(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068771
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】配膳ロボット用附属品
(51)【国際特許分類】
B65D 43/08 20060101AFI20230511BHJP
A47G 23/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
B65D43/08
A47G23/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180079
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】500423363
【氏名又は名称】株式会社アルファクス・フード・システム
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】田村 隆盛
【テーマコード(参考)】
3B115
3E084
【Fターム(参考)】
3B115AA06
3B115CA03
3B115DA21
3B115DB20
3E084AA06
3E084AA12
3E084AB01
3E084AB10
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB04
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084FD20
3E084GA08
3E084GB12
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】配膳ロボットで運搬中の料理等がこぼれることを防止できる附属品を提供する。
【解決手段】配膳ロボット用附属品10は、硬質の材料からドーム状に形成されたドーム部20と、ゴム弾性を有する材料から形成され、かつドーム部20を囲繞するスカート部30と、を備えている。スカート部30は、ドーム部20の縁部22に取り付けられた取付け部31と、配膳ロボットに運搬される食器の開口部に吸着可能なシール部32と、を有している。ドーム部20の頂部21側から見た平面視において、シール部32は、取付け部31よりも幅広(W2>W1)に形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質の材料からドーム状に形成されたドーム部と、
ゴム弾性を有する材料から形成され、かつ前記ドーム部を囲繞するスカート部と、を備え、
前記スカート部は、
前記ドーム部の縁部に取り付けられた取付け部と、
配膳ロボットに運搬される食器の開口部に吸着可能なシール部と、を有し、
前記ドーム部の頂部側から見た平面視において、前記シール部は、前記取付け部よりも幅広に形成されている、
配膳ロボット用附属品。
【請求項2】
前記平面視において、前記シール部の幅は、前記取付け部の幅よりも二倍以上大きい、
請求項1に記載の配膳ロボット用附属品。
【請求項3】
前記シール部の吸着面は、凹円錐面に形成されている、
請求項1又は2に記載の配膳ロボット用附属品。
【請求項4】
前記シール部は、前記吸着面とは反対側にある前記シール部の外面に設けられた少なくとも一つのリブを有している、
請求項3に記載の配膳ロボット用附属品。
【請求項5】
前記ドーム部は、前記平面視において前記縁部から径方向に突出したフランジを有し、
前記取付け部は、前記スカート部において前記フランジと嵌合する溝が設けられている部位である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の配膳ロボット用附属品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配膳ロボットに用いられる附属品に関する。
【背景技術】
【0002】
外食産業において、来店客に料理や飲み物を提供する配膳や、来店客が食べ終わった食器を回収する下げ膳を行う配膳ロボットが普及しつつある(例えば、特許文献1参照)。配膳ロボットには、配膳ロボットの筐体外に開放されたトレイに料理や飲み物を載せて運搬するオープンタイプと、配膳ロボットの筐体内に料理や飲み物を収納し、それらが外部から見えないように運搬するクローズドタイプとがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クローズドタイプの配膳ロボットは、空気中を浮遊する塵埃やウイルスが料理に付着することがないため、衛生面でオープンタイプの配膳ロボットよりも優れている。しかるに、配膳ロボットは水平な床面の上では料理や飲み物をこぼさずに運搬できても、傾斜がある床面では料理や飲み物をこぼしてしまうことがある。とりわけ、水平面と傾斜面との境界を乗り越える際は、その衝撃で搬送ロボットが僅かに揺れるため、飲み物等がこぼれやすい。料理や飲み物がこぼれて配膳ロボットが汚れたとき、クローズドタイプよりもオープンタイプの方が清掃しやすい。そのため、現時点ではオープンタイプの配膳ロボットが主流になっている。
【0005】
本発明はこのような事情を鑑み、配膳ロボットで運搬中の料理等がこぼれることを防止できる附属品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る配膳ロボット用附属品は、硬質の材料からドーム状に形成されたドーム部と、ゴム弾性を有する材料から形成され、かつドーム部を囲繞するスカート部と、を備えている。スカート部は、ドーム部の縁部に取り付けられた取付け部と、配膳ロボットに運搬される食器の開口部に吸着可能なシール部と、を有している。ドーム部の頂部側から見た平面視において、シール部は、取付け部よりも幅広に形成されている。
【0007】
この態様によれば、食器が密閉されて内容物である料理や飲み物がこぼれることを防止できる。食器の縁に吸着する軟らかいシール部だけだと縁から遠い中央寄りが垂れて丼などの膨らんだ形状の料理の場合に附属品が料理に接触するおそれがあるところ、硬質の材料から形成されたドーム部が形状を保持するため、料理と接触して附属品が汚れることがない。なにより、多様な料理を運搬する配膳ロボットでは、食器の大きさに合わせて当該食器の専用品を用意することが現実的でないところ、この態様によれば、取付け部よりもスカート部の方が幅広であるため、同一サイズの附属品を種々の大きさの食器に適用できる。食器を附属品で密閉して料理等がこぼれないように運搬できるようになる。
【0008】
上記態様は、平面視において、シール部の幅は、取付け部の幅よりも二倍以上大きくてもよい。
【0009】
この態様によれば、十分な大きさのシール部を有しているため、種々の大きさの食器に本発明を適用できる。
【0010】
上記態様において、シール部の吸着面は、凹円錐面に形成されていてもよい。
【0011】
この態様によれば、シール部を浅くかぶせると直径が大きな食器に吸着させることができ、かつシール部を深くかぶせると直径が小さな食器に吸着させることができる。そのため、種々の直径の食器に本発明を適用できる。
【0012】
上記態様において、シール部は、吸着面とは反対側にあるシール部の外面に設けられた少なくとも一つのリブを有していてもよい。
【0013】
この態様によれば、シール部の剛性を高める補強リブを有しているため、幅広であってもシール部が傘状の形状を保持できる。
【0014】
上記態様において、ドーム部は、平面視において縁部から径方向に突出したフランジを有していてもよい。その場合、取付け部は、スカート部においてフランジと嵌合する溝が設けられている部位であってもよい。
【0015】
この態様によれば、取付け部がフランジを挟持する断面視コの字形状の円環構造として特定される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、配膳ロボットで運搬中の料理等がこぼれにくい附属品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る配膳ロボット用附属品の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された附属品をドーム部の頂部側から見た平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示されたドーム部をIII-III線に沿って切断した断面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示されたスカート部をIV-IV線に沿って切断した断面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の附属品を開口部の大きな食器及び開口部の小さな食器の各々に吸着させた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。本発明の一実施形態に係る配膳ロボット用附属品10は、丼等の食器の開口部に吸着可能な蓋体であり、傾斜面等で配膳ロボットが振動しても食器から料理がこぼれることを未然に防ぐ。食器の開口部に吸着するシール部32の幅W2が取付け部31の幅W1よりも大きく形成されているため、多様な料理を運搬する配膳ロボットにおいて、種々の大きさの食器に附属品10を適用できる。以下、
図1から
図5を参照して各構成について詳しく説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る配膳ロボット用附属品10の一例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示された附属品10をドーム部20の頂部21側から見た平面図である。
図1及び
図2に示すように、附属品10は、ドーム状に形成されたドーム部20と、ドーム部20の縁部22を途切れなく囲繞するスカート部30と、を備えている。
【0020】
ドーム部20は、例えばポリプロピレン樹脂等の硬質の材料から形成されている。スカート部30は、例えばシリコーン樹脂等のゴム弾性を有した軟質の材料から形成されている。ドーム部20及びスカート部30の材料は特に限定されず、公知の材料を適宜選択できる。
【0021】
図示した例では、ドーム部20が略半球のドーム状に形成されている。ドーム部20の形状は図示した例に限定されず、縁部22が四角形のドーム状であってもよい。半球状のドーム部20を備えた附属品10は、円形の開口部を有する食器に好適である。
【0022】
以下の説明において、ドーム部20の中心軸Oに平行な方向を軸方向と呼び、中心軸Oに垂直な方向を径方向と呼び、中心軸Oを軸にして時計回り及び反時計回りに回転する方向を周方向と呼ぶことがある。軸方向において、縁部22から頂部21への向きを上向きと呼び、頂部21から縁部22への向きを下向きと呼ぶことがある。
【0023】
図3は、
図2に示されたドーム部20をIII-III線に沿って切断した断面図である。
図2及び
図3に示すように、ドーム部20は、平面視において縁部22から径方向に突出したフランジ23を有していてもよい。フランジ23は、スカート部30の溝34に嵌合する。
【0024】
ドーム部20の頂部21には、附属品10を使用者が片手で持ち上げやすいように、手指で把持可能な把持部24が設けられていてもよい。図示した例では、把持部24が下方に向かって陥没した一対の凹部に形成されている。把持部24の形状は図示した例に限定されず、凸部等であってもよい。
【0025】
図4は、
図2に示されたスカート部30をIV-IV線に沿って切断した断面図である。
図2及び
図4に示すように、スカート部30は、ドーム部20の縁部22に取り付けられた取付け部31と、傘状に広がるシール部32と、を有している。図示した例では、スカート部30が、取付け部31とシール部32とを繋ぐ薄肉部33を更に有している。薄肉部33を省略して取付け部31とシール部32とを直接に繋いでもよい。
【0026】
薄肉部33は、取付け部31及びシール部32の双方よりも肉厚が薄く形成されている。附属品10を食器の開口部にかぶせた状態でドーム部20を押し下げると、薄肉部33においてスカート部30が撓んで食器と附属品10との間の空気が押し出され、スカート部30が元の形状に復元すると、食器の開口部にシール部32が吸着する。
【0027】
取付け部31は、リング状に形成され、ドーム部20の縁部22を密閉するように縁部22を途切れなく囲繞している。図示した例では、取付け部31に縁部22のフランジ23と嵌合する溝34が設けられている。取付け部31の形状は図示した例に限定されない。フランジ23が形成されていない縁部22に対し、接着剤等を用いて取付け部31を接着するように構成してもよい。
【0028】
シール部32は配膳ロボットに運搬される食器の開口部に吸着可能な吸着面32Bを有している。図示した例では、吸着面32Bが滑らかな凹円錐面に形成されている。吸着面32Bには、ストッパ35が設けられていてもよい。ストッパ35は、シール部32の上端に設けられ、食器の開口部に附属品10を取り付けるとき、附属品10が滑落して食器の縁がシール部32を越えて薄肉部33に接触することを防止する。図示した例では、ストッパ35が、薄肉部33に沿ってシール部32の上端に設けられたリング状に形成されている。ストッパ35の形状は図示した例に限定されず、シール部32の上端に設けられた複数の突起等であってもよい。
【0029】
吸着面32Bとは反対側にある外面32Aには、リブ36が設けられていてもよい。図示した例では、中心軸Oを中心にした同心円のリング状に形成されたリブ36が二本設けられている。リブ36の形状及び数量は図示した例に限定されない。例えば、傘の骨のようにリブ36が略径方向に延在していてもよい。リブ36が一本であってもよいし、三本以上であってもよい。
【0030】
スカート部30は、シール部32から径方向に突出した舌片部37を有していてもよい。図示した例では、三つの舌片部37が周方向において120°ずつ等間隔に設けられている。舌片部37が少なくとも一つあれば、該舌片部37をつまんでシール部32の端部を引っ張り上げることにより、シール部32の吸着面32Bと食器の開口部との間に隙間を容易に形成できる。舌片部37がシール部32よりも外側に突出しているため、附属品10を食器から取り外すとき、シール部32と食器との隙間から漏れ出る熱い蒸気に手指がさらされにくい。
【0031】
本実施形態の附属品10は、シール部32が取付け部31よりも幅広に形成されていることが特徴の一つである。頂部21側から見た平面視、すなわち中心軸Oに平行に頂部21から縁部22へ向かって見た平面視において、シール部32の幅W2は、取付け部31の幅W1よりも大きい。種々の大きさの食器に適用できるように、シール部32の幅W2は、取付け部31の幅W1よりも二倍以上大きいことが好ましい。
【0032】
図5は、本実施形態の附属品10を開口部の大きな食器8及び開口部の小さな食器9の各々に吸着させた状態を示す断面図である。以上のように構成された本実施形態の配膳ロボット用附属品10によれば、
図5に示すように、種々の大きさの食器8,9を密閉することができる。多様な料理を運搬しなければならない配膳ロボットでは、食器8,8の大きさに合わせて専用品を用意することが現実的でないところ、本実施形態の附属品10であれば種々の大きさの食器8,9に適用できるため、配膳ロボットが料理等をこぼさないように運搬できるようになる。
【0033】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0034】
例えば、ドーム部20には、シール部32の吸着力を調整する空気孔(リーク孔)が設けられていてもよい。空気孔は使用者の操作により開閉可能であってもよいし、料理が冷めて下がる内圧とおおむね釣り合うように空気をゆっくりと導入する微小な空気孔を常時開口させていてもよい。空気孔を開放してシール部32の吸着力を減弱させれば、料理が冷めても過大な力をかけることなく附属品10を食器から取り外すことができる。なお、本発明は、クローズドタイプの配膳ロボット用の附属品に限定されるものではなく、オープンタイプの配膳ロボット用の附属品としても好適である。
【符号の説明】
【0035】
8,9…食器、10…附属品、20…ドーム部、凸面…20A、凹面…20B、21…頂部、22…縁部、23…フランジ、24…把持部、30…スカート部、31…取付け部、32…シール部、32A…外面、32B…吸着面、33…薄肉部、34…溝、35…ストッパ、36…リブ、37…舌片部、O…中心軸、W1…取付け部の幅、W2…シール部の幅。