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  • 特開-足場の連結構造、及び連結装置 図1
  • 特開-足場の連結構造、及び連結装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068745
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】足場の連結構造、及び連結装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/04 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
E04G5/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180019
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】317018505
【氏名又は名称】株式会社アイジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】浅井 寿哉
(57)【要約】
【課題】足場と建築物との連結作業を容易に行うことが可能な足場の連結構造、及び連結装置を提供する。
【解決手段】足場2と建築物5とを連結装置1により連結している足場の連結構造として、連結装置1に、足場2に取付けられている第一クランプ10と、第一クランプ10から建築物5へ向かって円筒状に延出していると共に、第一クランプ10に対して円筒の軸芯周りに相対回転可能に取付けられており、外周面に雄ネジ21が設けられている第一筒部材20と、第一筒部材20の雄ネジ21と螺合している雌ネジ31を有し建築物5まで延出している円筒状の第二筒部材30と、第二筒部材30における第一筒部材20が挿入されている端部側とは反対側の端部付近に取付けられていると共に、建築物5に取付けられている第二クランプ40と、を具備させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足場と建築物とを連結装置により連結している足場の連結構造であって、
前記連結装置は、
前記足場に取付けられている第一クランプと、
該第一クランプから前記建築物へ向かって円筒状に延出していると共に、前記第一クランプに対して円筒の軸芯周りに相対回転可能に取付けられており、外周面に雄ネジが設けられている第一筒部材と、
該第一筒部材の前記雄ネジと螺合している雌ネジを有し、前記建築物まで延出している円筒状の第二筒部材と、
該第二筒部材における前記第一クランプに近い側とは反対側の端部付近に取付けられていると共に、前記建築物に取付けられている第二クランプと
を具備していることを特徴とする足場の連結構造。
【請求項2】
足場と建築物とを連結するための連結装置であって、
該連結装置は、
第一クランプと、
該第一クランプから円筒状に延出していると共に、該第一クランプに対して円筒の軸芯周りに相対回転可能に取付けられており、外周面に雄ネジが設けられている第一筒部材と、
該第一筒部材の前記雄ネジと螺合している雌ネジを有する円筒状の第二筒部材と、
を具備していることを特徴とする連結装置。
【請求項3】
前記第二筒部材における前記第一クランプに近い側とは反対側の端部付近において、着脱可能に取付けられている第二クランプを、
更に具備していることを特徴とする請求項2に記載の連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場と建築物とを連結装置により連結している足場の連結構造、及び連結装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物の周囲に設けられている仮設の足場が倒れないように、足場と建築物とを連結する連結構造として、足場から建築物の躯体(例えば、H鋼)まで届く長さの単管パイプの一端を、直交クランプにより足場の支柱に取付ける一方、単管パイプの他端を2個のキャッチクランプにより躯体に取付ける方法が、従前より採られている。
【0003】
しかしながら、従来の連結構造では、複数個所において、足場の支柱と躯体との間隔を一定に揃えるために、単管パイプに対する直交クランプの取付位置の調整が難しく、複数の作業者を必要とすると共に、時間や手間がかかる問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、足場と建築物との連結作業を容易に行うことが可能な足場の連結構造、及び連結装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明にかかる足場の連結構造は、
「足場と建築物とを連結装置により連結している足場の連結構造であって、
前記連結装置は、
前記足場に取付けられている第一クランプと、
該第一クランプから前記建築物へ向かって円筒状に延出していると共に、前記第一クランプに対して円筒の軸芯周りに相対回転可能に取付けられており、外周面に雄ネジが設けられている第一筒部材と、
該第一筒部材の前記雄ネジと螺合している雌ネジを有し、前記建築物まで延出している円筒状の第二筒部材と、
該第二筒部材における前記第一クランプに近い側とは反対側の端部付近に取付けられていると共に、前記建築物に取付けられている第二クランプと
を具備している」ことを特徴とする。
【0006】
本構成によれば、連結装置の第一筒部材を、その軸芯周りに回転させると、第一クランプが足場に取付けられていると共に、第二筒部材が建築物に取付けられていることから、第一クランプ及び第二筒部材は第一筒部材と一緒には回転しないため、第一筒部材が第二筒部材に対して相対的に回転することとなる。これにより、互いに螺合している第一筒部材の雄ネジと第二筒部材の雌ネジとのネジの作用により、第一筒部材の回転方向に応じて、連結装置の全体の長さを伸ばしたり縮めたりすることが可能となるため、足場と建築物との間隔を容易に調整することができると共に、足場と建築物との連結作業を少人数(一人)でも容易に行うことができる。
【0007】
また、本発明にかかる連結装置は、
「足場と建築物とを連結するための連結装置であって、
該連結装置は、
第一クランプと、
該第一クランプから円筒状に延出していると共に、該第一クランプに対して円筒の軸芯周りに相対回転可能に取付けられており、外周面に雄ネジが設けられている第一筒部材と、
該第一筒部材の前記雄ネジと螺合している雌ネジを有する円筒状の第二筒部材と、
を具備している」ことを特徴とする。
【0008】
本構成によれば、連結装置の第一クランプを足場に取付けると共に、第二筒部材における第一筒部材が挿入されている端部側とは反対側の端部側を建築物に取付けることにより、上記の足場の連結構造を構築することができ、上記と同様の作用効果を奏することができる。なお、第二筒部材における第一筒部材が挿入されている端部側とは反対側の端部側を建築物に取付けるためのクランプとしては、建築現場で一般的に使用されているキャッチクランプを使用することができる。
【0009】
また、本発明にかかる連結装置は、上記の構成に加えて、
「前記第二筒部材における前記第一クランプに近い側とは反対側の端部付近において、着脱可能に取付けられている第二クランプを、
更に具備している」ことを特徴とする。
【0010】
本構成によれば、第二筒部材を建築物に取付けるための第二クランプを備えているため、第二クランプに相当するクランプを現場で調達する必要がなく、上記の足場の連結構造を容易に構築することができる。また、第二クランプを第二筒部材に対して着脱可能としているため、足場と建築物との間の距離に応じて、第二筒部材の軸方向における第二クランプの取付位置を変更することができ、足場と建築物との間の距離が様々であっても容易に対応することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の効果として、足場と建築物との連結作業を容易に行うことが可能な足場の連結構造、及び連結装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)は本発明の第一実施形態である連結装置を使用した足場の連結構造を側面視で示す説明図であり、(b)は(a)における第一クランプ付近を平面視で示す説明図であり、(c)は(a)における第一筒部材と第二筒部材との境付近を平面視で示す説明図である。
図2】(a)は本発明の第二実施形態である連結装置を使用した足場の連結構造を側面視で示す説明図であり、(b)は(a)における第一クランプ付近を平面視で示す説明図であり、(c)は(a)における第一筒部材と第二筒部材との境付近を平面視で示す説明図である。
図3】(a)は本発明の第三実施形態である連結装置を使用した足場の連結構造における第一クランプ付近を平面視で示す説明図であり、(b)は(a)における第二筒部材の基端付近を側面視で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第一実施形態である連結装置1、及び、これを使用した足場の連結構造について、図1を参照して詳細に説明する。なお、図1(c)では第二筒部材30を断面で示している。本実施形態の連結装置1は、仮設の足場2と建築物5とを連結するためのものである。連結装置1は、第一クランプ10と、第一クランプ10から円筒状に延出している第一筒部材20と、第一筒部材20の一部が挿入されている円筒状の第二筒部材30と、第二筒部材30に取付けられている第二クランプ40と、を具備している。以下では、第一筒部材20及び第二筒部材30において、第一クランプ10に近い側を基端側、第一クランプ10から遠い側を先端側、と称して説明する。
【0014】
第一クランプ10は、足場2におけるパイプからなる支柱3に取付けることができるものである。第一クランプ10は、図1(b)に示すように、L字状で内角側に半円弧状に凹んでいる固定側凹部11aを有する固定部11と、固定部11の一端側において回転可能に取付けられており固定側凹部11aと対面する側が半円弧状に凹んでいる可動側凹部12aを有する可動部12と、を備えている。また、第一クランプ10は、固定部11の他端側において回転可能に取付けられている締付ボルト13と、締付ボルト13に螺合されている締付ナット14と、を備えている。可動部12の回転軸と、締付ボルト13の回転軸は、固定側凹部11aや可動側凹部12aの円弧の中心軸と平行に設けられている。
【0015】
可動部12は、固定部11におけるL字の左右に延びている部位の先端に相当する部位において、回転可能に取付けられている。可動部12は、回転軸とは反対側の端部から可動側凹部12aの半径方向外方へ延出している受部12bと、受部12bにおいて回転軸に対して直交する方向から締付ボルト13が通過可能な大きさで切欠かれているスリット12c(図1(a)を参照)と、を有している。
【0016】
この第一クランプ10は、固定部11に対して可動部12及び締付ボルト13を開いた状態にすることで、支柱3の側面(周面)の外方から固定側凹部11aに支柱3を位置させることが可能となる。支柱3への取付けは、固定側凹部11aに支柱3を位置させた状態で、可動部12を閉じた後に、締付ボルト13を閉じて可動部12のスリット12cに挿入させる。その後、締付ナット14を締め付けると、締付ナット14が受部12bを介して可動部12を固定部11側へ押圧し、固定部11と可動部12とで支柱3を挟持するようにして第一クランプ10が支柱3に取付けられる。
【0017】
第一筒部材20は、外周面における軸方向の略全長に亘って設けられている雄ネジ21と、第一クランプ10に近い基端側を閉鎖している蓋部22と、蓋部22の中心において軸方向に貫通している接続孔23と、接続孔23に対して回転可能に挿通されている接続ピン25と、第一クランプ10と蓋部22との間に設けられており接続ピン25が挿通されているワッシャ26と、を有している。
【0018】
雄ネジ21は、第一筒部材20の基端から先端付近まで設けられている。蓋部22は、溶接により取付けられている。接続ピン25は、接続孔23と、第一クランプ10の固定部11に設けられている接続孔(図示は省略)と、を貫通するように設けられており、両端に接続孔23などの内径よりも直径が大きい大径部25aを有している。この接続ピン25により、第一筒部材20を第一クランプ10に対して軸芯周りに相対回転可能に取付けられていると共に、両端の大径部25aにより第一クランプ10に対して軸方向への移動が阻止されている。
【0019】
第二筒部材30は、円筒状に延出しており、第一筒部材20が挿入されている基端側付近の内周面に、雄ネジ21と螺合している雌ネジ31が設けられている。第二筒部材30は、雌ネジ31が設けられている部位よりも先端側の内径が、第一筒部材20の外径よりも大きい。
【0020】
第二クランプ40は、詳細な図示は省略するが、L字状で内角側に半円弧状に凹んでいる固定側凹部を有する固定部41と、固定部41の一端側において回転可能に取付けられており固定側凹部と対面する側から半円弧状に凹んでいる可動側凹部を有する可動部42と、固定部41の他端側において回転可能に取付けられている締付ボルト43と、締付ボルト43に螺合されている締付ナット44と、を備えている。
【0021】
第二クランプ40における可動部42の回転軸と、締付ボルト43の回転軸は、固定側凹部や可動側凹部の円弧の中心軸と平行に設けられている。可動部42は、回転軸とは反対側の端部から可動側凹部の半径方向外方へ延出している受部と、受部において回転軸に対して直交する方向から締付ボルト43が通過可能な大きさで切欠かれているスリットと、を有している。第二クランプ40は、固定部41、可動部42、締付ボルト43、及び締付ナット44による構成が、第一クランプ10と同じ構成である。
【0022】
また、第二クランプ40は、固定部41における固定側凹部とは反対側に取付けられているコ字状のキャッチ部45と、キャッチ部45に螺合されているキャッチボルト46と、を備えている。
【0023】
キャッチ部45は、コの字の開放されている部位を、可動部42の回転軸の軸方向を向くように、固定部41に対して相対回転不能に取付けられている。なお、キャッチ部45は、固定部41に対して相対回転可能に取付けられていても良い。キャッチボルト46は、外周が六角形の頭部を有する六角ボルトである。キャッチボルト46は、コ字状のキャッチ部45における平行な二つの棒状の部位のうち固定部41から遠い部位を貫通して、先端が反対側の部位へ向かうように螺合されている。
【0024】
この第二クランプ40は、第一クランプ10と同様に、固定部41と可動部42との間に、第二筒部材30を位置させた状態で、締付ボルト43を可動部42のスリットに挿入し、締付ナット44を締め付けることにより、固定部41と可動部42とで第二筒部材30を挟持するようにして第二筒部材30に取付けることができる。従って、第二クランプ40は、第二筒部材30に対して着脱可能に取付けられている。
【0025】
また、第二クランプ40は、キャッチ部45におけるコ字状の内部に、建築物5における後述するH鋼6のフランジ部6bを位置させた状態で、キャッチボルト46を締め付けることにより、建築物5に取付けることができる。
【0026】
第二クランプ40は、第二筒部材30における第一筒部材20が挿入されている基端側とは反対側の先端側付近において、第二筒部材30の軸方向に離隔して二つが着脱可能に取付けられている。二つの第二クランプ40は、キャッチ部45を上にした状態で、キャッチ部45におけるコ字状の開放されている側が、互いに対面するように第二筒部材30に取付けられている。
【0027】
本実施形態の連結装置1は、第一筒部材20を第二筒部材30に対してその軸芯周りに相対的に回転させると、第一筒部材20の回転方向に応じて、連結装置1の全体の長さを伸ばしたり縮めたりすることができる。
【0028】
なお、本実施形態では、第一筒部材20の基端付近に、外方へ突出している複数の突起部を設けるようにしても良く、突起部を持つことで第一筒部材20を回転させ易くすることができる。また、第一筒部材20の雄ネジ21に螺合しているロックナットを設けるようにしても良く、連結装置1の長さを調整した後にロックナットを第二筒部材30側へ締め付けることにより、第一筒部材20の回転を阻止することができる。
【0029】
続いて、本実施形態の連結装置1を使用した足場2と建築物5との連結について説明する。ここで、足場2は、建築物5に沿って設けられており、上下に延出している複数の支柱3を有している。一方、建築物5には、躯体を構成している複数のH鋼6を有している。H鋼6は、上下に延出しているウェブ部6aと、ウェブ部6aの上下両端から左右へ延出しているフランジ部6bと、を有している。
【0030】
まず、第一クランプ10を足場2の支柱3付近に位置させると共に、第二筒部材30の先端側を建築物5におけるH鋼6の下方に位置させ、二つの第二クランプ40をH鋼6の下側のフランジ部6bに取付ける。この際に、第二クランプ40の締付ナット44を緩めて、第二筒部材30に対してスライドできるようにしておくことが望ましい。そして、第二クランプ40に対して第二筒部材30をスライドさせたり、第一筒部材20を軸芯周り回転させたりして、連結装置1の長さを調整しつつ第一クランプ10を支柱3に取付ける。これにより、連結装置1を使用した足場の連結構造が構築された状態となる。
【0031】
連結装置1により足場2と建築物5とを連結したら、第一筒部材20をその軸芯周りに回転させて、足場2と建築物5との間隔が一定になるように調整(微調整)する。詳述すると、連結装置1の第一筒部材20を、その軸芯周りに回転させると、第一クランプ10が足場2の支柱3に取付けられていると共に、第二筒部材30が二つの第二クランプ40により建築物5のH鋼6に取付けられているため、第一クランプ10及び第二筒部材30は第一筒部材20と一緒に回転することはなく、第一筒部材20が第二筒部材30に対して相対的に回転することとなる。
【0032】
この第一筒部材20が第二筒部材30に対して相対回転すると、互いに螺合している第一筒部材20の雄ネジ21と第二筒部材30の雌ネジ31とのネジの作用により、第一筒部材20の回転方向に応じて、連結装置1の全体の長さが伸びたり縮んだりすることができる。この連結装置1の伸び縮みによって、足場2と建築物5との間隔を調整することができる。
【0033】
なお、足場2と建築物5とは、複数の個所において、連結装置1で連結し、夫々の連結装置1において、足場2と建築物5との間隔が一定になるように調整する。
【0034】
このように、本実施形態によれば、第一クランプ10を足場2の支柱3に取付けると共に、第二クランプ40を建築物5のH鋼6に取付けた状態で、第一筒部材20をその軸芯周りに回転させると、第一筒部材20の回転方向に応じて、連結装置1の全体の長さを伸ばしたり縮めたりすることが可能となるため、足場2と建築物5との間隔を容易に調整することができると共に、足場2と建築物5との連結作業を少人数(一人)でも容易に行うことができる。
【0035】
また、第二筒部材30を建築物5に取付けるための第二クランプ40を備えているため、第二クランプ40に相当するクランプを現場で調達する必要がなく、上記の足場の連結構造を容易に構築することができる。また、第二筒部材30に対して第二クランプ40を着脱可能に取付けているため、足場2と建築物5(H鋼6)との間の距離に応じて、第二筒部材30の軸方向における第二クランプ40の取付位置を変更することができ、足場2と建築物5との間の距離が様々であっても容易に対応することができる。
【0036】
更に、二つの第二クランプ40で、建築物5のH鋼6に取付けているため、足場2との連結作業において、第一クランプ10を足場2の支柱3に取付ける前に、第二クランプ40をH鋼6に取付けるような場合、二つの第二クランプ40により第二筒部材30(連結装置1)を傾かないようにすることができ、連結作業が容易になる。
【0037】
また、二つの第二クランプ40でH鋼6に取付けているため、何らかの理由により一方の第二クランプ40がH鋼6から外れても、残りの第二クランプ40によりH鋼6からの落下を回避させることができ、安全性を高めることができる。なお、二つの第二クランプ40が共に第二筒部材30に対して着脱可能であるため、H鋼6のフランジ部6bの幅が種々であっても、それに合わせて二つの第二クランプ40間の距離を調整することができる。
【0038】
次に、本発明の第二実施形態である連結装置1Aについて、図2を参照して説明する。第二実施形態の連結装置1Aは、第一実施形態の連結装置1に対して、第二筒部材30Aの構成のみが異なり、その他の構成は同じである。以下では、第一実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、説明は省略する。
【0039】
この連結装置1Aの第二筒部材30Aは、第一筒部材20の雄ネジ21と螺合している雌ネジ31を有するナット部32と、ナット部32から雌ネジ31の軸芯に沿って円筒状に延出しており第一筒部材20が挿入されているパイプ部33と、を備えている。パイプ部33の内周面には雌ネジは形成されていない。本実施形態では、ナット部32とパイプ部33とが、溶接により接合されている。
【0040】
第二実施形態の連結装置1Aによれば、上記の連結装置1と同様の作用効果を奏することができる。加えて、連結装置1Aでは、第二筒部材30Aを、雌ネジ31を有するナット部32とパイプ部33とで構成しているため、パイプの内周面に雌ネジ31を形成している第二筒部材30と比較して、雌ネジ31を容易に形成することができ、連結装置1Aにかかるコストを低減させることができる。
【0041】
続いて、本発明の第三実施形態である連結装置1Bについて、図3を参照して説明する。第三実施形態の連結装置1Bは、第二実施形態の連結装置1Aに対して、第一筒部材20Aの基端側の構成のみが異なり、その他の構成は同じである。以下では、上記と同様の構成については、同じ符号を付し、説明は省略する。なお、図3では第二筒部材30Aを断面で示している。
【0042】
この連結装置1Bの第一筒部材20Aは、円筒の外周面に設けられている雄ネジ21に加えて、基端側に取付けられている取付ステー27と、取付ステー27に対して第一クランプ10を円筒の軸芯周りに相対回転可能に取付けるための回転取付部材28と、円筒の基端付近において外方へ延出しているハンドル29と、を備えている。
【0043】
取付ステー27は、外形が四角形で平板状の基板部27aと、基板部27aの平行な二辺から延出している平板状の一対の脚板部27bと、を有している。一対の脚板部27bは、基板部27aから同じ方向へ平行に延出している。従って、取付ステー27は、コ字状に形成されている。この取付ステー27は、基板部27aを雄ネジ21よりも軸方向外方に位置していると共に、一対の脚板部27bが雄ネジ21に接している状態で、夫々の脚板部27bが雄ネジ21に溶接されている。
【0044】
回転取付部材28は、ボルト28aと、ボルト28aに螺合されているゆるみ止ナット28bと、から構成されている。ボルト28aは、第一クランプ10の固定部11の固定側凹部11a側から、固定部11及び取付ステー27の基板部27aを貫通してその雄ネジ部分が一対の脚板部27bの間の空間に突出している。ゆるみ止ナット28bは、第一クランプ10の固定部11と取付ステー27の基板部27aとが接していると共に、第一筒部材20Aの軸芯周りに第一クランプ10が回転できるような締付強さでボルト28aに螺合されている。ゆるみ止ナット28bは、詳細な図示は省略するが、内部に回転抵抗を付与する部材が設けられており、当該部材によりゆるみを防止している。
【0045】
ハンドル29は、第一筒部材20Aの雄ネジ21の直径よりも小さい外径のパイプである。ハンドル29は、第一筒部材20Aの軸芯と直交するように雄ネジ21を貫通させて両端が外方へ延出している状態で、溶接により取付けられている。
【0046】
なお、第三実施形態の連結装置1Bでは、第二筒部材30Aのナット部32の外径を、パイプ部33の外径と同じにしている。
【0047】
第三実施形態の連結装置1Bによれば、上記の連結装置1や連結装置1Aと同様の作用効果を奏することができる。加えて、連結装置1Bでは、第一クランプ10と第一筒部材20Aとを取付けている回転取付部材28を、ボルト28aとゆるみ止ナット28bとで構成しているため、第一クランプ10と第一筒部材20Aとの組立てを容易なものとすることができると共に、コストの増加を抑制させることができる。また、第一筒部材20Aにハンドル29を備えているため、ハンドル29を操作することにより第一筒部材20Aを楽に回転させることができ、連結作業が容易になる。
【0048】
第三実施形態の変形例として、コ字形の取付ステー27を、第一筒部材20Aの軸心に直交する軸周りに回動する構成としても良い。具体的には、コ字形の取付ステー27の一対の脚板部27bを、第一筒部材20Aに対してボルトで留め付け、ボルトを緩めれば取付ステー27を第一筒部材20Aの軸心に直交する軸周りに回動させることができ、ボルトを締め付ければ、取付ステー27が回動しないよう固定される構成とすることができる。これにより、第一筒部材20A及び第二筒部材30Aの軸心の延長線上に、支柱3の中心軸が正確に位置していないときであっても、取付ステー27を回動させて調整することにより、第一クランプ10を問題なく支柱3に取付けることができる。
【0049】
また、ハンドル29に代替して、第一筒部材20Aにおけるハンドル29の貫通位置に相当する位置に、対向する二つの貫通孔部が開けられている構成とすることができる。これにより、貫通孔部に棒状の部材の先端を挿し込み、それをハンドルとして第一筒部材20Aを回転させることができる。
【0050】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0051】
例えば、上記の実施形態では、第一クランプ10を足場2の支柱3に取付けるものを示したが、これに限定するものではなく、支柱3以外に足場2を構成しているパイプに第一クランプ10を取付けるようにしても良い。
【0052】
また、上記の実施形態では、第二クランプ40を建築物5のH鋼6に取付けるものを示したが、これに限定するものではなく、建築物5の躯体を構成しているC型鋼やL型鋼などに、第二クランプ40を取付けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0053】
1 連結装置
1A 連結装置
2 足場
5 建築物
10 第一クランプ
20 第一筒部材
21 雄ネジ
25 接続ピン
26 ワッシャ
30 第二筒部材
30A 第二筒部材
31 雌ネジ
40 第二クランプ
図1
図2
図3