(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069128
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】ロックピン
(51)【国際特許分類】
F16B 21/12 20060101AFI20230511BHJP
F16B 12/02 20060101ALI20230511BHJP
F16B 5/00 20060101ALI20230511BHJP
A47F 5/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
F16B21/12 Z
F16B12/02 D
F16B5/00 E
A47F5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180781
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】592018629
【氏名又は名称】三進金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】林 克美
【テーマコード(参考)】
3B118
3J001
3J024
3J037
【Fターム(参考)】
3B118AA13
3B118CA05
3J001FA02
3J001GA01
3J001GB01
3J001JD02
3J001KA19
3J001KB03
3J024AA37
3J024BA05
3J024BB04
3J024CA13
3J037AA07
3J037BA01
3J037BB07
(57)【要約】
【課題】挿抜が容易でありながら振動で頭部が飛び出しにくいロックピンを提供する。
【解決手段】ロックピン1は、係合させた2つの部材に連通する挿通孔に挿通して係合解除を阻止するロック部材であって、頭部10と、同一平面内において2箇所で同一方向に屈曲するピン状の挿通部20を有し、前記挿通部20は、頭部10側の基端から第1屈曲部21までを首部23、第1屈曲部21から第2屈曲部22までを胴部24、第2屈曲部22から先端までを足部25とし、頭部10と首部23のなす角度が90°であり、第1屈曲部21の角度をA、第2屈曲部22の角度をB、足部25と首部23に平行な直線のなす角度をCとしたとき、A≧100°,B≧100°,C≧100°,A+B+C=360°,C>Aの関係を満たし、前記挿通部の屈曲の内側における寸法で、胴部24の長さL2と足部25の長さL3がL2>L3の関係を満たすとともに、第1屈曲部21と足部25の先端が2つの部材の裏面に近接する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合せスライド移動して係合させた2つの部材に連通する挿通孔に挿通することにより、係合解除する方向の移動を阻止するロック部材であって、
頭部と、前記頭部の裏面から突出し、同一平面内において長さ方向の2箇所で同一方向に屈曲するピン状の挿通部を有し、
前記挿通部は、頭部側の基端から第1屈曲部までを首部、第1屈曲部から第2屈曲部までを胴部、第2屈曲部から先端までを足部とし、
前記頭部の裏面と挿通部の首部のなす角度が90°であり、
前記第1屈曲部の角度をA、前記第2屈曲部の角度をB、前記足部と前記首部に平行な直線のなす角度をCとしたとき、A≧100°、B≧100°、C≧100°、A+B+C=360°、C>Aの関係を満たし、
前記挿通部の屈曲の内側における寸法で、前記胴部の長さL2と足部の長さL3がL2>L3の関係を満たすとともに、第1屈曲部と足部の先端が2つの部材の裏面に近接することを特徴とするロックピン。
【請求項2】
前記挿通部の屈曲の内側における首部の長さL1と、足部の先端から前記頭部の裏面を含む平面までの距離L4との差がほぼ等しい請求項1に記載のロックピン。
【請求項3】
前記距離L4が5mm以下である請求項1または2に記載のロックピン。
【請求項4】
前記首部の屈曲の内側から足部の先端までの距離L5が20mm~50mmである請求項1~3のいずれかに記載のロックピン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は係合された部材の係合状態を保持する際に用いられるロックピンに関する。
【背景技術】
【0002】
2つの部材の係合構造として、一方の部材に係合爪を形成し、他方の部材に大径穴と小径穴が連結した穴を形成し、係合爪を大径穴に差し込んで小径穴にスライド移動させて小径穴に係止させる構造がある。また、2つの部材の係合状態を保持する手段として、両方の部材に連通する挿通穴を設けておき、これらの挿通穴にロックピンを差し込むことによって、係合が解除される方向にスライド移動しないようにする方法がある。
【0003】
前記ロックピンは、長さ方向の中間部で鋭角に屈曲するL字形のピン状の挿通部と抜け止め用の頭部を一体化したものが一般的であり、連通した挿通孔に挿通部を差し込むと自重で挿通部が下がり、頭部が部材に抜け止め状態に係止されて両部材の係合状態が保持される(
図4参照)。前記ロックピンは両部材に固定されていないので、取り付けおよび取り外しを挿抜のみで行うことができ、工具も不要である。
【0004】
前記係合状態の保持にロックピンを利用した物品として、前後左右の支柱をビームおよびつなぎ材で連結して枠体とし、この枠体内に棚板を取り付ける組立式物品棚を挙げることができる(非特許文献1参照)。非特許文献1の組立式物品棚においては、支柱とビームの連結状態(係合状態)の保持にロックピンを使用している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】商品名「軽量ボルトレスラック」、三進金属工業株式会社製、2021年10月19日検索、インターネット〈URL:https://dcs4.icata.net/iportal/CatalogViewInterfaceStartUpAction.do?method=startUp&mode=PAGE&volumeID=SMW00001&catalogId=892970000&pageGroupId=175&designID=SMWD01&catalogCategoryId=〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
組立式物品棚には、床にレールを設置してレール上をスライドさせる移動式物品棚がある。移動式物品棚では移動時に生じる振動によってロックピンが移動して頭部が飛び出すことがある。ロックピンが挿通孔から抜け落ちない限り両部材の係合状態は保持されているとはいえ、頭部が挿通孔から飛び出した状態は見苦しく、また見る者に連結が外れるのではないかという不安感を与えるので好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した技術背景に鑑み、挿抜が容易でありながら振動で頭部が飛び出しにくいロックピンを提供するものである。
【0008】
即ち、本発明のロックピンは下記[1]~[4]に記載の構成を有する。
【0009】
[1]重ね合せスライド移動して係合させた2つの部材に連通する挿通孔に挿通することにより、係合解除する方向の移動を阻止するロック部材であって、
頭部と、前記頭部の裏面から突出し、同一平面内において長さ方向の2箇所で同一方向に屈曲するピン状の挿通部を有し、
前記挿通部は、頭部側の基端から第1屈曲部までを首部、第1屈曲部から第2屈曲部までを胴部、第2屈曲部から先端までを足部とし、
前記頭部の裏面と挿通部の首部のなす角度が90°であり、
前記第1屈曲部の角度をA、前記第2屈曲部の角度をB、前記足部と前記首部に平行な直線のなす角度をCとしたとき、A≧100°、B≧100°、C≧100°、A+B+C=360°、C>Aの関係を満たし、
前記挿通部の屈曲の内側における寸法で、前記胴部の長さL2と足部の長さL3がL2>L3の関係を満たすとともに、第1屈曲部と足部の先端が2つの部材の裏面に近接することを特徴とするロックピン。
【0010】
[2]前記挿通部の屈曲の内側における首部の長さL1と、足部の先端から前記頭部の裏面を含む平面までの距離L4との差がほぼ等しい前項1に記載のロックピン。
【0011】
[3]前記距離L4が5mm以下である前項1または2に記載のロックピン。
【0012】
[4]前記首部の屈曲の内側から足部の先端までの距離L5が20mm~50mmである前項1~3のいずれかに記載のロックピン。
【発明の効果】
【0013】
上記[1]に記載のロックピンは、挿通部の2つの屈曲部が100°以上の鈍角であるから、係合された2つの部材に連通する挿通孔に対して容易に挿抜することができる。また、第1屈曲部の角度Aと前記足部と首部に平行な直線のなす角度CがC>Aの関係を満たし、胴部の長さL2と足部の長さL3がL2>L3の関係を満たしているので、挿通部側の回転モーメントが大きくかつ重心が下がり、頭部の裏面が係合された部材に当接して入り込み防止状態のロック姿勢をとる。しかもこのロック姿勢においては、第1屈曲部と足部の先端が係合された部材の裏面に近接していることから、振動等を受けても頭部が飛び出しにくくなる。
【0014】
上記[2]に記載のロックピンは、首部の長さL1と、足部の先端から頭部の裏面を含む平面までの距離L4の差がほぼ等しいので、ロック姿勢において第1屈曲部や足部の先端が係合された部材に当接するか、あるいは可及的に近接させることができ、頭部の飛び出しを阻止する効果が大きい。
【0015】
上記[3]に記載のロックピンは前記距離L4が5mm以下であり、合計厚さが5mm以下の部材の係合保持に適している。
【0016】
上記[4]に記載のロックピンは屈曲の内側において首部から足部の先端までの距離L5が20mm~50mmであるから、指先で摘まんで挿抜する際に扱い易い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のロックピンの一実施形態の斜視図である。
【
図3】
図1のロックピンのロック姿勢を示す断面図である。
【
図4】従来のロックピンのロック姿勢を示す断面図である。
【
図5】ロックピンを使用した組立式書架の正面図および平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1~
図3に本発明のロックピンの一実施形態を示す。
【0019】
ロックピン1は、円錐台を備えた円盤状の頭部10と、前記頭部10の裏面11から直角に突出する挿通部20を有し、これらが一体化している。
【0020】
前記ロックピン1は、
図3に示すように、鉛直方向に配置した第1部材101に第2部材102を重ね合わせて係合させた状態を保持するための部材である。前記第1部材101および第2部材102は係合手段(図示省略)によって係合されており、ロックピン1が無くても図示された係合姿勢をとっている。前記第1部材101および第2部材102は係合状態において連通する挿通孔103、104をそれぞれ有し、両部材101、102を係合させて連通した挿通孔103、104に、一方の部材側からロックピン1の挿通部20を挿入して頭部10で入り込み防止状態にする。
図3は第2部材102側からロックピン1を挿入した例を示している。
【0021】
なお、以下の説明において、「第1部材に第2部材を係合させた状態の第1部材および第2部材」を「係合状態の両部材」または「両部材」と略することがある。
【0022】
前記ロックピン1の挿通部20は頭部10より小径の断面円形のピンであり、頭部10側を基端とし、同一平面内において長さ方向の2箇所で同一方向に屈曲している。前記挿通部20において、2箇所の屈曲部のうちの基端側を第1屈曲部21、先端側を第2屈曲部22とし、基端から第1屈曲部21までを首部23、第1屈曲部21から第2屈曲部22までを胴部24、第2屈曲部22から先端までを足部25とする。同一平面内の屈曲とは、挿通部20の軸線が一つの平面内に存在し、正面視および背面視において挿通部20が直線状となりねじれがない状態である(
図2B、
図2C参照)。また、同一方向の屈曲とは、第1屈曲部21と第2屈曲部22が形成する180°未満の角が挿通部20の同じ側に形成され、側面視においてねじれがない状態である(
図2A参照)。
【0023】
前記ロックピン1の挿通部20の直径D3は、係合状態の両部材101、102の挿通孔103、104の直径よりも小さく、挿通部20の第1屈曲部21および第2屈曲部22が挿通孔103、104を通過できる寸法に設定されている。一方、前記頭部10の直径D1は前記挿通孔103、104の直径よりも大きく、頭部10の裏面11が第2部材102に当接することでロックピン1が入り込み防止状態となる。
【0024】
本発明のロックピン1の挿通部20は、前記首部23と胴部24のなす角度、即ち第1屈曲部21の角度をA、前記胴部24と足部25とのなす角度、即ち第2屈曲部22の角度をB、前記足部24と首部23に平行な直線のなす角度をCとしたとき、A≧100°、B≧100°、C≧100°、A+B+C=360°、C>Aの関係を満たしていることを要する。
【0025】
なお、
図2Aに示したとおり、前記首部23、胴部24、足部25、頭部10の裏面11を含む平面α、足部25の先端を通り首部23に平行な直線は五角形を形成し、頭部10の裏面11と首部23のなす角度が90°であり、かつ足部25の先端を通り首部23に平行な直線と平面αのなす角度が90°であるから、角度A、B、Cは常にA+B+C=360°の関係を満たしている。
【0026】
また、前記挿通部20の首部23、胴部24、足部25の長さ方向の寸法は挿通部20の屈曲の内側における寸法で規定し(
図2A参照)、首部23、胴部24、足部25の長さをそれぞれL1、L2、L3とする。
【0027】
本発明のロックピン1は、胴部24の長さL2は足部25の長さL3よりも長く、L2>L3の関係を満たしていることを要する。L2>L3とすることにより挿通部20の重心位置が下がるので、第1屈曲部21が挿通孔103、104を通過すれば、挿通部20側の回転モーメントが大きくかつ重心が下がり、頭部10の裏面11が第2部材102に当接してロック姿勢をとる。L2>L3を満たす限り、胴部24と足部25の長さの比に制限はないが、L2/L3は1.1~2.0が好ましい。また、このロック姿勢において、足部25は第1部材101に向かい、第1部材101に近接している。
【0028】
前記首部23は、ロック姿勢において挿通孔103、104内に位置する部分であるから、その長さL1は両部材101、102の合計の厚さに応じて設定されている。具体的には両部材101、102の合計厚さと同じかやや長い寸法、例えば汎用性を高める上では合計厚さより0mm~1.5mmの範囲で長く設定されているのが好ましい。このように、L1を両部材101、102の合計の厚さに応じた寸法に設定することにより、ロック姿勢において第1屈曲部21が第1部材101の裏面に近接する。なお、ロックピン1の挿通部20の曲げ加工に際しては前記第1屈曲部21にアールが付くため、首部23の長さL1のうちの直線部分の長さL12を両部材103、104の合計の厚みに照らして設定するものとする。
【0029】
また、前記首部23の長さL1と、足部25の先端(屈曲の内側の先端)から頭部10の裏面を含む平面αまでの距離L4がほぼ等しいことが好ましい。なお、前記第1屈曲部21にアールがついている場合は、首部23の長さL1のうちの直線部分の長さL12と前記距離L4とがほぼ等しくなるように設定する。ここで、L1(またはL12)とL4がほぼ等しいとは、これらの差が約1mm以内でL4が長い状態をいう。このような寸法設定により、ロック姿勢において第1屈曲部21および足部25の先端が第1部材101の裏面に当接または可及的に近接した状態となる。
【0030】
本発明はロックピン1の各部の実寸法を制限するものではないが、上述した距離L4は5mm以下であることが好ましく、さらに3mm~5mmであることが好ましい。前記距離L4は、上述したように首部23の長さL1(またはL12)とほぼ等しいことが好ましいことから、係合状態の両部材101、102の合計厚さに対応する。換言すると、本発明のロックピン1は合計厚さが5mm以下の部材の係合保持に特に適している。また、屈曲の内側において首部23から足部25の先端までの距離L5は20mm~50mmの範囲が好ましく、指先で摘まんで挿抜する際に扱い易い寸法である。
【0031】
上述した条件を満たす形状のロックピン1は2つの屈曲部21、22が100°以上の鈍角であるから、挿通部20を挿通孔103、104に差し込んで第1屈曲部21および第2屈曲部22を容易に通過させることができる。抜き取り時の逆方向でも同じく、第1屈曲部21および第2屈曲部22を容易に通過させることができる。従って、前記ロックピン1は挿抜が容易である。
【0032】
また、前記挿通部20は胴部24の長さL2が足部25の長さL3よりも長いので、係合状態の両部材101、102の挿通孔103、104に通すと、挿通部20側の回転モーメントが大きくかつ重心が下がり、頭部10の裏面11が第2部材102に当接して入り込み防止状態のロック姿勢となる。
【0033】
前記ロック姿勢においては、第1屈曲部21が第1部材101の裏面に近接し、かつ足部25の先端が第1部材101の裏面に向いて近接しているので、振動等を受けて頭部10が第2部材102から離れる方向に移動しようとしても、第1屈曲部21および足部25の先端が第1部材101の裏面に接触して移動を阻止するので、頭部10の飛び出しが阻止される。特に、前記首部23の長さL1と距離L4がほぼ等しい場合は、ロック姿勢において足部25の先端を第1部材10の裏面に当接または可及的に近接させることができるので、頭部10の飛び出しを阻止する効果が大きい。
【0034】
本発明のロックピン1は、両部材101、102の合計厚さが首部23の長さL1(またはL12、以下同じ)と同じまたはL1よりも小さい部材であれば使用でき、L1を大きくするほど適用部材の範囲が広がって汎用性が高くなる。しかしその反面、L1と両部材101、102の合計厚さの差が大きくなるほど、ロック姿勢において第1屈曲部21および足部25の先端が第1部材101の裏面から離れるので、頭部10の飛び出し阻止効果が小さくなる。かかる事情により、本発明のロックピン1は、適用する部材101、102を定めて、首部23の長さL1をそれらの合計厚さに可及的に近づけることによって頭部10の飛び出し阻止効果を最大にすることも、適用可能部材の範囲を拡大して汎用性の高いものとすることもできる。
【0035】
図4は従来のL字形のロックピン2であり、挿通部30が1箇所で屈曲して首部31と足部32とからなる。L字形のロックピン2では、ロック姿勢において足部32の先端を第1部材101の裏面に向けるには屈曲部33を鋭角に設定する必要がある。前記屈曲部33を鋭角に形成するには首部31を長くして屈曲部33を第1部材101の裏面から離さなければならない。このため、L字形のロックピン2では屈曲部33を第1部材101の裏面に近接させることができず、振動等を受けた際に頭部40が飛び出しやすい。
【0036】
前記L字形のロックピン2に対し、本発明のロックピン1は、第1屈曲部21が100°以上の鈍角であるから首部23の長さL1を両部材の101、102の合計厚さと同じかやや長い寸法とすることができ、ロック姿勢において第1屈曲部21を第1部材101の裏面に近接させることができる。さらに、足部25の先端も第1部材101の裏面に近接させることができる。その結果、振動等を受けても頭部10が飛び出しにくくなる。しかも、挿通部20の2つの屈曲部21、22が100°以上の鈍角であるから、挿通部20が挿通孔103、104を容易に通過して挿抜が容易である。
[ロックピンの寸法例]
図1~
図3のロックピン1の寸法例は以下のとおりである。
【0037】
頭部10は直径D1が12.5mmの円形であり、中央に直径D2が7.5mmの円錐台部12が突出している。
【0038】
挿通部20は直径D3が6mmのピン状であり、第1屈曲部21がR8mmで形成され、第2屈曲部22もR8mmで形成されている。第1屈曲部21の角度Aは110°であり、第2屈曲部22の角度Bは127°である。前記足部25と前記首部23に平行な直線のなす角度Cが123°である。屈曲の内側における首部23の長さL1が6.1mm、胴部24の長さL2が21.3mm、足部25の長さL3が17.2mmである。また、前記首23部の長さL1のうちの直線部分L12は4mmである。足部25の先端から前記頭部10の裏面11を含む平面αまでの距離L4が4mmである。
[ロックピンの使用例]
本発明のロックピンは、鉛直方向に配置され係合状態において連通する挿通孔を有する部材であれば、部材の種類を問わず使用できる。また、部材の係合手段も問わない。
【0039】
図5~
図7の組立式ラックは本発明のロックピンを使用した物品の一例である。
図6は
図5の一点鎖線で囲んだ部分の拡大図であり、
図7は
図6の側面図である。
前記組立式ラックは、左右の支柱50の上端および下端にビーム60の左右端部を係合させてこれら連結するとともに、前後の支柱50を棚受70で連結して枠体を組立て、左右の支柱50の内側に棚受70を介して複数枚の棚板80を取り付けたものである。このラックの構成部材のうち、支柱50とビーム60の係合保持にロックピン1を用いている。
【0040】
前記支柱50は金属板の曲げ加工品であり、断面四角形の中空材である。前記支柱50は左右に枠体を形成することができ、前面壁51の上端部の左右に2組の連結用孔群が穿設され、下端部の左右にも2組の連結用孔群が穿設されている。1組の連結用孔群は、1つの挿通孔52とこの挿通孔52の上下に形成された2つの係合孔53の合計3つの孔により構成されている。前記係合孔53は左右方向の寸法が大きい逆台形の上部孔53aと小さい逆台形の下部孔53bが上下に結合した下窄まりの異形孔である。
【0041】
前記ビーム60は金属板の曲げ加工品であり、断面コの字形の本体部61の左右端から平板の連結部62が延設されている。前記本体部61の左右方向の寸法は左右の支柱60間の内法に対応し、連結部62が前記支柱50の前面壁51に重ねて組み付けられる。前記連結部62の上下方向のほぼ中央に1つの挿通孔63が穿設され、この挿通孔63の上および下に裏面に突出する2つの係合凸部64が形成されている。前記係合凸部64は左右方向の寸法が下方で小さくなる逆台形である。
【0042】
左右に配置された支柱50の間にビーム60を配置し、ビーム60の左右の連結部61を支柱50の前面壁51に重ね、2つの係合凸部64を支柱50の2つの係合孔53の上部孔53aに挿入してビーム60を引き下げ、係合凸部64を下部孔53bに係合させる。これによりビーム60が左右の連結部61で左右の支柱50の前面壁51に係合され、ビーム60の挿通孔63と支柱50の挿通孔52が連通する。そして、前記ビーム60側から連通した挿通孔63、52にロックピン1を挿入してロック姿勢を取らせることにより、支柱50とビーム60の係合状態を保持することができる。
【0043】
前記ロックピン1による支柱50とビーム60の係合保持による効果、およびロック姿勢における頭部10の飛び出し阻止効果は、
図1~
図4を参照しつつ上述したとおりである。前記支柱50は
図3の第1部材101に対応し、前記ビーム60は第2部材102に対応する。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は係合された部材の係合状態を保持する際に用いられる。
【符号の説明】
【0045】
1…ロックピン
10…頭部
11…裏面
20…挿通部
21…第1屈曲部
22…第2屈曲部
23…首部
24…胴部
25…足部
50…支柱
60…ビーム
101…第1部材
102…第2部材
103、104…挿通孔
α…頭部の裏面を含む平面
L1…首部の長さ
L2…胴部の長さ
L3…足部の長さ
L4…足部の先端から頭部の裏面を含む平面までの距離
L5…首部の内側から足部の先端内側までの距離
A…第1屈曲部の角度
B…第2屈曲部の角度
C…足部と首部に平行な直線のなす角度