(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068888
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】魚釣用リール
(51)【国際特許分類】
A01K 89/0155 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
A01K89/0155
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180324
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】安田 悠
(72)【発明者】
【氏名】野々垣 元博
【テーマコード(参考)】
2B108
【Fターム(参考)】
2B108HE20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】パーミング性を高めながら、魚釣用リール全体の大型化を伴うことなく電気部品を配置することができる魚釣用リールを提供する。
【解決手段】操作部による操作で釣糸を巻回可能なスプールと、操作部を有し、スプールを軸支する第1の側板と、スプールの軸方向でみて第1の側板と対向して配置され、スプールを軸支する第2の側板と、操作部とは反対側の該第2の側板を覆う反操作部側カバーと、第2の側板と反操作部側カバーとの間に配置される制御基板と、制御基板と電気的に接続され、制御基板と該反操作部側カバーとの間に配置される電気部品と、を備えるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部による操作で釣糸を巻回可能なスプールと、該操作部を有し、該スプールを軸支する第1の側板と、該スプールの軸方向でみて該第1の側板と対向して配置され、該スプールを軸支する第2の側板と、前記操作部とは反対側の該第2の側板を覆う反操作部側カバーと、該第2の側板と該反操作部側カバーとの間に配置される制御基板と、該制御基板と電気的に接続され、該制御基板と該反操作部側カバーとの間に配置される電気部品と、を備える魚釣用リール。
【請求項2】
前記反操作部側カバーは、ユーザが把持可能であるように前記第2の側板からみて前記操作部とは反対側の方向に凸状に形成される、請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項3】
前記電気部品は、ユーザへの報知を行う報知部、該ユーザへの表示を行う表示部、前記魚釣用リールの外部との通信を行う通信部、前記魚釣用リールの周辺のエネルギーを電力に変換する環境発電部の少なくともいずれかを含む、請求項1又は2に記載の魚釣用リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子基板を有する魚釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、魚釣用両軸リールでは、釣糸の巻き上げ用モータの制御や糸長の表示、キャスティングブレーキの制動等を行うことを目的として、電子基板を用いている。
【0003】
このような魚釣用両軸リールでは、液晶などの表示画面を有するものは、視認性確保のため同両軸リールの前方上面に配置され、こうした電子基板も表示画面に平行に配置されることが多い。表示画面を有していない場合でも、特許文献1のように、キャスティングブレーキの制動のため、電子基板を側板と平行に配置し、制動力発生部やスプール回転検出部など、電気部品を配置する箇所に電子基板を近接させ易くすることで、防水が容易となり、装置全体の大型化を避けることを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電子基板に通信やデータ保存等、拡張機能を持たせようとする場合、電子基板の面積の大型化が不可避となるところ、特許文献1による魚釣用リールでは、電気部品は電子基板上に配置されているため、各種の電気部品の大きさや配置は電子基板の延伸方向の寸法、ひいては当該基板の延伸方向における魚釣用リールの寸法の影響を免れることはできないという問題があった。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、パーミング性を高めながら、魚釣用リール全体の大型化を伴うことなく電気部品を配置することができる魚釣用リールを提供することにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールは、操作部による操作で釣糸を巻回可能なスプールと、該操作部を有し、該スプールを軸支する第1の側板と、該スプールの軸方向でみて該第1の側板と対向して配置され、該スプールを軸支する第2の側板と、前記操作部とは反対側の該第2の側板を覆う反操作部側カバーと、該第2の側板と該反操作部側カバーとの間に配置される制御基板と、該制御基板と電気的に接続され、該制御基板と該反操作部側カバーとの間に配置される電気部品と、を備えるように構成される。
【0008】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールにおいて、前記反操作部側カバーは、ユーザが把持可能であるように前記第2の側板からみて前記操作部とは反対側の方向に凸状に形成される。
【0009】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールにおいて、前記電気部品は、ユーザへの報知を行う報知部、該ユーザへの表示を行う表示部、前記魚釣用リールの外部との通信を行う通信部、前記魚釣用リールの周辺のエネルギーを電力に変換する環境発電部の少なくともいずれかを含むように構成される。
【発明の効果】
【0010】
上記実施形態によれば、操作部とは反対側の側板と、パーミング性に配慮した反操作部側カバーとの間の空間に電気部品を配置することができ、これにより、パーミング性を向上させながら装置全体の大型化を伴わずに電気部品を配置することができる魚釣用リールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る備える魚釣用リール1を説明する図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る制動装置10の構成を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る備える魚釣用リール1の内部の一部を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る備える魚釣用リール1の断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る備える魚釣用リール1の反操作部側カバー13の外側表面を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る魚釣用リールの実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0013】
図1から4を参照して、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール及びこれが備える制動装置について説明する。なお、説明の簡略化のために、魚釣用リール1の公知の機能の一部は図示および説明を省略する。
【0014】
まず、
図1は、魚釣用リール1の断面図であり、後述する減速ギヤ列の中心軸を通る断面を示している。なお、説明の簡略化のために、魚釣用リール1の公知の機能の一部は図示および説明を省略する。
【0015】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、フレーム(リール本体)2と、スプール3と、被制動部(被制動手段)4と、軸受け5と、制動部(制動手段)6と、セットプレート7と、中蓋8と、モータ9と、減速機構(減速ギヤ列)10と、電池11と、制御基板12と、電気部品13と、反操作部側カバー14と、を含むように構成される。但し、これらの構成要素以外のものを含むようにしてもよい。
【0016】
フレーム(リール本体)2は、釣竿(図示しない)に取り付け可能に形成されている。本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、従来の魚釣用リールと同様、図示しない操作部ないし操作手段(例えば、ハンドル)を有し、ユーザの操作によってスプール3を正方向に回転させ、釣糸を巻き取ることができる。操作部ないし操作手段(以下、操作部という)の回転は、図示しないギヤ等の伝達手段によってスプール3に伝達される。
【0017】
また、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、図示しないクラッチ部(クラッチ手段)を有し、ユーザはクラッチ部(クラッチ手段)を操作することで、スプール3への動力伝達の接続・解放を選択することができる。スプール3への動力伝達の接続状態では、操作部による巻き取りが可能にされる。他方、スプール3への動力伝達の開放状態では、スプールを正逆方向に自由に回転させることができ、釣糸が放出可能にされる。
【0018】
また、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、所定値以上のトルクが発生した際にスプール3を空転させることで釣糸の破断を防止するドラグ部ないしドラグ手段(図示しない)や、操作部の逆回転を防止する逆回転防止部ないし逆回転防止手段(図示しない)を備えるようにしてもよい。さらに、スプール3の回転に応じて釣糸を案内する釣糸案内部の位置を往復運動させることで、釣糸を均等に巻き取るオシレータ装置(図示しない)を設けてもよい。
【0019】
スプール3は、リール本体2に対して回転可能にリール本体2に支持され、スプール3が正方向に回転することにより、スプール3の外周領域に釣糸を巻き取ることができる。他方、ルアー等を投擲する際は、スプール3が逆方向に回転し、巻回された釣糸を放出することができる。この際、釣糸の放出量がルアー等の移動量よりも多すぎると、余分な釣糸によりバックラッシュと呼ばれる糸絡みが発生し、魚釣用リール1の正常な使用を妨げる場合がある。このため、スプール3に対して後述する制動装置10による適切な制動力を付与することにより、このようなバックラッシュを防止するようにしても良い。
【0020】
被制動部4は、スプール3に固定され、制動部6による制動力を受ける。本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1では、制動部6として、永久磁石により導体板へ磁場をかけることで渦電流を発生させる、渦電流式ブレーキ方式を用いている。制動部6により被制動部4に発生する制動力は、モータ9によって調整可能となっている。
【0021】
次に、
図2を参照して、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1における制動部6の構造について説明する。図示のように、制動部6は、セットプレート7(図示しない)に回転可能に支持された回転磁石61と、セットプレート7(図示しない)に固定された固定磁石62とで構成される。回転磁石61と固定磁石62とは磁気回路を形成し、当該磁気回路で生成された磁場は導体で構成される被制動部4を貫通するように形成される。このようにして、被制動部4は、当該磁場の強さとスプール3の回転速度に比例した制動力が生じる。
【0022】
また、ギヤ等を介してモータ9で発生した動力を回転磁石61に伝達することで、回転磁石61を回転させることができる。このようにして回転磁石61を所定の位置に移動(回転磁石61の回転により
図2(A)の状態から
図2(B)の状態へ移動)させ、スプール3に固定された被制動部4への制動力を調整することで、スプール3の回転速度を調整することができる。
【0023】
なお、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1では、制動力を調整する方式に関して、特定の態様に限定されるものではない。制動力を調整する方式として、例えば、被制動部4に対して摩擦力を付与する摩擦方式や、スプール3に取り付けた永久磁石に対して、コイルによって制動力を発生させる発電ブレーキ方式など、公知の制動方式を適宜用いることができるが、これらに限られない。また、後述するように、このような制動手段は本発明の必須機能ではなく、制御回路を当該制動手段の調整以外の目的に使うことも可能である。
【0024】
また、フレーム2は、スプール3の軸方向でみて、前述の操作部を有する側のフレーム2の第1の部分と、当該操作部を有する側とは反対側のフレーム2の第2の部分とを備え、フレーム2の当該第2の部分にセットプレート7が取付け可能に構成されている。当該第1の部分はスプール3の回転軸と直交する面(第1の面と呼ぶ)を持ち、当該第1の面と平行面な面を持つ当該第2の部分は、当該第1の面と共にスプール軸を挟持する。これにより、スプール3は、一方の端部がフレーム2の第1の部分に、他方の端部がセットプレート7に、それぞれ軸受け5を介して軸支される。本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1では、フレーム2の当該第1の部分を、フレーム2の第1の側板21といい、フレームの当該第2の部分を、フレーム2の第2の側板22という。なお、第2の側板には、セットプレートやその他の構成要素が含まれる場合もあるが、特定の態様に限定されるものではない。
【0025】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1では、軽量化、費用低減、強度確保などのため、セットプレート7と中蓋8とは別の材質で形成した後、これらをビス等で固定するようにしている。これにより、セットプレート7と中蓋8との間に別の部品を収納可能としている。他方、セットプレート7と中蓋8を一体部品として、部品点数の削減を行うようにしてもよい。
【0026】
中蓋8は、反操作部側カバー14に密閉して固定されるようにして、内部に収納する構成部品への水やその他の物質の侵入を防ぐようにしている。中蓋8と反操作部側カバー14との接続部には、Oリングなどのパッキン部材や、防水両面テープ、レーザ溶着部、印籠構造や防水グリス等によって実現される防水接合部材(防水接合手段)を全周にわたって閉ループとして設けることにより、中蓋8と反操作部側カバー14とで形成される空間(内部空間)への外部からの水やその他の物質の侵入を防ぐようにしてもよい。このようにして形成した内部空間に、モータ9と、減速機構(減速ギヤ列)10と、電池11と、制御基板12と、電気部品13とを収納することで、これらの構成部品を防水可能とすることができる。
【0027】
図5に示すように、反操作部側カバー14の外側表面には、パーミング部23が形成されている。当該パーミング部23は、ユーザが手を当てて把持可能とするために、反操作部側カバー14の外側方向(第2の側板22からみて操作部24とは反対側の方向)に凸状に形成されている。例えば、パーミング部23は、反操作部側カバー14の外側方向(第2の側板22からみて操作部24とは反対側の方向)に概略球面状に凸状に形成することができるが、凸状の態様はパーミング性を考慮して種々考えられ、特定の態様に限定されるものではない。ここで、凸状とは、例えば、一般的なユーザの手のひらを丸めたときと同程度の曲率半径を持たせた概略球面の一部や楕円体であり、ユーザが手の平を当てたときに把持しやすく、違和感を与えないために、大きな突起形状や鋭角形状を無くした形状である。これにより、投擲中や操作部の操作時に、ユーザは魚釣用リールを安定して把持することができる。
【0028】
また、反操作部側カバー14自体を、反操作部側カバー14の外側方向(第2の側板22からみて操作部とは反対側の方向)に凸状に形成するようにしてもよい。このようにすることで、素材の均肉化を実現でき、反操作部側カバー14のパーミング性と作製容易性を両立させることができる。
【0029】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1では、操作部による操作で釣糸を巻回可能なスプール3と、該操作部を有し、該スプール3を軸支する第1の側板21と、該スプール3の軸方向でみて該第1の側板21と対向して配置され、該スプール3を軸支する第2の側板22と、前記操作部とは反対側の該第2の側板22を覆う反操作部側カバー14と、該第2の側板22と該反操作部側カバー14との間に配置される制御基板12と、該制御基板12と電気的に接続され、該制御基板12と該反操作部側カバー14との間に配置される電気部品13と、を備えるように構成される。
【0030】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1によれば、操作部とは反対側の側板と、反操作部側カバーとの間の空間(後述するデッドスペース)に電気部品を配置することができ、これにより、パーミング性を向上させながら装置全体の大型化を伴わずに電気部品を配置することができる魚釣用リールを提供することが可能となる。
【0031】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1では、反操作部側カバー14は、ユーザが把持可能であるように第2の側板22からみて操作部とは反対側の方向(反操作部側カバー14の外表面の方向)に凸状に形成される。これにより、投擲中や操作部の操作時に、ユーザは魚釣用リールを安定して把持することができるだけでなく、操作部とは反対側の側板と、反操作部側カバーとの間の空間に電気部品を配置することができ、これにより、パーミング性を向上させながら装置全体の大型化を伴わずに電気部品を配置することができる魚釣用リールを提供することが可能となる。
【0032】
ここで、制御基板12は、印刷などによって導体配線パターンが設けられたプリント基板と、マイコン等の制御回路によって構成される。制御基板12には、温度センサやモーションセンサ等の各種検出手段や、ボタンなどの入力手段、LEDなどの出力手段、無線通信モジュールなどの通信手段、フラッシュメモリなどの記憶手段等を有するようにしてもよい。
【0033】
これにより、魚釣用リール1の状態を検知したり、当該情報を保存したり、当該情報を外部に送信ないしは出力したりすることができる。また、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1では、モータドライバを有することで、モータ9を制御することができる。これにより、魚釣用リール1の状態に応じて、制動装置の制動力を調整することができる。なお、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1における制御基板12の役割は、制動装置の制御に限らない。魚釣用リール1の巻き上げ用モータ、ドラグ力設定用モータ、クラッチ接続・切断の切り替え用モータ等の各種モータの制御に使用するようにしてもよい。
【0034】
制御基板12を多機能化すればする程、上述のような検出手段、出力手段、入力手段、通信手段などの電気部品は増加することとなる。これらの機能をプリント基板上に実装するためには、当該プリント基板は所定以上の面積(プリント基板の延伸方向の面積)が必要となる。また、当該プリント基板は、コストや製造方法の制約から、一般的に概略矩形、概略円形、円環形などの平面状単純形状に形成される。他方、反操作部側カバー14は、上述のように外側にパーミング部を設けるため、概略球面状等凸状に形成されている。
【0035】
次に、
図3、4を参照して、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1における、反操作部側カバー14、制御基板12、及び電気部品13について更に説明する。
図3は、
図1の紙面の上下方向の下側から上側にかつ
図1の制御基板から上側を下側からみた図である。
図3に示すように、制御基板12の周り(
図3の紙面の上下、左右方向ないし制御基板12の延伸方向)には反操作部側カバー14が配置されており、制御基板12を多機能化させる程、制御基板12の面積は反操作部側カバー14の投影面積に対して、大きな割合を占めることとなる。
【0036】
図4は、
図3に示すA-A断面における断面図を示す。
図4に示すように、魚釣用リール1の小型化のためには、反操作部側カバー14の内面を制御基板12の延伸方向(
図4の紙面の左右方向)の縁部ないし端部を近接させると、デッドスペースを少なくすることができる。しかしながら、前述の通り、パーミング性を向上させるため、反操作部側カバー14の内面は凸状(例えば、概略球面状)に形成されるところ、制御基板12は、概略平面状に形成される。
【0037】
このことから、反操作部側カバー14と制御基板12とを最大限近接させたとしても、制御基板12の上面(制御基板12における
図4の紙面の上方向の面)と、反操作部側カバー14の内面との間にデッドスペース(
図4に示すLの空間領域)が生じる。以降、このスペースを凸状スペースないしレンズ状スペースLと呼ぶ。
【0038】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1では、この凸状スペースないしレンズ状スペースLに電気部品13を配置するように構成することで、当該凸状スペースないしレンズ状スペースLを有効に活用することができる。電気部品13として、例えば、ユーザへの報知音を出力可能なブザーや振動を出力可能なページャ用モータなどの報知部・手段、無線通信用アンテナや有線通信用コネクタなどの通信部・手段、LEDや液晶画面などの表示部・手段、光電池や振動発電部・手段、温度差発電部・手段等装置周辺のエネルギーを電力に変換する環境発電部・手段、ボタン電池などの電源が含まれるが、これらに限られない。
【0039】
これらの電気部品13は、電気部品単体として配置される、又は制御基板12とは独立したフレキシブルケーブルやプリント基板上に配置され、有線ケーブル等で制御基板12と電気的に接続される。
図3に示す例では、ブザーおよびフレキシブルケーブル上に印刷された無線通信用アンテナが凸状スペースないしレンズ状スペースLに配置され、両面テープ等で反操作部側カバー14の内面に貼り付けるようにして取付けることができる。
【0040】
このようにして、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1では、魚釣用リールの大型化を回避しながら、魚釣用リールの多機能化を行うことが可能となる。より具体的には、既述の通り、制御基板12は生産性向上のために平面状に構成する必要がある一方、反操作部側カバー14はパーミング性向上のために凸状(例えば、概略球面状)に構成されているため、反操作部側カバー14と制御基板12との間に凸状スペースないしレンズ状スペースLが生じる。電気部品13は、本来であればデッドスペースとなる箇所に有効に配置することができるため、制御基板12の延伸方向の大型化、ひいては半操作部側カバー14の大型化を招くことなく、魚釣用リールの多機能化を実現することができる。
【0041】
電気部品の中には、通信用アンテナ、光電池等、投影面積が大きいほど性能が良くなるものがあるが、このような電気部品を用いた場合は特に得られる効果が大きい。制御基板12の延伸方向にこれらの部品を配置すると、魚釣用リールの大型化が避けられないが、凸状スペースないしレンズ状スペースLに電気部品を配置することで、制御基板12と電気部品13は、スペースを有効に活用することができるだけでなく、少なくとも一部がこれらの厚さ方向(
図4の紙面の上下方向)に重なるように配置することで、制御基板12の延伸方向(
図3、紙面の上下・左右方向、
図4の紙面の左右方向)における小面積化を実現することが可能となる。
【0042】
また、電気部品としてブザーを用いる場合、ユーザへの報知を行い易いという利点も挙げられる。電気部品としてのブザーは、部品の振動の腹となる箇所に取り付けるとよい。これにより、ブザーを保持する部品と共にブザーが振動し、報知音を大きくすることができるからである。半操作部側カバー14は、前述のように中蓋8と密閉するようにして固定されるため、その密着面が振動の節となる。凸状スペースないしレンズ状スペースLは、密着面から遠く、振動の腹となり易いため、このようなスペースにブザーを取付けることで、報知音を大きくし易いという利点が得られる。
【0043】
また、電気部品としてページャ用モータを用いる場合、ユーザが直接把持する箇所の真裏等にページャ用モータを配置することができる。これにより、ユーザへの報知を行い易くできるという利点がある。また、電気部品としてLEDや液晶画面などの表示手段を用いる場合、表示部・手段を装置(魚釣用リール)の最外領域に配置できるため、ユーザへの報知を行い易いという利点を有する。
【0044】
また、電気部品として通信部・手段を用いる場合には、装置(魚釣用リール)の最外領域にアンテナを配置できるため、他の部品からの電波干渉を受けにくくすることができ、通信性能を向上させやすいという利点が得られる。また、通信部・手段として有線コネクタを用いた場合、装置(魚釣用リール)の最外領域に配置できるため、ユーザが抜差し操作を行い易いという利点も得られる。
【0045】
また、電気部品として環境発電部・手段を用いる場合、発電を行い易くなるという利点が得られる。環境発電部・手段として光電池を用いた場合、装置(魚釣用リール)の最外領域に光電池を配置できるため、発電性能を確保し易い。
【0046】
環境発電部・手段として振動発電部・手段を用いる場合、反操作部側カバー14の振動の腹となる箇所に振動発電部・手段を配置することができるため、同様に、発電性能を確保し易い。また、環境発電部・手段として温度差発電部・手段を用いる場合、ユーザが手で把持する箇所の近くであり、かつ外気に近い場所に温度差発電部・手段を配置することができるため、ユーザの体温で温めたり、外気で冷やしたりすることが容易となり、発電性能を確保し易い。
【0047】
また、電気部品としてボタン電池などの電池を用いる場合、装置(魚釣用リール)の最外領域に電池を配置できるため、ユーザが抜差し操作を行い易いという点も挙げられる。凸状スペースないしレンズ状スペースLに電池を配置するため、薄型のボタン電池やリチウムポリマー電池等を用いるとよい。
【0048】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0049】
1 魚釣用リール
2 フレーム(リール本体)
3 スプール
4 被制動部(被制動手段)
5 軸受け
6 制動部(制動手段)
7 セットプレート
8 中蓋
9 モータ
10 減速機構(減速ギヤ列)
11 電池
12 制御基板
13 電気部品
14 反操作部側カバー
21 第1の側板
22 第2の側板
23 パーミング部
24 操作部
61 回転磁石
62 固定磁石
【手続補正書】
【提出日】2022-10-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る
魚釣用リール1を説明する図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る制動装置10の構成を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る
魚釣用リール1の内部の一部を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る
魚釣用リール1の断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る
魚釣用リール1の反操作部側カバー13の外側表面を説明する図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
また、フレーム2は、スプール3の軸方向でみて、前述の操作部を有する側のフレーム2の第1の部分と、当該操作部を有する側とは反対側のフレーム2の第2の部分とを備え、フレーム2の当該第2の部分にセットプレート7が取付け可能に構成されている。当該第1の部分はスプール3の回転軸と直交する面(第1の面と呼ぶ)を持ち、当該第1の面と平行な面を持つ当該第2の部分は、当該第1の面と共にスプール軸を挟持する。これにより、スプール3は、一方の端部がフレーム2の第1の部分に、他方の端部がセットプレート7に、それぞれ軸受け5を介して軸支される。本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1では、フレーム2の当該第1の部分を、フレーム2の第1の側板21といい、フレーム2の当該第2の部分を、フレーム2の第2の側板22という。なお、第2の側板には、セットプレートやその他の構成要素が含まれる場合もあるが、特定の態様に限定されるものではない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
このようにして、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1では、魚釣用リールの大型化を回避しながら、魚釣用リールの多機能化を行うことが可能となる。より具体的には、既述の通り、制御基板12は生産性向上のために平面状に構成する必要がある一方、反操作部側カバー14はパーミング性向上のために凸状(例えば、概略球面状)に構成されているため、反操作部側カバー14と制御基板12との間に凸状スペースないしレンズ状スペースLが生じる。電気部品13は、本来であればデッドスペースとなる箇所に有効に配置することができるため、制御基板12の延伸方向の大型化、ひいては反操作部側カバー14の大型化を招くことなく、魚釣用リールの多機能化を実現することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
また、電気部品としてブザーを用いる場合、ユーザへの報知を行い易いという利点も挙げられる。電気部品としてのブザーは、部品の振動の腹となる箇所に取り付けるとよい。これにより、ブザーを保持する部品と共にブザーが振動し、報知音を大きくすることができるからである。反操作部側カバー14は、前述のように中蓋8と密閉するようにして固定されるため、その密着面が振動の節となる。凸状スペースないしレンズ状スペースLは、密着面から遠く、振動の腹となり易いため、このようなスペースにブザーを取付けることで、報知音を大きくし易いという利点が得られる。