(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069075
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】洗浄機
(51)【国際特許分類】
A47L 15/42 20060101AFI20230511BHJP
A47L 15/08 20060101ALI20230511BHJP
A47L 15/22 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
A47L15/42 S
A47L15/08
A47L15/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180676
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 光司
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082BL02
(57)【要約】
【課題】できるだけ水を無駄に使用することなく、ノズルに形成された流路において発生する水の流れを効率的に回転力に変換することができる洗浄機を提供する。
【解決手段】食器洗浄機100は、洗浄噴射孔31,41と、洗浄流路32,42と、濯ぎ噴射孔33,43と、濯ぎ流路34,44と、が一体的に形成された本体部30,40を備える。洗浄流路は、回転中心を通り、半径方向に沿って第一方向D1に延びる第一流入部32a,42aと、第一流入部から回転方向前方に凸状に湾曲するように延びる第一湾曲部32b,42bと、を有する。濯ぎ流路は、回転中心を通り、半径方向に沿って第一方向と交差する第二方向D2に延びる第二流入部34a,44aと、第二流入部から回転方向前方に凸状に湾曲するようにかつ第一湾曲部に沿うように延びる第二湾曲部34b,44bと、を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を収容する洗浄室に設けられ、一方向に回転しながら前記洗浄室に水を噴射するノズルを備える洗浄機であって、
前記ノズルは、
前記ノズルにおける回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在すると共に、前記先端部側が前記ノズルの回転方向の後方に湾曲する本体部を備え、
前記本体部は、
洗浄水を噴射する洗浄噴射孔と、
前記回転中心から前記洗浄噴射孔まで延在すると共に前記洗浄水が流通する洗浄流路と、
濯ぎ水を噴射する濯ぎ噴射孔と、
前記回転中心から前記濯ぎ噴射孔まで延在すると共に前記濯ぎ水が流通する濯ぎ流路と、が一体的に形成されており、
前記洗浄流路は、前記回転中心を通り、前記半径方向に沿って第一方向に延びる第一流入部と、前記第一流入部から前記回転方向前方に凸状に湾曲するように延びる第一湾曲部と、を有し、
前記濯ぎ流路は、前記回転中心を通り、前記半径方向に沿って前記第一方向と交差する第二方向に延びる第二流入部と、前記第二流入部から前記回転方向前方に凸状に湾曲するようにかつ前記第一湾曲部に沿うように延びる第二湾曲部と、を有する、洗浄機。
【請求項2】
前記洗浄流路及び前記濯ぎ流路は、前記回転方向後方に凸となるように湾曲することなく、前記基端部から前記先端部まで延在している、請求項1記載の洗浄機。
【請求項3】
前記洗浄室に設けられた支持部から前記本体部を着脱する着脱機構を更に備え、
前記回転中心を通り、半径方向に沿って、前記第一方向及び前記第二方向の両方に交差する方向を第三方向としたとき、
前記着脱機構は、前記第三方向に対向して配置される一対のつまみ部を有し、前記一対のつまみ部の両方を前記第三方向に沿って互いに近づける方向に押圧することによって、前記支持部から前記本体部を着脱可能に設けられている、請求項1又は2記載の洗浄機。
【請求項4】
前記第三方向に直交し、前記回転中心を通り半径方向に沿う方向を第四方向としたとき、
前記第一方向及び前記第二方向の一方は、前記回転方向において前記第三方向と前記第四方向との間の方向であり、
前記第一方向及び前記第二方向の他方は、前記回転方向において前記第四方向と前記第三方向との間の方向である、請求項3記載の洗浄機。
【請求項5】
前記第一方向と、前記第二方向と、前記第三方向とは、前記回転方向において、略60°ずつずれている、請求項3又は4記載の洗浄機。
【請求項6】
前記本体部を平面視したときに、前記濯ぎ流路及び前記洗浄流路は、前記第三方向を基準とする前記回転方向周りに、前記濯ぎ流路、前記洗浄流路の順番で配置されており、
前記第一湾曲部の曲がり度合は、前記第二湾曲部の曲がり度合よりも大きい、請求項3~5の何れか一項記載の洗浄機。
【請求項7】
前記本体部において前記回転中心を通る前記第三方向の両端部分の外形の形状は、前記回転中心に向かって凹状に形成されており、
前記つまみ部は、前記凹状の前記外形から前記第三方向に突出している、請求項3~6の何れか一項記載の洗浄機。
【請求項8】
前記洗浄室の上方に配置されている前記ノズルの前記洗浄噴射孔は、前記洗浄流路の前記回転方向における前方側に設けられると共に、前記洗浄流路の延在方向に沿って複数配列されている、請求項1~7の何れか一項記載の洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器等の被洗浄物の洗浄を行う洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄タンクに貯留された洗浄水を洗浄室内に収容された食器に噴射して洗浄を行い、濯ぎ水タンク内に貯留された濯ぎ水を食器に噴射して濯ぎを行う洗浄機(食器洗浄機)が知られている。このような洗浄機には、水を噴射する噴射孔を有するノズルが洗浄室に回転自在に設けられている。このようなノズルとして、特許文献1には、洗浄時に洗浄タンクから供給される水の流通路及びその水を噴射する洗浄噴射孔と、濯ぎ時に濯ぎタンクから供給される水の流通路及びその水を噴射する濯ぎ噴射孔とを一体的に形成したノズル(回転翼)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら洗浄噴射孔と濯ぎ噴射孔とを一体化したノズルの場合、サイズ及び重量が大きくなり、ノズルの回転力が不足しがちとなる。このため、特許文献1に記載のノズルでは、洗浄噴射孔及び濯ぎ噴射孔とは別に、回転力を補うための水を噴射する噴射孔が設けられている。ところが、このような噴射孔から噴射される水は、食器の洗浄及び濯ぎの効率には寄与しないので、水の無駄使いとなる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、できるだけ水を無駄に使用することなく、ノズルに形成された流路において発生する水の流れを効率的に回転力に変換することができる洗浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の洗浄機は、被洗浄物を収容する洗浄室に設けられ、一方向に回転しながら洗浄室に水を噴射するノズルを備える洗浄機であって、ノズルは、ノズルにおける回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在すると共に、先端部側がノズルの回転方向の後方に湾曲する本体部を備え、本体部は、洗浄水を噴射する洗浄噴射孔と、回転中心から洗浄噴射孔まで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路と、濯ぎ水を噴射する濯ぎ噴射孔と、回転中心から濯ぎ噴射孔まで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路と、が一体的に形成されており、洗浄流路は、回転中心を通り、半径方向に沿って第一方向に延びる第一流入部と、第一流入部から回転方向前方に凸状に湾曲するように延びる第一湾曲部と、を有し、濯ぎ流路は、回転中心を通り、半径方向に沿って第一方向と交差する第二方向に延びる第二流入部と、第二流入部から回転方向前方に凸状に湾曲するようにかつ第一湾曲部に沿うように延びる第二湾曲部と、を有する。
【0007】
この構成の洗浄機における洗浄流路では、第一流入部に流れ込んだ水が回転方向前方に凸状の第一湾曲部に作用を及ぼすので、洗浄流路に発生する水の流れを効率的にノズルの回転力に変換させることができる。また、この構成の洗浄流路では、第二流入部に流れ込んだ水が回転方向前方に凸状の第二湾曲部に作用を及ぼすので、濯ぎ流路に発生する水の流れを効率的にノズルの回転力に変換させることができる。この結果、できるだけ水を無駄に使用することなく、ノズルに形成された流路において発生する水の流れを効率的に回転力に変換することができる。
【0008】
本発明の洗浄機では、洗浄流路及び濯ぎ流路は、回転方向後方に凸となるように湾曲することなく、基端部から先端部まで延在していてもよい。この構成では、第一流入部(又は第二流入部)に流れ込んだ水が回転方向後方に凸となる部分に作用を及ぼすことによる回転力の減衰を防止できる。
【0009】
本発明の洗浄機は、洗浄室に設けられた支持部から本体部を着脱する着脱機構を更に備え、回転中心を通り、半径方向に沿って、第一方向及び第二方向の両方に交差する方向を第三方向としたとき、着脱機構は、第三方向に対向して配置される一対のつまみ部を有し、一対のつまみ部の両方を第三方向に沿って互いに近づける方向に押圧することによって、支持部から本体部を着脱可能に設けられていてもよい。この構成では、第一方向及び第二方向の両方に交差する第三方向に対向するようにつまみ部が設けられるので、つまみ部のサイズを大きく形成することができる。
【0010】
本発明の洗浄機では、第三方向に直交し、回転中心を通り半径方向に沿う方向を第四方向としたとき、第一方向及び第二方向の一方は、回転方向において第三方向と第四方向との間の方向であり、第一方向及び第二方向の他方は、回転方向において第四方向と第三方向との間の方向であってもよい。この構成では、第一流入部の延在方向と第二流入部の延在方向とを適度に異ならせることができるので、これら二つの流路を干渉させることなく容易に形成できる。
【0011】
本発明の洗浄機では、第一方向と、第二方向と、第三方向とは、回転方向において、略60°ずつずれていてもよい。この構成では、洗浄流路及び濯ぎ流路を確保しつつ、つまみ部の設置スペースがとれるので、第三方向におけるつまみ部間の距離を短くしつつも、つまみ部の幅方向のサイズを大きくできる。これにより、作業者が掴みやすいつまみ部とすることができる。
【0012】
本発明の洗浄機では、本体部を平面視したときに、濯ぎ流路及び洗浄流路は、第三方向を基準とする回転方向周りに、濯ぎ流路、洗浄流路の順番で配置されており、第一湾曲部の曲がり度合は、第二湾曲部の曲がり度合よりも大きくてもよい。この構成では、特に洗浄流路における曲がり、すなわち第一流入部から第一湾曲部にかけての曲がりを大きくできるので、第一流入部に流れ込んだ水が第一湾曲部に及ぼす作用が大きくなる。これにより、ノズルに形成された流路において発生する水の流れをより一層効率的に回転力に変換することができる。
【0013】
本発明の洗浄機では、本体部において回転中心を通る第三方向の両端部分の外形の形状は、回転中心に向かって凹状に形成されており、つまみ部は、凹状の外形から第三方向に突出していてもよい。この構成では、一対のつまみ部間同士の距離を短くすることができるので、片手での着脱作業が可能となる。
【0014】
本発明の洗浄機では、洗浄噴射孔は、洗浄流路の回転方向における前方側に設けられると共に、洗浄流路の延在方向に沿って複数配列されていてもよい。この構成では、濯ぎ工程終了後に洗浄流路に残留する洗浄水を低減させることができる。この結果、濯ぎ工程終了後に洗浄噴射孔から洗浄流路内に残った水が垂れることを低減できる。なお、濯ぎ工程時に洗浄噴射孔から排出される水は、被洗浄物に付着したとしても濯ぎ噴射孔から噴射される水によって洗い流される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、できるだけ水を無駄に使用することなく、ノズルに形成された流路において発生する水の流れを効率的に回転力に変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る食器洗浄機の斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る食器洗浄機の概略構成を示す図である。
【
図5】
図5は、上側ノズル及び下側ノズルを構成する本体部のパーツの一方である。
【
図6】
図6は、上側ノズル及び下側ノズルを構成する本体部のパーツの他方である。
【
図7】
図7(A)は、固定時の着脱機構の状態を示した斜視図である。
図7(B)は、解除時の着脱機構の状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して一実施形態に係る食器洗浄機(洗浄機)100について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、説明の便宜のため、
図1において、前後方向、左右方向及び上下方向をそれぞれ設定した。
【0018】
図1に示されるように、一実施形態に係る食器洗浄機100は、洗浄室1Bの前面にドア部15が設けられたアンダーカウンタ式の洗浄機である。
図1及び
図2に示されるように、食器洗浄機100は、洗浄機本体部1と、ドア部15と、洗浄タンク20と、上側ノズル3と、下側ノズル4と、洗浄ポンプ5と、濯ぎタンク6と、濯ぎポンプ7と、洗剤供給ポンプ8と、リンス剤供給ポンプ9と、コントローラ10と、を備えている。
【0019】
洗浄機本体部1は、図示しないフレームと、ステンレス製の外装パネル11と、内装パネル(壁部)2と、を含んで形成されている。外装パネル11は、左右方向における側面を形成する一対の側部パネル11A,11Aと、上部パネル11Bと、上側前部パネル11Cと、下側前部パネル11Dと、後部パネル11Eと、を有している。少なくとも、下側前部パネル11Dは、フレームに対して容易に着脱可能に設けられている。洗浄機本体部1の下部の四隅には、脚部12が取り付けられている。上側前部パネル11Cには、食器洗浄機100の各種動作を操作する操作部13が設けられている。
【0020】
操作部13は、運転モードや各種設定の入力操作を行う部分である。本実施形態の操作部13は、液晶画面とこれを覆う強化ガラス(静電スイッチ)とによって構成されている。作業者は、液晶画面を覆う強化ガラスに触れることによって各種操作が可能となっている。なお、操作部13は、各種ボタンやタッチパネルによって構成されてもよいし、洗浄機本体部1とは別体のリモコン、操作端末等によって構成されてもよい。
【0021】
洗浄機本体部1の下部領域には、洗浄ポンプ5と、濯ぎタンク6と、濯ぎポンプ7と、洗剤供給ポンプ8と、リンス剤供給ポンプ9と、を収容する機械室1Aが形成されている。洗浄機本体部1の上部領域には、食器(被洗浄物)D等がセットされたラックを収容する洗浄室1Bが形成されている。洗浄室1Bは、洗浄タンク20の上方の空間であって、内装パネル2によって構成されている。内装パネル2は、主に、一対の側部パネル2A、2Aと、上部パネル2Bと、後部パネル(図示せず)と、を有している。一対の側部パネル2A,2Aの内面には、ラックを支持するラックレール23が形成されている。洗浄機本体部1には、食器D等がセットされたラックを洗浄室1Bに出し入れする開口部1Cが形成されている。ラックレール23は、絞出加工によって側部パネル2A、2Aと一体的に形成されてもよいし、他の部材を側部パネル2A、2Aの内面に取り付けることによって形成されてもよい。
【0022】
ドア部15は、開口部1Cの外側に配置されている。ドア部15は、開口部1Cを開閉可能に設けられており、ドア部15が開けられると、洗浄室1Bが洗浄機本体部1の外部に開放される。ドア部15は、ドア部15の下端において左右方向に延在する軸を回転軸として回動可能に設けられている。作業者は、ドア部15の上端に設けられた取っ手15Aを手前に倒すことで、洗浄室1Bを開放することができる。
【0023】
洗浄タンク20は、洗浄室1Bの下方に設けられている。洗浄タンク20は、洗浄室1Bに収容された食器D等の洗浄に用いられる洗浄水を貯留する。洗浄水は、洗浄工程において洗浄室1Bに噴射される水である。洗浄タンク20には、洗浄水検知部24と、洗浄水ヒータ25Aと、洗浄水温度センサ25Bと、が設けられている。
【0024】
洗浄水検知部24は、洗浄タンク20に貯留された洗浄水の水位を検知する。洗浄水検知部24は、例えば、洗浄タンク20内の水位が定水位H1を超えている場合にONとなり、定水位H1以下の場合にOFFとなるスイッチである。洗浄水検知部24による検知結果は、コントローラ10によって取得される。後段にて詳述する洗浄ポンプ5は、駆動中に空気を吸い込むと、いわゆるエア噛みを起こして上側ノズル3及び下側ノズル4から洗浄水を噴射できなくなる。一実施形態では、洗浄水検知部24が運転中にOFFになったときに洗浄ポンプ5の稼働を停止することで、洗浄ポンプ5による空気の吸い込みを防止する。
【0025】
洗浄水ヒータ25Aは、殺菌能力及び洗浄能力を向上させるために洗浄タンク20に貯留された洗浄水を加熱する。洗浄水温度センサ25Bは、洗浄タンク20に貯留された洗浄水の温度を検知する。洗浄水温度センサ25Bによる検知結果は、コントローラ10によって取得される。洗浄水ヒータ25AにおけるON・OFFは、コントローラ10によって制御される。例えば、洗浄水ヒータ25Aは、洗浄水温度センサ25Bが検知する水温に基づいて洗浄水を所定温度に維持するように、コントローラ10によって制御される。
【0026】
洗浄タンク20の底部20aには、円形状の貫通孔20bが形成されている。貫通孔20bは、厚み方向に貫通する複数の長孔が形成された円形の板状部材であって、異物の侵入を防止するポンプガード26によって覆われている。貫通孔20bは、接続部50を介して洗浄ポンプ5に接続されている。接続部50には、貫通孔20bに接続される第一接続孔50aと、洗浄機本体部1の外部に水を排出する排水管28に接続される排水孔50bと、洗浄ポンプ5に接続される第二接続孔50cと、が形成されている。なお、接続部50は、洗浄ポンプ5を構成するケーシングの一部として洗浄ポンプ5と一体的に構成されてもよいし、洗浄タンク20と洗浄ポンプ5と接続する部材として洗浄ポンプ5とは別に設けられてもよい。
【0027】
洗浄タンク20には、上下方向に延びるオーバーフローパイプ27が設けられている。オーバーフローパイプ27は、洗浄タンク20において所定水位を超えた水をその上端から流入させて洗浄タンク20の外部に排水し、洗浄タンク20に貯留される洗浄水の水位を規定する。オーバーフローパイプ27の下端は貫通孔20bを覆うバーリング加工されたポンプガード26を通って接続部50に形成された排水孔50bに着脱可能に差し込まれている。オーバーフローパイプ27は、その下端が排水孔50bから抜き取られることで、洗浄タンク20に貯留された洗浄水を、貫通孔20b及び排水孔50bを介して排出することができる。
【0028】
上側ノズル3は、洗浄室1Bの上方に設けられている。上側ノズル3は、洗浄室1Bの上方に設けられた上部支持部21Aに回転自在に設けられている。上側ノズル3は、上側ノズル3における回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在する本体部30を有している。本体部30には、洗浄タンク20に貯留された洗浄水を噴射する洗浄噴射孔31と、回転中心から洗浄噴射孔31まで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路32と、濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を噴射する濯ぎ噴射孔33と、回転中心から濯ぎ噴射孔33まで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路34と、が一体的に形成されている。上側ノズル3は、洗浄流路32に発生する洗浄水の流れ又は濯ぎ流路34に発生する濯ぎ水の流れが回転力に変換されることによって回転する。上側ノズル3には、洗浄流路32に洗浄水を供給する上側洗浄配管58及び濯ぎ流路34に濯ぎ水を供給する上側濯ぎ配管78が接続されている。
【0029】
下側ノズル4は、洗浄室1Bの下方に設けられている。下側ノズル4は、洗浄室1Bの下方に設けられた下部支持部21Bに回転自在に設けられている。下側ノズル4は、下側ノズル4における回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在する本体部40を有している。本体部40には、洗浄タンク20に貯留された洗浄水を噴射する洗浄噴射孔41と、回転中心から洗浄噴射孔41まで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路42と、濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を噴射する濯ぎ噴射孔43と、回転中心から濯ぎ噴射孔43まで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路44と、が一体的に形成されている。下側ノズル4は、洗浄流路42に発生する洗浄水の流れ又は濯ぎ流路44に発生する濯ぎ水の流れが回転力に変換されることによって回転する。下側ノズル4には、洗浄流路42に洗浄水を供給する下側洗浄配管59及び濯ぎ流路44に濯ぎ水を供給する下側濯ぎ配管79が接続されている。
【0030】
食器ラックに並べられた食器Dは、洗浄工程において上側ノズル3及び下側ノズル4によって洗浄水が噴射され、濯ぎ工程において上側ノズル3及び下側ノズル4によって濯ぎ水が噴射される。
【0031】
洗浄ポンプ5は、機械室1Aに配置されている。洗浄ポンプ5は、食器D等を収容する洗浄室1Bに洗浄タンク20に貯留された洗浄水を送り出す。洗浄ポンプ5は、接続部50を介して洗浄タンク20の洗浄水を取り込み、上側ノズル3及び下側ノズル4に洗浄水を送り出す。洗浄ポンプ5の第一吐出口には、上側洗浄配管58が接続されている。上側洗浄配管58は、上側ノズル3に接続されている。洗浄ポンプ5の第二吐出口には、下側洗浄配管59が接続されている。下側洗浄配管59は、下側ノズル4に接続されている。
【0032】
濯ぎタンク6は、機械室1Aに配置されている。濯ぎタンク6は、食器D等の濯ぎに用いられる濯ぎ水を貯留する。濯ぎ水は、初期給湯工程や濯ぎ工程において洗浄室1Bに噴射される水である。濯ぎタンク6には、外部の水源から給水管60を介して水が供給される。給水管60には、ストレーナ60Aが設けられている。給水管60におけるストレーナ60Aの下流側には、バルブ60Bが設けられている。
【0033】
濯ぎタンク6には、濯ぎ水検知部62と、オーバーフロー部63と、濯ぎ水ヒータ64Aと、濯ぎ水温度センサ64Bと、が設けられている。
【0034】
濯ぎ水検知部62は、濯ぎタンク6に貯留された水が、定水位H2にあることを検知するスイッチである。濯ぎ水検知部62の検知結果は、コントローラ10によって取得される。バルブ60Bは、コントローラ10によって制御されている。例えば、コントローラ10は、濯ぎ水検知部62における定水位H2の検知と連動して弁を開閉し、濯ぎタンク6に貯留される濯ぎ水の水位を一定に維持するように、バルブ60Bを制御する。
【0035】
オーバーフロー部63は、濯ぎタンク6において満水位を超えた水を排出する。濯ぎタンク6は、密閉型のタンクであり、例えば、バルブ60Bが閉弁異常となったときに満水位を超える。濯ぎ水ヒータ64Aは、殺菌能力及び濯ぎ能力を向上させるために濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を加熱する。濯ぎ水温度センサ64Bは、濯ぎ水の温度を検知する。濯ぎ水温度センサ64Bによる検知結果は、コントローラ10によって取得される。濯ぎ水ヒータ64AにおけるON・OFFは、コントローラ10によって制御される。例えば、濯ぎ水ヒータ64Aは、濯ぎ水温度センサ64Bが検知する水温に基づいて濯ぎ水を所定温度に維持するように、コントローラ10によって制御される。
【0036】
濯ぎポンプ7は、食器D等を収容する洗浄室1Bに濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を送り出す。濯ぎポンプ7は、濯ぎタンク6の濯ぎ水を取り込み、上側ノズル3及び下側ノズル4に濯ぎ水を送り出す。濯ぎポンプ7の吐出口には、濯ぎ配管77を介して上側濯ぎ配管78と下側濯ぎ配管79とが接続されている。上側濯ぎ配管78は、上側ノズル3に接続されている。下側濯ぎ配管79は、下側ノズル4に接続されている。
【0037】
洗剤供給ポンプ8は、機械室1Aに配置されている。洗剤供給ポンプ8は、洗剤タンク8A内に貯留された洗剤を配管8Bを介して洗浄室1Bに供給する。洗浄室1B内に吐出された洗剤は、洗浄タンク20内に流れ込み、洗浄水と混じり合う。リンス剤供給ポンプ9は、機械室1Aに配置されている。リンス剤供給ポンプ9は、リンス剤タンク9Aに貯留されたリンス剤を配管9Bを介して濯ぎ配管77に供給する。濯ぎ配管77に供給されたリンス剤は、濯ぎ水と混じり合い、上側ノズル3及び下側ノズル4を介して洗浄室1Bに供給される。
【0038】
コントローラ10は、洗浄機本体部1における上部パネル11Bと洗浄室1Bを構成する上部パネル2Bとの間に配置されている。コントローラ10は、食器洗浄機100における動作全般を制御する。コントローラ10は、コントローラ10は、集積回路に実装されたコンピュータシステムあるいはプロセッサである。コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び入出力インターフェース等から構成される。ROMには、各種プログラム又はデータが格納されている。コントローラ10は、洗浄水を洗浄室1B内に噴射して食器Dを洗浄する洗浄工程の実行と、濯ぎ水を洗浄室1B内に噴射して食器Dを濯ぐ濯ぎ工程の実行とを一サイクルとする洗浄運転を制御する。
【0039】
次に、上側ノズル3について、主に
図1、
図3、
図5及び
図6を用いて詳細に説明する。
図1、
図3、
図5及び
図6に示されるように、上側ノズル3は、上側ノズル3における回転軸R3の回転中心である基端部BPから半径方向に沿って先端部TPまで延在すると共に、先端部TP側が上側ノズル3の回転方向Rの後方に湾曲する本体部30を備える。本体部30は、洗浄タンク20に貯留された洗浄水を噴射する複数の洗浄噴射孔31と、回転軸R3の回転中心から洗浄噴射孔31まで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路32と、濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を噴射する複数の濯ぎ噴射孔33と、回転軸R3の回転中心から濯ぎ噴射孔33まで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路34と、が一体的に形成されている。
【0040】
図5及び
図6は、上側ノズル3の本体部30を回転面に沿って二つに分割された第一パーツ(上側のパーツ)3Aと第二パーツ(下側のパーツ)3Bとをそれぞれ内面側(流路側)から見た図である。本体部30を構成する第一パーツ3A及び第二パーツ3Bは、ポリプロピレン等の樹脂材料によって一体成形されている。上側ノズル3の本体部30は、このような二つの第一パーツ3A及び第二パーツ3Bを溶着等によって固着することによって形成される。なお、
図5及び
図6に示される第一パーツ3A及び第二パーツ3Bの状態では、下記に詳述する洗浄流路32及び濯ぎ流路34は形成されておらず、第一パーツ3A及び第二パーツ3B同士を固着したときに洗浄流路32及び濯ぎ流路34となる溝が形成されているに過ぎない。ここでは、説明の便宜上、これらの溝も洗浄流路32及び濯ぎ流路34と称して、上側ノズル3について説明する。
【0041】
洗浄流路32は、回転軸R3の回転中心を通り、半径方向に沿って第一方向D1に延びる第一流入部32aと、第一流入部32aから回転方向R前方に凸状に湾曲するように延びる第一湾曲部32bと、を有している。第一流入部32aには、上側洗浄配管58から第一流入軸30aを介して洗浄水が流入する。第一湾曲部32bには、第一流入部32aから洗浄水が流入する。第一流入部32aから第一湾曲部32bに続く一連の洗浄流路32は、回転方向R後方に凸となるように湾曲することなく、基端部BPから先端部TPまで回転方向R前方に凸状に湾曲するように延在している。
【0042】
濯ぎ流路34は、回転軸R3の回転中心を通り、半径方向に沿って第一方向D1と交差する第二方向D2に延びる第二流入部34aと、第二流入部34aから回転方向R前方に凸状に湾曲するようにかつ第一湾曲部32bに沿うように延びる第二湾曲部34bと、を有している。本実施形態では、第一方向D1と第二方向D2との交差角度は60°であるが、この角度に限定されるものではない。第二流入部34aには、上側濯ぎ配管78から第二流入軸30bを介して濯ぎ水が流入する。第二湾曲部34bには、第二流入部34aから濯ぎ水が流入する。第二流入部34aから第二湾曲部34bに続く一連の濯ぎ流路34は、回転方向R後方に凸となるように湾曲することなく、基端部BPから先端部TPまで回転方向R前方に凸状に湾曲するように延在している。
【0043】
上側ノズル3は、洗浄室1Bに設けられた上部支持部21Aから本体部30を着脱する着脱機構37を備えている。上側ノズル3の回転中心を通り、半径方向に沿って、第一方向D1及び第二方向D2の両方に交差する方向を第三方向D3としたとき、着脱機構37は、第三方向D3に対向して配置される一対のつまみ部37a,37aを有している。本実施形態では、回転方向Rにおいて第一方向D1と第二方向D2との交差角度、第二方向D2と第三方向D3との交差角度、第三方向D3と第一方向D1との交差角度は、それぞれ60°である。言い換えれば、第一方向D1と、第二方向D2と、第三方向D3とは、回転方向Rにおいて、60°ずつずれている。なお、各交差角度は、60°に限定されるものではない。
【0044】
本体部30の回転中心を通る、本体部30の第三方向D3の両端部分の外形の形状は、回転中心に向かって凹状に形成されている。一対のつまみ部37a,37aは、当該凹状の本体部30の外形から第三方向D3に沿って突出している。着脱機構37は、一対のつまみ部37a,37aの両方を第三方向D3に沿って互いに近づける方向に押圧することによって、上部支持部21Aから本体部30を着脱することができる。
【0045】
より詳細には、
図7(A)及び
図7(B)に示されるように、着脱機構37は、一対のつまみ部37a,37aと、一方のつまみ部37aに接続される第一レール部37bと、第一レール部37b内を摺動可能に設けられると共に一方のつまみ部37aに第一圧縮バネ37fを介して設けられる第一嵌合部37dと、他方のつまみ部37aに接続される第二レール部37cと、第二レール部37c内を摺動可能に設けられると共に他方のつまみ部37aに第二圧縮バネ37gを介して設けられる第二嵌合部37eと、一方のつまみ部37aに接続される第一押圧部37hと、他方のつまみ部37aに接続される第二押圧部37iと、を備える。
【0046】
このような構成の着脱機構37では、第三方向D3に沿って一対のつまみ部37a,37aを押圧すれば、
図7(B)に示されるように、第一押圧部37hを介して第二嵌合部37eが押圧され、第二押圧部37iを介して第一嵌合部37dが押圧されるので、第一嵌合部37dと第二嵌合部37eとが互いに離反する。これにより、着脱機構37と上部支持部21Aとの嵌合が解除され、上側ノズル3(本体部30)を上部支持部21Aから取り外すことができる。
【0047】
また、一対のつまみ部37a,37aの押圧を解除すれば、
図7(A)に示されるように、一対のつまみ部37a,37aを押圧した際に圧縮された第一圧縮バネ37f及び第二圧縮バネ37gによって、第一嵌合部37d及び第二嵌合部37eが押圧されて移動し、第一嵌合部37dと第二嵌合部37eとが互いに接触する。このとき、第一嵌合部37d及び第二嵌合部37eにおいて互いの対向部分によって形成されるリング状の嵌合部分が、円筒状の上部支持部21A(
図1参照)の外周面に形成された溝部に嵌まり込む。これにより、着脱機構37による上部支持部21Aへの嵌合が復活し、上側ノズル3(本体部30)を上部支持部21Aに固定することができる。
【0048】
図3、
図5及び
図6に示されるように、本体部30を平面視したとき(回転軸R3方向から見たとき)に、濯ぎ流路34及び洗浄流路32は、第三方向D3を基準とする回転方向R周りに、濯ぎ流路34、洗浄流路32の順番で配置されている。そして、第一湾曲部32bの曲がり度合は、第二湾曲部34bの曲がり度合よりも大きい。本実施形態では、本体部30における先端部TPに近づくほど、第一湾曲部32bが第二湾曲部34bに接近する。なお、ここでいう曲がり度合とは、湾曲部分(弧状部分)の曲線半径や曲率半径をいい、曲線半径が小さいほど曲がり度合が大きく、また曲率半径が大きいほど曲がり度合が大きい。
【0049】
食器Dの汚れを洗い落とすためには洗浄噴射孔31から大流量の洗浄水が噴射されることが必要である。
図6に示されるように、上側ノズル3の洗浄流路32では、大流量の洗浄水の流通を可能にするため、延在方向と直交する方向に(円周方向に沿って)幅を有している。洗浄噴射孔31は、このような幅を有する洗浄流路32において回転方向Rにおける前方側(例えば、幅方向中心位置よりも前方側)に設けられると共に、洗浄流路32の延在方向に沿って複数配列されている。また、第一湾曲部32bを構成する洗浄流路32に設けられる複数の洗浄噴射孔31は、本体部30の回転方向Rにおける前方側の縁部に沿って配置されている。
【0050】
洗浄流路32には、鉛直方向上方に向かって(すなわち、本体部30の外側から内側に向かって)突出する半球状の第一突出部(突出部)35が形成されている。第一突出部35は、本体部30を下側から見れば上方に向かって窪んでいる。洗浄噴射孔31は、このような第一突出部35における半球の頂点又はその近くに設けられている。第一突出部35は、本体部30からの洗浄水の噴射方向を方向付ける。より詳細には、このような洗浄噴射孔31から放射状に洗浄水が噴射され、このような洗浄噴射孔31から噴射された水の一部が第一突出部35における半球の内面を沿うように方向を変えるので、食器Dが配置されている方向に水を噴射させることができる。このようなことから、第一突出部35も洗浄噴射孔31の一部と見なすことができる。
【0051】
本実施形態では、このような第一突出部35の一部を一方向に切り欠くことによって洗浄噴射孔31を形成することで、洗浄噴射孔31を、第一突出部35の回転方向Rにおける前方側に寄せている。より詳細には、第一突出部35において上記の切り欠いた部分(切り欠いた部分が長さを有している場合(一方向に延在している場合)であればその一方の端部)を洗浄流路32の回転方向前方側の流路壁面に沿って配置することで、洗浄噴射孔31を洗浄流路32の回転方向Rにおける前方側、すなわち洗浄流路32の流路壁面に寄せている。なお、洗浄噴射孔31の回転方向前方側への寄せの程度は、濯ぎ工程時の上側ノズル3の回転によって、洗浄流路32において回転方向前方側に誘導される洗浄水が洗浄噴射孔31から排出できるように適宜調整される。
【0052】
本実施形態では、洗浄噴射孔31を形成する第一突出部35の切り欠きのサイズ(切り欠き長さ)は、本体部30の延在方向において先端部TPに近いほど長くして、洗浄流路32の回転方向前方側の流路壁面に近づけている。洗浄流路32に残る洗浄水は、濯ぎ工程時における上側ノズル3の回転によって先端部TPに誘導されるところ、本実施形態では、先端部TPに近くに配置される洗浄噴射孔31ほど、その切り欠きのサイズを長くして洗浄流路32の回転方向前方側の流路壁面に近づけているので、濯ぎ工程時に先端部TPへ誘導される洗浄流路32内の洗浄水を効果的に排出することができる。
【0053】
同様に、濯ぎ流路34には、鉛直方向上方に向かって(すなわち、本体部30の外側から内側に向かって)突出する半球状の第二突出部36が形成されている。第二突出部36は、本体部30からの濯ぎ水の噴射方向を方向付けるために設けられている。濯ぎ噴射孔33は、このような第二突出部36の一部を一方向に切り欠くことによって形成されている。
【0054】
次に、下側ノズル4について、
図1及び
図4~
図6を用いて詳細に説明する。
図1及び
図4~
図6に示されるように、下側ノズル4は、下側ノズル4における回転軸R4の回転中心である基端部BPから半径方向に沿って先端部TPまで延在すると共に、先端部TP側が下側ノズル4の回転方向Rの後方に湾曲する本体部40を備える。本体部40は、洗浄タンク20に貯留された洗浄水を噴射する複数の洗浄噴射孔41と、回転軸R4の回転中心から洗浄噴射孔41まで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路42と、濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を噴射する複数の濯ぎ噴射孔43と、回転軸R4の回転中心から濯ぎ噴射孔43まで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路44と、が一体的に形成されている。
【0055】
図5及び
図6は、下側ノズル4の本体部40を回転面に沿って二つに分割された第一パーツ(下側のパーツ)4Aと第二パーツ(上側のパーツ)4Bとをそれぞれ内面側(流路側)から見た図である。本体部40を構成する第一パーツ4A及び第二パーツ4Bは、ポリプロピレン等の樹脂材料によって一体成形されている。下側ノズル4の本体部40は、このような二つの第一パーツ4A及び第二パーツ4Bを溶着等によって固着することによって形成される。なお、
図5及び
図6に示される第一パーツ4A及び第二パーツ4Bの状態では、下記に詳述する洗浄流路42及び濯ぎ流路44は形成されておらず、第一パーツ4A及び第二パーツ4B同士を固着したときに洗浄流路42及び濯ぎ流路44となる溝が形成されているに過ぎない。このため、説明の便宜上、これらの溝も洗浄流路42及び濯ぎ流路44と称して、下側ノズル4について説明する。
【0056】
洗浄流路42は、回転軸R4の回転中心を通り、半径方向に沿って第一方向D1に延びる第一流入部42aと、第一流入部42aから回転方向R前方に凸状に湾曲するように延びる第一湾曲部42bと、を有している。第一流入部42aには、下側洗浄配管59から第一流入軸40aを介して洗浄水が流入する。第一湾曲部42bには、第一流入部42aから洗浄水が流入する。第一流入部42aから第一湾曲部42bに続く一連の洗浄流路42は、回転方向R後方に凸となるように湾曲することなく、基端部BPから先端部TPまで回転方向R前方に凸状に湾曲するように延在している。
【0057】
濯ぎ流路44は、回転軸R4の回転中心を通り、半径方向に沿って第一方向D1と交差する第二方向D2に延びる第二流入部44aと、第二流入部44aから回転方向R前方に凸状に湾曲するようにかつ第一湾曲部42bに沿うように延びる第二湾曲部44bと、を有している。本実施形態では、第一方向D1と第二方向D2との交差角度は60°であるが、この角度に限定されるものではない。第二流入部44aには、下側濯ぎ配管79から第二流入軸40bを介して濯ぎ水が流入する。第二湾曲部44bには、第二流入部44aから濯ぎ水が流入する。第二流入部44aから第二湾曲部44bに続く一連の濯ぎ流路44は、回転方向R後方に凸となるように湾曲することなく、基端部BPから先端部TPまで回転方向R前方に凸状に湾曲するように延在している。
【0058】
下側ノズル4は、洗浄室1Bに設けられた下部支持部21Bから本体部40を着脱する着脱機構47を備えている。下側ノズル4の回転中心を通り、半径方向に沿って、第一方向D1及び第二方向D2の両方に交差する方向を第三方向D3としたとき、着脱機構47は、第三方向D3に対向して配置される一対のつまみ部47a,47aを有している。本実施形態では、回転方向Rにおいて第一方向D1と第二方向D2との交差角度、第二方向D2と第三方向D3との交差角度、第三方向D3と第一方向D1との交差角度は、それぞれ60°である。言い換えれば、第一方向D1と、第二方向D2と、第三方向D3とは、回転方向Rにおいて、60°ずつずれている。なお、各交差角度は、60°に限定されるものではない。
【0059】
本体部40の回転中心を通る、本体部40の第三方向D3の両端部分の外形の形状は、回転中心に向かって凹状に形成されている。なお、
図7(A)及び
図7(B)に示される、一対のつまみ部47a,47aと、一方のつまみ部47aに接続される第一レール部47bと、第一レール部47b内を摺動可能に設けられると共に一方のつまみ部47aに第一圧縮バネ47fを介して設けられる第一嵌合部47dと、他方のつまみ部47aに接続される第二レール部47cと、第二レール部47c内を摺動可能に設けられると共に他方のつまみ部47aに第二圧縮バネ47gを介して設けられる第二嵌合部47eと、一方のつまみ部47aに接続される第一押圧部47hと、他方のつまみ部47aに接続される第二押圧部47iと、を備える着脱機構47の構成及び動作は、上述した着脱機構37の構成及び動作と同じであるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0060】
図4~
図6に示されるように、本体部40を平面視したとき(回転軸R4方向から見たとき)に、濯ぎ流路44及び洗浄流路42は、第三方向D3を基準とする回転方向R周りに、濯ぎ流路44、洗浄流路42の順番で配置されている。そして、第一湾曲部42bの曲がり度合は、第二湾曲部44bの曲がり度合よりも大きい。本実施形態では、本体部40における先端部TPに近づくほど、第一湾曲部42bが第二湾曲部44bに接近する。
【0061】
洗浄流路42には、鉛直方向下方に向かって(すなわち、本体部40の外側から内側に向かって)突出する半球状の第一突出部45が形成されている。第一突出部45は、本体部40を上側から見れば下方に向かって窪んでいる。第一突出部45は、本体部40からの洗浄水の噴射方向を方向付けるために設けられている。洗浄噴射孔41は、このような第一突出部45に設けられている。同様に、濯ぎ流路44には、鉛直方向上方に向かって(すなわち、本体部40の外側から内側に向かって)突出する半球状の第二突出部46が形成されている。第二突出部46は、本体部40からの濯ぎ水の噴射方向を方向付けるために設けられている。濯ぎ噴射孔43は、このような第二突出部46の一部を一方向に切り欠くことによって形成されている。
【0062】
次に、上記実施形態の食器洗浄機100の作用効果について説明する。上記実施形態の食器洗浄機100における洗浄流路32(42)では、第一流入部32a(42a)に流れ込んだ水が回転方向R前方に凸状の第一湾曲部32b(42b)に作用を及ぼす。詳細には、洗浄ポンプ5によって洗浄タンク20から上側ノズル3(下側ノズル4)に洗浄水が圧送されると、第一流入軸30a(40a)を介して第一流入部32a(42a)へ洗浄水が流入する。そして、第一流入部32a(42a)から第一湾曲部32b(42b)に向かう水が、第一湾曲部32b(42b)の回転方向前方側の流路壁面に衝突して流れの方向が変わり、先端部TPへと流れていく。この上側ノズル3(下側ノズル4)では、このような第一湾曲部32b(42b)への洗浄水の衝突が本体部30の回転力に変換される。これにより、洗浄流路32(42)に発生する水の流れを効率的に上側ノズル3(下側ノズル4)の回転力に変換させることができる。
【0063】
また、この構成の洗浄流路32(42)では、第二流入部34a(44a)に流れ込んだ水が回転方向R前方に凸状の第二湾曲部34b(44b)に作用を及ぼす。詳細には、洗浄ポンプ5によって濯ぎタンク6から上側ノズル3(下側ノズル4)に濯ぎ水が圧送されると、第二流入軸30b(40b)を介して第二流入部34a(44a)へ濯ぎ水が流入する。そして、第二流入部34a(44a)から第二湾曲部34b(44b)に向かう濯ぎ水が、第二湾曲部34b(44b)の回転方向前方側の流路壁面に衝突して流れの方向が変わり、先端部TPへと流れていく。この上側ノズル3(下側ノズル4)では、このような第二湾曲部34b(44b)への濯ぎ水の衝突が本体部40の回転力に変換される。これにより、濯ぎ流路34(44)に発生する水の流れを効率的に上側ノズル3(下側ノズル4)の回転力に変換させることができる。
【0064】
上述したとおりの結果によって、できるだけ水を無駄に使用することなく、上側ノズル3(下側ノズル4)に形成された洗浄流路32(42)及び濯ぎ流路34(44)において発生する水の流れを効率的に回転力に変換することができる。
【0065】
上記実施形態の食器洗浄機100では、洗浄流路32(42)及び濯ぎ流路34(44)は、回転方向R後方に凸となるように湾曲することなく、基端部BPから先端部TPまで延在している。ここで、洗浄流路32(42)に回転方向R後方に凸となるような湾曲部分があった場合、第一流入部32a(42a)から第一湾曲部32b(42b)に向かう洗浄水が、第一湾曲部32b(42b)の回転方向後側の流路壁面に衝突して流れの方向が変わり、先端部TPへと流れていくが、このときの水の衝突は、上述の本来回転させたい回転方向とは反対方向の回転力に変換されるので、本来回転させたい方向の回転力を減衰させてしまう。同様に、濯ぎ流路34(44)に回転方向R後方に凸となるような湾曲部分があった場合、第二流入部34a(44a)から第二湾曲部34b(44b)に向かう濯ぎ水が、第二湾曲部34b(44b)の回転方向後側の流路壁面に衝突して流れの方向が変わり、先端部TPへと流れていくが、このときの水の衝突は、上述の本来回転させたい回転方向とは反対方向の回転力に変換されるので、本来回転させたい方向の回転力を減衰させてしまう。本実施形態では、洗浄流路32(42)及び濯ぎ流路34(44)に回転方向R後方に凸となるような湾曲部分がないので、上述したような、本来回転させたい方向の回転力が減衰することを防止できる。
【0066】
上記実施形態の食器洗浄機100では、第一方向D1及び第二方向D2の両方に交差する第三方向D3に対向するように一対のつまみ部37a,37a(47a,47a)が設けられるので、つまみ部37a(47a)のサイズを大きく形成することができる。
【0067】
上記実施形態の食器洗浄機100では、第二方向D2と、第一方向D1と、第三方向D3とは、回転方向Rにおいて、略60°ずつずれている。これにより、洗浄流路32(42)及び濯ぎ流路34(44)を確保しつつ、つまみ部37a(47a)の設置スペースがとれるので、第三方向(対向方向)におけるつまみ部間の距離を短くしつつも、つまみ部37a(47a)の幅方向のサイズを大きくできる。これにより、作業者が掴みやすいつまみ部37a(47a)とすることができる。
【0068】
上記実施形態の食器洗浄機100では、本体部30(40)を平面視したときに、洗浄流路32(42)及び濯ぎ流路34(44)は、第三方向D3を基準とする回転方向R周りに、濯ぎ流路34(44)、洗浄流路32(42)の順番で配置されており、第一湾曲部32b(42b)の曲がり度合は、第二湾曲部34b(44b)の曲がり度合よりも大きい。これにより、特に洗浄流路32(42)における曲がり、すなわち第一流入部32a(42a)から第一湾曲部32b(42b)にかけての曲がりを大きくできるので、第一流入部32a(42a)に流れ込んだ水が第一湾曲部32b(42b)に及ぼす作用が大きくなる。これにより、上側ノズル3(下側ノズル4)に形成された洗浄流路32(42)において発生する水の流れをより一層効率的に回転力に変換することができる。
【0069】
上記実施形態の食器洗浄機100では、本体部30(40)において回転中心を通る第三方向D3の両端部分の外形の形状は、回転中心に向かって凹状に形成されており、つまみ部37a(47a)は、凹状の外形から第三方向D3に突出している。これにより、一対のつまみ部37a(47a)間同士の距離を短くすることができるので、片手での着脱作業が可能となる。
【0070】
上記実施形態の食器洗浄機100では、上側ノズル3の洗浄噴射孔31は、洗浄流路32の回転方向Rにおける前方側に設けられると共に、洗浄流路32の延在方向に沿って複数配列されている。これにより、濯ぎ工程時における上側ノズル3の回転によって、洗浄流路32に残留する洗浄水が洗浄噴射孔31に向かって移動し、洗浄流路32に残留する洗浄水が洗浄噴射孔31から排出される。これにより、濯ぎ工程終了後に洗浄流路32に残留する洗浄水を低減させることができ、濯ぎ工程終了後に洗浄噴射孔31から洗浄流路32内に残った水が垂れることを低減できる。
【0071】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0072】
上記実施形態の食器洗浄機100では、第一流入部32a(42a)の延在方向である第一方向D1と、第二流入部34a(44a)の延在方向である第二方向D2と、つまみ部37a(47a)の延在方向である第三方向D3とは、回転方向Rにおいて、60°ずつずれている例を挙げて説明したが、上述したとおり、これに限定されない。例えば、第三方向D3に直交すると共に上側ノズル3(下側ノズル4)の回転中心を通り半径方向に沿う方向を第四方向D4としたとき、上記第一方向D1及び上記第二方向D2の一方は、回転方向Rにおいて上記第三方向D3と上記第四方向D4との間の方向とし、上記第一方向D1及び上記第二方向D2の他方は、回転方向Rにおいて上記第四方向D4と上記第三方向D3との間の方向となるように、上側ノズル3及び下側ノズル4を形成してもよい。このような変形例に係る構成では、第一流入部32a(42a)の延在方向と第二流入部34a(44a)の延在方向とを適度に異ならせることができるので、これら二つの第一流入部32a(42a)及び第二流入部34a(44a)を干渉させることなく容易に形成できる。
【0073】
<その他の変形例>
上記実施形態では、濯ぎ流路34(44)及び洗浄流路32(42)は、第三方向D3を基準とする回転方向R周りに、濯ぎ流路34(44)、洗浄流路32(42)の順番で配置されている例を挙げて説明したが、第三方向D3を基準とする回転方向R周りに、洗浄流路32(42)、濯ぎ流路34(44)の順番で配置されていてもよい。
【0074】
上記実施形態及び変形例は、上側ノズル3の洗浄流路32は幅を有し、洗浄噴射孔31は、このような幅を有する洗浄流路32において回転方向Rにおける前方側に設けられている例を挙げて説明したが、例えば、このような幅を有する洗浄流路32において幅方向中央部に設けられてもよい。
【0075】
上記実施形態及び変形例は、洗浄機本体部1の前面側にドア部15が設けられたタイプの食器洗浄機100に適用するだけでなく、例えば、ドア部が上下に開閉するタイプの食器洗浄機等にも適用することができる。
【0076】
上記実施形態及び変形例では、洗浄機本体部1の機械室1Aに内蔵される濯ぎタンク6から上側ノズル3及び下側ノズル4に濯ぎ水が供給される構成の食器洗浄機100を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、食器洗浄機100の洗浄機本体部1の外側に設けられると共に、ガス又は電気等の加熱源によって濯ぎタンクに貯留された水が加熱されるガスブースタ又は電気ブースタから上側ノズル3及び下側ノズル4に濯ぎ水が供給される構成の食器洗浄機に適用されてもよい。
【0077】
本願発明は、上記実施形態及びその他の変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…洗浄機本体部、1A…機械室、1B…洗浄室、3…上側ノズル、4…下側ノズル、5…洗浄ポンプ、6…濯ぎタンク、7…濯ぎポンプ、15…ドア部、20…洗浄タンク、30,40…本体部、31,41…洗浄噴射孔、32,42…洗浄流路、32a,42a…第一流入部、32b,42b…第一湾曲部、33,43…濯ぎ噴射孔、34,44…濯ぎ流路、34a,44a…第二流入部、34b,44b…第二湾曲部、35,45…第一突出部(突出部)、36,46…第二突出部、37,47…着脱機構、37a,47a…つまみ部、100…食器洗浄機(洗浄機)、BP…基端部、TP…先端部、D…食器、R…回転方向。