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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006915
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】半透明乃至透明の皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/86 20060101AFI20230111BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230111BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A61K8/86
A61K8/92
A61K8/02
A61K8/34
A61Q19/00
A61K8/39
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109783
(22)【出願日】2021-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】508001073
【氏名又は名称】株式会社シーエスラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100136560
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊晴
(72)【発明者】
【氏名】塚田 弘行
(72)【発明者】
【氏名】小林 三伸
(72)【発明者】
【氏名】中村 久美子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA122
4C083AB051
4C083AC012
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC431
4C083AC432
4C083AD022
4C083BB12
4C083BB13
4C083CC03
4C083DD01
4C083EE01
4C083EE05
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】透明乃至半透明の可溶化系に固形乃至半固形の油剤を配合した安定性の向上した皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】(A)固形乃至半固形の油剤と、(B)常温で液状の炭化水素の油剤と、(C)ポリオキシエチレン化(1~40 E.O.)及びポリオキシプロピレン化(1~30 P.O.)アルキル(C16~C24)と、(D)炭素数が18~22の高級アルコールと、(E)多価アルコールと、(F)水と、を有する半透明乃至透明の皮膚外用剤である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)固形乃至半固形の油剤と、
(B)常温で液状の炭化水素の油剤と、
(C)ポリオキシエチレン化(1~40 E.O.)及びポリオキシプロピレン化(1~30 P.O.)アルキル(C16~C24)と、
(D)炭素数が18~22の高級アルコールと、
(E)多価アルコールと、
(F)水と、を有することを特徴とする半透明乃至透明の皮膚外用剤。
【請求項2】
(G)ポリオキシエチレン水添ヒマシ油を有し、
前記(G)ポリオキシエチレン水添ヒマシ油が、PEG-5水添ヒマシ油、PEG-10水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-30水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-50水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-80水添ヒマシ油およびPEG-100水添ヒマシ油からなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項1記載の半透明乃至透明の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記(C)ポリオキシエチレン化(1~40 E.O.)及びポリオキシプロピレン化(1~30 P.O.)アルキル(C16~C24)が、PPG-6デシルテトラデセス-30、PPG-6デシルテトラデセス-12、PPG―13デシルテトラデセス-24、PPG-6デシルテトラデセス-20、PPG-4セテス-1、PPG-8セテス-1、PPG-4セテス-10、PPG-4セテス-20、PPG-5セテス-20、PPG-8セテス-20およびPPG-23ステアレス-34からなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項1または2記載の半透明乃至透明の皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半透明乃至透明の皮膚外用剤に関し、特に、透明乃至半透明の可溶化系に固形乃至半固形の油剤を配合した安定性の向上した皮膚外用剤である。
【背景技術】
【0002】
透明乃至半固形の皮膚外用剤は、補水・保湿を目的に各種保湿剤を水に溶解し、皮膚角層に潤いを与えるものである。しかしながら、肌理(キメ)の改善効果を付与するには水分の蒸散を防ぐことが必須であるのに対して、皮膚の角層に与えられた水分は時間の経過と共に蒸散し、肌理の改善効果が期待できないものであった。そのため、油中水型(O/W型)エマルションを希釈した剤型等が用いられているが、熱力学的に不安定なものであり、使用感触的にもベタツキ、さっぱりしない等の使用性面での不都合があった。
【0003】
そこで、この問題を解決するためには、閉塞性の高い油剤、具体的には固形乃至半固形油を使用することが望ましい。例えば、角層の保湿やバリア機能向上を目的として、特許文献1には、重合度3~7ポリグリセリン炭素数10~22の脂肪酸モノエステルと脂肪酸ジグリセリンと飽和二塩基酸とのジエステルとスクワラン、ミツロウ(固形ワックス)、ホホバ油を配合した水中油型マイクロエマルションが開示されている。また、特許文献2には、分岐脂肪酸フィトステリルと炭素数10~22脂肪酸トリグリセリドとスクワラン、ミツロウ(固形ワックス)、ホホバ油を配合構造組成物が開示されている。
【0004】
さらに、特許文献3には、熱力学的に不安定な油中水型(O/W型)エマルションの製造方法として、常温で液状の油剤と水素添加リン脂質(HLB:9~16)の非イオン界面活性剤と2価のグリコール類と水を含有する白濁状水中油型(O/W型)エマルションの開示がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-056586号公報
【特許文献2】特開2009-234920号公報
【特許文献3】特開2007-254405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および特許文献2記載の技術は、界面活性剤である乳化物のベタツキにより、さっぱりした感触を得ることができなかった。また、エマルションであるため、経時的な油滴の合一等は避けられず、油滴の経時安定性を十分に得られるものではなかった。
【0007】
また、特許文献3には、さっぱりとした使用感を付与するために、白濁状水中油型(O/W型)の低粘度でも安定な化粧水と乳液を1つにしたものの製造方法が開示しているが、常温で液状の油剤の配合が必須であることから特許文献1や特許文献2のような皮膚の改善効果は少なく、その改善が望まれていた。
【0008】
そこで、本発明の目的は、前記の従来技術の問題点を解決し、透明乃至半透明の可溶化系に固形乃至半固形の油剤を配合した安定性の向上した皮膚外用剤を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、固形乃至半固形の油剤と特定の界面活性剤を組合せることによって、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の半透明乃至透明の皮膚外用剤は、
(A)固形乃至半固形の油剤と、
(B)常温で液状の炭化水素の油剤と、
(C)ポリオキシエチレン化(1~40 E.O.)及びポリオキシプロピレン化(1~30 P.O.)アルキル(C16~C24)と、
(D)炭素数が18~22の高級アルコールと、
(E)多価アルコールと、
(F)水と、を有することを特徴とするものである。ここで、(1~40 E.O.)とは、オキシエチレンの付加モル数が1~40であること示し、(1~30 P.O.)とは、オキシプロピレンの付加モル数が1~30であること示し、(C16~C24)とは、アルキル基の炭素数が16~24であること示す。
【0011】
また、本発明の半透明乃至透明の皮膚外用剤は、(G)ポリオキシエチレン水添ヒマシ油を有し、前記(G)ポリオキシエチレン水添ヒマシ油が、PEG-5水添ヒマシ油、PEG-10水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-30水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-50水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-80水添ヒマシ油およびPEG-100水添ヒマシ油からなる群から選ばれる1種または2種以上であることが、好ましい。
【0012】
さらに、本発明の半透明乃至透明の皮膚外用剤は、前記(C)ポリオキシエチレン化(1~40 E.O.)及びポリオキシプロピレン化(1~30 P.O.)アルキル(C16~C24)が、PPG-6デシルテトラデセス-30、PPG-6デシルテトラデセス-12、PPG―13デシルテトラデセス-24、PPG-6デシルテトラデセス-20、PPG-4セテス-1、PPG-8セテス-1、PPG-4セテス-10、PPG-4セテス-20、PPG-5セテス-20、PPG-8セテス-20およびPPG-23ステアレス-34からなる群から選ばれる1種または2種以上であることが、好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、透明乃至半透明の可溶化系に固形乃至半固形の油剤を配合した安定性の向上した皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の半透明乃至透明の皮膚外用剤について具体的に説明する。
本発明の半透明乃至透明の皮膚外用剤は、(A)固形乃至半固形の油剤と、(B)常温で液状の炭化水素の油剤と、(C)ポリオキシエチレン化(1~40 E.O.)及びポリオキシプロピレン化(1~30 P.O.)アルキル(C16~C24)と、(D)炭素数が18~22の高級アルコールと、(E)多価アルコールと、(F)水と、を有することを特徴とするものである。外観は、透明乃至半透明を呈する可溶化系の皮膚外用剤で、皮膚の肌理(キメ)改善効果を有し、ベタツキのないさっぱりとした使用性を有するものである。また、熱力学的に安定な可溶化領域にて、常温で固形乃至半固形の閉塞効果が高い油剤を配合することで肌改善効果が向上し、かつ、べたつきがなくさっぱりした使用感が向上した皮膚外用剤である。なお、本発明における半透明乃至透明とは、目視による観察だけでなく、透明とは、明度(L表色系におけるL値)が99.0以上、より好ましくは99.4以上である状態を指し、半透明とは、1~99である状態を指す。また、明度とは、色の属性の一つであり、その色の明暗の度合いがを0.0から100.0までで表され、L値が上昇するに従って、より透明となる。測定は、分光色彩計等により測定することができるが、その他の通常の明度を測定できる方法であれば特に限定されない。例えば、分光光度計を用い、ガラスセルに精製水5mLを入れて光を透過させたときの透明度を100とし、光を完全に遮断して透過光がないときの透明度を0として測定することができる。
【0015】
本発明において、前記(A)固形乃至半固形の油剤とは、融点が常温(20~25℃程度)以上の油分を意味するものであり、通常の皮膚外用剤に使用でき、本発明の効果を得られるものであれば特に限定されない。かかる(A)固形乃至半固形の油剤としては、例えば、閉塞性の高いオゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、キャンデリラロウ炭化水素、ビーズワックス、マンゴバター、ヤシ油、パーム油、パーム核油、カカオ脂、シア脂、水素添加ヤシ油、牛脂、乳脂、馬脂、鯨ロウ、ラノリン、還元ラノリン、吸着精製ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、ラノリンアルコール、レシチン(30℃、常温ペースト)、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質、リゾレシチン等のリン脂質類、水素添加大豆リン脂質、部分水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、コレステロール、ジヒドロコレステロール、フィトステロール、コール酸等のステロール類、サポゲニン類、サポニン類、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2-オクチルドデシル)、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、ラノリン脂肪酸イソプロピル、乳酸セチル、イソステアリン酸水添ヒマシ油ペースト、トリ水添ロジン酸グリセリル、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ダイマージリノール酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシアルキル(C16-18)ヒドロキシダイマージリノレイルエーテル等のダイマー酸若しくはダイマージオールの誘導体、セタノール、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、キミルアルコール、バチルアルコール、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸 、ステアリン酸、ベヘン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(コカミドMEA)、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド(ラウラミドMIPA)、パルミチン酸モノエタノールアミド(パルタミドMEA)等を挙げることができる。
【0016】
また、本発明において、前記(B)常温で液状の炭化水素の油剤としては、通常の皮膚外用剤に使用でき、本発明の効果を得られるものであれば特に限定されない。かかる(B)常温で液状の炭化水素の油剤としては、例えば、流動パラフィン(ミネラルオイル)、重質流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ポリブテン、スクワラン、オリーブ由来スクワラン、スクワレン等を挙げることができる。なお、本発明において、「常温」とは、いわゆる一般的な室内の温度(室温)であり、例えば、20~25℃の温度範囲を示す。
【0017】
さらに、本発明において、本発明の効果を得ることができれば、前記(B)常温で液状の炭化水素の油剤以外の液状の油剤をいっしょに配合することができる。かかる(B)常温で液状の炭化水素の油剤以外の油剤としては、例えば、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、水素添加ヒマシ油、ホホバ油、水素添加ホホバ油等の植物油脂類、卵黄油、ミンク油、タートル油等の動物性油脂類、オレンジラッフィー油、液状ラノリン、酢酸液状ラノリン、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイルサルコシンイソプロピル等のアシルサルコシンアルキルエステル、イソステアリン酸フィトステリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、リシノレイン酸オクチルドデシルエルカ酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、アボカド油脂肪酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸メチルヘプチル、ミリスチン酸メチルヘプチル、パルミチン酸メチルヘプチル、イソステアリン酸メチルヘプチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジブチルオクチル、アジピン酸ジイソブチル、コハク酸ジオクチル、クエン酸トリエチル等のモノアルコールカルボン酸エステル類、リンゴ酸ジイソステアリル、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパンオリゴエステル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ダイマージリノール酸ジイソステアリル、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、オレイルアルコール、ホホバアルコール、オレイルグリセリル、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ダイマージオール等の高級アルコール類、ベンジルアルコール等のアラルキルアルコール及び誘導体、イソステアリン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソヘキサデカン酸、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(コカミドDEA)、ラウリン酸ジエタノールアミド(ラウラミドDEA)、ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド(コカミドメチルMEA)等の脂肪酸アルカノールアミド類等を挙げることができる。
【0018】
また、本発明において、前記(C)ポリオキシエチレン化(1~40 E.O.)及びポリオキシプロピレン化(1~30 P.O.)アルキル(C16~C24)としては、通常の皮膚外用剤に使用でき、本発明の効果を得られるものであれば特に限定されないが、PPG-6デシルテトラデセス-30、PPG-6デシルテトラデセス-12、PPG―13デシルテトラデセス-24、PPG-6デシルテトラデセス-20、PPG-4セテス-1、PPG-8セテス-1、PPG-4セテス-10、PPG-4セテス-20、PPG-5セテス-20、PPG-8セテス-20およびPPG-23ステアレス-34からなる群から選ばれる1種または2種以上であることが、好ましい。具体的には、日光ケミカルズ株式会社製のNIKKOL SG-DTD630(商品名)、NIKKOL PEN-4612(商品名)、NIKKOL SG-DTD620(商品名)、NIKKOL PBC―31(商品名)、NIKKOL PBC―33(商品名)、NIKKOL SG―C420(商品名)、NIKKOL PBC―44(商品名)等を挙げることができる。
【0019】
さらに、本発明において、前記(D)炭素数が18~22の高級アルコールは、前記(A)固形乃至半固形の油剤および前記(B)常温で液状の炭化水素の油剤の可溶化を向上することができる。かかる(D)炭素数が18~22の高級アルコールとしては、通常の皮膚外用剤に使用でき、本発明の効果を得られるものであれば特に限定されないが、例えば、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、アラキルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール等を挙げることができる。これらの高級アルコールは単独で使用しても組み合わせて使用してもよい。
【0020】
さらにまた、本発明において、前記(E)多価アルコールは界面活性剤の可溶可能を向上し、特に、2価の多価アルコールは皮膚角層の保湿感を向上することができる。かかる(E)多価アルコールとしては、通常の皮膚外用剤に使用でき、本発明の効果を得られるものであれば特に限定されないが、例えば、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソペンチルジオール、ジグリセリン、ソルビトール、ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール、ポリエチレングリコール等を挙げることができる。これらの(E)多価アルコールは単独で使用しても組み合わせて使用してもよい。
【0021】
また、本発明において、前記(F)水は、皮膚への補水、保水による皮膚改善効果に欠かせないものである。かかる(F)水としては、通常の皮膚外用剤に使用でき、本発明の効果を得られるものであれば特に限定されないが、精製水等を使用することができる。
【0022】
さらに、本発明の半透明乃至透明の皮膚外用剤は、(G)ポリオキシエチレン水添ヒマシ油を有し、前記(G)ポリオキシエチレン水添ヒマシ油が、PEG-5水添ヒマシ油、PEG-10水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-30水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-50水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-80水添ヒマシ油およびPEG-100水添ヒマシ油からなる群から選ばれる1種または2種以上であることが、好ましい。(G)ポリオキシエチレン水添ヒマシ油としては、通常の皮膚外用剤に使用でき、本発明の効果を得られるものであれば特に限定されないが、例えば、日光ケミカルズ株式会社製のNIKKOL HCO-5(商品名)、NIKKOL HCO-10(商品名)、NIKKOL HCO-20(商品名)、NIKKOL HCO-30(商品名)、NIKKOL HCO-40(商品名)、NIKKOL HCO-50(商品名)、NIKKOL HCO-60(商品名)、NIKKOL HCO-80(商品名)、NIKKOL HCO-100(商品名)等を挙げることができる。
【0023】
さらにまた、本発明の半透明乃至透明の皮膚外用剤は、pH調整剤を有することが好ましい。かかるpH調整剤としては、通常の皮膚外用剤に使用でき、本発明の効果を得られるものであれば特に限定されないが、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等を挙げることができる。
【0024】
また、本発明の半透明乃至透明の皮膚外用剤は、安定化剤を有することが好ましい。かかる安定化剤は、金属封鎖剤、酸化防止剤、防腐剤等により皮膚外用剤の安定性を向上するものである。前記安定化剤としては、通常の皮膚外用剤に使用でき、本発明の効果を得られるものであれば特に限定されないが、ヒドロキシエタンジホスホン酸、エデト酸及びその塩等の金属封鎖剤、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、L-システイン塩酸塩等の酸化防止剤、メチルパラベン、エチルパラベン、安息香酸、安息香酸塩、サリチル酸、サリチル酸塩、フェノキシエタノール、水溶性カチオン抗菌剤、エチルヘキシルグリセリン、ビサボロール、ポリ-ε-リシン等の防腐剤等を挙げることができる。
【0025】
さらに、本発明の半透明乃至透明の皮膚外用剤は、本発明の効果を得ることができれば、前記(C)ポリオキシエチレン化(1~40 E.O.)及びポリオキシプロピレン化(1~30 P.O.)アルキル(C16~C24)および前記(G)ポリオキシエチレン水添ヒマシ油以外の界面活性剤をいっしょに配合することができる。この界面活性剤としては、例えば、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンと脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸・リン酸塩等を挙げることができる。
【0026】
また、本発明の半透明乃至透明の皮膚外用剤は、前記(A)固形乃至半固形の油剤の含有量が1~5質量%であり、前記(B)常温で液状の炭化水素の油剤の含有量が0.5~8質量%であり、前記(C)ポリオキシエチレン化(1~40 E.O.)及びポリオキシプロピレン化(1~30 P.O.)アルキル(C16~C24)の含有量が1~8質量%であり、前記(D)炭素数が18~22の高級アルコールの含有量が0.5~2.0質量%であり、前記(E)多価アルコールの含有量が1~20質量%であり、前記(F)水で調整して100質量%に(含有)することが好ましい。かかる配合量とすることで、さっぱりとした使用感触で肌理改善効果を有する皮膚外用剤を得ることができ、特に、前記(A)固形乃至半固形の油剤による水分蒸散抑制効果を向上し、前記(B)常温で液状の炭化水素の油剤を水分蒸発抑制機能と前記(A)固形乃至半固形の油剤の溶剤として使用することができる。
【0027】
さらに、前記(A)固形乃至半固形の油剤の含有量が1~3質量%であり、前記(B)常温で液状の炭化水素の油剤の含有量が1~5質量%であり、前記(C)ポリオキシエチレン化(1~40 E.O.)及びポリオキシプロピレン化(1~30 P.O.)アルキル(C16~C24)の含有量が1~3質量%であり、前記(D)炭素数が18~22の高級アルコールの含有量が0.5~1.0質量%であり、前記(E)多価アルコールの含有量が5~12質量%であり、前記(F)水で調整して100質量%に(含有)することがより好ましい。かかる配合量とすることで、さっぱりとした使用感触で肌理改善効果を有する皮膚外用剤を得ることができ、特に、前記(A)固形乃至半固形の油剤による肌理改善効果をより向上し、前記(B)常温で液状の炭化水素の油剤をエモリエント作用と前記(A)固形乃至半固形の油剤の溶剤として使用し、前記(D)炭素数が18~22の高級アルコールを前記(C)ポリオキシエチレン化(1~40 E.O.)及びポリオキシプロピレン化(1~30 P.O.)アルキル(C16~C24)のパリセード層に溶解することでミセルを増大させることができ、さらに前記(E)多価アルコールのベタツキを少なくすることができる。
【0028】
また、本発明の半透明乃至透明の皮膚外用剤は、前記(G)ポリオキシエチレン水添ヒマシ油の含有量が1~5質量%であることが好ましく、2.5~3.5質量%であることがより好ましい。かかる配合量とすることで、本発明の半透明乃至透明の皮膚外用剤の安定性をより向上することができる。
【0029】
本発明において、皮膚外用剤とは、人間の身体等に使用できるものであり、通常の化粧品の分類に属するものであり、医薬部外品、医薬品等の用途を排除するものではない。さらに、前記皮膚外用剤とは、基礎化粧品、メイクアップ化粧品、頭髪用化粧品等の用途を含むものである。
【0030】
さらに、本発明において、本発明の効果が損なわれない範囲で、適宜他の成分等を添加することもできる。質的、量的範囲で上記以外の任意の成分を配合することができ、皮膚外用剤に通常配合される成分、例えば、保湿剤、香料、各種ビタミン剤、紫外線吸収剤、粉体や着色剤、薬効成分、無機塩類、植物抽出物など有用性成分等を配合することができる。
【0031】
抽出液成分として、例えば、カミツレエキス、パセリエキス、スイカズラエキス、コメエキス、コメヌカエキス、ホップエキス、オウバクエキス、ヨクイニンエキス、センブリエキス、メリロートエキス、バーチエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、トウガラシエキス、レモンエキス、ゲンチアナエキス、シソエキス、アロエエキス、ローズマリーエキス、セージエキス、タイムエキス、ユーカリエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、ハマメリスエキス、クワエキス、チンピエキス、ピーカンナッツエキス、グレープフルーツエキス、シークワーサーエキス、パッションフルーツエキス、ビワエキス、ブドウエキス、ローズフルーツエキス、クララエキス、ペパーミントエキス等の各種抽出成分が挙げられる。
【0032】
保湿成分として、例えば、キシリトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、エラスチン、グルコサミン、ヒアルロン酸、シクロデキストリン、コラーゲン、胆汁酸塩等が挙げられる。
【0033】
薬効成分として、例えば、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEなどのビタミン類およびそれらの誘導体、グリチルリチン酸及びの誘導体、グリチルレチン酸及びの誘導体、尿素などの各種塩、クレアチニン、CoQ10、アスタキサンチン、ポリフェノール、セラミド等の成分が挙げられる。
【0034】
また、本発明において、半透明乃至透明の皮膚外用剤の製造方法としては、通常の皮膚外用剤の製造方法で製造することができ、油相成分と水相成分を加熱して製造する方法を用いることができる。
【0035】
本発明において、半透明乃至透明の皮膚外用剤の製造方法の一例としては、前記(E)多価アルコールに前記(C)ポリオキシエチレン化(1~40 E.O.)及びポリオキシプロピレン化(1~30 P.O.)アルキル(C16~C24)を溶解し、それに前記(A)固形乃至半固形の油剤と前記(B)常温で液状の炭化水素の油剤と前記(D)炭素数が18~22の高級アルコールとを溶解した油相を添加して混合する方法がある。
【0036】
また、半透明乃至透明の皮膚外用剤の製造方法の他の一例としては、前記(F)水に前記(E)多価アルコールを溶解して水相とし、前記(C)ポリオキシエチレン化(1~40 E.O.)及びポリオキシプロピレン化(1~30 P.O.)アルキル(C16~C24)を溶解し、これに前記(A)固形乃至半固形の油剤と前記(B)常温で液状の炭化水素の油剤と前記(D)炭素数が18~22の高級アルコールを溶解して油相として、油相を水相に混合して可溶化する方法がある。
【0037】
また、半透明乃至透明の皮膚外用剤の製造方法のさらに他の一例としては、前記(F)水に前記(E)多価アルコールを溶解して水相とし、前記(C)ポリオキシエチレン化(1~40 E.O.)及びポリオキシプロピレン化(1~30 P.O.)アルキル(C16~C24)を溶解し、これに前記(A)固形乃至半固形の油剤と前記(B)常温で液状の炭化水素の油剤と前記(D)炭素数が18~22の高級アルコールを溶解して油相として、油相を水相に混合し、可溶化後に前記pH調整剤および/または前記安定化剤を混合する方法がある。
【0038】
以下、本発明について、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下、処方中の数値は質量%を示す。
【実施例0039】
(実施例1~3、比較例1~5)
下記表1および表2に記載の処方で、下記製造方法に従って、実施例1~3、比較例1~5の皮膚外用剤を作製した。得られた皮膚外用剤について、下記評価方法で評価し、結果を下記表1および表2に併記した。
【0040】
(製造方法)
精製水に多価アルコール(ペンチレングリコールおよびBG)を溶解して水相とした。非イオン界面活性剤(PPG―4セテス-20およびPEG-10水添ヒマシ油)を溶解し、下記表1および表2中の固形及び半固形油と液状油と高級アルコールを溶解して油相とした。油相を水相に混合して可溶化後にフェノキシエタノールを混合溶解した。
【0041】
(評価方法)
(外観、安定性)
得られた皮膚外用剤の安定性は、作製当日と作製後1か月、3か月経過後に目視観察し、下記評価基準で評価した。
◎:半透明~透明
〇:半透明
△:白濁
×:白濁、分離
【0042】
(使用性)
パネル(年齢27から75歳の官能試験従事者、男性1名、女性1名)により、使用性「べたつき」、「さっぱりさ」について官能試験を実施した。評価法は、評価用語の「べたつき」の肯定文に対して有る方向は(+)、無い方向は(-)とし、どちらでもない(±)を中心に+2と-2を加えた5段階で評価した。「さっぱりする」についても同様に、「さっぱりする」方向は(+)、「さっぱりしない」方向は(-)とした。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
表1および表2の結果から、実施例1~3の皮膚外用剤は、安定性および使用性ともに良好であった。一方、比較例1~5の皮膚外用剤は、安定性が悪く、感触もべたつきがあるものであった。
【0046】
(実施例4~7、比較例6)
下記表3に記載の処方で、上記製造方法に従って、実施例4~7、比較例6の皮膚外用剤を作製した。得られた皮膚外用剤について、上記評価方法で安定性について評価し、結果を下記表3に併記した。
【0047】
【表3】
【0048】
表3の結果から、実施例4~7の皮膚外用剤は、安定性は良好であった。一方、比較例6の皮膚外用剤は、安定性が悪かった。