(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006904
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】エアゾール式製品用の噴射操作具
(51)【国際特許分類】
B05B 9/04 20060101AFI20230111BHJP
B65D 83/16 20060101ALI20230111BHJP
【ＦＩ】
B05B9/04
B65D83/16 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2021109755
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000144463
【氏名又は名称】株式会社三谷バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100097593
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 治幸
(72)【発明者】
【氏名】大高 史有
【テーマコード（参考）】
3E014
4F033
【Ｆターム（参考）】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PD01
3E014PE14
3E014PF10
4F033RA02
4F033RC15
(57)【要約】
【課題】エアゾール式製品用の噴射操作具において、操作力を補強して使用感を向上させることで利用者の内容物噴射操作にかかる利便性を図り、後付け可能な着脱式として利用者による操作具自体の再利用化を図る。
【解決手段】後付け可能な着脱式の噴射操作具１とし、回動操作部３ａと上下方向に直動するかたちで案内されたアクチュエータ駆動部３ｆとはそれぞれと回動自在に連結する単一のリンク部３ｋを介して接続されている。噴射操作のための回動操作部３ａの回動に対して、回動操作部３ａとリンク部３ｋとの連結部を頂点Ｂとし、回動操作部３ａの回動中心Ａを通る辺とアクチュエータ駆動部３ｆとリンク部３ｋとの連結部Ｃを通る辺とがなす劣角θが回動操作部３ａの回動にしたがって大きくなり、アクチュエータ駆動部３ｆの移動距離が操作開始時より操作終了時の方が小さくなるようにした。
【選択図】図３
【解決手段】後付け可能な着脱式の噴射操作具１とし、回動操作部３ａと上下方向に直動するかたちで案内されたアクチュエータ駆動部３ｆとはそれぞれと回動自在に連結する単一のリンク部３ｋを介して接続されている。噴射操作のための回動操作部３ａの回動に対して、回動操作部３ａとリンク部３ｋとの連結部を頂点Ｂとし、回動操作部３ａの回動中心Ａを通る辺とアクチュエータ駆動部３ｆとリンク部３ｋとの連結部Ｃを通る辺とがなす劣角θが回動操作部３ａの回動にしたがって大きくなり、アクチュエータ駆動部３ｆの移動距離が操作開始時より操作終了時の方が小さくなるようにした。
【選択図】図３
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押下げ操作のためのアクチュエータを備えたエアゾール式製品に取り付けて使用される、固定基部、噴射操作のための回動操作部およびアクチュエータ駆動部をそなえた着脱可能なエアゾール式製品用の噴射操作具であって、
前記固定基部は、
前記エアゾール式製品のマウンティングカップ部に着脱可能なかたちで嵌合装着される切れ込みを備えたＣ字形状のマウンティングカップ嵌合部を有し、
前記回動操作部は、
前記固定基部に対し回動可能に設けられ、
前記アクチュエータ駆動部は、
前記回動操作部の回動に連動して前記アクチュエータを当接して押し下げ、
前記回動操作部の回動に対する前記アクチュエータ駆動部の移動距離は、前記回動操作部と前記アクチュエータ駆動部との回動連結作用により操作開始時より操作終了時の方が小さい、
ことを特徴とするエアゾール式製品用の噴射操作具。
前記固定基部は、
前記エアゾール式製品のマウンティングカップ部に着脱可能なかたちで嵌合装着される切れ込みを備えたＣ字形状のマウンティングカップ嵌合部を有し、
前記回動操作部は、
前記固定基部に対し回動可能に設けられ、
前記アクチュエータ駆動部は、
前記回動操作部の回動に連動して前記アクチュエータを当接して押し下げ、
前記回動操作部の回動に対する前記アクチュエータ駆動部の移動距離は、前記回動操作部と前記アクチュエータ駆動部との回動連結作用により操作開始時より操作終了時の方が小さい、
ことを特徴とするエアゾール式製品用の噴射操作具。
【請求項2】
前記アクチュエータ駆動部は、
上下方向に直動するかたちで案内され、
前記回動操作部と前記アクチュエータ駆動部とはそれぞれと回動自在に連結する単一リンクを介して接続され、
前記回動操作部と前記単一リンクとの連結部を頂点とし、前記回動操作部の回動中心を通る辺と前記アクチュエータ駆動部と前記単一リンクとの連結部を通る辺とがなす劣角が前記回動操作部の回動にしたがって大きくなる、
ことを特徴とする請求項１記載のエアゾール式製品用の噴射操作具。
上下方向に直動するかたちで案内され、
前記回動操作部と前記アクチュエータ駆動部とはそれぞれと回動自在に連結する単一リンクを介して接続され、
前記回動操作部と前記単一リンクとの連結部を頂点とし、前記回動操作部の回動中心を通る辺と前記アクチュエータ駆動部と前記単一リンクとの連結部を通る辺とがなす劣角が前記回動操作部の回動にしたがって大きくなる、
ことを特徴とする請求項１記載のエアゾール式製品用の噴射操作具。
【請求項3】
アクチュエータ駆動部は、
前記アクチュエータの天面に対応する第一の当接面と、
当該天面より低い位置の前記アクチュエータの側方段部のそれぞれに対応する一対の第二の当接面と、
前記第二の当接面それぞれを連結する補強部と、を備えている、
ことを特徴とする請求項１又は２記載のエアゾール式製品用の噴射操作具。
前記アクチュエータの天面に対応する第一の当接面と、
当該天面より低い位置の前記アクチュエータの側方段部のそれぞれに対応する一対の第二の当接面と、
前記第二の当接面それぞれを連結する補強部と、を備えている、
ことを特徴とする請求項１又は２記載のエアゾール式製品用の噴射操作具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存のエアゾール式製品に追加で装着する噴射操作具に関する。
【0002】
ここでエアゾール式製品とは、噴射対象の内容物および噴射剤などを収容した容器、容器上方に設けられ弁機構を有するマウンティングカップ、および押下げ操作により弁機構を駆動し内容物を噴射する操作ボタンを備えたものである。
【0003】
なお、本明細書においては、噴射口の側を「前」とし、それとは容器の中心を挟んで反対側の操作面の側を「後」とする。例えば図３および図４の左側が「前」で、右側が「後」となり、図１，図２および図５の左下側が「前」である。また、前後方向と略直交する図１，図２および図５の「左上－右下」方向を「左右」とする。
【背景技術】
【0004】
従来、操作を容易にするために倍力機構を有する操作部を備えたエアゾール式製品があった（特許文献１参照）。
【0005】
しかしながらこのような操作部は、量産効果の小さい数生産のエアゾール式製品では増大する生産コストの面から採用することが難しく、また多数生産されるエアゾール式製品あっても専門業者が多数に消費するものでは、製品とともに使い捨てになってしまう数多くの操作部材に対するコスト低減の要請からも採用されないことがあった。
【0006】
そのため、倍力機構なしのメカニズムからなる操作部（アクチュエータ）が広く採用されている。
【0007】
例えば、図５（ａ）のように操作面と噴射口のみを備えたアクチュエータ１３や、図５（ｂ）のようにマウンティングカップ上部の環状凹部に適合する形状として少なくとも脱落・抜け防止を図ったアクチュエータ１４がある。図５（ｂ）のアクチュエータ１４の場合、強度を確保しつつ使用する樹脂量を低減するために環状凹部に適合する外周下端部のみ大径とした形状としているので、上向きの環状段部１４ｂを有している。
【0008】
図５（ａ）のアクチュエータ１３では成形の際に使用される材料を節約することができ、図５（ｂ）のアクチュエータ１４では使用する材料を低減しつつ、子供による取り外しや、利用中や運搬中にひっかけて外れることを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開平０６－０６０４５７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、操作部の取り付け対象となるステムの内容物噴射用の操作力（押し下げ反力）は内容物や噴射剤によって優先的に設定されるため、ステム押下力にバラツキがある各利用者に適した操作力に設定できるものではなかった。
【0011】
例えば、ステムの操作力を弱くするとこれと一体に連動する弁機構の閉鎖力も弱くなり内容物が漏出するため、ステムの操作力を低減するには限界があった。
【0012】
また、ステムおよび弁機構を閉鎖方向に付勢するためにコイルスプリングを専ら採用するため、ステムに取り付けられた操作部の押し込みに従い操作力は増大するように設定されていた。
【0013】
そのため、指の力が弱い利用者（子供や高齢者など）では内容物の噴射操作や噴射状態を保持することが困難であった。
【0014】
本発明では、利用者の操作力をいわば「補強」して内容物噴射操作の利便性を向上させる後付け可能な着脱式の噴射操作具を対象とする。
【0015】
本発明は、後付けで装着する噴射操作具により、
(11)操作力を補強して使用感を向上させることで利用者の内容物噴射操作にかかる利便性を図り、
(12)後付け可能な着脱式として利用者による当該操作具自体の再利用化を図る、
ことなどを目的とする。
(11)操作力を補強して使用感を向上させることで利用者の内容物噴射操作にかかる利便性を図り、
(12)後付け可能な着脱式として利用者による当該操作具自体の再利用化を図る、
ことなどを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
（１）押下げ操作のためのアクチュエータを備えたエアゾール式製品に取り付けて使用される、固定基部（例えば後述の固定基部２）、噴射操作のための回動操作部（例えば後述の回動操作部３ａ）およびアクチュエータ駆動部（例えば後述のアクチュエータ駆動部３ｆ）をそなえた着脱可能なエアゾール式製品用の噴射操作具であって、
前記固定基部は、
前記エアゾール式製品のマウンティングカップ部（例えば後述のマウンティングカップ１１）に着脱可能なかたちで嵌合装着される切れ込みを備えたＣ字形状のマウンティングカップ嵌合部（例えば後述のマウンティングカップ嵌合部２ｇ）を有し、
前記回動操作部は、
前記固定基部に対し回動可能に設けられ、
前記アクチュエータ駆動部は、
前記回動操作部の回動に連動して前記アクチュエータを当接して押し下げ、
前記回動操作部の回動に対する前記アクチュエータ駆動部の移動距離は、前記回動操作部と前記アクチュエータ駆動部との回動連結作用により操作開始時より操作終了時の方が小さい、
構成態様のものを用いる。
（２）上記（１）において、
前記アクチュエータ駆動部は、
上下方向に直動するかたちで案内され、
前記回動操作部と前記アクチュエータ駆動部とはそれぞれと回動自在に連結する単一リンク（例えば後述のリンク部３ｋ）を介して接続され、
前記回動操作部と前記単一リンクとの連結部を頂点（例えば後述の上側ヒンジ部３ｍ，点Ｂ）とし、前記回動操作部の回動中心（例えば後述の円柱状部３ｃの中心軸，点Ａ）を通る辺と前記アクチュエータ駆動部と前記単一リンクとの連結部（例えば後述の下側ヒンジ部３ｎ，点Ｃ）を通る辺とがなす劣角（例えば後述の開き角θ）が前記回動操作部の回動にしたがって大きくなる、
構成態様のものを用いる。
（３）上記（１），（２）において、
アクチュエータ駆動部は、
前記アクチュエータの天面に対応する第一の当接面（例えば後述の水平天井部３ｇの下面）と、
当該天面より低い位置の前記アクチュエータの側方段部のそれぞれに対応する一対の第二の当接面（例えば後述の水平片部３ｈおよび補強部３ｊの下面）と、
前記第二の当接面それぞれを連結する補強部（例えば後述の補強部３ｊ）と、を備えている、
構成態様のものを用いる。
（１）押下げ操作のためのアクチュエータを備えたエアゾール式製品に取り付けて使用される、固定基部（例えば後述の固定基部２）、噴射操作のための回動操作部（例えば後述の回動操作部３ａ）およびアクチュエータ駆動部（例えば後述のアクチュエータ駆動部３ｆ）をそなえた着脱可能なエアゾール式製品用の噴射操作具であって、
前記固定基部は、
前記エアゾール式製品のマウンティングカップ部（例えば後述のマウンティングカップ１１）に着脱可能なかたちで嵌合装着される切れ込みを備えたＣ字形状のマウンティングカップ嵌合部（例えば後述のマウンティングカップ嵌合部２ｇ）を有し、
前記回動操作部は、
前記固定基部に対し回動可能に設けられ、
前記アクチュエータ駆動部は、
前記回動操作部の回動に連動して前記アクチュエータを当接して押し下げ、
前記回動操作部の回動に対する前記アクチュエータ駆動部の移動距離は、前記回動操作部と前記アクチュエータ駆動部との回動連結作用により操作開始時より操作終了時の方が小さい、
構成態様のものを用いる。
（２）上記（１）において、
前記アクチュエータ駆動部は、
上下方向に直動するかたちで案内され、
前記回動操作部と前記アクチュエータ駆動部とはそれぞれと回動自在に連結する単一リンク（例えば後述のリンク部３ｋ）を介して接続され、
前記回動操作部と前記単一リンクとの連結部を頂点（例えば後述の上側ヒンジ部３ｍ，点Ｂ）とし、前記回動操作部の回動中心（例えば後述の円柱状部３ｃの中心軸，点Ａ）を通る辺と前記アクチュエータ駆動部と前記単一リンクとの連結部（例えば後述の下側ヒンジ部３ｎ，点Ｃ）を通る辺とがなす劣角（例えば後述の開き角θ）が前記回動操作部の回動にしたがって大きくなる、
構成態様のものを用いる。
（３）上記（１），（２）において、
アクチュエータ駆動部は、
前記アクチュエータの天面に対応する第一の当接面（例えば後述の水平天井部３ｇの下面）と、
当該天面より低い位置の前記アクチュエータの側方段部のそれぞれに対応する一対の第二の当接面（例えば後述の水平片部３ｈおよび補強部３ｊの下面）と、
前記第二の当接面それぞれを連結する補強部（例えば後述の補強部３ｊ）と、を備えている、
構成態様のものを用いる。
【0017】
このような構成からなるエアゾール式製品用の噴射操作具を本発明の対象としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の噴射操作具は、以上の構成をとることにより、
(21)操作力を補強して使用感を向上させることで利用者の内容物噴射操作にかかる利便性を図り、
(22)後付け可能な着脱式として利用者による当該操作具自体の再利用化を図る、
ことなどができる。
(21)操作力を補強して使用感を向上させることで利用者の内容物噴射操作にかかる利便性を図り、
(22)後付け可能な着脱式として利用者による当該操作具自体の再利用化を図る、
ことなどができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】エアゾール容器用の噴射操作具の斜視状態を示す説明図である。
【図5】一般的なエアゾール式製品を示した説明図であり、（ａ）は円柱状アクチュエータを採用したエアゾール式製品、（ｂ）はスカート部を有するアクチュエータを採用したエアゾール式製品を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
【0021】
なお、以下のアルファベット付き参照符号の構成要素（例えばＵ字状起立部２ａ）は原則として、当該参照符号の数字部分の構成要素（例えば固定基部２）の一部であることを示している。
【0022】
ここで、図１～図４において、
１は後述の固定基部２と可動部３を係合して一体化したエアゾール容器用の噴射操作具，
２は後方の開放部より後述のマウンティングカップ１１に係合固定される固定基部，
２ａは湾曲した前方起立壁とこれの周方向に続く対向する一対の側方起立壁からなる水平断面がＵ字状のＵ字状起立部，
２ｂはＵ字状起立部２ａの下端外側に設けられ、エアゾール式製品への着脱の際の掴部となり、エアゾール式製品へ装着した状態では利用者の親指・中指の上に当接して容器の把持や噴射操作の際の安定化を図る鍔部，
２ｃはＵ字状起立部２ａの前方起立壁上部に切り欠き状に設けられ、噴射された内容物が通過する内容物通過部，
２ｄはＵ字状起立部２ａの側方起立壁の内面に設けられた、後述のアクチュエータ駆動部３ｆの水平片部前端をガイドする縦方向の前側リブ状部，
２ｅはＵ字状起立部２ａの側方起立壁の内面に設けられた、後述のアクチュエータ駆動部３ｆの水平片部後端をガイドする縦方向の後側リブ状部，
２ｆはＵ字状起立部２ａの側方起立壁に設けられた回動孔部，
２ｇはＵ字状起立部２ａの下端内側に設けられ、後述のマウンティングカップ１１の外周に嵌合するマウンティングカップ嵌合部，
３は後述の回動操作部３ａ，アクチュエータ駆動部３ｆおよびリンク部３ｋが一体に成形された可動部，
３ａは利用者の押下げ操作により上下方向に回動する回動操作部，
３ｂは回動操作部３ａの後端上面であって、利用者の噴射操作対象となる押下操作面，
３ｃは回動孔部２ｆに係合し、回動操作部３ａの回動中心（Ａ点）となる円柱状部，
３ｄは前側リブ状部２ｄの上端に当接して回動操作部３ａの上方への回動終了位置を規定する回動規制部，
３ｅは前側リブ状部２ｄに係合して回動操作部３ａを回動終了位置に保持する仮固定部，
３ｆは上下方向に摺動して後述のアクチュエータ１３，１４を押し下げるキャップ状のアクチュエータ駆動部，
３ｇはその下面がアクチュエータ１３，１４の天面に当接する水平天井部，
３ｈはアクチュエータ駆動部３ｆの側方下端部から外側に突出する態様の一対の水平片部，
３ｊはアクチュエータ駆動部３ｆの下端部のそれぞれを前方で連結する補強部，
３ｋは回動操作部３ａおよびアクチュエータ駆動部３ｆとの間を接続するリンク部，
３ｍは回動操作部３ａとリンク部３ｋとの間の回動中心（Ｂ点）となる上側ヒンジ部（中間節、関節、ジョイント），
３ｎはアクチュエータ駆動部３ｆとリンク部３ｋとの間の回動中心（Ｃ点）となる下側ヒンジ部，
１は後述の固定基部２と可動部３を係合して一体化したエアゾール容器用の噴射操作具，
２は後方の開放部より後述のマウンティングカップ１１に係合固定される固定基部，
２ａは湾曲した前方起立壁とこれの周方向に続く対向する一対の側方起立壁からなる水平断面がＵ字状のＵ字状起立部，
２ｂはＵ字状起立部２ａの下端外側に設けられ、エアゾール式製品への着脱の際の掴部となり、エアゾール式製品へ装着した状態では利用者の親指・中指の上に当接して容器の把持や噴射操作の際の安定化を図る鍔部，
２ｃはＵ字状起立部２ａの前方起立壁上部に切り欠き状に設けられ、噴射された内容物が通過する内容物通過部，
２ｄはＵ字状起立部２ａの側方起立壁の内面に設けられた、後述のアクチュエータ駆動部３ｆの水平片部前端をガイドする縦方向の前側リブ状部，
２ｅはＵ字状起立部２ａの側方起立壁の内面に設けられた、後述のアクチュエータ駆動部３ｆの水平片部後端をガイドする縦方向の後側リブ状部，
２ｆはＵ字状起立部２ａの側方起立壁に設けられた回動孔部，
２ｇはＵ字状起立部２ａの下端内側に設けられ、後述のマウンティングカップ１１の外周に嵌合するマウンティングカップ嵌合部，
３は後述の回動操作部３ａ，アクチュエータ駆動部３ｆおよびリンク部３ｋが一体に成形された可動部，
３ａは利用者の押下げ操作により上下方向に回動する回動操作部，
３ｂは回動操作部３ａの後端上面であって、利用者の噴射操作対象となる押下操作面，
３ｃは回動孔部２ｆに係合し、回動操作部３ａの回動中心（Ａ点）となる円柱状部，
３ｄは前側リブ状部２ｄの上端に当接して回動操作部３ａの上方への回動終了位置を規定する回動規制部，
３ｅは前側リブ状部２ｄに係合して回動操作部３ａを回動終了位置に保持する仮固定部，
３ｆは上下方向に摺動して後述のアクチュエータ１３，１４を押し下げるキャップ状のアクチュエータ駆動部，
３ｇはその下面がアクチュエータ１３，１４の天面に当接する水平天井部，
３ｈはアクチュエータ駆動部３ｆの側方下端部から外側に突出する態様の一対の水平片部，
３ｊはアクチュエータ駆動部３ｆの下端部のそれぞれを前方で連結する補強部，
３ｋは回動操作部３ａおよびアクチュエータ駆動部３ｆとの間を接続するリンク部，
３ｍは回動操作部３ａとリンク部３ｋとの間の回動中心（Ｂ点）となる上側ヒンジ部（中間節、関節、ジョイント），
３ｎはアクチュエータ駆動部３ｆとリンク部３ｋとの間の回動中心（Ｃ点）となる下側ヒンジ部，
【0023】
また、図３，図４において、
Ａは円柱状部３ｃの回動中心，
Ｂは上側ヒンジ部３ｍの回動中心，
Ｃは下側ヒンジ部３ｎの回動中心，
Ｄは押下操作面３ｂに加わる操作力の力点，
θは∠ＡＢＣの劣角である開き角，
をそれぞれ示している。
Ａは円柱状部３ｃの回動中心，
Ｂは上側ヒンジ部３ｍの回動中心，
Ｃは下側ヒンジ部３ｎの回動中心，
Ｄは押下操作面３ｂに加わる操作力の力点，
θは∠ＡＢＣの劣角である開き角，
をそれぞれ示している。
【0024】
また、図３～図６において、
１０はアクチュエータ１３，１４の押下げ操作によって収容した内容物や噴射剤を噴射するエアゾール式製品，
１１はエアゾール式製品１０の上部に取り付けられたマウンティングカップ，
１１ａはマウンティングカップ１１の外周下部に生じる環状凹部，
１２はマウンティングカップ１１の中央より突出し、押下げによって内側通路がエアゾール式製品１０の内部と連通する筒状のステム，
１３はステム１２の上端に係合固定され、上面に操作面を有する押下げ操作タイプの円柱形状のアクチュエータ，
１３ａは側面に開口する噴射口，
１４はステム１２の上端に係合固定され、上面に操作面を有する押下げ操作タイプで、マウンティングカップ１１の上側環状凹部をほぼ閉鎖するスカート部を備えたアクチュエータ，
１４ａは側面に開口する噴射口，
１４ｂはスカート部上部の環状段部，
をそれぞれ示している。
１０はアクチュエータ１３，１４の押下げ操作によって収容した内容物や噴射剤を噴射するエアゾール式製品，
１１はエアゾール式製品１０の上部に取り付けられたマウンティングカップ，
１１ａはマウンティングカップ１１の外周下部に生じる環状凹部，
１２はマウンティングカップ１１の中央より突出し、押下げによって内側通路がエアゾール式製品１０の内部と連通する筒状のステム，
１３はステム１２の上端に係合固定され、上面に操作面を有する押下げ操作タイプの円柱形状のアクチュエータ，
１３ａは側面に開口する噴射口，
１４はステム１２の上端に係合固定され、上面に操作面を有する押下げ操作タイプで、マウンティングカップ１１の上側環状凹部をほぼ閉鎖するスカート部を備えたアクチュエータ，
１４ａは側面に開口する噴射口，
１４ｂはスカート部上部の環状段部，
をそれぞれ示している。
【0025】
ここで、固定基部２，可動部３およびアクチュエータ１３，１４は例えばプラスチック製のものであり、エアゾール式製品１０の容器部分およびマウンティングカップ１１は例えば金属製のものであり、ステム１２は例えば金属製，プラスチック製のものである。
【0026】
図示のエアゾール式製品用の噴射操作具１の基本的特徴は、
(31)後付け可能な着脱式とし、
(32)回動操作部の回動に対するアクチュエータ駆動部の移動距離が操作開始時より操作終了時の方が小さい、
ことなどである。
(31)後付け可能な着脱式とし、
(32)回動操作部の回動に対するアクチュエータ駆動部の移動距離が操作開始時より操作終了時の方が小さい、
ことなどである。
【0027】
図１は、本件発明の噴射操作具であり、この状態で流通・販売される。
【0028】
図２は、噴射操作具の構成要素の斜視状態を示す説明図であり、固定基部２と可動部３はそれぞれ一体成型の部材となっている。
【0029】
固定基部２と可動部３とは、前側リブ状部２ｄと後側リブ状部２ｅとの間に上方より水平片部３ｈを挿入しながら、円柱状部３ｃを回動孔部２ｆに内側より挿入して一体化され、図１に示される噴射操作具１になる。
【0030】
図３は、噴射操作具１をエアゾール式製品１０に取り付けた場合の側方からの状態を示している。なお便宜上、固定基部２は中央より手前側を省略した断面図になっており、アクチュエータ１４を用いたエアゾール式製品１０となっている。
【0031】
この状態では、アクチュエータ１４に操作力は加わっておらず、内容物は噴射されない。
【0032】
噴射操作具１をエアゾール式製品１０に取り付ける際には、噴射操作具１の後方（図示右側）よりエアゾール式製品１０のマウンティングカップ１１を挿入して、マウンティングカップ嵌合部２ｇを環状凹部１１ａに係合して固定する。
【0033】
その際に、アクチュエータ１３，１４の前面側にアクチュエータ駆動部３ｆの後面側が当接して容易に挿入できない場合には、回動操作部３ａを上方に回動してアクチュエータ駆動部３ｆを上昇させて当接しない状態にしてから挿入する。
【0034】
なお、回動操作部３ａを回動規制部３ｄが前側リブ状部２ｄに当接した回動終了位置まで上方に回動させると、仮固定部３ｅが前側リブ状部２ｄに係合して回動操作部３ａとアクチュエータ駆動部３ｆをその位置に保持することができるので、マウンティングカップ１１の挿入時に利用者が回動操作部３ａを保持し続ける必要はない。挿入後は、回動操作部３ａを下方に回動して仮固定部３ｅと前側リブ状部２ｄの係合を解除すれば図３の状態にもどる。
【0035】
図３の回動操作部３ａは後方水平に位置している。この状態で点Ａを基準として点Ｂの方向は水平から時計方向に約２４．４度下がった位置にあり、点Ａと点Ｃは略上下方向に並んでいる。各点の間の距離はＡＤ間＝約１７．３ｍｍ、ＡＢ間＝約６．５２ｍｍ、ＢＣ間＝約１２．１ｍｍとなっている。
【0036】
アクチュエータ駆動部３ｆは、水平片部３ｈの前後面をそれぞれ前側リブ状部２ｄおよび後側リブ状部２ｅに規制され、水平片部３ｈの左右端面をＵ字状起立部２ａの内面に規制され、上下方向に移動可能なかたちで案内される。
【0037】
【0038】
このとき、水平天井部３ｇの下面がアクチュエータ１４の天面に当接しているか、または、水平片部３ｈや補強部３ｊの下面が環状段部１４ｂに当接しているので、アクチュエータ駆動部３ｆの移動によってアクチュエータ１４も下方に約３．２１ｍｍ移動する。アクチュエータ１３を使用した場合にも水平天井部３ｇの下面がアクチュエータ１３の天面に当接して、これを同様に移動させる。
【0039】
アクチュエータ駆動部３ｆは下方に移動する際に、点Ｂは点Ａと点Ｃとを結んだ直線上に近づき、θは約８８．３度から約１２５度に増大して１８０度に近づいていく。
【0040】
それにしたがい回動操作部３ａの操作角度の増加分に対するアクチュエータ駆動部３ｆの移動量の増加分が減少していく。
【0041】
例えば、図３に示す回動操作部３ａの付近では回動操作１度（点Ｄにおける０．３０２ｍｍ押下げ）あたりのアクチュエータ駆動部３ｆの約０．１２６ｍｍの下方移動が、図４に示す回動操作部３ａの付近では回動操作１度あたりのアクチュエータ駆動部３ｆの約０．０９７ｍｍの下方移動になる。
【0042】
これによって、回動操作部３ａのテコ構造による倍力効果のほかに、リンク部３ｋによる倍力効果を併せた設定を操作開始の約２．３９倍から操作終了の約３．１１倍に高めるようにして、下方への操作に伴って増加するアクチュエータ１３，１４の上方への復帰力を相殺し、押下げ操作しやすくしている。
【0043】
なお、操作終了のあと操作力を解除したとき、アクチュエータ１３，１４の復帰力がアクチュエータ駆動部３ｆおよびリンク部３ｋを介して回動操作部３ａを反時計方向に回動できるように、θの範囲は１８０度より小さくなるように設定されている。
【0044】
本発明のエアゾール式製品用の噴射操作具が図示の実施形態に限定されるものでないことは勿論であり、例えば、
(41)固定基部２の前方を開放部となるようにしてマウンティングカップ１１を前方から係合する、併せて補強部３ｊを後方で連結する、
(42)可動部３を一体成型せずに、上側ヒンジ部３ｍや下側ヒンジ部３ｎで分割してそれぞれを回動可能に接続する、
(43) 回動孔部２ｆと円柱状部３ｃに代え屈曲または捩じり可能な部材を用いて、固定基部２と可動部３とを一体成型する、
ようにしてもよい。
(41)固定基部２の前方を開放部となるようにしてマウンティングカップ１１を前方から係合する、併せて補強部３ｊを後方で連結する、
(42)可動部３を一体成型せずに、上側ヒンジ部３ｍや下側ヒンジ部３ｎで分割してそれぞれを回動可能に接続する、
(43) 回動孔部２ｆと円柱状部３ｃに代え屈曲または捩じり可能な部材を用いて、固定基部２と可動部３とを一体成型する、
ようにしてもよい。
【0045】
なお、上述の角度，距離などについての数値は本発明の噴射操作具の一例にすぎない。
【0046】
本発明の噴射操作具が取り付けられるエアゾール式製品としては、洗浄剤，清掃剤，制汗剤，冷却剤，筋肉消炎剤，ヘアスタイリング剤，ヘアトリートメント剤，染毛剤，育毛剤，化粧品，シェービングフォーム，食品，液滴状のもの（ビタミンなど），医薬品，医薬部外品，塗料，園芸用剤，忌避剤（殺虫剤），クリーナー，消臭剤，洗濯のり，ウレタンフォーム，消火器，接着剤，潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0047】
容器本体に収容される内容物としては、液状，クリーム状，ゲル状など種々の形態のものを用いる。内容物に配合される成分は例えば、粉状物，油成分，アルコール類，界面活性剤，高分子化合物，各用途に応じた有効成分，水などである。
【0048】
粉状物としては、金属塩類粉末，無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク，カオリン，アルミニウムヒドロキシクロライド（アルミ塩），アルギン酸カルシウム，金粉，銀粉，雲母，炭酸塩，硫酸バリウム，セルロース，これらの混合物などを用いる。
【0049】
油成分としては、シリコーン油，パーム油，ユーカリ油，ツバキ油，オリーブ油，ホホバ油，パラフィン油，ミリスチン酸，パルミチン酸，ステアリン酸，リノール酸，リノレン酸などを用いる。
【0050】
アルコール類としては、エタノールなどの１価の低級アルコール，ラウリルアルコールなどの１価の高級アルコール，エチレングリコール，グリセリン，1,3－ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0051】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0052】
高分子化合物としては、メチルセルロース，ゼラチン，デンプン，カゼイン，ヒドロキシエチルセルロース，キサンタンガム，カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【0053】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル，インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム，クレゾールなどの除菌剤、ピレスロイド，ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、パラフェノールスルホン酸亜鉛などの制汗剤、カンフル，メントールなどの清涼剤、エフェドリン，アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース，アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂，ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン，アミノフェノールなどの染料，過酸化水素水などの酸化剤、リン酸二水素アンモニウム，炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0054】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤，紫外線吸収剤，乳化剤，保湿剤，酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0055】
エアゾール式製品における内容物噴射用ガスとしては、炭酸ガス，窒素ガス，圧縮空気，酸素ガス，希ガス，これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス，ジメチルエーテル，フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【符号の説明】
【0056】
（図１～図４）
１：エアゾール容器用の噴射操作具
２：固定基部
２ａ：Ｕ字状起立部
２ｂ：鍔部
２ｃ：内容物通過部
２ｄ：縦方向の前側リブ状部
２ｅ：縦方向の後側リブ状部
２ｆ：回動孔部
２ｇ：マウンティングカップ嵌合部
３：可動部
３ａ：回動操作部
３ｂ：押下操作面
３ｃ：円柱状部
３ｄ：回動規制部
３ｅ：仮固定部
３ｆ：アクチュエータ駆動部
３ｇ：水平天井部
３ｈ：一対の水平片部
３ｊ：補強部
３ｋ：リンク部
３ｍ：上側ヒンジ部
３ｎ：下側ヒンジ部
１：エアゾール容器用の噴射操作具
２：固定基部
２ａ：Ｕ字状起立部
２ｂ：鍔部
２ｃ：内容物通過部
２ｄ：縦方向の前側リブ状部
２ｅ：縦方向の後側リブ状部
２ｆ：回動孔部
２ｇ：マウンティングカップ嵌合部
３：可動部
３ａ：回動操作部
３ｂ：押下操作面
３ｃ：円柱状部
３ｄ：回動規制部
３ｅ：仮固定部
３ｆ：アクチュエータ駆動部
３ｇ：水平天井部
３ｈ：一対の水平片部
３ｊ：補強部
３ｋ：リンク部
３ｍ：上側ヒンジ部
３ｎ：下側ヒンジ部
【0057】
【0058】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】