(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069202
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】液中ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 9/04 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
F04B9/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180918
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】592146520
【氏名又は名称】株式会社磯村
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【弁理士】
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】塩沢 真一
(72)【発明者】
【氏名】土井 啓登
【テーマコード(参考)】
3H075
【Fターム(参考)】
3H075AA01
3H075BB03
3H075CC22
3H075CC34
3H075CC35
3H075CC37
3H075DA03
3H075DA04
3H075DB03
3H075DB23
(57)【要約】
【課題】 構成の簡略化及び小型化を図るとともに耐久性及びメンテナンス性の向上を図ることができる液中ポンプを提供すること。
【解決手段】 駆動モータと、上記駆動モータによって回転されるスプラインナッと、上記スプラインナットの回転によって回転されるスプラインシャフトと、上記スプラインシャフトに取り付けられたカムフォロアと、上記カムフォロアに関係し上記スプラインシャフトが回転することにより上記カムフォロアを介して上記スプラインシャフトを昇降させるカムと、上記スプラインシャフトの回転・昇降動作によって液体を吸引・吐出するポンプ部と、を具備してなる液中ポンプにおいて、上記カムフォロアと上記カムを高耐圧構造としたことを特徴とするもの。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータと、
上記駆動モータによって回転されるスプラインナッと、
上記スプラインナットの回転によって回転されるスプラインシャフトと、
上記スプラインシャフトに取り付けられスプラインシャフトの回転によって旋回するカムフォロアと、
上記カムフォロアに関係し上記スプラインシャフトが回転して上記カムフォロアが旋回することにより上記カムフォロアを介して上記スプラインシャフトを昇降させるカムと、
上記スプラインシャフトの回転・昇降動作によって液体を吸引・吐出するポンプ部と、
を具備してなる液中ポンプにおいて、
上記カムフォロアと上記カムを高耐圧構造としたことを特徴とする液中ポンプ。
【請求項2】
請求項1記載の液中ポンプにおいて、
上記カムフォロアの旋回半径を小さくすることにより上記カムの外径を小さくしていることを特徴とする液中ポンプ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の液中ポンプにおいて、
上記カムフォロアの外径を上記カムの外径の20%以上に設定していることを特徴とする液中ポンプ。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れかに記載の液中ポンプにおいて、
上記カムフォロアと上記カムの受圧部の全面積を上記カムの外径による全面積の25%以上としたことを特徴とする液中ポンプ。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れかに記載の液中ポンプにおいて、
上記カムは上側円筒カムと下側円筒カムとから構成されていて、上記カムフォロアはこれら上側円筒カムと下側円筒カムの間に移動可能に挟持されていることを特徴とする液中ポンプ。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れかに記載の液中ポンプにおいて、
上記ポンプ部は、ポンプヘッドと、このポンプヘッド内に内装されたシリンダと、上記シリンダ内に内装され上記スプラインシャフトの回転・昇降によって回転・昇降されるプランジャと、上記シリンダの開口を閉塞するシリンダプラグとを備えていて、上記シリンダプラグにおける凹部をなくすようにしたことを特徴とする液中ポンプ。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れかに記載の液中ポンプにおいて、
上記カム及び上記カムフォロアが設けられている部位は保護カバによって包囲されていることを特徴とする液中ポンプ。
【請求項8】
請求項7記載の液中ポンプにおいて、
上記駆動モータは上記カム及び上記カムフォロアが設けられている部位の上に設置されていて、上記駆動モータは上記保護カバの上にカバーキャップを介して設置されたモーターカバによって包囲されていることを特徴とする液中ポンプ。
【請求項9】
請求項8記載の液中ポンプにおいて、
上記モーターカバを外すことにより上記カバーキャップ及び上記保護カバを工具なしで外すことができるように構成されていることを特徴とする液中ポンプ。
【請求項10】
請求項6記載の液中ポンプにおいて、
上記プランジャのシャンクの外径と上記シリンダの外径を複数機種において共通化するようにしたことを特徴とする液中ポンプ。
【請求項11】
請求項6記載の液中ポンプにおいて、
上記ポンプヘッドとシリンダとプランジャとシリンダプラグは工具なしで外すことができるように構成されていることを特徴とする液中ポンプ。
【請求項12】
請求項1~請求項11の何れかに記載の液中ポンプにおいて、
吐出側に検流器が介挿されていて、
上記検流器は流体が流通する管路と、上記管路に設置された圧力センサと、から構成されていることを特徴とする液中ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、次亜塩素酸ソーダ等の薬液を任意の滅菌対象場所に注入する際に使用する液中ポンプに係り、特に、構成の簡略化及び小型化を図るとともに高耐圧と高耐久性及びポンプサイズ毎の部品の共通化におけるリカバリ性、メンテナンス性の向上を図ることができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の液中ポンプの構成を開示するものとして、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、等がある。これらの特許文献に開示されている液中ポンプは概略次のような構成をなしている。まず、駆動モータがあり、その駆動モータの回転軸には円筒カムが連結されている。この円筒カムは円筒形状のカム本体の外周面にカム溝が形成された構成になっている。上記回転軸に対して別の駆動軸が平行に配置されていて、この駆動軸にはカムフォロアが取り付けられている。そのカムフォロアが上記カム溝に係合されている。
【0003】
上記駆動軸の先端部にはポンプ部が連結されている。上記ポンプ部はタンク内の薬液中に浸漬されている。
【0004】
上記駆動モータが回転することにより上記円筒カムが回転する。上記円筒カムの回転によりカム溝とカムフォロアの作用により上記駆動軸が昇降する。この駆動軸の昇降によって上記ポンプ部が作用してタンク内の薬液を吸引・吐出する。吸引・吐出された薬液は配管或いはホースを介して圧送され、例えば、任意の滅菌対象場所に注入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6-200866号公報
【特許文献2】特開平10-47233号公報
【特許文献3】特開2020-193571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
まず、駆動モータの回転軸に対して別の駆動軸をオフセットさせた状態で別途設ける構成をなしているため、構成が複雑で大型化してしまうという問題があった。
又、カムによる押力をオフセットして伝達している為押力が分散され高耐圧、高耐久を実現できないという問題があった。水道施設における水道管では一般に耐圧が0.75Mpa程度となっており、こうした水道管に直接注入を行う場合ポンプには0.75MPa以上の吐出圧と耐久性が求められるが、上記機構ではこれを満足できないという問題があった。 又、円筒カムの外周に設けられたカム溝にカムフォロアが係合して移動する構成になっていて、それらカム溝及びカムフォロアは経年変化によって損傷する等、その健全性の維持が困難であるという問題があった。
又、円筒カム及びカムフォロアが設けられている部位はメンテナンスの対象になる部位であるが、その部分をメンテナンスするためには駆動モータを外す必要があり面倒であるという問題があった。
又、当該ポンプは広くライフラインに組み込まれているポンプであるが、その構造の複雑性から専門的な知識が無いとメンテナンスを行えないという背景があり、トラブルを未然に防ぐという意味から構造が簡単で誰にでもメンテナンスが行える構造が求められていた。
特に、ポンプ部の異物による固着トラブル、駆動部の劣化、被液よるトラブルに関しては定期的なメンテナンスを怠るとポンプ停止などの不具合に至り易く簡単にメンテナンスできないことがあった。
又、当該ポンプは全国の水道施設などライフラインに直結する施設に設置されることが多く、施設の能力に応じ種々のサイズが用意されているが、各サイズにおける部品の共通性は低く、同一市町村内であっても複数種のポンプを持つ必要があった。
又、部品の破損など万一のトラブルで現地対応となった場合、緊急的に同一市町村内の別施設ポンプからの部品取りやポンプ本体交換などは、サイズが一致していないとできないという問題があった。
そして、昨今の人口減少によりポンプの出力の変更だけでは要求能力を賄えないケース(ダウンサイズやアップサイズが必要)になった際、ポンプ本体の全交換が必要となり、多くの費用が掛かってしまうという問題もあった。
さらに、駆動モータが露出された状態で設置されているほか、カムやカムフォロアといった駆動部分を保護するカバも隙間伝いに液が入り込める構造となっており、液の飛散等によりその健全性が損なわれてしまうという問題もあった。
【0007】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、構成の簡略化及び小型化を図るとともに高耐圧と高耐久性及びポンプサイズ毎の部品の共通化におけるリカバリ性、メンテナンス性の向上を図ることができる液中ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による液中ポンプは、駆動モータと、上記駆動モータによって回転されるスプラインナットと、上記スプラインナットの回転によって回転されるスプラインシャフトと、上記スプラインシャフトに取り付けられスプラインシャフトの回転によって旋回するカムフォロアと、上記カムフォロアに関係し上記スプラインシャフトが回転して上記カムフォロアが旋回することにより上記カムフォロアを介して上記スプラインシャフトを昇降させるカムと、上記スプラインシャフトの回転・昇降動作によって液体を吸引・吐出するポンプ部と、を具備してなる液中ポンプにおいて、上記カムフォロアと上記カムを高耐圧構造としたことを特徴とするものである。
又、請求項2による液中ポンプは、請求項1記載の液中ポンプにおいて、上記カムフォロアの旋回半径を小さくすることにより上記カムの外径を小さくしていることを特徴とするものである。
又、請求項3による液中ポンプは、請求項1又は請求項2記載の液中ポンプにおいて、上記カムフォロアの外径を上記カムの外径の20%以上に設定していることを特徴とするものである。
又、請求項4による液中ポンプは、請求項1~請求項3の何れかに記載の液中ポンプにおいて、上記カムフォロアと上記カムの受圧部の全面積を上記カムの外径による全面積の25%以上としたことを特徴とするものである。
又、請求項5による液中ポンプは、請求項1~請求項4の何れかに記載の液中ポンプにおいて、上記カムは上側円筒カムと下側円筒カムとから構成されていて、上記カムフォロアはこれら上側円筒カムと下側円筒カムの間に移動可能に挟持されていることを特徴とするものである。
又、請求項6による液中ポンプは、請求項1~請求項5の何れかに記載の液中ポンプにおいて、上記ポンプ部は、ポンプヘッドと、このポンプヘッド内に内装されたシリンダと、上記シリンダ内に内装され上記スプラインシャフトの回転・昇降によって回転・昇降されるプランジャと、上記シリンダの開口を閉塞するシリンダプラグとを備えていて、上記シリンダプラグにおける凹部をなくすようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項7による液中ポンプは、請求項1~請求項6の何れかに記載の液中ポンプにおいて、上記カム及び上記カムフォロアが設けられている部位は保護カバによって包囲されていることを特徴とするものである。
又、請求項8による液中ポンプは、請求項7記載の液中ポンプにおいて、上記駆動モータは上記カム及び上記カムフォロアが設けられている部位の上に設置されていて、上記駆動モータは上記保護カバの上にカバーキャップを介して設置されたモーターカバによって包囲されていることを特徴とするものである。
又、請求項9による液中ポンプは、請求項8記載の液中ポンプにおいて、上記モーターカバを外すことにより上記カバーキャップ及び上記保護カバを工具なしで外すことができるように構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項10による液中ポンプは、請求項6記載の液中ポンプにおいて、上記プランジャのシャンクの外径と上記シリンダの外径を複数機種において共通化するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項11による液中ポンプは、請求項6記載の液中ポンプにおいて、上記ポンプヘッドとシリンダとプランジャとシリンダプラグは工具なしで外すことができるように構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項12による液中ポンプは、請求項1~請求項11の何れかに記載の液中ポンプにおいて、吐出側に検流器が介挿されていて、上記検流器は流体が流通する管路と、上記管路に設置された圧力センサと、から構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように本願発明の請求項1による液中ポンプによると、駆動モータと、上記駆動モータによって回転されるスプラインナットと、上記スプラインナットの回転によって回転されるスプラインシャフトと、上記スプラインシャフトに取り付けられスプラインシャフトの回転によって旋回するカムフォロアと、上記カムフォロアに関係し上記スプラインシャフトが回転して上記カムフォロアが旋回することにより上記カムフォロアを介して上記スプラインシャフトを昇降させるカムと、上記スプラインシャフトの回転・昇降動作によって液体を吸引・吐出するポンプ部と、を具備してなる液中ポンプにおいて、上記カムフォロアと上記カムを高耐圧構造としたので、耐久性の向上を図ることができる。
又、請求項2による液中ポンプによると、請求項1記載の液中ポンプにおいて、上記カムフォロアの旋回半径を小さくすることにより上記カムの外径を小さくしているので、小型化はもとよりカムの耐久性を高めることができる。
又、請求項3による液中ポンプによると、請求項1又は請求項2記載の液中ポンプにおいて、上記カムフォロアの外径を上記カムの外径の20%以上に設定しているので、カムフォロアの耐久性を高めることができる。
又、請求項4による液中ポンプによると、請求項1~請求項3の何れかに記載の液中ポンプにおいて、上記カムフォロアと上記カムの受圧部の全面積を上記カムの外径による全面積の25%以上としたので、受圧部の耐久性を高めることができる。
又、請求項5による液中ポンプによると、請求項1~請求項4の何れかに記載の液中ポンプにおいて、上記カムは上側円筒カムと下側円筒カムとから構成されていて、上記カムフォロアはこれら上側円筒カムと下側円筒カムの間に移動可能に挟持されているので、簡単な構成で上記効果を奏することができる。
又、請求項6による液中ポンプによると、請求項1~請求項5の何れかに記載の液中ポンプにおいて、上記ポンプ部は、ポンプヘッドと、このポンプヘッド内に内装されたシリンダと、上記シリンダ内に内装され上記スプラインシャフトの回転・昇降によって回転・昇降されるプランジャと、上記シリンダの開口を閉塞するシリンダプラグとを備えていて、上記シリンダプラグにおける凹部をなくすようにしたので、小型サイズの吐出量を正確に出すことができる。
又、請求項7による液中ポンプによると、請求項1~請求項6の何れかに記載の液中ポンプにおいて、上記カム及び上記カムフォロアが設けられている部位は保護カバによって包囲されているので、上記カム及び上記カムフォロアが設けられている部位への液の飛散等を防止してその健全性の維持を図ることができる。
又、請求項8による液中ポンプによると、請求項7記載の液中ポンプにおいて、上記駆動モータは上記カム及び上記カムフォロアが設けられている部位の上に設置されていて、上記駆動モータは上記保護カバの上にカバーキャップを介して設置されたモーターカバによって包囲されているので、駆動モータへの液の飛散等を防止してその健全性の維持を図ることができる。
又、請求項9による液中ポンプによると、請求項8記載の液中ポンプにおいて、上記モーターカバを外すことにより上記カバーキャップ及び上記保護カバを工具なしで外すことができるように構成されているので、メンテナンスの容易化を図ることができる。
又、請求項10による液中ポンプによると、請求項6記載の液中ポンプにおいて、上記プランジャのシャンクの外径と上記シリンダの外径を複数機種において共通化するようにしたので、プランジャとシリンダ以外の部品の多くを共通化することができるようになった。
又、請求項11による液中ポンプによると、請求項6記載の液中ポンプにおいて、上記ポンプヘッドとシリンダとプランジャとシリンダプラグは工具なしで外すことができるように構成されているので、メンテナンスの容易化を図ることができる。
又、請求項12による液中ポンプによると、請求項1~請求項11の何れかに記載の液中ポンプにおいて、吐出側に検流器が介挿されていて、上記検流器は流体が流通する管路と、上記管路に設置された圧力センサと、から構成されているので、検流精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態を示す図で、液中ポンプの縦断面図である。
【
図2】本発明の一実施の形態を示す図で、
図1のII-II断面図である。
【
図3】本発明の一実施の形態を示す図で、
図1のIII-III断面図である。
【
図4】本発明の一実施の形態を示す図で、
図4(a)は上側円筒カム、下側円筒カム、カムフォロアの構造を示す平面図、
図4(b)は上側円筒カム、下側円筒カム、カムフォロアの構造を示す縦断面図である。
【
図5】本発明の一実施の形態を示す図で、
図3のV部を拡大して示す図である。
【
図6】本発明の一実施の形態を示す図で、プランジャとシリンダの作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1乃至
図6を参照して本発明の一実施の形態を説明する。
図1は本実施の形態による液中ポンプの縦正断面図、
図2は
図1のII―II断面図、
図3は
図1のIII-III断面図である。
【0012】
まず、ベース1があり、このベース1の上にはベースハウジング3、ベアリングホルダ5が間隔を存した状態で設置されており、上記ベアリングホルダ5の上には間隔を存した状態でモータベース7が設置されている。
【0013】
上記ベースハウジング3とベアリングホルダ5との間であって四隅には、ロアーポール9、9、9、9が六角穴付止めねじ11、11、11、11、十字穴付トラス小ねじ13、13、13、13を介して取り付けられている。同様に、上記ベアリンクホルダ5と上記モータベース7との間であって四隅には、アッパーポール15、15、15、15が六角穴付止めねじ17、17、17、17、十字穴付皿小ねじ19、19、19、19を介して取り付けられている。
【0014】
上記モータベース7の上にはカバーキャップ21が設置されていて、このカバーキャップ21の上にはモータカバ23が設置されている。上記カバーキャップ21と上記ベース1との間には保護カバ25が設置されている。
【0015】
上記モータベース7の上には駆動モータ31が設置されている。上記駆動モータ31としては、例えば、小型、軽量、高トルク、高回転のDCブラシレスモータが使用される。上記駆動モータ31の出力軸33にはコンパニオンシャフト35が連結されている。上記コンパニオンシャフト35にはスプラインナット37が固着されていて、このスプラインナット37にはスプラインシャフト39が螺合されている。上記コンパニオンシャフト35と上記ベアリングホルダ5との間にはベアリング40が介挿されている。上記駆動モータ31が回転することによりコンパニオンシャフト35とスプラインナット37が回転し、それによって、上記スプラインシャフト39が回転・昇降する。
【0016】
上記ベアリングホルダ5の下面には上側円筒カム41が設置されているとともに、上記ベースハウジング3の上面には下側円筒カム43が設置されている。一方、上記スプラインシャフト39にはカムフォロア45が取り付けられている。上記上側円筒カム41には傾斜カム面41aが設けられていて、上記下側円筒カム43にも傾斜カム面43aが設けられている。上記カムフォロア45はこれら傾斜カム面41a、43aの間に移動可能に挟持されている。
【0017】
上記カムフォロア45は、
図4(b)に示すように、カムフォロア取付軸45aを備えていて、このカムフォロア取付軸45aにはコロ45bをベアリングを介して回転可能に備えたねじ部材45cが螺合・固定されている。上記カムフォロア取付板45aはねじ部材45dによって上記スプラインシャフト39に取り付けられている。上記カムフォロア取付軸45aの長さは上記ねじ部材45dの先端がスプラインシャフト39に当接しない範囲で最短に構成されている。上記カムフォロア取付軸45aの長さを最短とすることにより上記上側円筒カム41、下側円筒カム43の外径(D1)、(D2)を最小とすることができる。
因みに、D
1=D
2である。
【0018】
上記カムフォロア45の外径(D
3)を上記上側円筒カム41、下側円筒カム43の外径(D
1)、(D
2)の20%以上に設定している。それによって、カムフォロア45自体の耐久性を高めるようにしている。又、上側円筒カム41、下側円筒カム43のトラック面(
図4(b)中幅bの傾斜環状面)の全面積を上記上側円筒カム41、下側円筒カム43の断面積(直径D
1、D
2の円の面積)の25%以上に設定している。それによって、受圧部の耐久性を高めるようにしている。又、上記カム面41a、43aの幅(b
1)と上記カムフォロア45bの軸方向高さ(h
1)は上記トラック面の面積の拡大に伴い比較的大きな値に設定されることになる。
【0019】
上記スプラインシャフト39が回転することにより、上記カムフォロア45が上記上側円筒カム41の傾斜カム面41aと下側円筒カム43の傾斜カム面43aの間に沿って回転しながら昇降し、それによって、上記スプラインシャフト39が回転・昇降する。上記スプラインナット37とベアリングホルダ3の間にはベアリング47が介挿されている。
【0020】
上記ベースハウジング3の下端にはボディパイプ51がボディパイプナット53によって連結されている。上記ベースハウジング3と上記ボディパイプナット53の間にはOリング54が介挿されている。上記ボディパイプ51の下端にはポンプ部50が設置されている。すなわち、上記ボディパイプ51の下端にはポンプヘッド55がボディパイプナット57によって連結されている。上記ポンプヘッド55の下端にはシリンダプラグ59が螺合・固定されている。上記ポンプヘッド55の内側にはシリンダ61が内装されている。上記シリンダプラグ59の上記ポンプヘッド55に対する螺合を緩めて外すことにより内側のシリンダ61も外すことができる。
【0021】
上記スプラインシャフト39の下端にはコネクティングロッド71が複数本の六角穴付止めねじ73によって連結されている。上記コネクティングロッド71の上記ベースハウジング3の貫通部にはOリング74、76が設置されていて、薬液や雰囲気の侵入から駆動部を保護している。上記コネクティングロッド71の下端にはカップリング75を介してプランジャ77が連結されている。上記カップリング75は複数本の六角穴付止めねじ78によって上記コネクティングロッド71に固定されている。上記カップリング75にはリンクピン80によってプランジャ77に連結されている。上記プランジャ77が上記シリンダ61内に回転・昇降可能に挿入されている。上記リンクピン80が嵌合する孔の内径は上記リングピン80の外径に対して遊びがあり、同様に、上記プランジャ77が嵌合する孔の内径は上記プランジャ77の外径に対して遊びがあり、それによって軸心ずれを吸収するようにしている。上記リンクピン80の外周側にはOリング82が設置されている。
【0022】
本実施の形態の場合には、シリンダ61の外径とプランジャ77のシャンク77aの外径を同一とし、シリンダ61の内径とプランジャ77の外径を可変とすることにより、シリンダ61、プランジャ77以外の全ての部品(例えば、カップリング75等)の寸法の共通化を図るようにしている。
【0023】
上記ポンプヘッド55には吸入口81が形成されているとともに吐出口83が形成されている。上記シリンダ61にも吸入口85が形成されているとともに吐出口87が形成されている。上記吸入口81にはストレーナボディ89がなべ小ねじ91によって取り付けられていて、このストレーナボディ89にはストレーナ93が取り付けられている。上記シリンダプラグ59の上面には凹部59aが形成されていて、この凹部59aにはテフロン(登録商標)シート95が装着されている。上記テフロン(登録商標)シート95によってシリンダ61の底面の気密を保持するとともに凹部をなくすようにしていて、いわゆる「エアクッション効果」を抑制して小型サイズにおける吐出量の正確性を担保している。又、部品の寸法公差上のバラツキに起因して組立時にプランジャ77の突き出しが発生しても、それを上記テフロン(登録商標)シート95の変形によって吸収するようにしている。
【0024】
上記プランジャ77には切欠部101が設けられている。上記スプラインシャフト39が回転・昇降することにより、吸入口85を介して上記切欠部101内に薬液が吸入されそれが吐出口87を介して吐出される。
【0025】
上記ポンプヘッド55にはバルブホルダ111が取り付けられている。上記バルブホルダ111には差込部113が設けられていて、この差込部113が上記吐出口83内に挿し込まれている。上記バルブホルダ111には流路115が形成されている。上記バルブホルダ111にはバルブソケット117が取り付けられている。上記バルブホルダ111とバルブソケット117との間にはボールチャッキ119が設けられている。
【0026】
上記バルブソケット117には送液パイプ121が送液パイプナット123によって連結されている。上記送液パイプ121としては、例えば、パイプ径を細径化したものが使用される。それによって、パイプ内容積を減少させて内圧の低減、膨張・圧縮による圧損ロスを低減させ、吐出量の高精度化を図る。
尚、送液パイプ121を細径化することにより剛性が低下するため、剛性の高い支持ブラケット122を使用している。
上記ベース1にはベースソケット131が取り付けられていて、上記送液パイプ121は上記ベースソケット131に送液パイプナット133によって連結されている。上記ベース1には流路141が形成されている。上記流路141の開放端にはプラグ143が取り付けられている。上記流路141には流路145が連通されている。
【0027】
上記送液パイプ121とバルブソケット117の間にはOリング146が設置されていて、上記送液パイプ121と送液パイプナット123の間にもOリング148が設置されている。上記送液パイプ121と送液パイプナット133の間にはOリング150が設置されていて、上記送液パイプ121とベースソケット131の間にもOリング152が設置されている。
【0028】
上記ベース1にはジョイントスリーブ154を介して検流管ボディ(目視管)151が設置されている。上記ジョイントスリーブ154の外周にはOリング156、156が装着されている。上記検流管ボディ151には、
図3、
図5に示すように、送液流路153が形成されていて、この送液流路153内にはセラミック製のボール形状のフロート155が収容されている。上記送液流路153には弁157が設置されている。この弁157は、バルブシート159と、このバルブシート159に着座される弁バルブ161と、上記弁バルブ161を上記バルブシート159側に付勢するコイルスプリング163と、弁ホースソケット165とから構成されている。上記弁ホースソケット165にはホース167がホースナット169によって連結されている。
【0029】
上記送液流路153には流路171が直交する方向に連通されていて、この流路171にはエアー抜き弁173が取り付けられている。又、上記送液流路153には、
図1に示すように、別の検流流路177が直交する方向に連通されていて、この検流流路177には圧力センサ179が取り付けられている。上記圧力センサ179は複数本のボルト180によって上記検流管ボディ151に固定されている。この圧力センサ179によって上記検流流路171を介して送液流路153内の圧力を検出し、それによって、薬液の流通の有無を検出する。
尚、上記圧力センサ179としては様々な構成のものが考えられるが、本実施の形態の場合には、一例として、浜松光電株式会社製の型番が「KH18001MPa」のものを使用している。
【0030】
既に説明したように、上記検流管ボディ151の図中上方には圧力変化を増幅させるための弁157が設置されている。上記弁バルブ161が上記弁スプリング163によって押圧されて上記バルブシート159に着座されると、上記送液流路153が閉塞される。上記弁バルブ161が薬液圧力によって上記弁スプリング163の弾性力に抗して
図5中上側に移動すると上記送液流路153内を薬液が流れる。このような構成の上記弁157を上記圧力センサ179による圧力検出位置の下流側に設けることにより送液流路153内の流体に所定の抵抗が付加されるようにして圧力検出位置における圧力変化を増幅する。
【0031】
以上の構成をもとにその作用を説明する。
駆動モータ31を起動すると、出力軸33、コンパニオンシャフト35、スプラインナット37を介してスプラインシャフト39が回転する。スプラインシャフト39の回転によりカムフォロア45が回転する。カムフォロア45は上側円筒カム41の傾斜カム面41aと下側円筒カム43の傾斜カム面43aの間に沿って回転しながら昇降し、それによって、スプラインシャフト39が回転・昇降する。
【0032】
スプラインシャフト39が回転・昇降することによりコネクティングロッド71、カップリング75を介してプランジャ77が回転・昇降する。プランジャ77が回転・昇降することによりタンク内の薬液が吸入口81を介して吸引され、流路115、送液パイプ121、流路141、流路145、流路153、弁157、ホース167を介して、図示しない滅菌対象部に注入される。
【0033】
次に、
図6を参照してプランジャ77とシリンダ61の作用について説明する。
まず、プランジャ77は状態aに示す下死点の状態にある。すなわち、プランジャ77は最下点まで降下していて、且つ、切欠部101がシリンダ61の吸込口85と吐出口87の中間位置にある。
【0034】
その状態からプランジャ77の回転のみが行われ状態bに移行する。この段階ではプランジャ77は依然として最下点まで降下しているが、切欠部101がシリンダ61の吸込口85側に少し向いた状態にある。この状態になると吸込口85を介して切欠部101内に薬液が吸入し始める。
その状態からプランジャ77がさらに回転されると、状態c、状態dに示すように、プランジャ77か上昇していき、それによって、シリンダ61内に薬液が吸い込まれていく。状態dではプランジャ77は最上点まで上昇している。
【0035】
その後、プランジャ77の回転のみが行われ状態eの上死点の状態に移行する。切欠部101がシリンダ61の吸込口85と吐出口87の中間位置(先に説明した中間位置の反対側の中間位置)にある。ここまでの動作により薬液の吸込が完了する。
その状態からプランジャ77の回転のみが行われ状態fに移行する。この段階ではプランジャ77は依然として最上点まで上昇しているが、切欠部101がシリンダ61の吐出口87側に少し向いた状態にある。
【0036】
その状態からプランジャ771がさらに回転されると、状態g、状態hに示すように、プランジャ77か下降していき、それによって、シリンダ61内の薬液が吐出口87を介して吐き出されていく。状態hではプランジャ77は最下点まで降下している。
以下、同様の作用を繰り返すことにより薬液が上記吐出口87から脈動的に薬液が吐出される。
【0037】
次に、駆動モータ31の周囲のメンテナンスについて説明する。
まず、モーターカバ23はカバーキャップ21上に載っているだけであるので、工具を要することなく簡単に撤去される。
次に、上記カバーキャップ21も上記モータベース7の上に載っているだけであるので、工具を要することなく簡単に撤去される。
次に、上記保護カバ25はベース1の上に載っているだけであるので、工具を要することなく簡単に撤去される。
【0038】
上側円筒カム41及び下側円筒カム43及びカムフォロア45及びそれらの周辺のメンテナンスを行う場合には、上記手順によって、上記モーターカバ23、カバーキャップ21、上記保護カバ25を撤去して行う。
メンテナンスが終了した後は上記とは逆の手順で、上記保護カバ25、カバーキャップ21、モーターカバ23を設置する。
【0039】
上記ポンプ部50のメンテナンスを行う場合には、まず、シリンダプラグ59のポンプヘッド55に対する螺合を外す。それによって、シリンダプラグ59、シリンダ61を取り出すことができる。次に、ボディパイプナット57のポンプヘッド55に対する螺合を緩める。それによって、ポンプヘッド55の取り外しが可能になる。次に、Oリング82をずらしてリンクピン80を引き抜く。それによって、プランジャ77の取り出しが可能になる。
メンテナンスが終了した後は上記と逆の手順で組み立てる。
【0040】
上記送液パイプ74内に吐出された薬液は、送液流路101、送液流路111、送液流路135を介してホース151内に送り出され、目的とする薬液注入箇所まで送液されて注入される。
【0041】
又、上記送液流路153内の圧力が検流流路177を介して圧力センサ179によって検出される。送液流路153内の圧力の変化量が所定の値以上であれば薬液の流通有りと判別され、所定の値未満であれば薬液の流通なしと判別される。
【0042】
その際、上記弁157によって送液流路153内の流体に所定の抵抗が付加される構成になっているので、薬液の流通有りの場合と薬液の流通なしの場合の圧力の変化量を物理的に増幅させることができる。それによって、検流精度を向上させる。
【0043】
尚、上記送液流路153内を薬液が流れるとフロート155が浮上するので検流管ボディ151の外部から視認可能である。
【0044】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、駆動モータの出力軸33に対してコネクティングロッド71がスプラインシャフト39を介して同軸上に配置された構成をなしているので、構成の簡略化及び小型化を図ることができる。
又、円筒カムの外周面にカム溝を形成する構成ではなく、上記上側円筒カム41の下面及び下側円筒カム43の上面に傾斜カム面41a、43aを設けた構成をなしているので、カム部の耐久性の向上を図ることができる。
又、上記カムフォロア取付軸45aの長さは上記ねじ部材45dの先端がスプラインシャフト39に当接しない範囲で最短に構成されているので、上記上側円筒カム41、下側円筒カム43の外径(D
1)、(D
2)を最小とすることができ、それによって、小型化はもとより上記上側円筒カム41、下側円筒カム43の耐久性を高めることができる。
又、上記カムフォロア45の外径(D
3)を上記上側円筒カム41、下側円筒カム43の外径(D
1)、(D
2)の20%以上に設定しているので、カムフォロア45自体の耐久性を高めることができる。
又、上側円筒カム41、下側円筒カム43のトラック面(
図4(b)中幅bの傾斜環状面)の全面積を上記上側円筒カム41、下側円筒カム43の断面積(直径D
1、D
2の円の面積)の25%以上に設定しているので、受圧部の耐久性を高めることができる。
又、ポンプ部におけるシリンダプラグ59における凹部をなくす構成をなしているので、小型サイズの吐出量を正確に出すことができる。
又、上記上側円筒カム41及び下側円筒カム43等が設けられている部位を工具を使用することなく容易に露出させることができるので、メンテナンス性を向上させることができる。
又、ポンプ50にいても同様であり、シリンダプラグ59、ポンプヘッド55、シリンダ61、プランジャ77を工具を使用することなく分解して、メンテナンスを施すことができる。
又、駆動モータ31はモータカバ23によって保護されているので、液の飛散等によってその健全性が損なわれることもない。
又、ベースハウジング3とコネクティングロッド71の間には2個のOリング74、76が設置されていて、送液パイプ121と送液パイプナット123の間にも2個のOリング146、148が設置されていて、送液パイプ121と送液パイプナット133の間にも2個のOリング150、152が設けられているので、気密の耐久性を向上させることができる。
又、本実施の形態における検流器は圧力センサ179を使用するタイプであり、それによって、検流精度を向上させることができる。
【0045】
尚、本発明は前記一実施の形態に限定されるものではない。
各部の構成は図示ししたものに限定されず様々な構成が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、例えば、次亜塩素酸ソーダ等の薬液を任意の滅菌対象場所に注入する際に使用する液中ポンプに係り、特に、構成の簡略化及び小型化を図るとともに高耐圧と高耐久性及びポンプサイズ毎の部品の共通化におけるリカバリ性、メンテナンス性の向上を図ることができるように工夫したものに関し、例えば、次亜塩素酸ソーダの注入ポンプに好適である。
【符号の説明】
【0047】
21 カバーキャップ
23 モーターカバ
25 保護カバ
31 駆動モータ
39 スプラインシャフト
41 上側円筒カム
43 下側円筒カム
45 カムフォロア
61 シリンダ
71 コネクティングロッド
77 プランジャ