(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069110
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】バルブ用のハンドル固定具
(51)【国際特許分類】
F16K 35/10 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
F16K35/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180731
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095359
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 篤
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕樹
【テーマコード(参考)】
3H064
【Fターム(参考)】
3H064AA02
3H064AA05
3H064BA06
3H064CA01
3H064CA08
3H064DA02
(57)【要約】
【課題】製造が容易で製造コストを削減可能であるとともに、誤動作防止効果の高いバルブ用のハンドル固定具を提供する。
【解決手段】ハンドル2の回動操作によりステム3を回転させ、ステム3の回転に伴い、バルブ本体の内部でステム3と一体的に弁体を回転させて流路を開閉可能であって、ハンドル2は流路の全開位置で全開位置係合部2aをバルブ本体に設けられたストッパ4と係合させ、流路の全閉位置で全閉位置係合部2bをストッパ4と係合させるバルブに用いられる。ハンドル2の回動を拘束するようストッパ4と全閉位置係合部2bまたは全開位置係合部2aとの間に嵌合可能な全開固定部(全閉固定部)11と、全開固定部(全閉固定部)11をストッパ4と全閉位置係合部2bまたは全開位置係合部2aとの間に嵌合させたときハンドル2の上面2cと重なり合う全開保持部(全閉保持部)12とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルの回動操作によりステムを回転させ、前記ステムの回転に伴い、バルブ本体の内部で前記ステムと一体的に弁体を回転させて流路を開閉可能であって、前記ハンドルは前記流路の全開位置で全開位置係合部を前記バルブ本体に設けられたストッパと係合させ、前記流路の全閉位置で全閉位置係合部を前記ストッパと係合させるバルブ用のハンドル固定具であって、前記全開位置で前記ハンドルの回動を拘束するよう前記ハンドルおよび前記ストッパと係合可能な全開固定部と、前記全閉位置で前記ハンドルの回動を拘束するよう前記ハンドルおよび前記ストッパと係合可能な全閉固定部と、前記全開固定部を前記全開位置の前記ハンドルおよび前記ストッパと係合させたとき前記ハンドルの上面と重なり合う全開保持部と、前記全閉固定部を前記全閉位置の前記ハンドルおよび前記ストッパと係合させたとき前記ハンドルの上面と重なり合う全閉保持部とを有することを、
特徴とするバルブ用のハンドル固定具。
【請求項2】
前記全開固定部は前記全開位置で前記全閉位置係合部と前記ストッパとの間に嵌合可能であり、前記全閉固定部は前記全閉位置で前記全開位置係合部と前記ストッパとの間に嵌合可能であることを、
特徴とする請求項1記載のバルブ用のハンドル固定具。
【請求項3】
円筒を切削した形状から成って一端に突出部と前記突出部より後退した段差部とを有し、前記全開固定部および前記全閉固定部は前記突出部から成り、前記全開保持部および前記全閉保持部は前記段差部から成り、前記全開位置または前記全閉位置で前記全開保持部または前記全閉保持部を前記ハンドルの上面と重なり合わせたとき、前記一端から内部に前記ステムが挿入されるよう構成されていることを、特徴とする請求項2記載のバルブ用のハンドル固定具。
【請求項4】
前記ハンドルは板材から成って厚さ方向に貫通孔を有し、前記全開位置または前記全閉位置で前記全開保持部または前記全閉保持部を前記ハンドルの上面と重なり合わせたとき、前記貫通孔と嵌合する突片を前記段差部に有することを、特徴とする請求項3記載のバルブ用のハンドル固定具。
【請求項5】
前記全開固定部および前記全開保持部は前記一端に設けられ、前記全閉固定部および前記全閉保持部は他端に設けられ、他端に他端突出部と前記他端突出部より後退した他端段差部とを有し、前記全閉固定部は前記他端突出部から成り、前記全閉保持部は前記他端段差部から成り、前記全閉位置で前記全閉保持部を前記ハンドルの上面と重なり合わせたとき、前記他端から内部に前記ステムが挿入されるよう構成されていることを、特徴とする請求項3または4記載のバルブ用のハンドル固定具。
【請求項6】
紐材を通すための1または2以上の挿入孔を側面に有することを、特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載のバルブ用のハンドル固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ用のハンドル固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体製造工場などの建築設備の施工現場においては、空調の冷媒配管、生産に使われる圧縮空気配管や給排水配管等があり、配管経路途中に数多くのバルブを設けている。設備が完成する前には流体が正規の配管経路で流れるかを点検するが、配管経路途中に設けられている数多くのバルブの開閉状態を設定しなければならない。しかし、施工作業中に不用意にバルブのハンドルに触れたり、ハンドルに衝突するなどして、開度が変わってしまったりすることがあった。ボールバルブに関して、不用意にハンドルに触れたりぶつかったりして誤動作するのを防止するため、ハンドルをビニルテープなどで固定する方法がある。しかし、ビニルテープなどで固定する方法では誤動作を確実に防止することができないため、バルブ用のハンドル固定保持具が考案されている。
ところで、建築設備の施工中に建物の設備側における配管の端にバルブをつけて、製造工程で使用される生産装置が運び込まれるのに先立ち、その部分を生産装置の配管取付け部とする、いわゆる「バルブ渡し」が施工の際に行われている。このバルブ渡しの箇所に固定保持具を使うことがある。具体的な使用例を次に掲げて説明する。施工中に製造工程で使用される生産装置が運び込まれ、配管接続されるまでに配管内部が汚れないよう、建物の設備側工事ではバルブを確実に閉じておくために固定具で保持することが行われる。生産装置を据え付け、建物の設備側と配管接続した後においては、通常生産装置は複数系統あり、バルブを開くときにどの系統か間違えないようするためにも、もし操作者がバルブを操作しようとしても固定具で動かず、一旦操作者が本当にこの系統のバルブを開くことでよいのかを確認する間をとって、慎重にバルブを操作するためにも固定具で保持しておくことも行われる。別系統の生産装置を使用する場合は、使用していた生産装置の系統のバルブを閉じ、別系統の生産装置のバルブを開ける場合に、バルブ開閉操作を確実にするために、もし操作者がバルブを操作しようとしても固定具で動かず、操作者が本当にこの系統のバルブを開閉してよいのかを確認する間をとるためにも固定具で保持する。また、建物の設備側では流体が配管のバルブまで満たされている場合があり、生産装置に接続されているバルブを開けると、予定していた系統の生産装置でなく、別系統の生産装置に間違って流体が流れてしまうような事故を防止することを念頭に、バルブ開閉操作を確実にするために、もし操作者がバルブを操作しようとしても固定具で動かず、操作者が本当にこの系統のバルブを開閉してよいのかを確認する間をとるためにも固定具で保持しておく。なお、バルブ渡しの位置は通常建物の設備側に設けられることが多いが、生産設備側に設けたり、両方の側に設けたりする場合がある。
ハンドル固定保持具として、弁箱にその対向する両側面でもって嵌るコ字状本体と、その本体からハンドル方向に伸びて閉弁状態の開弁方向前側のハンドル側面又は開弁状態の閉弁方向前側のハンドル側面に当接する当て板とからなるものが考案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のハンドル固定保持具では、コ字状本体と当て板とを有する形状のため、製造しにくく、製造コストがかさむという課題があった。バルブの開の状態と閉の状態で異なる取り付け方の当て板が備わるコ字状本体を、バルブの開の状態と閉の状態で別々に取り揃える必要もある。また、ハンドルに強くぶつかった場合、コ字状本体が弁箱とずれて当て板がハンドル側面から離れ、ハンドルの誤動作を起こすおそれがあるという課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、製造が容易で製造コストを削減可能であるとともに、誤動作防止効果の高いバルブ用のハンドル固定具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るバルブ用のハンドル固定具は、ハンドルの回動操作によりステムを回転させ、前記ステムの回転に伴い、バルブ本体の内部で前記ステムと一体的に弁体を回転させて流路を開閉可能であって、前記ハンドルは前記流路の全開位置で全開位置係合部を前記バルブ本体に設けられたストッパと係合させ、前記流路の全閉位置で全閉位置係合部を前記ストッパと係合させるバルブ用のハンドル固定具であって、前記全開位置で前記ハンドルの回動を拘束するよう前記ハンドルおよび前記ストッパと係合可能な全開固定部と、前記全閉位置で前記ハンドルの回動を拘束するよう前記ハンドルおよび前記ストッパと係合可能な全閉固定部と、前記全開固定部を前記全開位置の前記ハンドルおよび前記ストッパと係合させたとき前記ハンドルの上面と重なり合う全開保持部と、前記全閉固定部を前記全閉位置の前記ハンドルおよび前記ストッパと係合させたとき前記ハンドルの上面と重なり合う全閉保持部とを有することを、特徴とする。
【0007】
本発明に係るバルブ用のハンドル固定具は、バルブを流路の全開位置で固定する場合、全開固定部をハンドルおよびストッパと係合させ、全開保持部をハンドルの上面と重なり合わせる。この状態で、ハンドル固定具をハンドルに針金や紐などで縛り付ける。バルブを流路の全閉位置で固定する場合、全閉固定部をハンドルおよびストッパと係合させ、全閉保持部をハンドルの上面と重なり合わせる。この状態で、ハンドル固定具をハンドルに針金や紐などの紐材で縛り付ける。
【0008】
これにより、ハンドルが全開固定部または全閉固定部で回転動作を拘束されるので、誤動作を防止可能である。このとき、全開保持部または全閉保持部がハンドルの上面と重なり合うので、全開固定部または全閉固定部は流路の全開位置または全閉位置でずれにくく、誤動作防止効果が高い。本発明に係るバルブ用のハンドル固定具は、全開固定部、全閉固定部、全開保持部および全閉保持部を有する簡単な構造のため、製造が容易で製造コストを削減可能である。
【0009】
本発明に係るバルブ用のハンドル固定具において、前記全開固定部は前記全開位置で前記全閉位置係合部と前記ストッパとの間に嵌合可能であり、前記全閉固定部は前記全閉位置で前記全開位置係合部と前記ストッパとの間に嵌合可能であることが好ましい。
この場合、全開位置および全閉位置でハンドルを容易に固定することができる。
本発明に係るバルブ用のハンドル固定具は、円筒を切削した形状から成って一端に突出部と前記突出部より後退した段差部とを有し、前記全開固定部および前記全閉固定部は前記突出部から成り、前記全開保持部および前記全閉保持部は前記段差部から成り、前記全開位置または前記全閉位置で前記全開保持部または前記全閉保持部を前記ハンドルの上面と重なり合わせたとき、前記一端から内部に前記ステムが挿入されるよう構成されていることが好ましい。
この場合、市販されて広く流通している筒材を加工して製造することにより、製造が容易で製造コストを削減可能である。一端から内部にステムが挿入されるので、ステムを回避して取り付けられる。
【0010】
本発明に係るバルブ用のハンドル固定具において、前記ハンドルは板材から成って厚さ方向に貫通孔を有し、前記全開位置または前記全閉位置で前記全開保持部または前記全閉保持部を前記ハンドルの上面と重なり合わせたとき、前記貫通孔と嵌合する突片を前記段差部に有することが好ましい。
この場合、全開位置または全閉位置で全開保持部または全閉保持部をハンドルの上面と重なり合わせたとき、貫通孔と嵌合する突片を段差部に有するので、全開固定部または全閉固定部が流路の全開位置または全閉位置でずれにくく、特に誤動作防止効果が高い。
【0011】
本発明に係るバルブ用のハンドル固定具において、前記全開固定部および前記全開保持部は前記一端に設けられ、前記全閉固定部および前記全閉保持部は他端に設けられ、他端に他端突出部と前記他端突出部より後退した他端段差部とを有し、前記全閉固定部は前記他端突出部から成り、前記全閉保持部は前記他端段差部から成り、前記全閉位置で前記全閉保持部を前記ハンドルの上面と重なり合わせたとき、前記他端から内部に前記ステムが挿入されるよう構成されていてもよい。
この場合、一端を用いてバルブを流路の全開位置で固定することができ、他端を用いてバルブを流路の全閉位置で固定することができる。
【0012】
本発明に係るバルブ用のハンドル固定具において、紐材を通すための1または2以上の挿入孔を側面に有することが好ましい。
この場合、紐材を挿入孔に通すことにより、ハンドル固定具をハンドルに容易に縛り付けることができる。なお、紐材としては、例えば、針金、紐、テープなどが挙げられる。
【0013】
本発明に係るバルブ用のハンドル固定具において、前記ハンドルは強磁性体から成り、前記ハンドルと吸着可能な磁石から成っていてもよい。
この場合、ハンドルに吸着させて容易に固定することができる。
本発明において、バルブ用のハンドル固定具が取り付けられるバルブは、ボールバルブが好ましい。ボールバルブは、蝶ハンドルボールバルブ、ロングネックボールバルブ、SUS製ボールバルブ、その他、種類を問わない。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、製造が容易で製造コストを削減可能であるとともに、誤動作防止効果の高いバルブ用のハンドル固定具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施の形態のバルブ用のハンドル固定具を取り付けたバルブの流路の全開位置における正面図である。
【
図3】
図1に示すバルブの流路の全閉位置の平面図である。
【
図4】
図1に示すバルブ用のハンドル固定具の(A)底面図、(B)正面図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態のバルブ用のハンドル固定具を取り付けたバルブの流路の全開位置における正面図である。
【
図7】
図5に示すバルブの流路の全閉位置の平面図である。
【
図8】
図5に示すバルブ用のハンドル固定具の(A)正面図、(B)平面図、(C)底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明の第1および第2の実施の形態について説明する。
図1~
図4に示す本発明の第1の実施の形態のバルブ用のハンドル固定具10は、ボールバルブ1のハンドル2の固定のために用いられる。ハンドル2は、細長い板材から成って、取付穴にステム3を貫通させ、ステム3の上端の雄オネジ部にナット3aを締め付けることによりステム3に回転可能に取り付けられている。ハンドル2は、ステム3に対し垂直に伸びている。ボールバルブ1は、ハンドル2の回動操作によりステム3を回転させ、ステム3の回転に伴い、バルブ本体1aの内部でステム3と一体的に弁体を回転させて流路を開閉可能な構成を有している。
【0017】
バルブ本体1aは、ステム3と同一方向にハンドル2の取付け部より高く突出して伸びるストッパ4を有している。
図1~
図3に示すように、ハンドル2は、流路の全開位置でバルブ本体1aの長さ方向に沿って伸び、流路の全閉位置でバルブ本体1aの長さ方向に垂直方向に伸びる。ハンドル2は、流路の全開位置で全開位置係合部2aをバルブ本体1aに設けられたストッパ4と係合させ、流路の全閉位置で全閉位置係合部2bをストッパ4と係合させるようになっている。
【0018】
図4に示すように、ハンドル固定具10は、円筒を切削した形状から成って、一端に全開固定部(全閉固定部)11と全開保持部(全閉保持部)12とを有している。ハンドル固定具10は、一端に突出部と、突出部より後退した段差部とを有している。突出部は、円筒の軸線と平行な2つの側縁と、側縁に垂直な先端縁部11aとを有している。突出部の先端縁部11aに沿った平面と段差部に沿った平面は、互いに平行で側面10aに垂直である。全開固定部(全閉固定部)11は突出部から成り、全開保持部(全閉保持部)12は段差部から成っている。全開固定部(全閉固定部)11は、全開位置または全閉位置でハンドル2の回動を拘束するようストッパ4と全閉位置係合部2bまたはストッパ4と全開位置係合部2aとの間に嵌合可能である。全開保持部(全閉保持部)12は、全開固定部(全閉固定部)11をストッパ4と全閉位置係合部2bまたはストッパ4と全開位置係合部2aとの間に嵌合させたときハンドル2の上面2cと重なり合うようになっている。
【0019】
ハンドル固定具10は、全開固定部(全閉固定部)11をストッパ4と全閉位置係合部2bまたはストッパ4と全開位置係合部2aとの間に嵌合させ、全開保持部(全閉保持部)12をハンドル2の上面2cと重なり合わせたとき、一端から内部にステム3が挿入されるよう構成されている。ハンドル固定具10は、紐材を通すための2つの挿入孔13を側面の全開固定部(全閉固定部)11を挟む両側に有している。ハンドル2は、取付穴の付近に厚さ方向の貫通孔2dを有している。
【0020】
次に、作用について説明する。
図1および
図2に示すように、バルブ用のハンドル固定具10は、バルブ1を流路の全開位置で固定する場合、ハンドル2の全開位置係合部2aをストッパ4と係合させた状態で、ストッパ4と全閉位置係合部2bとの間に全開固定部(全閉固定部)11を嵌合させ、全開保持部(全閉保持部)12をハンドル2の上面2cと重なり合わせる。この状態で、針金(番線)を挿入孔13に通すことによりハンドル固定具10をハンドル2に縛り付ける。
図3に示すように、バルブ1を流路の全閉位置で固定する場合、ハンドル2の全閉位置係合部2bをストッパ4と係合させた状態で、ストッパ4と全開位置係合部2aとの間に全閉固定部(全開固定部)11を嵌合させ、全閉保持部(全開保持部)12をハンドル2の上面2cと重なり合わせる。この状態で、ハンドル固定具10をハンドル2に針金や紐などの紐材で縛り付ける。
【0021】
これにより、ハンドル2が全開固定部(全閉固定部)11で回転動作を拘束されるので、全開位置および全閉位置でハンドル2を容易に固定することができ、誤動作を防止可能である。このとき、全開保持部(全閉保持部)12がハンドル2の上面2cと重なり合うので、全開固定部(全閉固定部)11は流路の全開位置または全閉位置でずれにくく、ハンドル2に強い力が掛かっても誤動作防止効果が高い。バルブ用のハンドル固定具10は、ステンレス管などの市販の筒材を切断し、一部を切欠き加工して製造することができ、全開固定部(全閉固定部)11と全開保持部(全閉保持部)12とを有する簡単な構造のため、製造が容易で製造コストを削減可能である。また、ハンドル固定具10の内部にステム3が挿入されるので、ステム3の回避が容易である。
【0022】
本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、本発明の第1の実施の形態と同種の部位には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図5~
図8に示す本発明の第2の実施の形態のバルブ用のハンドル固定具20は、円筒を切削した形状から成って、一端20aに全開固定部21と全開保持部22とを有し、他端20bに全閉固定部23と全閉保持部24とを有している。ハンドル固定具20は、一端20aに突出部と突出部より後退した段差部とを有し、他端20bに他端突出部と他端突出部より後退した他端段差部とを有している。
【0023】
全開固定部21は一端20aの突出部から成り、全開保持部22は一端20aの段差部から成っている。全閉固定部23は他端20bの他端突出部から成り、全閉保持部24は他端20bの他端段差部から成っている。全開固定部21の先端縁部21aに沿った平面と全開保持部22に沿った平面とは、互いに平行で側面20cに垂直である。また、全閉固定部23の先端縁部23aに沿った平面と全閉保持部24に沿った平面とは、互いに平行で側面20cに垂直である。
図5および
図6に示すように、全開固定部21は、全開位置でハンドル2の回動を拘束するようストッパ4と全閉位置係合部2bとの間に嵌合可能である。全開保持部22は、全開固定部21をストッパ4と全閉位置係合部2bとの間に嵌合させたときハンドル2の上面2cと重なり合うようになっている。また、
図8に示すように、全開固定部21をストッパ4と全閉位置係合部2bとの間に嵌合させ、全開保持部22をハンドル2の上面2cと重なり合わせたとき、貫通孔2dと嵌合する突片25を段差部に有している。
【0024】
図7に示すように、全閉固定部23は、全閉位置でハンドル2の回動を拘束するようストッパ4とハンドル2の側縁2eとの間に嵌合可能である。全閉保持部24は、全閉固定部23をストッパ4とハンドル2の側縁2eとの間に嵌合させたときハンドル2の上面2cと重なり合うようになっている。また、
図8に示すように、全閉固定部23をストッパ4とハンドル2の側縁2eとの間に嵌合させ、全閉保持部24をハンドル2の上面2cと重なり合わせたとき、貫通孔2dと嵌合する突片26を他端20bの段差部に有している。
【0025】
ハンドル固定具20は、全開位置または全閉位置で全開保持部22または全閉保持部24をハンドル2の上面2cと重なり合わせたとき、一端20aまたは他端20bから内部にステム3が挿入されるよう構成されている。ハンドル固定具20は、紐材を通すための2つの挿入孔27を側面20cに有している。
【0026】
次に、作用について説明する。
バルブ用のハンドル固定具20は、
図5および
図6に示すように、ボールバルブ1を流路の全開位置で固定する場合、一端20aをバルブ本体1aに向け、ハンドル2の全開位置係合部2aをストッパ4と係合させた状態で、ストッパ4と全閉位置係合部2bとの間に全開固定部21を嵌合させ、全開保持部22をハンドル2の上面2cと重なり合わせる。この状態で、針金(番線)を挿入孔27に通すことによりハンドル固定具20をハンドル2に縛り付ける。
図7に示すように、バルブ1を流路の全閉位置で固定する場合、他端20bをバルブ本体1aに向け、ハンドル2の全閉位置係合部2bをストッパ4と係合させた状態で、ストッパ4と側縁2e(全開位置係合部2aと同様の機能を有する。)との間に全閉固定部23を嵌合させ、全閉保持部24をハンドル2の上面2cと重なり合わせる。この状態で、針金(番線)を挿入孔27に通すことによりハンドル固定具20をハンドル2に縛り付ける。
【0027】
これにより、流路の全開位置ではハンドル2が全開固定部21で回転動作を拘束され、流路の全閉位置ではハンドル2が全閉固定部23で回転動作を拘束されるので、誤動作を防止可能である。このとき、全開保持部22または全閉保持部24がハンドル2の上面2cと重なり合うので、全開固定部21または全閉固定部23は流路の全開位置または全閉位置でずれにくく、ハンドル2に強い力が掛かっても誤動作防止効果が高い。
【0028】
また、全開位置で全開保持部22をハンドル2の上面2cと重なり合わせたとき、貫通孔2dと嵌合する突片25、および全閉位置で全閉保持部24をハンドル2の上面2cと重なり合わせたとき、貫通孔2dと嵌合する突片26を有するので、流路の全開位置または全閉位置で全開固定部21または全閉固定部23が流路の全開位置または全閉位置でずれにくく、特に誤動作防止効果が高い。このように、一端20aを用いてバルブ1を流路の全開位置で固定することができ、他端20bを用いてバルブ1を流路の全閉位置で固定することができる。バルブ用のハンドル固定具20は、ステンレス管などの市販の筒材を切断し、一部を切欠き加工して製造することができ、簡単な構造のため、製造が容易で製造コストを削減可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 ボールバルブ、1a バルブ本体、2 ハンドル、2a 全開位置係合部、
2b 全閉位置係合部、2c 上面、2d 貫通孔、2e 側縁、3 ステム、
3a ナット、4 ストッパ、10 ハンドル固定具、
11 全開固定部(全閉固定部)、11a 先端縁部、
12 全開保持部(全閉保持部)、13 挿入孔、20 バルブ用のハンドル固定具、
20a 一端、20b 他端、20c 側面、21 全開固定部、
21a 先端縁部、22 全開保持部、23 全閉固定部、23a 先端縁部、
24 全閉保持部、25 突片、26 突片