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  • 特開-サスペンション装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069244
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】サスペンション装置
(51)【国際特許分類】
   B60G 11/38 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
B60G11/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180986
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】522297236
【氏名又は名称】株式会社プロスパイラ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】大津 一高
【テーマコード(参考)】
3D301
【Fターム(参考)】
3D301AA04
3D301AA25
3D301AA33
3D301AA69
3D301AA74
3D301AA89
3D301AB02
3D301BA11
3D301DA02
3D301DA12
(57)【要約】
【課題】省スペース化および低コスト化を図る。
【解決手段】車体Bに取付けられる内側部材11と、内側部材より車幅方向Yの外側YOに設けられると共に、車軸Aを支持する外側部材12と、内側部材及び外側部材を互いに車幅方向に連結する第1弾性部材13と、を備え、第1弾性部材は、弾性変形時に弾性力および減衰力を発生する弾性板31、及び弾性板より硬質の硬質板32を備えるとともに、弾性板及び硬質板が車幅方向に積層されて構成され、弾性板と、硬質板と、内側部材、及び外側部材それぞれにおいて、車幅方向で互いに対向し、かつ第1弾性部材が取付けられる第1取付面26、及び第2取付面27と、は、上下方向Zから見て、車幅方向の内側YIに向けて突の曲線を呈するように湾曲し、上下方向から見て、弾性板、硬質板、第1取付面、及び第2取付面それぞれの曲率中心は、車軸に取付けられるタイヤTの赤道部CLより車幅方向の外側に位置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取付けられる内側部材と、
前記内側部材より車幅方向の外側に設けられるとともに、車軸を支持する外側部材と、
前記内側部材および前記外側部材を互いに車幅方向に連結する第1弾性部材と、を備え、
前記第1弾性部材は、弾性変形時に弾性力および減衰力を発生する弾性板、および前記弾性板より硬質の硬質板を備えるとともに、前記弾性板および前記硬質板が車幅方向に積層されて構成され、
前記弾性板と、前記硬質板と、前記内側部材、および前記外側部材それぞれにおいて、車幅方向で互いに対向し、かつ前記第1弾性部材が取付けられる第1取付面、および第2取付面と、は、上下方向から見て、車幅方向の内側に向けて突の曲線を呈するように湾曲し、
上下方向から見て、前記弾性板、前記硬質板、前記第1取付面、および前記第2取付面それぞれの曲率中心は、前記車軸に取付けられるタイヤの赤道部より車幅方向の外側に位置している、サスペンション装置。
【請求項2】
前記第1弾性部材は、上下一対備えられ、前記車軸を上下方向に挟む各位置に設けられ、
前記弾性板、前記硬質板、前記第1取付面、および前記第2取付面は、上下方向および車幅方向に沿う断面視で、前記車軸側から上下方向に離れるに従い、車幅方向の内側に向けて延びている、請求項1に記載のサスペンション装置。
【請求項3】
前記内側部材および前記外側部材により上下方向に挟まれる第2弾性部材を備えている、請求項1または2に記載のサスペンション装置。
【請求項4】
前記内側部材には、前記外側部材の一定量を超えた後方移動を規制する規制部材が設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載のサスペンション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サスペンション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、コイルスプリングおよびショックアブソーバ等を備えたサスペンション装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2012-503570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のサスペンション装置では、例えばゴルフカートやバギー等の小型車両にとってはスペースが嵩み、車内空間を確保することが困難であるという問題があった。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、省スペース化および低コスト化を図ることができるサスペンション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のサスペンション装置は、車体に取付けられる内側部材と、前記内側部材より車幅方向の外側に設けられるとともに、車軸を支持する外側部材と、前記内側部材および前記外側部材を互いに車幅方向に連結する第1弾性部材と、を備え、前記第1弾性部材は、弾性変形時に弾性力および減衰力を発生する弾性板、および前記弾性板より硬質の硬質板を備えるとともに、前記弾性板および前記硬質板が車幅方向に積層されて構成され、前記弾性板と、前記硬質板と、前記内側部材、および前記外側部材それぞれにおいて、車幅方向で互いに対向し、かつ前記第1弾性部材が取付けられる第1取付面、および第2取付面と、は、上下方向から見て、車幅方向の内側に向けて突の曲線を呈するように湾曲し、上下方向から見て、前記弾性板、前記硬質板、前記第1取付面、および前記第2取付面それぞれの曲率中心は、前記車軸に取付けられるタイヤの赤道部より車幅方向の外側に位置している。
【0007】
内側部材の第1取付面と、外側部材の第2取付面と、を互いに連結する第1弾性部材が、弾性板および硬質板が車幅方向に積層されて構成され、上下方向から見て、弾性板、硬質板、第1取付面、および第2取付面が、車幅方向の内側に向けて突の曲線を呈するように湾曲し、それぞれの曲率中心が、タイヤの赤道部より車幅方向の外側に位置している。
したがって、前後方向、若しくは車幅方向の外力が、車両に加えられたときに、上下方向から見て、弾性板が、曲率中心回りに前後方向にせん断変形することとなり、外側部材を、内側部材に対して車軸とともに、曲率中心回りに前後方向に回転させることができる。これにより、従来のリンク機構を排除しても、車両に前述の外力が加えられたときに、例えばタイヤをトーイン方向に傾けて車体の姿勢を安定させること等ができる。
第1弾性部材が弾性板を備えているので、従来のコイルスプリングやショックアブソーバを排除しても、上下方向の入力荷重に対して、弾性板を上下方向にせん断変形させることで、弾性力および減衰力を発生させることができる。
第1弾性部材が、弾性板および硬質板が車幅方向に積層されて構成されていることから、サスペンション装置の車幅方向の剛性を確保することができる。
以上より、車幅方向の剛性を確保しつつ、従来のリンク機構、コイルスプリング、およびショックアブソーバを排除して、省スペース化および低コスト化を図ることができる。
【0008】
前記第1弾性部材は、上下一対備えられ、前記車軸を上下方向に挟む各位置に設けられ、前記弾性板、前記硬質板、前記第1取付面、および前記第2取付面は、上下方向および車幅方向に沿う断面視で、前記車軸側から上下方向に離れるに従い、車幅方向の内側に向けて延びてもよい。
【0009】
第1弾性部材が、上下一対備えられ、車軸を上下方向に挟む各位置に設けられているので、キャンバー剛性を確保することができる。
弾性板、硬質板、第1取付面、および第2取付面が、前記断面視で、車軸側から上下方向に離れるに従い、車幅方向の内側に向けて延びている。
したがって、ジオメトリー上のロール中心の高さ位置を高く設定しやすくなり、旋回走行時のロール量を容易に調整することができ、また、上下方向の外力が車両に加えられたときに、前記断面視において、一対の第1弾性部材それぞれにおける中央部を通り、かつ弾性板および硬質板に直交する向きに延びる各直線の交点回りに、弾性板が上下方向にせん断変形しつつ、外側部材が、内側部材に対して車軸とともに、前記交点回りに上下方向に回転することとなり、キャンバー剛性を容易に調整することができる。
【0010】
前記内側部材および前記外側部材により上下方向に挟まれる第2弾性部材を備えてもよい。
【0011】
内側部材および外側部材により上下方向に挟まれる第2弾性部材を備えているので、従来のコイルスプリングを排除しても、上下方向の入力荷重に対して、弾性板および第2弾性部材を弾性変形させることで、弾性力を確実に発生させることができる。
なお、第2弾性部材が、弾性変形時に弾性力だけでなく減衰力も発生する場合には、従来のショックアブソーバを排除しても、上下方向の入力荷重に対して、弾性板および第2弾性部材を弾性変形させることで、減衰力を確実に発生させることができる。
【0012】
前記内側部材には、前記外側部材の一定量を超えた後方移動を規制する規制部材が設けられてもよい。
【0013】
内側部材に、外側部材の一定量を超えた後方移動を規制する規制部材が設けられているので、走行時にタイヤが突起を乗り越えたときや制動時に、外側部材が、内側部材に対して車軸とともに後方に向けて過度に大きく変位するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、省スペース化および低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態として示したサスペンション装置を車幅方向の外側から見た図である。
図2図1のII-II線矢視断面図である。
図3図1のIII-III線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、サスペンション装置の一実施形態を、図1図3を参照しながら説明する。
サスペンション装置1は、内側部材11と、外側部材12と、第1弾性部材13と、第2弾性部材14と、規制部材15と、を備えている。サスペンション装置1は、例えばゴルフカートやバギー等の小型車両に装着される。サスペンション装置1への振動の入力に伴い、内側部材11および外側部材12が、第1弾性部材13および第2弾性部材14を弾性変形させつつ、相対変位する。
なお、第2弾性部材14および規制部材15を設けなくてもよい。
【0017】
内側部材11は、板状に形成され、表裏面が車幅方向Yに向けられた状態で車体Bに取付けられる。内側部材11には、車幅方向Yに貫いて車軸Aが挿入される挿入孔11aが形成されている。挿入孔11aは、内側部材11の表裏面における中央部に設けられている。
【0018】
車軸A、および車軸Aに取付けられるタイヤTを、図2および図3において模式的に表している。
以下、サスペンション装置1において、車幅方向Yに沿うタイヤT側を、車幅方向Yの外側YOといい、車幅方向Yに沿うタイヤTの反対側を、車幅方向Yの内側YIという。
【0019】
内側部材11には、第1壁部22および第2壁部23が設けられている。
第1壁部22は、内側部材11の後端部から車幅方向Yの外側YOに向けて突出している。第1壁部22の表裏面は前後方向Xを向いている。
第2壁部23は、内側部材11の上端部から車幅方向Yの外側YOに向けて突出している。第2壁部23の表裏面は上下方向Zを向いている。第2壁部23は、内側部材11の上端部における前後方向Xの中央部に設けられ、第1壁部22より上方に位置している。
【0020】
外側部材12は、内側部材11より車幅方向Yの外側YOに設けられている。外側部材12は、板状に形成され、表裏面が車幅方向Yを向いている。外側部材12は、内側部材11と車幅方向Yで対向している。外側部材12は、第1壁部22の前面に対して前方で、かつ車幅方向Yの外側YOに位置している。
外側部材12には、車幅方向Yに貫いて車軸Aを支持する支持孔12aが形成されている。支持孔12aは、内側部材11の挿入孔11aと同軸に配設されている。支持孔12aの内径は、挿入孔11aの内径より小さくなっている。
【0021】
第1弾性部材13は、内側部材11および外側部材12を互いに車幅方向Yに連結している。第1弾性部材13は、弾性変形時に弾性力および減衰力を発生する弾性板31、および弾性板31より硬質の硬質板32を備えるとともに、弾性板31および硬質板32が車幅方向Yに積層されて構成されている。
弾性板31および硬質板32は、複数ずつ設けられ、車幅方向Yに交互に設けられている。弾性板31は、サスペンション装置1が車両に装着された状態で、上下方向Zにほぼ無負荷の状態で設けられる。
【0022】
弾性板31および硬質板32それぞれの表裏面は、車幅方向Yを向いている。弾性板31は、例えばゴム材料、若しくは合成樹脂材料等で形成され、硬質板32は、弾性板31を形成する材質より硬度が高い、例えば金属材料、若しくは合成樹脂材料等で形成されている。
【0023】
弾性板31と、硬質板32と、内側部材11、および外側部材12それぞれにおいて、車幅方向Yで互いに対向し、かつ第1弾性部材13が取付けられる第1取付面26、および第2取付面27と、は、上下方向Zから見て、図2に示されるように、車幅方向Yの内側YIに向けて突の曲線を呈するように湾曲している。
【0024】
ここで、内側部材11には、車幅方向Yの外側YOに向けて突出し、前後方向Xに延びる直方体状の内突部11bが形成されており、内突部11bにおける車幅方向Yの外側YOを向く面に、第1取付面26が形成されている。内突部11bおよび第1取付面26は、内側部材11における前後方向Xの全長にわたって形成されている。図3に示されるように、内突部11bおよび第1取付面26は、上下一対備えられ、車軸Aを上下方向Zに挟む各位置に設けられている。上下一対の内突部11bおよび第1取付面26は、車軸Aから上下方向Zに同じ距離離れて設けられている。
【0025】
また、外側部材12には、車幅方向Yの内側YIに向けて突出し、前後方向Xに延びる直方体状の外突部12bが形成されており、外突部12bにおける車幅方向Yの内側YIを向く面に、第2取付面27が形成されている。外突部12bおよび第2取付面27は、外側部材12における前後方向Xの全長にわたって形成されている。外突部12bおよび第2取付面27は、上下一対備えられ、車軸Aを上下方向Zに挟む各位置に設けられている。上下一対の外突部12bおよび第2取付面27は、車軸Aから上下方向Zに同じ距離離れて設けられている。図2に示されるように、第2取付面27のうち、少なくとも前後方向Xの中央部は、第1取付面26における前後方向Xの両端部より、車幅方向Yの内側YIに位置している。
【0026】
外突部12bは、前後方向Xに沿って中央部から離れるに従い、車幅方向Yの大きさが小さくなっている。外突部12bにおける前後方向Xの両端面は、上下方向Zおよび車幅方向Yに延びる平面になっている。外突部12bの後端面の車幅方向Yの大きさは、外突部12bの前端面の車幅方向Yの大きさより大きくなっている。外突部12bの後端面は、第1壁部22の前面に対して前方に位置し、かつ前後方向Xで対向している。外突部12bの上端面は、前後方向Xおよび車幅方向Yに延びる平面となっている。上下一対の外突部12bのうち、上方に位置する外突部12bの上端面は、第2壁部23の下面に対して下方に位置し、かつ上下方向Zで対向している。
【0027】
ここで、規制部材15は、内側部材11に設けられ、外側部材12の一定量を超えた後方移動を規制する。規制部材15は、例えばゴム材料、若しくは合成樹脂材料等で形成され、第1壁部22の前面に設けられている。規制部材15は、上下方向Zに延びる直方体状に形成されている。規制部材15は、外突部12bの後端面と前後方向Xで対向している。図1に示されるように、規制部材15は、上下一対設けられている。規制部材15は、外突部12bの後端面における上下方向Zの全長にわたって前後方向Xで対向している。
【0028】
上下方向Zから見て、弾性板31、硬質板32、第1取付面26、および第2取付面27それぞれの曲率中心は、タイヤTの赤道部CLより車幅方向Yの外側YOに位置している。前記曲率中心は、車軸Aより後方に位置している。なお、車軸Aに対する前記曲率中心の前後方向Xの位置は、適宜変更してもよい。図2に示されるように、前後方向Xおよび車幅方向Yに沿う断面視において、第1取付面26と第2取付面27との車幅方向Yの距離は、前後方向Xの全長にわたって同等になっている。
【0029】
第1弾性部材13は、上下一対備えられ、車軸Aを上下方向Zに挟む各位置に設けられている。第1取付面26は、内側部材11における上部および下端部に各別に設けられ、第2取付面27は、外側部材12における上下方向Zの両端部に設けられている。
【0030】
弾性板31、硬質板32、第1取付面26、および第2取付面27は、図3に示されるように、上下方向Zおよび車幅方向Yに沿う断面視で、車軸A側から上下方向Zに離れるに従い、車幅方向Yの内側YIに向けて延びている。これにより、図3に示されるような断面視において、一対の第1弾性部材13それぞれにおける中央部を通り、かつ弾性板31および硬質板32に直交する向きに延びる各直線Lの交点が、内側部材11より車幅方向Yの内側YIに位置する。
【0031】
第2弾性部材14は、内側部材11および外側部材12により上下方向Zに挟まれている。第2弾性部材14は、内側部材11および外側部材12を互いに上下方向Zに連結している。第2弾性部材14は、第2壁部23の下面と、上下一対の外突部12bのうち、上方に位置する外突部12bの上端面と、により上下方向Zに挟まれて支持されている。第2弾性部材14は、サスペンション装置1が車両に装着された状態で、上下方向Zに圧縮変形する。
【0032】
第2弾性部材14は、上下方向Zに延びる筒状に形成されている。第2弾性部材14は、例えばゴム材料、若しくは合成樹脂材料等で形成されている。第2弾性部材14は、弾性変形時に弾性力および減衰力を発生する。
図2に示されるように、第2弾性部材14、および車軸Aそれぞれの前後方向Xの位置は、互いに同じになっている。第2弾性部材14、および車軸Aそれぞれの中心軸線は、設計上互いに交差している。第2弾性部材14は、上下一対の外突部12bのうち、上方に位置する外突部12bの上端面における中央部に設けられている。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によるサスペンション装置1によれば、内側部材11の第1取付面26と、外側部材12の第2取付面27と、を互いに連結する第1弾性部材13が、弾性板31および硬質板32が車幅方向Yに積層されて構成され、上下方向Zから見て、弾性板31、硬質板32、第1取付面26、および第2取付面27が、車幅方向Yの内側YIに向けて突の曲線を呈するように湾曲し、それぞれの曲率中心が、タイヤTの赤道部CLより車幅方向Yの外側YOに位置している。
【0034】
したがって、前後方向X、若しくは車幅方向Yの外力が、車両に加えられたときに、上下方向Zから見て、弾性板31が、曲率中心回りに前後方向Xにせん断変形することとなり、外側部材12を、内側部材11に対して車軸Aとともに、曲率中心回りに前後方向Xに回転させることができる。これにより、従来のリンク機構を排除しても、車両に前述の外力が加えられたときに、図2に二点鎖線で示されるように、例えばタイヤTをトーイン方向に傾けて車体の姿勢を安定させること等ができる。
【0035】
第1弾性部材13が弾性板31を備えているので、従来のコイルスプリングやショックアブソーバを排除しても、上下方向Zの入力荷重に対して、弾性板31を上下方向Zにせん断変形させることで、弾性力および減衰力を発生させることができる。
第1弾性部材13が、弾性板31および硬質板32が車幅方向Yに積層されて構成されていることから、サスペンション装置1の車幅方向Yの剛性を確保することができる。
以上より、車幅方向Yの剛性を確保しつつ、従来のリンク機構、コイルスプリング、およびショックアブソーバを排除して、省スペース化および低コスト化を図ることができる。
【0036】
第1弾性部材13が、上下一対備えられ、車軸Aを上下方向Zに挟む各位置に設けられているので、キャンバー剛性を確保することができる。
【0037】
弾性板31、硬質板32、第1取付面26、および第2取付面27が、図3に示されるように、上下方向Zおよび車幅方向Yに沿う断面視で、車軸A側から上下方向Zに離れるに従い、車幅方向Yの内側YIに向けて延びている。
したがって、ジオメトリー上のロール中心の高さ位置を高く設定しやすくなり、旋回走行時のロール量を容易に調整することができ、また、上下方向Zの外力が車両に加えられたときに、図3に示されるような断面視において、一対の第1弾性部材13それぞれにおける中央部を通り、かつ弾性板31および硬質板32に直交する向きに延びる各直線Lの交点回りに、弾性板31が上下方向Zにせん断変形しつつ、外側部材12が、図3に二点鎖線で示されるように、内側部材11に対して車軸Aとともに、前記交点回りに上下方向Zに回転することとなり、キャンバー剛性を容易に調整することができる。
【0038】
内側部材11および外側部材12により上下方向Zに挟まれる第2弾性部材14を備えているので、従来のコイルスプリングを排除しても、上下方向Zの入力荷重に対して、弾性板31および第2弾性部材14を弾性変形させることで、弾性力を確実に発生させることができる。
第2弾性部材14が、弾性変形時に弾性力だけでなく減衰力も発生するので、従来のショックアブソーバを排除しても、上下方向Zの入力荷重に対して、弾性板31および第2弾性部材14を弾性変形させることで、減衰力を確実に発生させることができる。
【0039】
内側部材11に、外側部材12の一定量を超えた後方移動を規制する規制部材15が設けられているので、走行時にタイヤTが突起を乗り越えたときや制動時に、外側部材12が、内側部材11に対して車軸Aとともに後方に向けて過度に大きく変位するのを防ぐことができる。
【0040】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0041】
例えば、第1弾性部材13、第1取付面26、および第2取付面27は、一つずつ設けられてもよい。
弾性板31、硬質板32、第1取付面26、および第2取付面27は、上下方向Zおよび車幅方向Yに沿う断面視で、上下方向Zに真直ぐ延びてもよい。
第2弾性部材14は、弾性変形時に減衰力を発生しない材質で形成されてもよい。
【0042】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 サスペンション装置
11 内側部材
12 外側部材
13 第1弾性部材
14 第2弾性部材
15 規制部材
26 第1取付面
27 第2取付面
31 弾性板
32 硬質板
A 車軸
B 車体
CL 赤道部
T タイヤ
X 前後方向
Y 車幅方向
Z 上下方向
図1
図2
図3