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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069068
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20230511BHJP
   A47L 15/08 20060101ALI20230511BHJP
   A47L 15/22 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
A47L15/42 B
A47L15/42 N
A47L15/08
A47L15/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180668
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】福間 貴一
(72)【発明者】
【氏名】大坂 宏
(72)【発明者】
【氏名】津森 衛
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082BB01
3B082BD01
(57)【要約】
【課題】張出部の延在方向における端部から機外へ水が飛び出すことを低減できる洗浄機を提供する。
【解決手段】食器洗浄機100は、食器Dを収容する洗浄室1Bと、洗浄室に食器を出し入れする開口部1Cと、を有する本体部1と、開口部の外側に配置されると共に開口部を開閉可能なドア部15と、を備える。本体部は、閉状態にあるドア部に対向するように、開口部の縁部に沿って鉛直方向に沿って設けられる一対の対向部16,16と、閉状態にあるドア部の下端に沿って開口部の外側OSに張り出すように略水平方向に延在する張出部17と、を有する。記張出部には、延在方向における両端部において一対の対向部に対向する一対の対向領域が形成されている。張出部には、洗浄室から一対の対向領域の少なくとも一方に連通する連通部Cの少なくとも一部を遮蔽する。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を収容する洗浄室と、前記洗浄室に被洗浄物を出し入れする開口部と、を有する本体部と、
前記開口部の外側に配置されると共に前記開口部を開閉可能なドア部と、を備え、
前記本体部は、
閉状態にある前記ドア部に対向するように、前記開口部の縁部に沿って鉛直方向に沿って設けられる一対の対向部と、
閉状態にある前記ドア部の下端に沿って前記開口部の外側に張り出すように略水平方向に延在する張出部と、を有し、
前記張出部には、延在方向における両端部において前記一対の対向部に対向する一対の対向領域が形成されており、
前記張出部には、前記洗浄室から前記一対の対向領域の少なくとも一方に連通する連通部の少なくとも一部を遮蔽する板状の塞ぎ板が設けられている、洗浄機。
【請求項2】
前記張出部の底部と前記塞ぎ板の下端部との間には、隙間が形成されている、請求項1記載の洗浄機。
【請求項3】
前記洗浄室に配置されると共に一方向に回転しながら水を噴射するノズルを更に備え、
前記塞ぎ板は、前記張出部の延在方向において前記ノズルの回転方向に一致する側の前記対向領域に対して設けられている、請求項1又は2記載の洗浄機。
【請求項4】
前記洗浄室の下方領域に配置される洗浄タンクを更に備え、
前記洗浄タンクにおいて洗浄水を貯留する貯留部は、前記延在方向に直交する方向が長手方向となるように、かつ前記延在方向において前記ノズルの回転方向側に偏るように、前記下方領域に配置されている、請求項3記載の洗浄機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器等の被洗浄物の洗浄を行う洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄タンクに貯留された洗浄水を洗浄室内に収容された食器に噴射して洗浄を行い、濯ぎタンク内に貯留された濯ぎ水を食器に噴射して濯ぎを行う洗浄機(食器洗浄機)が知られている。例えば、特許文献1には、洗浄室の内部を外部に開放する開口部が本体部に形成されると共に、当該開口部を開閉可能なドア部が設けられた洗浄機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-220601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような洗浄機では、開口部の外側にドア部が配置され、開口部の縁部にはドア部に対向する対向部が設けられている。そして、洗浄機には、ドア部と当該対向部との間から洗浄機の外側である機外へ水が漏れ出すことを低減するための構成が設けられている。ところが、少ない量ではあるものの当該対向部に水が浸入したり、当該対向部に水滴が発生したりすることもあるので、鉛直方向に沿って延びる対向部の下方には、これらの水を受け止める構成が必要となる。このため、洗浄室を形成する本体部には、ドア部の下端においてドア部側に張り出し、一方の対向部から他方の対向部にまで水平方向に沿って延在する張出部が形成されている。
【0005】
しかしながら、このような張出部は、対向部を伝って落ちる水を受け止めることができる反面、洗浄時又は濯ぎ時に洗浄室側から水が浸入し易くなっており、また、対向部を受けるという構造上、機外の外部に連通する部分である張出部の延在方向における端部から機外に水が飛び出すことがあった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、張出部の延在方向における端部から機外へ水が飛び出すことを低減できる洗浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の洗浄機は、被洗浄物を収容する洗浄室と、洗浄室に被洗浄物を出し入れする開口部と、を有する本体部と、開口部の外側に配置されると共に開口部を開閉可能なドア部と、を備え、本体部は、閉状態にあるドア部に対向するように、開口部の縁部に沿って鉛直方向に沿って設けられる一対の対向部と、閉状態にあるドア部の下端に沿って開口部の外側に張り出すように略水平方向に延在する張出部と、を有し、張出部には、延在方向における両端部において一対の対向部に対向する一対の対向領域が形成されており、張出部には、洗浄室から一対の対向領域の少なくとも一方に連通する連通部の少なくとも一部を遮蔽する板状の塞ぎ板が設けられている。
【0008】
この構成の洗浄機では、洗浄室から対向領域に連通する連通部の少なくとも一部を遮蔽する板状の塞ぎ板が設けられているので、洗浄室から対向領域に水が浸入することを抑制できる。これにより、洗浄室から対向領域に浸入した水が、張出部の延在方向における端部から飛び出すことを低減できる。
【0009】
本発明の洗浄機では、張出部の底部と塞ぎ板の下端部との間には、隙間が形成されていてもよい。この構成では、対向部を伝って張出部の下端に集まる水を洗浄室側に誘導することができるので、対向部の下端に水が溜まることを抑制できる。また、このような洗浄機では、洗浄時に高温の水が噴射されて洗浄室内の圧力が高まるが、この構成では上記のような塞ぎ板を設ける場合であっても当該隙間を介して、張出部において本体部の外部に連通する部分から洗浄室内の圧力を外部に逃がすことができる。
【0010】
本発明の洗浄機は、洗浄室に配置されると共に一方向に回転しながら水を噴射するノズルを更に備え、塞ぎ板は、張出部の延在方向においてノズルの回転方向に一致する側の対向領域に対して設けられていてもよい。なお、ここでいう回転方向とは、張出部に近接する領域でのノズルの回転方向を意味し、張出部の延在方向に沿ってノズルが回転する部分での回転方向をいう。このような構成の洗浄機では、一方向に回転するノズルから噴射される水が回転円の接線方向に沿って水が飛散される。このため、一方向に延在する張出部においては、水が飛散される方向側の対向領域に水が溜まりやすいという傾向がある。この構成では、水が飛散される方向側に塞ぎ板が設けられるので、ノズルから噴射される水が上記対向領域に浸入することを効果的に抑制することができる。
【0011】
本発明の洗浄機は、洗浄室の下方領域に配置される洗浄タンクを更に備え、洗浄タンクにおいて洗浄水を貯留する貯留部は、延在方向に直交する方向が長手方向となるように、かつ延在方向においてノズルの回転方向側に偏るように、下方領域に配置されてもよい。このような構成の洗浄機では、一方向に回転するノズルから噴射される水が回転円の接線方向に沿って水が飛散される。このため、一方向に延在する張出部においては、水が飛散される方向側に配置された塞ぎ板に水がぶつかりやすいという傾向がある。この構成では、洗浄タンクの貯留部は、洗浄室1Bの下方領域において水が飛散される方向側に偏った状態で配置されている。これにより、ノズルから噴射される水がぶつかりやすい塞ぎ板の比較的近い位置に、洗浄タンクの貯留部を配置することができる。この結果、塞ぎ板によって対向領域への浸入がせき止められた水を効率的に洗浄タンクの貯留部に誘導することができ、対向領域へ水が溜まることを抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、張出部の延在方向における端部から機外へ水が飛び出すことを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係る食器洗浄機の斜視図である。
図2図2は、一実施形態に係る食器洗浄機の概略構成を示す図である。
図3図3は、洗浄室及び洗浄タンクの一部を内部から見た斜視図である。
図4図4は、張出部を上方から見た平面図である。
図5図5(A)は、ラックレールに形成されたノズル逃がし部の平面図である。図5(B)は、ラックレールに形成された載置部及び吐出孔の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して一実施形態に係る食器洗浄機(洗浄機)100について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、説明の便宜のため、図1において、前後方向、左右方向及び上下方向をそれぞれ設定した。
【0015】
図1に示されるように、一実施形態に係る食器洗浄機100は、洗浄室1Bの前面にドア部15が設けられたアンダーカウンタ式の洗浄機である。図1及び図2に示されるように、食器洗浄機100は、本体部1と、ドア部15と、洗浄タンク20と、上側ノズル3と、下側ノズル4と、洗浄ポンプ5と、濯ぎタンク6と、濯ぎポンプ7と、洗剤供給ポンプ8と、リンス剤供給ポンプ9と、コントローラ10と、を備えている。
【0016】
本体部1は、図示しないフレームと、ステンレス鋼製の外装パネル11と、内装パネル2と、を含んで形成されている。外装パネル11は、左右方向における側面を形成する一対の側部パネル11A,11Aと、上部パネル11Bと、上側前部パネル11Cと、下側前部パネル11Dと、後部パネル11Eと、を有している。少なくとも、下側前部パネル11Dは、フレームに対して容易に着脱可能に設けられている。本体部1の下部の四隅には、脚部12が取り付けられている。上側前部パネル11Cには、食器洗浄機100の各種動作を操作する操作部13が設けられている。
【0017】
操作部13は、運転モードや各種設定の入力操作を行う部分である。本実施形態の操作部13は、液晶画面とこれを覆う強化ガラス(静電スイッチ)とによって構成されている。作業者は、液晶画面を覆う強化ガラスに触れることによって各種操作が可能となっている。なお、操作部13は、各種ボタンやタッチパネルによって構成されてもよいし、本体部1とは別体のリモコン、操作端末等によって構成されてもよい。
【0018】
本体部1の下部領域には、洗浄タンク20と、洗浄ポンプ5と、濯ぎタンク6と、濯ぎポンプ7と、洗剤供給ポンプ8と、リンス剤供給ポンプ9と、を収容する機械室1Aが形成されている。本体部1の上部領域には、食器(被洗浄物)D等がセットされたラックを収容する洗浄室1Bが形成されている。洗浄室1Bは、洗浄タンク20の上方の空間であって、内装パネル2によって構成されている。内装パネル2は、主に、一対の側部パネル2A、2Aと、上部パネル2Bと、後部パネル(図示せず)と、を有している。一対の側部パネル2A,2Aの内面には、ラックを支持するラックレール23が形成されている。本体部1には、食器D等がセットされたラックを洗浄室1Bに出し入れする開口部1Cが形成されている。
【0019】
ドア部15は、開口部1Cの外側OS(図4参照)に配置されている。ドア部15は、開口部1Cを開閉可能に設けられており、ドア部15が開けられると、開口部1Cの内側IS(図4参照)の洗浄室1Bが本体部1の外部に開放される。ドア部15は、ドア部15の下端において左右方向に延在する軸を回転軸として回動可能に設けられている。作業者は、ドア部15の上端に設けられた取っ手15Aを手前に倒すことで、洗浄室1Bを開放することができる。
【0020】
洗浄タンク20は、洗浄室1Bの下方に設けられている。洗浄タンク20は、洗浄室1Bに収容された食器D等の洗浄に用いられる洗浄水を貯留する貯留部22を有する。貯留部22は、側部20cと底部20aとから形成されている。洗浄タンク20には、洗浄水検知部24と、洗浄水ヒータ25Aと、洗浄水温度センサ25Bと、が設けられている。
【0021】
洗浄水検知部24は、貯留部22に貯留された洗浄水の水位を検知する。洗浄水検知部24は、例えば、貯留部22内の水位が定水位H1を超えている場合にONとなり、定水位H1以下の場合にOFFとなるスイッチである。洗浄水検知部24による検知結果は、コントローラ10によって取得される。後段にて詳述する洗浄ポンプ5は、駆動中に空気を吸い込むと、いわゆるエア噛みを起こして上側ノズル3及び下側ノズル4から洗浄水を噴射できなくなる。一実施形態では、洗浄水検知部24が運転中にOFFになったときに洗浄ポンプ5の稼働を停止することで、洗浄ポンプ5による空気の吸い込みを防止する。
【0022】
洗浄水ヒータ25Aは、殺菌能力及び洗浄能力を向上させるために貯留部22に貯留された洗浄水を加熱する。洗浄水温度センサ25Bは、貯留部22に貯留された洗浄水の温度を検知する。洗浄水温度センサ25Bによる検知結果は、コントローラ10によって取得される。洗浄水ヒータ25AにおけるON・OFFは、コントローラ10によって制御される。例えば、洗浄水ヒータ25Aは、洗浄水温度センサ25Bが検知する水温に基づいて洗浄水を所定温度に維持するように、コントローラ10によって制御される。
【0023】
貯留部22の底部20aには、円形状の貫通孔20bが形成されている。貫通孔20bは、厚み方向に貫通する複数の長孔が形成された円形の板状部材であって、異物の侵入を防止するポンプガード26によって覆われている。貫通孔20bは、接続部50を介して洗浄ポンプ5に接続されている。接続部50には、貫通孔20bに接続される第一接続孔50aと、本体部1の外部に水を排出する排水管28に接続される排水孔50bと、洗浄ポンプ5に接続される第二接続孔50cと、が形成されている。なお、接続部50は、洗浄ポンプ5を構成するケーシングの一部として洗浄ポンプ5と一体的に構成されてもよいし、洗浄タンク20の貯留部22と洗浄ポンプ5と接続する部材として洗浄ポンプ5とは別に設けられてもよい。
【0024】
洗浄タンク20には、上下方向に延びるオーバーフローパイプ27が設けられている。オーバーフローパイプ27は、貯留部22において所定水位を超えた水をその上端から流入させて洗浄タンク20の外部に排水し、貯留部22に貯留される洗浄水の水位を規定する。オーバーフローパイプ27の下端は貫通孔20bを覆うバーリング加工されたポンプガード26を通って接続部50に形成された排水孔50bに着脱可能に差し込まれている。オーバーフローパイプ27は、その下端が排水孔50bから抜き取られることで、貯留部22に貯留された洗浄水を、貫通孔20b及び排水孔50bを介して排出することができる。
【0025】
上側ノズル3は、洗浄室1Bの上方に設けられている。上側ノズル3は、洗浄室1Bの上方に設けられた上部支持部21Aに回転自在に設けられている。上側ノズル3は、上側ノズル3における回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在するノズル本体部30を有している。ノズル本体部30には、洗浄タンク20の貯留部22に貯留された洗浄水を噴射する洗浄噴射孔31と、回転中心から洗浄噴射孔31まで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路32と、濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を噴射する濯ぎ噴射孔33と、回転中心から濯ぎ噴射孔33まで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路34と、が一体的に形成されている。上側ノズル3は、洗浄流路32に発生する洗浄水の流れ又は濯ぎ流路34に発生する濯ぎ水の流れが回転力に変換されることによって回転する。上側ノズル3には、洗浄流路32に洗浄水を供給する上側洗浄配管58及び濯ぎ流路34に濯ぎ水を供給する上側濯ぎ配管78が接続されている。
【0026】
下側ノズル4は、洗浄室1Bの下方に設けられている。下側ノズル4は、洗浄室1Bの下方に設けられた下部支持部21Bに回転自在に設けられている。下側ノズル4は、下側ノズル4における回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在するノズル本体部40を有している。ノズル本体部40には、洗浄タンク20の貯留部22に貯留された洗浄水を噴射する洗浄噴射孔41と、回転中心から洗浄噴射孔41まで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路42と、濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を噴射する濯ぎ噴射孔43と、回転中心から濯ぎ噴射孔43まで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路44と、が一体的に形成されている。下側ノズル4は、洗浄流路42に発生する洗浄水の流れ又は濯ぎ流路44に発生する濯ぎ水の流れが回転力に変換されることによって回転する。下側ノズル4には、洗浄流路42に洗浄水を供給する下側洗浄配管59及び濯ぎ流路44に濯ぎ水を供給する下側濯ぎ配管79が接続されている。
【0027】
食器ラックに並べられた食器Dは、洗浄工程において上側ノズル3及び下側ノズル4によって洗浄水が噴射され、濯ぎ工程において上側ノズル3及び下側ノズル4によって濯ぎ水が噴射される。
【0028】
洗浄ポンプ5は、機械室1Aに配置されている。洗浄ポンプ5は、食器D等を収容する洗浄室1Bに洗浄タンク20の貯留部22に貯留された洗浄水を送り出す。洗浄ポンプ5は、接続部50を介して貯留部22の洗浄水を取り込み、上側ノズル3及び下側ノズル4に洗浄水を送り出す。洗浄ポンプ5の第一吐出口には、上側洗浄配管58が接続されている。上側洗浄配管58は、上側ノズル3に接続されている。洗浄ポンプ5の第二吐出口には、下側洗浄配管59が接続されている。下側洗浄配管59は、下側ノズル4に接続されている。
【0029】
濯ぎタンク6は、機械室1Aに配置されている。濯ぎタンク6は、食器D等の濯ぎに用いられる濯ぎ水を貯留する。濯ぎタンク6には、外部の水源から給水管60を介して水が供給される。給水管60には、ストレーナ60Aが設けられている。給水管60におけるストレーナ60Aの下流側には、バルブ60Bが設けられている。
【0030】
濯ぎタンク6には、濯ぎ水検知部62と、オーバーフロー部63と、濯ぎ水ヒータ64Aと、濯ぎ水温度センサ64Bと、が設けられている。
【0031】
濯ぎ水検知部62は、濯ぎタンク6に貯留された水が、定水位H2にあることを検知するスイッチである。濯ぎ水検知部62の検知結果は、コントローラ10によって取得される。バルブ60Bは、コントローラ10によって制御されている。例えば、コントローラ10は、濯ぎ水検知部62における定水位H2の検知と連動して弁を開閉し、濯ぎタンク6に貯留される濯ぎ水の水位を一定に維持するように、バルブ60Bを制御する。
【0032】
オーバーフロー部63は、濯ぎタンク6において満水位を超えた水を排出する。濯ぎタンク6は、密閉型のタンクであり、例えば、バルブ60Bが閉弁異常となったときに満水位を超える。濯ぎ水ヒータ64Aは、殺菌能力及び濯ぎ能力を向上させるために濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を加熱する。濯ぎ水温度センサ64Bは、濯ぎ水の温度を検知する。濯ぎ水温度センサ64Bによる検知結果は、コントローラ10によって取得される。濯ぎ水ヒータ64AにおけるON・OFFは、コントローラ10によって制御される。例えば、濯ぎ水ヒータ64Aは、濯ぎ水温度センサ64Bが検知する水温に基づいて濯ぎ水を所定温度に維持するように、コントローラ10によって制御される。
【0033】
濯ぎポンプ7は、食器D等を収容する洗浄室1Bに濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を送り出す。濯ぎポンプ7は、濯ぎタンク6の濯ぎ水を取り込み、上側ノズル3及び下側ノズル4に濯ぎ水を送り出す。濯ぎポンプ7の吐出口には、濯ぎ配管77を介して上側濯ぎ配管78と下側濯ぎ配管79とが接続されている。上側濯ぎ配管78は、上側ノズル3に接続されている。下側濯ぎ配管79は、下側ノズル4に接続されている。
【0034】
洗剤供給ポンプ8は、機械室1Aに配置されている。洗剤供給ポンプ8は、洗剤タンク8A内に貯留された洗剤を配管8Bを介して洗浄室1Bに供給する。洗浄室1B内に吐出された洗剤は、貯留部22内に流れ込み、洗浄水と混じり合う。リンス剤供給ポンプ9は、機械室1Aに配置されている。リンス剤供給ポンプ9は、リンス剤タンク9Aに貯留されたリンス剤を配管9Bを介して濯ぎ配管77に供給する。濯ぎ配管77に供給されたリンス剤は、濯ぎ水と混じり合い、上側ノズル3及び下側ノズル4を介して洗浄室1Bに供給される。
【0035】
コントローラ10は、本体部1における上部パネル11Bと洗浄室1Bを構成する上部パネル2Bとの間に配置されている。コントローラ10は、食器洗浄機100における動作全般を制御する。コントローラ10は、コントローラ10は、集積回路に実装されたコンピュータシステムあるいはプロセッサである。コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び入出力インターフェース等から構成される。ROMには、各種プログラム又はデータが格納されている。
【0036】
図1図3及び図4に示されるように、本実施形態の本体部1は、閉状態にあるドア部15に対向するように、開口部1Cの縁部に沿って鉛直方向に沿って設けられる一対の対向部16,16と、張出部17と、を有している。対向部16,16は、側部パネル11Aが折り曲げられた部分と側部パネル2Aが折り曲げられた部分とによって形成されているが、側部パネル11Aが折り曲げられた部分のみで形成されてもよいし、側部パネル2Aが折り曲げられた部分のみで形成されてもよい。対向部16,16に対向するドア部15の一部と対向部16,16との間には、洗浄室1Bで発生した蒸気が庫外へ漏れ出すことを低減するシール部又はラビリンス構造が形成されていてもよい。
【0037】
張出部17は、開口部1Cの外側OSに張り出すと共に、水平方向に左右に延在している。張出部17は、閉じた状態のドア部15の下端に沿うように形成されている。張出部17は、一対の対向部16,16の一方の対向部16の下端部から他方の対向部16の下端部まで延在している。すなわち、張出部17は、一対の対向部16,16を伝って下方に落ちる水等を受け止め可能に構成されている。張出部17は、一対の側端部17a,17bと、前端部17cと、底部17dと、を有している。
【0038】
一対の側端部17a,17bは、左右方向に直交する板状部材である。一対の側端部17a,17bは、本体部1の側部パネル11Aの外面と略面一となるように設けられている。前端部17cは、前後方向に直交する板状部材である。前端部17cは、一対の側端部17a,17b同士を接続する。前端部17cは、洗浄タンク20の前端を折り曲げることによって本体部1と一体的に形成されている。前端部17cは、閉じた状態のドア部15の前面と略面一となるように形成されている。底部17dは、水平方向に延在する面(鉛直方向に直交する面)であり、洗浄タンク20に繋がっている。底部17dは、洗浄タンク20に向かって傾斜していてもよい。底部17dは、洗浄タンク20の前方に形成される部分よりも、一対の対向部16,16の前方(対向領域A)に形成される部分の方が広く形成されている。
【0039】
張出部17には、張出部17の延在方向(左右方向)における両端部において一対の対向部16,16に対向する一対の対向領域A,Aが形成されている。張出部17には、洗浄室1Bから一対の対向領域A,Aに連通する連通部Cの一部を遮蔽する板状の塞ぎ板18が設けられている。
【0040】
塞ぎ板18は、主面18aと、主面18aから折り曲げれられた取付面18bと、を有している。主面18aは、左右方向に直交する面であり、上記連通部Cの一部を遮る面である。取付面18bは、前後方向に直交する面であり、前端部17cに取り付けられる面である。塞ぎ板18は、主面18aの外側の面が側部パネル2Aの内面と面接触するように取り付けられている。張出部17の底部17dと塞ぎ板18の下端部18cとの間には、隙間Gが形成されている。
【0041】
図3図5(A)及び図5(B)に示されるように、本実施形態のラックレール23は、側部パネル2Aからの絞出加工によって形成されている。すなわち、ラックレール23は、側部パネル2Aの内面に一体的に形成されている。ラックレール23は、食器Dを収容するラックが載置される載置部23aと、側部パネル2Aの内面から載置部23aにつながる第一絞り部23bと、載置部23aから側部パネル2Aの内面につながる第二絞り部23cと、を有している。載置部23aは、ラックを載置可能なように左右方向に幅を有している。第一絞り部23bは、載置部23aの上方おいて載置部23aの幅方向(左右方向)の外側端部につながっている。載置部23aの下方おいて第二絞り部23cは、載置部23aの幅方向(左右方向)の内側端部につながっている。第二絞り部23cは、洗浄室1Bの内側から外側に向かって斜め方向に傾斜している。
【0042】
このように、ラックレール23の第二絞り部23cを内側から外側に向かって斜め方向に傾斜させることによって、下側ノズル4との干渉を回避できる。これにより、洗浄室1B内におけるラックレール23の設置位置を下側ノズル4の高さ位置まで下げることができるので、ラックレール23に載置することができる食器Dの高さを大きくすることができる。また、第二絞り部23cには、洗浄時及び濯ぎ時に回転する下側ノズル4の先端部が干渉することを回避するノズル逃がし部23eが形成されている。ノズル逃がし部23eは、第二絞り部23cにおいて、洗浄時及び濯ぎ時に回転する下側ノズル4の先端側部分の軌跡C4に干渉しないように、内側から外側に向かって凹む窪みである。このような構成によって、より一層、洗浄室1Bにおけるラックレール23の位置を下げることができる。すなわち、ノズル逃がし部23eが構成されることによって、より一層、ラックレール23に載置することができる食器Dの高さを大きくすることができる。
【0043】
第二絞り部23cには、濯ぎタンク6に接続される吐出孔23dが形成されている。吐出孔23dは、濯ぎタンク6に形成されるオーバーフロー部63に配管63Aを介して接続されている。吐出孔23dは、濯ぎタンク6から溢れ出る濯ぎ水を洗浄室1Bに吐出する。吐出孔23dは、鉛直下方に水を吐出するように設けられている。すなわち、吐出孔23dは鉛直下方に向かって開口している。このような構成とすることで、吐出孔23dに逆流防止機構を設けることなく、吐出孔23dに洗浄時の水が入り込み、濯ぎタンク6へ逆流することを抑制でき、コストダウンを図ることができる。
【0044】
次に、上記実施形態の食器洗浄機100の作用効果について説明する。上記実施形態の食器洗浄機100では、洗浄室1Bから対向領域Aに連通する連通部Cの少なくとも一部を遮蔽する板状の塞ぎ板18が設けられているので、洗浄室1Bから対向領域Aに水が浸入することを抑制できる。これにより、洗浄室1Bから対向領域Aに浸入した水が、張出部17の延在方向における側端部17a,17bから飛び出すことを低減できる。
【0045】
上記実施形態の食器洗浄機100では、張出部17の底部17dと塞ぎ板18の下端部18cとの間には、隙間Gが形成されている。これにより、本体部1の対向部16を伝って張出部17における対向部16の下端に集まる水を洗浄室1B側に誘導することができるので、対向部16の下端に水が溜まることを抑制できる。
【0046】
また、ドア部15の下端に沿って張出部17が設けられる構成では、本体部1の対向部16を伝って落ちる水を受け止めることができるものの、回動するドア部15に対して密に接触するように張出部17を設置することはできない。したがって、張出部17には、例えば、延在方向における端部である側端部17a,17b等において、本体部1の外部(機外)と連通する部分が存在する。食器洗浄機100では、洗浄時に高温の水が噴射されて洗浄室1B内の圧力が高まるが、上述した外部と連通する部分を通して圧力を外部に逃がすことができる。上記実施形態の食器洗浄機100では、上述した隙間Gが設けられているので、当該隙間Gと外部に連通する部分とを介して圧力を外部に逃がすことができる。
【0047】
また、上記実施形態の食器洗浄機100では、図3に示されるように、一方向に回転する下側ノズル4から噴射される水は、回転円の接線方向に沿って水が飛散される。このため、食器洗浄機100の前側において一方向に延在する張出部17近傍においては、下側ノズル4から噴射される水は、洗浄室1B側から見て右側、食器洗浄機100を正面から見て左側に水が飛散される。したがって、張出部17においては、水が飛散される方向側(洗浄室1B側から見て右側、食器洗浄機100を正面から見て左側)の塞ぎ板18にぶつかりやすい傾向がある。
【0048】
本実施形態の食器洗浄機100では、洗浄タンク20の貯留部22は、左右方向(張出部の延在方向)に直交する前後方向が長手方向となるように、かつ左右方向において下側ノズル4の回転方向側に偏るように、洗浄室1Bの下方領域に配置されている。これにより、下側ノズル4から噴射される水がぶつかりやすい塞ぎ板18の比較的近い位置に、洗浄タンク20の貯留部22における底部20aにつながる側部20cの内面を配置することができる。この結果、塞ぎ板18によって対向領域Aへの浸入がせき止められた水を効率的に洗浄タンク20の貯留部22に誘導することができ、対向領域Aへ水が溜まることを抑制できる。なお、図3に示されるように、洗浄タンク20には、上方から浅い凹み部分と、浅い凹み部分から下方に凹む深い凹み部分と、が存在している。浅い凹み部分は、機械室1Aと洗浄室1Bとを仕切り、上側ノズル3及び下側ノズル4から噴射され、食器Dを洗浄した後又は濯いだ後に落下してきた水を受け深い凹み部分に案内する部分であり、深い凹み部分は、洗浄ポンプ5によって上側ノズル3及び下側ノズル4に供給される洗浄水を貯留する部分である。本実施形態でいう貯留部22とは、上述の深い凹み部分に該当する。
【0049】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0050】
上記実施形態の食器洗浄機100において、左側の対向領域Aに通じる連通部Cの一部を遮蔽する塞ぎ板18と、右側の対向領域Aに通じる連通部Cの一部を遮蔽する塞ぎ板18との両方が設けられている例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、塞ぎ板18は、左側又は右側の一方の対向領域Aに連通する連通部Cにだけ設けられてもよい。また、例えば、塞ぎ板18は、張出部17の延在方向において下側ノズル4の回転方向に一致する側の対向領域Aに対してのみ設けられてもよい。例えば、図3に示されるように、上方から見て下側ノズル4が右方向に回転するとき、塞ぎ板18は、洗浄室1Bから見て右側(食器洗浄機100を正面から見て左側)にだけ設けられてもよい。すなわち、塞ぎ板18は、食器洗浄機100を正面から見て左側の対向領域Aに連通する連通部Cにだけ設けられてもよい。
【0051】
このような変形例に係る構成の食器洗浄機100では、一方向に回転する下側ノズル4から噴射される水は、回転円の接線方向に沿って水が飛散されるので、一方向に延在する張出部17においては、水が飛散される方向側(すなわち、洗浄室1B側から見て右側、食器洗浄機100を正面から見て左側)の対向領域Aに水が溜まりやすいという傾向がある。このように変形例に係る構成では、水の飛散方向側にのみ塞ぎ板18が設けられるので、下側ノズル4から噴射される水が上記対向領域Aに浸入することを効果的に抑制することができる。
【0052】
<その他の変形例>
上記実施形態及び変形例では、ラックレール23は、絞出加工によって側部パネル2A、2Aと一体的に形成された例を挙げて説明したが、ラックレール23は、他の部材を側部パネル2A、2Aの内面に取り付けることによって形成されてもよい。
【0053】
上記実施形態及び変形例は、本体部1の前面側にドア部15が設けられたタイプの食器洗浄機100に適用するだけでなく、例えば、ドア部が上下に開閉するタイプの食器洗浄機等にも適用することができる。
【0054】
本願発明は、上記実施形態及びその他の変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…本体部、1A…機械室、1B…洗浄室、1C…開口部、3…上側ノズル、4…下側ノズル、5…洗浄ポンプ、6…濯ぎタンク、7…濯ぎポンプ、15…ドア部、16…対向部、17…張出部、17a,17b…側端部(端部)、17c…前端部、17d…底部、18…塞ぎ板、20…洗浄タンク、22…貯留部、23…ラックレール、100…食器洗浄機(洗浄機)、D…食器(被洗浄物)。
図1
図2
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図4
図5