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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068711
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】落鉱バキューム用台車
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/88 20060101AFI20230511BHJP
   E01H 1/08 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
E02F3/88 D
E01H1/08 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179956
(22)【出願日】2021-11-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】520413472
【氏名又は名称】株式会社タジマ
(71)【出願人】
【識別番号】000170325
【氏名又は名称】鴻池運輸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148792
【弁理士】
【氏名又は名称】三田 大智
(72)【発明者】
【氏名】田中 尊夫
【テーマコード(参考)】
2D026
【Fターム(参考)】
2D026AC03
2D026AD00
(57)【要約】
【課題】 吸引力を安定して発揮して吸引作業を行うことができると共に、吸引した落鉱を確実に搬送することができる落鉱バキューム用台車の提供。
【解決手段】 本発明に係る落鉱バキューム用台車1は、落鉱バキューム装置が有するバキュームホースVの先端部Vaと連結し該バキュームホースVの先端部Vaと共に自在に移動しながら落鉱を吸引する落鉱バキューム用台車1であって、自走可能な本体部2と、該本体部2の前部に垂直に設けられ、下端部に吸引口4を有する垂直管3と、該本体部2の上部に水平に設けられた水平管5と、上記垂直管3の上端部3bと上記水平管5の前端部5aとを繋ぐ湾曲管6と、上記水平管5の後端部5bと上記バキュームホースVの先端部Vaとを繋ぐ傾斜管7を備え、該傾斜管7は後方に向かって下り傾斜する構造を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
落鉱バキューム装置が有するバキュームホースの先端部と連結し該バキュームホースの先端部と共に自在に移動しながら落鉱を吸引する落鉱バキューム用台車であって、自走可能な本体部と、該本体部の前部に垂直に設けられ、下端部に吸引口を有する垂直管と、該本体部の上部に水平に設けられた水平管と、上記垂直管の上端部と上記水平管の前端部とを繋ぐ湾曲管と、上記水平管の後端部と上記バキュームホースの先端部とを繋ぐ傾斜管を備え、該傾斜管は後方に向かって下り傾斜することを特徴とする落鉱バキューム用台車。
【請求項2】
上記湾曲管の管壁は、上記垂直管の吸引口と対向する部位をその余の部位よりも肉厚にして補強することを特徴とする請求項1記載の落鉱バキューム用台車。
【請求項3】
上記垂直管は上記湾曲管と共に上下動及び左右動すると共に、上記水平管は変形可能であり、当該水平管の前端部が上記垂直管及び上記湾曲管の上下動又は左右動に追随することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の落鉱バキューム用台車。
【請求項4】
上記垂直管の下端部に吸引ノズルを連結することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の落鉱バキューム用台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒径の細かい落鉱を吸引する落鉱バキューム装置のバキュームホース先端部と連結し落鉱吸引を補助する落鉱バキューム用台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、大量の鉱物を扱う製鉄所などにおいて、ベルトコンベア等の搬送装置から零れて当該搬送装置の周辺に積もった粒状又は粉状の落鉱については、落鉱バキューム装置によって吸引して回収することが行われている。しかし、落鉱バキューム装置のバキュームホースは作業者が両手で抱えないといけないほど太いものであり、しかも高重量であり、作業者への身体的負担は多大なものであった。
【0003】
そこで、下記特許文献1に示す落鉱バキューム用台車のように、自走可能な本体にバキュームホースの先端部と連結する管路を設け、該管路の先端部の吸引口から落鉱を吸引可能にした構造の台車装置が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-2315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の落鉱バキューム用台車によれば、従来は手作業で捌いていたバキュームホースを機械作業に変換することができ、作業者の身体的負担を大幅に軽減することができる。
【0006】
また、管路の先端部を揺動自在にすると共に当該先端部に倣い装置を設けたことによって、堆積した落鉱塊の表面に対して吸引口を整直状態で対峙させて吸引を行うことができ、効果的に吸引力を発揮することができる。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の落鉱バキューム用台車にあっては、吸引口を落鉱に対して適切に対峙させるために、管路の先端部を常に揺動していなければならず、吸引作業が煩雑となる。
【0008】
また、落鉱を吸引した際の管路先端部の角度によっては、吸引作業をしながらの移動が困難となると共に、当該管路内で落鉱が詰まってしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、既述した従来の台車装置が抱える問題点を有効に解決すると共に、吸引した落鉱を確実に搬送することができる落鉱バキューム用台車を提供する。
【0010】
要述すると、本発明に係る落鉱バキューム用台車は、落鉱バキューム装置が有するバキュームホースの先端部と連結し該バキュームホースの先端部と共に自在に移動しながら落鉱を吸引する落鉱バキューム用台車であって、自走可能な本体部と、該本体部の前部に垂直に設けられ、下端部に吸引口を有する垂直管と、該本体部の上部に水平に設けられた水平管と、上記垂直管の上端部と上記水平管の前端部とを繋ぐ湾曲管と、上記水平管の後端部と上記バキュームホースの先端部とを繋ぐ傾斜管を備え、該傾斜管は後方に向かって下り傾斜する構造を有することにより、吸引力を安定して発揮して吸引作業を行うことができると共に、吸引した落鉱を確実に搬送することができる。
【0011】
また、上記湾曲管の管壁は、上記垂直管の吸引口と対向する部位をその余の部位よりも肉厚にして補強することにより、該補強部位に吸引した落鉱を当てつつ確実に上記水平管へ送ることができると共に、強力な吸引力で落鉱を吸引しても上記湾曲管が破損することを防止することができる。
【0012】
好ましくは、上記垂直管は上記湾曲管と共に上下動及び左右動すると共に、上記水平管は変形可能であり、当該水平管の前端部が上記垂直管及び上記湾曲管の上下動又は左右動に追随する構成により、落鉱の堆積状態に適切に応じた吸引作業をすることができる。
【0013】
また、上記垂直管の下端部に吸引ノズルを連結することにより、吸引効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る落鉱バキューム用台車によれば、垂直管によって、吸引力を安定して発揮して吸引作業を行うことができると共に、傾斜管によって、吸引した落鉱を確実に搬送することができる。
【0015】
また、本発明に係る落鉱バキューム用台車は、垂直管の吸引口が、落鉱に対して常に上位から適切に対峙しているので、吸引口を細かく操作する必要がないと共に、吸引作業を行いながら移動することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】落鉱バキューム用台車の側面図である。
図2】支持部を説明する正面図である。
図3】吸引ノズルを説明する斜視図である。
図4】落鉱バキューム用台車の斜視図である。
図5】垂直管及び湾曲管を説明する断面図である。
図6】垂直管及び湾曲管の左右動を説明する平面図である。
図7】垂直管及び湾曲管の上動を説明する側面図である。
図8図7の状態から垂直管及び湾曲管が下動した状体を示す側面図である。
図9】吸引ノズルの他例を示す説明図であり、(A)は吸引ノズルの正面図、(B)は同底面図である。
図10図9に示す吸引ノズルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る落鉱バキューム用台車の最適な実施例を図1乃至図10に基づき説明する。
【0018】
図1に示すように、本発明に係る落鉱バキューム用台車1は、落鉱バキューム装置が有するバキュームホースVの先端部Vaと連結し該バキュームホース先端部Vaと共に自在に移動しながら落鉱を吸引する台車である。なお、落鉱バキューム装置は吸引ポンプ等を備える装置であって、バキュームホースを通じて落鉱を吸引すると共に、吸引した落鉱をタンク等の貯蔵手段へと搬送する装置である。また、バキュームホースVは、吸引作業場所の状況や、吸引作業場所と落鉱バキューム装置との位置関係等によって長さが調整される。
【0019】
本発明に係る落鉱バキューム用台車1は、図1図2図4に示すように、基本構成として、自走可能な本体部2と、該本体部2の前部に垂直に設けられ、下端部に吸引口4を有する垂直管3と、該本体部2の上部に水平に設けられた水平管5と、垂直管3の上端部3bと水平管5の前端部5aとを繋ぐ湾曲管6と、水平管5の後端部5bとバキュームホースVの先端部Vaとを繋ぐ傾斜管7を備える。
【0020】
本体部2は、筐体2aを備えると共に、タイヤやキャタピラ等の移動手段2b及びエンジンやモータ等の第一駆動手段2cを備えており、当該移動手段2b及び第一駆動手段2cにより自走可能である。
【0021】
好ましくは、制御手段2dを設け、シーケンス処理により予め移動経路を定めることができるようにしたり、落鉱の堆積状態をセンシングするセンシング手段とAI(Artificial Intelligence)技術とを組み合わせて移動経路を自動的に算出したりすることができるようにする。
【0022】
また、筐体2a内にもエンジンやモータ等の第二駆動手段2eを設け、後述する垂直管3等の上下動及び左右動の駆動源とする他、好ましくは、同筐体2a内に発電手段2fを設け、第二駆動手段2e等に電力を供給できるようにする。
【0023】
垂直管3は、図1図3図4に示すように、本体部2の前部に垂直状態で配設され、下端部3aに吸引口4を有する。よって、垂直管3は、地面や床に堆積した落鉱の上位に垂直に配されることになり、その吸引口4を落鉱に対して適切に対峙させることができ、吸引力を安定して発揮することができる。
【0024】
本発明にあっては、垂直管3の吸引口4から直接、落鉱を吸収することができるのは勿論であるが、好ましくは、図3に示すように、垂直管3の下端部3aに吸引ノズル8を連結し吸引効率を向上させることができる。吸引ノズル8は、下端の吸引部8aと該吸引部8aと垂直管3の吸引口4とを繋ぐ収斂部8bを有し、左右幅においては垂直管3の吸引口4の左右幅よりも広く、前後幅においては収斂部8bによって下に向かって先細り状として垂直管3の吸引口4の前後幅よりも狭い構造にして吸引部8aを設ける。吸引部8aから吸引した落鉱を収斂部8bによってまとめて吸引口4へと運ぶこととなり、左右に幅広く落鉱を回収することができる。
【0025】
また、本発明にあって、吸引ノズル8は、図9図10に示すように、吸引部8aの左右幅を吸引口の4の左右幅よりも広くしつつ前後幅は吸引口4と同等とすることも可能である。この場合、間隔を置いて三列のブラシ14(第一ブラシ14a、第二ブラシ14b及び第三ブラシ14c)で仕切り、落鉱の掻き出しを可能にすると共に吸引の際の流速を上げて確実なる吸引を可能にすることができる。各ブラシ14a・14b・14cの毛長は全て同じでも良いが、たとえば、真ん中のブラシ14bの毛長のみを短くして、落鉱の吸引流路を画成し、効率良く吸引できるようにするのが望ましい。
【0026】
好ましくは、吸引ノズル8は、垂直管3の下端部3aに着脱可能に連結する。たとえば、図9(A),図10に示すように、既知のレバー15aの上下動によって他の管と着脱可能な管継手15を用いて垂直管3の下端部3aと連結し、吸引口4と吸引部8aとを繋げる。
【0027】
水平管5は、湾曲管6を介して既述した垂直管3に連結する。すなわち、図1図4に示すように、くの字状に湾曲した湾曲管6の下向きの一端部6aを垂直管3の上端部3bと連結すると共に、同湾曲管6の後ろ向きの他端部6bを水平管5の前端部5aと連結し、垂直管3と水平管5を湾曲管6が繋ぐ構造とする。
【0028】
よって、湾曲管6は、吸引され垂直管3内を垂直方向上向きに移動してきた落鉱の搬送方向を水平方向後ろ向きに変換し水平管5内にスムーズに導くようにする。そのため、湾曲管6の管壁6cにおいて、特に垂直管3の吸引口4に対向する部位は、垂直管3内を移動してきた落鉱が繰り返し当たるので、破損しやすくなる。したがって、図5に示すように、落鉱が当たる部分(吸引口4に対向する部位)を補強部6dとし、管壁6cのその余の部分よりも肉厚とすることが望ましい。好ましくは二倍以上の肉厚とする。
【0029】
上述した垂直管3及び湾曲管6は、支持部9によって、上下動及び左右動することができる。すなわち、図7図8に示すように、落鉱Cの堆積状態によって、垂直管3及び湾曲管6を上下動させて、吸引口4に繋がる吸引ノズル8を適切な位置で落鉱Cに対峙して吸引作業を行うことができると共に、図6に示すように、垂直管3及び湾曲管6を左右動させて、吸引ノズル8を適切な位置に導いて吸引作業を行うことができる
【0030】
図2乃至図4に示すように、支持部9は、垂直管3の下端部3aを挾持する第一挾持部9aと、水平管5の前端部5aを挾持する第二挾持部9bを備えると共に、本体部2の前面に設けられた上下動用ネジ軸10及び左右動用ネジ軸11とそれぞれ螺合し、これら上下動用ネジ軸10及び左右動用ネジ軸11の正逆回転により、垂直管3、湾曲管6及び水平管5の前端部5aと一緒に上下動又は左右動することができる。
【0031】
なお、本実施例においては、第二挾持部9bは水平管5の前端部5aを挾持しているが、実施に応じて、湾曲管6の他端部6bを挾持するようにしても良い。また、上下動用ネジ軸10及び左右動用ネジ軸11は本体部2の第二駆動手段2eにより駆動され、回転方向と回転スピードを調整することができる。
【0032】
また、図2乃至図4中、12は上下動用ガイド軸であり、該上下動用ガイド軸12によって、支持部9、ひいては垂直管3及び湾曲管6をガタつきなく上下動することができる。同様に、図2乃至図4中、13は左右動用ガイド軸であり、該左右動用ガイド軸13によって、支持部9、ひいては垂直管3及び湾曲管6をガタつきなく左右動することができる。
【0033】
また、水平管5は、後述する垂直管3及び湾曲管6の上下動又は左右動に追随するために、たとえば、図1図4に示すように、管壁の前後方向の中途部を蛇腹状部5cとして変形可能とする。よって、水平管5は、図7図8に示すように、前端部5aが垂直管3及び湾曲管6の上下動に追随すると共に、図6に示すように、前端部5aが垂直管3及び湾曲管6の左右動に追随する一方、後端部5bは傾斜管7に連結したまま固定することができる。
【0034】
傾斜管7は、図1等に示すように、その前端部7aを既述した水平管5の後端部5bに連結すると共に、後端部7bをバキュームホースVの先端部Vaに連結する。傾斜管7は後方に向かって下り傾斜する構成とすることにより、吸引した落鉱をバキュームホースVにスムーズに且つ勢いをつけて導くことができる。該傾斜管7の傾斜角度は、好ましくは45度とする。
【0035】
以上説明した構成の本発明に係る落鉱バキューム用台車1によれば、常に垂直に保たれている垂直管3の吸引口4又は該吸引口4に連結された吸引ノズル8が、地面や床面に積もっている落鉱に対して上位から適切に対峙、つまり吸引口4又は吸引ノズル8の開口が落鉱に無駄なく対峙することができ、バキューム装置からの吸引力を効果的に発揮することができ、ひいては安定して吸引することができる。
【0036】
このように、垂直管3の吸引口4が、落鉱に対して常に上位から適切に対峙しているので、吸引口4又は吸引ノズル8を細かく操作する必要がないと共に、吸引作業を行いながら移動することもできる。
【0037】
また、本発明に係る落鉱バキューム用台車1においては、吸引された落鉱は、一旦、垂直管3によって高いレベルまで搬送された後、傾斜管7の下り傾斜によってスムーズに且つ勢い良くバキュームホースVへと搬送されるので、詰まること等がなく、確実に搬送されることとなる。
【符号の説明】
【0038】
1…落鉱バキューム用台車、
2…本体部、2a…筐体、2b…移動手段、2c…第一駆動手段、2d…制御手段、2e…第二駆動手段、2f…発電手段、
3…垂直管、3a…下端部、3b…上端部、
4…吸引口、
5…水平管、5a…前端部、5b…後端部、5c…蛇腹状部、
6…湾曲管、6a…一端部、6b…他端部、6c…管壁、6d…補強部、
7…傾斜管、7a…前端部、7b…後端部、
8…吸引ノズル、8a…吸引部、8b…収斂部、
9…支持部、9a…第一挾持部、9b…第二挾持部、
10…上下動用ネジ軸、11…左右動用ネジ軸、12…上下動用ガイド軸、13…左右動用ガイド軸、
14…ブラシ、14a…第一ブラシ、14b…第二ブラシ、14c…第三ブラシ、
15…継手、15a…レバー、
V…バキュームホース、Va…先端部、
C…落鉱。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10