(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069070
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】洗浄機
(51)【国際特許分類】
A47L 15/42 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
A47L15/42 D
A47L15/42 N
A47L15/42 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180670
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】福間 貴一
(72)【発明者】
【氏名】久保田 淳
(72)【発明者】
【氏名】今岡 俊太
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082BA01
3B082BD01
3B082BD04
(57)【要約】
【課題】濯ぎタンクに供給する水と高温環境下にある洗浄室との間で熱交換を行うための熱交換部を容易に組み付けることができる、洗浄機を提供する。
【解決手段】食器洗浄機100は、食器Dを収容する洗浄室1Bを有する本体部1と、食器Dの濯ぎに用いられる濯ぎ水を貯留する濯ぎタンク6と、洗浄室1Bを構成する内装パネル2の外面に設けられており、外部の水源から供給される水を一時的に貯留して濯ぎタンク6に供給する箱状の貯水部66と、を備える。貯水部66は、内装パネル2を介して洗浄室1Bの室内環境と貯水部66に貯留された水との間で熱交換が行われる熱交換部を形成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を収容する洗浄室を有する本体部と、
前記被洗浄物の濯ぎに用いられる濯ぎ水を貯留する濯ぎタンクと、
前記洗浄室を構成する壁部の外面に設けられており、外部の水源から供給される水を一時的に貯留して前記濯ぎタンクに供給する箱状の貯水部と、を備え、
前記貯水部は、前記壁部を介して前記洗浄室の室内環境と前記貯水部に貯留された水との間で熱交換が行われる熱交換部を形成する、洗浄機。
【請求項2】
前記貯水部は、前記壁部の一部と、前記壁部の一部との間で前記水を貯留する空間を形成する覆い部と、によって構成されている、請求項1記載の洗浄機。
【請求項3】
前記貯水部は、前記洗浄室の上面を形成する前記壁部の外面に設けられている、請求項1又は2記載の洗浄機。
【請求項4】
前記貯水部は、前記水源からの水が流入する流入部と、前記濯ぎタンクに向かって水が流出する流出部とを有し、
前記流出部は、前記流入部よりも上方に設けられている、請求項1~3の何れか一項記載の洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器等の被洗浄物の洗浄を行う洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄タンクに貯留された洗浄水を洗浄室内に収容された食器に噴射して洗浄を行い、濯ぎタンク内に貯留された濯ぎ水を食器に噴射して濯ぎを行う洗浄機(食器洗浄機)が知られている。例えば、特許文献1には、外部の給水源から濯ぎタンクに水を供給する給水配管が設けられ、当該給水配管には、高温環境下にある洗浄室との間で熱交換を行う熱交換部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の洗浄機における熱交換部は、洗浄室との接触面積を増やすために、配管を蛇行させているので、部品点数が多く、組み付け作業が煩雑であった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、濯ぎタンクに供給する水と高温環境下にある洗浄室との間で熱交換を行うための熱交換部を容易に組み付けることができる、洗浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の洗浄機は、被洗浄物を収容する洗浄室を有する本体部と、被洗浄物の濯ぎに用いられる濯ぎ水を貯留する濯ぎタンクと、洗浄室を構成する壁部の外面に設けられており、外部の水源から供給される水を一時的に貯留して濯ぎタンクに供給する箱状の貯水部と、を備え、貯水部は、壁部を介して洗浄室の室内環境と貯水部に貯留された水との間で熱交換が行われる熱交換部を形成する。
【0007】
この構成の洗浄機では、濯ぎタンクに供給する水を貯留する箱状の貯水部を、洗浄室を構成する壁部の外面に取り付けるだけの簡易な作業にて、濯ぎタンクに供給する水と高温環境下にある洗浄室との間で熱交換を行うための熱交換部を容易に組み付けることができる。
【0008】
本発明の洗浄機では、貯水部は、壁部の一部と、壁部の一部との間で水を貯留する空間を形成する覆い部と、によって構成されていてもよい。この構成では、洗浄室を構成する壁部の一部を利用して上記貯水部を形成している。これにより、上記壁部のみを介して高温環境下にある洗浄室から貯水部に貯留された水に熱が伝熱されるようになり、効率的な熱交換が可能となる。
【0009】
本発明の洗浄機では、貯水部は、洗浄室の上面を形成する壁部の外面に設けられていてもよい。この構成では、蒸気が集まりやすい洗浄室の上面を形成する壁部に貯水部が配置されているので、効率的な熱交換が可能となる。
【0010】
本発明の洗浄機では、貯水部は、水源からの水が流入する流入部と、濯ぎタンクに向かって水が流出する流出部とを有し、流出部は、流入部よりも上方に設けられていてもよい。この構成では、簡易な構成で貯水部に水を貯留させることができる。また、貯水部において熱交換によって温められた水は貯水部の上方に移動するため、温められた水から優先的に濯ぎタンクに供給することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、濯ぎタンクに供給する水と高温環境下にある洗浄室との間で熱交換を行うための熱交換部を容易に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る食器洗浄機の斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る食器洗浄機の概略構成を示す図である。
【
図3】
図3は、筐体と、筐体の側部の外面に取り付けられた貯水部を示す斜視図である。
【
図4】
図4(A)は、貯水部の正面図である。
図4(B)は、貯水部の断面図である。
【
図5】
図5は、変形例に係る食器洗浄機に取り付けられる貯水部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して一実施形態に係る食器洗浄機(洗浄機)100について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、説明の便宜のため、
図1において、前後方向、左右方向及び上下方向をそれぞれ設定した。
【0014】
図1に示されるように、一実施形態に係る食器洗浄機100は、洗浄室1Bの前面にドア部15が設けられたアンダーカウンタ式の洗浄機である。
図1及び
図2に示されるように、食器洗浄機100は、本体部1と、ドア部15と、洗浄タンク20と、上側ノズル3と、下側ノズル4と、洗浄ポンプ5と、濯ぎタンク6と、濯ぎポンプ7と、洗剤供給ポンプ8と、リンス剤供給ポンプ9と、コントローラ10と、を備えている。
【0015】
本体部1は、図示しないフレームと、ステンレス鋼製の外装パネル11と、内装パネル(壁部)2と、を含んで形成されている。外装パネル11は、左右方向における側面を形成する一対の側部パネル11A,11Aと、上部パネル11Bと、上側前部パネル11Cと、下側前部パネル11Dと、後部パネル11Eと、を有している。少なくとも、下側前部パネル11Dは、フレームに対して容易に着脱可能に設けられている。本体部1の下部の四隅には、脚部12が取り付けられている。上側前部パネル11Cには、食器洗浄機100の各種動作を操作する操作部13が設けられている。
【0016】
操作部13は、運転モードや各種設定の入力操作を行う部分である。本実施形態の操作部13は、液晶画面とこれを覆う強化ガラス(静電スイッチ)とによって構成されている。作業者は、液晶画面を覆う強化ガラスに触れることによって各種操作が可能となっている。なお、操作部13は、各種ボタンやタッチパネルによって構成されてもよいし、本体部1とは別体のリモコン、操作端末等によって構成されてもよい。
【0017】
本体部1の下部領域には、洗浄タンク20と、洗浄ポンプ5と、濯ぎタンク6と、濯ぎポンプ7と、洗剤供給ポンプ8と、リンス剤供給ポンプ9と、を収容する機械室1Aが形成されている。本体部1の上部領域には、食器(被洗浄物)D等がセットされたラックを収容する洗浄室1Bが形成されている。洗浄室1Bは、洗浄タンク20の上方の空間であって、内装パネル2によって構成されている。内装パネル2は、主に、一対の側部パネル2A、2Aと、上部パネル2Bと、後部パネル(図示せず)と、を有している。一対の側部パネル2A,2Aの内面には、ラックを支持するラックレール23が形成されている。本体部1には、食器D等がセットされたラックを洗浄室1Bに出し入れする開口部1Cが形成されている。ラックレール23は、絞出加工によって側部パネル2A、2Aと一体的に形成されてもよいし、他の部材を側部パネル2A、2Aの内面に取り付けることによって形成されてもよい。
【0018】
ドア部15は、開口部1Cの外側に配置されている。ドア部15は、開口部1Cを開閉可能に設けられており、ドア部15が開けられると、洗浄室1Bが本体部1の外部に開放される。ドア部15は、ドア部15の下端において左右方向に延在する軸を回転軸として回動可能に設けられている。作業者は、ドア部15の上端に設けられた取っ手15Aを手前に倒すことで、洗浄室1Bを開放することができる。
【0019】
洗浄タンク20は、洗浄室1Bの下方に設けられている。洗浄タンク20は、洗浄室1Bに収容された食器D等の洗浄に用いられる洗浄水を貯留する。洗浄タンク20には、洗浄水検知部24と、洗浄水ヒータ25Aと、洗浄水温度センサ25Bと、が設けられている。
【0020】
洗浄水検知部24は、洗浄タンク20に貯留された洗浄水の水位を検知する。洗浄水検知部24は、例えば、洗浄タンク20内の水位が定水位H1を超えている場合にONとなり、定水位H1以下の場合にOFFとなるスイッチである。洗浄水検知部24による検知結果は、コントローラ10によって取得される。後段にて詳述する洗浄ポンプ5は、駆動中に空気を吸い込むと、いわゆるエア噛みを起こして上側ノズル3及び下側ノズル4から洗浄水を噴射できなくなる。一実施形態では、洗浄水検知部24が運転中にOFFになったときに洗浄ポンプ5の稼働を停止することで、洗浄ポンプ5による空気の吸い込みを防止する。
【0021】
洗浄水ヒータ25Aは、殺菌能力及び洗浄能力を向上させるために洗浄タンク20に貯留された洗浄水を加熱する。洗浄水温度センサ25Bは、洗浄タンク20に貯留された洗浄水の温度を検知する。洗浄水温度センサ25Bによる検知結果は、コントローラ10によって取得される。洗浄水ヒータ25AにおけるON・OFFは、コントローラ10によって制御される。例えば、洗浄水ヒータ25Aは、洗浄水温度センサ25Bが検知する水温に基づいて洗浄水を所定温度に維持するように、コントローラ10によって制御される。
【0022】
洗浄タンク20の底部20aには、円形状の貫通孔20bが形成されている。貫通孔20bは、厚み方向に貫通する複数の長孔が形成された円形の板状部材であって、異物の侵入を防止するポンプガード26によって覆われている。貫通孔20bは、接続部50を介して洗浄ポンプ5に接続されている。接続部50には、貫通孔20bに接続される第一接続孔50aと、本体部1の外部に水を排出する排水管28に接続される排水孔50bと、洗浄ポンプ5に接続される第二接続孔50cと、が形成されている。なお、接続部50は、洗浄ポンプ5を構成するケーシングの一部として洗浄ポンプ5と一体的に構成されてもよいし、洗浄タンク20と洗浄ポンプ5と接続する部材として洗浄ポンプ5とは別に設けられてもよい。
【0023】
洗浄タンク20には、上下方向に延びるオーバーフローパイプ27が設けられている。オーバーフローパイプ27は、洗浄タンク20において所定水位を超えた水をその上端から流入させて洗浄タンク20の外部に排水し、洗浄タンク20に貯留される洗浄水の水位を規定する。オーバーフローパイプ27の下端は貫通孔20bを覆うバーリング加工されたポンプガード26を通って接続部50に形成された排水孔50bに着脱可能に差し込まれている。オーバーフローパイプ27は、その下端が排水孔50bから抜き取られることで、洗浄タンク20に貯留された洗浄水を、貫通孔20b及び排水孔50bを介して排出することができる。
【0024】
上側ノズル3は、洗浄室1Bの上方に設けられている。上側ノズル3は、洗浄室1Bの上方に設けられた上部支持部21Aに回転自在に設けられている。上側ノズル3は、上側ノズル3における回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在するノズル本体部30を有している。ノズル本体部30には、洗浄タンク20に貯留された洗浄水を噴射する洗浄噴射孔31と、回転中心から洗浄噴射孔31まで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路32と、濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を噴射する濯ぎ噴射孔33と、回転中心から濯ぎ噴射孔33まで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路34と、が一体的に形成されている。上側ノズル3は、洗浄流路32に発生する洗浄水の流れ又は濯ぎ流路34に発生する濯ぎ水の流れが回転力に変換されることによって回転する。上側ノズル3には、洗浄流路32に洗浄水を供給する上側洗浄配管58及び濯ぎ流路34に濯ぎ水を供給する上側濯ぎ配管78が接続されている。
【0025】
下側ノズル4は、洗浄室1Bの下方に設けられている。下側ノズル4は、洗浄室1Bの下方に設けられた下部支持部21Bに回転自在に設けられている。下側ノズル4は、下側ノズル4における回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在するノズル本体部40を有している。ノズル本体部40には、洗浄タンク20に貯留された洗浄水を噴射する洗浄噴射孔41と、回転中心から洗浄噴射孔41まで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路42と、濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を噴射する濯ぎ噴射孔43と、回転中心から濯ぎ噴射孔43まで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路44と、が一体的に形成されている。下側ノズル4は、洗浄流路42に発生する洗浄水の流れ又は濯ぎ流路44に発生する濯ぎ水の流れが回転力に変換されることによって回転する。下側ノズル4には、洗浄流路42に洗浄水を供給する下側洗浄配管59及び濯ぎ流路44に濯ぎ水を供給する下側濯ぎ配管79が接続されている。
【0026】
食器ラックに並べられた食器Dは、洗浄工程において上側ノズル3及び下側ノズル4によって洗浄水が噴射され、濯ぎ工程において上側ノズル3及び下側ノズル4によって濯ぎ水が噴射される。
【0027】
洗浄ポンプ5は、機械室1Aに配置されている。洗浄ポンプ5は、食器D等を収容する洗浄室1Bに洗浄タンク20に貯留された洗浄水を送り出す。洗浄ポンプ5は、接続部50を介して洗浄タンク20の洗浄水を取り込み、上側ノズル3及び下側ノズル4に洗浄水を送り出す。洗浄ポンプ5の第一吐出口には、上側洗浄配管58が接続されている。上側洗浄配管58は、上側ノズル3に接続されている。洗浄ポンプ5の第二吐出口には、下側洗浄配管59が接続されている。下側洗浄配管59は、下側ノズル4に接続されている。
【0028】
濯ぎタンク6は、機械室1Aに配置されている。濯ぎタンク6は、食器D等の濯ぎに用いられる濯ぎ水を貯留する。濯ぎタンク6には、外部の水源から給水管60を介して水が供給される。給水管60には、ストレーナ60Aが設けられている。給水管60におけるストレーナ60Aの下流側には、バルブ60Bが設けられている。
【0029】
濯ぎタンク6には、濯ぎ水検知部62と、オーバーフロー部63と、濯ぎ水ヒータ64Aと、濯ぎ水温度センサ64Bと、が設けられている。
【0030】
濯ぎ水検知部62は、濯ぎタンク6に貯留された水が、定水位H2にあることを検知するスイッチである。濯ぎ水検知部62の検知結果は、コントローラ10によって取得される。バルブ60Bは、コントローラ10によって制御されている。例えば、コントローラ10は、濯ぎ水検知部62における定水位H2の検知と連動して弁を開閉し、濯ぎタンク6に貯留される濯ぎ水の水位を一定に維持するように、バルブ60Bを制御する。
【0031】
オーバーフロー部63は、濯ぎタンク6において満水位を超えた水を排出する。濯ぎタンク6は、密閉型のタンクであり、例えば、バルブ60Bが閉弁異常となったときに満水位を超える。濯ぎ水ヒータ64Aは、殺菌能力及び濯ぎ能力を向上させるために濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を加熱する。濯ぎ水温度センサ64Bは、濯ぎ水の温度を検知する。濯ぎ水温度センサ64Bによる検知結果は、コントローラ10によって取得される。濯ぎ水ヒータ64AにおけるON・OFFは、コントローラ10によって制御される。例えば、濯ぎ水ヒータ64Aは、濯ぎ水温度センサ64Bが検知する水温に基づいて濯ぎ水を所定温度に維持するように、コントローラ10によって制御される。
【0032】
濯ぎポンプ7は、食器D等を収容する洗浄室1Bに濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を送り出す。濯ぎポンプ7は、濯ぎタンク6の濯ぎ水を取り込み、上側ノズル3及び下側ノズル4に濯ぎ水を送り出す。濯ぎポンプ7の吐出口には、濯ぎ配管77を介して上側濯ぎ配管78と下側濯ぎ配管79とが接続されている。上側濯ぎ配管78は、上側ノズル3に接続されている。下側濯ぎ配管79は、下側ノズル4に接続されている。
【0033】
洗剤供給ポンプ8は、機械室1Aに配置されている。洗剤供給ポンプ8は、洗剤タンク8A内に貯留された洗剤を配管8Bを介して洗浄室1Bに供給する。洗浄室1B内に吐出された洗剤は、洗浄タンク20内に流れ込み、洗浄水と混じり合う。リンス剤供給ポンプ9は、機械室1Aに配置されている。リンス剤供給ポンプ9は、リンス剤タンク9Aに貯留されたリンス剤を配管9Bを介して濯ぎ配管77に供給する。濯ぎ配管77に供給されたリンス剤は、濯ぎ水と混じり合い、上側ノズル3及び下側ノズル4を介して洗浄室1Bに供給される。
【0034】
コントローラ10は、本体部1における上部パネル11Bと洗浄室1Bを構成する上部パネル2Bとの間に配置されている。コントローラ10は、食器洗浄機100における動作全般を制御する。コントローラ10は、コントローラ10は、集積回路に実装されたコンピュータシステムあるいはプロセッサである。コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び入出力インターフェース等から構成される。ROMには、各種プログラム又はデータが格納されている。
【0035】
次に、貯水部66について詳細に説明する。貯水部66は、外部の水源から供給される水を一時的に貯留して濯ぎタンク6に供給する。
図3、
図4(A)及び
図4(B)に示されるように、貯水部66は、洗浄室1Bを構成する内装パネル2の一つである側部パネル2Aの外面に設けられている。また、貯水部66は、高さ方向においてラックレール23が形成されている位置よりも上方に配置されている。より詳細には、貯水部66は、側部パネル2Aの上部に配置されており、例えば、側部パネル2Aの高さ方向における中心位置よりも上方に配置されている。
【0036】
本実施形態の貯水部66は、洗浄室1Bにおける側部パネル2Aの外面の一部と、当該側部パネル2Aの外面の一部との間で水を貯留するための空間Sを形成する覆い部67と、によって構成されている。貯水部66は、箱状に形成されている。
【0037】
覆い部67は、ステンレス鋼又は樹脂等の材料によって形成されている。覆い部67は、皿状に形成されており、矩形平板状の主部67aと、主部67aの外縁から立設する立設部67bと、立設部67bにおいて主部67aに接続される側と反対側の端部に形成されるフランジ67cと、を有している。覆い部67は、フランジ67cが側部パネル2Aの外面に、例えば溶接等によって固着されることによって、主部67aと立設部67bと側部パネル2Aとによって囲まれる空間Sを形成する。空間Sは、外部から供給される水が一時的に貯留される空間となる。
【0038】
貯水部66は、水源からの水が流入する流入部68と、濯ぎタンク6に向かって水が流出する流出部69と、を有している。流入部68は、貯水部66が洗浄室1Bに取り付けられた状態において下面を形成する立設部67bに設けられており、流出部69は、貯水部66が洗浄室1Bに取り付けられた状態において上面を形成する立設部67bに設けられている。すなわち、流出部69は、流入部68よりも鉛直方向において上方に設けられている。
【0039】
このような構成の貯水部66では、貯水部66の下方に設けられた流入部68から水が流入されると、空間Sの水面が上昇していく。そして、貯水部66の空間Sにおいて満杯となった水は、流出部69から流出し、給水管60を介して濯ぎタンク6に供給される。貯水部66は、洗浄室1Bの室内環境と貯水部66に貯留された水との間で側部パネル2Aを介した熱交換が行われる熱交換部を形成する。洗浄室1B内の蒸気は、当該熱交換によって、側部パネル2Aの内面において結露して水となり、洗浄タンク20に回収される。また、貯水部66に貯留された水は、当該熱交換によって温められ、水源から供給されたときの温度よりも高い状態で濯ぎタンク6に供給される。
【0040】
次に、上記実施形態の食器洗浄機100の作用効果について説明する。上記実施形態の食器洗浄機100では、濯ぎタンク6に供給する水を貯留する箱状の貯水部66を、側部パネル2Aの外面に取り付けるだけの簡易な作業にて、濯ぎタンク6に供給する水と高温環境下にある洗浄室1Bとの間で熱交換を行うための熱交換部を容易に組み付けることができる。
【0041】
上記実施形態の食器洗浄機100では、上述した熱交換によって、洗浄室1B内の蒸気は、側部パネル2Aの内面において結露して水となり、洗浄タンク20に回収される。これにより、ドア部15を開けたときに外部に蒸気が漏れ出ることを低減できる。また、上記実施形態の食器洗浄機100では、上述した熱交換によって、貯水部66に貯留された水は、当該熱交換によって温められる。これにより、水源から濯ぎタンク6に直接水を供給する場合と比べて、温かい水が濯ぎタンク6に供給されるようになるので、省エネルギー化を図ることができる。
【0042】
上記実施形態の食器洗浄機100では、貯水部66が側部パネル2Aの外面に設けられている。これにより。洗浄室1Bを構成する内装パネル2の一部である上部パネル2Bに設けられる場合と比べて、製品高さのサイズを大きくすることなく、貯水部66を設けることができる。
【0043】
上記実施形態の食器洗浄機100では、貯水部66は、高さ方向においてラックレール23が形成されている位置よりも上方に配置されている。これにより、洗浄室1Bにおいて上側ノズル3及び下側ノズル4から噴射された洗浄水や濯ぎ水は、食器Dにあたって跳ね返り、食器D横の側部パネル2Aにあたる。このため、ラックレール23よりも上方の側部パネル2Aの外面に貯水部66を配置することにより、食器Dにあたって跳ね返る高温の洗浄水や濯ぎ水と側部パネル2Aを介して効率的な熱交換がなされる。
【0044】
上記実施形態の食器洗浄機100では、側部パネル2Aの一部を利用して貯水部66を形成している。これにより、側部パネル2Aのみを介して高温環境下にある洗浄室1Bから貯水部66に貯留された水に熱が伝熱されるようになり、効率的な熱交換が可能となる。
【0045】
上記実施形態の食器洗浄機100の貯水部66は、流出部69が流入部68よりも上方に設けられているので、簡易な構成で貯水部66に水を貯留させることができる。また、貯水部66において熱交換によって温められた水は貯水部66の上方に移動するため、温められた水から優先的に濯ぎタンク6に供給することができる。
【0046】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0047】
上記実施形態の食器洗浄機100において、濯ぎタンク6に供給する水を貯留する貯水部66は、側部パネル2Aの一部を共有することによって形成されている例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、
図5に示されるように、空間Sを形成する直方体形状の箱体167を、取付部材167A等によって側部パネル2Aの外面に接触するように取り付けることによって貯水部66を形成してもよい。貯水部66は、洗浄室1Bの室内環境と貯水部66に貯留された水との間で側部パネル2Aを介した熱交換が行われる熱交換部を形成する。この構成であっても、側部パネル2Aと箱体167の一部とを介して高温環境下にある洗浄室1Bから熱が伝熱されるようになり、箱体167に貯留された水との間で熱交換が可能となる。
【0048】
上記実施形態及び上記変形例の食器洗浄機100では、貯水部66は、側部パネル2Aに設けられる例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、貯水部66は、洗浄室1Bの上面を構成する上部パネル2Bの外面に設けられてもよい。この構成では、蒸気が集まりやすい洗浄室1Bの上面を構成する上部パネル2Bの外面に貯水部66が配置されるので、効率的な熱交換が可能となる。
【0049】
上記実施形態及び変形例は、本体部1の前面側にドア部15が設けられたタイプの食器洗浄機100に適用するだけでなく、例えば、ドア部が上下に開閉するタイプの食器洗浄機等にも適用することができる。
【0050】
本願発明は、上記実施形態及びその他の変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…本体部、1B…洗浄室、2…内装パネル(壁部)、2A…側部パネル、2B…上部パネル、3…上側ノズル、4…下側ノズル、5…洗浄ポンプ、6…濯ぎタンク、7…濯ぎポンプ、15…ドア部、20…洗浄タンク、66…貯水部、67…覆い部、67a…主部、67b…立設部、67c…フランジ、68…流入部、69…流出部、100…食器洗浄機(洗浄機)、167…箱体、167A…取付部材、D…食器(被洗浄物)、S…空間。