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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069025
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】ハウジング
(51)【国際特許分類】
   F16C 1/10 20060101AFI20230511BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20230511BHJP
   E05D 3/02 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
F16C1/10 C
F16C11/04 B
F16C11/04 F
E05D3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180574
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今川 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】三枝 修平
【テーマコード(参考)】
2E030
3J032
3J105
【Fターム(参考)】
2E030CA01
2E030CB01
2E030CC01
3J032AB21
3J032BA01
3J032BB02
3J032BC06
3J105AA04
3J105AB08
3J105AC06
3J105BA15
3J105BB21
3J105BC02
3J105BC21
(57)【要約】
【課題】本発明は、ハウジング本体と蓋とを備えたハウジングが振動したときに、異音が生じることを抑制することが可能な、ハウジングの提供を目的とする。
【解決手段】本発明のハウジング1は、ハウジング本体2と、蓋3とを備え、ハウジング本体2および蓋3が軸部Ax1および軸受部Ax2を有し、側壁W2は、基端領域R2において、蓋3に設けられた第1開閉方向対向面F3と対向する第2開閉方向対向面F4を有し、第1開閉方向対向面F3および/または第2開閉方向対向面F4は突出部PR1を有し、側壁W2は、軸X方向で蓋3に設けられた第1軸方向対向面F1と対向する第2軸方向対向面F2を有し、第1軸方向対向面F1および第2軸方向対向面F2は、少なくとも蓋3が開口部APを閉鎖した状態において、軸X方向で互いに押圧されるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁および前記底壁から立設する側壁を備え、前記底壁に対向するように開口した開口部を有するハウジング本体と、
所定の回転軸まわりに回転するように前記側壁に接続され、前記開口部を閉鎖する蓋と
を備え、
前記ハウジング本体および前記蓋の一方が軸部を有し、前記ハウジング本体および前記蓋の他方が、前記蓋が前記回転軸まわりに回転するように前記軸部を軸支する軸受部を有し、
前記側壁は、回転軸側となる基端領域において、前記蓋が前記開口部を閉鎖した状態において、前記蓋の開閉方向で前記蓋に設けられた第1開閉方向対向面と対向する第2開閉方向対向面を有し、
前記第1開閉方向対向面および/または前記第2開閉方向対向面は、前記第1開閉方向対向面および/または前記第2開閉方向対向面から前記開閉方向に突出する突出部を有し、
前記突出部の前記開閉方向への突出量は、前記軸部と前記軸受部との間に前記開閉方向で生じる開閉方向隙間の大きさよりも大きく、前記蓋が前記開口部を閉鎖し、前記ハウジング本体に保持された状態で、前記突出部が前記第1開閉方向対向面および/または前記第2開閉方向対向面に前記開閉方向で押圧されることによって、前記軸部が前記軸受部に対して前記開閉方向に押圧されるように構成され、
前記側壁は、前記蓋が前記ハウジング本体の前記開口部を閉鎖した状態において、前記回転軸の軸方向で前記蓋に設けられた第1軸方向対向面と対向する第2軸方向対向面を有し、
前記第1軸方向対向面および前記第2軸方向対向面は、少なくとも前記蓋が前記開口部を閉鎖した状態において、前記軸方向で互いに押圧されるように構成されている、ハウジング。
【請求項2】
前記蓋が前記開口部を閉鎖し、前記ハウジング本体に保持された状態で、前記開口部側となる前記側壁の上端と、前記側壁の上端に対向する前記蓋の裏面との間に、前記ハウジングの内部と外部とを接続する排水路が形成されるように、前記突出部は、前記第1開閉方向対向面および/または前記第2開閉方向対向面の一部のみに設けられている、請求項1に記載のハウジング。
【請求項3】
前記ハウジング本体および/または蓋が、前記回転軸から遠い側となる先端領域に、前記蓋が前記開口部を閉鎖した状態で前記ハウジング本体と前記蓋とを保持するための係合部を有し、
前記係合部によって、前記蓋が前記開口部を閉鎖した状態で前記ハウジング本体に保持されたときに、前記突出部を支点として、前記蓋の前記基端領域が前記底壁から離れる方向に持ち上げられて、前記軸部が前記軸受部に対して押圧される、請求項1または2に記載のハウジング。
【請求項4】
前記第1軸方向対向面および/または第2軸方向対向面は、前記第1軸方向対向面および/または前記第2軸方向対向面から前記軸方向に突出する第2突出部を有し、
前記第2突出部の前記軸方向への突出量は、前記第1軸方向対向面と前記第2軸方向対向面との間に前記軸方向に生じる軸方向隙間の大きさよりも大きく、前記第2突出部は、前記蓋が前記開口部を閉鎖した状態で、前記軸方向隙間に嵌まり込むように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のハウジング。
【請求項5】
前記蓋が、前記軸方向で離間して配置された一対の前記第1軸方向対向面を有し、
前記側壁が、前記軸方向で離間して配置された一対の前記第2軸方向対向面を有し、
前記一対の前記第1軸方向対向面の間の軸方向の距離、および、前記一対の前記第2軸方向対向面の間の軸方向の距離は、前記蓋が前記ハウジング本体に取り付けられたときに、前記第1軸方向対向面および前記第2軸方向対向面が、前記軸方向で互いに押圧されるように設定されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のハウジング。
【請求項6】
前記第2突出部は、前記蓋に設けられた前記第1軸方向対向面に設けられ、
前記第2突出部は、前記蓋が前記開口部を閉鎖した閉鎖状態から前記ハウジング本体に対して所定の角度開放した状態では、前記軸方向隙間に嵌まり込まず、前記蓋が前記開口部を閉鎖する閉鎖状態の近傍となる閉鎖近傍領域で、前記軸方向隙間に嵌まり込むように構成されている、請求項4に記載のハウジング。
【請求項7】
前記ハウジングは、車両に配索されるケーブルが接続されるように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に示されるように、複数のケーブルを連結するためのケーブル連結機構が用いられている。ケーブル連結機構は、例えば車両等の取付対象に対して所定の位置に取り付けられ、複数のケーブルを所定の位置で連結する。特許文献1のようなケーブル連結機構は、一方に開口を有するハウジング本体と、ハウジング本体に設けられた開口を閉鎖する蓋とを備えたハウジングを有している。ケーブル連結機構はさらに、ハウジング内にスライド可能に収容され、ケーブルが連結されるスライダを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-183994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ハウジングの蓋は、ハウジングのヒンジ部分において、ハウジング本体に対して所定の回転軸まわりに回転するように構成されている。上記ハウジングのヒンジ部分は、軸部と軸部を回転軸まわりに回転するように軸支する軸受部とを有する構造とすることができる。この軸部と軸受部との間には、部品の成形上の寸法誤差や、軸部および軸受部を互いに対して組み付けやすくするために、所定のクリアランスを設ける必要など、様々な理由によって、所定の方向に隙間が生じる場合がある。この場合、例えば、車両等の取付対象が振動した場合や、ケーブル等の操作対象が操作された場合に、ハウジング本体や蓋に振動が伝わって、その振動によって軸部と軸受部との間で相対移動が生じる。この際に、軸部と軸受部とが互いに接触して異音が生じ、また、振動による軸部と軸受部との相対移動に伴ってハウジング本体と蓋とが相対移動を繰り返すことから、ハウジング本体と蓋が互いに接触して異音が生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、ハウジング本体と蓋とを備えたハウジングが振動したときに、異音が生じることを抑制することが可能な、ハウジングの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハウジングは、底壁および前記底壁から立設する側壁を備え、前記底壁に対向するように開口した開口部を有するハウジング本体と、所定の回転軸まわりに回転するように前記側壁に接続され、前記開口部を閉鎖する蓋とを備え、前記ハウジング本体および前記蓋の一方が軸部を有し、前記ハウジング本体および前記蓋の他方が、前記蓋が前記回転軸まわりに回転するように前記軸部を軸支する軸受部を有し、前記側壁は、回転軸側となる基端領域において、前記蓋が前記開口部を閉鎖した状態において、前記蓋の開閉方向で前記蓋に設けられた第1開閉方向対向面と対向する第2開閉方向対向面を有し、前記第1開閉方向対向面および/または前記第2開閉方向対向面は、前記第1開閉方向対向面および/または前記第2開閉方向対向面から前記開閉方向に突出する突出部を有し、前記突出部の前記開閉方向への突出量は、前記軸部と前記軸受部との間に前記開閉方向で生じる開閉方向隙間の大きさよりも大きく、前記蓋が前記開口部を閉鎖し、前記ハウジング本体に保持された状態で、前記突出部が前記第1開閉方向対向面および/または前記第2開閉方向対向面に前記開閉方向で押圧されることによって、前記軸部が前記軸受部に対して前記開閉方向に押圧されるように構成され、前記側壁は、前記蓋が前記ハウジング本体の前記開口部を閉鎖した状態において、前記回転軸の軸方向で前記蓋に設けられた第1軸方向対向面と対向する第2軸方向対向面を有し、前記第1軸方向対向面および前記第2軸方向対向面は、少なくとも前記蓋が前記開口部を閉鎖した状態において、前記軸方向で互いに押圧されるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明のハウジングによれば、ハウジング本体と蓋とを備えたハウジングが振動したときに、異音が生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態のハウジングの斜視図である。
図2図1のハウジングの蓋が閉鎖された閉鎖状態を示す斜視図である。
図3図1のハウジングを別の方向から見た斜視図である。
図4図1のハウジングをさらに別の方向から見た斜視図である。
図5】本発明の一実施形態のハウジングが設けられた車両を示す概略図である。
図6図1のハウジングにスライダおよびケーブルが接続された状態を示す上面図である。
図7】蓋が開放状態にあるときのハウジングの軸部および軸受部の周辺を軸方向に見た概略図である。
図8図7におけるA-A線断面図である。
図9】蓋が閉鎖状態にあるときのハウジングの軸部および軸受部の周辺を軸方向に見た概略図である。
図10図9におけるB-B線断面図である。
図11】第2突出部を有していない参考例のハウジングにおいて、蓋が閉鎖状態にあるときの、ハウジングの軸部および軸受部の周辺と、係合部の周辺とを示す参考図である。
図12】蓋が閉鎖状態にあるときのハウジングの軸部および軸受部の周辺と、係合部の周辺とを示す、ハウジングを軸方向に見た概略図である。
図13】突出部により蓋と側壁との間に排水路が形成されたハウジングを幅方向に見たときの概略図である。
図14】突出部がハウジング本体に設けられた、第2実施形態のハウジングを示す図である。
図15A】第2実施形態のハウジングの第1軸方向対向面と第2軸方向対向面との間の位置関係を説明するための概略図である。
図15B】第2実施形態のハウジングの第1軸方向対向面と第2軸方向対向面との間の位置関係の変形例を示す概略図である。
図15C】第2実施形態のハウジングの第1軸方向対向面と第2軸方向対向面との間の位置関係の他の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態のハウジングを説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明のハウジングは、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
なお、本明細書において、「Aに垂直」およびこれに類する表現は、Aに対して完全に垂直な方向のみを指すのではなく、Aに対して略垂直であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「Bに平行」およびこれに類する表現は、Bに対して完全に平行な方向のみを指すのではなく、Bに対して略平行であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「C形状」およびこれに類する表現は、完全なC形状のみを指すのではなく、見た目にC形状を連想させる形状(略C形状)を含んで指すものとする。
【0011】
図1図4に示されるように、本実施形態のハウジング1は、底壁W1(図1参照)および底壁W1から立設する側壁W2を備え、底壁W1に対向するように開口した開口部APを有するハウジング本体2と、所定の回転軸Xまわりに回転するように側壁W2に接続され、開口部APを閉鎖する蓋3とを備えている。以下、回転軸Xを単に軸Xと呼び、回転軸Xが延びる方向を軸X方向と呼ぶ。なお、軸X方向は、本実施形態では、後述するスライダS(図6参照)のスライド方向と同方向である。また、軸X方向は、本実施形態では、ハウジング1内で後述するケーブルC(図6参照)が延びる方向とも同方向である。また、本実施形態では、蓋3が開閉する方向を開閉方向D1と呼ぶ。開閉方向D1は、蓋3が閉鎖された閉鎖状態(図2参照)では、底壁W1に対する遠近方向と実質的に同方向であり、本実施形態では、底壁W1に対して略垂直な方向となる。本実施形態では、開閉方向D1は、蓋3の閉鎖状態において、蓋3の裏面31と、側壁W2の上端UEとが対向する方向と言い換えることもできる。また、本明細書において、閉鎖状態の蓋3または底壁W1に対して平行な面において軸Xに垂直な方向を、ハウジング1の幅方向D2という。ハウジングの幅方向D2は、蓋3が閉鎖状態にあるときに、蓋3の軸X側となる基端部側(後述する基端領域R2)と蓋3の先端部側(後述する先端領域R1)とを結ぶ方向でもある。また、本明細書において、軸X方向および幅方向D2の両方に垂直な方向をハウジング3の高さ方向D3という。ハウジング1の高さ方向D3は、蓋3が閉鎖状態にあるときの蓋3の裏面31または底壁W1の内面に垂直な方向でもあり、本実施形態では、蓋3の閉鎖状態における開閉方向D1と実質的に同方向となる。
【0012】
ハウジング1の用途は特に限定されない。本実施形態では、ハウジング1は、後述するように、ハウジング1の振動によって生じる異音を抑制することができ、車両等、振動が生じる環境下、すなわち振動源を有する取付対象に取り付けられるハウジングとして好適に用いられる。
【0013】
ハウジング1は、図1および図2に示されるように、底壁W1、側壁W2および蓋3によって画定される内部空間を有し、蓋3によって開閉される。ハウジング1の内部空間には、所定の部材の一部または全部が収容される。本実施形態では、ハウジング1は、図5および図6に示されるように、車両Vに配索されるケーブルCが接続されるように構成されている。具体的には、ハウジング1には、図6に示されるように、車両Vに配索される複数のケーブルCを互いに接続するスライダS、および、スライダSに接続されるケーブルCの一部が収容される。
【0014】
本実施形態では、ハウジング1は、図5および図6に示されるように、ケーブル連結機構Mの一部として設けられている。具体的には、ケーブル連結機構Mは、図6に示されるように、ハウジング1と、ケーブル(操作ケーブル)C1と、ケーブルC1の操作力によって操作されるケーブル(第1被操作ケーブル)C21と、ケーブルC1の操作力によって操作されるケーブル(第2被操作ケーブル)C22と、ハウジング1に収容され、ケーブルC1、C21、C22の端部が接続されるスライダSとを備えている。なお、本明細書では、ケーブルC1、C21、C22をまとめて単にケーブルCと呼ぶ場合がある。
【0015】
本実施形態では、ケーブルC1は、図5に示されるように、操作部OP1に直接または間接的に接続されて、操作部OP1の操作によって操作される。ケーブルC1は、公知のコントロールケーブルのインナーケーブルとすることができる。ケーブルC1は、ハウジング1と操作部OP1との間で、コントロールケーブルのアウターケーシングOC(図6参照)に収容されていてもよい。
【0016】
また、ケーブルC21、C22は、スライダSを介してケーブルC1と連結されることで、ケーブルC1の操作によってハウジング1内でスライドするスライダSを介して操作される。ケーブルC21、C22は直接または間接的に被操作部OP21、OP22に接続されている。ケーブルC21、C22が操作されることで、被操作部OP21、OP22が操作される。ケーブルC21、C22は公知のコントロールケーブルのインナーケーブルとすることができる。ケーブルC21、C22は、ハウジング1と被操作部OP21、OP22との間で、コントロールケーブルのアウターケーシングOC(図6参照)に収容されていてもよい。
【0017】
本実施形態では、ケーブル連結機構Mは、図5に示されるように、取付対象である車両VのフードHのロックを解除するためのロック解除機構であり、車両Vの運転席に設けられたフードオープナー(操作部OP1)を操作することによって、2つのロック部材(被操作部OP21および被操作部OP22)のロックが解除されるように構成されている。本実施形態では、ハウジング1は、車両Vのエンジンルーム内またはエンジンルームの近傍に設けられている。
【0018】
なお、ハウジングは、例えば、2つのロック部材を有するシートのリクライニング機構等の、他のロック解除機構、他のケーブル連結機構に設けられていてもよい。また、ケーブル連結機構の取付対象は、本実施形態では車両Vであるが、車両以外の他の構造であってもよい。
【0019】
また、本実施形態では、ハウジング1に複数(3本)のケーブルC1、C21、C22が接続されているが、ハウジング1に接続されるケーブルの本数は1本でもよいし、複数本であってもよい。ハウジング1において複数のケーブルが連結される場合、複数のケーブルは、1対1で連結されてもよいし、1対多で連結されてもよいし、多対多で連結されてもよい。また、本実施形態では、ケーブルCは、スライダSを介してハウジング1に接続されているが、スライダS以外の部材(例えば、ケーブルによって操作される被操作部材)に接続されていてもよいし、ハウジング1(ハウジング本体2)に直接接続されていてもよい。
【0020】
スライダSは、ハウジング1内でスライドするように構成された移動部材である。本実施形態では、スライダSには、図6に示されるように、ケーブルC1、C21、C22が接続される。スライダSは、ケーブルC1が操作されることによって、スライダSのスライド方向(軸X方向。図6における上下方向)で一方側(下方)に移動する。スライド方向で一方側へのスライダSの移動によって、ケーブルC21、C22はスライド方向で一方側に引き操作される。
【0021】
ハウジング本体2は、図1および図6に示されるように、底壁W1、側壁W2を有し、底壁W1に対向するように開口した開口部APを有している。ハウジング本体2の内部空間には、収容対象となる所定の部材の一部または全部が収容される。本実施形態では、ハウジング本体2には、スライダS、および、ケーブルC1、C21、C22の一部が収容される。ハウジング本体2に部材が収容された状態で、ハウジング本体2の開口部APが蓋3によって閉鎖される(図2参照)。なお、図1図4においては、説明の便宜上、スライダSおよびケーブルC1、C21、C22の図示は省略されており、図6においては、蓋3は除去された状態で図示されている。
【0022】
ハウジング本体2を構成する材料は、所定の剛性を有する材料であれば特に限定されない。ハウジング本体2は、所定の剛性を有するとともに、ハウジング本体2に外力が加わった際にわずかに撓むように構成されていることが好ましい。例えば、ハウジング本体2は、合成樹脂や金属などによって構成され得る。
【0023】
ハウジング本体2の全体形状は、収容対象となる所定の部材を収容することができれば、特に限定されない。本実施形態では、ハウジング本体2は、図1および図6に示されるように、一方に開口部APを有する略矩形の箱状に形成されている。本実施形態では、ハウジング本体2は、図1および図6に示されるように、略矩形状に形成された底壁W1と、底壁W1から矩形枠状に立設した側壁W2とによって略矩形の箱状に形成されている。より具体的には、側壁W2は、回転軸Xに沿って延びる第1側壁W21と、第1側壁W21に対向する第2側壁W22と、第1側壁W1の軸X方向で一方側の端部から第2側壁W22に向かって延びる第3側壁W23と、第1側壁W21の軸X方向で他方側の端部から第2側壁W22に向かって延びる第4側壁W24とを備えている。
【0024】
底壁W1は、側壁W2とともにハウジング本体2の内部空間を画定する壁状の部分である。底壁W1は、ハウジング本体2に収容される収容対象を少なくとも部分的に支持することができるように構成されている。本実施形態では、底壁W1は板状に形成され、底壁W1の内面は、ハウジング1内で摺動するスライダSの摺動面となる。底壁W1の形状および構造は、収容対象を部分的に支持することができるように構成されていれば、特に限定されず、底壁W1は、底壁W1の厚さ方向に貫通する貫通孔を有していてもよい。
【0025】
側壁W2は、底壁W1とともにハウジング本体2の内部空間を画定する壁状の部分である。側壁W2は、底壁W1の内面から離れる方向に立設している。側壁W2の開口部AP側となる(底壁W1から遠い側の端部である)側壁W2の上端UE(図1参照)は、蓋3が開口部APを閉鎖した状態となる閉鎖状態において、蓋3の裏面31と対向する。側壁W2は、本実施形態では、底壁W1の内面に対して垂直な方向(高さ方向D3)に延びているが、側壁W2は、底壁W1の内面に垂直な方向に対して傾斜して延びていてもよい。本実施形態では、側壁W2は、図6に示されるように、底壁W1の内面に対して垂直な方向から見たときに、第1側壁W21、第2側壁W22、第3側壁W23および第4側壁W24が略矩形状に配置されるように形成されている。具体的には、第1側壁W21および第2側壁W22は、底壁W1の内面に対して垂直に互いに平行に延びている。また、第3側壁W23および第4側壁W24は、図6に示されるように、底壁W1の内面に対して垂直、かつ、第1側壁W21および第2側壁W22の内面に対して垂直に、互いに平行に延びている。しかし、側壁は、底壁W1の内面に対して垂直な方向から見たときに、円形や楕円形、矩形以外の多角形など、他の形状を有していてもよい。
【0026】
側壁W2は、蓋3をハウジング本体2に対して回転させるために、図1図4に示されるように、蓋3に軸受部Ax2が設けられている場合には、軸部Ax1が設けられ、図示された態様の変形例である、蓋3に軸部が設けられる場合には、側壁W2には軸受部が設けられる。本実施形態では、図1図4および図6に示されるように、第1側壁W21に軸部Ax1が設けられ、第1側壁W21の軸部Ax1に、蓋3に設けられた軸受部Ax2が取り付けられて、蓋3が軸部Ax1を中心に回転する。軸部Ax1(または軸受部)は、第1側壁W21以外の他の側壁(例えば、第3側壁W23および第4側壁W24)に設けられていてもよい。なお、軸部Ax1および軸受部Ax2については後述する。
【0027】
本実施形態では、側壁W2は、図1および図6に示されるように、軸X方向の一端側および他端側に、コントロールケーブルのアウターケーシングOCが取り付けられるアウターケーシング取付部ATを有している。具体的には、アウターケーシング取付部ATは、側壁W2(第3側壁W23および第4側壁W24)の上端UEから底壁W1側に向かって、凹状に切り欠かれた部位である。
【0028】
本実施形態では、側壁W2(第1側壁W21および第2側壁W22)は、図1および図6に示されるように、側壁W2の上端UEの内縁からハウジング1の幅方向D2に所定量突出する離脱防止部Pを有している。離脱防止部Pは軸X方向に所定の長さで延びている。離脱防止部Pは、図6に示されるように、底壁W1の内面に垂直な方向(高さ方向D3)でスライダSの幅方向D2の両端部と対向することによって、ハウジング1内に収容されたスライダSがハウジング1から離脱することを抑制する。側壁W21、W22のうち、離脱防止部Pが設けられていない非形成領域は、軸X方向でのスライダSの長さよりも長くなるように構成されている。この場合、スライダSを、離脱防止部Pが設けられていない非形成領域からハウジング1内に容易に収容し、取り外すことができる。
【0029】
本実施形態では、図6に示されるように、第2側壁W22には、ハウジング1を取付対象に取り付けるための固定部FXが設けられている。この場合、固定部FXを介してハウジング1の側壁W2の部分が取付対象に固定され、ハウジング1が取付対象の所定の位置に固定される。なお、固定部FXは、他の側壁W21、W23、W24や底壁W1、蓋3など、ハウジング1の他の部位に設けられていてもよい。
【0030】
蓋3は、軸部Ax1および軸受部Ax2によって、回転軸Xまわりに回転可能にハウジング本体2に取り付けられる。蓋3は、開閉方向D1で閉鎖方向に移動することで、ハウジング本体2の開口部APを覆って閉鎖するとともに、開閉方向D1で開放方向に移動することで、ハウジング本体2の開口部APからハウジング本体2の内部空間にアクセスする(例えば、内部空間からスライダSやケーブルCを取り外す)ことを可能にする。蓋3は、蓋3の閉鎖状態(図2参照)でハウジング1の外側面となる表面32と、蓋3の閉鎖状態で側壁W2の上端UEに対向する裏面31とを有している。また、本実施形態では、蓋3は、蓋3の基端部の軸X方向で両端に、蓋3の裏面31に対して略垂直に突出する軸受部Ax2を有している。
【0031】
蓋3を構成する材料は、所定の剛性を有する材料であれば特に限定されない。蓋3は、所定の剛性を有するとともに、蓋3に外力が加わった際にわずかに撓むように構成されていることが好ましい。例えば、蓋3は、合成樹脂や金属などによって構成され得る。
【0032】
蓋3の全体形状は、ハウジング本体2の開口部APを閉鎖できるように構成されていれば、特に限定されない。なお、ここでいう「閉鎖」とは、ハウジング本体2に収容された収容対象がハウジング本体2から離脱しないように開口部APを閉鎖することができればよい。したがって、例えば、ハウジング本体2の開口部APから収容対象が離脱しないように開口部APを部分的に覆っていれば、蓋3は開口部APの全てを覆う必要はないし、蓋3は表面32および裏面31との間で貫通する貫通孔を有していてもよい。本実施形態では、蓋3は、略矩形状の開口部AP全体を覆うことができるように、開口部APよりも一回り大きい略矩形状に形成されている。
【0033】
本実施形態では、ハウジング本体2および/または蓋3が、回転軸Xから遠い側となる先端領域R1に、蓋3が開口部APを閉鎖した状態でハウジング本体2と蓋3とを保持するための係合部E1(図1および図2参照)を有している。係合部E1は、ハウジング本体2および/または蓋3に設けられた被係合部E2に係合することで、蓋3を閉鎖状態で保持する。なお、「先端領域R1」とは、ハウジング本体2または蓋3のうち、軸Xから一番遠い遠位位置(先端部)から、当該遠位位置と軸Xとの間の距離の1/2以下の領域、より好ましくは、遠位位置から、遠位位置と軸Xとの間の距離の1/4~1/3以下の領域である。また、「基端領域R2」とは、ハウジング本体2または蓋3のうち、軸X(基端部)から、遠位位置と軸Xとの間の距離の1/2以下の領域、より好ましくは、軸Xから、遠位位置と回転軸Xとの間の距離の1/4~1/3以下の領域である。
【0034】
係合部E1は、本実施形態では、蓋3の先端領域R1に設けられた係合爪である。より具体的には、係合部E1は、図2に示されるように、蓋3が閉鎖状態にあるときに第2側壁W22の上端に沿って延びる蓋3の先端部から、第2側壁W22の外面側において高さ方向D3で底壁W1に近付く方向に延びる係合爪である。一方、被係合部E2は、第2側壁W22の外面において、閉鎖状態の蓋3の係合部E1(係合爪)の位置に対応した位置に設けられ、係合部E1と開閉方向D1で係合可能な係合段部である。
【0035】
係合部E1の形状および構造は、蓋3の閉鎖状態を維持することができれば、特に限定されず、係合爪以外の公知の係合構造であってもよい。また、本実施形態では、蓋3に係合部E1が設けられ、ハウジング本体2に被係合部E2が設けられているが、ハウジング本体2に係合部(係合爪)が設けられ、蓋3に被係合部(係合段部)が設けられていてもよいし、蓋3およびハウジング本体2の両方に係合部が設けられ、蓋3およびハウジング本体2の両方に被係合部が設けられていてもよい。また、本実施形態では、第2側壁W22において係合部E1および被係合部E2が係合するように構成されているが、第3側壁W23および/または第4側壁W24において係合部および被係合部が係合するように構成されていてもよい。
【0036】
上述したように、ハウジング本体2および蓋3の一方は軸部Ax1を有し、ハウジング本体2および蓋3の他方は、蓋3が回転軸Xまわりに回転するように軸部Ax1を軸支する軸受部Ax2を有している。軸部Ax1および軸受部Ax2は、蓋3をハウジング本体2に対して回転させる軸受構造を構成している。本実施形態では、図1に示されるように、ハウジング本体2が軸部Ax1を有し、蓋3が軸受部Ax2を有しているが、ハウジング本体2が軸受部を有し、蓋3が軸部を有していてもよい。
【0037】
軸部Ax1および軸受部Ax2が設けられる位置は、蓋3をハウジング本体2に対して回転させることが可能な位置であれば、特に限定されない。本実施形態では、軸部Ax1および軸受部Ax2によって構成された軸受構造は、第1側壁W21に沿う位置に設けられているが、例えば、第3側壁W23および第4側壁W24に沿う位置に設けられていてもよい。
【0038】
軸部Ax1は、蓋3がハウジング本体2に対して軸Xまわりに回転できるように、軸受部Ax2に軸支される。軸部Ax1および軸受部Ax2の形状および構造は、蓋3がハウジング本体2に対して軸Xまわりに回転できるように構成されていれば、特に限定されない。本実施形態では、軸部Ax1は、軸X方向に延びる円柱状部分を有しており、軸受部Ax2は、軸部Ax1の円柱状部分を挿入可能な挿通部(円形の貫通孔または内面が部分的に円弧状の部分を有する挿通路)を有している。
【0039】
本実施形態では、軸部Ax1自体はハウジング本体2の一部として回転しないように構成されているが、軸部Ax1が蓋3に設けられる場合には、軸部Ax1は軸受部Ax2に対して回転する。軸部Ax1は、軸部Ax1の外周の少なくとも一部が軸受部Ax2に覆われており、軸部Ax1と軸受部Ax2との間の相対回転の際に、蓋3がハウジング本体2から外れることが抑制されている。軸部Ax1は、図3の左側の軸部Ax1のように、軸部Ax1の全周が軸受部Ax2によって覆われていてもよいし、図4の右側の軸部Ax1のように、軸部Ax1の外周のうちの一部のみが覆われ、軸部Ax1の外周の他の部分が覆われていなくてもよい。本実施形態では、軸X方向で蓋3の一方側に設けられた軸部Ax1が、軸X方向に貫通した貫通孔を有する軸受部Ax2に挿通された後、軸X方向で蓋3の他方側に設けられた軸部Ax1が、U字状に形成された軸受部Ax2に嵌合可能とすることで、蓋3のハウジング本体2に対する取り付けを容易にしている。
【0040】
軸部Ax1と軸受部Ax2との間には、後述するように、軸部Ax1の軸心(軸X)から離れる方向(軸部Ax1の径方向外側)に所定の隙間(図7および図8参照)が形成されている。これにより、軸部Ax1と軸受部Ax2との間の相対回転を容易にしている。なお、軸部Ax1と軸受部Ax2との間に形成された隙間によって、蓋3の閉鎖状態において、後述するように、軸部Ax1と軸受部Ax2との間に開閉方向D1で生じる開閉方向隙間G2が生じる。
【0041】
側壁W2は、図8および図10に示されるように、蓋3がハウジング本体2の開口部APを閉鎖した状態において、回転軸Xの軸X方向で蓋3に設けられた対向面(第1軸方向対向面)F1と対向する対向面(第2軸方向対向面)F2を有している。対向面(第1軸方向対向面)F1および対向面(第2軸方向対向面)F2は、少なくとも蓋3が開口部APを閉鎖した状態において、軸X方向で互いに押圧されるように構成されている。なお、本実施形態では、後述する突出部PR2を介して、対向面F1および対向面F2が軸X方向で互いに押圧されるように構成されているが、後述する第2実施形態のように、対向面F1と対向面F2とが直接的に互いに押圧されるように構成されていてもよい。また、対向面F1と対向面F2とは、蓋3が開口部APを閉鎖した状態またはその近傍(後述する閉鎖近傍領域)のみにおいて、互いに押圧されるように構成されていてもよいし、閉鎖近傍領域以外においても(例えば常時)互いに押圧されるように構成されていてもよい。
【0042】
本実施形態では、対向面F1と対向面F2との間には、軸X方向に所定の大きさの軸方向隙間G1を有している。本実施形態では、この軸方向隙間G1が、軸部Ax1と軸受部Ax2との間での軸X方向でのガタ付きの原因となる。軸方向隙間G1は、本実施形態では、軸部Ax1と軸受部Ax2との間の軸X方向での相対移動可能な隙間の大きさと対応している。しかし、例えば、後述するように、第1軸方向対向面および第2軸方向対向面が、軸部Ax1および軸受部Ax2が設けられた部位とは異なる部分に設けられる場合には、軸部Ax1と軸受部Ax2との間の軸X方向での相対移動可能な隙間の大きさと必ずしも同じ大きさである必要はない。
【0043】
詳細は後述するが、対向面F1および/または対向面F2は、対向面F1および/または対向面F2から軸X方向に突出する突出部(第2突出部)PR2(図1図3および図4参照)を有している。突出部PR2の詳細については後述するが、突出部PR2によって、対向面F1および対向面F2は、少なくとも蓋3が開口部APを閉鎖した状態において、軸X方向で互いに押圧され、蓋3の閉鎖状態において、蓋3がハウジング本体2に対して軸X方向に相対移動することが抑制される。
【0044】
対向面F1および対向面F2の形状、構造および設けられる位置は、対向面F1および対向面F2が軸X方向に互いに対向し、対向面F1および対向面F2の少なくとも一方が突出部PR2を有していれば、特に限定されない。本実施形態では、対向面F1および対向面F2は、図1および図8に示されるように、ハウジング1のうち、軸部Ax1および軸受部Ax2が設けられた位置に設けられている。しかし、第1軸方向対向面および第2軸方向対向面は、軸部Ax1および軸受部Ax2が設けられた部位とは異なる部分に別途設けられていてもよい。例えば、蓋3および第1側壁W21の軸X方向で両端に設けられた一対の軸受構造(軸部Ax1および軸受部Ax2)の間(例えば、図1に示される態様において突出部PR1が設けられた位置)において、第1側壁W21の外面から突出する一対の突出片が設けられ、当該一対の突出片のそれぞれに第1軸方向対向面および第2軸方向対向面が設けられていてもよい。
【0045】
本実施形態では、対向面F1は、蓋3の基端部側において、蓋3の軸X方向の両側に設けられた軸受部Ax2のうち、軸部Ax1が設けられた対向面F2に対向する部分である。また、対向面F2は、ハウジング本体2の第1側壁W21の外面から外側(幅方向D2)に突出した、軸部Ax1を有する突出片W211(図3および図4参照)のうち、対向面F1に対向する部分である。また、対向面F1および対向面F2は、第1側壁W21に沿った領域で軸X方向に対向しているが、例えば、軸部Ax1および軸受部Ax2が第3側壁W23および第4側壁W24に設けられる場合など、第1軸方向対向面および第2軸方向対向面は、第3側壁W23または第4側壁W24に沿った領域で軸X方向に対向していてもよい。
【0046】
側壁W2は、図9に示されるように、回転軸X側となる基端領域R2において、蓋3が開口部APを閉鎖した状態において、蓋3の開閉方向D1で蓋3に設けられた対向面(第1開閉方向対向面)F3と対向する対向面(第2開閉方向対向面)F4を有している。また、詳細は後述するが、対向面F3および/または対向面F4は、対向面F3および/または対向面F4から開閉方向D1に突出する突出部PR1を有している。突出部PR1の詳細については後述するが、突出部PR1によって、蓋3の閉鎖状態において、蓋3がハウジング本体2に対して開閉方向D1に相対移動することが抑制される。
【0047】
対向面F3は、蓋3が閉鎖状態にあるときに、蓋3の基端領域R2において、側壁W2の第4対向面F4に開閉方向D1(高さ方向D3)で対向する面である。対向面F4は、蓋3が閉鎖状態にあるときに、側壁W2の基端領域R2において、蓋3の対向面F3に開閉方向D1(高さ方向D3)で対向する面である。対向面F3および対向面F4の位置、形状および構造は、基端領域R2において互いに対向する面であれば、特に限定されない。本実施形態では、図1に示されるように、対向面F4は、第1側壁W21の上端UEであり、対向面F3は、蓋3の裏面31のうち、第1側壁W21の上端UEに対向する面である。しかし、対向面F4が、例えば、第3側壁W23および第4側壁W24の上端であり、対向面F3が、蓋3の裏面31のうち、第3側壁W23および第4側壁W24の上端に対向する面であってもよい。また、例えば、第2開閉方向対向面の高さ方向D3での位置は、第1開閉方向対向面の高さ方向D3での位置に応じて、側壁W2の上端UEに対してさらに上の位置または下の位置であってもよい。
【0048】
次に、突出部(第2突出部)PR2の詳細について説明する。なお、本実施形態では、後述する突出部PR1に加えて、突出部PR2が設けられているが、突出部PR2は必ずしも設けられていなくてもよい。
【0049】
突出部PR2は、対向面F1および/または対向面F2から軸X方向に突出する突出部である。突出部PR2は、蓋3側となる対向面F1に設けられていてもよいし、ハウジング本体2側となる対向面F2に設けられていてもよいし、対向面F1および対向面F2の両方に設けられていてもよい。
【0050】
本実施形態では、突出部PR2の軸X方向への突出量は、対向面F1と対向面F2との間に軸X方向に生じる軸方向隙間G1の大きさよりも大きく、突出部PR2は、蓋3が開口部APを閉鎖した状態で、軸方向隙間G1に嵌まり込むように構成されている。ここで、「軸方向隙間G1に嵌まり込む」とは、突出部PR2が軸方向隙間G1内に圧入された状態をいう。突出部PR2の突出量は、突出部PR2が軸方向隙間G1に嵌まり込んで、後述するように、蓋3のハウジング本体2に対する軸X方向での相対移動を抑制することができれば、特に限定されない。また、突出部PR2の形状は、突出部PR2が軸方向隙間G1に嵌まり込んで、蓋3のハウジング本体2に対する軸X方向での相対移動を抑制することができれば、特に限定されない。本実施形態では、蓋3の基端部の軸X方向で両端に設けられた軸受部Ax2に、軸Xに対して略垂直に延びる対向面F1を有しており、突出部PR2は、対向面F1に対して軸X方向に突出している。また、突出部PR2は、軸X方向に見たときに、図7に示されるように、蓋3の裏面31に対して略垂直な方向に延びている。突出部PR2のうち、軸方向隙間G1に最初に嵌まり込む先端部分は、面取り等の湾曲面や傾斜面などによって先細となるように構成され、軸方向隙間G1に嵌まり込みやすくなっている。
【0051】
上述したように、ハウジング1に突出部PR2が設けられ、突出部PR2の軸X方向の突出量が、軸方向隙間G1の大きさよりも大きくなっている場合、図10に示されるように、突出部PR2が軸方向隙間G1に嵌まり込んだ状態で、蓋3がハウジング本体2に対して軸X方向に相対移動することが抑制される。以下、この点についてより詳細に説明する。図8に示されるように、突出部PR2が軸方向隙間G1に嵌まり込んでいない場合、対向面F1と対向面F2との間の軸方向隙間G1によって、蓋3はハウジング本体2に対して軸X方向に相対移動が可能となっている。蓋3が閉鎖されたときにこの軸方向隙間G1に突出部PR2が嵌め込まれていない場合、蓋3はハウジング本体2に対して軸X方向に相対移動可能となる。そのため、蓋3のハウジング本体2に対する軸X方向での相対移動に起因するガタ付き、異音が発生してしまう。図10に示されるように、突出部PR2が軸方向隙間G1に嵌まり込むことによって、軸方向隙間G1が埋まり、蓋3はハウジング本体2に対して軸X方向に相対移動することが規制される。本実施形態では、蓋3の閉鎖状態において、突出部PR2が対向面F1と対向面F2との間に嵌まり込むと、突出部PR2は対向面F2から対向面F2に対して垂直な方向(図10において左側)に反力を受ける。本実施形態では、軸X方向でハウジング1の両側それぞれに対向面F1、対向面F2および突出部PR2設けられており、軸X方向で一方側の突出部PR2と他方側の突出部PR2は、対向面F2から軸X方向で互いに逆方向の反力を受けている。これにより、突出部PR2が軸方向隙間G1に嵌まり込んだ状態で、蓋3のハウジング本体2に対する軸X方向の相対移動が規制される。したがって、ハウジング1に振動等が加わったときに、蓋3とハウジング本体2とが軸X方向で接触・非接触を繰り返すことによる異音の発生が抑制される。
【0052】
なお、対向面F1および対向面F2の互いに対する位置関係は、蓋3のハウジング本体2に対する軸X方向での相対移動を規制することができるように、突出部PR2が軸方向隙間G1に嵌まり込むことができれば、特に限定されない。本実施形態では、対向面F1および対向面F2は、軸X方向で対向面F2が対向面F1に対して内側(側壁W2の軸X方向で中央部に近い側)となるように設けられているが、対向面F1および対向面F2は他の位置関係で配置されていてもよい。例えば、対向面F1および対向面F2は、軸X方向で対向面F1が対向面F2に対して内側(側壁W2の軸X方向で中央部に近い側)となるように設けられていてもよい。また、本実施形態では、対向面F1、対向面F2および軸方向隙間G1が軸X方向の両端に1つずつ設けられているが、例えば、第1軸方向対向面、第2軸方向対向面および軸方向隙間によって構成された嵌合構造(圧入構造)は、軸X方向に沿って1つのみ設けられていてもよい。例えば、図8において、突出部PR2が軸方向隙間G1に嵌まり込んだときに、蓋3が対向面F2から離れる方向への移動を規制するために、蓋3の軸受部Ax2の左側に壁部が設けることによって、図示されていない他方の軸部および軸受部の部分において、嵌合構造を設ける必要がなくなる。この場合も、軸方向隙間G1に突出部PR2が嵌まり込む(圧入される)ことによって、蓋3のハウジング本体2に対する軸X方向の相対移動を規制することができる。
【0053】
なお、突出部PR2は、蓋3が開口部APを閉鎖した状態で軸方向隙間G1に嵌まり込んだ状態となっていればよく、蓋3の開閉の過程で、突出部PR2が常に軸方向隙間G1に嵌まり込んでいてもよいし、蓋3の開閉の過程のうちの一部で、軸方向隙間G1に嵌まり込んでいてもよい。本実施形態では、突出部PR2は、蓋3に設けられた対向面F1に設けられ、突出部PR2は、蓋3が開口部APを閉鎖した閉鎖状態からハウジング本体2に対して所定の角度開放した状態では、軸方向隙間G1に嵌まり込まず(図7参照)、蓋3が開口部APを閉鎖する閉鎖状態の近傍となる閉鎖近傍領域で、軸方向隙間G1に嵌まり込む(図9参照)ように構成されている。この場合、蓋3の閉鎖近傍領域までは、蓋3の開閉動作への抵抗がかかりにくく、蓋3の開閉動作を円滑にすることができる。なお、蓋3のハウジング本体2に対する上述した「所定の角度」は、特に限定されないが、例えば、側壁W2の上端UEと蓋3の裏面31とが為す角θ(図7参照)が60°以上、好ましくは45°以上、さらに好ましくは30°以上とすることができる。また、蓋3の「閉鎖近傍領域」は特に限定されないが、例えば、側壁W2の上端UEと蓋3の裏面31とが為す角θが0より大きく60°未満、好ましくは0より大きく45°未満、さらに好ましくは0より大きく30°未満となるときの、蓋3の位置とすることができる。
【0054】
次に、突出部PR1の詳細について説明する。
【0055】
突出部(第1突出部)PR1は、対向面(第1開閉方向対向面)F3および/または対向面(第2開閉方向対向面)F4から開閉方向D1に突出する突出部である。突出部PR1は、蓋3側となる対向面F3に設けられていてもよいし、ハウジング本体2側となる対向面F4に設けられていてもよいし、対向面F3および対向面F4の両方に設けられていてもよい。
【0056】
突出部PR1の開閉方向D1への突出量は、軸部Ax1と軸受部Ax2との間に開閉方向D1で生じる開閉方向隙間G2(図7参照)の大きさよりも大きく、蓋3が開口部APを閉鎖し、ハウジング本体2に保持された状態で、突出部PR1が対向面F3および/または対向面F4に開閉方向D1で押圧されることによって、軸部Ax1が軸受部Ax2に対して開閉方向D1に押圧されるように構成されている。詳細は後述するが、これにより、蓋3のハウジング本体2に対する開閉方向D1での相対移動が規制される。
【0057】
突出部PR1の突出量は、蓋3が開口部APを閉鎖し、ハウジング本体2に保持された状態で、突出部PR1が対向面F3および/または対向面F4に開閉方向D1で押圧されることによって、軸部Ax1が軸受部Ax2に対して開閉方向D1に押圧されるように構成されていれば、特に限定されない。
【0058】
突出部PR1の形状は、蓋3が開口部APを閉鎖し、ハウジング本体2に保持された状態で、突出部PR1が対向面F3および/または対向面F4に開閉方向D1で押圧されることによって、軸部Ax1が軸受部Ax2に対して開閉方向D1に押圧されるように構成されていれば、特に限定されない。本実施形態では、突出部PR1は、軸X方向に沿って延びる略矩形状の突出部である。ここで、「蓋3がハウジング本体2に保持される」とは、係合部E1等によって蓋3が開口部APを閉鎖した状態が維持されることをいう。なお、蓋3は、係合部E1以外の手段によってハウジング本体2に保持されていてもよい。
【0059】
突出部PR1が設けられる位置は、突出部PR1が蓋3および/またはハウジング本体2の基端領域R2に設けられていれば、特に限定されない。本実施形態では、突出部PR1は、第1側壁W21の上端UEに対向する蓋3の裏面31の基端領域R2に設けられている。しかし、突出部PR1は、第3側壁W23および/または第4側壁W24の上端UEに対向する蓋3の裏面31に設けられていてもよいし、蓋3のそれ以外の部位に設けられていてもよい。また、突出部PR1は、図14に示されるように、第1側壁W21の上端UEに設けられていてもよいし、第3側壁W23および/または第4側壁W24の上端UEに設けられていてもよいし、ハウジング本体2のそれ以外の部位に設けられていてもよい。
【0060】
本実施形態では、突出部PR1は、図1に示されるように、軸X方向で第1側壁W21の中央領域において、対向面F4に押圧されるように設けられている。突出部PR1が軸X方向で中央領域に設けられている場合、突出部PR1が軸X方向で第1側壁W21の端部側に設けられている場合と比較して、蓋3が撓みやすく、蓋3を容易に閉鎖することができる。なお、突出部が第1側壁W21に設けられる場合(図14参照)など、突出部は対向面F3に押圧されるように構成されていてもよいし、突出部が第1側壁W21および蓋3の両方に設けられる場合、突出部は、対向面F3および対向面F4に押圧される。また、突出部PR1は、本実施形態では、蓋3の裏面31に1つのみ設けられているが、複数設けられていてもよい。
【0061】
上述したように、突出部PR1の開閉方向D1への突出量が開閉方向隙間G2の大きさよりも大きく、蓋3が開口部APを閉鎖し、ハウジング本体2に保持された状態で、突出部PR1が対向面F3および/または対向面F4に開閉方向D1で押圧され、軸部Ax1が軸受部Ax2に対して開閉方向D1に押圧される。これにより、蓋3がハウジング本体2に対して開閉方向D1に相対移動することが抑制される。ここで、「開閉方向D1で押圧される」、「開閉方向D1に押圧される」は、厳密な開閉方向D1だけでなく、開閉方向D1に対して傾斜した方向も含む。また、「軸部Ax1が軸受部Ax2に対して開閉方向D1に押圧される」とは、軸部Ax1と軸受部Ax2との間に開閉方向D1に押圧力が加わることをいい、本実施形態のように、軸受部Ax2が軸部Ax1に対して相対移動して軸部Ax1と軸受部Ax2との間に開閉方向D1で押圧力が加わるものであってもよいし、軸部が軸受部に対して相対移動して軸部と軸受部との間に開閉方向D1で押圧力が加わるものであってもよい。
【0062】
以下、突出部PR1に関連する作用効果についてより詳細に説明する。図7図8および図11に示されるように、軸部Ax1と軸受部Ax2との間には、開閉方向隙間G2が形成される。開閉方向隙間G2は、軸部Ax1の外周と軸受部Ax2の内面との間に生じるクリアランスによって生じる隙間である。なお、軸部Ax1の外周と軸受部Ax2との間には、図7に示されるように、開閉方向D1以外にも隙間が生じている。ここで、「開閉方向隙間G2の大きさ」とは、軸受部Ax2に対して軸部Ax1を開閉方向D1(高さ方向D3)での隙間が最大となるように移動させたときの隙間の大きさ(軸部Ax1の径方向での最大の隙間)をいう。なお、開閉方向隙間G2は、図面においては、説明を容易にするために隙間の大きさを誇張して示している(軸方向隙間G1も同様)。開閉方向隙間G2によって、閉鎖状態にある蓋3はハウジング本体2に対して開閉方向D1(高さ方向D3)に相対移動が可能となっている。この場合、ハウジング1に振動が加わると、蓋3のハウジング本体2に対する相対移動に起因するガタ付き、異音が発生してしまう。
【0063】
図7および図9に示されるように、開閉方向隙間G2の大きさよりも大きい突出量を有する突出部PR1が、対向面F3に設けられている場合、蓋3が閉鎖された状態において、突出部PR1が対向面F4に当接し、対向面F4に向かって押圧される。より具体的には、蓋3は突出部PR1が無い状態であっても、ハウジング本体2を閉鎖できるように構成されており、突出部PR1が設けられていることによって、突出部PR1から対向面F4に向かって押圧力が加わりながら蓋3が閉鎖される。これにより、突出部PR1には、対向面F4から、対向面F4に対して垂直な方向(図9において上側)に矢印AR1で示される反力が加わる。これにより、突出部PR1が設けられた蓋3の基端領域R2において、蓋3が対向面F4から離れる方向に持ち上げられる力が加わり、蓋3の軸受部Ax2が軸部Ax1に対して図9において上側に移動する。これにより、軸部Ax1が軸受部Ax2に対して開閉方向D1(高さ方向D3)に押圧される。より具体的に説明すると、本実施形態では、図12に示されるように、係合部E1によって、蓋3が開口部APを閉鎖した状態でハウジング本体2に保持されたときに、突出部PR1を支点として、蓋3の基端領域R2が底壁W1から離れる方向(図12における上側)に持ち上げられて、軸部Ax1が軸受部Ax2に対して押圧される。なお、本実施形態では、係合部E1によって蓋3がハウジング本体2に保持されているが、蓋3を閉鎖した状態で、突出部PR1を支点として、蓋3の基端領域R2が底壁W1から離れる方向に持ち上げられるようにハウジング1が構成されていれば、蓋3を閉鎖した状態で保持する手段は係合部E1に限定されない。
【0064】
このように、軸部Ax1が軸受部Ax2に対して開閉方向D1(高さ方向D3)に押圧されると、図9においては、蓋3の軸受部Ax2の開口縁の下端から軸部Ax1の下端に向かって矢印AR2で示される押圧力が加わる。この場合、例えば、ハウジング1に振動が加わり、蓋3に図9において上側に力が加わったとしても、蓋3の閉鎖状態において、軸部Ax1と軸受部Ax2とが開閉方向D1で接触して係合しているので、蓋3は上側に移動することができない。また、蓋3に、図9において下側に力が加わったとしても、突出部PR1と対向面F4とが接触していることによって、蓋3は下方に移動することができない。以上のように、突出部PR1が対向面F4に押圧されることによって、蓋3のハウジング本体2に対する開閉方向D1(高さ方向D3)での相対移動が抑制される。したがって、ハウジング1に振動が加わった場合に、軸部Ax1と軸受部Ax2とが開閉方向D1で接触と非接触とを繰り返すことによる異音や、蓋3とハウジング本体2とが開閉方向D1で接触と非接触とを繰り返すことによる異音が抑制される。
【0065】
なお、上記説明においては、突出部PR1が対向面F3に設けられている場合を例に挙げて説明したが、図14に示されるように、突出部PR1が対向面F4に設けられている場合、対向面F3および対向面F4の両方に設けられている場合も同様の効果が得られる。また、上記説明においては、蓋3に軸受部Ax2が設けられ、ハウジング本体2に軸部Ax1が設けられている場合を例に挙げて説明したが、蓋3に軸部が設けられ、ハウジング本体2に軸受部が設けられている場合も同様の効果が得られる。
【0066】
また、本実施形態では、蓋3が開口部APを閉鎖し、ハウジング本体2に保持された状態で、図13に示されるように、開口部AP側となる側壁W2の上端UEと、側壁W2の上端UEに対向する蓋3の裏面31との間に、ハウジング1の内部と外部とを接続する排水路DRが形成されるように、突出部PR1は、対向面F3および/または対向面F4の一部のみに設けられている。この場合、図13に示されるように、蓋3と側壁2の上端UEとの間に形成された排水路DRから、ハウジング1の内部に入った水を排出することができる。なお、本実施形態では、軸X方向で第1側壁W21の中央領域に1つの第2突出部PR2が設けられていることによって、排水路DRが形成されている。同様に、図14に示される態様においても、蓋3が閉鎖状態となったときに、一対の突出部PR1の間に排水路が形成されることになる。排水路を形成可能であれば、突出部が設けられる位置や数は特に限定されない。
【0067】
つぎに、ハウジング1がケーブル連結機構Mに適用された例を挙げて、本実施形態のハウジング1の作用効果を説明する。なお、以下の説明は、あくまで一例であり、本発明は以下の説明によって限定されるものではない。
【0068】
まず、図1に示されるように、蓋3が開放した状態のハウジング1において、ハウジング本体2にスライダSを収容し、スライダSにケーブルCを連結させる(図6参照)。スライダSおよびケーブルCの一部がハウジング本体2に収容されると、図2に示されるように、蓋3が閉鎖される。蓋3が閉鎖されると、図10に示されるように、対向面F1と対向面F2との間の軸方向隙間G1に突出部PR2が圧入されて嵌め込まれる。また、蓋3が閉鎖されると、図12に示されるように、突出部PR1が第1側壁W21の上端UEの対向面F4に押圧されながら、蓋3の係合部E1をハウジング本体2の被係合部E2に向かって押し込む。これにより、突出部PR1が対向面F4に押圧された状態で蓋3が閉鎖される。このとき、蓋3は突出部PR1を支点として蓋3の先端領域R1を押しながら係合部E1と被係合部E2とを係合させるので、わずかに撓んだ状態となっている。
【0069】
突出部PR1が対向面F4に押圧されることによって、図9および図12において矢印AR1で示されるように、蓋3の基端領域R2を持ち上げるような反力が加わり、蓋3の軸受部Ax2が持ち上がって、矢印AR2で示されるように、軸部Ax1に押し当てられる。蓋3の先端領域R1に設けられた係合部E1を被係合部E2に係合させる際に、蓋3が突出部PR1を支点として撓むので、蓋3の復元力によって、蓋3は先端領域R1に図12において上向きの力が加わる(矢印AR3参照)。したがって、図12に示されるように、係合部E1と被係合部E2との間の開閉方向D1の隙間(図11参照)が無くなり、係合部E1と被係合部E2との間の係合力が高まる。
【0070】
以上のように、本実施形態では、突出部PR2が軸方向隙間G1に嵌まり込むことによって、蓋3のハウジング本体2に対する軸X方向での相対移動が抑制される。また、突出部PR1が対向面F4に押圧されることによって、蓋3の基端領域R2において、蓋3のハウジング本体2に対する開閉方向D1での相対移動が抑制され、さらに、蓋3の先端領域R1においても、蓋3のハウジング本体2に対する開閉方向D1での相対移動が抑制される。したがって、ハウジング1が取り付けられる車両等の取付対象に振動が生じたときに、蓋3とハウジング本体2とが接触と非接触とを繰り返すことによる異音の発生を抑制することができる。
【0071】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態のハウジング1について、図14および図15A図15Cを用いて説明する。本実施形態では、第1軸方向対向面F1および第2軸方向対向面F2は、第1実施形態における第2突出部PR2を有しておらず、突出部PR1が蓋3ではなく、側壁W2に設けられている点で、第1実施形態と異なる。なお、以下の説明において、上述した実施形態と共通する事項についての説明は省略し、相違点を中心に説明する。なお、本実施形態の構成と、第1実施形態で説明した内容とは組み合わせて用いることができる。
【0072】
本実施形態では、対向面(第1軸方向対向面)F1および対向面(第2軸方向対向面)F2は、少なくとも蓋3が開口部APを閉鎖した状態において、面同士が軸X方向で互いに押圧されるように構成されている。より具体的には、図15Aに示されるように、蓋3が、軸X方向で離間して配置された一対の第1軸方向対向面F1、F1を有し、側壁W2が、軸X方向で離間して配置された一対の第2軸方向対向面F2、F2を有し、一対の第1軸方向対向面F1、F1の間の軸方向の距離L1、および、一対の第2軸方向対向面F2、F2の間の軸方向の距離L2は、蓋3がハウジング本体2に取り付けられたときに、第1軸方向対向面F1および第2軸方向対向面F2が、軸X方向で互いに押圧されるように設定されている。例えば、図15Aに示されるように、一対の第1軸方向対向面F1、F1が、一対の第2軸方向対向面F2、F2に対して、軸X方向で外側(ハウジング1の端部側)に位置する場合には、一対の第1軸方向対向面F1、F1の間の軸方向の距離L1は、一対の第2軸方向対向面F2、F2の間の軸X方向の距離L2よりも小さくなるように設定される(L1<L2)。また、図15Bに示されるように、一対の第1軸方向対向面F1、F1が、一対の第2軸方向対向面F2、F2に対して、軸X方向で内側(ハウジング1の中央側)に位置する場合には、一対の第1軸方向対向面F1、F1の間の軸方向の距離L1は、一対の第2軸方向対向面F2、F2の間の軸X方向の距離L2よりも大きくなるように設定される(L1>L2)。また、図15Cに示されるように、一対の第1軸方向対向面F1、F1の一方が、一対の第2軸方向対向面F2、F2の一方に対して、軸X方向で外側(ハウジング1の端部側)に位置し、一対の第1軸方向対向面F1、F1の他方が、一対の第2軸方向対向面F2、F2の他方に対して、軸X方向で内側(ハウジング1の中央側)に位置する場合には、一対の第1軸方向対向面F1、F1の間の軸X方向の距離L1は、一対の第2軸方向対向面F2、F2の間の軸X方向の距離L2よりも大きくなるように設定される(L1>L2)。なお、図15A図15Cに示される第1軸方向対向面F1および第2軸方向対向面F2の配置は一例であり、第1軸方向対向面F1および第2軸方向対向面F2が、軸X方向で互いに押圧されるように設定されていれば、他の配置であってもよい。
【0073】
図15A図15Cに示されるように、一対の第1軸方向対向面F1、F1の間の軸X方向の距離L1、および、一対の第2軸方向対向面F2、F2の間の軸X方向の距離L2は、蓋3がハウジング本体2に取り付けられたときに、第1軸方向対向面F1および第2軸方向対向面F2が、軸X方向で互いに押圧されるように設定されている場合、蓋3がハウジング本体2に取り付けられたときに、第1軸方向対向面F1および第2軸方向対向面F2との間に軸方向隙間が生じなくなる。したがって、蓋3の閉鎖状態において、蓋3がハウジング本体2に対して軸X方向に相対移動することが抑制される。これにより、ハウジング1が振動したときに、異音が生じることを抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態では、図14に示されるように、突出部PR1を有していることにより、第1実施形態で説明した理由と同様の理由で、蓋3のハウジング本体2に対する開閉方向D1(高さ方向D3)での相対移動が抑制される。したがって、ハウジング1に振動が加わった場合に、軸部Ax1と軸受部Ax2とが開閉方向D1で接触と非接触とを繰り返すことによる異音や、蓋3とハウジング本体2とが開閉方向D1で接触と非接触とを繰り返すことによる異音が抑制される。
【0075】
また、本実施形態では、図14に示されるように、突出部PR1は、一対の軸部Ax1および軸受部Ax2の近傍領域(例えば、軸部Ax1および軸受部Ax2が設けられた位置に対して、軸X方向で、ハウジング1の、軸X方向長さの1/4以内の領域)に設けられていてもよい。より具体的には、図14では、軸X方向で第1側壁W21の両端近傍に一対の軸部Ax1および軸受部Ax2が設けられ、その軸部Ax1および軸受部Ax2の近傍領域(軸X方向で内側の近傍領域)において、第1側壁W21の上端UEに一対の突出部PR1が設けられている。このように、一対の突出部PR1が、開閉方向隙間G2が生じる一対の軸部Ax1および軸受部Ax2の近傍領域に設けられている場合、1つの突出部がハウジング1の軸X方向で中央に設けられている場合と比較して、突出部PR1が軸部Ax1および軸受部Ax2に近い。したがって、蓋3が開口部APを閉鎖した状態でハウジング本体2に保持されたときに、突出部PR1を支点として、蓋3の基端領域R2が底壁W1から離れる方向(図12における上側)に持ち上げられることによるガタ詰め効果をさらに向上させることができる。また、一対の突出部PR1が、開閉方向隙間G2が生じる一対の軸部Ax1および軸受部Ax2の近傍領域に設けられている場合、係合部E1と被係合部E2との間の係合を解除して蓋3を開放するときに、一対の突出部PR1から蓋3に加わる反力によって、蓋3を開放しやすくなる。
【符号の説明】
【0076】
1 ハウジング
2 ハウジング本体
3 蓋
31 蓋の裏面
32 蓋の表面
AP 開口部
AT アウターケーシング取付部
Ax1 軸部
Ax2 軸受部
C、C1、C21、C22 ケーブル
D1 開閉方向
D2 ハウジングの幅方向
D3 ハウジングの高さ方向
DR 排水路
E1 係合部
E2 被係合部
F1 対向面(第1軸方向対向面)
F2 対向面(第2軸方向対向面)
F3 対向面(第1開閉方向対向面)
F4 対向面(第2開閉方向対向面)
FX 固定部
G1 軸方向隙間
G2 開閉方向隙間
H フード
L1 一対の第1軸方向対向面の間の軸方向の距離
L2 一対の第2軸方向対向面の間の軸方向の距離
M ケーブル連結機構
OC アウターケーシング
OP1 操作部
OP21、OP22 被操作部
P 離脱防止部
PR1 突出部
PR2 第2突出部
R1 先端領域
R2 基端領域
S スライダ
UE 側壁の上端
V 車両
W1 底壁
W2 側壁
W21 第1側壁
W211 突出片
W22 第2側壁
W23 第3側壁
W24 第4側壁
X 回転軸
θ 側壁の上端と蓋の裏面とが為す角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C