(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068895
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】粘着性保持治具の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20230511BHJP
H01L 21/673 20060101ALI20230511BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
H01L21/68 B
H01L21/68 U
H01L21/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180335
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】保泉 聡
(72)【発明者】
【氏名】入澤 有次
【テーマコード(参考)】
5F047
5F131
【Fターム(参考)】
5F047FA08
5F131AA02
5F131AA04
5F131BA53
5F131BA54
5F131CA33
5F131DA03
5F131DA05
5F131DB24
5F131DB32
5F131GA05
5F131GA23
5F131GA52
5F131GA53
5F131GA68
(57)【要約】
【課題】厚さ方向の精度が高い粘着性保持治具の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、基板11と粘着剤層12とをこの順に備え、基板11と粘着剤層12とを含む凸部12aを複数備えた粘着性保持治具10の製造方法であって、基板11上に、厚さT
12が5μm以上20μm以下の粘着剤層12を形成する第1の工程と、パルス幅がフェムト秒以下のレーザー光を照射して、基板11と粘着剤層12とを一括加工することにより、凸部12aを形成する第2の工程と、を有する粘着性保持治具の製造方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と粘着剤層とをこの順に備え、前記基板と前記粘着剤層とを含む凸部を複数備えた粘着性保持治具の製造方法であって、
前記基板上に、厚さが5μm以上20μm以下の前記粘着剤層を形成する第1の工程と、
パルス幅がフェムト秒以下のレーザー光を照射して、前記基板と前記粘着剤層とを一括加工することにより、前記凸部を形成する第2の工程と、
を有する粘着性保持治具の製造方法。
【請求項2】
前記粘着剤層が、シリコーンゴムを含有する請求項1記載の粘着性保持治具の製造方法。
【請求項3】
前記凸部の高さが、10μm以上50μm以下である請求項1又は2記載の粘着性保持治具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着性保持治具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックコンデンサ、チップ抵抗、コイル、半導体ウェハ等の電子部品を回路が設けられた基板に実装するために、電子部品を粘着保持して、基板まで搬送し、離脱させる実装装置が知られている。例えば、特許文献1には、移送部が、規定温度によって粘着力が喪失又は低下する粘着シートを有し、粘着シートを素子に押し付けて貼り付けることで、素子をピックアップし、基板上に素子を接触させた後は、規定温度以上に加熱することによって、ピックアップした素子を粘着シートから剥離して一括して移送する素子実装装置が開示されている。
【0003】
近年、高画質、高エネルギー効率の観点から、マイクロLEDが回路基板に実装されたマイクロLEDディスプレイが注目されている。マイクロLEDディスプレイの製造工程においても、RGBの各色のLEDを、ディスプレイの回路基板まで移送して、回路基板と接続させるための部材として、粘着性保持治具が用いられている。このような粘着性保持治具には、各LEDに応じた粘着性の凸部が設けられているものがある。凸部を有する粘着性保持治具の製造方法としては、基材上に粘着剤層用組成物を塗布及び硬化した後、粘着剤層の表面に凹凸加工を施す方法が挙げられる。また、特許文献2には、基板に、フォトリソグラフィによって凹凸を設け、その上から、微細なノズルを用いて粘着剤を静電噴霧し、凸部の上面に粘着剤を設ける方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-68055号公報
【特許文献2】特開2019-104785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、粘着剤層の表面に凹凸加工を施す方法では、粘着剤層用ゴム組成物を例えば、数百μmの厚さに塗工して加熱硬化させるため、ゴムの収縮により端部が反り上がり、端部の粘着剤層の厚さが厚くなる。このような状態で凸部の加工を行うと、端部近傍が必要な凸部高さよりも高くなってしまう。そして、凸部高さが面内でバラツキがあると、一定の圧力で被粘着物を粘着性保持治具に押し当てても、粘着保持できない被粘着物が発生する。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、厚さ方向の精度が高い粘着性保持治具の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基板と粘着剤層とをこの順に備え、基板と粘着剤層とを含む凸部を複数備えた粘着性保持治具の製造方法であって、基板上に、厚さが5μm以上20μm以下の粘着剤層を形成する第1の工程と、パルス幅がフェムト秒以下のレーザー光を照射して、基板と粘着剤層とを一括加工することにより、凸部を形成する第2の工程と、を有する粘着性保持治具の製造方法である。
【0007】
粘着剤層は、シリコーンゴムを含有することが好ましい。
【0008】
凸部の高さは、10μm以上50μm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、厚さ方向の精度が高い粘着性保持治具を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の粘着性保持治具の製造過程を示す概略断面図である。
【
図2】本発明におけるレーザー照射過程を示す図である。
【
図4】実施例の凸部のパターンを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、以下の実施形態は例示の目的で提示するものであり、本発明は、以下に示す実施形態に何ら限定されるものではない。
【0012】
[粘着性保持治具の製造方法]
本発明の一実施形態を、
図1を参照しながら説明する。
本実施形態は、
図1に示すように、基板11と粘着剤層12とをこの順に備え、基板11と粘着剤層12とを含む凸部12a(
図1(d)参照)を複数備えた粘着性保持治具10の製造方法である。
凸部12aは、基板11とその上に形成された粘着剤層12とからなるものであり、粘着剤層12の上面で、被粘着物を粘着保持するものである。
具体的に、本発明の粘着性保持治具の製造方法は、以下の第1の工程と第2の工程とを備える。
【0013】
<第1の工程>
本実施形態の凹凸形状の粘着パターンは、以下のようにして得られる。
図1(a)及び(b)に示すように、まず、基板11を準備し、基板11上に、厚さが5μm以上20μm以下の粘着剤層12を形成する。本発明では、粘着剤層12の厚さが、5μm以上であることにより、被粘着物を良好に粘着保持することができ、また、20μm以下であることにより、端部付近における粘着剤層12の反り上がりを防止することができる。
【0014】
(基板)
基板11は、粘着剤層12を支持可能な材料で形成されていればよく、例えば、ガラス、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属製プレート、アルミニウム箔、銅箔等の金属箔、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂フィルム、又は樹脂板等を挙げることができる。さらに、基板11は上記材料のシート状物を複数積層してなる積層体とすることもできる。材料の異なる積層体とすることにより、レーザー加工時に、凸部12aにおける基板11の高さH
11(
図3参照)を調整しやすくなるという利点もある。
【0015】
本実施形態における基板11は、矩形状の盤状体であるが、基板11は、平滑な表面を有していればよく、粘着剤層12を支持することができる限り種々の設計変更に基づく各種の形態、例えば、矩形状、円形、楕円形、多角形であってよい。
基板11の大きさは、面積4cm2以上400cm2以下であることが可能である。
基板11の厚さT11は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択される。基板11の厚さT11は、例えば、0.1mm以上3mm以下であることが好ましい。
【0016】
粘着性シリコーンゴム組成物を塗工する前に、基板11と粘着剤層12との間の接着性を向上させるため、基板11上に、必要に応じて公知の方法によりプライマー層を形成してもよい。
【0017】
(粘着剤層)
粘着剤層12は、シリコーンゴムを含有することが好ましい。粘着剤層12がシリコーンゴムを含む場合、粘着剤層12は、未加硫のシリコーンゴム及び粘着剤を含有する粘着性シリコーンゴム組成物を加硫させて形成することができる。
以下に、粘着性シリコーンゴム組成物の詳細を説明する。
【0018】
-粘着性シリコーンゴム組成物-
粘着性シリコーンゴム組成物は、(A)未加硫のシリコーンゴム及び(B)粘着剤を含有する。
【0019】
--(A)未加硫のシリコーンゴム--
本発明で使用する(A)未加硫のシリコーンゴムは、一般的な付加反応型の液状シリコーンゴムである。付加反応型の液状シリコーンゴムは以下の成分からなる。
付加反応型の液状シリコーンゴムは、主成分としてビニル基を含んだオルガノポリシロキサン、補強目的としてのシリカ等の充填材、触媒として白金系触媒を含み、必要に応じて、特性を付与する目的でオルガノハイドロジェンポリシロキサン、反応制御材、シリコーンオイル、添加剤等が配合されて調製される。材料粘度は50~2000Pa・sに調整される。また、2液型の加熱硬化型の材料を使用してもよい。
【0020】
--(B)粘着剤--
(B)粘着剤としては、シリコーンゴムに添加され、同時に成形を行うことから耐熱性を有するシリコーンレジンが好ましい。シリコーンレジンは、M単位(R3SiO1/2)とQ単位(SiO4/2)を含むオルガノポリシロキサンである。Rは、水素原子、水酸基又は有機基を表し、有機溶剤に溶解しやすい観点から、メチル基であることが好ましい。また、オルガノポリシロキサンは、OH基、ビニル基、又はフェニル基を含有するものであってもよい。市販品として、例えば、信越化学工業社製のKR3701、KR3700、東レ・ダウコーニング社製のSD4580、SD4584等が挙げられる。
【0021】
粘着性シリコーンゴム組成物の粘度は、50Pa・s以上2000Pa・s以下であることが好ましい。粘度は、JIS K 7117-1:1999に準じて測定した値とする。
【0022】
その他、粘着性シリコーンゴム組成物は、触媒、希釈剤、顔料や染料等の着色剤、レベリング剤、帯電防止剤等の添加物が含有されていてもよい。
【0023】
加硫は、温度100℃~150℃で、10分、加硫を行うことによって、粘着剤層12が形成される(
図1(b)参照)
【0024】
-ゴム硬度-
上記のようにして得られた粘着剤層12のゴム硬度は、部品の保持及び部品の離脱を容易にする観点から、JIS K 6253に従って、デュロメータタイプAで測定した値で、10度以上60度以下が好ましく、25度以上50度以下がより好ましい。ゴム硬度が、10度以上であると十分な粘着力が得られ、60度以下であると部品の取り外しを容易に行うことができる。
【0025】
-粘着力-
粘着剤層12の粘着力は、被粘着物を充分に保持する観点から、後述する測定方法で測定して、1~60g/mm2が好ましく、7~60g/mm2がより好ましい。
上記の粘着力を有すると、例えば、シリコンウエハ、フレキシブルプリント基板、大画面表示装置用のガラス板、チップコンデンサ、セラミックコンデンサ、コイルフィルター、抵抗素子、導電回路、コンデンサ、LSI、インダクタ等の電子部品を容易に粘着して保持し、必要に応じて容易に取り外すことができる。
【0026】
粘着剤層12の粘着力は、以下の方法により測定することができる。
-測定方法-
粘着力の測定は、粘着剤層12の表面の少なくとも測定部位が平坦な領域で、次のとおりに行われる。まず、粘着剤層12を水平に固定し、測定環境を23±2℃、湿度50±5%に設定する。次に、デジタルフォースゲージに取り付けられた1辺が1mmの四角柱を成したステンレス鋼(SUS304)製の接触子を、下降速度10mm/分で下降させ、粘着剤層の表面に接触させる。
この接触子を表面に対して、2.5g/mm2の押込み荷重で垂直に3秒間押圧する。その後、180mm/分の上昇速度で接触子を粘着剤層の表面から垂直に引き離す。このときにデジタルフォースゲージによって引き離し荷重を読み取る。この操作を、粘着剤層12の表面の9箇所で行い、得られる複数の引き離し荷重を算術平均した値を粘着剤層12の粘着力とする。
【0027】
-表面粗さRa-
粘着剤層12の粘着領域である凸部12aの上面の表面粗さRaは、被粘着物の粘着保持及び離脱を容易にする観点から、0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.01μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
表面粗さRaは、株式会社キーエンス製 レーザー顕微鏡 VK-8710を用い、接眼レンズ20倍、対物レンズ50倍で5点測定した平均値とする。
【0028】
<第2の工程>
第2の工程は、
図1(c)に示すように、パルス幅がフェムト秒以下のレーザー光(以下、単にレーザー光Lと記載する)を照射して、基板11と粘着剤層12とを一括加工することにより、凸部12aを形成する工程である。
レーザー光Lの照射には、
図2に示すガルバノスキャナシステム20を用いることが好ましい。ガルバノスキャナシステム20は、レーザー発振器21と、コレクタレンズ22と、ガルバノミラー23及びX軸モータ24からなるX軸走査用ガルバノスキャナ25と、ガルバノミラー26及びY軸モータ27からなるY軸走査用ガルバノスキャナ28と、X軸走査用ガルバノスキャナ25及びY軸走査用ガルバノスキャナ28を制御する制御部29と、フォーカスレンズ30とを備える。
【0029】
レーザー発振器21から出射されたレーザー光Lは、コレクタレンズ22を経由し、X軸走査用ガルバノスキャナ25及びY軸走査用ガルバノスキャナ28によって進行方向が変更され、フォーカスレンズ30によって粘着剤層12の非粘着領域12bに相当する領域に集光される。X軸走査用ガルバノスキャナ25のX軸モータ24は、制御部29からの信号によって、ガルバノミラー23を適切な角度に回転させ、レーザー光LをX軸方向に走査する。同様に、Y軸モータ27は、制御部29からの信号によって、Y軸走査用ガルバノスキャナ28のガルバノミラー26を適切な角度に回転させ、レーザー光LをY軸方向に走査する。このようにして、レーザー光Lを照射することにより、粘着剤層12と基板11を一括加工して、凸部12aを形成する(
図1(d)参照)。
【0030】
上記のような、レーザー光LをX軸及びY軸に走査可能なガルバノスキャナシステム20を用いることによって、被照射物を載置するXYステージを用いることなく、一筆書きで非粘着領域12bを形成することができる。これにより、製品の設計変更等が生じた場合に、従来のリソグラフィ法による粘着パターン形成では、その都度、マスクを新たに作製する必要があったが、本発明では、その必要がなく、製造工程の簡略化が可能である。
【0031】
フェムト秒レーザーを用いることによって、熱によって、粘着剤層12に割れやデブリが生じることがなく、安定して超微細加工が可能である。特に、フェムト秒レーザーを用いることによって、凸部12aの形状を安定させることが可能となる。
【0032】
図3に示すように、凸部12aの高さH
12aは、凸部12aの上面と、非粘着領域12bの表面、すなわち、凹部の底面との垂直方向の距離を示す。凸部12aの高さH
12aは、株式会社キーエンス製レーザー顕微鏡 VK-8710を用いて、5点を測定した値の平均値とする。
凸部12aの高さH
12aは、10μm以上50μm以下であることが好ましい。10μm以上であることにより、非粘着領域12bが、粘着保持対象でない部品等を粘着させることなく、保持対象物のみを選択的に確実に粘着させることができる。また、50μm以下であることにより、凸部12aが、保持対象物に押し付けられたときに屈曲することなく、確実に保持対象物を粘着保持することができる。
また、凸部12aにおける基板11の高さH
11は、凸部12aの高さH
12aと、粘着剤層12の厚さT
12との関係、及び凸部の強度等を考慮して、20μm以上40μm以下であることが好ましい。
【0033】
<被粘着物>
粘着性保持治具10は、少なくとも表面が金属、半導体、又は樹脂からなる部品の保持及び剥離が可能である。また、粘着性保持治具10は、上記のように、極小な表面積の凸部12aを有することから、微小な部品も粘着保持させることができる。被粘着物は、粘着剤層12と接触する面の面積が、400μm2~40000μm2程度である。
【実施例0034】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。
[実施例1]
(プライマー層の形成)
スピンコーター(商品名「スピンコーターMS-B300」、ミカサ株式会社製)に設置したガラス基板(厚み0.8mm、縦40mm×横40mm)上に、適量のプライマー液(信越化学工業株式会社製X-33-156-20)を滴下した後、1000回転、20秒でスピンコートして、プライマー層を形成した。さらに乾燥機にて150℃、10分間の焼き付け処理を行った。
【0035】
(粘着性シリコーンゴム組成物の調製)
次に、以下の材料を用いて、粘着性シリコーンゴム組成物を調製した。
(A)未加硫のシリコーンゴム:KE-1950-30 100部
(B)粘着剤:KR-3700 20部
【0036】
(粘着剤層の形成)
上記粘着性シリコーンゴム組成物を、プライマー層の上に適量滴下し、スピンコーター(商品名「スピンコーターMS-B300」、ミカサ株式会社製)にて1000回転、20秒でスピンコートして、粘着剤層を形成した。さらに、乾燥機にて120℃10分間硬化させた。次に、乾燥機にて200℃、60分間のアフターキュアを行った。
粘着剤層の厚さT12は、10μmであった。
【0037】
次に、フェムト秒レーザー(パルス幅:600fs、パルスエネルギー:40μJ)を、ガルバノスキャナシステムを用いて、粘着剤層の非粘着面に相当する領域に照射して、粘着剤層と基板を一括加工した。
このようにして、
図4に示すような、高さ40μm、30μm×30μmの粘着面を有する凸部を150μmピッチで形成した。
粘着領域となる凸部における基板の高さH
11は、30μmであり、粘着剤層の厚さT
12は、10μmであり、凸部の高さH
12aは40μmであった。
【0038】
粘着剤層の厚さT12は、シリコーンゴム成形前の基材の厚みと成形後の厚みを、レーザー変位計(商品名「LT-9030M」、株式会社キーエンス製)で測定し、その差から算出した。
凸部の高さH12aは、レーザー顕微鏡(商品名「VK-8710」、株式会社キーエンス製)を用い、接眼レンズ20倍、対物レンズ50倍で測定した。
高さH11は、H12aからT12を差し引いて求めた。
【0039】
[比較例1]
(プライマー層の形成)
スピンコーター(商品名「スピンコーターMS-B300」、ミカサ株式会社製)に設置したガラス基板(厚み0.7mm、縦40mm×横40mm)上に、適量のプライマー液(信越化学工業株式会社製X-33-156-20)を滴下した後、1000回転、20秒でスピンコートして、プライマー層を形成した。さらに乾燥機にて150℃、10分間の焼き付け処理を行った。
【0040】
(粘着性シリコーンゴム組成物の調製)
次に、以下の材料を用いて、粘着性シリコーンゴム組成物を調製した。
(A)未加硫のシリコーンゴム:KE-1950-30 100部
(B)粘着剤:KR-3700 20部
【0041】
(粘着剤層の形成)
上記粘着性シリコーンゴム組成物を、プライマー層の上に適量滴下し、プレス成形にて120℃10分間硬化させた。次に、乾燥機にて200℃、60分間のアフターキュアを行った。
粘着剤層の厚さT12は、300μmであった。
【0042】
次に、フェムト秒レーザー(パルス幅:600fs、パルスエネルギー:40μJ)を、ガルバノスキャナシステムを用いて、粘着剤層の非粘着面に相当する領域に照射して、粘着剤層を加工した。
このようにして、
図4に示すような、高さ40μm、30μm×30μmの粘着面を有する凸部を150μmピッチで形成した。
【0043】
(評価)
実施例1と比較例1の粘着性保持治具の全体厚について、レーザー変位計(商品名「LT-9030M」、株式会社キーエンス製)で、5点測定した。
実施例1の粘着性保持治具全体の最大厚と最小厚の差は、4μmであった。
一方、比較例1の粘着性保持治具全体の最大厚と最小厚の差は、37μmであった。
このように、本発明の粘着性保持治具は、厚さ方向の精度が高いことがわかる。