(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068844
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】部品実装システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230511BHJP
H05K 13/02 20060101ALI20230511BHJP
H05K 13/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
H05K13/02 Z
H05K13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180221
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 猛史
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC16
5E353CC21
5E353EE88
5E353HH13
5E353LL03
5E353NN18
5E353QQ07
5E353QQ08
5E353QQ09
(57)【要約】
【課題】 部品実装機の防塵フィルタの目詰まりを検出する。
【解決手段】 部品実装システムであって、制御部と、部品実装機と、マガジンと、フィーダ保管庫と、前記部品実装機内に空気を導入する吸気ファンと、前記吸気ファンに設けられた防塵フィルタと、フィーダ搬送機構と温度センサを備えるローダと、を有する。前記ローダが、前記フィーダ搬送機構が前記マガジンにアクセス可能な第1位置と、前記第1位置の外側の第2位置の間を移動可能である。前記制御部が、前記ローダが前記第1位置に配置された状態で前記温度センサによって検出される第1温度を検出する処理と、前記ローダが前記第2位置に配置された状態で前記温度センサによって検出される第2温度を検出する処理と、前記第1温度から前記第2温度を減算した温度差が第1基準値より高い場合にユーザに前記防塵フィルタの異常を通知する処理を実行する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装システムであって、
制御部(80)と、
部品実装機(20)と、
前記部品実装機(20)に配置され、複数のフィーダスロット(43)を備えているマガジン(40)と、
複数のフィーダ収容部(43)を備えているフィーダ保管庫(30)と、
前記部品実装機(20)内に空気を導入する吸気ファン(26)と、
前記吸気ファン(26)に設けられた防塵フィルタ(27)と、
複数の前記フィーダスロット(43)と複数の前記フィーダ収容部(43)との間でフィーダ(60)を搬送するフィーダ搬送機構(53)と、温度センサ(59)と、を備えるローダ(50)と、
を有し、
前記部品実装機(20)が、前記マガジン(40)に収容されている前記フィーダ(60)から供給される部品を回路基板に実装し、
前記ローダ(50)が、前記フィーダ搬送機構(53)が前記マガジン(40)にアクセス可能な第1位置と、前記第1位置の外側の第2位置の間を移動可能であり、
前記制御部(80)が、
前記ローダ(50)が前記第1位置に配置された状態で前記温度センサ(59)によって検出される第1温度を検出する処理と、
前記ローダ(50)が前記第2位置に配置された状態で前記温度センサ(59)によって検出される第2温度を検出する処理と、
前記第1温度から前記第2温度を減算した温度差が第1基準値より高い場合に、ユーザに前記防塵フィルタ(27)の異常を通知する処理、
を実行する、部品実装システム。
【請求項2】
前記部品実装機(20)が、
前記マガジン(40)に収容されている前記フィーダ(60)から供給される前記部品をピックアップする実装ヘッド(22)と、
前記実装ヘッド(22)を移動させる移動機構(24)と、
を有し、
前記制御部(80)が、前記温度差が第2基準値より高い場合に、前記温度差が前記第2基準値より低い場合よりも、前記移動機構(24)による前記実装ヘッド(22)の移動速度を低下させる、
請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記制御部(80)が、前記温度差が第3基準値より低い場合に、前記温度差が前記第3基準値より高い場合よりも、前記吸気ファン(26)の回転速度を低下させる、請求項1または2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記部品実装機(20)内部から外部に空気を排出する排気ファン(28、29)をさらに有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、部品実装機が開示されている。一般に、この種の部品実装機は、部品実装機の内部に空気を導入する吸気ファンを有している。吸気ファンが部品実装機の内部に空気を導入することで、部品実装機の内部の温度上昇が抑制される。また、多くの場合、吸気ファンには、防塵フィルタが設けられている。防塵フィルタによって、部品実装機の内部への塵、埃等の進入が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2017/033268A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
防塵フィルタに塵、埃等が堆積して、防塵フィルタが目詰まりする。防塵フィルタが目詰まりすると、防塵フィルタの清掃、交換などのメンテナンスが必要となる。通常は、防塵フィルタのメンテナンスは、一定の頻度で行われる。しかしながら、防塵フィルタに塵、埃等が堆積する速度は、部品実装機の使用環境等によって変化する。本明細書では、防塵フィルタの目詰まりを検出することで、防塵フィルタを適切なタイミングでメンテナンスできる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する部品実装システムは、制御部と、部品実装機と、前記部品実装機に配置されるとともに複数のフィーダスロットを備えているマガジンと、複数のフィーダ収容部を備えているフィーダ保管庫と、前記部品実装機内に空気を導入する吸気ファンと、前記吸気ファンに設けられた防塵フィルタと、複数の前記フィーダスロットと複数の前記フィーダ収容部との間でフィーダを搬送するフィーダ搬送機構と温度センサとを備えるローダと、を有する。前記部品実装機が、前記マガジンに収容されている前記フィーダから供給される部品を回路基板に実装する。前記ローダが、前記フィーダ搬送機構が前記マガジンにアクセス可能な第1位置と、前記第1位置の外側の第2位置の間を移動可能である。前記制御部が、前記ローダが前記第1位置に配置された状態で前記温度センサによって検出される第1温度を検出する処理と、前記ローダが前記第2位置に配置された状態で前記温度センサによって検出される第2温度を検出する処理と、前記第1温度から前記第2温度を減算した温度差が第1基準値より高い場合にユーザに前記防塵フィルタの異常を通知する処理を実行する。
【0006】
なお、「前記フィーダ搬送機構が前記マガジンにアクセス可能」とは、フィーダ搬送機構がマガジンに対してフィーダを搬入または搬出できることを意味する。
【0007】
また、第1温度を検出する処理と第2温度を検出する処理はいずれが先に実行されてもよい。
【0008】
防塵フィルタが目詰まりすると、吸気ファンによって部品実装機内に導入される空気の流量が低下するので、部品実装機の内部と外部の間の温度差が高くなる。本明細書が開示する部品実装システムは、部品実装機の内部と外部の間の温度差に基づいて、防塵フィルタの目詰まりを検出する。すなわち、この部品実装システムでは、管理部が、ローダが第1位置に配置された状態で、ローダの温度センサによって第1温度を検出する。ローダが第1位置に配置された状態では、フィーダ搬送機構がマガジンにアクセス可能であるので、ローダの温度センサで部品実装機の内部の温度に相関する温度が検出される。すなわち、第1温度は、部品実装機の内部の温度に相関する温度である。また、管理部は、ローダが第2位置に配置された状態で、ローダの温度センサによって第2温度を検出する。ローダが第2位置に配置された状態では、ローダの温度センサで部品実装機の外部の温度が検出される。すなわち、第2温度は、部品実装機の外部の温度である。このため、第1温度から第2温度を減算した温度差は、部品実装機の内部と外部の温度差に相関する。第1温度から第2温度を減算した温度差が高い場合には、防塵フィルタで目詰まりが生じている。管理部は、当該温度差が第1基準値より高い場合に、ユーザに防塵フィルタの異常を通知する。したがって、ユーザは、適切なタイミングで防塵フィルタのメンテナンスを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】ローダが部品実装機の前に位置しているときのローダと部品実装機の断面図。
【
図6】ローダがフィーダ保管庫30aの前に位置しているときのローダとフィーダ保管庫30aの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0011】
本技術の一実施形態では、前記部品実装機が、前記マガジンに収容されている前記フィーダから供給される前記部品をピックアップする実装ヘッドと、前記実装ヘッドを移動させる移動機構を有する。前記制御部が、前記温度差が第2基準値より高い場合に、前記温度差が前記第2基準値より低い場合よりも、前記移動機構による前記実装ヘッドの移動速度を低下させてもよい。
【0012】
この構成では、部品実装機の内部の温度が高いときに、制御部が、移動機構による実装ヘッドの移動速度を低下させる。これによって、移動機構の発熱が抑制され、移動機構の温度が過度に高くなることを防止できる。
【0013】
本技術の一実施形態では、前記制御部が、前記温度差が第3基準値より低い場合に、前記温度差が前記第3基準値より高い場合よりも、前記吸気ファンの回転速度を低下させてもよい。
【0014】
なお、吸気ファンの回転速度を低下させることは、吸気ファンの回転速度をゼロとする(すなわち、吸気ファンを停止させる)ことも含む。
【0015】
この構成によれば部品実装機内の温度が低いときに吸気ファンの回転速度が低下するので、吸気ファンの摩耗等による劣化を抑制できる。
【0016】
本技術の一実施形態では、前記部品実装機内部から外部に空気を排出する排気ファンをさらに有していてもよい。
【0017】
図1は、実施形態の部品実装システム10の構成の概略を示している。部品実装システム10は、印刷機12、印刷検査機14及び複数の部品実装機20を有する。印刷機12、印刷検査機14及び複数の部品実装機20は、一列に配列されている。印刷機12、印刷検査機14及び複数の部品実装機20は、回路基板搬送路16によって接続されている。回路基板搬送路16はコンベア16aを備えており、印刷機12から部品実装機20まで回路基板を搬送する。印刷機12は、回路基板上にはんだを印刷する。印刷機12ではんだが印刷された回路基板は、回路基板搬送路16によって印刷検査機14に搬送される。印刷検査機14は、回路基板に印刷されたはんだの状態を検査する。印刷検査機14で検査された回路基板は、回路基板搬送路16によって複数の部品実装機20に搬送される。各部品実装機20は、回路基板に部品を実装する。各部品実装機20によって部品が実装された回路基板は、回路基板搬送路16によってリフロー炉(図示省略)へ搬送される。リフロー炉で回路基板が加熱されると、はんだが固まり、部品が回路基板に固定される。なお、以下では、回路基板搬送路16が回路基板を搬送する方向をx方向といい、
図1において手前から奥に向かう方向をy方向といい、上方向をz方向という場合がある。
【0018】
部品実装システム10は、制御部80を有している。制御部80は、CPU、メモリ等によって構成されており、部品実装システム10の各部を制御する。また、制御部80は、モニタを備えている。
【0019】
部品実装システム10は、複数のフィーダ保管庫30と、複数のマガジン40を有している。フィーダ保管庫30とマガジン40は、複数のフィーダ60を収容する。
図1、2に示すように、回路基板搬送路16に隣接する位置に、マガジン40が配置されている。マガジン40は、回路基板搬送路16に対してy方向手前側に配置されている。各マガジン40の下部に、フィーダ保管庫30が配置されている。
図2に示すように、回路基板搬送路16(すなわち、コンベア16a)、マガジン40、及び、マガジン40の下部のフィーダ保管庫30は、部品実装機20のケース21内に配置されている。部品実装機20のケース21の前面には、開口部21aが設けられている。マガジン40とフィーダ保管庫30は、開口部21aを介してフィーダ60を出し入れ可能な位置に配置されている。また、
図1に示すように、印刷検査機14と最も上流側の部品実装機20の間にも、フィーダ保管庫30が設けられている。以下では、印刷検査機14と部品実装機20の間のフィーダ保管庫30を、フィーダ保管庫30aという場合がある。後に詳述するが、実装処理(すなわち、回路基板に部品を実装する処理)では、マガジン40に収容されている各フィーダ60から供給される部品が回路基板に実装される。フィーダ保管庫30は、実装処理で使用されないフィーダ60を収容する保管庫である。
【0020】
図2に示すように、各フィーダ保管庫30と各マガジン40は、フィーダ台42を有している。フィーダ台42は、側面視がL字状の台であり、床部42aと壁部42bを有する。壁部42bは、床部42aのy方向の端面から上側に伸びている。床部42aの上面には、複数のスロット溝44が設けられている。各スロット溝44は、y方向に伸びている。複数のスロット溝44は、x方向に配列されている。壁部42bの前面には、複数のコネクタ45が設けられている。各コネクタ45は、対応するスロット溝44をy方向に延長した範囲内に配置されている。複数のコネクタ45は、x方向に配列されている。フィーダ台42は、複数のフィーダ60を収容することができる。
【0021】
図3は、フィーダ60を示している。フィーダ60は、部品実装機20に部品を供給する装置である。フィーダ60は、カード形状のケース61を有している。ケース61の下端部には、レール61aが設けられている。レール61aは、
図2のフィーダ台42の各スロット溝44に差し込み可能な形状を有している。フィーダ60のレール61aがフィーダ台42のスロット溝44に差し込まれることで、
図2に示すようにフィーダ60がフィーダ台42に収容される。フィーダ60は、フィーダ保管庫30のフィーダ台42とマガジン40のフィーダ台42のいずれにも収容され得る。以下では、フィーダ台42が各フィーダ60を収容する空間を、スロット43という。
図3に示すように、フィーダ60のケース61の背面に、コネクタ65が設けられている。フィーダ60がスロット43に差し込まれると、フィーダ60のコネクタ65がフィーダ台42のコネクタ45に接続される。
【0022】
図3に示すように、フィーダ60は、テープリール62と、テープ送り機構64と、制御部66を有している。テープリール62と、テープ送り機構64と、制御部66は、ケース61に設けられている。フィーダ60のコネクタ65がフィーダ台42のコネクタ45に接続されると、テープ送り機構64と制御部66に電力が供給される。また、フィーダ60のコネクタ65がフィーダ台42のコネクタ45に接続されると、制御部66が制御部80と通信可能となる。テープリール62は、部品供給テープ62aが巻回されたリールである。部品供給テープ62aは、複数の部品を収容している。テープ送り機構64は、モータ(図示省略)を有している。テープ送り機構64は、テープリール62から部品供給テープ62aを引き出し、部品供給テープ62a内の部品をケース61の上面に設けられた部品供給位置62bへセットする。制御部66は、CPU、メモリ等によって構成されており、制御部80からの指令に応じてテープ送り機構64を制御する。
【0023】
図1に示すように、フィーダ保管庫30及びマガジン40の前面に、x方向に平行に伸びるx軸レール18が設けられている。なお、
図2では、x軸レール18の図示が省略されている。また、
図1に示すように、部品実装システム10は、ローダ50を有している。ローダ50は、x軸レール18に沿って移動する。
図4は、ローダ50の内部構造を示している。ローダ50は、x軸スライダ52を有している。x軸スライダ52は、x軸モータ52aとガイドローラ52bを有している。ガイドローラ52bは、x軸レール18に沿ったローダ50の移動をガイドする。x軸モータ52aが駆動すると、ローダ50がx軸レール18に沿って移動する。
【0024】
図4、5に示すように、ローダ50は、ケース51を有している。
図5に示すように、ケース51は、背面側(すなわち、部品実装機20側)に開口部51aを有している。ローダ50は、ケース51内に上部移載エリア50Aと下部移載エリア50Bを有している。上部移載エリア50Aはマガジン40と同じ高さに位置するエリアであり、下部移載エリア50Bはマガジン40の下部のフィーダ保管庫30と同じ高さに位置するエリアである。また、ローダ50は、フィーダ60を搬送するフィーダ搬送機構53を有している。
図4に示すように、フィーダ搬送機構53は、クランプ部54、y軸スライダ56、及び、z軸スライダ58を有している。クランプ部54は、フィーダ60をクランプする。y軸スライダ56は、y軸モータ56aとy軸ガイドレール56bを有する。y軸ガイドレール56bは、y軸に平行に伸びている。矢印200に示すように、y軸モータ56aは、クランプ部54をy軸ガイドレール56bに沿って移動させる。z軸スライダ58は、z軸モータ58aとz軸ガイドレール58bを有する。z軸ガイドレール58bは、z軸に平行に伸びている。矢印202に示すように、z軸モータ58aは、クランプ部54及びy軸スライダ56をz軸ガイドレール58bに沿って移動させる。z軸スライダ58は、クランプ部54及びy軸スライダ56を上部移載エリア50Aと下部移載エリア50Bの間で移動させる。また、ローダ50は、図示しない制御部を有している。ローダ50の制御部は、CPU、メモリ等によって構成されており、制御部80からの指令に応じてローダ50の各部を制御する。
【0025】
また、
図4、5に示すように、ローダ50は、温度センサ59を有している。温度センサ59は、ケース51内に配置されている。温度センサ59は、開口部51aの近傍に配置されている。
【0026】
上述したように、ローダ50は、x軸レール18に沿って移動する。
図5に示すように、ローダ50がいずれかの部品実装機20の前に移動すると、ローダ50の開口部51aが部品実装機20の開口部21aの前に位置する。この状態では、ローダ50のフィーダ搬送機構53が、開口部51a、21aを介してマガジン40とフィーダ保管庫30にアクセスすることができる。また、
図6に示すように、ローダ50がフィーダ保管庫30aの前に移動すると、ローダ50の開口部51aがフィーダ保管庫30aの前に位置する。この状態では、ローダ50のフィーダ搬送機構53が、開口部51aを介してフィーダ保管庫30aにアクセスすることができる。
【0027】
ローダ50は、フィーダ保管庫30及びマガジン40の間でフィーダ60を移動させる。例えば、フィーダ保管庫30からマガジン40にフィーダ60を移動させる場合には、ローダ50は、x軸レール18沿って移動して、
図5または6に示すようにフィーダ保管庫30の前まで移動する。次に、ローダ50は、z軸スライダ58とy軸スライダ56を作動させて目的のフィーダ60の位置までクランプ部54を移動させ、クランプ部54によって目的のフィーダ60をクランプする。次に、ローダ50は、y軸スライダ56によってクランプ部54と共にフィーダ60をy方向手前側に移動させる。これによって、フィーダ60がフィーダ保管庫30のスロット43から取り出される。次に、ローダ50は、x軸スライダ52を作動させることによって、
図5に示すようにマガジン40の前まで移動する。次に、ローダ50は、z軸スライダ58を作動させて、フィーダ60をマガジン40内の目的のスロット43の前まで移動させる。次に、ローダ50は、y軸スライダ56によってフィーダ60をy方向奥側に移動させる。これによって、フィーダ60が目的のスロット43に差し込まれる。このとき、フィーダ60のコネクタ65(
図3参照)がフィーダ台42のコネクタ45(
図2参照)に接続される。なお、マガジン40からフィーダ保管庫30にフィーダ60を移動させる場合も、同様にして、ローダ50がフィーダ60を搬送する。
【0028】
上述したように、部品実装機20は、ケース21を有している。上述したように、ケース21の内部に、コンベア16a、マガジン40、及び、フィーダ保管庫30が配置されている。また、
図2、5に示すように、部品実装機20は、実装ヘッド22と、ヘッド移動機構24と、制御部(図示省略)を有している。部品実装機20の制御部は、CPU、メモリ等によって構成されており、制御部80からの指令に応じてコンベア16aと、実装ヘッド22と、ヘッド移動機構24を制御する。各コンベア16aは、回路基板搬送路16を構成しており、回路基板をx方向に搬送する。ヘッド移動機構24は、コンベア16aとマガジン40の上部で実装ヘッド22を移動させる。ヘッド移動機構24は、z軸スライダ24z、x軸スライダ24x、及び、y軸スライダ24yを有している。z軸スライダ24zは、アクチュエータを内蔵しており、実装ヘッド22をz方向に沿って移動させる。x軸スライダ24xは、リニアモータによって構成されており、実装ヘッド22とz軸スライダ24zをx方向と平行に移動させる。y軸スライダ24yは、リニアモータによって構成されており、実装ヘッド22、z軸スライダ24z及びx軸スライダ24xをy方向と平行に移動させる。このように、ヘッド移動機構24は、実装ヘッド22をx方向、y方向、及び、z方向に沿って移動させることができる。実装ヘッド22は、マガジン40内のフィーダ60から供給される部品をピックアップし、コンベア16a上の回路基板に実装する。より詳細には、マガジン40に収容されているフィーダ60は、部品供給位置62b(
図5参照)に部品をセットする。ヘッド移動機構24は、実装ヘッド22の下面が部品供給位置62bにセットされた部品に接触するように、実装ヘッド22を移動させる。実装ヘッド22は、部品供給位置62bにセットされた部品を吸着する。実装ヘッド22が部品を吸着すると、ヘッド移動機構24は、実装ヘッド22に吸着されている部品がコンベア16a上の回路基板の実装位置に接するように、実装ヘッド22を移動させる。次に、実装ヘッド22は、部品の吸着を解除する。これによって、部品が回路基板の実装位置に実装される。このようにして、実装ヘッド22は、マガジン40に収容されている各フィーダ60が供給する部品を、回路基板上の適切な実装位置に実装する。部品実装機20によって部品が実装された回路基板は、回路基板搬送路16によって図示しないリフロー炉(図示省略)へ搬送される。
【0029】
また、
図5に示すように、部品実装機20は、吸気ファン26、防塵フィルタ27、及び、排気ファン28、29を有している。吸気ファン26は、ケース21の背面板に設けられている。吸気ファン26は、ケース21の外部からケース21の内部(すなわち、部品実装機20の内部)に空気を導入する。防塵フィルタ27は、吸気ファン26に取り付けられている。防塵フィルタ27は、吸気ファン26によって部品実装機20内に導入される空気から塵、埃等を除去する。排気ファン28は、ケース21の天板に設けられている。排気ファン29は、ケース21の床板に設けられている。排気ファン28、29は、ケース21の内部(すなわち、部品実装機20の内部)からケース21の外部に空気を排出する。
【0030】
次に、制御部80が実行する処理について説明する。制御部80は、回路基板の生産プログラムを記憶している。回路基板の生産プログラムは、回路基板のどの位置にどの部品を実装するかを定めたプログラムである。制御部80は、各部品実装機20の制御部及びローダ50の制御部と通信してこれらの制御部に指令を送る。各部品実装機20の制御部及びローダ50の制御部は、制御部80からの指令に従って各部品実装機20及びローダ50を制御する。また、制御部80は、マガジン40及びフィーダ保管庫30に収容されている各フィーダ60と、コネクタ45、65を介して接続されている。制御部80は、コネクタ45、65を介して各フィーダ60の制御部66と通信し、これによって各フィーダ60を制御する。
【0031】
実装処理の開始前に、制御部80は、フィーダセット処理を実行する。フィーダセット処理では、制御部80は、ローダ50を使用して各フィーダ60を適切なスロット43に搬送する。より詳細には、制御部80は、部品実装システム10が有する各フィーダ60が、現在どのスロット43に収容されているかを記憶している。また、制御部80は、各フィーダ60が内蔵している部品の種類を記憶している。制御部80は、生産プログラムに基づいて、回路基板に実装すべき部品を内蔵しているフィーダ60を特定する。そして、制御部80は、実装すべき部品を内蔵しているフィーダ60がマガジン40のスロット43に収容され、実装すべき部品を内蔵していないフィーダ60がフィーダ保管庫30のスロット43に収容されるように、ローダ50によって各フィーダ60を搬送する。全てのフィーダ60が適切なスロット43に収容されたら、制御部80は、実装処理を実行する。
【0032】
実装処理では、制御部80は、マガジン40に収容されている各フィーダ60を制御することによって、各フィーダ60に部品を部品供給位置62bにセットさせる。また、制御部80は、各部品実装機20を制御することによって、部品供給位置62bにセットされている各部品をコンベア16a上の回路基板に実装する。各部品実装機20によって必要なすべての部品が実装された回路基板は、コンベア16aによってリフロー炉へ送られる。リフロー炉ではんだが固まり、部品接続済みの回路基板が完成する。
【0033】
実装処理中に、ヘッド移動機構24で熱が発生する。特に、ヘッド移動機構24のy軸スライダ24yのリニアモータで多くの熱が発生する。制御部80は、部品実装機20の作動中に、吸気ファン26及び排気ファン28、29を作動させる。吸気ファン26及び排気ファン28、29が作動すると、空気がケース21内で吸気ファン26から排気ファン28、29に向かって流れる。これによって、ケース21内で発生した熱が空気と共にケース21外に排出される。その結果、ケース21内の温度上昇が抑制される。
【0034】
上述したように、防塵フィルタ27は、吸気ファン26によって部品実装機20内に導入される空気から塵、埃等を除去する。したがって、部品実装機20の使用に伴って防塵フィルタ27に徐々に塵、埃等が堆積する。防塵フィルタ27に堆積する塵、埃等の量が過多となると、防塵フィルタ27が目詰まりする。防塵フィルタ27が目詰まりすると、防塵フィルタ27の通気抵抗が高くなり、吸気ファン26によって部品実装機20内に導入される空気の流量が少なくなる。部品実装機20内に導入される空気の流量が少なくなると、部品実装機20内の温度が高くなり、部品実装機20を構成する電装部品に負荷が加わる。このため、制御部80は、防塵フィルタ27の目詰まりを検出するために、実装処理中に防塵フィルタ27の検査処理を実行する。
【0035】
検査処理では、制御部80は、ローダ50を検査対象の部品実装機20の前まで移動させる。なお、実装処理中は、ローダ50はフィーダ60を搬送する必要が無いので、ローダ50を検査処理のために移動させることができる。ローダ50を検査対象の部品実装機20の前まで移動させると、
図5に示すように、検査対象の部品実装機20の開口部21aの前にローダ50の開口部51aが配置される。この状態では、部品実装機20のケース21内の空気の一部が、開口部21a、51aを介してローダ50のケース51内に流入する。このため、温度センサ59で部品実装機20からローダ50内に流入する空気の温度が検出される。実装処理中は部品実装機20のヘッド移動機構24が発熱するので、
図5の状態では温度センサ59の検出温度が徐々に上昇する。制御部80は、温度センサ59の検出温度が安定したら、その検出温度を第1温度t1として記憶する。したがって、第1温度t1は、部品実装機20内の温度と相関を有する温度である。
【0036】
次に、制御部80は、ローダ50をフィーダ保管庫30aの前まで移動させる。すると、
図6に示すように、フィーダ保管庫30aの前にローダ50の開口部51aが配置される。この状態では、開口部51aからローダ50のケース51内に、部品実装機20の外部の空気が流入する。このため、部品実装機20の外部の空気の温度が温度センサ59で検出される。部品実装機20の外部の空気の温度は部品実装機20の内部の空気の温度よりも低いので、
図6の状態では温度センサ59の検出温度が徐々に低下する。制御部80は、温度センサ59の検出温度が安定したら、その検出温度を第2温度t2として記憶する。
【0037】
次に、制御部80は、第1温度t1から第2温度t2を減算して温度差Δtを算出する。上述したように、第1温度t1は部品実装機20内の温度と相関を有する温度であり、第2温度t2は外部の空気の温度である。したがって、温度差Δtは、部品実装機20の内部の空気と部品実装機20の外部の空気の間の温度差に相関する。
【0038】
次に、制御部80は、温度差Δtが第1基準値以上であるか否かを判定する。上述したように、防塵フィルタ27が目詰まりすると、吸気ファン26によって部品実装機20内に導入される空気の流量が低くなる。その結果、部品実装機20の排熱性能が低下し、部品実装機20の内部の空気と部品実装機20の外部の空気の間の温度差が大きくなる。このため、温度差Δtが第1基準値以上であるか否かを判定することで、防塵フィルタ27で目詰まりが発生しているか否かを判定することができる。制御部80は、温度差Δtが第1基準値以上である場合には、制御部80のモニタに防塵フィルタ27で異常が発生していることを表示する。また、制御部80は、温度差Δtが第1基準値未満である場合には、そのような表示を行わない。したがって、ユーザは、モニタの表示に基づいて、防塵フィルタ27の清掃、交換等のメンテナンスを実行することができる。
【0039】
また、制御部80は、温度差Δtが第2基準値以上であるか否かを判定する。第2基準値は、第1基準値と同じ値であってもよいし、第2基準値とは異なる値であってもよい。制御部80は、温度差Δtが第2基準値以上である場合には、温度差Δtが第2基準値未満である場合に比べて、ヘッド移動機構24のy軸スライダ24yで実装ヘッド22を移動させる速度(すなわち、y軸スライダ24yを構成するリニアモータの動作速度)を低下させる。このように、部品実装機20の内部の温度が高い場合には、発熱源であるy軸スライダ24yの動作速度を低下させることで、y軸スライダ24yの過度な温度上昇を抑制することができる。これによって、y軸スライダ24yの劣化を抑制できる。また、y軸スライダ24yの温度上昇を抑制することで、部品実装機20の内部の温度上昇を抑制できる。したがって、部品実装機20の内部の電装部品の劣化を抑制できる。なお、温度差Δtが第2基準値以上である場合に、x軸スライダ24xの動作速度を低下させてもよい。
【0040】
また、制御部80は、温度差Δtが第3基準値以上であるか否かを判定する。第3基準値は、第1基準値及び第2基準値よりも低い温度である。制御部80は、温度差Δtが第3基準値未満である場合には、温度差Δtが第3基準値以上である場合に比べて、吸気ファン26の回転速度を低下させる。例えば、温度差Δtが第3基準値以上である場合には吸気ファン26を回転速度W1で回転させ、温度差Δtが第3基準値未満である場合には吸気ファン26を回転速度W1よりも低い回転速度W2で回転させることができる。また、例えば、温度差Δtが第3基準値以上である場合には吸気ファン26を回転させ、温度差Δtが第3基準値未満である場合には吸気ファン26を停止させ(すなわち、回転速度をゼロに低下させ)てもよい。温度差Δtが第3基準値未満の場合には、部品実装機20内の温度がそれほど高くないので、吸気ファン26を停止させても問題はない。また、温度差Δtが第3基準値未満の場合に吸気ファン26を停止させることで、吸気ファン26の摩耗等による劣化を抑制できる。
【0041】
なお、吸気ファン26と同様にして、排気ファン28、29を制御してもよい。すなわち、温度差Δtが第3基準値未満である場合には、温度差Δtが第3基準値以上である場合に比べて、排気ファン28、29の回転速度を低下させてもよい。この構成によれば、排気ファン28、29の摩耗等による劣化を抑制できる。
【0042】
なお、上述した実施形態では、第1温度t1を測定した後に第2温度t2を測定したが、第2温度t2を測定した後に第1温度t1を測定してもよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、モニタの表示によって防塵フィルタ27の異常をユーザに通知した。しかしながら、警告ランプ、音声等によって防塵フィルタ27の異常をユーザに通知してもよい。
【0044】
上述した実施形態のフィーダ保管庫30のスロット43は、フィーダ収容部の一例である。また、上述した実施形態のマガジン40のスロット43は、フィーダスロットの一例である。また、上述した実施形態における
図5のローダ50の停止位置は、第1位置の一例である。また、上述した実施形態における
図6のローダ50の停止位置は、第2位置の一例である。
【0045】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0046】
10 :部品実装システム
16 :回路基板搬送路
16a :コンベア
20 :部品実装機
21 :ケース
21a :開口部
22 :実装ヘッド
24 :ヘッド移動機構
26 :吸気ファン
27 :防塵フィルタ
28 :排気ファン
29 :排気ファン
30 :フィーダ保管庫
40 :マガジン
50 :ローダ
51 :ケース
51a :開口部
53 :フィーダ搬送機構
59 :温度センサ
60 :フィーダ