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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068924
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】電磁弁マニホールド
(51)【国際特許分類】
   F16K 35/00 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
F16K35/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180382
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 新治
(72)【発明者】
【氏名】岡本 信一
(72)【発明者】
【氏名】荻野 育朗
【テーマコード(参考)】
3H064
【Fターム(参考)】
3H064AA04
3H064BA06
3H064CA10
3H064CA19
3H064DA04
(57)【要約】
【課題】流体圧機器に対して給排される流体の流量を十分に確保しつつも、流体圧機器の動作を停止させること。
【解決手段】電磁弁11は、手動操作により、スプール弁30の弁孔17に対する移動を許容する第1切換位置と、出力流路とアクチュエータX1との間の流体の圧力を維持するべくスプール弁30の弁孔に対する移動を規制する第2切換位置と、に切換可能な手動軸40を備えている。手動軸40は、弁孔17に出没可能な凸部45を有している。スプール弁30は、スプール弁30の外面に第1凹部31及び第2凹部32を有している。手動軸40は、第2切換位置に位置すると、凸部45が弁孔17内に突出して第1凹部31又は第2凹部32に係止されることによりスプール弁30の弁孔17に対する移動を規制する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁弁と、
前記電磁弁を搭載するとともに供給流路、出力流路、及び排出流路が形成されたマニホールドベースと、を備え、
前記電磁弁は、
弁孔が形成されたケーシングと、
前記弁孔に移動可能に収容される弁体と、
前記ケーシングに形成されるとともに前記弁孔にそれぞれ連通する供給ポート、出力ポート、及び排出ポートと、を有し、
前記供給ポートは、前記供給流路に連通しており、
前記出力ポートは、前記出力流路に連通しており、
前記排出ポートは、前記排出流路に連通しており、
前記出力流路を流れる流体によって前記出力流路に接続された流体圧機器の動作を行う電磁弁マニホールドであって、
前記電磁弁は、手動操作により、前記弁体の前記弁孔に対する移動を許容する第1切換位置と、前記出力流路と前記流体圧機器との間の流体の圧力を維持するべく前記弁体の前記弁孔に対する移動を規制する第2切換位置と、に切換可能な手動軸を備え、
前記手動軸は、前記弁孔に出没可能な凸部を有し、
前記弁体は、前記弁体の外面に少なくとも1つの凹部を有し、
前記手動軸は、前記第2切換位置に位置すると、前記凸部が前記弁孔内に突出して前記凹部に係止されることにより前記弁体の前記弁孔に対する移動を規制することを特徴とする電磁弁マニホールド。
【請求項2】
前記電磁弁には、前記手動軸が前記第2切換位置に位置した状態で、前記手動軸の手動操作を不能にするために施錠される施錠部材が取り付け可能になっている請求項1に記載の電磁弁マニホールド。
【請求項3】
前記ケーシングは、前記手動軸が移動可能に収容される軸孔を有し、
前記軸孔は、前記ケーシングの一面に開口する開口部を有し、
前記手動軸は、前記開口部を介して手動操作され、
前記ケーシングは、前記手動軸が前記第2切換位置に位置するときに、前記軸孔における前記手動軸よりも前記開口部寄りの部分に連通するように前記ケーシングを貫通する一対の貫通孔を有し、
前記一対の貫通孔は、前記軸孔の軸線を挟んだ両側にそれぞれ位置しており、
前記一対の貫通孔には、前記手動軸が前記第2切換位置に位置するときに、前記施錠部材である南京錠の腕部が前記開口部の一部を閉塞した状態で挿通可能である請求項2に記載の電磁弁マニホールド。
【請求項4】
前記電磁弁は、
前記軸孔の内側に突出する挿入部材と、
前記軸孔内に収容されるとともに前記手動軸を前記第1切換位置に向けて付勢する付勢力を前記手動軸に付与する付勢部材と、を有し、
前記手動軸は、
前記挿入部材が挿入された状態で前記手動軸における前記軸孔に対する移動を許容するとともに前記手動軸における前記軸孔内での前記手動軸の軸線を回転中心とした回転を規制するノンロック孔と、
前記ノンロック孔に前記挿入部材が挿入された状態で、前記付勢部材の付勢力に抗して、前記手動軸が前記第1切換位置から前記第2切換位置まで移動した後に、前記挿入部材が挿入された状態で前記手動軸における前記軸孔内での前記手動軸の軸線を回転中心とした回転を許容し、前記手動軸の回転後に前記手動軸における前記付勢部材の付勢力による前記第1切換位置に向けた移動を規制するロック孔と、
前記開口部の一部を閉塞する前記腕部が係止される被係止部と、を有し、
前記手動軸は、前記手動軸が前記第2切換位置に位置し、且つ前記ロック孔によって前記手動軸における前記付勢部材の付勢力による前記第1切換位置に向けた移動が規制されているときに、前記腕部が前記被係止部に係止されることにより前記手動軸の回転が規制される請求項3に記載の電磁弁マニホールド。
【請求項5】
前記一対の貫通孔の軸心は一致しており、
前記被係止部は、前記手動軸が前記第2切換位置に位置し、且つ前記ロック孔によって前記手動軸における前記付勢部材の付勢力による前記第1切換位置に向けた移動が規制されているとき、前記手動軸の端面を前記一対の貫通孔の軸心が延びる方向と同一方向へ横切る溝である請求項4に記載の電磁弁マニホールド。
【請求項6】
前記手動軸は、
前記ノンロック孔及び前記ロック孔を有する軸本体部と、
前記凸部を有するとともに前記軸本体部と一体的に前記軸孔内を移動可能であり、且つ前記軸本体部における前記弁孔側の端部に取り付けられたストッパ部材と、を有し、
前記凸部は、平板状であり、
前記軸本体部は、前記ストッパ部材に対して、前記軸本体部の軸線を回転中心とした回転が可能であり、
前記ケーシングは、前記弁孔と前記軸孔とを連通するとともに前記凸部が挿通可能な挿通孔を有し、
前記挿通孔は、前記手動軸における前記第1切換位置と前記第2切換位置との間の移動の際に前記凸部を案内するとともに、前記手動軸が前記第1切換位置から前記第2切換位置まで移動した後に、前記挿入部材が挿入された状態で前記軸本体部における前記軸孔内での前記軸本体部の軸線を回転中心とした回転が前記ロック孔によって許容されるときに、前記ストッパ部材における前記軸本体部との連れ回りを規制する請求項4又は請求項5に記載の電磁弁マニホールド。
【請求項7】
前記出力流路は、第1出力流路及び第2出力流路を含み、
前記出力ポートは、前記第1出力流路に連通する第1出力ポート、及び前記第2出力流路に連通する第2出力ポートを含み、
前記弁体は、
前記供給ポートと前記第1出力ポートとを連通し、且つ前記第2出力ポートと前記排出ポートとを連通し、さらには、前記供給ポートと前記第2出力ポートとの間が遮断されるとともに、前記第1出力ポートと前記排出ポートとの間が遮断される第1位置と、
前記供給ポートと前記第2出力ポートとを連通し、且つ前記第1出力ポートと前記排出ポートとを連通し、さらには、前記供給ポートと前記第1出力ポートとの間が遮断されるとともに、前記第2出力ポートと前記排出ポートとの間が遮断される第2位置と、に切換可能であり、
前記弁体は、前記弁体の外面に前記凹部を2つ有し、
前記手動軸は、前記弁体が第1位置に位置するときに、前記第2切換位置に位置すると、前記凸部が前記弁孔内に突出して前記2つの凹部のうちの一方に係止されることにより前記弁体の前記弁孔に対する移動を規制するとともに、前記弁体が第2位置に位置するときに、前記第2切換位置に位置すると、前記凸部が前記弁孔内に突出して前記2つの凹部のうちの他方に係止されることにより前記弁体の前記弁孔に対する移動を規制する請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の電磁弁マニホールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁マニホールドに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁弁マニホールドは、電磁弁と、電磁弁を搭載するマニホールドベースと、を備えている。マニホールドベースには、供給流路、出力流路、及び排出流路が形成されている。電磁弁は、ケーシングと、弁体と、を有している。ケーシングには、弁孔と、供給ポート、出力ポート、及び排出ポートと、が形成されている。供給ポート、出力ポート、及び排出ポートは、弁孔にそれぞれ連通している。供給ポートは、マニホールドベースの供給流路に連通している。出力ポートは、マニホールドベースの出力流路に連通している。排出ポートは、マニホールドベースの排出流路に連通している。弁体は、弁孔に移動可能に収容されている。そして、弁体が弁孔内を移動することにより、各ポート間の連通が切り換えられ、出力流路を流れる流体によって出力流路に接続された流体圧機器の動作が行われる。
【0003】
ここで、例えば特許文献1には、マニホールドベース及び電磁弁の間にストッパバルブが介在されている電磁弁マニホールドが開示されている。ストッパバルブは、第1切換位置と第2切換位置とに切換可能なスプールを備えている。そして、例えば、スプールが第1切換位置に切り換わると、供給ポートと供給流路との連通、出力ポートと出力流路との連通、及び排出ポートと排出流路との連通それぞれが許容される。一方で、例えば、スプールが第2切換位置に切り換わると、供給ポートと供給流路との連通、及び排出ポートと排出流路との連通それぞれが遮断される。また、スプールが第2切換位置に位置している場合、出力ポートと出力流路との連通は許容されている。したがって、スプールが第2切換位置に位置すると、出力ポートと出力流路との連通のみが許容されている。そして、スプールが第2切換位置に位置すると、排出ポートと排出流路との連通が遮断されているため、出力流路の流体が、出力ポート及び出力流路を介して排出流路から外部へ排出されることが無い。その結果、出力流路と流体圧機器との間の流体の圧力が維持されることになり、流体圧機器の動作が停止されることになる。このような電磁弁マニホールドによれば、例えば、作業者がメンテナンス作業を行う際に、スプールを第2切換位置に切り換えることで、流体圧機器の動作を停止させておくことができるため、作業者が安全にメンテナンス作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61-197364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、流体がストッパバルブを経由する分だけ、例えば、流体の圧力損失が生じる場合がある。すると、流体圧機器に対して給排される流体の流量を十分に確保できなくなる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための電磁弁マニホールドは、電磁弁と、前記電磁弁を搭載するとともに供給流路、出力流路、及び排出流路が形成されたマニホールドベースと、を備え、前記電磁弁は、弁孔が形成されたケーシングと、前記弁孔に移動可能に収容される弁体と、前記ケーシングに形成されるとともに前記弁孔にそれぞれ連通する供給ポート、出力ポート、及び排出ポートと、を有し、前記供給ポートは、前記供給流路に連通しており、前記出力ポートは、前記出力流路に連通しており、前記排出ポートは、前記排出流路に連通しており、前記出力流路を流れる流体によって前記出力流路に接続された流体圧機器の動作を行う電磁弁マニホールドであって、前記電磁弁は、手動操作により、前記弁体の前記弁孔に対する移動を許容する第1切換位置と、前記出力流路と前記流体圧機器との間の流体の圧力を維持するべく前記弁体の前記弁孔に対する移動を規制する第2切換位置と、に切換可能な手動軸を備え、前記手動軸は、前記弁孔に出没可能な凸部を有し、前記弁体は、前記弁体の外面に少なくとも1つの凹部を有し、前記手動軸は、前記第2切換位置に位置すると、前記凸部が前記弁孔内に突出して前記凹部に係止されることにより前記弁体の前記弁孔に対する移動を規制する。
【0007】
上記電磁弁マニホールドにおいて、前記電磁弁には、前記手動軸が前記第2切換位置に位置した状態で、前記手動軸の手動操作を不能にするために施錠される施錠部材が取り付け可能になっているとよい。
【0008】
上記電磁弁マニホールドにおいて、前記ケーシングは、前記手動軸が移動可能に収容される軸孔を有し、前記軸孔は、前記ケーシングの一面に開口する開口部を有し、前記手動軸は、前記開口部を介して手動操作され、前記ケーシングは、前記手動軸が前記第2切換位置に位置するときに、前記軸孔における前記手動軸よりも前記開口部寄りの部分に連通するように前記ケーシングを貫通する一対の貫通孔を有し、前記一対の貫通孔は、前記軸孔の軸線を挟んだ両側にそれぞれ位置しており、前記一対の貫通孔には、前記手動軸が前記第2切換位置に位置するときに、前記施錠部材である南京錠の腕部が前記開口部の一部を閉塞した状態で挿通可能であるとよい。
【0009】
上記電磁弁マニホールドにおいて、前記電磁弁は、前記軸孔の内側に突出する挿入部材と、前記軸孔内に収容されるとともに前記手動軸を前記第1切換位置に向けて付勢する付勢力を前記手動軸に付与する付勢部材と、を有し、前記手動軸は、前記挿入部材が挿入された状態で前記手動軸における前記軸孔に対する移動を許容するとともに前記手動軸における前記軸孔内での前記手動軸の軸線を回転中心とした回転を規制するノンロック孔と、前記ノンロック孔に前記挿入部材が挿入された状態で、前記付勢部材の付勢力に抗して、前記手動軸が前記第1切換位置から前記第2切換位置まで移動した後に、前記挿入部材が挿入された状態で前記手動軸における前記軸孔内での前記手動軸の軸線を回転中心とした回転を許容し、前記手動軸の回転後に前記手動軸における前記付勢部材の付勢力による前記第1切換位置に向けた移動を規制するロック孔と、前記開口部の一部を閉塞する前記腕部が係止される被係止部と、を有し、前記手動軸は、前記手動軸が前記第2切換位置に位置し、且つ前記ロック孔によって前記手動軸における前記付勢部材の付勢力による前記第1切換位置に向けた移動が規制されているときに、前記腕部が前記被係止部に係止されることにより前記手動軸の回転が規制されるとよい。
【0010】
上記電磁弁マニホールドにおいて、前記一対の貫通孔の軸心は一致しており、前記被係止部は、前記手動軸が前記第2切換位置に位置し、且つ前記ロック孔によって前記手動軸における前記付勢部材の付勢力による前記第1切換位置に向けた移動が規制されているとき、前記手動軸の端面を前記一対の貫通孔の軸心が延びる方向と同一方向へ横切る溝であるとよい。
【0011】
上記電磁弁マニホールドにおいて、前記手動軸は、前記ノンロック孔及び前記ロック孔を有する軸本体部と、前記凸部を有するとともに前記軸本体部と一体的に前記軸孔内を移動可能であり、且つ前記軸本体部における前記弁孔側の端部に取り付けられたストッパ部材と、を有し、前記凸部は、平板状であり、前記軸本体部は、前記ストッパ部材に対して、前記軸本体部の軸線を回転中心とした回転が可能であり、前記ケーシングは、前記弁孔と前記軸孔とを連通するとともに前記凸部が挿通可能な挿通孔を有し、前記挿通孔は、前記手動軸における前記第1切換位置と前記第2切換位置との間の移動の際に前記凸部を案内するとともに、前記手動軸が前記第1切換位置から前記第2切換位置まで移動した後に、前記挿入部材が挿入された状態で前記軸本体部における前記軸孔内での前記軸本体部の軸線を回転中心とした回転が前記ロック孔によって許容されるときに、前記ストッパ部材における前記軸本体部との連れ回りを規制するとよい。
【0012】
上記電磁弁マニホールドにおいて、前記出力流路は、第1出力流路及び第2出力流路を含み、前記出力ポートは、前記第1出力流路に連通する第1出力ポート、及び前記第2出力流路に連通する第2出力ポートを含み、前記弁体は、前記供給ポートと前記第1出力ポートとを連通し、且つ前記第2出力ポートと前記排出ポートとを連通し、さらには、前記供給ポートと前記第2出力ポートとの間が遮断されるとともに、前記第1出力ポートと前記排出ポートとの間が遮断される第1位置と、前記供給ポートと前記第2出力ポートとを連通し、且つ前記第1出力ポートと前記排出ポートとを連通し、さらには、前記供給ポートと前記第1出力ポートとの間が遮断されるとともに、前記第2出力ポートと前記排出ポートとの間が遮断される第2位置と、に切換可能であり、前記弁体は、前記弁体の外面に前記凹部を2つ有し、前記手動軸は、前記弁体が第1位置に位置するときに、前記第2切換位置に位置すると、前記凸部が前記弁孔内に突出して前記2つの凹部のうちの一方に係止されることにより前記弁体の前記弁孔に対する移動を規制するとともに、前記弁体が第2位置に位置するときに、前記第2切換位置に位置すると、前記凸部が前記弁孔内に突出して前記2つの凹部のうちの他方に係止されることにより前記弁体の前記弁孔に対する移動を規制するとよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、流体圧機器に対して給排される流体の流量を十分に確保しつつも、流体圧機器の動作を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態における電磁弁マニホールドを示す断面図である。
図2】電磁弁マニホールドの一部を拡大して示す断面図である。
図3】スプール弁が第2位置に位置するときの流体の流れを示す断面図である。
図4】操作ブロックを示す分解斜視図である。
図5】手動軸が第2切換位置に位置するときの流体の流れを示す断面図である。
図6】手動軸が第1切換位置に位置するときの操作部材の一部を破断して示す斜視図である。
図7】手動軸が第2切換位置に位置するときの操作部材の一部を破断して示す斜視図である。
図8】南京錠が操作部材に取り付けられている状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、電磁弁マニホールドを具体化した一実施形態を図1図8にしたがって説明する。
<電磁弁マニホールド10の全体構成>
図1に示すように、電磁弁マニホールド10は、電磁弁11と、四角ブロック状のマニホールドベース50と、を備えている。電磁弁11は、マニホールドベース50の搭載面50aに搭載されている。したがって、マニホールドベース50は、電磁弁11を搭載する。電磁弁11は、マニホールドベース50と共に電磁弁マニホールド10を構成している。
【0016】
<電磁弁11の構成>
電磁弁11は、細長四角ブロック状のケーシングC1を有している。ケーシングC1は、バルブケーシング12と、操作ブロック14と、を有している。バルブケーシング12は、細長四角ブロック状のケーシング本体13と、第1連結ブロック15と、第2連結ブロック16と、を有している。
【0017】
ケーシング本体13は、例えば、アルミ合金製である。操作ブロック14、第1連結ブロック15、及び第2連結ブロック16は、例えば、合成樹脂材料製である。ケーシング本体13は、マニホールドベース50に対向する本体対向面13aを有している。
【0018】
操作ブロック14は、ケーシング本体13の第1端面に連結されている。操作ブロック14は、操作ブロック14の短手方向がケーシング本体13の長手方向に一致した状態で、ケーシング本体13の第1端面に連結されている。第1連結ブロック15は、操作ブロック14の短手方向の第1端面に連結されている。操作ブロック14の短手方向の第1端面は、操作ブロック14におけるケーシング本体13とは反対側の面である。第2連結ブロック16は、ケーシング本体13の長手方向の第2端面に連結されている。
【0019】
<弁孔17について>
図2に示すように、バルブケーシング12には、円孔状の弁孔17が形成されている。したがって、ケーシングC1には、弁孔17が形成されている。弁孔17は、第1弁孔18と、第2弁孔19と、によって構成されている。第1弁孔18は、ケーシング本体13に形成されている。第1弁孔18は、ケーシング本体13の長手方向に延びている。第1弁孔18の第1端部は、ケーシング本体13の長手方向の第1端面に開口している。第1弁孔18の第2端部は、ケーシング本体13の長手方向の第2端面に開口している。よって、第1弁孔18は、ケーシング本体13の長手方向に貫通している。
【0020】
第2弁孔19は、操作ブロック14に形成されている。第2弁孔19は、操作ブロック14を操作ブロック14の短手方向に貫通している。第2弁孔19は、第1弁孔18に連通している。第1弁孔18の軸線と第2弁孔19の軸線とは互いに一致している。第1弁孔18及び第2弁孔19は、ケーシングC1の長手方向に延びている。したがって、弁孔17は、ケーシングC1の長手方向に延びている。弁孔17の軸線L1は、ケーシングC1の長手方向に延びている。弁孔17の第1端部は、操作ブロック14の短手方向の第1端面に開口している。弁孔17の第2端部は、ケーシング本体13の長手方向の第2端面に開口している。よって、弁孔17は、ケーシング本体13及び操作ブロック14を貫通している。弁孔17内には、弁体としてのスプール弁30が弁孔17内を往復動可能な状態で収容されている。したがって、スプール弁30は、弁孔17に移動可能に収容されている。
【0021】
ケーシング本体13には、第1弁孔18にそれぞれ連通する供給ポートP1、第1出力ポートA1、第2出力ポートA2、第1排出ポートR1、及び第2排出ポートR2が形成されている。よって、供給ポートP1、第1出力ポートA1、第2出力ポートA2、第1排出ポートR1、及び第2排出ポートR2は、弁孔17にそれぞれ連通している。
【0022】
したがって、電磁弁11は、ケーシングC1に形成されるとともに弁孔17にそれぞれ連通する供給ポートP1、第1出力ポートA1、第2出力ポートA2、第1排出ポートR1、及び第2排出ポートR2を有している。第1出力ポートA1及び第2出力ポートA2は、ケーシングC1に形成された出力ポートである。したがって、出力ポートは、第1出力ポートA1及び第2出力ポートA2を含む。第1排出ポートR1及び第2排出ポートR2は、ケーシングC1に形成された排出ポートである。本実施形態の電磁弁11は、5ポート電磁弁である。
【0023】
供給ポートP1、第1出力ポートA1、第2出力ポートA2、第1排出ポートR1、及び第2排出ポートR2は、ケーシング本体13の長手方向の第1端から第2端に向かうにつれて、第1排出ポートR1、第1出力ポートA1、供給ポートP1、第2出力ポートA2、及び第2排出ポートR2の順に並んでケーシング本体13に形成されている。供給ポートP1、第1出力ポートA1、第2出力ポートA2、第1排出ポートR1、及び第2排出ポートR2それぞれの第1端は弁孔17に連通している。供給ポートP1、第1出力ポートA1、第2出力ポートA2、第1排出ポートR1、及び第2排出ポートR2それぞれの第2端は、ケーシング本体13の本体対向面13aに開口している。
【0024】
<第1ピストン21及び第2ピストン22について>
電磁弁11は、第1ピストン21と、第2ピストン22と、を有している。第1ピストン21は、円板状である。第1ピストン21は、スプール弁30の第1端に連結されている。第1ピストン21は、スプール弁30と一体的に移動する。第2ピストン22は、円板状である。第2ピストン22は、スプール弁30の第2端に連結されている。第2ピストン22は、スプール弁30と一体的に移動する。
【0025】
<第1パイロット圧作用室23及び第2パイロット圧作用室24について>
第1連結ブロック15には、円孔状の第1ピストン収容凹部15aが形成されている。第1ピストン収容凹部15aには、第1ピストン21が往復動可能に収容されている。そして、第1ピストン収容凹部15aと第1ピストン21とによって第1パイロット圧作用室23が区画されている。第1パイロット圧作用室23には、パイロット流体が給排される。
【0026】
第2連結ブロック16には、円孔状の第2ピストン収容凹部16aが形成されている。第2ピストン収容凹部16aには、第2ピストン22が往復動可能に収容されている。そして、第2ピストン収容凹部16aと第2ピストン22とによって第2パイロット圧作用室24が区画されている。第2パイロット圧作用室24には、パイロット流体が給排される。
【0027】
図1に示すように、電磁弁11は、第1パイロット弁V1と、第2パイロット弁V2と、を有している。したがって、電磁弁11は、ダブルソレノイドタイプのパイロット形電磁弁である。第1パイロット弁V1及び第2パイロット弁V2に対する電圧の印加は、例えば、図示しないプログラマブルロジックコントローラ(PLC)等の外部制御機器によって行われる。
【0028】
<第1位置及び第2位置について>
スプール弁30は、第1位置と、第2位置と、に切り換え可能である。例えば、第1パイロット弁V1への電圧の印加が行われており、第2パイロット弁V2への電圧の印加が停止されているとする。すると、第1パイロット弁V1によって、図示しない流体供給源からの圧縮された流体が第1パイロット圧作用室23にパイロット流体として供給される。一方で、第2パイロット弁V2によって、第2パイロット圧作用室24内のパイロット流体が大気へ排出される。これにより、スプール弁30が第2ピストン収容凹部16aに向けて移動する。その結果、スプール弁30は、供給ポートP1と第1出力ポートA1とを連通し、且つ第2出力ポートA2と第2排出ポートR2とを連通する第1位置に切り換わる。また、スプール弁30が第1位置に切り換わると、供給ポートP1と第2出力ポートA2との間が遮断されるとともに、第1出力ポートA1と第1排出ポートR1との間が遮断される。なお、図1では、流体の流れをドットハッチングで示している。
【0029】
図3に示すように、例えば、第1パイロット弁V1への電圧の印加が停止されており、第2パイロット弁V2への電圧の印加が行われているとする。すると、第2パイロット弁V2によって、流体供給源からの圧縮された流体が第2パイロット圧作用室24にパイロット流体として供給される。一方で、第1パイロット弁V1によって、第1パイロット圧作用室23内のパイロット流体が大気へ排出される。これにより、スプール弁30が第1ピストン収容凹部15aに向けて移動する。その結果、スプール弁30は、供給ポートP1と第2出力ポートA2とを連通し、且つ第1出力ポートA1と第1排出ポートR1とを連通する第2位置に切り換わる。また、スプール弁30が第2位置に切り換わると、供給ポートP1と第1出力ポートA1との間が遮断されるとともに、第2出力ポートA2と第2排出ポートR2との間が遮断される。
【0030】
よって、第1パイロット弁V1における第1パイロット圧作用室23に対するパイロット流体の給排、及び第2パイロット弁V2における第2パイロット圧作用室24に対するパイロット流体の給排が行われることにより、スプール弁30が第1位置と第2位置との間で弁孔17を往復動する。そして、スプール弁30が第1位置と第2位置とに切り換わることにより、各ポート間の連通が切り換えられる。
【0031】
<マニホールドベース50の構成>
図1及び図2に示すように、マニホールドベース50には、供給流路51、第1出力流路52、第2出力流路53、第1排出流路54、及び第2排出流路55、が形成されている。第1出力流路52及び第2出力流路53は、マニホールドベース50に形成された出力流路である。したがって、出力流路は、第1出力流路52及び第2出力流路53を含む。第1排出流路54及び第2排出流路55は、マニホールドベース50に形成された排出流路である。供給流路51、第1出力流路52、第2出力流路53、第1排出流路54、及び第2排出流路55は、搭載面50aに開口している。供給ポートP1は、供給流路51に連通している。第1出力ポートA1は、第1出力流路52に連通している。第2出力ポートA2は、第2出力流路53に連通している。したがって、出力ポートは、第1出力ポートA1及び第2出力ポートA2を含む。第1排出ポートR1は、第1排出流路54に連通している。第2排出ポートR2は、第2排出流路55に連通している。
【0032】
供給流路51における搭載面50aとは反対側の端部は、例えば、配管等を介して、図示しない流体供給源に接続されている。第1出力流路52における搭載面50aとは反対側の端部は、第1配管T1を介して、流体圧機器としてのアクチュエータX1に接続されている。なお、第1配管T1は、第1継手T10を介してマニホールドベース50に接続されている。第2出力流路53における搭載面50aとは反対側の端部は、第2配管T2を介して、アクチュエータX1に接続されている。なお、第2配管T2は、第2継手T20を介してマニホールドベース50に接続されている。第1出力流路52における搭載面50aとは反対側の端部、及び第2出力流路53における搭載面50aとは反対側の端部は、マニホールドベース50の一側面50bに開口している。第1排出流路54における搭載面50aとは反対側の端部、及び第2排出流路55における搭載面50aとは反対側の端部は、大気にそれぞれ連通している。
【0033】
なお、アクチュエータX1は、シリンダチューブX2を備えている。シリンダチューブX2内には、ピストンX3が往復動可能に収容されている。ピストンX3には、ピストンロッドX4が一体的に設けられている。ピストンロッドX4は、シリンダチューブX2に対して出没可能である。シリンダチューブX2内は、ピストンX3によって第1圧力作用室X5と、第2圧力作用室X6と、に区画されている。ピストンロッドX4は、ピストンX3に一体的に設けられている。第1出力流路52は、第1配管T1を介して第1圧力作用室X5に連通している。第2出力流路53は、第2配管T2を介して第2圧力作用室X6に連通している。
【0034】
<第1凹部31及び第2凹部32について>
図2に示すように、スプール弁30は、第1端に円柱状の突出部30aを有している。突出部30aの外周面には、凹部としての第1凹部31及び第2凹部32が形成されている。よって、スプール弁30は、スプール弁30の外周面に凹部を2つ有している。第1凹部31及び第2凹部32は、突出部30aの外周面における周方向の全周に亘ってそれぞれ延びている。第1凹部31及び第2凹部32は、スプール弁30の第1端から第2端に向かうにつれて、第1凹部31及び第2凹部32の順に配置されている。
【0035】
<軸孔33の構成>
操作ブロック14には、円孔状の軸孔33が形成されている。軸孔33は、操作ブロック14の長手方向に延びている。軸孔33の第1端は、操作ブロック14の長手方向の端面である第1端面140に開口している。したがって、軸孔33は、ケーシングC1の一面に開口する開口部33aを有している。
【0036】
<挿通孔14hについて>
操作ブロック14は、弁孔17と軸孔33とを連通する挿通孔14hを有している。したがって、ケーシングC1は、挿通孔14hを有している。挿通孔14hは、スプール弁30が第1位置に位置するとき、操作ブロック14の長手方向で第1凹部31と並ぶ。また、図3に示すように、挿通孔14hは、スプール弁30が第2位置に位置するとき、操作ブロック14の長手方向で第2凹部32と並ぶ。
【0037】
<手動軸40の構成>
図2に示すように、電磁弁11は、軸孔33に移動可能に収容される手動軸40を備えている。したがって、ケーシングC1は、手動軸40が移動可能に収容される軸孔33を有している。手動軸40は、円柱状である。
【0038】
手動軸40は、軸本体部41と、ストッパ部材42と、を有している。軸本体部41は、円柱状である。軸本体部41は、アンカー部43を有している。アンカー部43は、軸本体部41における挿通孔14h側の端部から突出している。
【0039】
図4に示すように、ストッパ部材42は、略円柱状の保持部44と、平板状の凸部45と、を有している。保持部44には、スリット部44aが形成されている。スリット部44aは、保持部44を軸線方向で平面視したとき、保持部44の中心から外周面へと開口して延びるように形成されている。ストッパ部材42の保持部44は、スリット部44aの開口を介してアンカー部43をスリット部44a内にスライドしながら挿入することにより、アンカー部43に保持される。これにより、ストッパ部材42は、軸本体部41における挿通孔14h側の端部に取り付けられている。ストッパ部材42は、軸本体部41と一体的に軸孔33内を移動可能となっている。軸本体部41は、ストッパ部材42に対して、軸本体部41の軸線を回転中心とした回転が可能である。
【0040】
凸部45は、保持部44における挿通孔14h側の端部から突出している。凸部45は、挿通孔14hに挿通可能になっている。凸部45は、軸本体部41が挿通孔14hに向けて押し込まれることにより、挿通孔14hを介して弁孔17に出没可能である。凸部45は、スプール弁30が第1位置に位置するとき、第1凹部31に係止される。また、図5に示すように、凸部45は、スプール弁30が第2位置に位置するとき、第2凹部32に係止される。
【0041】
<第1切換位置及び第2切換位置について>
手動軸40は、開口部33aを介して手動操作される。手動軸40は、手動操作により、第1切換位置と、第2切換位置と、に切換可能である。
【0042】
図1及び図3に示すように、手動軸40が第1切換位置に位置するとき、凸部45は、弁孔17に対して没入している。これにより、手動軸40は、第1切換位置では、スプール弁30の弁孔17に対する移動を許容する。
【0043】
図5に示すように、手動軸40が第2切換位置に位置するとき、凸部45は、挿通孔14hを介して弁孔17に対して突出する。挿通孔14hは、手動軸40における第1切換位置と第2切換位置との間の移動の際に、凸部45を案内する。手動軸40は、第2切換位置では、スプール弁30が第1位置に位置するときに、ストッパ部材42の凸部45が挿通孔14hを介して弁孔17内に突出して第1凹部31に係止されることによりスプール弁30の弁孔17に対する移動を規制する。これにより、スプール弁30が第1位置に保持される。
【0044】
また、手動軸40は、第2切換位置では、スプール弁30が第2位置に位置するときに、ストッパ部材42の凸部45が挿通孔14hを介して弁孔17内に突出して第2凹部32に係止されることによりスプール弁30の弁孔17に対する移動を規制する。これにより、スプール弁30が第2位置に保持される。
【0045】
よって、手動軸40は、スプール弁30が第1位置に位置するときに、第2切換位置に位置すると、凸部45が弁孔17内に突出して第1凹部31及び第2凹部32のうちの一方に係止されることによりスプール弁30の弁孔17に対する移動を規制する。さらに、手動軸40は、スプール弁30が第2位置に位置するときに、第2切換位置に位置すると、凸部45が弁孔17内に突出して第1凹部31及び第2凹部32のうちの他方に係止されることによりスプール弁30の弁孔17に対する移動を規制する。
【0046】
<固定ピン46及び付勢ばね47の構成>
図4図6及び図7に示すように、電磁弁11は、挿入部材としての固定ピン46と、付勢部材としての付勢ばね47と、を有している。固定ピン46は、細長円柱状である。固定ピン46は、軸孔33の内側に突出している。
【0047】
付勢ばね47は、軸孔33内に収容されている。付勢ばね47は、操作ブロック14と手動軸40との間に介在されている。付勢ばね47の第1端は、操作ブロック14に支持されている。付勢ばね47の第2端は、軸本体部41に支持されている。付勢ばね47は、手動軸40を第1切換位置に向けて付勢する付勢力を手動軸40に付与する。
【0048】
<ノンロック孔48及びロック孔49の構成>
軸本体部41は、ノンロック孔48及びロック孔49を有している。したがって、手動軸40は、ノンロック孔48と、ロック孔49と、を有している。ノンロック孔48は、軸本体部41の外周面に開口している。ノンロック孔48は、軸本体部41の軸線方向に延びている。ノンロック孔48の周方向の幅は、固定ピン46の外径よりも僅かに大きい。
【0049】
ノンロック孔48は、ノンロック孔48に固定ピン46が挿入された状態で軸本体部41における軸孔33に対する移動を許容するとともに手動軸40における軸孔33内での手動軸40の軸線L2を回転中心とした回転を規制する。
【0050】
ロック孔49は、軸本体部41の外周面に開口している。ロック孔49は、軸本体部41の周方向に延びている。ロック孔49は、ノンロック孔48における軸本体部41の第1端寄りの端部に連続している。ロック孔49は、ノンロック孔48に固定ピン46が挿入された状態で、付勢ばね47の付勢力に抗して、手動軸40が第1切換位置から第2切換位置まで移動した後に、ロック孔49に固定ピン46が挿入された状態で手動軸40における軸孔33内での手動軸40の軸線L2を回転中心とした回転を許容する。また、ロック孔49は、手動軸40の回転後に手動軸40における付勢ばね47の付勢力による第1切換位置に向けた移動を規制する。本実施形態では、ロック孔49の周方向の長さは、手動軸40における軸孔33内での手動軸40の軸線L2を回転中心として、手動軸40を90°回転させることができるような長さである。
【0051】
<貫通孔14aについて>
図2及び図4に示すように、操作ブロック14は、一対の貫通孔14aを有している。したがって、ケーシングC1は、一対の貫通孔14aを有している。図5に示すように、一対の貫通孔14aは、手動軸40が第2切換位置に位置するときに、軸孔33における手動軸40よりも開口部33a寄りの部分に連通するように操作ブロック14を貫通している。一対の貫通孔14aは、軸孔33の軸線を挟んだ両側にそれぞれ位置している。一対の貫通孔14aの軸心は一致している。一対の貫通孔14aの軸心が延びる方向は、軸孔33の軸線に対して直交する方向である。
【0052】
<溝41bについて>
図4に示すように、軸本体部41の第2端に位置する端面41aには、溝41bが形成されている。溝41bは、軸本体部41の端面41aを横切っている。溝41bは、軸本体部41の径方向に延びている。
【0053】
溝41bは、手動軸40が第1切換位置に位置するとき、軸本体部41の端面41aを貫通孔14aの軸心が延びる方向に直交する方向へ横切っている。図7に示すように、溝41bは、手動軸40が第2切換位置に位置し、且つロック孔49によって手動軸40における付勢ばね47による第1切換位置に向けた移動が規制されているとき、手動軸40の端面41aを貫通孔14aの軸心が延びる方向と同一方向へ横切っている。
【0054】
<南京錠60について>
図8に示すように、電磁弁11には、手動軸40が第2切換位置に位置した状態で、施錠部材としての南京錠60が取り付け可能になっている。南京錠60は、本体部61と、腕部62と、を有している。腕部62は、U字状である。本実施形態では、南京錠60は、腕部62が一対の貫通孔14aそれぞれに挿通されることにより、電磁弁11に取り付けられる。南京錠60は、手動軸40の手動操作を不能にするために施錠される。腕部62は、軸孔33の開口部33aの一部を閉塞している。したがって、一対の貫通孔14aには、手動軸40が第2切換位置に位置するときに、南京錠60の腕部62が開口部33aの一部を閉塞した状態で挿通可能である。腕部62は、溝41bに係止されている。したがって、溝41bは、開口部33aの一部を閉塞する腕部62が係止される被係止部である。そして、手動軸40が第2切換位置に位置し、且つロック孔49によって手動軸40における付勢ばね47の付勢力による第1切換位置に向けた移動が規制されているときに、腕部62が溝41bに係止されることにより手動軸40の回転が規制される。よって、溝41bは、手動軸40が第2切換位置に位置し、且つロック孔49によって手動軸40における付勢ばね47の付勢力による第1切換位置に向けた移動が規制されているとき、手動軸40の端面41aを一対の貫通孔14aの軸心が延びる方向と同一方向へ横切る溝である。
【0055】
<作用>
次に、本実施形態の作用について説明する。
図1に示すように、例えば、第1パイロット弁V1への電圧の印加が行われており、第2パイロット弁V2への電圧の印加が停止されており、スプール弁30が第1位置に位置しているとする。このとき、例えば、図3に示すように、手動軸40が第1切換位置に切り換わっていると、流体供給源からの流体が、配管を介して供給流路51、供給ポートP1、第1出力ポートA1、第1出力流路52、及び第1配管T1を介してアクチュエータX1の第1圧力作用室X5に供給される。アクチュエータX1の第1圧力作用室X5に流体が供給されると、ピストンX3が第2圧力作用室X6側へ押し込こまれて、ピストンロッドX4がシリンダチューブX2に対して突出する方向へ移動する。さらに、第2圧力作用室X6内の流体が、第2配管T2、第2出力流路53、第2出力ポートA2、第2排出ポートR2、第2排出流路55、及び配管を介して大気に排出される。このように、第1出力流路52及び第2出力流路53を流れる流体によって第1出力流路52及び第2出力流路53に接続されたアクチュエータX1の動作が行われる。
【0056】
ところで、メンテナンス作業を行う際には、アクチュエータX1の動作を停止させる必要がある。このとき、手動軸40は、手動操作により、第1切換位置から第2切換位置へ切り換えられる。手動操作では、まず、作業者が軸孔33の開口部33aを介して手動軸40を第2切換位置に位置するまで押し込んでいく。このとき、ノンロック孔48に固定ピン46が挿入された状態で、付勢ばね47の付勢力に抗して手動軸40が押し込まれる。そして、手動軸40を第1切換位置から第2切換位置まで移動させた後に、固定ピン46がロック孔49に挿入されるように90°回転させる。これにより、付勢ばね47の付勢力による第1切換位置に向けた手動軸40の移動が規制される。つまり、ロック孔49によって手動軸40が第2切換位置に保持される。なお、挿通孔14hは、手動軸40が第1切換位置から第2切換位置まで移動した後に、固定ピン46が挿入された状態で軸本体部41における軸孔33内での軸本体部41の軸線を回転中心とした回転がロック孔49によって許容されるときに、ストッパ部材42における軸本体部41との連れ回りを規制する。
【0057】
図5に示すように、例えば、スプール弁30が第1位置に位置するときに、手動軸40が第1切換位置から第2切換位置に切り換えられると、凸部45が挿通孔14hを介して弁孔17内に突出して第1凹部31に係止される。これにより、スプール弁30の移動が規制される。よって、スプール弁30が第1位置に位置した状態が保持される。その結果、第1出力流路52とアクチュエータX1との間の流体の圧力が維持される。したがって、アクチュエータX1の動作が停止する。具体的には、アクチュエータX1は、ピストンロッドX4が第2圧力作用室X6側の端部まで移動した状態の姿勢で保持される。
【0058】
また、例えば、スプール弁30が第2位置に位置するときに、手動軸40が第1切換位置から第2切換位置に切り換えられると、凸部45が挿通孔14hを介して弁孔17内に突出して第2凹部32に係止される。これにより、スプール弁30の移動が規制される。よって、スプール弁30が第2位置に位置した状態が保持される。その結果、第2出力流路53とアクチュエータX1との間の流体の圧力が維持される。したがって、アクチュエータX1の動作が停止する。具体的には、アクチュエータX1は、ピストンロッドX4が第1圧力作用室X5側の端部まで移動した状態の姿勢で保持される。
【0059】
このように、手動軸40は、第1出力流路52とアクチュエータX1との間の流体の圧力、又は第2出力流路53とアクチュエータX1との間の流体の圧力を維持するべくスプール弁30の弁孔17に対する移動を規制する。また、電磁弁11のスプール弁30の誤動作が防止されるため、第1出力流路52とアクチュエータX1との間の流体の圧力、又は第2出力流路53とアクチュエータX1との間の流体の圧力に変化が生じ難くなっている。したがって、アクチュエータX1の動作が確実に停止する。
【0060】
<効果>
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)例えば、スプール弁30が第1位置に位置するときに、手動軸40は、第2切換位置に位置すると、凸部45が弁孔17内に突出して第1凹部31に係止されることによりスプール弁30の弁孔17に対する移動を規制する。これにより、第1出力流路52とアクチュエータX1との間の流体の圧力が維持され、アクチュエータX1の動作を停止させることができる。したがって、アクチュエータX1の動作を停止させるために、例えば、従来技術のように、電磁弁11とマニホールドベース50との間にストッパバルブを介在させる必要が無い。よって、従来技術のように、例えば、流体がストッパバルブを経由する分だけ流体の圧力損失が生じるといった問題が生じない。その結果、アクチュエータX1に対して給排される流体の流量を十分に確保することができる。以上により、アクチュエータX1に対して給排される流体の流量を十分に確保しつつも、アクチュエータX1の動作を停止させることができる。
【0061】
(2)電磁弁11には、手動軸40が第2切換位置に位置した状態で、南京錠60が取り付け可能になっている。これによれば、手動軸40が第2切換位置に位置した状態で、電磁弁11に南京錠60を取り付けることで、第2切換位置に位置している手動軸40の手動操作を不能にすることができる。したがって、作業者の意図しない手動軸40における第2切換位置から第1切換位置への移動が行われてしまうことを回避することができる。また、作業者が、電磁弁11に取り付けられた南京錠60を施錠することにより、第三者によって、作業者の意図しない手動軸40の手動操作が行われてしまうことを回避することができる。したがって、信頼性を向上させることができる。
【0062】
(3)一対の貫通孔14aには、手動軸40が第2切換位置に位置するときに、南京錠60の腕部62が開口部33aの一部を閉塞した状態で挿通されている。これによれば、南京錠60を電磁弁11に取り付ける際に、南京錠60の腕部62が一対の貫通孔14aにそれぞれ挿通されるため、南京錠60における電磁弁11に対する取り付けが安定する。さらに、南京錠60は、南京錠60の腕部62が軸孔33の開口部33aの一部を閉塞した状態で電磁弁11に取り付けられる。そのため、第2切換位置に位置している手動軸40を、軸孔33の開口部33aを介して手動操作することを、南京錠60によって不能なものとすることができる。
【0063】
(4)ノンロック孔48に固定ピン46が挿入された状態で、付勢ばね47の付勢力に抗して、手動軸40を第1切換位置から第2切換位置まで移動させた後に、固定ピン46がロック孔49に挿入されながら、手動軸40の回転が許容される。そして、ロック孔49に固定ピン46が挿入されていることにより、付勢ばね47の付勢力による第1切換位置に向けた移動がロック孔49によって規制され、手動軸40が第2切換位置に保持される。さらには、手動軸40が第2切換位置に位置するときに、南京錠60の腕部62が手動軸40の溝41bに係止される。これにより、第2切換位置での手動軸40の回転が規制される。したがって、作業者の意図しない第2切換位置での手動軸40の回転が行われてしまうことを回避することができる。よって、作業者の意図しない付勢ばね47の付勢力による手動軸40における第2切換位置から第1切換位置への移動が回避される。その結果、手動軸40が第1切換位置に勝手に切り換わってしまうことを回避することができる。したがって、信頼性をさらに向上させることができる。
【0064】
(5)一対の貫通孔14aの軸心は一致している。手動軸40が第2切換位置に位置しているときに、溝41bが軸本体部41の端面41aを一対の貫通孔14aの軸心が延びる方向と同一方向へ横切っている。そのため、一対の貫通孔14aに挿通されて軸孔33の開口部33aの一部を閉塞する南京錠60の腕部62を溝41bに容易に係止することができる。
【0065】
(6)凸部45が平板状であるため、凸部45と、第1凹部31又は第2凹部32との接触面積を確保し易くなる。したがって、凸部45が第1凹部31又は第2凹部32に係止することによるスプール弁30の弁孔17に対する移動を規制し易くすることができる。また、挿通孔14hは、手動軸40における第1切換位置と第2切換位置との間の移動の際に凸部45を案内する。そして、手動軸40が第1切換位置から第2切換位置まで移動した後に、固定ピン46が挿入された状態で軸本体部41における軸孔33内での軸本体部41の軸線を回転中心とした回転がロック孔49によって許容されたとする。このとき、挿通孔14hは、ストッパ部材42における軸本体部41との連れ回りを規制する。したがって、凸部45が平板状であっても、手動軸40が第2切換位置に位置したときに、凸部45を挿通孔14hを介して弁孔17内に突出させて第1凹部31又は第2凹部32に係止させることができる。
【0066】
(7)手動軸40によって、スプール弁30が第1位置に位置するときにスプール弁30の弁孔17に対する移動を規制することができるとともに、スプール弁30が第2位置に位置するときにスプール弁30の弁孔17に対する移動を規制することもできる。したがって、アクチュエータX1の動作が停止されているときのアクチュエータX1の姿勢が2パターンとなる。よって、アクチュエータX1の動作が停止されているときのアクチュエータX1の姿勢を適宜選択することができる。
【0067】
(8)本実施形態では、例えば、従来技術のように、電磁弁11とマニホールドベース50との間にストッパバルブを介在させる必要が無い。これによれば、電磁弁11とマニホールドベース50との間にストッパバルブを介在させた場合に比べて、電磁弁マニホールド10における搭載方向の体格を小型化することができる。
【0068】
<変更例>
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0069】
・ 実施形態において、例えば、電磁弁11が複数並設されている場合に、1つの南京錠の腕部を各電磁弁11の各一対の貫通孔14aそれぞれに挿通させつつも、各電磁弁11の手動軸40の溝41bに南京錠の腕部を係止させるようにしてもよい。これによれば、例えば、各電磁弁11毎に南京錠を1つずつ用意し、各電磁弁11の各一対の貫通孔14aに各々南京錠の腕部を挿通させ、各電磁弁11の手動軸40の溝41bに各南京錠の腕部を係止させるといった作業を行う必要が無い。したがって、作業工程を簡素化することができる。
【0070】
・ 実施形態において、第1凹部31又は第2凹部32を削除してもよい。要は、スプール弁30は、スプール弁30の外面に少なくとも1つの凹部を有していればよい。
・ 実施形態において、スプール弁30は、第3凹部をさらに有していてもよい。この場合、第3凹部には、スプール弁30が、中立位置に位置するときに、凸部45が係止される。なお、第3凹部は、第1凹部31と第2凹部32との間に位置する。これによれば、アクチュエータX1の動作が停止されているときのアクチュエータX1の姿勢が3パターンとなる。したがって、アクチュエータX1の動作が停止されているときのアクチュエータX1の姿勢を適宜選択することができる。
【0071】
・ 実施形態において、電磁弁マニホールド10は、操作ブロック14がバルブケーシング12とは別部材である構成でなくてもよく、操作ブロック14に相当する構成がバルブケーシング12と一体形成されている構成であってもよい。この場合、軸孔33がバルブケーシング12に形成されていればよい。そして、軸孔33に手動軸40が収容されていればよい。
【0072】
・ 実施形態において、例えば、一対の貫通孔14aの軸心が一致していなくてもよい。この場合であっても、貫通孔14aに挿通された南京錠60の腕部62が手動軸40の一部に係止される構成であればよい。
【0073】
・ 実施形態において、電磁弁11に南京錠60が取り付け可能になっていなくてもよい。
・ 実施形態において、電磁弁11は、例えば、第2排出ポートR2を省略した4ポート電磁弁であってもよい。要は、電磁弁11は、少なくとも1つの排出ポートを有していればよい。また、電磁弁11は、供給ポート、出力ポート、及び排出ポートを有する3ポート電磁弁であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
10…電磁弁マニホールド、11…電磁弁、14a…貫通孔、14h…挿通孔、17…弁孔、30…弁体としてのスプール弁、31…凹部としての第1凹部、32…凹部としての第2凹部、33…軸孔、33a…開口部、40…手動軸、41…軸本体部、41b…被係止部としての溝、42…ストッパ部材、45…凸部、46…挿入部材としての固定ピン、47…付勢部材としての付勢ばね、48…ノンロック孔、49…ロック孔、50…マニホールドベース、51…供給流路、52…出力流路としての第1出力流路、53…出力流路としての第2出力流路、54…排出流路としての第1排出流路、55…排出流路としての第2排出流路、60…施錠部材である南京錠、62…腕部、A1…出力ポートである第1出力ポート、A2…出力ポートである第2出力ポート、C1…ケーシング、L1,L2…軸線、P1…供給ポート、R1…排出ポートである第1排出ポート、R2…排出ポートである第2排出ポート、X1…流体圧機器としてのアクチュエータ。
図1
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図8