IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 船井電機株式会社の特許一覧

特開2023-68777スイッチの取り付け構造および電子機器
<>
  • 特開-スイッチの取り付け構造および電子機器 図1
  • 特開-スイッチの取り付け構造および電子機器 図2
  • 特開-スイッチの取り付け構造および電子機器 図3
  • 特開-スイッチの取り付け構造および電子機器 図4
  • 特開-スイッチの取り付け構造および電子機器 図5
  • 特開-スイッチの取り付け構造および電子機器 図6
  • 特開-スイッチの取り付け構造および電子機器 図7
  • 特開-スイッチの取り付け構造および電子機器 図8
  • 特開-スイッチの取り付け構造および電子機器 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068777
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】スイッチの取り付け構造および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/02 20060101AFI20230511BHJP
   H01H 13/04 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
H01H9/02 H
H01H9/02 A
H01H13/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180089
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機・ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】中川 喜由希
【テーマコード(参考)】
5G052
5G206
【Fターム(参考)】
5G052AA12
5G052BB01
5G052HA24
5G052HB01
5G052HC01
5G052HC04
5G206AS09N
5G206AS09P
5G206ES15N
5G206ES15Z
5G206GS11
5G206KS03
5G206KS57
(57)【要約】
【課題】ヒケが形成されることを抑制しつつ、スイッチ機構が筐体から外れることを抑制することが可能なスイッチの取り付け構造を提供する。
【解決手段】このスイッチの取り付け構造100は、筐体1と、筐体1の内面1dから内側に向けて突出するように筐体1に一体的に設けられ、係合部10を有する突出部1cと、筐体1の外面1eに露出するように設けられるスイッチ部2aと、筐体1の内面1d側に設けられるとともに、係合部10と係合する被係合部20を有し、係合部10と被係合部20との係合によって、スイッチ部2aを筐体1に固定するスイッチ固定部2cとを含むスイッチ機構2と、係合部10と被係合部20との係合が解除される方向である解除方向における突出部1cの移動を規制する規制部3aと、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内面から内側に向けて突出するように前記筐体に一体的に設けられ、係合部を有する突出部と、
前記筐体の外面に露出するように設けられるスイッチ部と、前記筐体の内面側に設けられるとともに、前記係合部と係合する被係合部を有し、前記係合部と前記被係合部との係合によって、前記スイッチ部を前記筐体に固定するスイッチ固定部とを含むスイッチ機構と、
前記係合部と前記被係合部との係合が解除される方向である解除方向における前記突出部の移動を規制する規制部と、を備える、スイッチの取り付け構造。
【請求項2】
前記規制部は、前記突出部のうちの前記規制部により規制される部分の前記解除方向における移動量が、前記解除方向における前記係合部と前記被係合部とのかかり代の長さよりも小さくなるように、前記突出部の前記解除方向における移動を規制可能な位置に設けられている、請求項1に記載のスイッチの取り付け構造。
【請求項3】
前記係合部は、前記突出部のうちの前記解除方向とは反対方向の面に設けられており、
前記規制部は、前記突出部に対して、前記係合部とは反対側の位置に設けられている、請求項2に記載のスイッチの取り付け構造。
【請求項4】
前記規制部は、前記突出部と離間した位置であり、かつ、前記スイッチ部が押圧された際の押圧力によって前記突出部が前記解除方向に移動した際に前記突出部と当接する位置に設けられている、請求項3に記載のスイッチの取り付け構造。
【請求項5】
前記規制部は、前記突出部が延びる方向において、前記筐体と前記突出部との接続部分と前記係合部との間の距離よりも、前記接続部分と前記規制部との距離が大きくなる位置に設けられている、請求項4に記載のスイッチの取り付け構造。
【請求項6】
前記規制部は、回路基板に設けられている、請求項1~5のいずれか1項に記載のスイッチの取り付け構造。
【請求項7】
前記規制部は、前記回路基板に設けられた貫通孔であり、
前記突出部の先端部は、前記貫通孔の内側に配置される、請求項6に記載のスイッチの取り付け構造。
【請求項8】
前記回路基板は、前記スイッチ固定部のうちの、前記突出部が設けられた前記内面と対向する側とは反対側に設けられている、請求項6または7に記載のスイッチの取り付け構造。
【請求項9】
前記回路基板を前記スイッチ固定部に固定する締結部材をさらに備え、
前記回路基板は、前記筐体に固定された前記スイッチ固定部に対して、前記締結部材によって固定される、請求項8に記載のスイッチの取り付け構造。
【請求項10】
前記突出部は、前記筐体の複数箇所に設けられており、
前記規制部は、複数の前記突出部の各々に対応する複数箇所に設けられている、請求項1~9のいずれか1項に記載のスイッチの取り付け構造。
【請求項11】
前記スイッチ機構は、押しボタンスイッチである、請求項1~10のいずれか1項に記載のスイッチの取り付け構造。
【請求項12】
前記スイッチ部と前記スイッチ固定部とは、一体形成されている、請求項1~11のいずれか1項に記載のスイッチの取り付け構造。
【請求項13】
筐体と、
前記筐体の内面から内側に向けて突出するように前記筐体に一体的に設けられ、係合部を有する突出部と、
前記筐体の外面に露出するように設けられるスイッチ部と、前記筐体の内面側に設けられるとともに、前記係合部と係合する被係合部を有し、前記係合部と前記被係合部との係合によって、前記スイッチ部を前記筐体に固定するスイッチ固定部とを含むスイッチ機構と、
前記係合部と前記被係合部との係合が解除される方向である解除方向における前記突出部の移動を規制する規制部と、を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチの取り付け構造および電子機器に関し、特に、操作者が押圧することにより操作するスイッチの取り付け構造および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作者が押圧することにより操作するスイッチの取り付け構造が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、キャビネットと、成形ボタンと、電気回路基板とを備える成形ボタン構造が開示されている。上記特許文献1に開示されている成形ボタン構造は、樹脂製のキャビネットに成形ボタンを取り付けるための取り付け用ボスを設け、ボスに対して成形ボタンをビス止めすることにより、成形ボタンをキャビネットに固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-140813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に開示されている構成では、樹脂製のキャビネット(筐体)に対して成形ボタン(スイッチ機構)を取り付けるためのボスを設けている。樹脂製の筐体に対してボスを設ける場合、筐体のうちのボスが設けられている部分は、ボスが設けられていない部分と比較して、体積が増加する。体積が増加した場合、放熱が遅くなり、樹脂材料の固化が遅くなる。この場合、樹脂材料が固化する早さの違いに起因して、筐体の表面に凹状形状(ヒケ)が形成される場合があるという不都合がある。
【0006】
また、上記特許文献1には開示されていないが、ヒケが形成されることを抑制するために、ボスよりも厚みが小さいフック(突出部)を筐体に設け、突出部とスイッチ機構との係合によってスイッチ機構を筐体に固定する構成が考えられる。しかしながら、突出部によってスイッチを固定する構成の場合、ヒケの発生を抑制するために、筐体の面に沿う方向における突出部の形状(厚み)を減少させた場合、突出部の剛性が低下する。この場合、操作者がスイッチを操作する際の押圧力によって突出部に撓みが生じ、スイッチ機構が筐体から外れる場合があるという不都合がある。そのため、ヒケが形成されることを抑制しつつ、スイッチ機構が筐体から外れることを抑制することが困難であるという問題点があった。
【0007】
この発明は、ヒケが形成されることを抑制しつつ、スイッチ機構が筐体から外れることを抑制することが可能なスイッチの取り付け構造および電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面によるスイッチの取り付け構造は、筐体と、筐体の内面から内側に向けて突出するように筐体に一体的に設けられ、係合部を有する突出部と、筐体の外面に露出するように設けられるスイッチ部と、筐体の内面側に設けられるとともに、係合部と係合する被係合部を有し、係合部と被係合部との係合によって、スイッチ部を筐体に固定するスイッチ固定部とを含むスイッチ機構と、係合部と被係合部との係合が解除される方向である解除方向における突出部の移動を規制する規制部と、を備える。
【0009】
この発明の第1の局面によるスイッチの取り付け構造では、上記のように、係合部を有する突出部と、係合部と係合する被係合部を有し、係合部と被係合部との係合によって、スイッチ部を筐体に固定するスイッチ固定部とを含むスイッチ機構と、係合部と被係合部との係合が解除される方向である解除方向における突出部の移動を規制する規制部と、を備える。これにより、スイッチ部が操作者によって押圧された場合でも、規制部によって、突出部に設けられた係合部とスイッチ固定部に設けられた被係合部との係合が解除されることを抑制することができる。そのため、解除方向における突出部の厚みを小さくすることにより、突出部の剛性が低下し、突出部の撓み変形によって生じる解除方向における突出部の移動量が大きくなる場合でも、規制部によって係合部と被係合部との係合が解除されることを抑制することができる。したがって、解除方向における突出部の厚みを小さくすることが可能となるので、ヒケが形成されることを抑制することができる。これらの結果、ヒケが形成されることを抑制しつつ、スイッチ機構が筐体から外れることを抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面によるスイッチの取り付け構造において、好ましくは、規制部は、突出部のうちの規制部により規制される部分の解除方向における移動量が、解除方向における係合部と被係合部とのかかり代の長さよりも小さくなるように、突出部の解除方向における移動を規制可能な位置に設けられている。このように構成すれば、解除方向における突出部の移動量が、解除方向における係合部と被係合部との掛かり代の長さよりも大きくなることを抑制することができる。その結果、スイッチ部が操作者によって押圧された場合でも、スイッチ固定部が筐体から外れることを確実に抑制することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、係合部は、突出部のうちの解除方向とは反対方向の面に設けられており、規制部は、突出部に対して、係合部とは反対側の位置に設けられている。このように構成すれば、スイッチ部が操作者によって押圧されることにより、被係合部を介して係合部が解除方向に移動する場合でも、係合部が移動する方向に規制部を設けることができる。その結果、解除方向における突出部の移動を、規制部によって容易に規制することができる。
【0012】
上記規制部が突出部に対して係合部とは反対側の位置に設けられる構成において、好ましくは、規制部は、突出部と離間した位置であり、かつ、スイッチ部が押圧された際の押圧力によって突出部が解除方向に移動した際に突出部と当接する位置に設けられている。このように構成すれば、規制部が突出部と接触した状態で設けられる構成と比較して、突出部および規制部の製造公差および組み立て誤差の許容範囲を大きくすることができる。その結果、突出部および規制部の製造公差および組み立て誤差の許容範囲が大きくなるため、歩留まり(生産性)が低くなることを抑制することができる。
【0013】
この場合、好ましくは、規制部は、突出部が延びる方向において、筐体と突出部との接続部分と係合部との間の距離よりも、接続部分と規制部との距離が大きくなる位置に設けられている。このように構成すれば、突出部が延びる方向において、規制部を、係合部よりも突出部の先端側に配置することができる。そのため、突出部の先端部分の解除方向における移動量が、解除方向における係合部と被係合部とのかかり代の長さよりも大きい場合でも、係合部と被係合部との係合が解除されることを抑制することができる。その結果、解除方向における規制部と突出部との間の距離を解除方向における係合部と被係合部とのかかり代の長さよりも大きくすることが可能となるため、突出部および規制部の製造公差および組み立て誤差の許容範囲をより大きくすることができる。
【0014】
上記第1の局面によるスイッチの取り付け構造において、好ましくは、規制部は、回路基板に設けられている。このように構成すれば、たとえば、筐体に対して規制部を設ける構成とは異なり、ヒケが形成されることを抑制することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、規制部は、回路基板に設けられた貫通孔であり、突出部の先端部は、貫通孔の内側に配置される。このように構成すれば、規制部が回路基板に設けられた貫通孔であるため、スイッチ機構に対する操作入力によって発せられる電気信号を送信するための回路を備える回路基板と規制部とを兼用することができる。その結果、回路基板とは別部材の規制部を設ける構成と比較して、部品点数が増加することを抑制することができる。また、貫通孔の内側に突出部の先端部が配置されるため、スイッチの取り付け構造を組み立てる際に、貫通孔を介して突出部を視認することができる。その結果、筐体に対するスイッチ固定部の取り付け位置が正確か否かを容易に確認することができる。
【0016】
上記規制部が回路基板に設けられる構成において、好ましくは、回路基板は、スイッチ固定部のうちの、突出部が設けられた内面と対向する側とは反対側に設けられている。このように構成すれば、回路基板に設けられた貫通孔を、スイッチ固定部のうちの、突出部が設けられた内面と対向する側とは反対側に配置することができる。その結果、スイッチ固定部に回路基板を設けることにより、突出部が突出する方向における貫通孔の位置を、係合部の位置よりも突出部の先端部側となる位置に容易に配置することができる。
【0017】
この場合、好ましくは、回路基板をスイッチ固定部に固定する締結部材をさらに備え、回路基板は、筐体に固定されたスイッチ固定部に対して、締結部材によって固定される。ここで、締結部材によって回路基板をスイッチ固定部に固定した後に、スイッチ固定部を筐体に固定しようとした場合、解除方向における突出部の移動が規制部によって規制される。したがって、係合部と被係合部とを係合させることができないため、スイッチ固定部を筐体に固定することができない。そのため、上記のように構成することにより、スイッチ固定部および回路基板の組み立て順序を明確にすることができる。その結果、スイッチ固定部および回路基板を組み立てる際に、組み立て順序に間違いが生じることを抑制することができる。
【0018】
上記第1の局面によるスイッチの取り付け構造において、好ましくは、突出部は、筐体の複数箇所に設けられており、規制部は、複数の突出部の各々に対応する複数箇所に設けられている。このように構成すれば、1つの突出部によってスイッチ固定部を筐体に固定する構成と比較して、1つあたりの突出部によるスイッチ固定部を固定する力が弱い場合でも、複数の突出部によってスイッチ固定部を筐体に固定することができる。その結果、解除方向における突出部の厚みをより小さくすることが可能となるので、ヒケが形成されることをより抑制することができる。
【0019】
上記第1の局面によるスイッチの取り付け構造において、好ましくは、スイッチ機構は、押しボタンスイッチである。このように構成すれば、押しボタンスイッチの取り付けに適したスイッチの取り付け構造を提供することができる。
【0020】
上記第1の局面によるスイッチの取り付け構造において、好ましくは、スイッチ部とスイッチ固定部とは、一体形成されている。このように構成すれば、スイッチ部とスイッチ固定部とが個別に形成されている構成と比較して、部品点数が増加することを抑制することができるとともに、スイッチ機構を筐体に固定する際の作業工程が増加することを抑制することができる。
【0021】
この発明の第2の局面による電子機器は、筐体と、筐体の内面から内側に向けて突出するように筐体に一体的に設けられ、係合部を有する突出部と、筐体の外面に露出するように設けられるスイッチ部と、筐体の内面側に設けられるとともに、係合部と係合する被係合部を有し、係合部と被係合部との係合によって、スイッチ部を筐体に固定するスイッチ固定部とを含むスイッチ機構と、係合部と被係合部との係合が解除される方向である解除方向における突出部の移動を規制する規制部と、を備える。
【0022】
上記第2の局面による電子機器では、上記のように、係合部を有する突出部と、係合部と係合する被係合部を有し、係合部と被係合部との係合によって、スイッチ部を筐体に固定するスイッチ固定部とを含むスイッチ機構と、係合部と被係合部との係合が解除される方向である解除方向における突出部の移動を規制する規制部と、を備える。これにより、上記第1の局面によるスイッチの取り付け構造と同様に、ヒケが形成されることを抑制しつつ、スイッチ機構が筐体から外れることを抑制することが可能な電子機器を提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ヒケが形成されることを抑制しつつ、スイッチ機構が筐体から外れることを抑制することが可能なスイッチの取り付け構造および電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態による電子機器の全体を示した模式図である。
図2】第1実施形態による電子機器におけるスイッチの取り付け構造を拡大した模式図である。
図3図2における300-300線に沿った断面の斜視図である。
図4図2における300-300線に沿った断面図である。
図5】第1実施形態による突出部、係合部、被係合部、および、規制部を説明するための模式図である。
図6】第1実施形態による突出部が、押圧力によって撓み変形した際の突出部の先端部の移動量を説明するための模式図である。
図7】第1実施形態による筐体に対してスイッチ固定部が取り付けられた状態を説明するための模式図である。
図8】第1実施形態によるスイッチ固定部に対して回路基板を固定する構成を説明するため模式図である。
図9】第2実施形態による突出部および規制部を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
[第1実施形態]
まず、図1図8を参照して、第1実施形態によるスイッチの取り付け構造100を備える電子機器200の構成について説明する。
【0027】
図1に示すように、第1実施形態による電子機器200は、筐体1と、スイッチ機構2とを備える。スイッチ機構2は、後述するスイッチ部2aおよびスイッチ部2bと、スイッチ固定部2c(図2参照)とを含む。スイッチ部2aおよびスイッチ部2bは、電子機器200を操作する際に操作者によって押下される。電子機器200は、たとえば、DVD(Digital Video Disk)、BD(Blu-ray(登録商標) Disk)などを再生する再生装置である。
【0028】
図2に示すように、スイッチの取り付け構造100は、筐体1と、突出部1cと、スイッチ機構2と、規制部3a(図3参照)と、を備える。また、スイッチの取り付け構造100は、回路基板3を備える。
【0029】
筐体1は、前面パネル1aと、後面パネル1bとを含む。前面パネル1aには、スイッチ機構2が設けられる。また、前面パネル1aは、電子機器200の外観部品である。前面パネル1aは、有色(黒色)の透明部材であり得る。また、後面パネル1bは、内部にスイッチ機構2、回路基板3、および、規制部3aを収容している。また、後面パネル1bは、内部に、DVDなどを再生するための制御を行う制御装置、ディスクドライブ、電源などを収容している。前面パネル1aは、樹脂成型金型によって製造された樹脂製部材である。後面パネル1bは、樹脂成型金型によって製造された樹脂製部材であってもよいし、金属製部材であってもよい。
【0030】
突出部1c(図3参照)は、筐体1の内面1d(図3参照)に設けられている。具体的には、突出部1cは、筐体1の前面の内面1dに一体形成される。なお、突出部1cは、筐体1の内面1dの複数箇所に設けられている。
【0031】
スイッチ機構2は、スイッチ部と、スイッチ固定部2cを含む。本実施形態では、スイッチ部は、スイッチ部2aおよびスイッチ部2bを含む。本実施形態では、スイッチ機構2は、押しボタンスイッチである。
【0032】
スイッチ部2aおよびスイッチ部2bは、スイッチの本体(接点部分)と、スイッチの本体を収容したスイッチケースと、スイッチケースの内部に収容された復帰用の付勢部材とを含む。また、筐体1(前面パネル1a)の前面には開口部が形成されており、スイッチ部2aおよびスイッチ部2bは、筐体1(前面パネル1a)の内側から開口部内に嵌まり込むように設けられている。すなわち、スイッチ部2aおよびスイッチ部2bは、筐体1の外面1eに露出するように設けられる。スイッチ固定部2cは、筐体1の内面1d(図3参照)側に設けられる。本実施形態では、スイッチ部2aおよびスイッチ部2bとスイッチ固定部2cとは、一体形成されている。具体的には、スイッチ固定部2cは、スイッチケースと一体形成されている。
【0033】
回路基板3は、スイッチ部2aおよびスイッチ部2bの操作入力によって発せられるON信号(またはOFF信号)を、制御装置に送信するための回路を備えた基板である。回路基板3は、スイッチ機構2とともに、筐体1の内側に設けられる。
【0034】
規制部3a(図3参照)は、突出部1cの移動を規制する。本実施形態では、規制部3aは、回路基板3に設けられている。規制部3aの詳細については、後述する。
【0035】
図2に示す例では、便宜的に、筐体1の内側に設けられる突出部1c、スイッチ固定部2c、および、回路基板3を、破線で図示している。
【0036】
〈突出部、スイッチ固定部、および、回路基板の配置〉
次に、図3および図4を参照して、突出部1c、スイッチ固定部2c、および、回路基板3の配置について説明する。
【0037】
図3に示すように、突出部1cは、筐体1の内面1dから筐体1の内側に向けて突出するように筐体1に一体的に設けられる。具体的には、突出部1cは、前面パネル1aの内面1dと直交する方向(矢印60に沿う方向)に向けて突出するように前面パネル1aに設けられる。また、突出部1cは、係合部10を有する。係合部10の詳細については、後述する。
【0038】
また、図3に示すように、スイッチ固定部2cは、係合部10と係合する被係合部20を有する。スイッチ固定部2cは、係合部10と被係合部20との係合によって、スイッチ部2aおよびスイッチ部2b(図2参照)を筐体1に固定する。本実施形態では、スイッチ固定部2cは、複数の被係合部20を有しており、筐体1の内面1dに設けられた複数の突出部1cの係合部10と係合することにより、筐体1に固定される。複数の係合部10は、複数の被係合部20のうちの対応する被係合部20と係合する。すなわち、複数の係合部10と複数の被係合部20とは、一対一の関係で係合する。
【0039】
また、図3に示すように、回路基板3は、締結部材4によって、スイッチ固定部2cに固定される。
【0040】
締結部材4は、回路基板3をスイッチ固定部2cに固定する部材である。スイッチ固定部2cには、ねじ孔2e(図4参照)が設けられており、回路基板3は、ねじ孔2eにおいて締結部材4によって固定される。締結部材4は、たとえば、ねじである。
【0041】
図4に示すように、突出部1cは、一方側が筐体1の内面1dと接続しており、他方側が筐体1の内部に突出した柱状部材である。また、突出部1cの一方側の面10aには、係合部10が設けられている。すなわち、係合部10は、突出部1cのうちの係合部10と被係合部20との係合が解除される方向(解除方向)とは反対方向の面10aに設けられている。係合部10は、面10aから、解除方向とは反対側に突出するように設けられている。係合部10は、スイッチ固定部2cから突出部1cに向かう方向(矢印61に示す方向)に移動可能であり、突出部1cからスイッチ固定部2cに向かう方向(矢印61の方向とは反対の方向)には移動不可である。
【0042】
また、図4に示すように、突出部1cの先端部11は、スイッチ固定部2cよりも筐体1の内側方向に配置される。
【0043】
また、被係合部20は、スイッチ固定部2cのうちの、突出部1cと対向する面2dに設けられている。また、被係合部20は、面2dから、突出部1cにむけて突出している。すなわち、被係合部20は、スイッチ固定部2cのうちの解除方向に設けられている。被係合部20は、突出部1cからスイッチ固定部2cに向かう方向(矢印61の方向とは反対の方向)に移動可能であり、スイッチ固定部2cから突出部1cに向かう方向(矢印61に示す方向)には移動不可である。
【0044】
係合部10と被係合部20とが係合するとは、図4に示すように、係合部10のうちの被係合部20と対向する面10cと、被係合部20のうちの係合部10と対向する面20aとが係合することを意味する。
【0045】
ここで、スイッチ固定部2cは、係合部10と被係合部20とが係合することにより、筐体1に固定される。スイッチ部2aが操作者によって押圧された場合、スイッチ固定部2cに対して、矢印60の方向の押圧力がかかる。この場合、被係合部20に対して、矢印60の方向に押圧力がかかる。被係合部20に対して矢印60の方向に押圧力がかかった場合、突出部1cが撓み変形する。突出部1cが撓み変形することに伴い、係合部10は、矢印61に示す方向である解除方向に移動される。突出部1cが解除方向に対して撓み変形した場合、係合部10と被係合部20との係合状態が解除される場合がある。
【0046】
そこで、本実施形態では、図4に示すように、規制部3aは、係合部10と被係合部20との係合が解除される方向である解除方向における突出部1cの移動を規制する。規制部3aは、突出部1cの解除方向における移動を規制可能な位置に設けられている。具体的には、規制部3aは、突出部1cに対して、係合部10とは反対側の位置に設けられている。
【0047】
図4に示すように、規制部3aは、突出部1cと離間した位置であり、かつ、スイッチ部2aが押圧された際の押圧力によって突出部1cが解除方向に移動した際に突出部1cと当接する位置に設けられている。本実施形態では、規制部3aは、回路基板3に設けられた貫通孔である。具体的には、規制部3aは、貫通孔の内周面のうちの、突出部1cのうちの解除方向側の面10bと対向する面30である。突出部1cの先端部11は、貫通孔の内側に配置される。
【0048】
回路基板3は、スイッチ固定部2cのうちの、突出部1cが設けられた内面1dと対向する側2fとは反対側2gに設けられている。言い換えると、回路基板3は、スイッチ固定部2cにおいて、突出部1cの先端部11側に設けられている。
【0049】
〈規制部および係合部の配置〉
次に、図5および図6を参照して、規制部3aの配置および係合部10の配置について説明する。なお、図6は、突出部1cの撓み変形を説明するための仮想的な図であり、実際の突出部1cの撓み変形より大きく変形する状態を図示している。
【0050】
図5に示すように、規制部3aは、係合部10よりも突出部1cの先端部11側に設けられている。具体的には、規制部3aは、突出部1cが延びる方向において、筐体1と突出部1cとの接続部分1fと係合部10との間の距離D1よりも、接続部分1fと規制部3aとの距離D2が大きくなる位置に設けられている。
【0051】
なお、操作者がスイッチ部2aを押下した際の押圧力によって係合部10が被係合部20によって矢印60の方向に移動された場合、図6に示すように、突出部1cに撓み変形が生じる。なお、図6に示す例では、撓み変形が生じる前の突出部1cを破線で図示している。
【0052】
突出部1cの撓み変形を、先端部11が接続部分1fを中心とした回転移動と仮定した場合、三角形の相似の関係により、以下の式(1)が成り立つ。
M1:H2=D1:D3 ・・・(1)
ここで、M1は、突出部1cが撓み変形した際の解除方向における係合部10の移動距離である。また、H2は、突出部1cが撓み変形した際の規制部3aにより規制される部分12の解除方向における移動量H2である。すなわち、H2は、突出部1cが撓み変形する前の規制される部分12aと、突出部1cが撓み変形した後の規制される部分12との間の距離である。また、D3は、接続部分1fから規制される部分12までの間の距離D3(図5参照)である。
【0053】
上記式(1)において、M1の大きさが、係合部10と被係合部20とのかかり代の長さH1(図5参照)よりも大きくなった場合、係合部10と被係合部20との係合状態が解除される。そこで、規制部3aは、先端部11の移動量H2を、以下の式(2)によって定義される範囲に規制することにより、係合部10と被係合部20との係合状態を維持することができる。
H2<(D3/D1)×H1 ・・・(2)
【0054】
本実施形態では、規制部3aは、上記式(2)を満たす位置に配置される。なお、上記式(2)を満たしていれば、係合部10と被係合部20との係合状態が維持されるが、突出部1cの撓み変形する際の変形量が大きくなると、接続部分1fにかかる機械的な負荷が大きくなる。そこで、本実施形態では、規制部3aは、突出部1cのうちの規制部3aにより規制される部分12の解除方向における移動量H2が、解除方向における係合部10と被係合部20とのかかり代の長さH1よりも小さくなるように、解除方向における先端部11の移動を規制する。すなわち、規制部3aは、規制部3aと突出部1cのうちの規制部3aにより規制される部分12との間の距離H3が、解除方向における係合部10と被係合部20とのかかり代の長さH1よりも小さくなる位置に設けられる。これにより、上記式(2)を満たすことができるとともに、突出部1cの撓み変形の変形量を小さくすることができる。したがって、接続部分1fにかかる機械的な負荷が大きくなることを抑制することができる。なお、係合部10と被係合部20とのかかり代の長さH1とは、係合部10の面10c(図4参照)と被係合部20の面20a(図4参照)とが当接している部分の長さである。
【0055】
〈スイッチ固定部および回路基板の組み立て順序〉
次に、図7および図8を参照して、スイッチ固定部2cおよび回路基板3の組み立て順序について説明する。
【0056】
本実施形態では、規制部3a(図8参照)によって、突出部1c(図2参照)の解除方向における移動が規制される。したがって、スイッチ固定部2cに対して回路基板3を締結部材4によって固定した後に、スイッチ固定部2cを筐体1に固定しようとした場合、係合部10(図3参照)と被係合部20(図3参照)とを係合状態とすることができなくなる。
【0057】
そこで、本実施形態では、図7に示すように、スイッチ固定部2cに対して回路基板3を固定する前に、スイッチ固定部2cを筐体1に固定する。図7は、スイッチ固定部2cが筐体1に固定された状態の模式図である。
【0058】
図7に示すように、前面パネル1aの内面1dには、複数の突出部が設けられている。本実施形態では、前面パネル1aの内面1dには、突出部1c、突出部40a、および、突出部40bの3つの突出部が設けられている。各突出部には、係合部10(図4参照)が設けられており、対応する被係合部20と係合することにより、スイッチ固定部2cを固定する。
【0059】
本実施形態では、規制部3aは、3つの突出部1cのうちのいずれか1つに対して設けられている。具体的には規制部3aは、突出部1cの解除方向における移動を規制可能な位置に設けられている。すなわち、本実施形態では、スイッチの取り付け構造100は、1つの規制部3aを有している。また、突出部40aおよび突出部40bに対しては、規制部3aが設けられていない。
【0060】
そして、図8に示すように、回路基板3は、筐体1に固定されたスイッチ固定部2cに対して、締結部材4によって固定される。なお、図8では、便宜的に、回路基板3に対してハッチングを付している。
【0061】
図8に示すように、回路基板3がスイッチ固定部2cに固定された際に、規制部3aの内側に突出部1cが配置される。したがって、貫通孔(規制部3a)が窓となって、突出部1cの先端部11(図4参照)の位置が外部から視認できる。そのため、突出部1cの係合部10(図4参照)と被係合部20(図4参照)との係合が適正でない場合、貫通孔内における突出部1cの先端部11の位置が適正位置からずれるので、回路基板3を取り付ける際に、スイッチ機構2(図2参照)の組み付けが適正に行われているか否かを、視覚的に確認できる。
【0062】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0063】
第1実施形態では、上記のように、スイッチの取り付け構造100は、筐体1と、筐体1の内面1dから内側に向けて突出するように筐体1に一体的に設けられ、係合部10を有する突出部1cと、筐体1の外面1eに露出するように設けられるスイッチ部2aと、筐体1の内面1d側に設けられるとともに、係合部10と係合する被係合部20を有し、係合部10と被係合部20との係合によって、スイッチ部2aを筐体1に固定するスイッチ固定部2cとを含むスイッチ機構2と、係合部10と被係合部20との係合が解除される方向である解除方向における突出部1cの移動を規制する規制部3aと、を備える。これにより、スイッチ部2aが操作者によって押圧された場合でも、規制部3aによって、突出部1cに設けられた係合部10とスイッチ固定部2cに設けられた被係合部20との係合が解除されることを抑制することができる。そのため、解除方向における突出部1cの厚みを小さくすることにより、突出部1cの剛性が低下し、突出部1cの撓み変形によって生じる解除方向における突出部1cの移動量が大きくなる場合でも、規制部3aによって係合部10と被係合部20との係合が解除されることを抑制することができる。したがって、解除方向における突出部1cの厚みを小さくすることが可能となるのでヒケが形成されることを抑制することができる。これらの結果、ヒケが形成されることを抑制しつつ、スイッチ機構2が筐体1から外れることを抑制することができる。
【0064】
また、第1実施形態では、上記のように、規制部3aは、突出部1cのうちの規制部3aにより規制される部分12の解除方向における移動量H2が、解除方向における係合部10と被係合部20とのかかり代の長さH1よりも小さくなるように、突出部1cの解除方向における移動を規制可能な位置に設けられている。これにより、解除方向における突出部1cの移動量H2が、解除方向における係合部10と被係合部20との掛かり代の長さよりも大きくなることを抑制することができる。その結果、スイッチ部2aが操作者によって押圧された場合でも、スイッチ固定部2cが筐体1から外れることを確実に抑制することができる。
【0065】
また、第1実施形態では、上記のように、係合部10は、突出部1cのうちの解除方向とは反対方向の面10aに設けられており、規制部3aは、突出部1cに対して、係合部10とは反対側の位置に設けられている。これにより、スイッチ部2aが操作者によって押圧されることにより、被係合部20を介して係合部10が解除方向に移動する場合でも、係合部10が移動する方向に規制部3aを設けることができる。その結果、解除方向における突出部1cの移動を、規制部3aによって容易に規制することができる。
【0066】
また、第1実施形態では、上記のように、規制部3aは、突出部1cと離間した位置であり、かつ、スイッチ部2aが押圧された際の押圧力によって突出部1cが解除方向に移動した際に突出部1cと当接する位置に設けられている。これにより、規制部3aが突出部1cと接触した状態で設けられる構成と比較して、突出部1cおよび規制部3aの製造公差および組み立て誤差の許容範囲を大きくすることができる。その結果、突出部1cおよび規制部3aの製造公差および組み立て誤差の許容範囲が大きくなるため、歩留まり(生産性)が低くなることを抑制することができる。
【0067】
また、第1実施形態では、上記のように、規制部3aは、突出部1cが延びる方向において、筐体1と突出部1cとの接続部分1fと係合部10との間の距離D1よりも、接続部分1fと規制部3aとの距離D2が大きくなる位置に設けられている。これにより、突出部1cが延びる方向において、規制部3aを、係合部10よりも突出部1cの先端側に配置することができる。そのため、突出部1cの先端部分の解除方向における移動量H2が、解除方向における係合部10と被係合部20とのかかり代の長さH1よりも大きい場合でも、係合部10と被係合部20との係合が解除されることを抑制することができる。その結果、解除方向における規制部3aと突出部1cとの間の距離を解除方向における係合部10と被係合部20とのかかり代の長さH1よりも大きくすることが可能となるため、突出部1cおよび規制部3aの製造公差および組み立て誤差の許容範囲をより大きくすることができる。
【0068】
また、第1実施形態では、上記のように、規制部3aは、回路基板3に設けられている。これにより、たとえば、筐体1に対して規制部3aを設ける構成とは異なり、ヒケが形成されることを抑制することができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、規制部3aは、回路基板3に設けられた貫通孔であり、突出部1cの先端部11は、貫通孔の内側に配置される。これにより、規制部3aが回路基板3に設けられた貫通孔であるため、スイッチ機構2に対する操作入力によって発せられる電気信号を送信するための回路を備える回路基板3と規制部3aとを兼用することができる。その結果、回路基板3とは別部材の規制部3aを設ける構成と比較して、部品点数が増加することを抑制することができる。また、貫通孔の内側に突出部1cの先端部11が配置されるため、スイッチの取り付け構造100を組み立てる際に、貫通孔を介して突出部1cを視認することができる。その結果、筐体1に対するスイッチ固定部2cの取り付け位置が正確か否かを容易に確認することができる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、回路基板3は、スイッチ固定部2cのうちの、突出部1cが設けられた内面1dと対向する側2fとは反対側2gに設けられている。これにより、回路基板3に設けられた貫通孔を、スイッチ固定部2cのうちの、突出部1cが設けられた内面1dと対向する側2fとは反対側2gに配置することができる。その結果、スイッチ固定部2cに回路基板3を設けることにより、突出部1cが突出する方向における貫通孔の位置を、係合部10の位置よりも突出部1cの先端部11側となる位置に容易に配置することができる。
【0071】
また、第1実施形態では、上記のように、回路基板3をスイッチ固定部2cに固定する締結部材4をさらに備え、回路基板3は、筐体1に固定されたスイッチ固定部2cに対して、締結部材4によって固定される。ここで、締結部材4によって回路基板3をスイッチ固定部2cに固定した後に、スイッチ固定部2cを筐体1に固定しようとした場合、解除方向における突出部1cの移動が規制部3aによって規制される。したがって、係合部10と被係合部20とを係合させることができないため、スイッチ固定部2cを筐体1に固定することができない。そのため、上記のように構成することにより、スイッチ固定部2cおよび回路基板3の組み立て順序を明確にすることができる。その結果、スイッチ固定部2cおよび回路基板3を組み立てる際に、組み立て順序に間違いが生じることを抑制することができる。
【0072】
また、第1実施形態では、上記のように、スイッチ機構2は、押しボタンスイッチである。これにより、押しボタンスイッチの取り付けに適したスイッチの取り付け構造100を提供することができる。
【0073】
また、第1実施形態では、上記のように、スイッチ部2aとスイッチ固定部2cとは、一体形成されている。これにより、スイッチ部2aとスイッチ固定部2cとが個別に形成されている構成と比較して、部品点数が増加することを抑制することができるとともに、スイッチ機構2を筐体1に固定する際の作業工程が増加することを抑制することができる。
【0074】
また、第1実施形態では、上記のように、電子機器200は、筐体1と、筐体1の内面1dから内側に向けて突出するように筐体1に一体的に設けられ、係合部10を有する突出部1cと、筐体1の外面1eに露出するように設けられるスイッチ部2aと、筐体1の内面1d側に設けられるとともに、係合部10と係合する被係合部20を有し、係合部10と被係合部20との係合によって、スイッチ部2aを筐体1に固定するスイッチ固定部2cとを含むスイッチ機構2と、係合部10と被係合部20との係合が解除される方向である解除方向における突出部1cの移動を規制する規制部3aと、を備える。これにより、スイッチの取り付け構造100と同様に、ヒケが形成されることを抑制しつつ、スイッチ機構2が筐体1から外れることを抑制することが可能な電子機器200を提供することができる。
【0075】
[第2実施形態]
図9を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、複数の突出部1cのうちの1つの突出部1cに対して規制部3aが設けられた上記第1実施形態とは異なり、第2実施形態によるスイッチの取り付け構造101では、突出部1cは、筐体1の複数箇所に設けられており、規制部3aは、複数の突出部1cの各々に対応する複数箇所に設けられている。なお、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、図9に示す例でも、便宜的に、回路基板3に対してハッチングを付して図示している。
【0076】
図9に示すように、第2実施形態によるスイッチの取り付け構造101は、複数の突出部を備える。第2実施形態では、たとえば、スイッチの取り付け構造101は、突出部1c、突出部1g、および、突出部1hの3つの突出部を備える。
【0077】
また、第2実施形態では、スイッチの取り付け構造101は、複数の規制部を備える。スイッチの取り付け構造101は、たとえば、規制部3a、規制部3b、および、規制部3cの3つの規制部を備える。規制部3a~規制部3cは、回路基板3に設けられた貫通孔である。規制部3aは、突出部1cに対応した位置に設けられる。また、規制部3bは、突出部1gに対応した位置に設けられる。また、規制部3cは、突出部1hに対応した位置に設けられる。
【0078】
なお、第2実施形態によるスイッチの取り付け構造101のその他の構成は、上記第1実施形態によるスイッチの取り付け構造100の構成と同様である。
【0079】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0080】
第2実施形態では、上記のように、突出部は、筐体1の複数箇所に設けられており、規制部3aは、複数の突出部(突出部1c、突出部1g、突出部1h)の各々に対応する複数箇所に設けられている。これにより、1つの突出部1cによってスイッチ固定部2cを筐体1に固定する構成と比較して、1つあたりの突出部1cによるスイッチ固定部2cを固定する力が弱い場合でも、複数の突出部(突出部1c、突出部1g、突出部1h)によってスイッチ固定部2cを筐体1に固定することができる。その結果、解除方向における突出部(突出部1c、突出部1g、突出部1h)の厚みをより小さくすることが可能となるので、ヒケが形成されることをより抑制することができる。
【0081】
なお、第2実施形態によるスイッチの取り付け構造101のその他の効果は、上記第1実施形態によるスイッチの取り付け構造100の効果と同様である。
【0082】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0083】
たとえば、第1および第2実施形態では、突出部1cのうちの規制部3aによる規制される部分(先端部11)の解除方向における移動量H2が、解除方向における係合部10と被係合部20とのかかり代の長さH1よりも小さくなる位置に、規制部3aを設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、係合部10と被係合部20との係合状態が解除されない範囲内であれば、解除方向における先端部11の移動量H2が、解除方向における係合部10と被係合部20とのかかり代の長さH1よりも大きくなる位置に規制部3aが設けられていてもよい。
【0084】
また、上記第1および第2実施形態では、規制部3aが、突出部1cに対して係合部10とは反対側の位置に設けられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、規制部3aは、突出部1cに対して、係合部10と同じ側の位置に設けられていてもよい。しかしながら、規制部3aが突出部1cに対して係合部10と同じ側の位置に設けられる構成の場合、突出部1cの解除方向における移動を規制することが困難になる。したがって、規制部3aは、突出部1cに対して係合部10とは反対側の位置に設けられることが好ましい。
【0085】
また、上記第1および第2実施形態では、規制部3aが、突出部1cと離間した位置であり、かつ、スイッチ部2aが押圧された際の押圧力によって突出部1cが解除方向に移動した際に突出部1cと当接する位置に設けられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、規制部3aは、突出部1cと接触した状態で設けられていてもよい。しかしながら、規制部3aが突出部1cと接触した状態で設けられる構成の場合、スイッチ機構2を組み立てる際の組み立て作業が困難になる。したがって、規制部3aが、突出部1cと離間した位置であり、かつ、スイッチ部2aが押圧された際の押圧力によって突出部1cが解除方向に移動した際に突出部1cと当接する位置に設けられることが好ましい。
【0086】
また、上記第1および第2実施形態では、規制部3aが、突出部1cが延びる方向において、筐体1と突出部1cとの接続部分1fと係合部10との間の距離D1よりも、接続部分1fと規制部3aとの距離D2が大きくなる位置に設けられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、接続部分1fと規制部3aとの距離D2が、接続部分1fと係合部10との間の距離D1よりも小さくなる位置に規制部3aが設けられていてもよい。
【0087】
また、上記第1および第2実施形態では、規制部3aが、回路基板3に設けられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、規制部3aは、回路基板3とは別部材によって構成されていてもよい。しかしながら、規制部3aが回路基板3とは別部材によって構成される場合、部品点数が増加する。したがって、規制部3aは、回路基板3に設けられることが好ましい。
【0088】
また、上記第1および第2実施形態では、規制部3aが、回路基板3に設けられた貫通孔である構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、規制部3aは、回路基板3に設けられた凹部であってもよい。また、規制部3aは、たとえば、回路基板3に設けられた凸部であってもよい。解除方向における突出部1cの移動を規制することが可能であれば、規制部3aの形状は問わない。
【0089】
また、上記第1および第2実施形態では、回路基板3が、スイッチ固定部2cのうちの、突出部1cが設けられた内面1dと対向する側2fとは反対側2gに設けられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、回路基板3が設けられる位置は問わない。しかしながら、回路基板3がスイッチ固定部2c以外の位置に設けられる構成の場合、スイッチ部2aおよびスイッチ部2bと回路基板3との間の距離が大きくなり、配線の取り回しが煩雑になる。したがって、回路基板3は、スイッチ固定部2cのうちの、突出部1cが設けられた内面1dと対向する側とは反対側に設けられることが好ましい。
【0090】
また、上記第1および第2実施形態では、スイッチの取り付け構造100(スイッチの取り付け構造101)が、回路基板3をスイッチ固定部2cに固定する締結部材4を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、スイッチの取り付け構造100(スイッチの取り付け構造101)は、締結部材4を備えていなくてもよい。スイッチの取り付け構造100(スイッチの取り付け構造101)が締結部材4を備えていない場合、回路基板3は、接着、係合などにより固定されればよい。
【0091】
また、上記第1および第2実施形態では、スイッチ機構2が、押しボタンスイッチである構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。スイッチ部2a(スイッチ部2b)に対して操作者からの押圧力が加わるスイッチであれば、本発明を適用することができる。
【0092】
また、上記第1および第2実施形態では、スイッチ部2aおよびスイッチ部2bとスイッチ固定部2cとが一体形成される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、スイッチ部2aおよびスイッチ部2bとスイッチ固定部2cとが別体で形成されていてもよい。
【0093】
また、上記第1および第2実施形態では、スイッチ機構2が、スイッチ部2aおよびスイッチ部2bを備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。スイッチ機構2が備えるスイッチ部の数は、いくつであってもよい。
【0094】
また、上記第1および第2実施形態では、電子機器200が、DVDまたはBDなどの再生装置である構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、電子機器200は、テレビ、モニタなどの表示装置であってもよいし、ビデオゲーム機などであってもよい。操作者が押下する物理的なスイッチを備えている電子機器であれば、本発明を適用し得る。
【符号の説明】
【0095】
1 筐体
1a、1g、1h 突出部
1f 筐体と突出部との接続部分
2 スイッチ機構
2a、2b スイッチ部
2c スイッチ固定部
3 回路基板
3a、3b、3c 規制部
4 締結部材
10 係合部
11 突出部の先端部
12 突出部のうちの規制部による規制される部分
20 被係合部
100、101 スイッチの取り付け構造
200 電子機器
D1 接続部分と係合部との間の距離
D2 接続部分と規制部との距離
H1 係合部と被係合部とのかかり代の長さ
H2 突出部のうちの規制部により規制される部分の解除方向における移動量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9