(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069208
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】電子部品の実装方法及び電子部品
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20230511BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
H05K3/34 505D
H05K3/34 507C
B23K1/00 330E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180925
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】橋口 徹
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AB05
5E319AC01
5E319BB05
5E319BB16
5E319CC33
5E319CC36
5E319CD04
5E319CD29
5E319GG01
5E319GG15
(57)【要約】
【課題】異方性導電接合部材の使用に伴う設備面でのコスト増を抑え、簡便に電子部品を基板に表面実装できるようにする。
【解決手段】電子部品(コネクタ100)は基板200のランド210,220にそれぞれ接続される第1の接続部(リード部21)と第2の接続部(端子部32)とを有し、第1の接続部が位置する領域に異方性導電接合部材40が装着されているものとされ、異方性導電接合部材40は樹脂中にはんだ粒子が分散されたものとされて、樹脂ははんだ粒子の融点よりも低い溶融温度を有し、第2の接続部と接続される基板200のランド220にクリームはんだ230を印刷し、基板200に電子部品を搭載してリフロー炉に通し、加熱することにより、リフローはんだ付けによる第2の接続部と基板200のランド220との接続と、異方性導電接合部材40を介した第1の接続部と基板200のランド210との接続を同時に行う。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に表面実装される電子部品の実装方法であって、
前記電子部品は前記基板のランドにそれぞれ接続される第1の接続部と第2の接続部とを有し、前記第1の接続部が位置する領域に異方性導電接合部材が装着されているものとされ、
前記異方性導電接合部材は樹脂中にはんだ粒子が分散されたものとされて、前記樹脂は前記はんだ粒子の融点よりも低い溶融温度を有し、
前記第2の接続部と接続される前記基板のランドにクリームはんだを印刷し、
前記基板に前記電子部品を搭載してリフロー炉に通し、加熱することにより、リフローはんだ付けによる前記第2の接続部と前記基板のランドとの接続と、前記異方性導電接合部材を介した前記第1の接続部と前記基板のランドとの接続を同時に行うことを特徴とする電子部品の実装方法。
【請求項2】
基板に表面実装される電子部品の実装方法であって、
前記電子部品は前記基板のランドにそれぞれ接続される第1の接続部と第2の接続部とを有し、前記第1の接続部が位置する領域に異方性導電接合部材が装着されているものとされ、
前記第2の接続部と接続される前記基板のランドにクリームはんだを印刷し、
前記基板に前記電子部品を搭載し、押え治具により前記電子部品を前記基板に押さえつけた状態でリフロー炉に通し、加熱することにより、リフローはんだ付けによる前記第2の接続部と前記基板のランドとの接続と、前記異方性導電接合部材の熱圧着による前記第1の接続部と前記基板のランドとの接続を同時に行うことを特徴とする電子部品の実装方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子部品の実装方法において、
前記電子部品はハウジングに複数のコンタクトが配列保持され、補強金具が前記ハウジングに取り付けられているコネクタであり、
前記複数のコンタクトのリード部が前記第1の接続部であり、前記補強金具の端子部が前記第2の接続部であることを特徴とする電子部品の実装方法。
【請求項4】
基板に表面実装される電子部品であって、
前記基板のランドにそれぞれ接続される第1の接続部と第2の接続部とを有し、
前記第1の接続部は異方性導電接合部材を介して接続され、前記第2の接続部ははんだによって接続されるものとされ、
前記第1の接続部が位置する領域に前記異方性導電接合部材が装着されていることを特徴とする電子部品。
【請求項5】
請求項4に記載の電子部品において、
前記異方性導電接合部材は樹脂中にはんだ粒子が分散されたものとされ、
前記樹脂は前記はんだ粒子の融点よりも低い溶融温度を有することを特徴とする電子部品。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の電子部品において、
前記電子部品はハウジングに複数のコンタクトが配列保持され、補強金具が前記ハウジングに取り付けられているコネクタであり、
前記複数のコンタクトのリード部が前記第1の接続部であり、前記補強金具の端子部が前記第2の接続部であることを特徴とする電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は基板に表面実装される電子部品及びその実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を表面実装する方法としては、例えばリフローはんだ付けによる方法やACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電フィルム)を用いた熱圧着による方法等があり、特許文献1には電子部品であるチップ部品をはんだ付けによって実装し、電子部品であるICチップはACFを用いた熱圧着によって実装することが記載されている。
【0003】
図6は特許文献1に記載されている電子部品の実装方法の工程図を示したものであり、リフローはんだ付け工程Paが先に行われ、次いで熱圧着工程Pbが行われるものとなっている。
【0004】
リフローはんだ付け工程Paでは基板のチップ部品実装領域の端子の上にはんだが印刷され(工程P1)、その端子の上に例えば電解コンデンサといった電子部品(チップ部品)がマウントされ(工程P2)、次に電子部品が載せられた基板をリフロー炉の中に搬送し、リフロー炉の中で熱風を供給する(工程P3)。これにより、はんだが溶融して電子部品がはんだ付けされる。
【0005】
リフローはんだ付け工程Paが終了すると、作業は熱圧着工程Pbに進み、熱圧着工程Pbではまず基板のICチップ実装領域にACFが装着され、即ち置かれる(工程P4)。ACF装着後、ICチップがマウントされ(工程P5)、次に加熱されたヘッドによってICチップを基板へ押し付ける(工程P6)。これにより、ACFの樹脂によってICチップ全体が基板の表面に接着され、さらにACFの導電粒子によってICチップのバンプが基板の対応するリードに導電接続される。
【0006】
このように、特許文献1ではリフローはんだ付け工程PaとACFの熱圧着工程Pbの両者を順次行って基板に各種電子部品を表面実装するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1においてICチップの実装にACFを用いているように、ACFを用いた接続は一度に多数の電極を接続することができ、また微細な接続を良好に行うことができる。従って、例えば狭ピッチ(ファインピッチ)で配列された多数のコンタクトを有する微小なコネクタを基板に表面実装する際にACFを用いることは望ましいと言える。
【0009】
一方、コネクタにおいては相手側コネクタとの挿抜時に外力を受けるため、コネクタがACFによる接合のみによって基板に実装されている場合にはACFの接合強度が弱いため、外力によって接合部に剥離が生じる虞がある。従って、このようにコネクタの基板への実装にACFを用いる場合、例えば補強金具をコネクタに設け、補強金具を基板にはんだ付けすることによって基板との接合強度、即ち基板に対するコネクタの取付け強度を確保するのが好ましい。
【0010】
ここで、このように微小なコネクタに補強金具を設けると、基板にはんだ付けされる補強金具の端子部とACFを介して基板に接続されるコンタクトのリード部とは近接せざるを得ず、即ち基板における補強金具の端子部が接続されるランドとコンタクトのリード部が接続されるランドとが近接することになり、このような基板にACFを装着する際には所定のランド(ランド群)にのみACFが位置するように高精度の位置決めが必要となる。例えば、コネクタの仕様によっては±0.05mmといった高精度の位置決め精度が必要となる。
【0011】
このような高精度の位置決め精度でACFを基板に装着するためには、例えば基板にクリームはんだを印刷し、電子部品を搭載してリフロー炉に通すといった基板への電子部品の表面実装を行う一般的な自動機の一連の工程、設備において、設備の変更や設備の追加が必要となり、基板への電子部品の表面実装を行う一般的に大掛りな自動機において設備の変更や追加を行うことはコストがかかるものとなっていた。
【0012】
この発明の目的はこのような状況に鑑み、異方性導電接合部材を介して接続される接続部と、はんだによって接続される接続部とを有し、基板に表面実装される電子部品において、異方性導電接合部材の使用に伴う設備面でのコスト増を抑えられるようにした電子部品を提供することにあり、さらにそのような電子部品の簡便な実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明によれば、基板に表面実装される電子部品の実装方法において、電子部品は基板のランドにそれぞれ接続される第1の接続部と第2の接続部とを有し、第1の接続部が位置する領域に異方性導電接合部材が装着されているものとされ、異方性導電接合部材は樹脂中にはんだ粒子が分散されたものとされて、樹脂ははんだ粒子の融点よりも低い溶融温度を有し、第2の接続部と接続される基板のランドにクリームはんだを印刷し、基板に電子部品を搭載してリフロー炉に通し、加熱することにより、リフローはんだ付けによる第2の接続部と基板のランドとの接続と、異方性導電接合部材を介した第1の接続部と基板のランドとの接続を同時に行う。
【0014】
この発明によれば、基板に表面実装される電子部品は、基板のランドにそれぞれ接続される第1の接続部と第2の接続部とを有し、第1の接続部は異方性導電接合部材を介して接続され、第2の接続部ははんだによって接続されるものとされ、第1の接続部が位置する領域に異方性導電接合部材が装着されているものとされる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、異方性導電接合部材を介して接続される接続部と、はんだによって接続される接続部とを有する電子部品の基板への表面実装を、異方性導電接合部材の使用に伴う設備面でのコスト増を抑え、簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】Aはこの発明による電子部品の一実施例を一部分解した上方から見た斜視図、Bはこの発明による電子部品の一実施例を一部分解した下方から見た斜視図。
【
図2】Aはこの発明による電子部品の一実施例を示す上方から見た斜視図、BはAに示した電子部品を下方から見た斜視図。
【
図3】
図2Aに示した電子部品が表面実装される基板の概要を示す斜視図。
【
図4】
図2Aに示した電子部品が基板に搭載される様子を示す斜視図。
【
図5】
図2Aに示した電子部品が基板に搭載された状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施形態を図面を参照して実施例により説明する。
【0018】
図1及び2は基板に表面実装されるこの発明による電子部品の一実施例としてコネクタを示したものであり、
図1は一部分解した状態を示し、
図2は完成体を示す。
【0019】
コネクタ100はこの例では樹脂製のハウジング10と、ハウジング10に配列保持された多数のコンタクト20と、一対の補強金具30と、異方性導電接合部材40とによって構成されている。
【0020】
ハウジング10は扁平、細長の略直方体状をなし、コンタクト20はこの例ではハウジング10に一列13個とされて二列配置され、計26個取り付けられている。コンタクト20の、基板のランドに接続されるリード部21はハウジング10の下面側に位置している。
【0021】
一対の補強金具30はハウジング10の長手方向両端部に取り付けられており、これら補強金具30はそれぞれハウジング10の長手方向の端部の上面に被せられて位置する上板部31と、上板部31からハウジング10の側面に沿うように折り曲げ延長されてハウジング10の下面に至る端子部32を備えている。端子部32はこの例では1つの補強金具30に3箇所設けられている。
【0022】
異方性導電接合部材40はこの例では樹脂中にはんだ粒子が分散されたものとされて矩形のフィルム状をなすものとされている。異方性導電接合部材40を構成する樹脂は熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよく、はんだ粒子の融点よりも低い温度で溶融するものとされる。
【0023】
異方性導電接合部材40はハウジング10の下面の、26個のコンタクト20のリード部21が位置する領域に低温、低圧で貼り付けられて
図2に示したように装着されている。
【0024】
このように、コネクタ100はこの例では異方性導電接合部材40を具備するものとなっているが、コネクタの組立ては一般に自動機で行われるものであって、狭ピッチで配列された多数のコンタクトを有する微小なコネクタの組立てを行う自動機では高精度の位置決め機構を有している。従って、それを使用して異方性導電接合部材40を高精度に位置決めして装着することができ、つまりコネクタの組立てを行う自動機に異方性導電接合部材40を装着する工程を単に組み込めばよく、その点で設備の変更は少なくて済み、コストも少なくて済む。
【0025】
図3は上述したコネクタ100が表面実装される基板200を示したものであり、
図3では基板200はコネクタ100が表面実装される部分のみを示して他の部分の図示は省略している。
【0026】
基板200の表面にはコネクタ100の26個のコンタクト20のリード部21に対応して26個のランド210が形成されており、さらに一対の補強金具30の計6箇所の端子部32に対応して6固のランド220が形成されている。
【0027】
以下、基板200へのコネクタ100の表面実装方法について説明する。
【0028】
まず、コネクタ100の補強金具30の端子部32が接続される基板200のランド220にクリームはんだを印刷、塗布し、ランド220上に
図4に示したようにクリームはんだ230をのせる。
【0029】
次に、コネクタ100を基板200上に
図5に示したように位置決め、搭載してリフロー炉に通し、加熱する。これにより、クリームはんだが溶融してコネクタ100の補強金具30の端子部32と基板200の対応するランド220とがはんだによって接続される。また、異方性導電接合部材40の樹脂が溶融し、かつはんだ粒子が溶融することによって、コネクタ100のコンタクト20のリード部21と基板200の対応するランド210とが溶融したはんだ粒子によって接続される。
【0030】
このように、この例では一回のリフロー工程で、リフローはんだ付けによる補強金具30の端子部32と基板200のランド220との接続と、異方性導電接合部材40を介したコンタクト20のリード部21と基板200のランド210との接続を同時に行うものとなっている。なお、異方性導電接合部材40は上述したようにその樹脂及びはんだ粒子が溶融することによって接合を実現するものであって、加圧は必要ではなく、無荷重で接合させることができる。
【0031】
異方性導電接合部材として上述した例では樹脂中にはんだ粒子が分散されたものを用いているが、これに限らず、樹脂中にニッケル粒子等が分散されたもので、加熱、加圧を要する熱圧着タイプのものを用いることもできる。この場合には押え治具によりコネクタを基板に押さえつけて異方性導電接合部材を加圧した状態でリフロー炉に通し、加熱すればよく、これにより熱圧着タイプの異方性導電接合部材でもリフロー工程で接合を実現することができる。
【0032】
以上、コネクタを例にこの発明による電子部品及び電子部品の実装方法について説明したが、電子部品はコネクタに限るものではなく、基板に表面実装されるものであって、基板のランドに異方性導電接合部材を介して接続される第1の接続部と、基板のランドにはんだによって接続される第2の接続部とを有するものであればよい。上述したコネクタ100ではコンタクト20のリード部21が第1の接続部をなし、補強金具30の端子部32が第2の接続部をなす。なお、コネクタ100では基板200に対する取付け強度(接合強度)を確保すべく、補強金具30を基板200にはんだ付けするものとなっているが、はんだ付けを要する第2の接続部の他の例としては例えば大電流用の端子等をあげることができる。
【0033】
また、第1の接続部が位置する領域に配置される異方性導電接合部材は上述した例ではフィルム状をなすものを貼り付けて装着するものとしているが、例えばペースト状のものを塗布してフィルム状にするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10 ハウジング 20 コンタクト
21 リード部 30 補強金具
31 上板部 32 端子部
40 異方性導電接合部材 100 コネクタ
200 基板 210,220 ランド
230 クリームはんだ