(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069245
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】アルカリ蓄電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/443 20210101AFI20230511BHJP
H01M 50/44 20210101ALI20230511BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20230511BHJP
H01M 50/417 20210101ALI20230511BHJP
【FI】
H01M50/443 C
H01M50/44
H01M50/403 E
H01M50/417
H01M50/443 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180987
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】高須 大
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021BB15
5H021CC02
5H021CC03
5H021EE04
5H021HH03
(57)【要約】
【課題】短絡発生の抑制と放電特性の向上との両立を図ることができるアルカリ蓄電池を提供する。
【解決手段】アルカリ蓄電池(ニッケル水素蓄電池)2は、外装缶10と、外装缶10内にアルカリ電解液とともに収容された電極群22とを備え、電極群22は、セパレータ28を介在させて重ね合わされた正極24及び負極26を含み、セパレータ28は、繊維42をランダムに結合した不織布により形成されており、繊維42の間には、ポリオレフィン粒子48が存在しており、ポリオレフィン粒子48は、平均粒径が6μm以下であり、親水化処理が施されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、前記容器内にアルカリ電解液とともに収容された電極群とを備え、
前記電極群は、セパレータを介在させて重ね合わされた正極及び負極を含み、
前記セパレータは、繊維をランダムに結合した不織布により形成されており、
前記繊維の間には、ポリオレフィン粒子が存在しており、
前記ポリオレフィン粒子は、平均粒径が6μm以下であり、親水化処理が施されている、アルカリ蓄電池。
【請求項2】
前記ポリオレフィン粒子は、平均粒径が1μm以上である、請求項1に記載のアルカリ蓄電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ蓄電池に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ蓄電池は、容器としての外装缶と、この外装缶の中にアルカリ電解液とともに収容された電極群とを備えている。上記した電極群は、セパレータを介在させた状態で正極及び負極を重ね合わせて形成される。上記したセパレータは、繊維をランダムに結合した不織布により構成されている。セパレータは、正極と負極とを隔離し、電気的に絶縁するとともに、アルカリ電解液を保持して正極と負極との間のイオン伝導性を確保する部材である。
ここで、セパレータの絶縁が破られると正極と負極とが短絡し、アルカリ蓄電池の故障や短寿命化の原因となる。このような短絡としては、セパレータが破損して起こる一般的な短絡や、正極や負極を構成する金属成分が電池の充放電反応にともない溶解析出を繰り返すことによりこれら金属成分が樹枝状に析出するいわゆるデンドライト成長を起こし、この金属成分のデンドライトがセパレータを突き抜けることにより生じる微小短絡がある。
【0003】
これらの短絡を抑制する方法としては、セパレータの目付を増やすことが行われている(例えば、引用文献1参照)。セパレータの目付を増やせばセパレータは破れ難くなり、デンドライトも突き抜け難くなるため短絡の発生を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、単純にセパレータの目付を増やすと繊維数が増え、セパレータの厚みが増加する。セパレータの厚みが増加するとその分だけイオン伝導性が悪化し内部抵抗が上がるので、電池の放電特性が低下する。つまり、短絡の発生を抑制しようとすると電池の放電特性が阻害されてしまう。
【0006】
このため、アルカリ蓄電池においては、短絡の発生が少なく、且つ、放電特性にも優れる電池の開発が望まれている。
【0007】
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、短絡発生の抑制と放電特性の向上との両立を図ることができるアルカリ蓄電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、容器と、前記容器内にアルカリ電解液とともに収容された電極群とを備え、前記電極群は、セパレータを介在させて重ね合わされた正極及び負極を含み、前記セパレータは、繊維をランダムに結合した不織布により形成されており、前記繊維の間には、ポリオレフィン粒子が存在しており、前記ポリオレフィン粒子は、平均粒径が6μm以下であり、親水化処理が施されている、アルカリ蓄電池が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のアルカリ蓄電池は、容器と、前記容器内にアルカリ電解液とともに収容された電極群とを備え、前記電極群は、セパレータを介在させて重ね合わされた正極及び負極を含み、前記セパレータは、繊維をランダムに結合した不織布により形成されており、前記繊維の間には、ポリオレフィン粒子が存在しており、前記ポリオレフィン粒子は、平均粒径が6μm以下であり、親水化処理が施されている。このため、セパレータにおいて、繊維間にポリオレフィン粒子が存在することにより、繊維数を増やすことなく目付を増加させることができるので、短絡の発生を抑制することができ、なお且つ、親水化処理が施されたポリオレフィン粒子の周囲にアルカリ電解液を保持できるので、斯かるアルカリ電解液を介してイオン伝導性が良化され、それにともない電池の放電特性も向上する。よって、本発明によれば、短絡発生の抑制と放電特性の向上との両立を図ることができるアルカリ蓄電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係るニッケル水素蓄電池を部分的に破断して示した斜視図である。
【
図2】(a)は繊維を概略的に示した基布の断面図であり、(b)は繊維の量を増やして目付を増加させた態様を概略的に示した基布の断面図であり、(c)は繊維及びポリオレフィン粒子を概略的に示した基布の断面図である。
【
図3】ポリオレフィン粒子の平均粒径と内部抵抗との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態に係るニッケル水素蓄電池(以下、電池とも表記する)2を、図面を参照して説明する。
【0012】
電池2は、例えば、AAサイズの円筒型電池である。詳しくは、
図1に示すように、電池2は、上端が開口した有底円筒形状をなす容器としての外装缶10を備えている。外装缶10は導電性を有し、その底壁35は負極端子として機能する。外装缶10の開口には封口体11が固定されている。この封口体11は、蓋板14及び正極端子20を含み、外装缶10を封口するとともに正極端子20を提供する。蓋板14は、導電性を有する円板形状の部材である。外装缶10の開口内には、蓋板14及びこの蓋板14を囲むリング形状の絶縁パッキン12が配置され、絶縁パッキン12は外装缶10の開口縁37をかしめ加工することにより外装缶10の開口縁37に固定されている。すなわち、蓋板14及び絶縁パッキン12は互いに協働して外装缶10の開口を気密に閉塞している。
【0013】
ここで、蓋板14は中央に中央貫通孔16を有し、蓋板14の外面上には中央貫通孔16を塞ぐゴム製の弁体18が配置されている。更に、蓋板14の外面上には、弁体18を覆うようにしてフランジ付き円筒形状をなす金属製の正極端子20が電気的に接続されている。この正極端子20は弁体18を蓋板14に向けて押圧している。なお、正極端子20には、図示しないガス抜き孔が開口されている。
【0014】
通常時、中央貫通孔16は弁体18によって気密に閉じられている。一方、外装缶10内にガスが発生し、その内圧が高まれば、弁体18は内圧によって圧縮され、中央貫通孔16を開き、その結果、外装缶10内から中央貫通孔16及び正極端子20のガス抜き孔(図示せず)を介して外部にガスが放出される。つまり、中央貫通孔16、弁体18及び正極端子20は電池のための安全弁を形成している。
【0015】
外装缶10には、電極群22が収容されている。この電極群22は、それぞれ帯状の正極24、負極26及びセパレータ28を含んでいる。詳しくは、これら正極24及び負極26は、セパレータ28を間に挟み込んだ状態で渦巻状に巻回されている。すなわち、セパレータ28を介して正極24及び負極26が互いに重ね合わされている。電極群22の最外周は負極26の一部(最外周部)により形成され、外装缶10の内周壁と接触している。すなわち、負極26と外装缶10とは互いに電気的に接続されている。
【0016】
外装缶10内には、電極群22の一端と蓋板14との間に正極リード30が配置されている。詳しくは、正極リード30は、その一端が正極24に接続され、その他端が蓋板14に接続されている。従って、正極端子20と正極24とは、正極リード30及び蓋板14を介して互いに電気的に接続されている。なお、蓋板14と電極群22との間には円形の上部絶縁部材32が配置され、正極リード30は上部絶縁部材32に設けられたスリット39内を通って延びている。また、電極群22と外装缶10の底部との間にも円形の下部絶縁部材34が配置されている。
【0017】
更に、外装缶10内には、所定量のアルカリ電解液(図示せず)が注入されている。アルカリ電解液は、電極群22に含浸されており、主にセパレータ28に保持されている。このアルカリ電解液は、正極24と負極26との間での充放電の際の電気化学反応(充放電反応)を進行させる。このアルカリ電解液としては、KOH、NaOH及びLiOHのうちの少なくとも一種を溶質として含む水溶液を用いることが好ましい。
【0018】
正極24は、多孔質構造を有する導電性の正極基材と、この正極基材の空孔内に保持された正極合剤とを含む。
【0019】
このような正極基材としては、例えば、シート状のニッケル発泡体、ニッケル製多孔体のシート等を用いることができる。
【0020】
正極合剤は、正極活物質粒子と、結着剤とを含む。この結着剤は、正極活物質粒子を互いに結着させるとともに、正極活物質粒子を正極基材に結着させる働きをする。ここで、結着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)ディスパージョン、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)ディスパージョンなどを用いることができる。
【0021】
正極活物質粒子は、ニッケル水素蓄電池に一般的に用いられている水酸化ニッケルの粒子が用いられる。
【0022】
ついで、正極24は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、上記したような正極活物質粒子からなる正極活物質粉末、水及び結着剤を含む正極合剤スラリーを調製する。正極合剤スラリーは、例えば、ニッケル製多孔体のシートに充填され、その後乾燥処理が施される。乾燥処理の後、水酸化ニッケル粒子等が充填されたニッケル製多孔体のシートは、ロール圧延されてから矩形状に裁断され、これにより正極24が得られる。
【0023】
次に、負極26について説明する。
負極26は、帯状をなす導電性の負極芯体を有し、この負極芯体に負極合剤が保持されている。
【0024】
負極芯体は、貫通孔が分布されたシート状の金属材からなり、例えば、パンチングメタルシートを用いることができる。負極合剤は、負極芯体の貫通孔内に充填されるばかりでなく、負極芯体の両面上にも層状にして保持されている。
【0025】
負極合剤は、負極活物質としての水素を吸蔵及び放出可能な水素吸蔵合金粒子、導電剤及び結着剤を含む。この結着剤は水素吸蔵合金粒子及び導電剤を互いに結着させると同時に水素吸蔵合金粒子及び導電剤を負極芯体に結着させる働きをする。ここで、結着剤としては親水性若しくは疎水性のポリマーを用いることができ、導電剤としては、カーボンブラックや黒鉛を用いることができる。
【0026】
水素吸蔵合金粒子における水素吸蔵合金としては、特に限定されるものではなく、ニッケル水素蓄電池用として一般的に用いられている水素吸蔵合金を採用することができる。
【0027】
負極26は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、水素吸蔵合金粒子からなる水素吸蔵合金粉末、導電剤、結着剤及び水を混練して負極合剤ペーストを調製する。得られた負極合剤ペーストは負極芯体に塗着され、その後乾燥処理が施される。乾燥処理の後、水素吸蔵合金粒子等が付着した負極芯体はロール圧延されてから矩形状に裁断され、これにより負極26が得られる。
【0028】
セパレータ28は、繊維をランダムに結合した不織布により形成されている基布を備えている。基布を構成する繊維としては、ポリアミド繊維、あるいは、ポリプロピレン及びポリエチレンを含むポリオレフィン繊維が用いられる。上記した基布には、親水化処理が施されている。
【0029】
親水化処理としては、例えば、スルフォン化処理、フッ素処理、プラズマ処理、界面活性剤処理、グラフト重合処理等を挙げることができる。これらの処理について以下に説明する。
【0030】
スルフォン化処理では、加熱した濃硫酸(濃度が95~98%のもの)の中に基布を所定時間(例えば、10分間~20分間)浸漬する。これにより、基布の繊維の表面は改質され、親水性が付与される。
【0031】
フッ素処理では、不活性ガスで希釈したフッ素ガスに、酸素ガス、二酸化炭素ガス、二酸化硫黄ガス等を添加した混合ガスを準備し、この混合ガス中に基布を投入して処理を行う。これにより、フッ素ガスで基布の繊維の表面が改質され、親水性が付与される。
【0032】
プラズマ処理では、酸素ガスをプラズマ化して酸素のラジカルを発生させ、この酸素のラジカル中に基布を投入して処理を行う。これにより、酸素のラジカルで基布の繊維の表面が改質され、親水性が付与される。
【0033】
界面活性剤処理では、界面活性剤を溶解させた溶液を準備し、この溶液中に基布を投入して処理を行う。処理後の基布には、乾燥処理が施される。これにより、界面活性剤で基布の繊維の表面が改質される。ここで、界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキルエトキシカルボン酸塩、アシル化アミノ酸塩、飽和カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルフォン酸塩等を用いることができる。
【0034】
グラフト重合処理では、電子線照射を利用する電子線照射グラフト重合や紫外線照射を利用するUV照射グラフト重合が知られており、基材となる材料に電子線やUVを照射して基材にラジカル(反応活性種)を作った後、モノマーおよび特定の官能基(物質の性質を決める原子団)を導入することで、基材に新たな機能を持たせる手法である。グラフト重合処理を利用して対象の材料を親水化したいときには,親水性のヒドロキシル基(-OH)やカルボキシ基(-COOH)を持った2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)やアクリル酸(AAc)などのモノマーを導入する、あるいは、スルフォン酸基を持ったビニルスルフォン酸のモノマーを導入する。これにより、基布の繊維の表面が改質され、親水性が付与される。
【0035】
本実施形態においては、上記した基布を構成する繊維の間にポリオレフィン粒子が存在している。このポリオレフィン粒子は、平均粒径が6μm以下であり、親水化処理が施されている。ポリオレフィン粒子の親水化処理としては、上記した基布の繊維に施す親水化処理と同様に、スルフォン化処理、フッ素処理、プラズマ処理、界面活性剤処理、グラフト重合処理等が挙げられる。
【0036】
ここで、本明細書において、平均粒径とは、質量基準による積算が50%にあたる平均粒径を意味し、粒径分布測定装置を用いてレーザー回折・散乱法により求められる。
【0037】
また、上記したポリオレフィン粒子は、基布を構成する繊維に付着させることが好ましい。
【0038】
本実施形態によれば、基布を構成する繊維の間に親水化処理が施されているポリオレフィン粒子が存在している。繊維の間にポリオレフィン粒子が存在することにより目付が増える。ただし、繊維の量を増やして目付を増加させる場合に比べ、繊維の間にポリオレフィン粒子を存在させる場合は、セパレータ全体の厚さは、ポリオレフィン粒子が存在しない場合のセパレータの厚さとほぼ同じである。
【0039】
ここで、繊維及びポリオレフィン粒子を概略的に示した
図2の(a)、(b)、(c)を参照して説明する。
図2(a)に示す基布40は、多数の繊維42が積層されており、所定の厚さを有する。ここで、基布40の目付は、例えば、50g/m
2とする。
【0040】
図2(b)では、繊維42の数量を基布40よりも増やして目付を増加させる態様を示している。
図2(b)の基布44の目付は、例えば、60g/m
2とする。基布44のように繊維の数量を増やすことで基布の目付を増加させると、単純に基布の厚さが増加する。
図2(a)の基布40と、
図2(b)の基布44とを比較すると、基布44の方が基布40よりも厚いことがわかる。
【0041】
一方、
図2(c)では、
図2(a)の基布40と同様の目付が50g/m
2である基布46に対し、繊維42の間にポリオレフィン粒子48を多数存在させることにより目付を増やす態様を示している。このとき、ポリオレフィン粒子の目付は、例えば、10g/m
2とする。
図2(c)の基布46の場合、基布40と比べ繊維の数量は増えておらず、繊維42の隙間にポリオレフィン粒子48が入り込んでいるだけなので、厚さは基布40とほぼ同じであるが、全体の目付としては、基布の部分の目付50g/m
2にポリオレフィン粒子の部分の目付10g/m
2が加えられ合計で60g/m
2となり、基布44と同じ目付となっている。
【0042】
以上より、基布の繊維の間にポリオレフィン粒子を存在させる態様を採用すれば、セパレータの厚さを変えずに目付を増やすことができるので、短絡の発生を抑制でき、短絡品質の向上が図れる。しかも、基布を構成する繊維の間に存在するポリオレフィン粒子は親水化処理が施されているので、アルカリ電解液がポリオレフィン粒子と馴染むため、ポリオレフィン粒子の表面に濡れ広がってポリオレフィン粒子の表面を覆う。このため、基布を構成する繊維の間においても、ポリオレフィン粒子の周囲のアルカリ電解液を介してイオン伝導性が良化する。その結果、電池の放電特性が向上する。つまり、本実施形態のセパレータを用いれば短絡の発生の抑制と放電特性の向上の両立を図ることができる。ここで、上記の効果は、ポリオレフィン粒子の平均粒径が6μm以下の場合に顕著となる。また、上記の効果は、少なくともポリオレフィン粒子の平均粒径が1μmの態様で得られることが確認されている。よって、ポリオレフィン粒子の平均粒径は1μm以上とすることが好ましい。
【0043】
なお、
図2(a)は、後述する比較例1の態様に相当し、
図2(b)は、後述する比較例2の態様に相当し、
図2(c)は、後述する実施例1~3の態様に相当する。
【0044】
以上のようにして製造された正極24及び負極26は、セパレータ28を介在させた状態で、渦巻き状に巻回され、これにより電極群22が形成される。
【0045】
このようにして得られた電極群22は、外装缶10内に収容される。引き続き、当該外装缶10内には所定量のアルカリ電解液が注入される。ここで、アルカリ電解液としては、KOH、NaOH及びLiOHのうちの少なくとも一種を溶質として含むアルカリ電解液を用いることが好ましい。その後、電極群22及びアルカリ電解液を収容した外装缶10は、正極端子20を備えた封口体11により封口され、本実施形態に係る電池2が得られる。得られた電池2は、初期活性化処理が施され、使用可能状態とされる。
【0046】
[実施例]
1.電池の製造
(実施例1)
【0047】
(1)正極の作製
水酸化ニッケル100質量部に対して、亜鉛が4.0質量部、コバルトが1.0質量部となるように、硫酸ニッケル、硫酸亜鉛及び硫酸コバルトを計量し、これらを、アンモニウムイオンを含む1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に加え、混合水溶液を調製した。得られた混合水溶液を攪拌しながら、この混合水溶液に1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加して反応させ、ここでの反応中のpHを11に安定させて、水酸化ニッケルを主体とし、Zn及びCoを固溶したベース粒子を生成させた。
【0048】
得られたベース粒子を10倍の量の純水で3回洗浄した後、脱水及び乾燥処理を行った。なお、得られたベース粒子につき、レーザー回折・散乱式粒径分布測定装置を用いて粒径を測定した結果、斯かるベース粒子の質量基準による積算が50%にあたる平均粒径は8μmであった。
【0049】
次に、得られたベース粒子を硫酸コバルト水溶液中に投入し、この硫酸コバルト水溶液を撹拌しながら、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を徐々に滴下して反応させ、ここでの反応中のpHを11に維持しながら沈殿物を生成させた。ついで、生成した沈殿物を濾別して、純水で洗浄したのち、真空乾燥させた。これにより、ベース粒子の表面に5質量%の水酸化コバルトの層を備えた中間生成物粒子を得た。なお、水酸化コバルトの層の厚さは約0.1μmであった。
【0050】
ついで、この中間生成物粒子を濾別し、洗浄、乾燥を行った後、斯かる中間生成物粒子を25質量%の水酸化ナトリウム水溶液中に投入した。ここで、中間生成物粒子の集合体である粉末の質量をPとし、水酸化ナトリウム水溶液の質量をQとした場合、これらの質量比が、P:Q=1:10となるように設定した。そして、この中間生成物の粉末が加えられた水酸化ナトリウム水溶液を撹拌しながら温度が85℃で一定のまま8時間保持する加熱処理(アルカリ熱処理)を施した。このアルカリ熱処理により、被覆層の水酸化コバルトはナトリウムを含有するとともに、一部が高次化された。
【0051】
上記したアルカリ熱処理を経た中間生成物の粉末を純水で洗浄し、65℃の温風を当てて乾燥させた。これにより、Zn及びCoを固溶したベース粒子の表面に1質量%のナトリウムを含有し且つ一部が高次化された水酸化コバルトの被覆層が形成された正極活物質粒子の集合体である正極活物質粉末を得た。
【0052】
次に、上記したようにして得られた正極活物質粉末100質量部に、正極添加剤としての酸化イットリウムの粉末0.5質量部、酸化ニオブの粉末0.3質量部、及び酸化亜鉛の粉末0.5質量部と、結着剤としてのヒドロキシプロピルセルロースの粉末を0.2質量%含む水50.0質量部とを添加して混練し、正極合剤のスラリーを調製した。
【0053】
ついで、この正極合剤のスラリーを正極基材としてのシート状のニッケル発泡体に充填した。ここで、ニッケル発泡体としては、面密度(目付)が約350g/m2、多孔度が95%、厚みが1.3mmであるものを用いた。
【0054】
正極合剤のスラリーが充填されたニッケル発泡体を乾燥後、正極合剤が充填されたニッケル発泡体を、以下の式(I)で計算される正極活物質の充填密度が3.0g/cm3となるように調整して圧延した後、所定の寸法に切断して、AAサイズ用の正極24を得た。
【0055】
正極活物質の充填密度[g/cm3]=正極合剤質量[g]÷(電極高さ[cm]×電極長さ[cm]×電極厚み[cm]-ニッケル発泡体の質量[g]÷ニッケルの密度[g/cm3])・・・(I)
【0056】
(2)負極の製造
La、Sm、Mg、Ni、Alの各金属材料を所定のモル比となるように混合した後、高周波誘導溶解炉に投入して溶解させ、これを冷却してインゴットを製造した。
【0057】
ついで、このインゴットに対し、温度1000℃のアルゴンガス雰囲気下にて10時間加熱する熱処理を施して均質化した後、アルゴンガス雰囲気下で機械的に粉砕して、希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金粉末を得た。得られた希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金粉末について、レーザー回折・散乱式粒径分布測定装置により粒径分布を測定した。その結果、質量基準による積算が50%にあたる平均粒径は65μmであった。
【0058】
この水素吸蔵合金粉末の組成を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)によって分析したところ、組成は、La0.27Sm0.63Mg0.10Ni3.33Al0.17であった。また、この水素吸蔵合金粉末についてX線回折測定(XRD測定)を行ったところ、結晶構造は、いわゆる超格子構造のA2B7型(Ce2Ni7型)であった。
【0059】
水素吸蔵合金粉末100質量部に対し、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム1.0質量部、導電剤としてのカーボンブラック1.0質量部、および水30質量部を添加してこれらを混練し、負極合剤ペーストを調製した。
【0060】
この負極合剤ペーストを負極芯体としての鉄製のパンチングメタルシートの両面に均等、且つ、厚さが一定となるように塗布した。このとき、負極合剤ペーストはパンチングメタルシートの貫通孔内にも充填される。なお、このパンチングメタルシートは60μmの厚みを有し、その表面にはニッケルめっきが施されている。
【0061】
負極合剤ペーストの乾燥後、水素吸蔵合金等を保持したパンチングメタルシートを、以下の式(II)で計算される水素吸蔵合金の充填密度が6.4g/cm3となるように調整して圧延し、負極の中間製品を得た。
【0062】
水素吸蔵合金の充填密度[g/cm3]=水素吸蔵合金質量[g]÷(電極高さ[cm]×電極長さ[cm]×電極厚み[cm]-パンチングメタルシートの質量[g]÷鉄の密度[g/cm3])・・・(II)
その後、当該負極の中間製品を所定の寸法に切断してAAサイズ用の負極26を得た。
【0063】
(3)セパレータの作製
(i)基布の作製
ポリプロピレン及びポリエチレンを含むポリオレフィン系繊維を、公知の方法でランダムに結合して得られる不織布からなる基布を作製した。ここで、得られた基布においては、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)との質量比は、PP/PE=6/4とし、目付は、50g/m2とした。
【0064】
次いで、加熱した濃度95%の濃硫酸中に上記のようにして得られた基布を15分間浸漬させ、スルフォン化処理を施した。
【0065】
(ii)ポリオレフィン粒子の親水化(グラフト重合処理)
平均粒径が1μmのポリオレフィン粒子(三井化学株式会社製ケミパール)を準備した。このポリオレフィン粒子が75%、アクリル酸が10%、ベンゾフェノンが1%、水が14%となるようにこれらを混合し混合液を調製した。
【0066】
得られた混合液をポリエチレン袋に封入し、60℃のホットプレートで加熱しながらUV照射を行った。これによりアクリル酸からのヒドロキシル基が導入され、親水化されたポリオレフィン粒子が得られた。
【0067】
(iii)基布の繊維間にポリオレフィン粒子を結合させる方法
上記のようにして得られた親水化されたポリオレフィン粒子が50%、水が49.5%、オクタン酸が0.5%となるようにこれらを混合し、ポリオレフィン粒子の分散溶液を調製した。この分散溶液をバットに注ぎ、分散溶液内へ上記のようにして得られた基布を浸漬した。その後、140℃で加熱し、その温度で30分間保持することにより、繊維の表面を溶かしてポリオレフィン粒子を繊維に結合させた。
【0068】
その後、ポリオレフィン粒子を含む基布をオーブンの中に入れ、60℃に保持して乾燥処理を施した。このようにして、ポリオレフィン粒子を繊維間に存在させた基布を得た。次いで、得られた基布をAAサイズ用の所定寸法に裁断した。これにより、セパレータを得た。
【0069】
ここで、基布の繊維間に存在させるポリオレフィン粒子の目付は、10g/m2とした。よって、得られたセパレータにおいては、基布自体の目付が50g/m2であり、ポリオレフィン粒子の目付が10g/m2であるので、セパレータ全体としての目付は60g/m2となった。
【0070】
(4)ニッケル水素蓄電池の組み立て
上記のようにして得られた正極24及び負極26をこれらの間にセパレータ28を挟んだ状態で渦巻状に巻回し、電極群22を製造した。
【0071】
一方、KOH、NaOH及びLiOHを溶質として含む水溶液であるアルカリ電解液を準備した。このアルカリ電解液は、KOH、NaOH及びLiOHの質量混合比が、KOH:NaOH:LiOH=4:5:1であり、比重が1.31である。
【0072】
ついで、有底円筒形状の外装缶10内に上記した電極群22を収容するとともに、準備したアルカリ電解液を2.0g注入した。その後、封口体11で外装缶10の開口を塞ぎ、公称容量2000mAhのAAサイズの電池2を組み立てた。
【0073】
(5)初期活性化処理
得られた電池2に対し、温度25℃の環境下にて、1.0Cの充電電流で16時間の充電を行った後、1.0Cの放電電流で電池電圧が1.0Vになるまで放電させる充放電作業を1サイクルとする充放電サイクルを3回繰り返した。このようにして初期活性化処理を行い、電池2を使用可能状態とした。
【0074】
(実施例2)
ポリオレフィン粒子の平均粒径を3μmとしたことを除き、実施例1と同様にしてニッケル水素蓄電池を作製した。
【0075】
(実施例3)
ポリオレフィン粒子の平均粒径を6μmとしたことを除き、実施例1と同様にしてニッケル水素蓄電池を作製した。
【0076】
(比較例1)
ポリオレフィン粒子を含んでいないことを除き、実施例1と同様にしてニッケル水素蓄電池を作製した。
【0077】
(比較例2)
ポリオレフィン粒子を含んでいないこと、及び基布の目付を60g/m2としたことを除き、実施例1と同様にしてニッケル水素蓄電池を作製した。
(比較例3)
ポリオレフィン粒子の親水化処理を施していないことを除き、実施例1と同様にしてニッケル水素蓄電池を作製した。
(比較例4)
ポリオレフィン粒子の平均粒径を9μmとしたことを除き、実施例1と同様にしてニッケル水素蓄電池を作製した。
(比較例5)
ポリオレフィン粒子の平均粒径を12μmとしたことを除き、実施例1と同様にしてニッケル水素蓄電池を作製した。
(比較例6)
ポリオレフィン粒子の平均粒径を15μmとしたことを除き、実施例1と同様にしてニッケル水素蓄電池を作製した。
【0078】
2.ニッケル水素蓄電池の評価
(1)内部抵抗
初期活性化処理済みの実施例1~3及び比較例1~6の各電池について、25℃の環境下にて、内部抵抗を測定した。その結果を表1に示した。また、実施例1~3及び比較例4~6の各電池について、ポリオレフィン粒子の平均粒径と内部抵抗との関係を示したグラフを
図3に示した。
【0079】
(2)高率放電特性
初期活性化処理済みの実施例1~3及び比較例1~6の各電池について、25℃の環境下にて、1.0Cで充電を行った。このとき、電池電圧が最大値に達した後、この最大値から10mV低下したときに充電を終了する、いわゆる-ΔV制御での充電(以下、単に-ΔV充電という)を行った。この-ΔV充電が終了した電池を25℃の環境下で1時間放置した。その後、0.2Cで電池電圧が1.0Vに到達するまで放電させる0.2Cレートでの放電を行った。そして、このときの電池の放電容量を求めた。この放電容量を0.2C放電容量とした。
【0080】
0.2C放電容量を求めた後の電池を25℃の環境下で1時間放置した。その後、各電池を25℃の環境下に置き、1.0Cで-ΔV充電を行った。この-ΔV充電が終了した電池を25℃の環境下で1時間放置した。その後、2.0Cで電池電圧が1.0Vに到達するまで放電させる2.0Cレートでの放電を行った。このときの放電容量を求めた。この放電容量を2.0C放電容量とした。
【0081】
0.2Cレートでの放電容量に対する、2.0Cレートでの放電容量の比率を以下の(III)式から算出した。その結果を2C放電率(対0.2C)として表1に示した。
2C放電率[%]=(2.0C放電容量/0.2C放電容量)×100・・・(III)
ここで、2C放電率の値が高いほど高率放電特性に優れていることを示す。
【0082】
(3)低温放電特性
初期活性化処理済みの実施例1~3、比較例1~6の電池に対し、25℃の環境下にて、1.0Cで-ΔV充電を行った。この-ΔV充電が終了した電池を25℃の環境下で3時間放置した。その後、25℃の環境下、1.0Cで電池電圧が1.0Vに到達するまで放電させる1.0Cレートでの放電を行った。そして、このときの電池の放電容量を求めた。この放電容量を25℃放電容量とした。
【0083】
25℃放電容量を求めた後の電池を25℃の環境下で1時間放置した。その後、各電池を25℃の環境下に置き、1.0Cで-ΔV充電を行った。この-ΔV充電が終了した電池を-10℃の環境下で3時間放置した。その後、-10℃の環境下、1.0Cで電池電圧が1.0Vに到達するまで放電させる1.0Cレートでの放電を行った。このときの放電容量を求めた。この放電容量を-10℃放電容量とした。
【0084】
25℃放電容量に対する、-10℃放電容量の比率を以下の(IV)式から算出した。その結果を-10℃放電率(対25℃)として表1に示した。
-10℃放電率[%]=(-10℃放電容量/25℃放電容量)×100・・・(IV)
ここで、-10℃放電率の値が高いほど低温放電特性に優れていることを示す。
【0085】
【0086】
(4)考察
(i)基布のみによって形成されたセパレータを含む比較例1の電池においては、内部抵抗は25.4mΩであり、2C放電率は90.4%であり、-10℃放電率は90.2%であった。これに対し、同じく基布のみによって形成されたセパレータを含み、目付を繊維の数量を増やすことで増加させた比較例2の電池においては、内部抵抗は26.8mΩであり、2C放電率は88.4%であり、-10℃放電率は82.2%であった。比較例2の電池は、セパレータの目付が60g/m2であり、比較例1の電池よりも目付が大きいので、短絡を起こし難く、比較例1の電池よりも短絡品質に優れている。しかし、比較例2の電池は、内部抵抗の値が比較例1の電池に比べ高くなっており、2C放電率及び-10℃放電率の値が比較例1の電池に比べ低くなっており、比較例1の電池よりも放電特性が劣っている。つまり、繊維の数量を増やしてセパレータの目付を増加させた場合、放電特性が劣化することがわかる。
【0087】
(ii)実施例1の電池は、基布の目付が50g/m2であり、基布の繊維間にポリオレフィン粒子を存在させて更に目付を10g/m2分だけ増やし、全体として60g/m2の目付のセパレータを含んでいる。この実施例1の電池においては、内部抵抗は23.1mΩであり、2C放電率は93.1%であり、-10℃放電率は94.8%であった。この実施例1と上記した比較例2との対比から、同じ目付でも基布の繊維の間に親水化処理を施したポリオレフィン粒子を存在させているセパレータを含む実施例1の電池は、繊維のみの基布からなるセパレータを含む比較例2の電池よりも放電特性が優れていることがわかる。また、実施例1と上記した比較例1との対比から、目付が50g/m2であり、厚さが同じ基布であっても、繊維の間に親水化処理を施したポリオレフィン粒子を存在させると放電特性が向上することがわかる。
【0088】
(iii)比較例3の電池は、ポリオレフィン粒子に親水化処理を施していないことを除いて実施例1の電池と同じ構成である。この比較例3の電池においては、内部抵抗は28.5mΩであり、2C放電率は86.3%であり、-10℃放電率は74.9%であった。この比較例3と上記した実施例1との対比から、ポリオレフィン粒子に親水化処理を施すことにより放電特性が向上することがわかる。また、比較例1、2と比較例3との対比から、比較例3の放電特性は比較例1、2の放電特性よりも低いので、繊維の間に親水化処理を施していないポリオレフィン粒子を導入しただけでは、放電特性は低下することがわかる。
【0089】
(iv)実施例1~3、比較例4~6の電池は、ポリオレフィン粒子の平均粒径を変化させたことを除いて、それぞれ同じ構成である。表1及び
図3の結果より、親水化処理を施したポリオレフィン粒子の平均粒径が9μm、12μm、15μmの比較例4~6の電池は、内部抵抗が26.4~26.9mΩであり、ポリオレフィン粒子を含まない比較例2の電池の内部抵抗(26.8mΩ)と同等である。しかし、親水化処理を施したポリオレフィン粒子の平均粒径が6μm以下となると内部抵抗の値は25.5mΩ以下となり、改善効果が大きく、放電特性が向上することがわかる。
【0090】
(v)以上より、親水化処理を施したポリオレフィン粒子であって、平均粒径が6μm以下のポリオレフィン粒子が繊維間に存在しているセパレータを含むアルカリ蓄電池は、短絡発生の抑制と放電特性の向上との両立を図ることができるといえる。
【0091】
なお、本発明は、上記した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明が適用される電池は、アルカリ蓄電池であればよく、ニッケル水素蓄電池の他に、例えば、ニッケルカドミウム蓄電池、ニッケル亜鉛蓄電池等を挙げることができる。また、電池の機械的な構造は格別限定されることはなく、円筒形電池のほか、角形電池であってもよい。
【符号の説明】
【0092】
2 ニッケル水素蓄電池
22 電極群
24 正極
26 負極
28 セパレータ
40 基布
42 繊維
44 基布
46 基布
48 ポリオレフィン粒子