(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069105
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】駐車場案内装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20230511BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230511BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20230511BHJP
F21Y 103/00 20160101ALN20230511BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230511BHJP
【FI】
G08G1/14 A
F21S2/00 663
F21Y101:00 100
F21Y103:00
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180723
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081433
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 章夫
(72)【発明者】
【氏名】内海 光
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF32
5H181KK01
5H181KK07
5H181KK10
(57)【要約】
【課題】簡易に駐車場に配設することが可能で、しかもユーザに対して確実かつ安全に駐車場の案内を行うことを可能にした駐車場案内装置を提供する
【解決手段】駐車場を照明する照明灯Lに、照明装置1と一体的に構成され、駐車場を利用するユーザに対して所要の案内を行う案内装置2である。案内装置2は、駐車場を撮像する撮像手段21と、ユーザに対する案内のための表示を行う表示手段22と、撮像手段21で撮像した画像情報に基づいて表示手段での表示を制御する案内制御手段23を備える。案内制御手段23は、ユーザが駐車する空き駐車スペースを案内するための案内情報を形成し、表示手段22は案内情報に基づいてユーザを空き駐車スペースに案内する表示を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場に配設されて当該駐車場を照明する照明装置と一体的に構成され、駐車場を利用するユーザに対して所要の案内を行う案内装置であって、当該案内装置は、当該駐車場を撮像する撮像手段と、前記ユーザに対する案内のための表示を行う表示手段と、前記撮像手段で撮像した画像情報に基づいて前記表示手段での表示を制御する案内制御手段を備えることを特徴とする駐車場案内装置。
【請求項2】
前記案内制御手段は、前記撮像手段で撮像した画像に基づいて、当該駐車場の空き駐車スペース情報と駐車場に存在する車両情報を含む駐車場情報を検出する情報検出部と、検出した駐車場情報に基づいて報知情報と案内情報を出力する情報制御部と、前記案内情報に基づいて前記表示手段を制御する表示制御部を備える請求項1に記載の駐車場案内装置。
【請求項3】
前記情報制御部は前記駐車場情報からユーザを検出するとともに、当該ユーザが駐車する空き駐車スペースを案内するための案内情報を形成し、前記表示手段は当該案内情報に基づいて当該ユーザを前記空き駐車スペースに案内する表示を行う請求項2に記載の駐車場案内装置。
【請求項4】
前記案内制御手段は、少なくとも報知情報をユーザの携帯無線端末に送信する通信部を備え、前記情報制御部は前記駐車場情報から空き駐車スペースを検出するとともに、当該空き駐車スペースにかかわる報知情報を形成し、前記通信部は当該報知情報を前記ユーザに送信する請求項2又は3に記載の駐車場案内装置。
【請求項5】
前記表示手段は、駐車場の路面、駐車場に配設されたパネル、駐車場の壁面の少なくとも一つに所要の光パターンを投影する構成である請求項1ないし4のいずれかに記載の駐車場案内装置。
【請求項6】
前記所要の光パターンは、ユーザを空き駐車スペースに案内するための光パターン、ユーザが駐車する空き駐車スペースを照明するための光パターン、ユーザを駐車場の出口に案内するための光パターンの少なくとも一つである請求項5に記載の駐車場の案内装置。
【請求項7】
前記所要の光パターンは、図柄や文字である請求項6に記載の駐車場の案内装置。
【請求項8】
前記照明装置は駐車場の複数箇所にそれぞれ配設され、前記撮像手段と前記表示手段は各照明装置にそれぞれ一体的に設けられ、前記案内制御手段はこれら複数の撮像手段と表示手段に共通に設けられ、各撮像手段で撮像した画像に基づいて各表示手段を制御する請求項1ないし7のいずれかに記載の駐車場の案内装置。
【請求項9】
前記案内制御手段は複数の表示手段をユーザの移動に伴って連係状態に制御する請求項8に記載の駐車場の案内装置。
【請求項10】
前記情報制御部は、前記通信部を介して前記ユーザの携帯無線端末の個別情報を取得するとともに、この個別情報に基づいて前記ユーザの現在位置情報を検出し、ユーザが駐車場に入場したことを検出したときに前記案内情報に基づいて前記表示手段での表示を制御する請求項4ないし9のいずれかに記載駐車場の案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駐車場を利用するユーザを確実かつ安全に駐車場にまで案内することを可能にした駐車場案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車場を利用しようとするユーザ(自動車や二輪車等の車両)が駐車場を利用する際に、その利便性や安全性を高めるための技術が提案されている。例えば、次の特許文献1,2,3がある。
【0003】
特許文献1には、駐車場管理サーバにおいて駐車場スペース情報をリアルタイムで取得し、駐車を希望するユーザの自動車に搭載しているナビゲーション装置を通して駐車が可能な駐車場を案内する駐車場案内ナビゲーションシステムが提案されている。駐車場スペース情報には、駐車料金や駐車スペースのサイズが含まれる。
【0004】
特許文献2には、駐車場管理サーバは、駐車場に設けられた撮像装置から取得した画像データに基づいて駐車場に駐車している自動車を認識し、駐車を希望するユーザに対して、駐車区画の大きさを含む駐車情報を送信する技術が提案されている。
【0005】
特許文献3には、駐車場に設けられているセンサーにて空きの駐車スペースの情報を検出し、この情報を自動車に装備されている駐車場案内装置に対して通信回線を介して送信する技術が提案されている。さらに、駐車場の駐車状況や、ユーザの駐車場内での現在位置を示す画像を駐車場案内装置に示すことにより、駐車スペースへの移動を案内する技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-98205号公報
【特許文献2】特開2020-57227号公報
【特許文献3】特開2012-108599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、駐車場管理サーバにおいて、駐車場スペース情報をどのようにしてリアルタイムで取得するかについての具体的な提案はなされていない。また、ナビゲーション装置を装備していない自動車には適用できず、装備していていてもナビゲーション装置への接続等の設定が行われていない自動車には適用できない。
【0008】
特許文献2は、撮像装置で駐車場を撮像した画像データに基づいて駐車情報を取得してユーザに送信しているが、ユーザが駐車場における具体的な駐車状況を把握することは難しい。特に駐車場の駐車スペースの配置や、空き駐車スペースの現在の状態等を把握することが難しく、自車両が実際に駐車することが可能であるか否かを判断することが難しい。また、実際に駐車場に入場したときに、空き駐車スペースに駐車するために駐車場内で移動する方向を把握することも難しい。
【0009】
特許文献3は、特許文献1,2に比較して駐車場を把握し易くなっているが、駐車場案内装置を装備していない自動車には適用できない。
【0010】
以上のように、特許文献1~3の技術は、所要の装備を備えていない自動車への適用はできず、汎用性のない技術であると言える。また、単に駐車の可否を案内するものであり、実際に駐車することが可能であるか否かについてはユーザが判断しなければならず、判断を誤ったときには駐車できない場合がある。さらに、特許文献1,2では、駐車している自動車を検出するためのセンサーや撮像装置を、独立した装置として駐車場に配設する必要があり、そのための作業やコストが必要になる。また、特許文献3では、ユーザは駐車場に入場した際に駐車場案内装置を見ながら移動する必要があり、自車両の前方確認が不十分になり易く、安全性の点で問題がある。
【0011】
本発明の目的は、簡易に駐車場に配設することが可能な駐車場案内装置を提供する。また、特別の装置を備えていない車両に対しても、確実かつ安全に駐車場の案内を行うことを可能にした駐車場案内装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、駐車場に配設されて当該駐車場を照明する照明装置と一体的に構成され、駐車場を利用するユーザに対して所要の案内を行う案内装置であって、案内装置は、駐車場を撮像する撮像手段と、ユーザに対する案内のための表示を行う表示手段と、撮像手段で撮像した画像情報に基づいて表示手段での表示を制御する案内制御手段を備える。
【0013】
この案内装置において、案内制御手段は、撮像手段で撮像した画像に基づいて駐車場の空き駐車スペース情報と駐車場に存在する車両情報を含む駐車場情報を検出する情報検出部と、検出した駐車場情報に基づいて報知情報と案内情報を出力する情報制御部と、案内情報に基づいて表示手段を制御する表示制御部を備える。その上で、情報制御部は駐車場情報からユーザを検出するとともに、ユーザが駐車する空き駐車スペースを案内するための案内情報を形成し、表示手段は案内情報に基づいてユーザを空き駐車スペースに案内する表示を行う。
【0014】
本発明において、案内制御手段は、報知情報をユーザの携帯無線端末に送信する通信部を備えることが好ましい。情報制御部は駐車場情報から空き駐車スペースを検出するとともに、空き駐車スペースにかかわる報知情報を形成し、通信部は報知情報をユーザに送信する。
【0015】
本発明において、表示手段は、駐車場の路面、駐車場に配設されたパネル、駐車場の壁面の少なくとも一つに所要の光パターンを投影する構成である。この光パターンは、ユーザを空き駐車スペースに案内するための光パターン、ユーザが駐車する空き駐車スペースを照明するための光パターン、ユーザを駐車場の出口に案内するための光パターンの少なくとも一つである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、駐車場に配備される照明装置と案内装置を一体的に配設しているので、照明装置を配設駐車場に案内装置を独立した状態で配設する必要がなく、案内装置を簡易に配備することができる。また、ユーザの携帯無線端末を利用して駐車場情報を通知することにより、特別の装置を備えていない車両に対しても確実かつ安全に案内を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態の案内装置を備えた小規模な駐車場の概念図。
【
図2】案内装置と照明装置が一体化された照明灯の概念図。
【
図4】案内制御ユニットのブロック構成を示す案内装置のブロック図。
【
図6】(a)駐車場外案内フローにおいてユーザが駐車場を確認する形態を説明するスマホの図、(b)ユーザが予約したときの駐車場における案内表示の形態を説明する図。
【
図8】(a)駐車場入口での案内形態を示す概略図、(b)入口からの進行案内の形態を示す概略図、(c)空き駐車スペースへの案内表示の形態を示す概略図。
【
図9】大規模な駐車場における駐車場内案内を説明する概念図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は実施形態の駐車場案内装置を説明するための図であり、駐車場PRKと、ユーザの車両(自動車)CAR1を含む概念図である。なお、以降において、ユーザは、車両を運転する乗員と、当該ユーザの車両を意味している。複数台の車両を駐車することが可能な駐車場PRKに複数の照明灯Lが配設されており、そのうち一つの照明灯L(L1)に本発明にかかる駐車場案内装置(以下、案内装置)2が照明装置1と一体的に構成されている。
図1は、駐車スペースの数が少ない小規模な駐車場PRKの例を示しており、照明灯Lは駐車場PRKの複数箇所に立設した支柱により支持されている。
【0019】
図2は前記照明灯L(L1)の概念構成図である。少なくとも前面が透光部材で構成されたハウジング100内に、照明装置1と案内装置2が一体的に配設されている。照明装置1は、一般的な照明灯として構成されているので、その詳細な説明は省略するが、光源11から出射された光をリフレクタ12で反射し、透光部材を透過して光照射することが可能である。この照明装置1は、例えば白熱灯、蛍光灯、LED灯として構成されており、点灯されたときに駐車場PRKの一部ないし全体を照明することが可能とされている。ここでは、白色光で照明を行うLED灯として構成されており、屋外の駐車場の場合には夜間に点灯され、屋内の駐車場の場合には常時点灯されることもある。
【0020】
前記案内装置2は、
図2に示したように、撮像ユニット21と表示ユニット22と案内制御ユニット23を備えて構成されている。撮像ユニット21は駐車場PRKを撮像することが可能とされている。表示ユニット22は駐車場PRK内においてユーザに対して所要の光パターンを投影表示するように構成されている。案内制御ユニット23は撮像ユニット21で撮像した画像情報に基づいて表示ユニット22を制御し、当該駐車場PRKに駐車しようとしているユーザや、既に駐車しているユーザに対して案内制御を行うことが可能とされている。
【0021】
これらの各ユニットについて説明する。前記撮像ユニット21は、一般にも提供されているCCDやCMOS等の半導体撮像素子を備えるデジタルカメラで構成されており、駐車場PRKのほぼ全域を撮像することが可能とされている。この全域は、駐車スペースはもとより、駐車場PRKの入り口や駐車場内通路を含む領域である。このデジタルカメラは撮像により取得した画像情報を前記案内制御ユニット23に出力する。なお、後述するように複数の案内装置2が配設される場合には、撮像ユニット21はそれぞれ駐車場の部分を撮像するように構成されてもよい。
【0022】
前記表示ユニット22は、
図3に概念構成図を示すように、光源221と、この光源221の光の反射方向を制御するDMD(Digital Micromirror Device)222と、投影レンズ223を備えている。光源221はLED(発光ダイオード)やLD(レーザダイオード)等の発光素子で構成されており、この光源221から出射された光は光収束レンズ224によって収束されながらDMD222に投射される。ここでは、光源221は、赤緑青の三原色の光を発光する複合LEDで構成されており、これらの色光の組み合わせで任意の色光を出射することが可能とされている。DMD222は、知られているように多数のマイクロミラーがマトリクス状に配列されており、ミラー駆動部225によって各マイクロミラーの面角度、すなわち光反射方向が制御されることにより所望の光パターンを形成する。投影レンズ223はDMD222で形成された光パターンを駐車場に向けて結像状態に投影する。
【0023】
図4は案内装置2の構成図であり、特に前記案内制御ユニット23のブロック構成を説明する図である。案内制御ユニット23は、撮像ユニット21から出力される画像情報を解析し、駐車場PRKの駐車場情報を検出する情報検出部231を備えている。この駐車場情報には、駐車場PRKの空き駐車スペースの情報と、駐車場PRKに存在している車両CAR0の情報が含まれる。また、この駐車場情報には、撮像ユニット21から出力された画像情報、すなわち駐車場に存在する車両を含む駐車場全体の画像情報が含まれる。
【0024】
さらに、空き駐車スペースの情報として、空き駐車スペースの属性も含まれる。例えば、空き駐車スペースの区画数、及び空き駐車スペースに駐車可能な大型車、普通車、軽自動車、二輪車等の車種情報が含まれる。あるいは、空き駐車スペースに駐車する車両の幅寸法制限や高さ制限等を含んでもよい。また、車両の情報として、現在駐車している車両の台数や車種と、現在駐車場を走行している車両の情報が含まれる。
【0025】
また、前記案内制御ユニット23は、前記情報検出部231からの駐車場情報に基づいて案内制御を実行するための情報制御部232を備えている。情報制御部232は、情報検出部231からの駐車場情報に基づいて駐車を希望するユーザに対して駐車に関わる報知情報を作成するとともに、駐車場に入場したユーザを空き駐車スペースに案内し、あるいはユーザを駐車場の出口に案内するための案内情報を作成する。また、後述するように、ユーザとの通信に基づいてユーザの情報を取得し、あるいはユーザに対して通知する報知情報やユーザ独自の案内情報を作成することが可能である。これらの報知情報と案内情報については後述する。
【0026】
さらに、前記案内制御ユニット23は、前記表示ユニット22を制御するための表示制御部233を備えている。この表示制御部233は、情報制御部232で作成された案内情報に基づいて表示ユニット22を制御する。すなわち、光源221としてのLEDの発光色を制御するとともに、ミラー駆動部225を制御してDMD222を制御する。この制御は、形成しようとする光パターンに対応するマイクロミラーの面角度を選択的に制御する。このDMD222の制御により、光源221から出射された光の一部を所定の領域に向けて反射させ、この反射した光を投影レンズ223により投影して当該光パターンを駐車場に対して投影する
【0027】
また、前記案内制御ユニット23は通信部234を備えている。この通信部234は、
図1に示したように、通信回路網、例えばデジタル通信回路網の基地局3に無線接続されており、当該基地局3を介して外部の携帯端末、例えば携帯通信端末(以下、スマホ)との間で情報を送受することが可能とされている。この通信部234は、情報制御部232で作成された報知情報をユーザCAR1が所持するスマホ4に向けて送信し、また当該スマホ4から所要の要求を受信することが可能とされている。この報知情報には、前記駐車情報に含まれている駐車場の現在の画像情報が含まれているので、ユーザはスマホ4において駐車場を画像表示することが可能である。また、報知情報は文字画像あるいは音声として作成され、スマホ4において文字画像や音声で確認することが可能である。
【0028】
以上の構成の駐車場案内装置2におけるユーザに対する駐車場案内フローを説明する。この案内フローとして、駐車場の外部に存在しているユーザに対する(駐車場外案内フロー)と、駐車場に入場したユーザに対する(駐車場内案内フロー)が実行可能とされている。
【0029】
(駐車場外案内フロー)
図5は駐車場外案内フローのフロー図である。なお、各ステップにおいて、(駐)は案内装置の動作、(ユ)はユーザの動作を示している。駐車場PRKにおいては、夜間等の照明が必要なときには、照明装置1が点灯され、駐車場の全域を照明している。また、案内装置2は、常時、撮像ユニット21において駐車場の全体を撮像している。同時に案内制御ユニット23では、情報検出部231は撮像された画像情報から駐車場情報を検出し、情報制御部232は検出された駐車場情報に基づいて報知情報、特に少なくとも現在の空き駐車スペースの属性に関わる情報を作成している。この報知情報には、前記したように駐車場の画像情報、空き駐車スペースの区画数、及び空き駐車スペースに駐車可能な車種情報等々が含まれる(以上、ステップS11)。
【0030】
当該駐車場に駐車しようとするユーザ(
図1の車両CAR1)は、スマホ4のデジタル通信回路網を通して駐車場の案内装置2の通信部234に接続し、当該案内装置2にアクセスして案内装置2に対して情報提供を要求する(S12)。案内装置2では、要求に従って報知情報をユーザに送信する(S13)。ユーザは送信されてきた報知情報を確認する(S14)。
【0031】
例えば、
図6(a)に示すように、スマホ4において駐車場の現在の画像を視認することができる。スマホ4に表示された画像については、拡大やスクロールすることができ、これによりにユーザは自身の眼で駐車場PRKの状況、特に空き駐車スペースの状態や、駐車場PRKに駐車している他の車両CAR0についても確認することができる。また、これに加えて駐車場の全体の空き駐車スペースEPSの情報、すなわち、駐車可能な区画数や駐車可能な車種を文字画像や音声によっても確認することができる。この空き駐車スペースEPSの情報には、既に予約されている空き駐車スペースは除外される。
【0032】
したがって、ユーザはスマホ4により自車両の駐車が可能であるか否かを判断することができる。駐車が可能と判断した場合には、当該駐車場に向けて走行することになる。一方、駐車が難しい場合には他の駐車場を探すことになる。駐車が難しい場合は、例えば、駐車場が満車の場合、あるいは自車両が普通車であるのに空き駐車スペースが軽自動車用であるような場合である。
【0033】
さらに、この実施形態では、以上説明した(駐車場外案内フロー)は駐車場を予約する予約フローを含んでいる。すなわち、ステップS14において駐車が可能と判断して駐車を行うと決めた場合には、ユーザはスマホ4を利用して案内装置2に対して予約を申し込む(S15)。このとき、スマホで確認した空き駐車スペースEPSを選択し、これを指定して予約を行ってもよい。案内装置2は、予約を受けると、予約を受け付ける。このとき、後述する(駐車場内案内フロー)を好適に行うために、情報制御部232はユーザの個別情報、例えば、スマホ4のID情報を確認することが好ましい(S16)。
【0034】
案内装置2において予約を受け付けると、情報制御部232は、予約を受けた空き駐車スペースEPSに対する案内情報を作成し、表示制御部233に出力する。これを受けて表示制御部233は、表示ユニット22を制御し、予約された空き駐車スペースEPSに対して所定の予約マークを投影する(S17)。例えば、
図6(b)に示すように、空き駐車スペースEPSの路面に黄色光の予約済パターンP1を投影する。ここでは○とXを組み合わせたパターンである。表示ユニット22において光パターンを投影する手法については、DMDを利用した光パターンの投影技術として既に知られているので具体的な説明は省略する。なお、これと同時に情報制御部232は、報知情報、特に空き駐車スペースEPSの数等にかかわる情報を修正し、以降は予約された空き駐車スペースに対して他のユーザが予約することができないようにする。
【0035】
これにより、予約したユーザ(以下、予約ユーザ)CAR1が駐車場PRKに到着するよりも前に、予約なしに駐車場に入場した他のユーザは、空き駐車スペースEPSに投影表示されている予約済パターンP1を視認することにより、当該空き駐車スペースEPSに駐車することが防止される。したがって、予約ユーザCAR1が駐車場PRKに到着したときに、他車両が先に駐車していて既に満車状態になるようなことはなく、目的とする空き駐車スペースEPSに確実に駐車することが可能になる。また、予約ユーザCAR1はスマホ4で空き駐車スペースEPSの状態を確認しているので、駐車場PRKに到着したときに空き駐車スペースEPSに自車両が駐車できないようなこともない。さらに、予約ユーザCAR1はスマホ4を利用して駐車場PRKでの駐車の可否を確認できるので、特許文献1~3のような機器を備えていない自動車に乗車している場合でも駐車が可能になる。
【0036】
(駐車場内案内フロー)
図7は(駐車場内案内フロー)のフロー図である。予約ユーザCAR1を含めた車両が駐車場PRKの入口に到着すると、案内装置2の案内制御ユニット23では、情報制御部232は通信部234を通して予約ユーザCAR2のスマホ4のGPS機能を利用した現在位置情報とその個別情報を検出する(S12)。そして、これらの情報から予約ユーザCAR1であるか否かを判定する(S22)。予約ユーザCAR1を確認したときには、予約ユーザCAR1に対する入場案内の案内情報を作成し、表示制御部233によって表示ユニット22を制御する。表示ユニット22は、例えば、
図8(a)に示すように、駐車場入口の路面に青色光の矢印パターンP2を投影する(S23)。この場合、駐車場入口に立設されたパネル5に入場が可能であることを示す光パターンを投影してもよい。あるいは、駐車場PRKの壁面等に投影してもよい。
【0037】
さらに、情報制御部232は、現在位置情報と個別情報により予約ユーザCAR1の駐車場内における位置を認識し、予約ユーザCAR1が入場して来ると、入場進路案内の案内情報を作成し、表示制御部233に出力し、表示ユニット22を制御する。表示ユニット22は、
図8(b)に示すように、予約ユーザCAR1の前方の路面に青色矢印パターンP3を投影する。予約ユーザCAR1がこの青色矢印パターンP3に案内されて空き駐車スペースEPSにまで移動したときには、例えば、
図8(c)のように空き駐車スペースEPSを示す青色矢印パターンP4を投影する。なお、このとき、表示ユニット22は、予約した空き駐車スペースEPSに対してスポット光P5を照射し、予約ユーザCAR1に対して空き駐車スペースEPSの位置を表示するようしてもよい(S24)。
【0038】
したがって、予約ユーザCAR1は自車の直前の路面に投影された青色矢印パターンP4に従って、予約した空き駐車スペースEPSに駐車することができる(S25)。これにより、予約ユーザCAR1は、駐車場内において迷うことなく、またいたずらに移動することもなく、他車両や人間との接触事故を未然に防止することができる。このような駐車場内での案内についても、特許文献1~3のような機器を備えていない車両に対して好適に案内することができる。
【0039】
また、この駐車場内案内フローは、予約していないユーザ(以下、一般ユーザ)にも適用できる。すなわち、一般ユーザが駐車場の入口に到着したとき(S21)、ステップS22において予約ユーザではない一般ユーザであると判定された場合には、情報制御部232は、その時点において予約されていない空き駐車スペースの有無を検出する(S26)。空き駐車スペースが無い場合には表示ユニット22により駐車場の入口に満車の光パターンを投影する(S27)。空き駐車スペースが有る場合には、ステップS23に移行する
【0040】
すなわち、表示制御部233によって表示ユニット22を制御し、
図8(a)に示したように、駐車場入口の路面に青色光の矢印パターンP2を投影する。以降は、ステップS24,S25の案内を行うことにより、一般ユーザを空き駐車スペースEPSに案内することができる。なお、この場合には、案内する空き駐車スペースEPSは特定されたものではなく、その時点で空いている駐車スペースのいずれかに案内することになる。したがって、一般ユーザにおいても、表示ユニット22によって投影された案内用の光パターン(青色矢印パターンP2,P3,P4)に案内されて駐車場内を移動すれば、空き駐車スペースにまで移動でき、迅速に駐車することができる。
【0041】
さらに、本発明においては、図示は省略するが、予約ユーザや一般ユーザに限らず、ユーザ(以下、単にユーザと称するときは予約ユーザと一般ユーザの両方を含む)が駐車している駐車スペースから出場するときにも案内することが可能である。すなわち、
図4に示した案内制御ユニット23の情報制御部232は、駐車場情報に基づいて駐車スペースから出ようとする車両を検出すると、駐車場の出口までの移動案内するための案内情報を作成し、表示制御部233により表示ユニット22を制御する。この場合には、例えば出場するユーザの前方の路面に黄色光の矢印パターンを投影する。これにより、ユーザは容易に駐車場から出場することができる。
【0042】
また、情報制御部232は駐車場情報に基づいてユーザが駐車場内で移動している際に、別途駐車場内を移動している他車両や人間を検出したときには、表示ユニット22によりユーザの前方の路面に注意を喚起する光パターンを投影する。この場合、案内用に投影している光パターンを点滅させ、あるいは光色を変化させ、さらには光パターンの形状を変化させるようにしてもよい。ユーザはこの光パターンの点滅や形状の変化により周囲に注意を向け、他車両や人間との接触を未然に回避することができる。
【0043】
このように、ユーザが駐車場に入場する際、駐車場内で移動する際、駐車場から出場する際のそれぞれにおいて、表示ユニット22による光パターンの投影により進路の案内を行うことができる。この案内は、撮像ユニット21で撮像した画像情報によっても行うことができるので、特許文献1~3のような機器を備えていない自動車の場合でも、あるいはユーザが携帯無線端末を所持していない場合でも行うことが可能である。
【0044】
なお、ユーザが車両を駐車した場合には、次のような付帯的な案内も可能である。例えば、案内装置2の案内制御ユニット23は、駐車場情報を記憶する記憶部を備えてもよく、ユーザが駐車する際に、ユーザがスマホ4を携帯していると、情報制御部232はユーザのスマホ4の個別情報から、ユーザの駐車する車両を認識し記憶部に記憶する。さらに、駐車した車両についても認識して記憶部に記憶する。そして、駐車後にユーザが自車両に戻ってきたときに、情報制御部232はユーザが携帯するスマホ4の個別情報から記憶されているユーザ(乗員と車両)を確認すると、所定の案内情報を出力して表示制御部233で表示ユニット22を制御し、認識したユーザの車両に向けて例えば黄色のスポット光を投射する。あるいは、ユーザの足元の路面にユーザの車両まで案内する矢印パターンを投影する。ユーザは、これらスポット光や矢印パターンによって駐車している自車両を即座に知ることができ、また自車両にまで移動することができる。
【0045】
また、実施形態の案内装置は、駐車場内での保安を図るためにも有用である。例えば、撮像ユニット21において撮像した画像情報を記憶部に記憶するようにしてもよい。このようにした場合には、ユーザはスマホ4により通信部234と通信し、記憶部に記憶された画像情報をスマホ4において確認することができる。例えば、駐車場内において生じた事故(当て逃げや車上荒らし等)が生じたときには、このようなスマホ4での確認により好適な対応が可能になる。
【0046】
さらに、情報制御部232は、記憶部に記憶したユーザと画像情報に基づいて、ユーザの車両に接触してきた人間を検出したときに、当該人間が携帯しているスマホの個別情報を検出する。検出した人間がスマホを携帯していないことを検出したとき、あるいはスマホの個別情報がユーザのものとは相違することを検出したときには、検出した人間がユーザ以外の人間であると判断し、情報制御部232から警告用の案内情報を出力する。これを受けて表示ユニット22は、例えば赤色の警告光を点滅状態で当該車両に投射する。これにより、駐車場に存在する第三者に対して警告を行い、車両の盗難やいたずらを抑制ないし防止する効果が得られる。この場合、通信部234を介して警告をユーザのスマホ4や駐車場の管理員に対して通報を行うようにしてもよい。
【0047】
実施形態では、駐車場PRKが小規模な例を示したが、駐車台数が多数で、より多くの照明装置を備える大規模の駐車場の場合には、複数の照明灯にそれぞれ照明装置1と案内装置2を一体的に構成してもよい。例えば、駐車場内を複数の領域に分割し、各分割領域にそれぞれ照明灯を配設する。また、各照明灯に一体化される案内装置は、少なくとも対応する分割領域を撮像することが可能な撮像ユニットと、当該分割領域に光パターンを投影する表示ユニットが設けられる。すなわち、1つの撮像ユニットでは駐車場の全域を撮像することが難しい場合や、1つの表示ユニットでは駐車場の全域の路面に光パターンを投影することが難しい場合に有効となる。
【0048】
図9には、大規模駐車場に配備された多数の照明灯のうち、2つの照明灯L1,L2にそれぞれ案内装置2(2A,2B)が配設された形態が示されている。この場合、案内制御ユニット23は、各案内装置2にそれぞれ含まれていてもよいが、複数の案内装置2の撮像ユニット21と表示ユニット22に共通の一つ又はそれよりも少ない数の案内制御ユニット23として構成されてもよい。例えば、一つの案内制御ユニット23で構成された場合には、当該案内制御ユニット23はいずれか一つの照明灯Lの照明装置1と一体的に設けられ、他の複数の撮像ユニット21と表示ユニット22に対して有線、あるいは近距離無線で接続される。
【0049】
図9に示した実施形態では、複数の案内装置2A,2Bの各撮像ユニット21で撮像した画像情報は、共通の一つの案内制御ユニット23において一括処理される。また、複数の案内装置2A,2Bの各表示ユニット22は、当該一つの案内制御ユニット23によって一括制御される。したがって、複数の分割領域にわたって車両CAR2が移動する際には、複数の分割領域にわたってリレー式に継続しながら光パターンを投影することが可能になる。
図9の例では、一つの分割領域では案内装置2Aにより案内の光パターンP11を投影し、車両CAR2が次の分割領域に移動した時点では案内装置2Bにより光パターンP12を投影する。
【0050】
本発明においては、表示ユニット22で照明装置1を兼用する構成としてもよい。すなわち、表示ユニット22をDMDで構成している場合に、通常時には光源221から白色光を出射し、DMD222を制御して駐車場の全域に白色光を投射して照明を行うようにすればよい。このように構成した場合において、表示ユニット22を照明装置として照明を行っていないとき、例えば昼間時には、光源から有色光を出射して案内用の光パターンを投影するようにする。また、表示ユニットを照明装置として照明を行っている場合には、当該照明光の一部を消光して案内用のパターンとして投影する。
【0051】
本発明において、表示ユニット22は、液晶表示器に表示したパターンを投影レンズにより投影する表示ユニットとして構成されてもよい。あるいは、光源として多数のLEDをマトリクス配置し、当該LEDを選択的に発光させて所要のパターンを形成し、このパターンを投影レンズにより投影する構成としてもよい。
【0052】
また、表示ユニット22は、駐車場内に設けられた掲示パネルや、駐車場の建物の壁等に光パターンを投影するようにしてもよい。また、光パターンとして、文字等のメッセージを投影させるようにしてもよい。通信部234における案内装置とユーザとの間の通信については、スマホを利用した形態を例示したが、ユーザが携帯するタブレットや腕時計型端末のような通信用の携帯端末を利用してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 照明装置
2 案内装置
3 基地局
4 携帯無線端末(スマホ)
21 撮像ユニット(撮像手段)
22 表示ユニット(表示手段)
23 案内制御ユニット(案内制御手段)
231 情報検出部
232 情報制御部
233 表示制御部
234 通信部
L 照明灯
PRK 駐車場
CAR 車両