(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069099
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 27/20 20060101AFI20230511BHJP
A41D 13/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
A41D27/20 D
A41D13/00 112
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180716
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】594158460
【氏名又は名称】ナガイレーベン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 恭子
【テーマコード(参考)】
3B011
3B035
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB06
3B011AB09
3B011AC21
3B035AA02
3B035AA03
3B035AA04
3B035AA19
3B035AB09
3B035AB18
3B035AC02
(57)【要約】
【課題】ポケット部の収容性を高めることが可能になる、衣服を提供すること。
【解決手段】衣服は、前身頃11と後身頃とを有する上衣を備えるものであって、前身頃11の外側に設けられる第1前側ポケット部21を備え、第1前側ポケット部21は、ポケット本体70と、収容物Hをポケット本体70に収容するための収容口80と、を備え、ポケット本体70は、収容口80よりも下方に位置する底縁部72であり、当該底縁部72の配置角度が収容口80の配置角度と異なる底縁部72と、収容口80と底縁部72との間に設けられる略屈曲状又は略湾曲状の誘導縁部73であり、収容口80を介して当該ポケット本体70に挿入された収容物Hと当接しつつ当該収容物Hを底縁部72に向けて誘導可能な誘導縁部73と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者が着用する衣服であり、前身頃と後身頃とを有する上衣を備える衣服であって、
前記前身頃の外側に設けられるポケット部であり、収容物を収容するためのポケット部を備え、
前記ポケット部は、
ポケット本体と、
前記収容物を前記ポケット本体に収容するための収容口と、を備え、
前記ポケット本体は、
前記収容口よりも下方に位置する底縁部であり、当該底縁部の配置角度が前記収容口の配置角度と異なる底縁部と、
前記収容口と前記底縁部との間に設けられる略屈曲状又は略湾曲状の誘導縁部であり、前記収容口を介して当該ポケット本体に挿入された前記収容物と当接しつつ当該収容物を前記底縁部に向けて誘導可能な誘導縁部と、を備える、
衣服。
【請求項2】
前記ポケット本体に前記収容物が収容された収容状態において、当該収容物と前記着用者の所定部位とが接触することを回避可能となるように、前記ポケット本体を構成した、
請求項1に記載の衣服。
【請求項3】
前記ポケット本体を、前記収容状態において前記収容物が露出しないように構成した、
請求項2に記載の衣服。
【請求項4】
前記収容物は、長尺状体であり、
前記収容口の幅を、前記収容物の短手方向の長さと略同一にした、
請求項1から3のいずれか一項に記載の衣服。
【請求項5】
前記ポケット部を、前記前身頃の部分のうち前記着用者の胸と腹との間に対応する部分に設け、
前記収容口を、前記前身頃の幅方向の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように設けた、
請求項1から4のいずれか一項に記載の衣服。
【請求項6】
前記収容物は、携帯端末、医療機器、又は/及び電気機器のバッテリを含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、収容物を収容可能なポケット部を備える衣服が提案されている。このような衣服としては、例えば、上部から下部方向に傾斜した開口縁と、略水平な底縁(すなわち、底縁の取付角度が開口縁の取付角度と異なる底縁)と、開口縁と底縁との間に位置する側縁とを有するポケット部を備える衣服が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記従来の衣服においては、上述したように、ポケット部の底縁の取付角度と開口縁の取付角度とが異なるので、例えば、ポケット部の深さが比較的深い場合(つまり、底縁と開口縁との相互間の長さが比較長い場合)には、収容物がポケット部に収容される際に、収容物が側縁に引っ掛かることで収容物が底縁と接触するように収容することが難しくなるおそれがあることから、ポケット部の収容性を高める観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ポケット部の収容性を高めることが可能になる、衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の衣服は、着用者が着用する衣服であり、前身頃と後身頃とを有する上衣を備える衣服であって、前記前身頃の外側に設けられるポケット部であり、収容物を収容するためのポケット部を備え、前記ポケット部は、ポケット本体と、前記収容物を前記ポケット本体に収容するための収容口と、を備え、前記ポケット本体は、前記収容口よりも下方に位置する底縁部であり、当該底縁部の配置角度が前記収容口の配置角度と異なる底縁部と、前記収容口と前記底縁部との間に設けられる略屈曲状又は略湾曲状の誘導縁部であり、前記収容口を介して当該ポケット本体に挿入された前記収容物と当接しつつ当該収容物を前記底縁部に向けて誘導可能な誘導縁部と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の衣服は、請求項1に記載の衣服において、前記ポケット本体に前記収容物が収容された収容状態において、当該収容物と前記着用者の所定部位とが接触することを回避可能となるように、前記ポケット本体を構成した。
【0008】
請求項3に記載の衣服は、請求項2に記載の衣服において、前記ポケット本体を、前記収容状態において前記収容物が露出しないように構成した。
【0009】
請求項4に記載の衣服は、請求項1から3のいずれか一項に記載の衣服において、前記収容物は、長尺状体であり、前記収容口の幅を、前記収容物の短手方向の長さと略同一にした。
【0010】
請求項5に記載の衣服は、請求項1から4のいずれか一項に記載の衣服において、前記ポケット部を、前記前身頃の部分のうち前記着用者の胸と腹との間に対応する部分に設け、前記収容口を、前記前身頃の幅方向の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように設けた。
【0011】
請求項6に記載の衣服は、請求項1から5のいずれか一項に記載の衣服において、前記収容物は、携帯端末、医療機器、又は/及び電気機器のバッテリを含む。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の衣服によれば、ポケット本体が、収容口よりも下方に位置する底縁部であり、当該底縁部の配置角度が収容口の配置角度と異なる底縁部と、収容口と底縁部との間に設けられる略屈曲状又は略湾曲状の誘導縁部であり、収容口を介して当該ポケット本体に挿入された収容物と当接しつつ当該収容物を底縁部に向けて誘導可能な誘導縁部と、を備えるので、収容物をポケット本体に収容する際に、誘導縁部を介して収容物を収容口から底縁部に誘導できる。よって、底縁部の配置角度と収容口の配置角度とが異なる場合に、収容物をポケット本体にスムーズに収容でき、ポケット部の収容性を高めることが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の衣服によれば、収容状態において収容物と着用者の所定部位とが接触することを回避可能となるように、ポケット本体を構成したので、収容状態において、収容物と着用者の所定部位とが接触することを回避でき、衣服の着用性を維持できる。
【0014】
請求項3に記載の衣服によれば、ポケット本体を、収容状態において収容物が露出しないように構成したので、収容状態において収容物が露出することを回避でき、収容状態における収容物の保管性を高めることができる。
【0015】
請求項4に記載の衣服によれば、収容口の幅を、収容物の短手方向の長さと略同一にしたので、収容物の長手方向の長さと略同一にする場合に比べて、ポケット本体の収容口周辺部分が撓むのを防止でき、ポケット部の意匠性を維持できる。また、収容物を当該収容物の長手方向の端部からポケット本体に収容することで、誘導縁部によって収容物が収容口から底縁部に誘導されやすくなるため、収容物をポケット本体に一層スムーズに収容できる。
【0016】
請求項5に記載の衣服によれば、ポケット部を、前身頃の部分のうち着用者の胸と腹との間に対応する部分に設け、収容口を、前身頃の幅方向の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように設けたので、収容口を水平状に設ける場合に比べて、収容物をポケット本体に収容する際に、収容物を誘導縁部に接触させやすくなることから、収容物をポケット本体にスムーズに収容させやすくなる。
【0017】
請求項6に記載の衣服によれば、収容物が、携帯端末、医療機器、又は/及び電気機器のバッテリを含むので、携帯端末、医療機器、又は/及び電気機器をポケット本体にスムーズに収容でき、ポケット部の収容性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係る衣服の構成を示す正面図である。
【
図3】
図1の第1前側ポケット部の周辺領域の拡大図である(一部図示省略)。
【
図4】収容物が第1前側ポケット部に収容されている状況を示す図であって、
図3に対応する領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る衣服の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
〔I〕実施の形態の基本的概念
最初に、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、着用者が着用する衣服であり、前身頃と後身頃とを有する上衣を備える衣服に関するものである。
【0021】
ここで、「着用者」とは、医療業務、看護業務、又は介護業務に従事する従業者を意味し、例えば、作業療法士、理学療法士、看護師、医師、介護福祉士、ホームヘルパ等を含む概念である。また、「医療業務」とは、医療に関する業務を意味し、例えば、診療業務等を含む概念である。また、「看護業務」とは、看護に関する業務を意味し、例えば、日常生活援助業務(一例として、移動介助や搬送介助等)、リハビリテーション業務等を含む概念である。また、「介護業務」とは、介護に関する業務を意味し、例えば、リハビリテーション業務、身体介護業務(一例として、入浴や着替えの介助等)等を含む概念である。
【0022】
また、「衣服」とは、着用者が着用する衣類であり、例えば、上衣(一例として、外衣(ジャケット、ドクターコート等)や上下繋ぎ式の衣服等(一例として、ワンピース等)を含む概念である。
【0023】
以下、実施の形態では、衣服を、医師が診察又は治療を行う際に着用する上衣(具体的には、医療用ジャケット)に適用した場合について説明する。
【0024】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0025】
(構成)
最初に、実施の形態に係る衣服の構成について説明する。
【0026】
以下の説明では、
図1のX方向を左右方向(着用者(具体的には、医師)から見た方向を基準とするものとし、-X方向を右方向、+X方向を左方向)、
図1のY方向を上下方向(+Y方向を上方向、-Y方向を下方向)、X方向及びY方向に直交する方向を前後方向(
図1の紙面の手前側に至る方向を前方向、
図1の紙面の奥側に至る方向を後方向)と称する。
【0027】
衣服1は、
図1、
図2に示すように、衣服本体10、第1前側ポケット部21、第2前側ポケット部22、第1後側ポケット部31、第2後側ポケット部32、第3後側ポケット部33、第1前側ループ部41、第2前側ループ部42、第3前側ループ部43、後側ループ部50、及び襟口部調節部60を備えている。なお、上述した「第1前側ポケット部21」は、特許請求の範囲における「ポケット部」に対応する。
【0028】
(構成-衣服本体)
図1に戻り、衣服本体10は、衣服1の基本構造体である。この衣服本体10は、着用者の上半身を覆うことが可能な略中空状体にて形成されている。具体的には、以下では、説明の都合上、衣服本体10を5つの領域に区分して説明する。
【0029】
すなわち、
図1、
図2に示すように、この衣服本体10は、着用者の腹を覆う前身頃11と、着用者の背中を覆う後身頃12と、着用者の右上腕を覆う右袖部13と、着用者の左上腕を覆う左袖部14と、襟口部16(開口)から立ち上げられた襟部15とを備えている。
【0030】
また、実施の形態では、前身頃11及び後身頃12の各々の下端部には、裾口部17(開口)が設けられていると共に、右袖部13及び左袖部14の各々の先端部には、袖口部18(開口)が設けられている。
【0031】
また、衣服本体10の材質については任意であるが、例えば、着用者が動きやすい材質で形成されることが望ましく、一例として、軽量且つ伸縮性を有する公知の織物素材や、表地をポリエステル材とし、裏地を綿材(又はキュプラ材)とした公知の多層ニット素材、又はこれらを組み合わせたもの等にて形成されてもよい。
【0032】
なお、以下では、衣服本体10の面のうち、着用者の肌面に対向する側の面10aを「衣服内面10a」と称し、着用者の肌面に対向する側とは反対側の面10bを「衣服外面10b」と称する。
【0033】
(構成-第1前側ポケット部)
図1に戻り、第1前側ポケット部21は、
図4の収容物H(
図4では、想像線で示す)を収容可能なポケット部である。この第1前側ポケット部21は、前身頃11の外側に設けられており、具体的には、
図1に示すように、前身頃11の右側部分における着用者の胸と腹との間に対応する部分(すなわち、前身頃11の部分のうち着用者の右胸と右腹との間に対応する部分)に設けられている。なお、第1前側ポケット部21の構成の詳細については、後述する。
【0034】
ここで、「収容物H」とは、第1前側ポケット部21、第2前側ポケット部22、第1後側ポケット部31、第2後側ポケット部32、及び第3後側ポケット部33に収容されるものであり、実施の形態では、携帯端末(一例として、医療用PHS、スマートフォン)、医療器具(一例として、サージカルルーペ等)、電気機器のバッテリ(例えば、携帯端末のバッテリ)、又は/及び文具等を含む概念である。特に、第1前側ポケット部21に収容される収容物Hは、長尺状体であり、例えば、長尺な携帯端末、長尺な医療器具、又は/及び長尺な電気機器のバッテリ等が該当するものとする。
【0035】
(構成-第2前側ポケット部)
第2前側ポケット部22は、収容物Hを収容可能なものである。この第2前側ポケット部22は、略袋状体にて形成されており、具体的には、衣服本体10の材質と同一の材質からなる略袋状体にて形成されている(なお、第1後側ポケット部31、第2後側ポケット部32、及び第3後側ポケット部33の構成についても略同様とする)。また、この第2前側ポケット部22は、前身頃11の衣服外面10bに設けられており、具体的には、
図1に示すように、当該衣服外面10bのうち着用者の左胸と対応する部分に設けられ、前身頃11に対して縫着等にて固定されている。
【0036】
(構成-第1後側ポケット部)
第1後側ポケット部31は、収容物Hを収容するためのものである。この第1後側ポケット部31は、後身頃12の衣服外面10bに設けられており、具体的には、
図2に示すように、当該衣服外面10bのうち着用者における胴部の右側方と対応する部分に設けられ、後身頃12に対して縫着等にて固定されている。
【0037】
(構成-第2後側ポケット部)
第2後側ポケット部32は、収容物Hを収容するためのものである。この第2後側ポケット部32は、後身頃12の衣服外面10bに設けられており、具体的には、
図2に示すように、第1後側ポケット部31の衣服外面10bの一部(
図2では、第1後側ポケット部31の上端部以外の部分)を覆うように設けられ、後身頃12に対して縫着等にて固定されている。
【0038】
(構成-第3後側ポケット部)
第3後側ポケット部33は、収容物Hを収容するためのものである。この第1後側ポケット部31は、後身頃12の衣服外面10bに設けられており、具体的には、
図2に示すように、当該衣服外面10bのうち着用者における胴部の左側方と対応する部分に設けられ、後身頃12に対して縫着等にて固定されている。
【0039】
(構成-第1前側ループ部)
図1に戻り、第1前側ループ部41は、図示しない保持物を保持するためのものである。この第1前側ループ部41は、例えば公知の2段続きループ材(一例として、布製の2段続きループ材)を用いて構成されており、前身頃11の衣服外面10bに設けられており、具体的には、
図1に示すように、当該衣服外面10bのうち着用者における右側胸部と対応する部分に設けられ、前身頃11に対して縫着等にて固定されている。
【0040】
ここで、「保持物」とは、第1前側ループ部41、第2前側ループ部42、第3前側ループ部43、及び後側ループ部50によって保持されるものであり、実施の形態では、携帯端末(一例として、医療用PHS)、医療器具(一例として、聴診器のイヤーピースやゴム管等)、鍵、又は/及び文具等を含む概念である。
【0041】
(構成-第2前側ループ部)
第2前側ループ部42は、保持物を保持するためのものである。この第2前側ループ部42は、例えば公知のループ材(一例として、布製のループ材)を用いて構成されており、前身頃11の衣服外面10bに設けられており、具体的には、
図1に示すように、当該衣服外面10bのうち襟部15の近傍に設けられ、前身頃11に対して縫着等にて固定されている。
【0042】
(構成-第3前側ループ部)
第3前側ループ部43は、保持物を保持するためのものである。この第3前側ループ部43は、例えば公知のループ材(一例として、布製のループ材)を用いて構成されており、前身頃11の衣服外面10bに設けられており、具体的には、
図1に示すように、当該衣服外面10bのうち左側腰部と対応する部分に設けられ、前身頃11に対して縫着等にて固定されている。
【0043】
(構成-後側ループ部)
後側ループ部50は、保持物を保持するためのものである。この後側ループ部50は、例えば公知の2段続きループ材(一例として、布製の2段続きループ材)を用いて構成されており、後身頃12の衣服外面10bに設けられており、具体的には、
図2に示すように、当該衣服外面10bのうち第1後側ポケット部31の近傍部分(
図2では、当該第1後側ポケット部31の直上部分)に設けられ、後身頃12に対して縫着等にて固定されている。
【0044】
(構成-襟口部調節部)
図1に戻り、襟口部調節部60は、着用者の衣服1の着脱を容易にするために、襟口部16の大きさを調節するための襟口部調節手段である。この襟口部調節部60は、例えば、公知の調節部材(一例として、複数のボタン61を備える調節部材等)を用いて構成されており、
図1に示すように、襟口部16から右袖部13に至るように設けられている。
【0045】
(構成-第1前側ポケット部の構成の詳細)
次に、第1前側ポケット部21の構成の詳細について説明する。ただし、第1前側ポケット部21は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0046】
この第1前側ポケット部21は、
図3に示すように、ポケット本体70及び収容口80を備えている。
【0047】
(構成-第1前側ポケット部の構成の詳細-ポケット本体)
ポケット本体70は、第1前側ポケット部21の基本構造体であり、
図3に示すように、収容部71、底縁部72、誘導縁部73、側縁部74、及び収容口縁部75を備えている。
【0048】
(構成-第1前側ポケット部の構成の詳細-ポケット本体-収容部)
収容部71は、ポケット本体70の基本構造体である。この収容部71は、略袋状体にて形成されており、具体的には、
図3に示すように、衣服本体10の材質と同一の材質からなり、且つ正面形状が略屈曲状又は略湾曲状(
図3では、収容部71の屈曲部分(又は湾曲部分)が左側に位置する略屈曲状又は略湾曲状)である略袋状体(例えば、箱ポケット用の略袋状体)にて形成されている。
【0049】
また、この収容部71は、
図1、
図3に示すように、前身頃11の衣服内面10aの右側部分における着用者の胸と腹との間に対応する部分に設けられている。
【0050】
(構成-第1前側ポケット部の構成の詳細-ポケット本体-底縁部)
底縁部72は、収容部71を前身頃11に対して取り付けるための縁部である。この底縁部72は、収容部71の一部を前身頃11に対して公知の縫着方法によって縫着することにより形成されており、実施の形態では、インターロック縫いによって縫着することにより、略直線状に形成されている。
【0051】
また、この底縁部72は、収容口80よりも下方において、当該底縁部72の配置角度が収容口80の配置角度と異なるように設けられている。具体的には、
図3に示すように、前身頃11の幅方向(
図3では、左右方向)の内側に向かうにつれて下方に傾斜するように設けられている。
【0052】
なお、底縁部72の配置角度については任意であるが、例えば、収容状態において収容物Hの収容安定性を高める観点から、収容状態において収容物Hと底縁部72及び誘導縁部73の各々とが当接可能な角度に設定することが好ましく、一例として、40°から60°程度に設定してもよい。
【0053】
(構成-第1前側ポケット部の構成の詳細-ポケット本体-誘導縁部)
誘導縁部73は、収容部71を前身頃11に対して取り付けるための縁部であると共に、収容口80を介してポケット本体70に挿入された収容物Hと当接しつつ当該収容物Hを底縁部72に向けて誘導可能なものである。この誘導縁部73は、収容部71の一部を前身頃11に対して公知の縫着方法によって縫着することにより形成されており、実施の形態では、インターロック縫いによって縫着することにより、略屈曲状(又は略湾曲状)に形成されている。なお、誘導縁部73の屈曲角度又は湾曲角度については任意であるが、例えば、110°から130°程度に設定されてもよい。
【0054】
また、この誘導縁部73は、収容口80と底縁部72との間に設けられており、具体的には、
図3に示すように、収容口80の左端部と底縁部72の左端部との相互間に設けられている。
【0055】
(構成-第1前側ポケット部の構成の詳細-ポケット本体-側縁部)
側縁部74は、収容部71を前身頃11に対して取り付けるための縁部である。この側縁部74は、収容部71の一部を前身頃11に対して公知の縫着方法によって縫着することにより形成されており、実施の形態では、ステッチ止めによって縫着することにより、略直線状に形成されている。
【0056】
また、この側縁部74は、収容口80と底縁部72との間に設けられており、具体的には、
図3に示すように、収容口80の右端部と底縁部72の右端部との相互間に設けられている。
【0057】
(構成-第1前側ポケット部の構成の詳細-ポケット本体-収容口縁部)
収容口縁部75は、収容部71の上端部を補強するための縁部である。この収容口縁部75は、収容部71の一部を前身頃11又は収容部71の他の一部に対して公知の縫着方法によって縫着することにより形成されている。
【0058】
具体的には、収容口縁部75の右側部分については、収容部71の上端部の一部をステッチ止めによって前身頃11に対して縫着することにより、略直線状に形成されている。また、収容口縁部75の左側部分については、収容部71の上端部の他の一部をコバステッチによって収容部71の他の一部に対して縫着することにより、略直線状に形成されている。
【0059】
(構成-第1前側ポケット部の構成の詳細-ポケット本体-その他の構成)
また、ポケット本体70の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では以下の通りに構成されている。
【0060】
すなわち、まず、ポケット本体70に収容物Hが収容された状態(以下、「収容状態」と称する)において、当該収容物Hと着用者の所定部位とが接触することを回避可能となるように、ポケット本体70は構成されている。
【0061】
具体的には、収容状態において、収容物Hと着用者の腹とが接触することを回避可能となるように、ポケット本体70は構成されている。より具体的には、
図3に示すように、収容部71は、上述したように、前身頃11の衣服内面10aの右側部分における着用者の胸と腹との間に対応する部分に設けられている。また、誘導縁部73は、ポケット本体70の幅方向の内側において、誘導縁部73の下側部分が誘導縁部73の下側部分以外の部分よりも幅方向の外側(
図3では、右側)に位置するように設けられている。
【0062】
このような構成により、収容状態において、収容物Hと着用者の所定部位とが接触することを回避でき、衣服1の着用性を維持できる。
【0063】
また、ポケット本体70は、収容状態において収容物Hが露出しないように構成されている。
【0064】
具体的には、
図3、
図4に示すように、収容部71の左右方向の長さについては、収容物Hの左右方向の長さ(収容物Hの短手方向の長さ)よりも長く設定している。また、収容部71の上下方向の長さについては、収容物Hの上下方向の長さ(収容物Hの長手方向の長さ)よりも長く設定しており、例えば、誘導縁部73の屈曲部分(又は湾曲部分)から下端部に至る長さが、収容物Hの上下方向の長さ以上となるように設定してもよい。
【0065】
このような構成により、収容状態において収容物Hが露出することを回避でき、収容状態における収容物Hの保管性を高めることができる。
【0066】
(構成-第1前側ポケット部の構成の詳細-収容口)
図3に戻り、収容口80は、収容物Hをポケット本体70に収容するための開口であり、
図3に示すように、ポケット本体70の上端部に設けられている。
【0067】
また、収容口80の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では以下の通りに構成されている。
【0068】
すなわち、まず、
図4に示すように、収容口80の幅(
図4では、左右方向の長さ)は、収容物Hの短手方向の長さと略同一に設定されており、例えば、12cmから13cm程度に設定されてもよい。
【0069】
このような構成により、収容物Hの長手方向の長さと略同一にする場合に比べて、ポケット本体70の収容口80周辺部分が撓むのを防止でき、第1前側ポケット部21の意匠性を維持できる。また、収容物Hを当該収容物Hの長手方向の端部からポケット本体70に収容することで、誘導縁部73によって収容物Hが収容口80から底縁部72に誘導されやすくなるため、収容物Hをポケット本体70にスムーズに収容できる。
【0070】
また、
図3に示すように、収容口80は、前身頃11の幅方向の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように設けられている。
【0071】
具体的には、収容口80の傾斜角度が15°から30°程度となるように、収容口80は上記傾斜するように設けられている。
【0072】
このような構成により、収容口80を水平状に設ける場合に比べて、収容物Hをポケット本体70に収容する際に、収容物Hを誘導縁部73に接触させやすくなることから、収容物Hをポケット本体70にスムーズに収容させやすくなる。
【0073】
以上のような衣服1により、収容物Hをポケット本体70に収容する際に、誘導縁部73を介して収容物Hを収容口80から底縁部72に誘導できる。よって、底縁部72の配置角度と収容口80の配置角度とが異なる場合に、収容物Hをポケット本体70にスムーズに収容でき、第1前側ポケット部21の収容性を高めることが可能となる。
【0074】
(衣服の作用)
続いて、このように構成された衣服1の作用について説明する。
【0075】
この衣服1の作用は、着用者が収容物Hを第1前側ポケット部21に収容する際の作用(以下、「第1作用」と称する)と、着用者が第1前側ポケット部21に収容された収容物Hを取り出す際の作用(以下、「第2作用」と称する)とに大別される。なお、上記各種の作用の前提については、着用者が衣服1を着用しているものとして説明する。
【0076】
(衣服の作用-第1作用)
最初に、第1作用について説明する。
【0077】
まず、着用者によって収容物H(例えば、長尺な携帯端末)が収容口80を介してポケット本体70に挿入される。
【0078】
この場合において、上述したように、収容口80が、前身頃11の幅方向の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように設けられているので、収容物Hをポケット本体70に収容する際に、収容物Hを誘導縁部73に接触させやすくなる。また、収容口80の幅が、収容物Hの短手方向の長さと略同一に設定されているので、誘導縁部73によって収容物Hが収容口80から底縁部72に誘導されやすくなる。
【0079】
次に、
図4に示すように、収容口80を介してポケット本体70に挿入された収容物Hは、誘導縁部73と当接しながら誘導縁部73によって底縁部72に向けて誘導され、その後、収容物Hの下端部が底縁部72と当接することで、収容状態となる。
【0080】
ここで、収容状態では、上述したように、収容物Hと着用者の腹とが接触することを回避可能となるように、ポケット本体70が構成されているので、衣服1の着用性が維持される。また、収容物Hが露出しないようにポケット本体70が構成されているので、収容状態における収容物Hの保管性が高められる。
【0081】
このような第1作用により、収容物Hをポケット本体70に収容する際に、誘導縁部73を介して収容物Hを収容口80から底縁部72に誘導できる。よって、底縁部72の配置角度と収容口80の配置角度とが異なる場合に、収容物Hをポケット本体70にスムーズに収容でき、第1前側ポケット部21の収容性を高めることが可能となる。
【0082】
(衣服の作用-第2作用)
次に、第2作用について説明する。
【0083】
収容状態において、着用者によって収容物Hが収容口80を介してポケット本体70から取り出される。
【0084】
この場合において、上述したように、収容口80が、前身頃11の幅方向の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように設けられているので、収容物Hがポケット本体70から取り出されやすくなる。また、収容物Hが誘導縁部73に這わせながら取り出されることで、収容物Hがポケット本体70からスムーズに取り出される。
【0085】
このような第2作用により、収容物Hをポケット本体70からスムーズに取り出すことができ、第1前側ポケット部21の使用性を高めることができる。
【0086】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、ポケット本体70が、収容口80よりも下方に位置する底縁部72であり、当該底縁部72の配置角度が収容口80の配置角度と異なる底縁部72と、収容口80と底縁部72との間に設けられる略屈曲状又は略湾曲状の誘導縁部73であり、収容口80を介して当該ポケット本体70に挿入された収容物Hと当接しつつ当該収容物Hを底縁部72に向けて誘導可能な誘導縁部73と、を備えるので、収容物Hをポケット本体70に収容する際に、誘導縁部73を介して収容物Hを収容口80から底縁部72に誘導できる。よって、底縁部72の配置角度と収容口80の配置角度とが異なる場合に、収容物Hをポケット本体70にスムーズに収容でき、第1前側ポケット部21の収容性を高めることが可能となる。
【0087】
また、収容状態において、収容物Hと着用者の所定部位とが接触することを回避可能となるように、ポケット本体70を構成したので、収容状態において、収容物Hと着用者の所定部位とが接触することを回避でき、衣服1の着用性を維持できる。
【0088】
また、ポケット本体70を、収容状態において収容物Hが露出しないように構成したので、収容状態において収容物Hが露出することを回避でき、収容状態における収容物Hの保管性を高めることができる。
【0089】
また、収容口80の幅を、収容物Hの短手方向の長さと略同一にしたので、収容物Hの長手方向の長さと略同一にする場合に比べて、ポケット本体70の収容口80周辺部分が撓むのを防止でき、第1前側ポケット部21の意匠性を維持できる。また、収容物Hを当該収容物Hの長手方向の端部からポケット本体70に収容することで、誘導縁部73によって収容物Hが収容口80から底縁部72に誘導されやすくなるため、収容物Hをポケット本体70に一層スムーズに収容できる。
【0090】
また、第1前側ポケット部21を、前身頃11の部分のうち着用者の胸と腹との間に対応する部分に設け、収容口80を、前身頃11の幅方向の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように設けたので、収容口80を水平状に設ける場合に比べて、収容物Hをポケット本体70に収容する際に、収容物Hを誘導縁部73に接触させやすくなることから、収容物Hをポケット本体70にスムーズに収容させやすくなる。
【0091】
また、収容物Hが、携帯端末、医療機器、又は/及び電気機器のバッテリを含むので、携帯端末、医療機器、又は/及び電気機器をポケット本体70にスムーズに収容でき、第1前側ポケット部21の収容性を高めることが可能となる。
【0092】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0093】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0094】
(形状、数値、構造、時系列について)
上記実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。例えば、衣服本体10における各部は、特記する場合を除いて、上記説明とは異なる形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0095】
(衣服について)
上記実施の形態では、衣服1が、第2前側ポケット部22、第1後側ポケット部31、第2後側ポケット部32、第3後側ポケット部33、第1前側ループ部41、第2前側ループ部42、第3前側ループ部43、後側ループ部50、及び襟口部調節部60を備えていると説明したが、これに限らない。例えば、第2前側ポケット部22、第1後側ポケット部31、第2後側ポケット部32、第3後側ポケット部33、第1前側ループ部41、第2前側ループ部42、第3前側ループ部43、後側ループ部50、及び襟口部調節部60の少なくともいずれか1つを省略してもよい。
【0096】
(第1前側ポケット部について)
上記実施の形態では、第1前側ポケット部21が、前身頃11の右側部分における着用者の胸と腹との間に対応する部分に設けられていると説明したが、これに限らない。例えば、第1前側ポケット部21は、前身頃11の右側部分における着用者の胸又は腹に対応する部分に設けられてもよい。あるいは、前身頃11の左側部分における着用者の胸と腹との間に対応する部分に設けられてもよい。
【0097】
(ポケット本体について)
上記実施の形態では、収容状態において、収容物Hと着用者の所定部位(腹)とが接触することを回避可能となるように、ポケット本体70は構成されていると説明したが、これに限らない。
【0098】
例えば、収容状態において、収容物Hと着用者の胸とが接触することを回避可能となるように、ポケット本体70は構成されてもよい。一例として、収容部71は、前身頃11の衣服内面10aの右側部分における着用者の腹に対応する部分に設けられてもよい。また、収容部71が前身頃11の衣服内面10aの右側部分における着用者の胸よりも若干上方に設けられた場合には、誘導縁部73は、ポケット本体70の幅方向の内側において、誘導縁部73の下側部分が誘導縁部73の下側部分以外の部分よりも幅方向の外側に位置するように設けられてもよい。
【0099】
あるいは、収容状態において、収容物Hと着用者の腹とが接触するように、ポケット本体70は構成されてもよい。一例として、収容部71は、前身頃11の衣服内面10aの右側部分における着用者の腹に対応する部分に設けられてもよい。あるいは、誘導縁部73は、ポケット本体70の幅方向の内側において、誘導縁部73の下側部分が誘導縁部73の下側部分以外の部分よりも幅方向の内側に位置するように設けられてもよい。
【0100】
また、上記実施の形態では、ポケット本体70は、収容状態において収容物Hが露出しないように構成されていると説明したが、これに限らず、例えば、収容状態において収容物Hの一部が露出するように構成されてもよい。一例として、収容部71の上下方向の長さが、収容物Hの上下方向の長さ(収容物Hの長手方向の長さ)以下に設定されてもよい。
【0101】
また、上記実施の形態では、収容部71が、前身頃11の衣服内面10aの右側部分における着用者の胸と腹との間に対応する部分に設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、前身頃11の衣服外面10bの右側部分における着用者の胸と腹との間に対応する部分に設けられてもよい。
【0102】
(収容口について)
上記実施の形態では、収容口80の幅が、収容物Hの短手方向の長さと略同一に設定されていると説明したが、これに限らず、例えば、収容物Hの短手方向の長さよりも長く設定されてもよい。この場合には、第1前側ポケット部21に収容される収容物Hは、長尺状体以外のもの(一例として、幅及び高さが同一の長さである収容物等)であってもよい。
【0103】
また、上記実施の形態では、収容口80が、前身頃11の幅方向の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、前身頃11の幅方向の外側に向かうにつれて上方に傾斜するように設けられてもよく、あるいは、略水平に設けられてもよい。
【0104】
(付記)
付記1の衣服は、着用者が着用する衣服であり、前身頃と後身頃とを有する上衣を備える衣服であって、前記前身頃の外側に設けられるポケット部であり、収容物を収容するためのポケット部を備え、前記ポケット部は、ポケット本体と、前記収容物を前記ポケット本体に収容するための収容口と、を備え、前記ポケット本体は、前記収容口よりも下方に位置する底縁部であり、当該底縁部の配置角度が前記収容口の配置角度と異なる底縁部と、前記収容口と前記底縁部との間に設けられる略屈曲状又は略湾曲状の誘導縁部であり、前記収容口を介して当該ポケット本体に挿入された前記収容物と当接しつつ当該収容物を前記底縁部に向けて誘導可能な誘導縁部と、を備える。
【0105】
付記2の衣服は、付記1に記載の衣服において、前記ポケット本体に前記収容物が収容された収容状態において、当該収容物と前記着用者の所定部位とが接触することを回避可能となるように、前記ポケット本体を構成した。
【0106】
付記3の衣服は、付記2に記載の衣服において、前記ポケット本体を、前記収容状態において前記収容物が露出しないように構成した。
【0107】
付記4の衣服は、付記1から3のいずれか一項に記載の衣服において、前記収容物は、長尺状体であり、前記収容口の幅を、前記収容物の短手方向の長さと略同一にした。
【0108】
付記5の衣服は、付記1から4のいずれか一項に記載の衣服において、前記ポケット部を、前記前身頃の部分のうち前記着用者の胸と腹との間に対応する部分に設け、前記収容口を、前記前身頃の幅方向の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように設けた。
【0109】
付記6の衣服は、付記1から5のいずれか一項に記載の衣服において、前記収容物は、携帯端末、医療機器、又は/及び電気機器のバッテリを含む。
【0110】
(付記の効果)
付記1に記載の衣服によれば、ポケット本体が、収容口よりも下方に位置する底縁部であり、当該底縁部の配置角度が収容口の配置角度と異なる底縁部と、収容口と底縁部との間に設けられる略屈曲状又は略湾曲状の誘導縁部であり、収容口を介して当該ポケット本体に挿入された収容物と当接しつつ当該収容物を底縁部に向けて誘導可能な誘導縁部と、を備えるので、収容物をポケット本体に収容する際に、誘導縁部を介して収容物を収容口から底縁部に誘導できる。よって、底縁部の配置角度と収容口の配置角度とが異なる場合に、収容物をポケット本体にスムーズに収容でき、ポケット部の収容性を高めることが可能となる。
【0111】
付記2に記載の衣服によれば、収容状態において収容物と着用者の所定部位とが接触することを回避可能となるように、ポケット本体を構成したので、収容状態において、収容物と着用者の所定部位とが接触することを回避でき、衣服の着用性を維持できる。
【0112】
付記3に記載の衣服によれば、ポケット本体を、収容状態において収容物が露出しないように構成したので、収容状態において収容物が露出することを回避でき、収容状態における収容物の保管性を高めることができる。
【0113】
付記4に記載の衣服によれば、収容口の幅を、収容物の短手方向の長さと略同一にしたので、収容物の長手方向の長さと略同一にする場合に比べて、ポケット本体の収容口周辺部分が撓むのを防止でき、ポケット部の意匠性を維持できる。また、収容物を当該収容物の長手方向の端部からポケット本体に収容することで、誘導縁部によって収容物が収容口から底縁部に誘導されやすくなるため、収容物をポケット本体に一層スムーズに収容できる。
【0114】
付記5に記載の衣服によれば、ポケット部を、前身頃の部分のうち着用者の胸と腹との間に対応する部分に設け、収容口を、前身頃の幅方向の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように設けたので、収容口を水平状に設ける場合に比べて、収容物をポケット本体に収容する際に、収容物を誘導縁部に接触させやすくなることから、収容物をポケット本体にスムーズに収容させやすくなる。
【0115】
付記6に記載の衣服によれば、収容物が、携帯端末、医療機器、又は/及び電気機器のバッテリを含むので、携帯端末、医療機器、又は/及び電気機器をポケット本体にスムーズに収容でき、ポケット部の収容性を高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0116】
1 衣服
10 衣服本体
10a 衣服内面
10b 衣服外面
11 前身頃
12 後身頃
13 右袖部
14 左袖部
15 襟部
16 襟口部
17 裾口部
18 袖口部
21 第1前側ポケット部
22 第2前側ポケット部
31 第1後側ポケット部
32 第2後側ポケット部
33 第3後側ポケット部
41 第1前側ループ部
42 第2前側ループ部
43 第3前側ループ部
50 後側ループ部
60 襟口部調節部
61 ボタン
70 ポケット本体
71 収容部
72 底縁部
73 誘導縁部
74 側縁部
75 収容口縁部
80 収容口
H 収容物