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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069241
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】切削加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/08 20060101AFI20230511BHJP
   A61B 17/86 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
B23Q11/08 Z
A61B17/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180982
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】390003665
【氏名又は名称】株式会社日進製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】辻 秀和
(72)【発明者】
【氏名】村岡 嵩平
(72)【発明者】
【氏名】山添 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】井上 健二
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩次
(72)【発明者】
【氏名】錦織 晃
【テーマコード(参考)】
3C011
4C160
【Fターム(参考)】
3C011DD00
3C011DD04
4C160LL42
(57)【要約】
【課題】切削加工を行う領域の清浄度を高めることができる切削加工装置を提供する。
【解決手段】切削加工装置1は、工具20が固定されるヘッド5と、ヘッド5に対向して配置されワークを保持する保持ユニット3と、箱状であり、周壁に保持ユニット3が挿通される第1開口部11aとヘッド5が挿通される第2開口部11bとが穿設されるとともに、保持ユニット3におけるワーク保持部32とヘッド5に保持された工具20とが内側に配置される内装ケース11と、軟性材料から形成され、保持ユニット3と内装ケース11における第1開口部11aの外周部との間を閉塞する第1カバー63と、軟性材料から形成され、ヘッド5と内装ケース11における第2開口部11bの外周部との間を閉塞する第2カバー64と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具が固定されるヘッドと、
前記ヘッドに対向して配置されワークを保持する保持ユニットと、
箱状であり、周壁に前記保持ユニットが挿通される第1開口部と前記ヘッドが挿通される第2開口部とが穿設されるとともに、前記保持ユニットにおける少なくとも前記ワークを保持する部分と前記ヘッドに保持された前記工具とが内側に配置される内装ケースと、
有底筒状であり、側壁に前記保持ユニットにおける前記ワークを保持する部分が挿通可能な保持ユニット挿通孔が穿設されるとともに、前記保持ユニット挿通孔に前記保持ユニットにおける前記ワークを保持する部分が挿通された状態で前記保持ユニットに装着される保持ユニットカバーと、
有底筒状であり、底壁に前記ヘッドにおける前記工具を保持する部分が挿通可能なヘッド挿通孔が穿設されるとともに、前記ヘッド挿通孔に前記ヘッドにおける前記工具を保持する部分が挿通された状態で前記ヘッドに装着されるヘッドカバーと、
軟性材料から形成され、前記保持ユニットカバーと前記内装ケースにおける前記第1開口部の外周部との間を閉塞する第1カバーと、
軟性材料から形成され、前記ヘッドカバーと前記内装ケースにおける前記第2開口部の外周部との間を閉塞する第2カバーと、を備える、
切削加工装置。
【請求項2】
箱状であり、周壁の一部に窓部が設けられるとともに、内側に前記ヘッド、前記保持ユニット、前記内装ケース、前記保持ユニットカバー、前記ヘッドカバー、前記第1カバーおよび前記第2カバーを収納する筐体と、
前記筐体の周壁における前記窓部の外周部に開閉自在に取り付けられ、前記窓部を覆う閉状態と前記窓部が開放される開状態とをとりうる扉と、
前記内装ケースと前記扉との間において前記窓部を覆うように配置される保護パネルと、
弾性材料から環状に形成され、筒軸方向における一端部が前記保護パネルにおける前記扉側とは反対側の面に固定されるとともに、前記扉が前記閉状態の場合、他端部が前記内装ケースの外壁に密着するパッキンと、を更に備え、
前記内装ケースは、前記筐体内に配置された状態において前記内装ケースの周壁における前記窓部に対向する部分に第3開口部が穿設され、
前記パッキンは、前記内装ケースと前記扉との間において前記窓部を覆うように前記保護パネルが配置され且つ前記扉が閉状態の場合、前記他端部全体が前記内装ケースの周壁における前記第3開口部の外周部に密着する、
請求項1に記載の切削加工装置。
【請求項3】
前記内装ケース、前記保持ユニットカバー、前記ヘッドカバー、前記第1カバーおよび前記第2カバーは、前記筐体に対して着脱自在である、
請求項2に記載の切削加工装置。
【請求項4】
前記保持ユニットカバーは、側壁の外側における前記保持ユニット挿通孔よりも底壁側とは反対側で筒軸周りに延在する第1溝が形成され、
前記ヘッドカバーは、側壁の外側に筒軸周りに延在する第2溝が形成され、
前記内装ケースは、
筒状であり、前記内装ケースの周壁における前記第1開口部の外周部から前記内装ケースの内側に向かって突出するとともに、外壁に周方向に沿って延在する第3溝が形成された第1リブと、
筒状であり、前記内装ケースの周壁における前記第2開口部の外周部から前記内装ケースの外側に向かって突出するとともに、外壁に周方向に沿って延在する第4溝が形成された第2リブと、を有し、
前記第1カバーは、筒状であり、筒軸方向の一端部が前記保持ユニットカバーの前記第1溝に嵌入されるとともに、前記筒軸方向の他端部が前記内装ケースの前記第3溝に嵌入され、
前記第2カバーは、筒状であり、筒軸方向の一端部が前記ヘッドカバーの前記第2溝に嵌入されるとともに、前記筒軸方向の他端部が前記内装ケースの前記第4溝に嵌入される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の切削加工装置。
【請求項5】
前記第1カバーは、
軟性材料から筒状に形成された第1カバー本体と、
環状に形成され、前記第1カバー本体の筒軸方向における前記第1カバー本体の一端部全体と連続一体に形成され前記第1溝に嵌入される第1の内装ケース側固定部と、
環状に形成され、前記第1カバー本体の筒軸方向における前記第1カバー本体の他端部全体と連続一体に形成され前記第3溝に嵌入される保持ユニット側固定部と、を有し、
前記第2カバーは、
軟性材料から筒状に形成された第2カバー本体と、
環状に形成され、前記第2カバー本体の筒軸方向における一端部全体と連続一体に形成され前記第2溝に嵌入される第2の内装ケース側固定部と、
環状に形成され、前記第2カバー本体の筒軸方向における他端部全体と連続一体に形成され前記第4溝に嵌入されるヘッド側固定部と、を有する、
請求項4に記載の切削加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者本人の骨を切り出して得られる骨片を切削加工することで骨同士を接合するための螺子を作製し、この螺子により患者の骨折部分を接合することにより、骨折部分が癒合した後の螺子を除去するための再手術を不要にして患者の負担を大幅に軽減することがなされつつある。この場合、骨片を高精度に切削加工することが要請される。このような高精度の切削加工に用いられるマシニングセンタが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62―74943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、切削加工により螺子を作製する場合、作製された螺子に付着した雑菌に起因した患者の感染症を防止する観点から、螺子を作製する領域に存在する異物は極力低減する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載されたマシニングセンタでは、加工領域が外部に露出しているため、加工対象である骨片の周囲に存在する異物により螺子が汚染されてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、切削加工を行う領域の清浄度を高めることができる切削加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る切削加工装置は、
工具が固定されるヘッドと、
前記ヘッドに対向して配置されワークを保持する保持ユニットと、
箱状であり、周壁に前記保持ユニットが挿通される第1開口部と前記ヘッドが挿通される第2開口部とが穿設されるとともに、前記保持ユニットにおける少なくとも前記ワークを保持する部分と前記ヘッドに保持された前記工具とが内側に配置される内装ケースと、
有底筒状であり、側壁に前記保持ユニットにおける前記ワークを保持する部分が挿通可能な保持ユニット挿通孔が穿設されるとともに、前記保持ユニット挿通孔に前記保持ユニットにおける前記ワークを保持する部分が挿通された状態で前記保持ユニットに装着される保持ユニットカバーと、
有底筒状であり、底壁に前記ヘッドにおける前記工具を保持する部分が挿通可能なヘッド挿通孔が穿設されるとともに、前記ヘッド挿通孔に前記ヘッドにおける前記工具を保持する部分が挿通された状態で前記ヘッドに装着されるヘッドカバーと、
軟性材料から形成され、前記保持ユニットカバーと前記内装ケースにおける前記第1開口部の外周部との間を閉塞する第1カバーと、
軟性材料から形成され、前記ヘッドカバーと前記内装ケースにおける前記第2開口部の外周部との間を閉塞する第2カバーと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、周壁に保持ユニットが挿通される第1開口部とヘッドが挿通される第2開口部とが穿設された内装ケースを備え、内装ケースの内側に保持ユニットにおける少なくともワークを保持する部分とヘッドに保持された工具とが配置される。そして、第1カバーが、保持ユニットカバーと内装ケースにおける第1開口部の外周部との間を閉塞し、第2カバーが、ヘッドカバーと内装ケースにおける第2開口部の外周部との間を閉塞している。これにより、内装ケースの内側に内装ケースの外側から隔離された切削加工を行う領域を形成することができるので、内装ケースの外側に存在する異物の切削加工を行う領域への侵入が抑制され、切削加工を行う領域の清浄度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る切削加工装置の概略図である。
図2】実施の形態に係る切削加工装置の図1のA-A線における断面矢視図である。
図3】実施の形態に係る切削加工装置の図1のB-B線における断面矢視図である。
図4】変形例に係る切削加工装置の一部の断面図である。
図5】変形例に係る切削加工装置の一部の断面図である。
図6】変形例に係る切削加工装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る切削加工装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る切削加工装置は、工具が固定されるヘッドと、ヘッドに対向して配置されワークを保持する保持ユニットと、箱状であり、周壁に保持ユニットが挿通される第1開口部とヘッドが挿通される第2開口部とが穿設されるとともに、保持ユニットにおける少なくともワークを保持する部分とヘッドに保持された前記工具とが内側に配置される内装ケースと、有底筒状であり、側壁に保持ユニットにおけるワークを保持する部分が挿通可能な保持ユニット挿通孔が穿設されるとともに、保持ユニット挿通孔に保持ユニットにおけるワークを保持する部分が挿通された状態で保持ユニットに装着される保持ユニットカバーと、有底筒状であり、底壁にヘッドにおける工具を保持する部分が挿通可能なヘッド挿通孔が穿設されるとともに、ヘッド挿通孔にヘッドにおける工具を保持する部分が挿通された状態でヘッドに装着されるヘッドカバーと、軟性材料から形成され、保持ユニットと内装ケースにおける第1開口部の外周部との間を閉塞する第1カバーと、軟性材料から形成され、ヘッドと内装ケースにおける第2開口部の外周部との間を閉塞する第2カバーと、を備える。
【0010】
図1に示すように、本実施の形態に係る切削加工装置1は、工具20が固定されるヘッド5と、ヘッド5に対向して配置されワークWを保持する保持ユニット3と、ヘッド5および保持ユニット3の動作を制御する制御盤91を備える。また、切削加工装置1は、矩形箱状であり+Y方向側の側壁にワークWを出し入れするための窓部10aが穿設されている筐体10と、筐体10の周壁に取り付けられた2つの扉14と、を備える。更に、切削加工装置1は、図2および図3に示すように、扉14の内側に配置された保護パネル15と、箱状であり、筐体10の内側に配置される内装ケース11と、保持ユニットカバー61と、ヘッドカバー62と、第1カバー63と、第2カバー64と、パッキン65と、を備える。また、切削加工装置1は、ヘッド5を鉛直方向に昇降させる昇降駆動部41と、ヘッド5をX軸方向およびY軸方向に沿って駆動する水平駆動部42と、ヘッド5、昇降駆動部41および水平駆動部42を纏めて支持する支持台12と、を備える。筐体10は、例えば金属から形成されており、その内側には、図2に示すように、ヘッド5、保持ユニット3、内装ケース11、第1カバー63、第2カバー64が収納されている。
【0011】
2つの扉14は、それぞれ、筐体10の周壁における窓部10aの外周部に開閉自在に取り付けられており、+Y方向側から筐体10の窓部10aを覆う閉状態と、窓部10aが開放される開状態とをとりうる。また扉14における筐体10の内側を臨む面側には、矩形板状の保護パネル15が嵌め込まれる第1凹部14aが形成されている。保護パネル15は、扉14の第1凹部14aに嵌め込まれた状態で、内装ケース11と扉14との間において筐体10の窓部を覆うように配置される。扉14および保護パネル15は、それぞれ、例えば透明なポリカーボネートから形成されている。この場合、切削加工装置1の利用者は、扉14の凹部に保護パネル15を嵌め込んだ状態で扉14を閉状態にしたまま筐体10の内側の切削加工を行う加工領域S1に配置されたワークWを観察できるとともに、扉14に対して適宜エチレンオキサイドガスを用いた滅菌処理を施すことができるので、扉14を清潔な状態で維持する観点から好ましい。また、筐体10は、内装ケース11がその内側における予め設定された固定位置に配置されたときに内装ケース11を係止する係止部(図示せず)を有する。係止部は、例えば後述の内装ケース11の外壁に設けられた突起(図示せず)に係合する係合凹部を有する。
【0012】
ヘッド5は、長尺であり長手方向の一端部に工具20を保持する工具保持部521が設けられた回転主軸52と、回転主軸52の一部を収容するヘッド本体53と、ヘッド本体53に内蔵され回転主軸52をその長手方向に沿った中心軸周りに回転させる主軸駆動用モータ(図示せず)と、を有する。工具保持部521は、チャック(図示せず)を有する。昇降駆動部41は、Z軸方向に沿って延在するレール(図示せず)と、レールに摺動自在に保持されたスライダ(図示せず)と、Z軸方向に沿って配置されスライダの一部に設けられたナット部(図示せず)に螺号するボール螺子(図示せず)と、ボール螺子に連結されたモータと、を有する。そして、昇降駆動部41は、モータによりボール螺子を回転させることにより、スライダおよびスライダに固定されたヘッド5をZ軸方向に沿って昇降させる。また、水平駆動部42は、昇降駆動部41をX軸方向またはY軸方向に沿って移動させることにより、昇降駆動部41に保持されたヘッド5をX軸方向またはY軸方向に沿って移動させる。
【0013】
保持ユニット3は、ワークWを保持するワーク保持部32と、ワーク保持部32を回転駆動する保持部駆動部33と、矩形箱状であり保持部駆動部33の一部を収容するユニット本体31と、ユニット本体31を駆動する本体駆動部34と、を有する。本体駆動部34は、支持台12に支持されている。本体駆動部34は、ユニット本体31全体をユニット本体31の長手方向に延在する回転軸周りに回転させる。また、保持部駆動部33は、ワーク保持部32をユニット本体31の長手方向に直交する方向に延在する回転軸周りに回転させる。ワーク保持部32は、例えば長尺のワークWの基端部を挟持するチャックである。
【0014】
内装ケース11は、箱状であり、周壁に保持ユニット3が挿通される第1開口部11aとヘッド5が挿通される第2開口部11bとが穿設されている。内装ケース11は、例えば金属から形成されている。この内装ケース11の内側には、保持ユニット3におけるワーク保持部32とヘッド5に保持された工具20とが配置されており、この内装ケース11の内側に前述の加工領域S1が形成されている。また、内装ケース11は、筐体10内に配置された状態において内装ケース11の周壁における筐体10の窓部10aに対向する部分に平面視矩形状の第3開口部11cが穿設されている。更に、内装ケース11は、筒状であり内装ケース11の周壁における第1開口部11aの外周部から内装ケース11の内側に向かって突出する第1リブ111と、筒状であり内装ケース11の周壁における第2開口部11bの外周部から内装ケース11の外側に向かって突出する第2リブ112と、を有する。第1リブ111の外壁には、その周方向に沿って延在する第3溝111aが設けられている。また、第2リブ112の外壁にも、その周方向に沿って延在する第4溝112aが設けられている。第3溝111a、第4溝112aは、例えば第1リブ111、第2リブ112の先端部を外側へ折り曲げることにより形成される。また、内装ケース11の周壁における筐体10に設けられた前述の係止部の係合凹部に対向する部分に突起(図示せず)が突設されている。そして、内装ケース11は、筐体10の窓部10aから筐体10の内側に挿入されてから前述の固定位置まで移動されると、突起が筐体10の係合凹部に係合し筐体10に係止された状態となる。一方、内装ケース11は、筐体10内の前述の固定位置で係止された状態において、その固定位置から窓部10aに向かって予め設定された大きさの力が作用されると、突起が係合凹部に係合した状態が解除される。そして、内装ケース11は、筐体10に対して窓部10aに向かって移動可能となる。このように、内装ケース11は、筐体10に対して着脱自在となっている。
【0015】
保持ユニットカバー61は、有底角筒状の保持ユニットカバー本体611と、保持ユニットカバー本体611から保持ユニットカバー本体611の筒軸方向に直交する方向において保持ユニットカバー本体611の筒軸から離れる方向へ張り出した第1外鍔部612と、を有する。この保持ユニットカバー61は、例えば金属から形成されており、例えばエチレンオキサイドガスを用いた滅菌が可能となっている。保持ユニットカバー本体611の側壁には、保持ユニット3のユニット本体31におけるワーク保持部32および保持部駆動部33の一部が挿通可能な第1保持ユニット挿通孔611aが穿設されている。第1外鍔部612は、保持ユニットカバー本体611の側壁の外側における第1保持ユニット挿通孔611aよりも底壁側とは反対側、即ち、底壁側とは反対側の端部に位置している。また、第1外鍔部612の周面には、保持ユニットカバー本体611の筒軸周りに延在する第1溝612aが形成されている。この保持ユニットカバー61は、第1保持ユニット挿通孔611aに保持ユニット3のワーク保持部32および保持部駆動部33の一部が挿通された状態で保持ユニット3に装着されている。
【0016】
ヘッドカバー62は、有底筒状のヘッドカバー本体621と、ヘッドカバー本体621からヘッドカバー本体621の筒軸方向に直交する方向においてヘッドカバー本体621の筒軸から離れる方向へ張り出した第2外鍔部622と、を有する。このヘッドカバー62も、例えば金属から形成されており、例えばエチレンオキサイドガスを用いた滅菌が可能となっている。ヘッドカバー本体621の底壁には、ヘッド5における工具20を保持する回転主軸52が挿通可能なヘッド挿通孔621aが穿設されている。第2外鍔部622は、ヘッドカバー本体621の側壁における底壁側とは反対側の端部に位置している。また、第2外鍔部622の周面には、ヘッドカバー本体621の筒軸周りに延在する第2溝622aが形成されている。このヘッドカバー62は、ヘッド挿通孔621aにヘッド5の回転主軸52の工具保持部521が挿通された状態でヘッド5のヘッド本体53に装着されている。
【0017】
第1カバー63は、保持ユニットカバー61と内装ケース11における第1開口部11aの外周部との間を閉塞する。この第1カバー63は、ゴム薄膜、ビニール製フィルム等の軟性材料から形成されており、例えばエチレンオキサイドガスを用いた滅菌が可能なものであることが好ましい。第1カバー63は、筒状に形成された第1カバー本体631と、第1の内装ケース側固定部632と、保持ユニット側固定部633と、を有する。内装ケース側固定部632は、環状に形成され、第1カバー本体631の筒軸方向における第1カバー本体631の内装ケース11の周壁側の一端部全体と連続一体に形成されている。また、保持ユニット側固定部633は、環状に形成され、第1カバー本体631の筒軸方向における第1カバー本体631の保持ユニット3側の他端部全体と連続一体に形成されている。第1カバー63の第1の内装ケース側固定部632は、内装ケース11の第1リブ111の第3溝111aに嵌入され、保持ユニット側固定部633は、保持ユニットカバー61の第1外鍔部612に形成された第1溝612aに嵌入されている。
【0018】
第2カバー64は、ヘッドカバー62と内装ケース11における第2開口部11bの外周部との間を閉塞する。この第2カバー64も、ゴム薄膜、ビニール製フィルム等の軟性材料から形成されており、例えばエチレンオキサイドガスを用いた滅菌が可能なものであることが好ましい。第2カバー64は、筒状に形成された第2カバー本体641と、環状に形成され第2カバー本体641の筒軸方向における一端部に第2カバー本体641の一端部全体と連続一体に形成された第2の内装ケース側固定部642と、環状に形成され第2カバー本体641の筒軸方向における他端部に第2カバー本体641の他端部全体と連続一体に形成されたヘッド側固定部643と、を有する。第2カバー64の第2の内装ケース側固定部642は、内装ケース11の第2リブ112の第4溝112aに嵌入され、ヘッド側固定部643は、ヘッドカバー62の第2外鍔部622に形成された第2溝622aに嵌入されている。
【0019】
パッキン65は、平面視矩形の環状に形成されたパッキン本体651と、パッキン本体651の他端部からパッキン本体651の筒軸から離れる方向へ張り出した第3外鍔部652と、を有する。パッキン本体651と第3外鍔部652とは、例えばシリコーンゴムのような弾性材料から連続一体に形成されている。この場合、パッキン65に対してエチレンオキサイドガスを用いた滅菌処理を施すことができるので、パッキン65を清潔な状態で維持する観点から好ましい。第3外鍔部652は、保護パネル15における扉14側とは反対側の面に固定されている。そして、保護パネル15を扉14の第1凹部14aに嵌め込んだ状態で扉14を閉状態にすると、パッキン本体651の第3外鍔部652側とは反対側の端部全体が、内装ケース11の周壁における第3開口部11cの外周部に密着した状態となる。
【0020】
次に、本実施の形態に係る切削加工装置1の使用方法について説明する。ここでは、切削加工装置1を使用してワークWを切削加工する際の準備方法について説明する。まず、第2カバー64の第2の内装ケース側固定部642を、内装ケース11の第2リブ112の外壁に形成された第4溝112a全体に嵌め込む。また、ヘッド5の回転主軸52の工具保持部521側をヘッドカバー62のヘッド挿通孔621aに挿通させることにより、ヘッドカバー62をヘッド5のヘッド本体53に装着する。このとき、回転主軸52の工具保持部521側の端部がヘッドカバー62の外側に突出した状態となる。次に、扉14を開状態にしてから、第2カバー64が取り付けられた内装ケース11を筐体10の内側の予め設定された固定位置に配置する。このとき、内装ケース11は、筐体10の係止部により係止された状態となる。続いて、第2カバー64のヘッド側固定部643を、ヘッドカバー62の第2外鍔部622の周面に形成された第2溝622a全体に嵌め込む。
【0021】
その後、第1カバー63の保持ユニット側固定部633を、保持ユニットカバー61の第1外鍔部612の周面に形成された第1溝612a全体に嵌め込む。次に、第1カバー63が取り付けられた保持ユニットカバー61を、保持ユニット3のユニット本体31に装着する。このとき、保持ユニット3のワーク保持部32および保持部駆動部33の一部を保持ユニットカバー61の第1保持ユニット挿通孔611aに挿通して保持ユニットカバー61の外側に露出した状態とする。続いて、第1カバー63の第1の内装ケース側固定部632を、内装ケース11の第1リブ111の外壁に形成された第3溝111a全体に嵌め込む。その後、筐体10の窓部10aを覆うように保護パネル15を配置した後、扉14を閉状態にすると、保護パネル15が扉14の第1凹部14aに嵌め込まれた状態となる。このようにして、ワークWの切削加工を行う準備が完了する。
【0022】
以上説明したように、本実施の形態に係る切削加工装置1は、周壁に保持ユニット3が挿通される第1開口部11aとヘッド5が挿通される第2開口部11bとが穿設された内装ケース11を備えており、内装ケース11の内側に保持ユニット3のワーク保持部32と工具20とが配置される。そして、第1カバー63が、保持ユニット3と内装ケース11における第1開口部11aの外周部との間を閉塞し、第2カバー64が、ヘッド5と内装ケース11における第2開口部11bの外周部との間を閉塞している。これにより、内装ケース11の内側に内装ケース11の外側から隔離された加工領域S1を形成することができるので、内装ケース11の外側に存在する異物の加工領域S1への侵入が抑制され、加工領域S1の清浄度を高めることができる。
【0023】
また、本実施の形態に係るパッキン65は、内装ケース11と扉14との間において筐体10の窓部10aを覆うように保護パネル15が配置され且つ扉14が閉状態の場合、その内装ケース11側の端部全体が内装ケース11の周壁における第3開口部11cの外周部に密着する。これにより、内装ケース11の外側に存在する異物が筐体10内における内装ケース11と扉14との間に生じる隙間から内装ケース11内へ侵入することが抑制されるので、内装ケース11の内側の加工領域S1の清浄度を高めることができる。
【0024】
更に、本実施の形態に係る内装ケース11は、筐体10に対して着脱自在である。これにより、内装ケース11を筐体10から取り外して洗浄または殺菌処理を行うことができるので、内装ケース11の内側の清浄度を高めることができる。
【0025】
また、本実施の形態に係る第1カバー63は、環状に形成され第1カバー本体631の筒軸方向における一端部全体と連続一体に形成され内装ケース11の第1リブ111の第3溝111aに嵌入される第1の内装ケース側固定部632と、環状に形成され第1カバー本体631の筒軸方向における他端部全体と連続一体に形成され保持ユニットカバー61の第1外鍔部612の第1溝612aに嵌入される保持ユニット側固定部633と、を有する。また、第2カバー64は、環状に形成され第2カバー本体641の筒軸方向における一端部全体と連続一体に形成され内装ケース11の第2リブ112の第4溝112aに嵌入される第2の内装ケース側固定部642と、環状に形成され第2カバー本体641の筒軸方向における他端部全体と連続一体に形成されヘッドカバー62の第2外鍔部622の第2溝622aに嵌入されるヘッド側固定部643と、を有する。これにより、第1カバー63、第2カバー64の内装ケース11への装着作業が容易になるので、その分、内装ケース11の筐体10に対する着脱が容易になるという利点がある。
【0026】
また、本実施の形態に係る切削加工装置1は、例えば画像診断装置と、画像診断装置により得られる形状情報に基づいて切削加工装置1の加工制御情報を生成する加工制御情報生成装置と、ともに使用される。この場合、切削加工装置1において、画像診断装置により得られる形状情報を考慮した適切な加工制御情報に基づいてワークWを加工することができるので、例えばワークWが患者から採取した骨である場合、画像診断の結果に基づいて、ワークWの大きさを適切且つ最小限の大きさにすることができるので、その分、患者への負担を軽減することができる。
【0027】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば図4に示す切削加工装置2001のように、ワークWを冷却するための気体をワークWに向けて吐出するためのノズル2623を有するヘッドカバー2062を備えるものであってもよい。ヘッドカバー2062は、有底筒状のヘッドカバー本体2621と、ヘッドカバー本体2621からヘッドカバー本体2621の筒軸方向に直交する方向においてヘッドカバー本体2621の筒軸から離れる方向へ張り出した第4外鍔部2622と、を有する。第4外鍔部2622には、第2カバー64のヘッド側固定部643が嵌入される第2溝2622aが形成されている。ヘッド5の回転主軸52と工具20とは、ヘッドカバー本体2621の底壁に穿設されたヘッド挿通孔2621aに挿通されている。ノズル2623は、ヘッドカバー本体2621の底壁の外側における周部から-Z方向側へ突出しており先端部がヘッド5に保持された工具20に近づく方向へ屈曲している。また、ヘッドカバー本体2621の内側における底壁の周部に沿って段部2624が形成されており、段部2624におけるノズル2623に対応する部分には、ノズル2623の内側2623aに連通する第2凹部2621bが穿設されている。第2凹部2621bには、気体供給源(図示せず)から供給される気体を搬送するためのチューブ2071の先端部に装着されたガスコネクタ2072の先端部2072aが嵌入されている。チューブ2071には、気体供給源から供給される気体に含まれる異物を除去するためのフィルタ(図示せず)が介挿されている。これにより、フィルタにより異物を除去された気体がガスコネクタ2072に供給される。また、ガスコネクタ2072の先端部2072aと第2凹部2621bの内壁との隙間に環状の第1シール部材2073が嵌め込まれている。これにより、ガスコネクタ2072の先端部2072aと第2凹部2621bの内壁とで囲まれた領域が密閉されている。本変形例に係る切削加工装置2001では、気体供給源から供給される気体を、ノズル2623を介して工具20の先端部に向けて吐出しながらワークを加工する。
【0028】
ところで、ワークWが骨である場合、その被加工部分の温度が高くなると被加工部分の細胞が壊死してしまう虞がある。これに対して、本構成によれば、ノズル2623から吐出される冷却用の気体をワークWの被加工部分と工具20とが接触する部分に向けて吐出しながらワークWを加工することができる。従って、ワークWの被加工部分の過度の温度上昇を抑制することができるので、ワークWの損傷を抑制することができる。
【0029】
また、例えば図5に示す切削加工装置4001のように、断面U字状のヘッド側固定部4643を有する第2カバー4064を備えるものであってもよい。なお、図5において切削加工装置2001と同様の構成については図4と同一の符号を付している。ヘッドカバー4062は、有底筒状のヘッドカバー本体4621と、ヘッドカバー本体4621からヘッドカバー本体4621の筒軸方向に直交する方向においてヘッドカバー本体4621の筒軸から離れる方向へ張り出した第6外鍔部4622と、を有する。第6外鍔部4622全体における-Z方向側の面には、+Z方向側に向かって窪んでおり、第2カバー4064のヘッド側固定部4643が嵌入される第2溝4622aが形成されている。そして、第2カバー4064は、第2カバー本体4641のヘッド側固定部4643全体が第6外鍔部4622の第2溝4622aに嵌入された状態でヘッドカバー4062に固定されている。本変形例では、扉14を閉状態にしてノズル2623から加工領域S1に気体が供給されることで加工領域S1全体がそれ以外の領域に対して陽圧状態となり、これに伴い、断面U字状のヘッド側固定部4643が膨張して第2溝4622aの内壁に密着する。なお、第1カバー63の保持ユニット側固定部633も同様に断面U字状の形状としてもよい。また、内装ケース11の一部にメンブレンフィルタ(図示せず)を設けて、ノズル2623から常時気体を供給することにより加工領域S1を陽圧状態で維持するようにしてもよい。
【0030】
本構成によれば、第2カバー4064のヘッド側固定部4643のヘッドカバー4062への密着度を高めて加工領域S1の密閉度を高めることができるので、その分、加工領域S1外から加工領域S1への異物の侵入を抑制することができ、加工領域S1の清浄度を高めることができる。
【0031】
実施の形態では、内装ケース11とヘッドカバー62と第1カバー63と第2カバー64とが別体である例について説明した。但し、これに限らず、例えば図6に示す切削加工装置3001のように、ヘッド5の一部を覆う内装ケース3011を備えるものであってもよい。ここでは、内装ケース3011が、実施の形態における内装ケース11とヘッドカバー62と第1カバー63と第2カバー64とが連続一体に形成されたものに相当するものであってもよい。なお、図6において、実施の形態と同様の構成については図2と同一の符号を付している。切削加工装置3001は、内装ケース3011の他に、保持ユニットカバー3061と第2シール部材3063とを備える。また、ヘッド5のヘッド本体53には、ヘッド5の内装ケース3011に対する相対的な位置を検出するための赤外線センサ(図示せず)が設けられている。
【0032】
内装ケース3011は、箱状であり、-Y方向側の側壁3011aから+Y方向へ突出した有底筒状の突出部3111と、+Z方向側の天壁3011bから-Z方向側へ突出した有底筒状の突出部3112と、を有する。内装ケース3011は、例えばゴム、エラストマ等の弾性材料から形成されている。突出部3111の底壁には、保持ユニット3が挿通される第2保持ユニット挿通孔3111aが貫設されている。また、突出部3112の内側には、ヘッド5のヘッド本体53の一部が嵌入されている。更に、突出部3112の底壁には、突出部3112の内側に嵌入されたヘッド5の回転主軸52が挿通されるヘッド挿通孔3112aが貫設されている。また、天壁3011bには、天壁3011bの厚さ方向から見て、突出部3122の突出方向に沿った中心軸を中心として同心状に囲繞するように蛇腹部3113が形成されている。更に、突出部3112の内側の底壁の一部には、ヘッド本体53に設けられた赤外線センサから放射される赤外光を反射する反射板(図示せず)が配設されている。
【0033】
保持ユニットカバー3061は、有底角筒状の保持ユニットカバー本体3611と、保持ユニットカバー本体3611から保持ユニットカバー本体3611の筒軸方向に直交する方向において保持ユニットカバー本体3611の筒軸から離れる方向へ張り出した第5外鍔部3612と、を有する。保持ユニットカバー本体3611の側壁には、保持ユニット3のワーク保持部32および保持部駆動部33の一部が挿通可能な第3保持ユニット挿通孔3611aが穿設されている。第5外鍔部3612は、保持ユニットカバー本体3611の側壁の外側における底壁側とは反対側の端部に位置している。この保持ユニットカバー3061は、第3保持ユニット挿通孔3611aに保持ユニット3のワーク保持部32および保持部駆動部33の一部が挿通された状態で保持ユニット3に装着されている。また、第5外鍔部3612は、その厚さ方向における保持ユニットカバー本体3611の底壁側とは反対側の面が、第2シール部材3063を介して内装ケース3011の突出部3111の+Y方向側の面に固定されている。
【0034】
ここで、本変形例に係る切削加工装置3001を使用してワークWを切削加工する際の準備方法について説明する。まず、扉14を開状態にしてから、内装ケース3011を筐体10の内側の予め設定された固定位置に配置する。このとき、内装ケース3011は、筐体10の係止部により係止された状態となる。次に、制御盤91を操作してヘッド5を内装ケース3011の突出部3112の+Z方向側の位置に配置する。このとき、切削加工装置3001は、前述の赤外線センサにより突出部3112の内側の底壁に配設された反射板からの反射光の強度に基づいて、ヘッド5の位置決めを実行する。続いて、ヘッド5が内装ケース3011の突出部3112の+Z方向側に配置されると、制御盤91を操作して、ヘッド5を下降させる。これにより、ヘッド5の回転主軸52が内装ケース3011のヘッド挿通孔3112aに挿通され、ヘッド本体53が突出部3112の内側に嵌入された状態となる。
【0035】
その後、第2シール部材3063と保持ユニットカバー3061とを、順に保持ユニット3のユニット本体31に装着する。このとき、保持ユニット3のワーク保持部32および保持部駆動部33の一部を保持ユニットカバー3061の第3保持ユニット挿通孔3611aに挿通して保持ユニットカバー3061の外側に露出した状態とする。続いて、保持ユニットカバー3061の第5外鍔部3612を、第2シール部材3063を介して内装ケース3011の突出部3111に固定する。次に、筐体10の窓部10aを覆うように保護パネル15を配置した後、扉14を閉状態にすると、保護パネル15が扉14の第1凹部14aに嵌め込まれた状態となる。このようにして、ワークWの切削加工を行う準備が完了する。
【0036】
ところで、ワークWが例えば骨である場合、切削加工後において内装ケース3011の内壁に感染リスクの原因となる加工屑が付着しているため、特に複数の患者の骨を切削加工する場合には患者間での交差感染を防ぐために内装ケース3011内を念入りに洗浄することが要請される。また、内装ケース3011内を洗浄する際、洗浄を行う作業者が内装ケース3011の内壁に付着した加工屑を吸い込むことにより患者が患っている病気にかかってしまう虞もある。これに対して、本変形例によれば、前述の加工領域S1を閉塞するために必要な部品の部品点数が実施の形態に比べて削減されているので、その分、洗浄し易く且つ洗浄に要する手間も削減されているので、その分、加工屑に起因した感染リスクを抑制することができる。また、内装ケース3011を筐体10から取り外してそのまま感染性廃棄物として廃棄するようにすることで、感染リスクを低減できる。
【0037】
実施の形態では、内装ケース11、保持ユニットカバー61およびヘッドカバー62が金属から形成される例について説明したが、これらを形成する材料は金属に限定されるものではない。例えば内装ケース11、保持ユニットカバー61およびヘッドカバー62が、それぞれ、樹脂から形成されているものであってもよい。この場合、内装ケース11、保持ユニットカバー61およびヘッドカバー62の軽量化を図ることができるので、切削加工装置1全体の軽量化を図ることができる。また、この場合、保持ユニットカバー61、ヘッドカバー62が、内装ケース11に接着または溶着されていてもよい。或いは、内装ケース11、保持ユニットカバー61およびヘッドカバー62が一体成型により形成されていてもよい。この場合、保持ユニットカバー61、ヘッドカバー62を内装ケース11に装着する手間を省略することができる。
【0038】
実施の形態において、内装ケース11、保持ユニットカバー61、ヘッドカバー62、第1カバー63、第2カバー64、保護パネル15およびパッキン65の表面が、窒化珪素の薄膜或いは窒化珪素の微粒子を含有する樹脂膜でコーティングされているものであってもよい。これにより、内装ケース11、保持ユニットカバー61、ヘッドカバー62、第1カバー63、第2カバー64、保護パネル15およびパッキン65の表面における滅菌効果を高めることができる。
【0039】
実施の形態において、扉14が、筐体10に対して着脱自在であってもよい。この場合、扉14を筐体10から取り外して洗浄、滅菌処理を行うことができるので、切削加工装置1のメインテナンスの作業性を高めることができる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態および変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、骨の切削加工を行う切削加工装置として好適である。
【符号の説明】
【0042】
1,2001,3001,4001:切削加工装置、3:保持ユニット、5:ヘッド、10:筐体、10a:窓部、11,3011:内装ケース、11a:第1開口部、11b:第2開口部、11c:第3開口部、12:支持台、14:扉、14a:第1凹部、15:保護パネル、20:工具、31:ユニット本体、32:ワーク保持部、33:保持部駆動部、34:本体駆動部、41:昇降駆動部、42:水平駆動部、52:回転主軸、53:ヘッド本体、61、3061:保持ユニットカバー、62、2062、4062:ヘッドカバー、63:第1カバー、64、4064:第2カバー、65:パッキン、91:制御盤、111:第1リブ、112:第2リブ、111a:第3溝、112a:第4溝、521:工具保持部、611,3611:保持ユニットカバー本体、611a:第1保持ユニット挿通孔、612a:第1溝、621,2621,4621:ヘッドカバー本体、622a,2622a,4622a:第2溝、631:第1カバー本体、641,4641:第2カバー本体、612:第1外鍔部、622:第2外鍔部、621a,2621a,3112a:ヘッド挿通孔、632:第1の内装ケース側固定部、633:保持ユニット側固定部、642:第2の内装ケース側固定部、643,4643:ヘッド側固定部、651:パッキン本体、652:第3外鍔部、2073:第1シール部材、2621b:第2凹部、3063:第2シール部材、2071:チューブ、2072:ガスコネクタ、2072a:先端部、2622:第4外鍔部、2623:ノズル、2623a:内側、2624:段部、3011a:側壁、3011b:天壁、3111,3112:突出部、3111a:第2保持ユニット挿通孔、3113:蛇腹部、3611a:第3保持ユニット挿通孔、3612:第5外鍔部、4622:第6外鍔部、S1:加工領域、W:ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6