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特開2023-68701ポリマー構造体の製造方法及びポリマー構造体の製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068701
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】ポリマー構造体の製造方法及びポリマー構造体の製造装置
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/48 20060101AFI20230511BHJP
   C08F 2/01 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
C08F2/48
C08F2/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179926
(22)【出願日】2021-11-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)第29回ポリマー材料フォーラムでウェブセミナー形式で発表 発表日 令和2年11月26日 (2)日刊工業新聞社発行の日刊工業新聞第1面に掲載 掲載日 令和3年6月10日 (3)令和3年6月10日 株式会社KRIのウェブサイトに公開。 公開のウェブページ:http://www.kriinc.jp/press/1276226_11456.html (4)株式会社KRI主催のKRIクライアントカンファレンス・ワークショップにおいてウェブセミナー形式で発表 発表日 令和3年10月22日
(71)【出願人】
【識別番号】591167430
【氏名又は名称】株式会社KRI
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 聡
(72)【発明者】
【氏名】藤井 泰久
【テーマコード(参考)】
4J011
【Fターム(参考)】
4J011AA01
4J011AA04
4J011AA08
4J011AB07
4J011AB08
4J011AB09
4J011AC04
4J011AC06
4J011BA01
4J011BA08
4J011BB04
4J011BB13
4J011DA03
4J011DB13
4J011DB17
4J011DB22
4J011DB36
4J011JA08
4J011JB04
4J011JB09
4J011JB12
4J011JB26
4J011PB25
4J011QA01
4J011QA03
4J011QA06
4J011QA13
4J011QA17
4J011QA22
4J011QA23
4J011QA34
4J011SA03
4J011SA06
4J011SA14
4J011SA15
4J011SA16
4J011SA20
4J011SA84
4J011UA01
4J011UA09
4J011VA02
4J011WA10
(57)【要約】
【課題】ポリマー粒子ppを得る場合に、その粒径のバラツキを充分低下することができる技術を提供する。
【解決手段】紫外光硬化性モノマーと重合開始剤とを含む第1の液体が供給される第1の流路1と、第2の液体が供給される第2の流路2と、両流路1,2が合流する合流流路3を備えるリアクター装置を使用して、合流流路3内に連続相としての第2の液体の層流内を第1の液体が送液される送液領域CZを形成し、その送液領域CZに重合開始剤の吸収波長の紫外光を照射する発光ダイオードを使用する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続相としての第2の液体の層流内を、紫外光硬化性モノマーと重合開始剤とを含む第1の液体が送液される送液領域と、
前記送液領域に紫外光を照射する照射手段とを備え、
前記送液領域において、前記照射手段から照射される前記紫外光により、前記紫外光硬化性モノマーが重合・硬化したポリマー構造体を製造するポリマー構造体の製造方法であって、
前記照射手段として、発光中心波長が前記重合開始剤の吸収波長に含まれる発光ダイオードを使用するポリマー構造体の製造方法。
【請求項2】
前記紫外光の照射強度を500mW/cmより高く、15000mW/cm以下の範囲内とする請求項1記載のポリマー構造体の製造方法。
【請求項3】
前記送液領域の流路幅に対する前記発光ダイオードの照射幅である照射幅比を1~3の範囲内とする請求項1又は2記載のポリマー構造体の製造方法。
【請求項4】
前記発光ダイオードの発光部と前記送液領域との離間距離を100mm以下とする請求項1~3のいずれか一項記載のポリマー構造体の製造方法。
【請求項5】
第1の流路に前記第1の液体を連続的に供給する工程と、
前記第1の流路を囲んで形成された第2の流路に前記第2の液体を供給する工程とを備え、
前記第1の流路、前記第2の流路が合流する合流流路の下流側領域に形成される前記送液領域において、前記層流内で前記第1の液体を送液する工程と、前記発光ダイオードから、前記第1の液体に前記紫外光を照射する工程とを含む請求項1~4のいずれか一項記載のポリマー構造体の製造方法。
【請求項6】
前記第1の流路の出口の内径が1~600μmである請求項5記載のポリマー構造体の製造方法。
【請求項7】
前記第1の液体の流速と前記第2の液体の流速との比が1:0.1~1:30である請求項5又は6記載のポリマー構造体の製造方法。
【請求項8】
前記重合開始剤が、ビスアシルホスフィンオキサイド及びモノアシルホスフィンオキサイドから選択される一種以上であり、
前記発光ダイオードの発光中心波長が365nmである請求項1~7のいずれか一項記載のポリマー構造体の製造方法。
【請求項9】
前記重合開始剤が、2-メチル-4´-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノンであり、
前記発光ダイオードの発光中心波長が310nmである請求項1~7のいずれか一項記載のポリマー構造体の製造方法。
【請求項10】
前記重合開始剤が、2-ヒドロキシ-4´-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノンであり、
前記発光ダイオードの発光中心波長が275nmである請求項1~7のいずれか一項記載のポリマー構造体の製造方法。
【請求項11】
前記紫外光硬化性モノマーがアクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基から選択される一種以上を有する請求項1~10のいずれか一項記載のポリマー構造体の製造方法。
【請求項12】
前記紫外光を照射する前記送液領域において、前記第1の液体を分散させて粒状とし、ポリマー粒子を製造する請求項1~11のいずれか一項記載のポリマー構造体の製造方法。
【請求項13】
界面張力が小さい前記第1の液体と前記第2の液体の組み合わせを選択することによって、平均粒子径が1μm以上50μm以下であるポリマー粒子を製造する請求項1~12のいずれか一項記載のポリマー構造体の製造方法。
【請求項14】
ハンセン溶解度パラメータが近傍にある前記第1の前記液体と第2の液体の組み合わせを選択することによって、平均粒子径が1μm以上50μm以下であるポリマー粒子を製造する請求項1~12のいずれか一項記載のポリマー構造体の製造方法。
【請求項15】
前記紫外光を照射する前記送液領域において、前記第1の液体を連続相として層流状態に維持し、長手方向に連続したポリマー繊維を製造する請求項1~11のいずれか一項記載のポリマー構造体の製造方法。
【請求項16】
前記第1の液体に着色剤を含み、色材ポリマー構造体を製造する請求項1~15のいずれか一項記載のポリマー構造体の製造方法。
【請求項17】
紫外光硬化性モノマーと重合開始剤とを含む第1の液体が供給される第1の流路と、
第2の液体が供給される第2の流路と、
前記第1の流路、前記第2の流路が合流する合流流路を備えるリアクター装置を設け、
前記合流流路の下流側領域に、連続相としての前記第2の液体の層流内を前記第1の液体が送液される送液領域が形成され、
前記送液領域に紫外光を照射して前記第1の液体を重合・硬化する照射手段を設けたポリマー構造体の製造装置であって、
前記照射手段が、発光中心波長が前記重合開始剤の吸収波長に含まれる発光ダイオードであるポリマー構造体の製造装置。
【請求項18】
前記第1の流路の中心線に交差する形態で、前記第1の流路を挟んで配置される複数の交差流路を備えて、前記第2の流路が構成され、
前記合流流路が、前記第1の流路の中心線と前記複数の交差流路の中心線との交差点を含む収束流路部と、当該収束流路部の下流側に接続される接続流路部とを有し、
前記第1の流路の出口が、前記収束流路部に開口して設けられる請求項17記載のポリマー構造体の製造装置。
【請求項19】
前記第1の流路の出口の内径が1~600μmである請求項17又は18記載のポリマー構造体の製造装置。
【請求項20】
前記第1の流路が撥水処理されている請求項17~19のいずれか一項記載のポリマー構造体の製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー構造体の製造方法及びポリマー構造体の製造装置に関する。
ここで、ポリマー構造体は以下に説明する製造方法により製造される構造物を意味し、主には、粒子状のポリマー粒子、長手方向に連続したポリマー繊維を含む概念であり、ポリマー粒子とポリマー繊維との中間的な長手方向長さとなるものも含まれる。
【背景技術】
【0002】
この種のポリマー粒子の製造方法が特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示の技術は、小粒子径、かつ、シャープな粒度分布を有する 色材粒子を、歩留まり良く、かつ、簡便安価に製造し得る方法を提供することにある。
【0003】
その解決手段は、第1の流路にエネルギー線硬化性モノマーと重合開始剤と着色剤とを含む第1の液体を連続的に供給する工程と、該第1の流路の出口を包囲するように形成された第2の流路に第2の液体を供給する工程と、該第1の流路と該第2の流路とが合流する合流点で該第1の液体と該第2の液体とを層流状態で接触させる工程と、該第2の液体を接触させた該第1の液体にエネルギー線を照射する工程とを含む。
【0004】
ここで、エネルギー線硬化性モノマーは紫外線硬化モノマーであり(段落〔0045〕)、照射されるエネルギー線は紫外光であり(段落〔0040〕)、光照射により得ることができる色材粒子は紫外線硬化モノマーが重合・硬化した色材ポリマー粒子となる。
【0005】
特許文献1に開示の技術では、第1の液体がエネルギー線硬化性モノマー(紫外線硬化モノマー)と重合開始剤と着色剤を含むことにより、インク、トナー等に利用できる色材粒子を得る。
【0006】
さて、特許文献1に開示の技術では、紫外光を照射する照射手段として様々な手段が開示されているが(段落〔0040〕)、これまで実用的に使用されてきた照射手段は、具体的には水銀ランプであった。
【0007】
この種の従来の色材粒子(色材ポリマー粒子)の製造装置の構成の一例(特許文献1の図4)を本明細書の図8に示し、本発明の構成と対比して図2(c)に模式的に示した。
従来、照射手段の照射位置は、マイクロリアクター内に設けられた合流流路の上側(図1図2図3図6図7)若しくはマイクロリアクターの出口に設けられた合流流路(図4)の上側とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008-7612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示の技術、或いは、開示の技術に基づいて実用化されていた技術には、以下の問題があった。
【0010】
1.照射手段として水銀ランプを使用しているため、エマルション(未硬化のモノマー液滴)が完全に硬化するまでに数分間照射し続ける必要がある。
2.製造時間がかかり、効率的な製造方法とは言えない。
3.完全に硬化するまでの間に、経時変化によってエマルションの合一および/または分裂が引き起こされ、得られる粒子径のバラつきが大きくなる。
4.水銀ランプは光硬化に不必要である波長の光も照射されるため、流路が加熱してしまう。この影響でエマルションの合一および/または分裂が引き起こされ、得られる粒子径のバラツキが、この要因からも大きくなる。以上の結果として、粒子径のバラツキCV=20~50%と大きかった(段落〔0080〕・表1)。
【0011】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、例えばポリマー粒子を得る場合にも、その粒径のバラツキを充分低下することができる技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ポリマー構造体の製造方法として、
連続相としての第2の液体の層流内を、紫外光硬化性モノマーと重合開始剤とを含む第1の液体が送液される送液領域と、
前記送液領域に紫外光を照射する照射手段とを備え、
前記送液領域において、前記照射手段から照射される前記紫外光により、前記紫外光硬化性モノマーが重合・硬化したポリマー構造体を製造するポリマー構造体の製造方法であって、
前記照射手段として、発光中心波長が前記重合開始剤の吸収波長に含まれる発光ダイオードを使用する。
【0013】
好ましい実施形態においては、前記紫外光の照射強度を500mW/cmより高く、15000mW/cm以下の範囲内とする。
【0014】
好ましい実施形態においては、前記送液領域の流路幅に対する前記発光ダイオードの照射幅である照射幅比を1~3の範囲内とする。
【0015】
好ましい実施形態においては、前記発光ダイオードの発光部と前記送液領域との離間距離を100mm以下とする。
【0016】
好ましい実施形態においては、第1の流路に前記第1の液体を連続的に供給する工程と、
前記第1の流路を囲んで形成された第2の流路に前記第2の液体を供給する工程とを備え、
前記第1の流路、前記第2の流路が合流する合流流路の下流側領域に形成される前記送液領域において、前記層流内で前記第1の液体を送液する工程と、前記発光ダイオードから、前記第1の液体に前記紫外光を照射する工程とを含む。
【0017】
好ましい実施形態においては、前記第1の流路の出口の内径が1~600μmである。
【0018】
好ましい実施形態においては、前記第1の液体の流速と前記第2の液体の流速との比が1:0.1~1:30である。
【0019】
好ましい実施形態においては、前記重合開始剤が、ビスアシルホスフィンオキサイド及びモノアシルホスフィンオキサイドから選択される一種以上であり、
前記発光ダイオードの発光中心波長が365nmである。
【0020】
好ましい実施形態においては、前記重合開始剤が、2-メチル-4´-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノンであり、
前記発光ダイオードの発光中心波長が310nmである。
【0021】
好ましい実施形態においては、前記重合開始剤が、2-ヒドロキシ-4´-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノンであり、
前記発光ダイオードの発光中心波長が275nmである。
【0022】
好ましい実施形態においては、前記紫外光硬化性モノマーがアクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基から選択される一種以上を有する。
【0023】
好ましい実施形態においては、前記紫外光を照射する前記送液領域において、前記第1の液体を分散させて粒状とし、ポリマー粒子を製造できる。ここで、ポリマー粒子を製造する場合、界面張力が小さい第1の液体と第2の液体の組み合わせを選択することによって、ポリマー粒子の径(平均粒子径)が1μm以上50μm以下のものまで製造できる。また、ハンセン溶解度パラメータが近傍にある第1の液体と第2の液体の組み合わせを選択することによっても、ポリマー粒子の径(平均粒子径)が1μm以上50μm以下のものまで製造できる。
【0024】
好ましい実施形態においては、前記紫外光を照射する前記送液領域において、前記第1の液体を連続相として層流状態に維持し、長手方向に連続したポリマー繊維を製造できる。
【0025】
好ましい実施形態においては、前記第1の液体に着色剤を含み、色材ポリマー構造体を製造できる。
【0026】
以上のようにして、本発明のポリマー構造体の製造方法を使用して、所望のポリマー構造体が製造される。
【0027】
ポリマー構造体の製造装置は、以下の構造とできる。
紫外光硬化性モノマーと重合開始剤とを含む第1の液体が供給される第1の流路と、
第2の液体が供給される第2の流路と、
前記第1の流路、前記第2の流路が合流する合流流路を備えるリアクター装置を設け、
前記合流流路の下流側領域に、連続相としての前記第2の液体の層流内を前記第1の液体が送液される送液領域が形成され、
前記送液領域に紫外光を照射して前記第1の液体を重合・硬化する照射手段を設けたポリマー構造体の製造装置であって、
前記照射手段が、発光中心波長が前記重合開始剤の吸収波長に含まれる発光ダイオードである。
【0028】
好ましい実施形態においては、前記第1の流路の中心線に交差する形態で、前記第1の流路を挟んで配置される複数の交差流路を備えて、前記第2の流路が構成され、
前記合流流路が、前記第1の流路の中心線と前記複数の交差流路の中心線との交差点を含む収束流路部と、当該収束流路部の下流側に接続される接続流路部とを有し、
前記第1の流路の出口が、前記収束流路部に開口して設けられる。
【0029】
好ましい実施形態においては、前記第1の流路の出口の内径が1~600μmである。
【0030】
好ましい実施形態においては、前記第1の流路が撥水処理されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】(a)ポリマー構造体の製造装置の概略構成を示す図(b)A-A断面図
図2】(a)紫外光照射を行わない場合の第1の液体の状態を示す模式図(b)ポリマー粒子の製造状態を示す模式図(c)従来のポリマー粒子の製造状態を示す模式図(d)ポリマー繊維の製造状態を示す模式図
図3】(a)発光ダイオードの発光波長の一例を示す図(b)水銀ランプの発光波長を示す図
図4】発光ダイオードの照射強度の一例を示す図
図5】ビスアシルホスフィンオキサイド及びモノアシルフォスフィンオキサイドの吸光特性を示す図
図6】2-メチル-4´-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノンの吸光特性を示す図
図7】2-ヒドロキシ-4´-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-チルプロピオフェノンの吸光特性を示す図
図8】従来の製造装置の一例を示す図
図9】本発明の製造方法で得られるポリマー粒子の観察写真
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
本実施形態では、ポリマー構造体として粒子状のポリマー粒子ppを製造する場合を主に説明し、長手方向に連続した繊維状のポリマー繊維ptを製造する場合に関しても適宜説明を加える。
【0033】
両者間で、製造装置は共通であり、ポリマー粒子ppを製造する場合は、これまで説明してきた第1の液体と第2の液体は非相溶性の組み合わせを選択し、第2の液体を連続相として送液し、第1の液体を分散相としてこの連続相内で分散させる(液滴化する)。一方、ポリマー繊維ptを製造する場合は、第1の液体と第2の液体は相溶性の組み合わせを選択し、第1の液体と第2の液体を層流の状態を維持しながら送液する(液滴化しない)。両者の住み分けは、基本的には第1の液体、第2の液体の種別、組み合わせ、流量、レイノルズ数等の条件設定で適宜調整することができる。
【0034】
図1にポリマー構造体の製造装置100を示した。
同図において、(a)は製造装置100の全体構成を示す概略図であり、(b)は合流流路3の出口側から見た装置のA-A断面図であり、後述する第1の流路1,第2の流路2及び合流流路3の関係を示している。同図からも判明するように、製造装置100は、マイクロリアクター10、マイクロリアクター10の出口側の流路とされる接続配管3pに紫外光を照射する照射手段20としての発光ダイオードを主要な構成部材として構成される。この製造装置100が本発明におけるリアクター装置に相当する。
【0035】
図1からも判明するように、マイクロリアクター10は、第1の液体が供給される第1の流路1と、第2の液体が供給される第2の流路2と、これら第1の流路1及び第2の流路2の下流側に、第2の液体から成る連続相内を第1の液体が送液される合流流路3を備えて構成される。従って、合流流路3内における、連続相としての第2の液体は、第1の液体に対する搬送流としての役割を果たす。
【0036】
合流流路3の下流側には接続配管3pを接続するが、この部位に照射手段20としての発光ダイオードから紫外光を照射する。従って、この接続配管3pは紫外光に対して実質透明な部材から選択する。
【0037】
以下、第1の流路1,第2の流路2,合流流路3の構成に関してさらに説明する。
第1の流路1
第1の流路1は、マイクロリアクター10の中心を長手方向に横断する直線状の流路とされる。この第1の流路1には第1の液体を供給し、合流流路3に第1の液体が流出する。第1の流路1の出口は極小径に設定する。図1において、第1の流路1の出口近傍に関しては、第1の流路1が合流流路3に侵入する部位を先細に描いている。
【0038】
第1の流路1の出口の形状は、任意の適切な形状に設計することができる。好ましくは、実質的に円形である。このような構成とすることにより、ポリマー粒子ppを製造する場合は真球に近い粒子が得られ得る。一方、ポリマー繊維ptを製造する場合は真円に近い断面の繊維を得ることができる。
【0039】
第1の流路1の出口の内径は、任意の適切な値が設定され得る。好ましくは1~600μmであり、さらに好ましくは10~300μm、特に好ましくは30~250μm、最も好ましくは50~100μmである。このような非常に細い内径を備えることにより、第1の液体は第2の液体内に3次元的に安定的に合流できる。ポリマー粒子ppを製造する場合は、第2の液体と合流した第1の液体の液柱が分裂し、より小粒子径、かつ、よりシャープな粒度分布を有する液滴が得られる。後、真球に近い粒子が得られ得る。この分裂を起こさない条件では断面径の均一なポリマー繊維ptを得ることができる。
【0040】
ポリマー粒子ppを製造する場合の分裂は、レイリーの不安定性に起因する液柱の分裂であると発明者等は理解している。「レイリーの不安定性に起因する液柱の分裂」とは、第1の流路1から噴出した第1の液体と第2の液体との界面が徐々にくびれていき、ついには、第2の液体が微小な液滴(粒子状をなす)に分裂する現象をいう。なお、この分裂過程は、主に第1の液体の表面張力の不安定性に起因するものと理解される。
【0041】
この状況を図2に基づいて簡単に説明する。
図2(a)は、ポリマー粒子ppを製造する条件において、照射手段20による紫外光照射を行わない場合における、合流流路3に形成される液滴の分散状態を模式的に示したものであり、ほぼ同一径の液滴が、流れ方向にほぼ均等に分散されることがわかる。
【0042】
ポリマー粒子ppを得る場合、送液領域CZは、この分裂が完了した安定領域を意味する。送液領域CZの開始点は、目的とするポリマー粒子ppの生成条件(第1の液体、第2の液体それぞれの種類、供給流量、流速、目的とする粒子径、第1の液体、第2の液体、これら液体の合流後の各レイノルズ数等)によって、様々に変化する。ただし、原則としてマイクロリアクター10内に備える合流流路3の出口より上流側で開始点が形成されるように構成している。即ち、流れが送液領域CZに流入する段階で、第1の液体の分裂は完了している(図2(a)参照)。
【0043】
図2(d)は、ポリマー繊維ptを製造する条件における状態を、図2(a)(b)に対比して示したものであるが、この場合、第1の液体、第2の液体は相溶性の組み合わせであり共に層流として維持するため、実質的には、この送液領域CZの開始点は、第1の流路1の出口となる。
【0044】
本明細書において、流路の「内径」とは、流路方向から見た断面形状が実質的に円形の場合にはその内部の直径を、流路方向から見た断面形状が円形以外の場合には内部の径に対応する長さを意味するものとする。例えば、断面形状が実質的に正方形の場合には、その内部の対角線の長さを意味するものとする。
【0045】
上記第1の流路1の周壁は、任意の適切な表面処理が施され得る。第2の液体が親油性の場合、好ましくは撥水処理である。第2の液体が親水性の場合、好ましくは親水処理である。後述の第1の液体との接触角を容易に調節し得、所望の粒子が得られ得るからである。さらには、耐久性が向上し得る。撥水処理に用いられる撥水剤としては、任意の適切な樹脂を含有する撥水剤が採用され得る。樹脂の具体例としては、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。親水処理に用いられる親水剤としては、任意の適切な化合物を含有する親水剤が採用され得る。親水剤に含まれる具体例な化合物としては、ソルビタンステアレート、4級アンモニウム塩、酸化チタン、ヒドロキシ基等の親水基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
【0046】
第2の流路
この流路2は、本実施形態では、第1の流路1の中心線に交差する形態で、第1の流路1を挟んで配置される複数の交差流路として構成されている。
この交差流路と第1の流路の中心線の交差角は、好ましくは、70~30度、さらに好ましくは45~55度である。さらに好ましくは48~52度である。
【0047】
交差流路の出口の形状は、任意の適切な形状に設計され得る。好ましくは、実質的に円形である。上記層流状態が効率的に得られ得るからである。
【0048】
交差流路の断面の内径は、第2の流路2に供給する第2の液体、その流量によって、基本的に決定される。好ましくは、0.2~3.0mm、さらに好ましくは0.5~2.0mm、特に好ましく0.5~1.5mmである。このような内径を備えることにより、第1の液体と第2の液体とが層流状態で3次元的に合流し得、所望の粒子を得ることができる。
【0049】
合流流路
この合流流路3は、第1の流路の中心線と複数の交差流路の中心線との交差点を含む収束流路部と、その下流側に接続される接続流路部とを有して構成されている。
【0050】
合流流路3について、第1の流路1,第2の流路2に供給する各液体、それら流量によって、基本的に決定される。好ましくは0.2~3.0mm、より好ましくは0.3~2.0mm、さらに好ましくは0.4~1.6mm、特に好ましくは0.5~1.4mm、最も好ましくは0.6~1.2mmである。
【0051】
合流流路3について、このような内径を備えることにより、本発明にいう、送液領域CZを良好に維持し、第1の液体と第2の液体とが層流状態で3次元的に合流し得、所望の粒子を得ることができる。
【0052】
これまで説明した例では、第1の流路1、第2の流路2の流路断面は実質同一としている。しかしながら、上記第1の流路1、第2の流路2および合流流路3の流路方向に沿った断面形状は、任意の適切な形状に設計され得る。別の実施形態としては、第1の流路1、第2の流路2のいずれか一方以上をテーパー状とすることもできる。合流流路3を実質直管状の流路としてもよい。第1の流路1に関しては、第1の流路1が合流流路3に侵入する部位に先細ノズルを採用することもできる。
【0053】
第1の流路1の全長は、代表的には3~30mmである。第2の流路2の全長は、代表的には3~30mmである。合流流路3の全長は、代表的には10~60mmである。
結果、マイクロリアクター10の流路の全長(第1の流路1の入口から合流流路3の出口まで)は、代表的には20~100mmとなる。さらに、接続配管3pの全長は、照射手段20による紫外光照射に必要な空間を確保できれはよく、5~100mm程度となる。本発明の場合、基本的に照射手段20とする発光ダイオードを配置できる空間が確保できればよい。
【0054】
上記マイクロリアクター10は、どのような方法で作製しても良い。例えば。所定の樹脂(ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂、オキセタン樹脂等)を加工することにより作成することができる。
【0055】
本発明のポリマー構造体の製造装置100は、第1の流路1における第1の液体の流量と第2の流路2中における第2の液体の流量を可変するための流量制御手段(図示省略)を備えていてもよい。流量制御手段は、好ましくは、出口側よりも供給口側に近いところ(上流側)に備える。流量制御手段としては、例えば、シリンジポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギアポンプなどが挙げられる。流量制御手段を備えることにより、第1の液体および/または第2の液体の流量を可変し得る。その結果、得られるポリマー構造体の径(ポリマー粒子ppの場合は粒子径、ポリマー繊維ptの場合は断面径)を制御し得る。さらに、なお、流路制御手段と第1の流路および/または第2の流路2との接続は、気泡等の混入を避け得る構成とすることが好ましい。
【0056】
以下、さらに具体的に第1の液体、第2の液体、および照射手段20としての発光ダイオードの選択に関して説明する。
【0057】
上記紫外光硬化性モノマーは、短時間での硬化が可能であり、その結果、所望の径、形状を有するポリマー構造体(ポリマー粒子pp・ポリマー繊維pt)が容易に得られ得るからである。
紫外光硬化性モノマーは、親水性モノマーであってもよく、親油性モノマーであってもよい。
ポリマー粒子pp、ポリマー繊維ptを得る場合の好ましい組み合わせ手法は、後に述べる。
さらに、紫外光硬化性モノマーは、好ましくは、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基から選択される一種以上を有するモノマーである。
【0058】
上記モノマーとしては、以下のものを例示できる。
親油性モノマーの具体例としては、ステアリルアクリレート、ベンジルアクリレート、イソボニルアクリレート(IBXA)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、フルオレンジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、水添化ビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)等が挙げられる。
【0059】
上記アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を有する親水性モノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレートエチレンオキシド付加物、トリメチロールプロパントリアクリレートプロピレンキシド付加物、ポリエチレンオキシドジアクリレート化合物、ポリプロピレンオキシドジアクリレート化合物、ポリエチレンオキシドアクリレート化合物、ポリプロピレンオキシドアクリレート化合物等のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドが付加した単官能モノマー及び二官能、多官能モノマー;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有する単官能モノマー;アクリル酸等のカルボキシル基を有する単官能モノマー;N-ビニルホルムアルデヒド、アクリルモルホリン、デナコールアクリレート等のその他の化合物等が挙げられる。
【0060】
上記アクリルアミド基および/またはメタクリルアミド基を有する親水性モノマーの具体例としては、以下のものを挙げることができる。
ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパノアート、N-(イソブトキシメチル)アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホンサン、3-アクリロイル-2-オキサゾリジノン、N-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]メタクリルアミド、N,N‘-メチレンビスメタクリルアミド、N-(メトキシメチル)メタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N-ターシャリー-ブチルメタクリルアミド、N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N-フェニルメタクリルアミド、4-[(3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]ブタン-1-スルホンサン、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、N-(3-アミノプロピル)メタクリルアミド、N-(3,4-ジヒドロキシフェネチル)メタクリルアミド。
以上説明したモノマーは、単独で、または2種類以上を組み合わせて用い得る。
【0061】
上記重合開始剤としては光重合開始剤となるが、例えば、ベンゾイン誘導体、ベンジルケタール類、α-ヒドロキシアセトフェノン類、α-アミノアセトフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類、o-アシルオキシム類等が挙げられ、種々の製品が市販されている(商品名:オムニラッドなど、アイ・ジー・エムレジンズ社製)。
【0062】
上記重合開始剤の含有量は、任意の適切な値に設定され得る。上記紫外光硬化性モノマー100重量部に対して、好ましくは0.1~7重量部、さらに好ましくは0.2~5重量部、特に好ましくは0.5~2重量部である。
【0063】
本発明のポリマー構造体の製造装置100は、照射手段20として紫外光-発光ダイオード(UV-LED)を使用する。使用される紫外光は、第1の液体に含む重合開始剤の種類に応じて適宜選択する。これまでも示したように、本発明の第1の液体には、少なくとも紫外光硬化性ポリマーとそのポリマーに対応した重合開始剤を含めるが、重合開始剤の吸光特性に関し、発光ダイオードの発光中心波長が、重合開始剤の吸収波長に含まれるものを使用する。さらに、好ましくは、重合開始剤の吸光特性においてその極大値が現れる周波数の波長が、発光ダイオードの発光中心波長近傍(例えば、プラスマイナス10nm以内)にあるものを選択することが好ましい。
【0064】
図3(a)に、この種の発光ダイオードの発光波長の一例を示すとともに、(b)に、照射手段20を水銀ランプとする場合の発光波長を示した。
図示する例は、発光中心波長を365nmとする例であるが、その半値幅はほぼ10nmと限られた範囲に抑えられる。
一方、従来使用してきた水銀ランプの場合は、その発光波長の範囲が200nm~600nmの範囲に及ぶ。即ち、無駄な波長帯も使用することとなっていた。
【0065】
また、先行技術文献の段落〔0066〕には以下記載がある。
「紫外光照射に用いられる光源の波長は、上記紫外光硬化性モノマーの重合性官能基が光学吸収を有する波長領域に応じて決定し得る。代表的には210~436nmであり、さらに好ましくは250~405nmである。」
【0066】
従って、従来の紫外光の波長選択は紫外光硬化性モノマーの重合性官能基としていたが、本発明では重合開始剤に基づいて選択することとなり、大きく異なる。
また、従来型の技術では、紫外光のエネルギーを無駄に使用してきたこととなっていた。図2(c)に、水銀ランプを使用する場合を模式的に示したが、先に説明した従来技術の課題に起因して、液滴の合一、分裂が発生し、後にも示すように、粒径のバラツキが大きくなる。
【0067】
図4には、図3(a)に示す発光ダイオード(中心波長365nm)の照射強度を示した。発光中心の波長で、ほぼ4000mW/cmと十分大きく確保できる。
これに対して、水銀ランプでは、その照射強度は25mW/cm程度しか得ることができない。
【0068】
図2(b)に示すように、本発明のポリマー構造体の製造装置100では、照射手段20である発光ダイオードの下流側で、ほぼ粒径の揃ったポリマー粒子ppを得ることができる。また、図2(d)に示すように、ポリマー繊維ptとする場合は、断面径が安定する。
【0069】
この種の発光ダイオードの発光波長と重合開始剤との関係に関しては以下の例を挙げることができる。
【0070】
重合開始剤が、ビスアシルホスフィンオキサイド及びモノアシルホスフィンオキサイドから選択される一種以上である場合に、発光ダイオードの発光中心波長が365nmであるものとする。
【0071】
図5に、ビスアシルホスフィンオキサイド及びモノアシルホスフィンオキサイドの吸光特性を示すとともに、発光ダイオードの周波数を示した。
この例では、中心波長が365nmの発光ダイオードを使用することができる。
重合開始剤がビスアシルホスフィンオキサイドの場合、365nmはその吸光特性の極大値近傍(中心波長からプラスマイナス10nm以内)に位置し、モノアシルホスフィンオキサイドの場合、365nmはその吸光特性が比較的の高い領域となり、良好に活性化される。結果、短時間かつ狭い領域で第1の液体からなるポリマー構造体を得ることができる。
【0072】
重合開始剤が、2-メチル-4´-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノンである場合に、発光ダイオードの発光中心波長が310nmであるものとする。
【0073】
図6に、2-メチル-4´-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノンの吸光特性を示すとともに、発光ダイオードの周波数を示した。
この例では、中心波長が310nmの発光ダイオードを使用することができる。
2-メチル-4´-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノンの場合、310nmはその吸光特性の極大値近傍(中心波長からプラスマイナス10nm以内)に位置し、良好に活性化される。結果、短時間かつ狭い領域で第1の液体からポリマー構造体を得ることができる。
【0074】
重合開始剤が、2-ヒドロキシ-4´-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノンである場合に、発光ダイオードの発光中心波長が275nmであるものとする。
【0075】
図7に、2-ヒドロキシ-4´-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノンの吸光特性を示すとともに、発光ダイオードの周波数を示した。
この例では、中心波長が275nmの発光ダイオードを使用することができる。
2-ヒドロキシ-4´-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノンの場合、275nmはその吸光特性の極大値近傍(中心波長からプラスマイナス10nm以内)に位置し、良好に活性化される。結果、短時間かつ狭い領域で第1の液体からポリマー構造体を得ることができる。
【0076】
発光ダイオード20から照射する紫外光の照射強度は、上記送液領域CZを形成する材質、肉厚等に応じて適宜決定し得る。好ましくは500より高く~15000mW/cm2であり、さらに好ましくは2000~10000mW/cmである。さらには、4000~7000mW/cmとすることが好ましい。
本発明にあっては、できるだけ短時間、さらには所定位置で送液されてくる第1の液体が有するモノマーを重合・硬化させることを目的するためである。
【0077】
紫外光の照射幅は、基本的に送液領域CZとなっている流路の内径をカバーできればよく、送液領域CZの流路幅に対する発光ダイオードの照射幅である照射幅比(〔発光ダイオードの照射幅〕/〔送液領域CZの流路幅〕)を1~3程度の範囲内とすることが好ましい。制限された領域に紫外光を照射することで、領域の温度上昇を抑えることが可能となるとともに、目的とする所望の位置でポリマー構造体を得ることがでる。
【0078】
また発光ダイオードの発光部と送液領域CZとの離間距離も、送液領域CZを形成する材質、肉厚等に応じて適宜決定し得る。好ましくは0.1~100mmであり、さらに好ましくは0.1~30mmである。さらには、0.1~10mmとすることが好ましい。
ここで、述べた離間距離は具体的には、送液領域CZとなっている接続配管3pの外表面からの離間距離であり、0.1mmは、発光ダイオードの発光部を、この接続配管3pの外表面に実質的に接触させていることを意味する。従来型の水銀ランプでは、ランプ表面に温度が高温となっているとの関係から、この離間距離は200mm程度に選択されていた。この点は大幅な改善となる。
【0079】
上記に加え、第1の液体は添加剤を含んでいてもよい。添加剤の具体例としては、分散安定剤、界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤の具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ドデシルベンゼンスルホン酸、セルロース等が挙げられる。
【0080】
上記第1の液体の粘度は、好ましくは1~100mPa・s、さらに好ましくは1~50mPa・s、特に好ましくは1~15mPa・sである。第1の液体の粘度がこのような範囲内であることにより、第1の流路への第1の液体の供給をスムーズに行い得る。
【0081】
上記第2の液体は、親油性であっても、親水性であってもよく、第1の液体の種類等に応じて適宜選択し得る。具体例としては、上記第1の液体が親水性モノマーを含む場合、第2の液体は親油性であり得る。第2の液体が親油性である場合、第2の液体は大豆油、シリコーン油、コーン油、オリーブ油、ヤシ油、灯油等の液状油を含み得る。さらに、第2の液体は、任意成分を含み得る。任意成分の具体例としては、ソルビトール誘導体等の非イオン界面活性剤、イオン性界面活性剤等の界面活性剤等が挙げられる。
【0082】
上記第2の液体の粘度は、好ましくは1~150mPa・s、さらに好ましくは2~80mPa・s、特に好ましくは3~70mPa・sである。より安定な層流状態を形成し得るからである。
【0083】
ここで、製造するポリマー構造体との関係で、第1の液体、第2の液体の種別関係を簡単に述べておくと、ポリマー粒子ppを製造する場合は、第1の液体と第2の液体を非相溶性の組み合わせとして選択することが好ましい。この場合、界面張力が小さい第1の液体と第2の液体の組み合わせを選択すると粒径(平均粒子径)を調整でき、ポリマー粒子ppの径が1μm以上50μm以下とすることもできる。また、ハンセン溶解度パラメータが近傍にある第1の液体と第2の液体の組み合わせを選択することによっても、ポリマー粒子ppの径が1μm以上50μm以下とすることもできる。ハンセン溶解度パラメータ(HSP)は、Hansen solubility sphere法により算出され、3つのパラメータ(δD、δP、δH)の和とされる。ここで、δDは、分子間の分散力によるエネルギーを、δPは、分子間の双極子相互作用によるエネルギーを、δHは、分子間の水素結合によるエネルギーを、それぞれ示す。なお、混合物である液状媒体の各パラメータは、その体積割合の比に依存する。
ポリマー繊維ptを製造する場合は、第1の液体と第2の液体を相溶性の組み合わせとして選択することが好ましい。
【0084】
上記第1の液体および/または第2の液体は、予め、脱酸素・脱泡処理がなされていることが好ましい。硬化反応の障害となる酸素を取り除き、さらに気泡等の発生を抑制し得、より小径、かつ、よりシャープな径の分布を有する構造体が得られ得るからである。脱泡処理の具体例としては、超音波処理、窒素やアルゴンによるバブリング処理、減圧処理等が挙げられる。
【0085】
本発明のリアクター装置を用いることにより、第1の液体および第2の液体は、第1の流路1の出口部位で層流を形成する。第1の液体および第2の液体を層流状態で接触させることにより、液-液界面で非常に安定な層流流れを実現できる。また、本発明においては第1の流路と該第2の流路を3次元的に合流させることで第1の液体および第2の液体を、層流状態で接触することとなり、比界面積が特に大きい液-液界面を安定的に 生成することができ、第1の液体と第2の液体との材料の選択により、所望の形状を有するポリマー構造体を得ることができる。
【0086】
上記層流のレイノルズ数(基本的には第2の液体の流れレイノルズ数)は、好ましくは0.1~200、さらに好ましくは0.1~50、特に好ましくは0.1~20、最も好ましくは0.1~8である。このような非常に小さいレイノルズ数であれば、第1の液体と第2の液体の流速比、流量比を調整することにより、第1の液体の合流後の状態を制御することができる。その結果、所望の径(ポリマー粒子ppの場合は粒径、ポリマー繊維ptの場合は断面径)を有するポリマー構造体を非常に正確に得ることができる。また、レイノルズ数を前記範囲に制御することにより、リアクター装置内の第1の液体または第2の液体の流速を上昇させても、層流状態に乱れが生じ難く、3次元液-液界面に沿った断面形状を有するポリマー構造体を流路進行方向に安定的に生成させることができる。
【0087】
第1の液体は、好ましくは、第1の流路1に連続的に供給される。第1の液体の供給方法は、目的とするポリマー構造体の形状に応じて任意の適切な方法が採用され得る。第2の液体は、第2の流路2に連続的に供給される。第2の液体の上記第2の流路への供給方法は、目的とするポリマー構造体に応じて任意の適切な方法が採用され得る。例えば、断続的としても良い。
【0088】
第1の液体の流速と第2の液体の流速との比は、好ましくは1:0.1~1:30、さらに好ましくは1:0.1~1:10、特に好ましくは1:0.1~1:5である。ポリマー粒子ppを製造する場合、第2の液体と合流した第1の液体の液柱が分裂することとなり、より小粒子径、かつ、よりシャープな粒度分布を有する粒子が得られ得る。さらには、真球に近い粒子が得られ得る。前記分裂は、レイリーの不安定性に起因する液柱の分裂であり得る。なお、本明細書において、「流速」とは、線速度をいう。
ポリマー繊維ptを製造する場合、第1の液体の流速と第2の液体の流速との比をできるだけ同等(例えば、1:0.5~1:1.5程度)とすることとなる。
【0089】
第1の液体の流速は、好ましくは1~100mm/秒、さらに好ましくは2~40mm/秒、特に好ましくは5~30mm/秒である。ポリマー粒子ppを製造する場合、第2の液体の流速は、目的とするポリマー粒子ppの大きさに依存して任意の適切な値に設定することができる。好ましくは1~100mm/秒、さらに好ましくは10~50mm/秒、特に好ましくは20~35mm/秒である。本発明の構成では、第2の液体と合流して生成した第1の液体の液滴の結合、分離等を防止し得るからである。その結果、より小粒子径、かつ、よりシャープな粒度分布を有するポリマー粒子ppが得られ得る。さらには、真球に近い粒子が得られ得る。
ポリマー繊維ptを製造する場合、第2の液体の流速は、目的とするポリマー繊維ptの断面径に依存して任意の適切な値に設定することができる。好ましくは1~100mm/秒、さらに好ましくは1~50mm/秒、特に好ましくは1~25mm/秒である。本発明の構成では、第2の液体と第1の液体とを層流状態に保持して送液し得るからである。その結果、より均一な断面径を有するポリマー繊維ptが得られ得る。
【0090】
また好ましくは、上記第1の液体の流量は上記第2の液体の流量よりも小さくする。ポリマー構造体を安定的に形成し得るからである。さらに、第2の液体の流量を大きくすることにより、合流流路3において、生成構造体に起因する流路壁の摩擦や閉塞を防止することができる。具体的には、第1の液体の流量と第2の液体の流量との比は、好ましくは1:50~1:1000、さらに好ましくは1:50~1:500、特に好ましくは1:100~1:400である。第1の液体の流量は、好ましくは0.5~500μl/分、さらに好ましくは1~250μl/分、特に好ましくは2~200μl/分である。第2の液体の流量は、好ましくは0.5~30ml/分、さらに好ましくは1~20ml/分、特に 好ましくは1~15ml/分である。
ポリマー繊維ptを製造する場合、第1の液体の流速と第2の液体の流速との比をできるだけ同等(例えば、1:0.5~1:1.5程度)となる流量を選択することとなる。
【0091】
以上、本発明にあっては、送液領域CZにおいて送液される第1の液体に、照射手段20として発光ダイオードを使用するが、この発光ダイオードの発光周波数を重合開始剤の吸光特性との関係で決定する。例えば、発光中心波長を挟んで+10nm、-10nmの波長範囲内に、重合開始剤の吸光特性の極大値が含まれるようにする。或いは、紫外光の範囲内で、吸光特性の最大値(100%)に対して、吸光特性がその過半(50%以上)となる発光中心波長を有する発光ダイオードを選択する等である。
【0092】
結果、本発明により得られるポリマー構造体の平均径(ポリマー粒子ppの場合は平均粒子径、ポリマー繊維ptの場合は平均断面径)は、好ましくは600μm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは450μm以下とできる。平均径の下限は限定されるものではないが、実質的には1μm程度となる。また、本発明により得られるポリマー構造体のバラツキ(ポリマー粒子ppの場合は粒子径のバラツキ、ポリマー繊維ptの場合は断面径のバラツキ)は、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下とできる。バラツキの下限に関しては限定に有効な意味はない。ここで、「径」とは、メジアン径をいう。また、「バラツキ」とは、変動係数(CV)をいい、式:変動係数(CV)=標準偏差/平均値から求められる。
【0093】
以上、本発明の好ましい実施形態による粒子の製造方法は、
連続相としての第2の液体の層流内を、紫外光硬化性モノマーと重合開始剤とを含む第1の液体が送液される送液領域CZと、前記送液領域CZに紫外光を照射する照射手段20とを備え、
前記送液領域CZにおいて、前記照射手段20から照射される前記紫外光により、前記紫外光硬化性モノマーが重合・硬化したポリマー構造体を製造するポリマー構造体の製造方法であって、
前記照射手段20として、発光中心波長が前記重合開始剤の吸収波長に含まれる発光ダイオードを使用するポリマー構造体の製造方法となる。
【0094】
さらに、具体的には、
第1の流路1に第1の液体を連続的に供給する工程(工程1)と、
第1の流路1を囲んで形成された第2の流路2に第2の液体を供給する工程(工程2)とを備え、
第1の流路1、第2の流路2が合流する合流流路3の下流側領域に形成される送液領域CZにおいて、層流内で第1の液体を送液する工程(工程3)と、
発光ダイオードから、第1の液体に紫外光を照射する工程(工程4)とを含むこととなる。
【0095】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
マイクロリアクター10の製作
オキセタン樹脂を使用し光積層造形加工することによって製作した。
【0096】
各流路1、2、3の要部内径は以下の構成とした。
第1の流路1の先端開口内径;30μm
第2の流路2を構成する各交差流路2cの先端開口内径;0.6mm
合流流路3の内径;0.75mm
接続配管3pの内径;2.36mm
マイクロリアクター10の合流流路3の下流側に接続配管3pとしてのフッ素樹脂管を接続した。
フッ素樹脂は発光ダイオードから照射する紫外光に対してほぼ透明である。
【0097】
発光ダイオード
照射手段20としての紫外発光ダイオード(エヌエスライティング株式会社製、商品名:ULDEN-102CT)の発光周波数特性は図3(a)に示した通りであり、発光中心波長365nm、半値幅に10nm程度である。さらに、その照射強度は、図4に示したように、中心波長で4000mW/cmである。この発光ダイオードの照射位置は、マイクロリアクター10に接続配管3pを接続した状態で、マイクロアダプター10の出口から10mm程度下流側に離れた位置とした。接続配管3pからの離間距離は5mmとした。
【0098】
この位置における紫外光の照射光量〔mJ/cm〕は、
発光ダイオードの照射強度〔mW/cm〕×照射領域でのポリマー粒子ppの通過時間〔秒〕として以下のように算出される。
4000mW/cm×0.19秒=760mJ/cm
【0099】
比較として、照射手段20として水銀ランプを使用する場合は、
水銀ランプの照射強度〔mW/cm〕×照射領域でのポリマー粒子ppの通過時間〔秒〕として以下のように算出される。
19.1mW/cm×5.1秒=98mJ/cm
【0100】
第1の液体の調製
紫外光硬化性モノマーとしての1,6ヘキサンジオールジアクリレート(Aldrich製)10gに対して重合開始剤としてビスアシルホスフィンオキサイド(IGM Resins B.V.製)0.05gを加えて均一になるまで混合して第1の液体を調整した。
【0101】
第2の液体の調製
水100gにメトローズ90SH-100(信越化学製)0.5gを加えて均一になるまで混合して、第2の液体を調整した。
【0102】
ポリマー粒子ppの製造
第1の流路1に得られた上記第1の液体を、第2の流路2に得られた上記第2の液体を表1に記載の条件で供給した。第1の液体および第2の液体はいずれもシリンジポンプ(図外)を用いて連続的に供給した。
当該表1において、各実施例は照射手段20として上記の紫外発光ダイオード照射装置を使用したもの、比較例は照射手段20として水銀ランプ(セン特殊光源株式会社製、商品名:ハンディキュアラブHLR100T-2)を使用したものである。水銀ランプの照射位置は合流流路3から200mm離れた位置としている。
【0103】
【表1】
【0104】
以上の結果から、本発明の方法を採用することによりバラツキ1.5%以下のポリマー粒子ppを安定的に得ることができる(実施例1~4)。
一方、実施例1と比較例1との比較からも判明するように、照射手段20のみを変えて、同一の条件でポリマー粒子ppを製造した場合、ポリマー粒子ppの粒子径は比較例側が小径となり、さらに、そのバラツキは格段に大きくなる。このように、粒子径、バラツキに差がでる理由は、比較例の場合、モノマーが重合・硬化する領域が格段に広がり、先に説明したレイリーの分裂が発生した後、粒子の更なる合一・分裂等が発生するためと発明者等は考えている。
図9には、実施例1の観察写真を示した。
【0105】
これまでの説明では、本発明に係るポリマー構造体の製造方法で製造される製造物の用途に関しては特に述べなかった。
【0106】
発明者等はポリマー粒子ppに関して以下の様に考えている。
例えば、液晶ディスプレイや電子デバイスのスペーサー・充填剤、液晶ディスプレイの光拡散フィルムの光拡散剤、混合溶液から所望の成分だけを選択的に取り出すために用いるアフィニティーカラムクロマトグラフィに使用する充填剤、薬効成分などを内包したマイクロカプセル、複写機のトナーに使われる電荷制御剤、レオロジー性能をコントロールするためのレオロジー制御材料、化粧品に使われる添加材として利用となる。
【0107】
一方、ポリマー繊維ptに関しては、例えば、薬効成分徐放性等の各種機能を付与したアクリル繊維等の用途として利用できる。
【0108】
〔別実施形態〕
(1)上記の実施形態では、第1の液体、第2の液体ともに連続的に供給する例を示した。このように連続供給することにより、ポリマー粒子ppを得る場合は第1の液体の液柱の分裂により、ポリマー繊維ptの場合は第1の液体の連続相が維持されることにより、それぞれ目的物を得ることができる。
しかしながら、ポリマー繊維ptの長手方向の長さを調整したい場合は、第1の液体の供給状態に関して、これを断続的としてもよい。
【0109】
(2)上記の実施形態では、第1の流路1に対して、第2の流路2は前者流路1を囲むように、具体的には、一対の交差流路が第1の流路1を挟む形態で交差配置する例を示したが、基本的には、第2の液体の層流内に流れを乱すことなく第1の液体が,層流となって合流されればよい。よって、第2の流路2の先端を所定の形状の開口(例えば円形開口)としておき、この開口内に、第1の流路1の先端が開口される構造としておいてもよい。具体的な例としては、先端側が細くなった二重管を設け、内径側に位置する内管内の流路を第1の流路1として、内管と外管との間に形成される中間流路を第2の流路とすることもできる。
【0110】
(3)上記の実施形態では、ポリマー構造体の色に関してはなにも述べなかった。
この点、第1の液体に特に着色剤を添加しない場合は、ポリマー構造体は白色若しくは透明となる。
これに対して、着色剤を添加することもできる。この着色剤としては、例えば、顔料、染料等が挙げられる。顔料としては、無機系顔料、有機系顔料が挙げられる。無機系顔料の具体例としては、酸化チタン(TiO)、酸化鉄、硫酸バリウム、カーボンブラック等が挙げられる。有機系顔料の具体例としては、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料など)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔 料、キノフラロン顔料など)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、ブタロシアニン顔料、アニリ ンブラック等が挙げられる。染料としては、キノフタロン系染料、アゾ系染料、キサンテ ン系染料、キノン系染料、アントラキノン系染料等が挙げられる。
【0111】
着色剤に顔料を含む場合、顔料の平均粒径は、上記第1の流路を通過し得る限り任意の適切な値に設定され得る。好ましくは0.01~1μm、さらに好ましくは 0.05~0.5μm、特に好ましくは0.1~0.3μmである。
【0112】
さらに着色剤の含有量は、任意の適切な値に設定され得る。上記紫外光硬化性モノマー100重量部に対して、好ましくは0.5~6重量部、さらに好ましくは1~4重量部、特に好ましくは2~3重量部である。
【0113】
このような色材ポリマー構造体を製造する場合、第1の液体は添加剤を含んでいてもよい。添加剤の具体例としては増感剤を挙げることができる。
【0114】
また、本発明により得られる色材ポリマー粒子ppでは、粒子の平均粒子径は、好ましくは100μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。また、本発明により得られる粒子のバラツキは、高画質を得る観点から、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下である。
【符号の説明】
【0115】
1 第1の流路
2 第2の流路
3 合流流路
3p 合流流路の接続配管
10 マイクロリアクター
20 照射手段
100 ポリマー構造体の製造装置(リアクター装置)
CZ 送液領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9