用いるほうがよい。この場合、リミットスイッチなどを用いて、傾斜角度の位置決めをする。
【0013】
回転胴1内には、
図7のように桟41、42を設ける。本実施例では、
図8のような平板の桟41を3本、
図9のようなくし形の桟42を2本、合わせて5本設けているが、桟の本数はこの限りではない。
【0014】
次に、本茶生葉加熱処理装置の動きを説明する。まず、
図1、2の状態で、回転胴1の外周温度及び回転速度、加熱時間を、制御盤22により所望する設定値に設定する。回転胴1は表面の外周温度を温度計21で測定しながら設定温度に保たれるように制御する。回転胴1の回転速度は、インバータで制御するので、運転中も適宜変更可能である。それぞれの条件を調節後、
図3、4のように、ハンドル32を解除し、回転胴1の開口5を上向きに傾斜させ、内機枠9を後ストッパー35で停止させ、開口5より回転胴1内へ茶生葉を投入する。この時の傾斜角度は、5~15度程度が良好である。
【0015】
茶生葉の投入後、回転胴1を
図1、2のように水平に戻し、ハンドル32をハンドル受33に固定し、ロックする。このような雰囲気の中で、茶生葉は桟41、42により撹拌され、回転胴1の中を移動しながら、加熱処理される。制御盤21で設定した加熱時間が経過すると、ブザーが鳴る、または運転停止、または自動取出が始まる。
【0016】
ブザーが鳴る、または運転停止の場合には、ハンドル32を解除し、回転胴1の開口5を下向きに傾斜させ、内機枠9を前ストッパー34で停止させ、回転胴1を逆回転させ、開口5より茶葉を取り出す。この時の傾斜角度は、40度以上が良好であり、取出が早くなる。本実施例では搬送装置上へ取り出すが、回収用の箱や籠でもよい。
【0017】
上記実施例の場合、作業者がハンドル32を操作する。自動制御の場合、投入及び取出のタイミング、傾斜機構の操作を制御盤22によりおこなう。
【符号の説明】
【0018】
1 回転胴
2 周壁
3 テーパー状側壁
4 側壁
5 開口
6 蓋
7 カバー
8 排気口
9 内機枠
10 ガスバーナ
11 駆動手段
12 外機枠
13 送風ファン
14 送風ダクト
16 搬送装置
17 搬送装置
21 温度計
22 制御盤
31 支軸
32 ハンドル
33 ハンドル受
34 前ストッパー
35 後ストッパー
41 (平板の)桟
42 (くし形の)桟