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特開2023-6925堆肥化由来ガス処理装置、堆肥化由来ガスを処理する方法、及び堆肥製造システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006925
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】堆肥化由来ガス処理装置、堆肥化由来ガスを処理する方法、及び堆肥製造システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/38 20060101AFI20230111BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20230111BHJP
   C05F 3/06 20060101ALI20230111BHJP
   C05F 9/02 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B01D53/38 120
B01D53/38 ZAB
B01D53/14 200
C05F3/06
C05F9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109800
(22)【出願日】2021-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】521290496
【氏名又は名称】株式会社産業科学研究開発センター
(71)【出願人】
【識別番号】521290500
【氏名又は名称】高倉 ▲満▼
(71)【出願人】
【識別番号】521290511
【氏名又は名称】河野 則子
(74)【代理人】
【識別番号】100173679
【弁理士】
【氏名又は名称】備後 元晴
(72)【発明者】
【氏名】高倉 ▲満▼
(72)【発明者】
【氏名】河野 則子
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
4H061
【Fターム(参考)】
4D002AA03
4D002AA13
4D002AB02
4D002BA02
4D002BA13
4D002CA01
4D002DA35
4D002EA13
4D002GA01
4D002GB03
4D002GB09
4D020AA04
4D020AA10
4D020BA23
4D020BC06
4D020CB25
4D020CC09
4D020CC21
4D020CD03
4D020DA03
4D020DB02
4D020DB08
4H061AA03
4H061CC36
4H061CC47
4H061CC55
4H061GG67
4H061HH42
(57)【要約】
【課題】大型の臭気成分除去手段を設置することが困難な場所であっても堆肥化由来ガスに含まれる臭気成分を除去可能な手段を提供する。
【解決手段】本発明の堆肥化由来ガス処理装置1は、有機物の堆肥化において生じ、かつ、臭気成分を含む堆肥化由来ガスGを外気との熱交換によって冷却可能な1以上の空冷式熱交換部2と、空冷式熱交換部2によって冷却された堆肥化由来ガスGを、液体を用いた熱交換によって冷却可能な1以上の液冷式熱交換部(例えば、図1の符号3a、3b、及び4)と、液冷式熱交換部によって冷却された堆肥化由来ガスGに含まれる臭気成分の少なくとも一部を、水系溶媒Lに溶解させることが可能な臭気成分溶解部5と、を備える。本発明において、JIS Z8802:2011の規定に従い測定される水系溶媒LのpHは、臭気成分を溶解させていない場合において6.0以上8.0以下であることが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物の堆肥化において生じ、かつ、臭気成分を含む堆肥化由来ガスを外気との熱交換によって冷却可能な1以上の空冷式熱交換部と、
前記空冷式熱交換部によって冷却された前記堆肥化由来ガスを、液体を用いた熱交換によって冷却可能な1以上の液冷式熱交換部と、
前記液冷式熱交換部によって冷却された前記堆肥化由来ガスに含まれる前記臭気成分の少なくとも一部を、水系溶媒に溶解させることが可能な臭気成分溶解部と、
を備える、堆肥化由来ガス処理装置。
【請求項2】
JIS Z8802:2011の規定に従い測定される前記水系溶媒のpHは、前記臭気成分を溶解させていない場合において6.0以上8.0以下である、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記1以上の液冷式熱交換部の数は、2以上であり、
2以上の前記液冷式熱交換部は、
前記熱交換に用いる前記液体を外気によって冷却可能な放熱器と前記放熱器によって冷却された液体を用いて前記堆肥化由来ガスを冷却可能な所定熱交換器とを有する1以上の所定液冷式熱交換部と、
前記所定液冷式熱交換部と異なる前記液冷式熱交換部であって、前記熱交換に用いる前記液体を冷却可能な冷凍機と前記冷凍機によって冷却された液体を用いて前記堆肥化由来ガスを冷却可能な特定熱交換器とを有する1以上の特定液冷式熱交換部と、
を含み、
前記1以上の特定液冷式熱交換部の1以上は、前記所定液冷式熱交換部によって冷却された前記堆肥化由来ガスを冷却可能であるよう構成される、
請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記空冷式熱交換部が冷却する前記堆肥化由来ガスの温度は、50℃以上75℃以下であり、前記臭気成分は、アンモニア(NH)を含み、前記水系溶媒は、水を含み、前記冷凍機は、前記熱交換に用いる前記液体の温度を25℃以下に冷却可能に構成される、請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記空冷式熱交換部及び/又は前記液冷式熱交換部における結露によって生じた前記臭気成分を含む臭気成分含有液体並びに前記臭気成分溶解部で生じた前記臭気成分が含まれる前記水系溶媒の1以上から前記臭気成分の少なくとも一部又は全部を除去可能な臭気成分除去部をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項6】
有機物の堆肥化において生じ、かつ、臭気成分を含む堆肥化由来ガスを外気との熱交換によって冷却する第1熱交換ステップと、
前記第1熱交換ステップによって冷却された前記堆肥化由来ガスを液体との熱交換によって冷却する第2熱交換ステップと、
前記第2熱交換ステップによって冷却された前記堆肥化由来ガスに含まれる前記臭気成分の少なくとも一部を水系溶媒に溶解させる臭気成分溶解ステップと、
を含む、堆肥化由来ガスを処理する方法。
【請求項7】
有機物を堆肥化可能な堆肥製造装置と、
請求項1から5のいずれか1項に記載の処理装置と、
を含んで構成され、
前記堆肥化由来ガスは、前記堆肥製造装置による前記有機物の前記堆肥化において生じたガスを含む、
堆肥製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、堆肥化由来ガス処理装置、堆肥化由来ガスを処理する方法、及び堆肥製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
家畜排せつ物、生ごみ、もみがら、及び落ち葉等によって例示される有機物を堆肥化することにより、これらの有機物を有機肥料である堆肥として利用し得る。有機物を堆肥化するときに生じる堆肥化由来ガスは、アンモニア及び硫化水素等によって例示される臭気成分を気体の態様で含み得るため、悪臭を放ち得る。このため、堆肥化由来ガスから臭気成分を除去する要望がある。
【0003】
有機物を堆肥化するときに生じる堆肥化由来ガスから臭気成分を除去する工夫として、特許文献1は、二酸化炭素の供給部、アンモニアの供給部、水の供給部と、これらの供給部から供給された二酸化炭素、アンモニア、及び水を接触させる充填塔とを備え、ステンレス鋼を含む充填材が設けられた充填塔内で二酸化炭素とアンモニアと水とを接触させる技術を開示している。特許文献1によれば、ステンレス鋼触媒下で二酸化炭素とアンモニアとを速やかに反応させて水に溶解し、堆肥化由来ガスに含まれる臭気成分であるアンモニアを除去し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-214243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
臭気成分を含んだ堆肥化由来ガスを長距離輸送すると、ガスパイプ及びガス運搬車等によって例示される輸送部材の管理コストが膨大となり得る。また、臭気成分を含んだ堆肥化由来ガスを長距離輸送すると、輸送中に臭気成分が漏出するリスクが増し得る。したがって、臭気成分除去手段は、堆肥化を行う堆肥化装置の周辺に設置することが好ましい。
【0006】
しかし、設置済の堆肥化装置の周辺にある場所及び/又は臭気成分除去手段を有する堆肥化装置を新規に設置する場所は、非方形の場所(例えば、三角地等)、狭い場所(例えば、複数の建物によって囲まれた場所等)、及び細長い場所(例えば、2以上の建物の間にある場所、建物と道路との間にある場所等)等によって例示される、大型の臭気成分除去手段を設置することが困難な場所である場合があり得る。
【0007】
特許文献1の技術は、臭気成分であるアンモニアの供給源、アンモニアを溶解させる水の供給源に加えて二酸化炭素の供給部と充填塔とを必要とするため、比較的大型の構成となり得る。したがって、特許文献1の技術は、大型の臭気成分除去手段を設置することが困難な場所で臭気成分を除去する点において、さらなる改良の余地がある。
【0008】
本発明の目的は、大型の臭気成分除去手段を設置することが困難な場所であっても堆肥化由来ガスに含まれる臭気成分を除去可能な手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、外気及び液体を用いて堆肥化由来ガスを冷却し、冷却によって臭気成分の水系溶媒に対する溶解度を高めたのちに臭気成分溶解部で臭気成分を水系溶媒に溶解させる構成により、熱交換部及び臭気成分溶解部のそれぞれを小型化可能として、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0010】
第1の特徴に係る発明は、有機物の堆肥化において生じ、かつ、臭気成分を含む堆肥化由来ガスを外気との熱交換によって冷却可能な1以上の空冷式熱交換部と、前記空冷式熱交換部によって冷却された前記堆肥化由来ガスを、液体を用いた熱交換によって冷却可能な1以上の液冷式熱交換部と、前記液冷式熱交換部によって冷却された前記堆肥化由来ガスに含まれる前記臭気成分の少なくとも一部を、水系溶媒に溶解させることが可能な臭気成分溶解部と、を備える、堆肥化由来ガス処理装置(以下、単に「処理装置」とも称する。)を提供する。
【0011】
堆肥化由来ガスから臭気成分を除去する堆肥化由来ガス処理の一例として、微生物を用いて臭気成分を除去する微生物利用除去処理、堆肥化由来ガスを水系溶媒と接触させる等して臭気成分を水系溶媒に溶解させて除去する水系溶媒利用除去処理等が挙げられる。
【0012】
微生物利用除去処理は、微生物を培養する微生物槽を必要とし得る。このような微生物槽は、微生物の培養に適した環境(例えば、必要栄養分を豊富に含む環境、至適生育温度の環境、至適生育pHの環境、及び/又は至適生育酸素濃度の環境等)に微生物槽の環境を維持するための比較的大型の部材を必要とし得る。また、微生物槽の環境を維持し、微生物を培養する管理コスト等が膨大なものとなり得る。
【0013】
第1の特徴に係る発明によれば、臭気成分の少なくとも一部を、水系溶媒に溶解させることが可能な臭気成分溶解部を用いるため、微生物利用除去処理との比較においてより小型の部材で臭気成分を除去し得る。
【0014】
臭気成分を水系溶媒に溶解させることに関し、有機物の堆肥化において生じる堆肥化由来ガスは、例えば55℃以上70℃以下の高温で、アンモニア、硫化水素等によって例示される臭気成分を気体の態様で含む。液体に対する気体分子の溶解度は、通常、より低温であるほどより高くなることが知られている。堆肥化由来ガスを冷却して低温(例えば、常温以下)にすれば、臭気成分を水系溶媒に溶解させて除去する処理の効率を改善し得る。
【0015】
しかしながら、水冷式熱交換器、熱交換器に冷水を供給するポンプ、及び当該冷水を冷却する冷凍機を組み合わせた水冷式冷却手段のみを用いて高温の堆肥化由来ガスを冷却する場合、堆肥化由来ガスの全部を高温から低温に冷却するため、冷水が堆肥化由来ガスから受け取る熱量が膨大なものとなり得る。冷水がそのような膨大な熱量を堆肥化由来ガスから受け取ることが可能であるよう構成された水冷式熱交換器、ポンプ、及び/又は冷凍機は、大型となり得る。
【0016】
したがって、水冷式冷却手段のみを用いて高温の堆肥化由来ガスを冷却する方法は、大型の臭気成分除去手段を設置することが困難な場所へ臭気成分処理手段を設置する点において、さらなる改良の余地がある。
【0017】
第1の特徴に係る発明によれば、1以上の空冷式熱交換部が外気との熱交換によって堆肥化由来ガスを冷却するため、大型のポンプ及び/又は大型の冷凍機等を用いることなく、堆肥化由来ガスの温度を外気の温度と略同じ温度にするよう冷却し得る。そして、外気の温度と略同じ温度になった堆肥化由来ガスを冷却する液冷式熱交換部が外気の温度から臭気成分の水系溶媒への溶解度が高い所望の温度まで堆肥化由来ガスを冷却し得る。
【0018】
第1の特徴に係る発明によれば、液冷式熱交換部は、外気の温度から所望の温度まで堆肥化由来ガスを冷却可能であれば足りるため、高温の堆肥化由来ガスを所望の温度まで冷却する水冷式冷却手段等の大型の部材を備えることなく構成し得る。
【0019】
また、第1の特徴に係る発明によれば、堆肥化由来ガスの温度が臭気成分の水系溶媒への溶解度が高い所望の温度まで冷却されるため、高温の堆肥化由来ガスを処理する場合より小型に臭気成分処理手段を構成し得る。
【0020】
したがって、第1の特徴に係る発明によれば、大型の部材を用いることなく、高温の堆肥化由来ガスを冷却し、臭気成分を効率よく水系溶媒に溶解させて除去する堆肥化由来ガス処理装置を提供できる。
【0021】
第1の特徴に係る発明によれば、空冷式熱交換部、液冷式熱交換部、及び臭気成分溶解部のそれぞれを比較的小型に構成可能であるため、非方形の場所(例えば、三角地等)、狭い場所(例えば、複数の建物によって囲まれた場所等)、及び細長い場所(例えば、2以上の建物の間にある場所、建物と道路との間にある場所等)等によって例示される大型の臭気成分除去手段を設置することが困難な場所であっても、設置する場所に合わせてこれら比較的小型の部材を配置することによって堆肥化由来ガス処理装置を設置できる。
【0022】
したがって、第1の特徴に係る発明によれば、大型の臭気成分除去手段を設置することが困難な場所であっても堆肥化由来ガスに含まれる臭気成分を除去可能な堆肥化由来ガス処理装置を提供できる。
【0023】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、JIS Z8802:2011の規定に従い測定される前記水系溶媒のpHは、前記臭気成分を溶解させていない場合において6.0以上8.0以下である、堆肥化由来ガス処理装置を提供する。
【0024】
臭気成分を水系溶媒に溶解させる処理の一例として、炭酸水等によって例示される酸性の水系溶媒に臭気成分を溶解させる酸性溶媒溶解処理、アルカリ性の水系溶媒に臭気成分を溶解させるアルカリ性溶媒溶解処理等が挙げられる。
【0025】
酸性溶媒溶解処理及び/又はアルカリ性溶媒溶解処理は、水系溶媒のpHを制御する比較的大型の部材を必要とし得る。酸性溶媒溶解処理は、酸性の水系溶媒に易溶であるアンモニア等の臭気成分の除去に適するものの、酸性の水系溶媒に難溶である硫化水素等の臭気成分を除去する点においてさらなる改良の余地がある。また、アルカリ性溶媒溶解処理は、アルカリ性の水系溶媒に易溶である臭気成分(例えば、硫化水素等)の除去に適するものの、アルカリ性の水系溶媒に難溶である臭気成分(例えば、アンモニア等)の除去を除去する点においてさらなる改良の余地がある。
【0026】
第2の特徴に係る発明によれば、水系溶媒への溶解度が高い所望の温度まで冷却した堆肥化由来ガスに含まれる臭気成分をpHが6.0以上8.0以下である中性の水系溶媒に溶解させるため、酸性又はアルカリ性の水系溶媒を用いる場合に必要とし得る大型の部材を用いることなく、臭気成分を除去し得る。また、酸性の水系溶媒に難溶である臭気成分を除去することと、アルカリ性の水系溶媒に難溶である臭気成分を除去することとを両立し得る。
【0027】
したがって、第2の特徴に係る発明によれば、大型の臭気成分除去手段を設置することが困難な場所であっても堆肥化由来ガスに含まれる臭気成分を除去可能な堆肥化由来ガス処理装置を提供できる。
【0028】
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明であって、前記1以上の液冷式熱交換部の数は、2以上であり、2以上の前記液冷式熱交換部は、前記熱交換に用いる前記液体を外気によって冷却可能な放熱器と前記放熱器によって冷却された液体を用いて前記堆肥化由来ガスを冷却可能な所定熱交換器とを有する1以上の所定液冷式熱交換部と、前記所定液冷式熱交換部と異なる前記液冷式熱交換部であって、前記熱交換に用いる前記液体を冷却可能な冷凍機と前記冷凍機によって冷却された液体を用いて前記堆肥化由来ガスを冷却可能な特定熱交換器とを有する1以上の特定液冷式熱交換部と、を含み、前記1以上の特定液冷式熱交換部の1以上は、前記所定液冷式熱交換部によって冷却された前記堆肥化由来ガスを冷却可能であるよう構成される、堆肥化由来ガス処理装置を提供する。
【0029】
堆肥化由来ガスを冷却することに関し、一般に、液体の熱伝導率は、外気の熱伝導率より高い。したがって、堆肥化由来ガスを冷却する場合において、液体を用いた熱交換は、外気を用いた冷却より小型の熱交換器で実現し得る。しかしながら、冷水を用いる水冷式熱交換では、水を冷却する冷凍機を必要とするため、水冷式熱交換を行う部材全体が大型となり得る。
【0030】
第3の特徴に係る発明によれば、1以上の液冷式熱交換部の数が2以上であるため、1以上の所定液冷式熱交換部と、所定液冷式熱交換部と異なる1以上の特定液冷式熱交換部を含むよう、処理装置を構成できる。
【0031】
第3の特徴に係る発明によれば、所定液冷式熱交換部が放熱器によって外気の温度と略同じ温度に液体を冷却するため、大型の冷凍機等を用いることなく、液体を冷却し得る。そして、外気を用いた冷却を行う熱交換器より小型に構成可能な所定熱交換器を用いて堆肥化由来ガスを冷却し得る。したがって、所定液冷式熱交換部をよりいっそう小型に構成し得る。
【0032】
しかしながら、臭気成分の水系溶媒への溶解度が高い所望の温度が外気の温度より低い場合、所定液冷式熱交換部は、熱交換を行う液体が外気の温度と略同じ温度であるため、堆肥化由来ガスの温度を所望の温度まで冷却することができない。
【0033】
第3の特徴に係る発明によれば、冷凍機によって冷却された液体を用いて前記堆肥化由来ガスを冷却可能な特定液冷式熱交換部により、臭気成分の水系溶媒への溶解度が高い所望の温度が外気の温度より低い場合であっても、堆肥化由来ガスの温度を所望の温度まで冷却できる。これにより、臭気成分をよりいっそう水系溶媒に溶解できる。また、溶解度が高いため、高温の堆肥化由来ガス及び/又は外気と略同じ温度の堆肥化由来ガスを処理する場合より小型に臭気成分処理手段を構成し得る。
【0034】
第3の特徴に係る発明によれば、1以上の液冷式熱交換部の数が2以上であるため、2以上の液冷式熱交換部それぞれをよりいっそう小型にし得る。臭気成分処理手段及び/又は液冷式熱交換部をよりいっそう小型に構成し得ることにより、大型の臭気成分除去手段を設置することがよりいっそう困難な場所であっても、これらよりいっそう小型の部材を設置する場所に合わせて配置することによって堆肥化由来ガス処理装置を設置できる。
【0035】
したがって、第3の特徴に係る発明によれば、大型の臭気成分除去手段を設置することが困難な場所であっても堆肥化由来ガスに含まれる臭気成分を除去可能な堆肥化由来ガス処理装置を提供できる。
【0036】
第4の特徴に係る発明は、第3の特徴に係る発明であって、前記空冷式熱交換部が冷却する前記堆肥化由来ガスの温度は、50℃以上75℃以下であり、前記臭気成分は、アンモニア(NH)を含み、前記水系溶媒は、水を含み、前記冷凍機は、前記熱交換に用いる前記液体の温度を25℃以下に冷却可能に構成される、堆肥化由来ガス処理装置を提供する。
【0037】
50℃におけるアンモニアの水に対する溶解度は、重量比で約18%であることが知られている。25℃におけるアンモニアの水に対する溶解度は、重量比で約31%であることが知られている。したがって、アンモニアを50℃から25℃に冷却した場合、水に対する溶解度は、約1.7倍となる。
【0038】
第4の特徴に係る発明によれば、50℃以上75℃以下の堆肥化由来ガスを25℃近傍まで冷却し得るため、臭気成分のうちアンモニアがよりいっそう水に溶解する。これにより、臭気成分溶解部をよりいっそう小型に構成できる。
【0039】
したがって、第4の特徴に係る発明によれば、大型の臭気成分除去手段を設置することが困難な場所であっても堆肥化由来ガスに含まれる臭気成分を除去可能な堆肥化由来ガス処理装置を提供できる。
【0040】
第5の特徴に係る発明は、第1の特徴から第4の特徴のいずれかに係る発明であって、前記空冷式熱交換部及び/又は前記液冷式熱交換部における結露によって生じた前記臭気成分を含む臭気成分含有液体並びに前記臭気成分溶解部で生じた前記臭気成分が含まれる前記水系溶媒の1以上から前記臭気成分の少なくとも一部又は全部を除去可能な臭気成分除去部をさらに備える、堆肥化由来ガス処理装置を提供する。
【0041】
第5の特徴に係る発明によれば、臭気成分除去部において、結露によって生じた臭気成分含有液体からも臭気成分を除去できる。これにより、よりいっそう臭気成分を除去できる。また、臭気成分含有液体から臭気成分を除去する臭気成分除去部を、水系溶媒から臭気成分を除去することにも用いるため、臭気成分含有液体から臭気成分を除去する部材と水系溶媒から臭気成分を除去する部材とを別々に用意して処理装置を大型にすることなく、臭気成分含有液体及び水系溶媒から臭気成分を除去できる。
【0042】
したがって、第5の特徴に係る発明によれば、大型の臭気成分除去手段を設置することが困難な場所であっても堆肥化由来ガスに含まれる臭気成分を除去可能な堆肥化由来ガス処理装置を提供できる。
【0043】
第6の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明のカテゴリ違いである。
【0044】
第7の特徴に係る発明は、有機物を堆肥化可能な堆肥製造装置と、第1の特徴から第5の特徴のいずれかに係る処理装置と、を含んで構成され、前記堆肥化由来ガスは、前記堆肥製造装置による前記有機物の前記堆肥化において生じたガスを含む、堆肥製造システムを提供する。
【0045】
第7の特徴に係る発明によれば、大型の臭気成分除去手段を設置することが困難な場所であっても堆肥化由来ガスに含まれる臭気成分を除去可能な堆肥化由来ガス処理装置を含んで構成される堆肥製造システムであるため、大型の臭気成分除去手段を設置することが困難な場所であっても、堆肥製造装置で発生したガスの臭気成分を処理可能な堆肥製造システムを提供できる。
【0046】
したがって、第7の特徴に係る発明によれば、大型の臭気成分除去手段を設置することが困難な場所であっても堆肥化由来ガスに含まれる臭気成分を除去可能な堆肥製造システムを提供できる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、大型の臭気成分除去手段を設置することが困難な場所であっても堆肥化由来ガスに含まれる臭気成分を除去可能な手段を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、本実施形態の堆肥製造システムSを模式的に説明する概略図である。
図2図2は、本実施形態の堆肥化由来ガス処理装置1を非方形の場所に設置した場合を概略的に示す図である。
図3図3は、本実施形態の堆肥化由来ガス処理装置1を狭い場所に設置した場合を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明を実施するための好適な形態の一例について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0050】
<堆肥製造システムS>
図1は、本実施形態の堆肥製造システムSを模式的に説明する概略図である。以下、図1を用いて本実施形態の堆肥製造システムS(以下、単に「システムS」とも称する。)の好ましい構成の一例を説明する。
【0051】
システムSは、少なくとも、堆肥製造装置Fと、堆肥化由来ガス処理装置1とを含んで構成される。これにより、堆肥製造装置Fにおいて有機物を堆肥化したときに生じる堆肥化由来ガスGを堆肥化由来ガス処理装置1で処理し、悪臭等を防ぎ得る。
【0052】
〔堆肥製造装置F〕
堆肥製造装置Fは、有機物を堆肥化する装置であれば、特に限定されず、コンポスト、発酵装置、糞尿処理装置等によって例示される従来技術の有機物を堆肥化する装置でよい。システムSが堆肥製造装置Fを含んで構成されることにより、各種の有機物を堆肥化し、肥料等として有効利用し得る。
【0053】
[有機物]
堆肥製造装置Fによって堆肥化される有機物は、特に限定されず、例えば、家畜排せつ物、生ごみ、もみがら、及び落ち葉等によって例示される従来技術の堆肥製造装置によって堆肥化される各種の有機物でよい。堆肥製造装置Fによって堆肥化される有機物は、家畜排せつ物を含むことが好ましい。これにより、家畜排せつ物を処理するコストを軽減しつつ、肥料等として有効利用し得る。
【0054】
[堆肥化由来ガスG]
有機物を堆肥化するときに、堆肥化に由来する堆肥化由来ガスGが発生することが知られている。堆肥化由来ガスGは、例えば、プロピオン酸、酪酸、3-メチルブタン酸(「イソ吉草酸」とも称する。)、及び吉草酸等によって例示される脂肪酸、アンモニア、硫化水素、メタンチオール(「メチルメルカプタン」とも称する。)、ジメチルスルフィド(「硫化ジメチル」とも称する。)等によって例示される臭気成分を含み得る。
【0055】
堆肥化由来ガスGに含まれる臭気成分のうち、特に、アンモニア及び硫化水素等によって例示される気体の態様で含まれる臭気成分は、システムS周囲に拡散して悪臭を放ち得るため、後述する堆肥化由来ガス処理装置1等を用いて堆肥化由来ガスGから除去されることが好ましい。なかでも、有機物の堆肥化における発生量が他の臭気成分との比較において多いアンモニアは、生体において有毒であるため、後述する堆肥化由来ガス処理装置1等を用いて堆肥化由来ガスGから除去されることが特に好ましい。
【0056】
堆肥製造装置Fにおける有機物の堆肥化において生じる堆肥化由来ガスGの温度は、例えば、55℃以上70℃以下であるが、これに限定されない。堆肥化由来ガスGの温度が55℃以上70℃以下等の高温であることにより、堆肥化由来ガスGを冷却することで臭気成分の水系溶媒に対する溶解度を高め得る。
【0057】
堆肥化由来ガスGが臭気成分としてアンモニアを含む場合、その濃度は、例えば、5000ppm以上10000ppm以下であるが、これに限定されない。このような高濃度のアンモニアは、システムS周囲の広い範囲に拡散して強い悪臭を放ち得る。したがって、堆肥化由来ガス処理装置1等を用いた臭気成分を除去する処理が求められる。
【0058】
堆肥製造装置Fにおける有機物の堆肥化において単位時間当たりに生じる堆肥化由来ガスGの量は、例えば40m/分以上50m/分以下であるが、これに限定されない。このような大量の堆肥化由来ガスGに臭気成分が含まれると、堆肥化由来ガスGがシステムS周囲の広い範囲に拡散して強い悪臭を放ち得る。したがって、堆肥化由来ガス処理装置1等を用いた臭気成分を除去する処理が求められる。
【0059】
〔堆肥化由来ガス処理装置1〕
堆肥化由来ガス処理装置1(以下、単に「処理装置1」とも称する。)は、少なくとも、1以上の空冷式熱交換部2と、1以上の冷凍機利用液冷式熱交換部4を含む1以上の液冷式熱交換部と、臭気成分溶解部5とを備えるよう構成される。
【0060】
液冷式熱交換部は、空冷式熱交換部2によって冷却された堆肥化由来ガスGを、液体を用いた熱交換によって冷却可能であれば特に限定されない。液冷式熱交換部の数は、2以上であることが好ましい。これにより、2以上の液冷式熱交換部それぞれをよりいっそう小型に構成し、大型の臭気成分除去手段を設置することがよりいっそう困難な場所であっても、これらよりいっそう小型の部材を設置する場所に合わせて配置することによって堆肥化由来ガス処理装置1を設置できる。
【0061】
液冷式熱交換部の数が2以上である場合、液冷式熱交換部は、1以上の外気利用液冷式熱交換部3をさらに含むことが好ましい。1以上の外気利用液冷式熱交換部3を含むことにより、大型のポンプ及び/又は大型の冷凍機等を用いることなく、堆肥化由来ガスGの温度を外気の温度と略同じ温度にするよう冷却し得る。
【0062】
必須の態様ではないが、処理装置1は、1以上の液冷式熱交換部における結露によって生じた臭気成分を含む臭気成分含有液体を送出可能な結露液体送出部6をさらに備えることが好ましい。これにより、臭気成分含有液体を液冷式熱交換部から送出し、除去し得る。
【0063】
処理装置1が結露液体送出部6を備える場合、処理装置1は、結露液体送出部6によって送出される臭気成分含有液体及び臭気成分溶解部5で生じた臭気成分が含まれる水系溶媒の1以上から臭気成分の少なくとも一部又は全部を除去可能な臭気成分除去部7をさらに備えることが好ましい。
【0064】
これにより、臭気成分除去部7において、結露によって生じた臭気成分含有液体からも臭気成分を除去できる。これにより、よりいっそう臭気成分を除去できる。また、臭気成分含有液体から臭気成分を除去する臭気成分除去部7を、水系溶媒から臭気成分を除去することにも用いるため、臭気成分含有液体から臭気成分を除去する部材と水系溶媒から臭気成分を除去する部材とを別々に用意して処理装置を大型にすることなく、臭気成分含有液体及び水系溶媒から臭気成分を除去できる。
【0065】
処理装置1は、処理装置1を構成する各種の部材(例えば、空冷式熱交換部2、外気利用液冷式熱交換部3、冷凍機利用液冷式熱交換部4等)を支持可能な支持構造8をさらに備えることが好ましい。これにより、非方形の場所(例えば、三角地等)、狭い場所(例えば、複数の建物によって囲まれた場所等)、及び細長い場所(例えば、2以上の建物の間にある場所、建物と道路との間にある場所等)等によって例示される大型の臭気成分除去手段を設置することが困難な場所であっても、設置する場所に合わせて処理装置1を構成する各種の部材を配置することによって、処理装置1を設置できる。
【0066】
[空冷式熱交換部2]
空冷式熱交換部2は、堆肥化由来ガスGを外気との熱交換によって冷却可能であり、送風機21及び空冷式熱交換器22を含む。空冷式熱交換部2が外気との熱交換によって堆肥化由来ガスGを冷却するため、大型のポンプ及び/又は大型の冷凍機等を用いることなく、堆肥化由来ガスGの温度を外気の温度と略同じ温度にするよう冷却し得る。これにより、後述する外気利用液冷式熱交換部3及び/又は冷凍機利用液冷式熱交換部4を、高温の堆肥化由来ガスGを所望の温度まで冷却する水冷式冷却手段等の大型の部材を備えることなく構成し得る。
【0067】
空冷式熱交換部2において、冷却前の堆肥化由来ガスGの温度と、冷却後の堆肥化由来ガスGの温度との温度差の下限は、10℃以上であることが好ましく、12℃以上であることがより好ましく、14℃以上であることがさらに好ましい。温度差の下限を上述のとおり定めることにより、比較的小型の液冷式熱交換部において求められる冷却前の温度まで、高温の堆肥化由来ガスGを冷却できる。
【0068】
大型の空冷式熱交換器22を用いれば、冷却前後の温度差を大きくできる。しかし、大型の空冷式熱交換器22では外気が空冷式熱交換器22の周囲及び/又は内部を流れるときに受ける圧力(圧力損失)が大きくなり、大型の送風機21を必要とし得る。したがって、冷却前後の温度差を大きくすると、空冷式熱交換部2が大型化し得る。これにより、空冷式熱交換部2におけるエネルギー消費も大きくなり得る。
【0069】
空冷式熱交換部2において、冷却前の堆肥化由来ガスGの温度と、冷却後の堆肥化由来ガスGの温度との温度差の上限は、30℃以下であることが好ましく、25℃以下であることがより好ましく、20℃以下であることがさらに好ましい。温度差の上限を上述のとおり定めることにより、冷却前後の温度差を大きくすることが可能な大型の放熱器を備えることなく、空冷式熱交換部2を構成し得る。
【0070】
(送風機21)
送風機21は、外気が空冷式熱交換器22周囲を流れるようにする。送風機21は、特に限定されず、従来技術の送風機でよい。
【0071】
(空冷式熱交換器22)
空冷式熱交換器22は、送風機21が送風する外気を用いた熱交換によって、堆肥化由来ガスGを冷却する熱交換器である。空冷式熱交換器22は、特に限定されず、気体を用いて気体を冷却可能な従来技術の熱交換器でよい。
【0072】
空冷式熱交換部2が送風機21及び空冷式熱交換器22を含むことにより、送風機より電力消費量が大きい冷凍機等を用いることなく、堆肥化由来ガスGを冷却できる。これにより、冷却に関するエネルギー効率を改善し得る。また、送風機より重量及び/又は外形寸法が大きい冷凍機等を用いることなく、堆肥化由来ガスGを冷却できる。
【0073】
空冷式熱交換器22は、内部において堆肥化由来ガスGが流れることが可能であり、外部において堆肥化由来ガスGが流れる向きと略直交する向きに外気が流れることが可能な空隙を設けるよう配置された複数の伝熱管を有することが好ましい。これにより、複数の伝熱管を並べる比較的簡易な構成によって、外部の空隙を流れる外気を用いて、伝熱管の内部を流れる堆肥化由来ガスGを冷却し得る。
【0074】
[外気利用液冷式熱交換部3]
外気利用液冷式熱交換部3は、外気利用冷媒R1を外気との熱交換によって冷却可能な外気利用放熱器31と、外気利用冷媒R1を送出可能な外気利用冷媒送出部32と、冷却された外気利用冷媒R1を用いて堆肥化由来ガスGを冷却可能な外気利用液冷式熱交換器33と、を含む。
【0075】
これにより、外気利用放熱器31によって外気の温度と略同じ温度に外気利用冷媒R1を冷却するため、大型の冷凍機等を用いることなく、外気利用冷媒R1を冷却し得る。そして、外気を用いた冷却を行う熱交換器より小型に構成可能な外気利用液冷式熱交換器33を用いて堆肥化由来ガスGを冷却し得る。したがって、外気利用液冷式熱交換部3をよりいっそう小型に構成し得る。
【0076】
外気利用液冷式熱交換部3において、冷却前の堆肥化由来ガスGの温度と、冷却後の堆肥化由来ガスGの温度との温度差の下限は、6℃以上であることが好ましく、8℃以上であることがより好ましく、9℃以上であることがさらに好ましい。温度差の下限を上述のとおり定めることにより、比較的小型の冷凍機利用液冷式熱交換部4において求められる冷却前の温度まで、高温の堆肥化由来ガスGを冷却できる。
【0077】
大型の外気利用液冷式熱交換器33を用いれば、冷却前後の温度差を大きくできる。しかし、大型の外気利用液冷式熱交換器33では冷媒が外気利用液冷式熱交換器33の内部を流れるときに受ける圧力(圧力損失)が大きくなり、大型の外気利用冷媒送出部32を必要とし得る。したがって、冷却前後の温度差を大きくすると、外気利用液冷式熱交換部3が大型化し得る。これにより、外気利用液冷式熱交換部3におけるエネルギー消費も大きくなり得る。
【0078】
外気利用液冷式熱交換部3において、冷却前の堆肥化由来ガスGの温度と、冷却後の堆肥化由来ガスGの温度との温度差の上限は、20℃以下であることが好ましく、15℃以下であることがより好ましく、12℃以下であることがさらに好ましい。冷却前後の温度差の上限を上述のとおり定めることにより、冷却前後の温度差を大きくすることが可能な大型の放熱器を備えることなく、外気利用液冷式熱交換部3を構成し得る。
【0079】
外気利用液冷式熱交換部3の数は、特に限定されないが、2であることが好ましい。これにより、2の外気利用液冷式熱交換部3それぞれにおける冷却前後の温度差を大きくすることなく、冷凍機利用液冷式熱交換部4において冷却される前の堆肥化由来ガスGの温度を低くし得る。
【0080】
(外気利用冷媒R1)
外気利用冷媒R1は、特に限定されず、例えば、水を含む冷媒でよい。
【0081】
水は、18℃における比熱容量が4.2kJ/kg・Kと高い。外気利用冷媒R1が水を含む冷媒であることにより、外気利用液冷式熱交換部3においてより多くの熱を交換し得る。
【0082】
処理装置1周辺の気温が0℃以下となる場合、水に対して混和性があり、かつ、水との混合物の融点が0℃未満である不凍液を冷媒に加えてもよい。これにより、冬季に外気温が0℃以下となる寒冷地において、外気利用冷媒R1を凝固させることなく、処理装置1を利用し得る。
【0083】
不凍液は、水に対して混和性があり、かつ、水との混合物の融点が0℃未満であれば、特に限定されず、例えば、メタノール等によって例示される一価アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、及び1-メトキシ-2-プロパノール(プロパン-1,2-ジオール、プロピレングリコールとも称する。)等によって例示される二価アルコール類、並びにグリセロール等によって例示される三価アルコール類等でよい。
【0084】
(外気利用放熱器31)
外気利用放熱器31は、外気との熱交換によって外気利用冷媒R1を冷却可能な放熱器である。外気利用放熱器31は、特に限定されず、例えば、多管式熱交換器、シェルアンドチューブ式熱交換器、及びプレートアンドシェル式熱交換器等によって例示される従来技術の気体-液体熱交換器を含む放熱器でよい。外気利用放熱器31は、外気が外気利用放熱器31周囲を流れるようにする送風機を含むことが好ましい。これにより、外気と外気利用冷媒R1との熱交換が、よりいっそう行われ得る。
【0085】
外気利用放熱器31は、内部において外気利用冷媒R1が流れることが可能であり、外部において外気利用冷媒R1が流れる向きと略直交する向きに外気が流れることが可能な空隙を設けるよう配置された複数の伝熱管を有する多管式熱交換器であることが好ましい。
【0086】
これにより、複数の伝熱管を並べる比較的簡易な構成によって、外部の空隙を流れる外気を用いて、伝熱管の内部を流れる外気利用冷媒R1を冷却し得る。
【0087】
外気利用放熱器31が多管式熱交換器である場合、伝熱管の外径の下限は、10mm以上であることが好ましく、13mm以上であることが好ましく、15mm以上であることが好ましい。伝熱管の直径の下限を上述のとおり定めることにより、外気利用冷媒R1が外気利用放熱器31内部を流れるときに受ける圧力(圧力損失)が高くなることを避け得る。これにより、圧力損失が大きい場合に用いられる大型のポンプ等を用いることなく、後述する外気利用冷媒送出部32を構成し得る。
【0088】
外気利用放熱器31が多管式熱交換器である場合、伝熱管の外径の上限は、24mm以下であることが好ましく、20mm以下であることが好ましく、18mm以下であることが好ましい。伝熱管の直径の上限を上述のとおり定めることにより、外気と外気利用冷媒R1との熱交換が、よりいっそう行われ得る。
【0089】
外気利用放熱器31が多管式熱交換器である場合、伝熱管の肉厚の下限は、0.2mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることが好ましく、0.4mm以上であることが好ましい。伝熱管の肉厚の下限を上述のとおり定めることにより、外気利用冷媒R1が外気利用放熱器31内部を流れるときに受ける圧力等による伝熱管の変形及び/又は破損を防ぎ得る。
【0090】
外気利用放熱器31が多管式熱交換器である場合、伝熱管の肉厚の上限は、1mm以下であることが好ましく、0.8mm以下であることが好ましく、0.6mm以下であることが好ましい。伝熱管の肉厚の上限を上述のとおり定めることにより、伝熱管における熱伝導がよりいっそう好適に行われ、外気と外気利用冷媒R1との熱交換が、よりいっそう行われ得る。
【0091】
外気利用冷媒R1が外気利用放熱器31内部を流れるときの圧力損失の上限は、45kPa以下であることが好ましく、40kPa以下であることがより好ましく、35kPa以下であることがさらに好ましい。これにより、圧力損失が大きい場合に用いられる大型のポンプ等を用いることなく、後述する外気利用冷媒送出部32を構成し得る。
【0092】
外気が外気利用放熱器31外部に設けられた空隙を流れるときの圧力損失の上限は、700Pa以下であることが好ましく、600Pa以下であることがより好ましく、550Pa以下であることがさらに好ましい。これにより、圧力損失が大きい場合に用いられる大型の送風機等を用いることなく、外気と外気利用冷媒R1との熱交換を行い得る。
【0093】
外気利用放熱器31が多管式熱交換器である場合、外気利用放熱器31の外形は、略直方体であることが好ましい。外気利用放熱器31の外形が略直方体であることにより、直方体の所定の面から対向する別の面に向けて伝熱管を配置する比較的簡易な配置で伝熱管を配置し得る。
【0094】
外気利用放熱器31が多管式熱交換器であり、その外形が略直方体である場合、外気利用放熱器31の長手方向における長さの上限は、3m以下であることが好ましく、2.5m以下であることがより好ましく、2.2m以下であることがさらに好ましい。外気利用放熱器31の長手方向における長さの上限を上述のとおり定めることにより、外気利用液冷式熱交換部3をよりいっそう小型に構成することを可能とし、大型の臭気成分除去手段を設置することがよりいっそう困難な場所であっても、処理装置1を設置可能とし得る。
【0095】
外気利用放熱器31が多管式熱交換器であり、その外形が略直方体である場合、外気利用放熱器31の長手方向における長さの下限は、1m以上であることが好ましく、1.5m以上であることがより好ましく、1.8m以上であることがさらに好ましい。外気利用放熱器31の長手方向における長さの下限を上述のとおり定めることにより、外気と外気利用冷媒R1との熱交換が、よりいっそう行われ得る。
【0096】
(外気利用冷媒送出部32)
外気利用冷媒送出部32は、外気利用冷媒R1を送出可能であれば特に限定されず、ポンプ等によって例示される従来技術の液体を送出可能な部材でよい。外気利用液冷式熱交換部3が外気利用冷媒送出部32を含むことにより、外気利用液冷式熱交換器33における熱交換によって温度が上がった外気利用冷媒R1を外気利用放熱器31に送出し、冷却し得る。また、外気利用液冷式熱交換部3が外気利用冷媒送出部32を含むことにより、外気利用放熱器31における熱交換によって温度が下がった外気利用冷媒R1を外気利用液冷式熱交換器33に送出し、熱交換を行い得る。
【0097】
(外気利用液冷式熱交換器33)
外気利用液冷式熱交換器33は、外気利用冷媒R1との熱交換によって堆肥化由来ガスGを冷却可能な熱交換器である。外気利用液冷式熱交換器33は、特に限定されず、例えば、多管式熱交換器、シェルアンドチューブ式熱交換器、及びプレートアンドシェル式熱交換器等によって例示される従来技術の気体-液体熱交換器を含む放熱器でよい。
【0098】
外気利用液冷式熱交換器33は、内部において外気利用冷媒R1が流れることが可能であり、外部において外気利用冷媒R1が流れる向きと略直交する向きに堆肥化由来ガスGが流れることが可能な空隙を設けるよう密閉されたシェルの内部に配置された複数の伝熱管を有するシェルアンドチューブ式熱交換器であることが好ましい。
【0099】
これにより、複数の伝熱管を並べる比較的簡易な構成によって、伝熱管の内部を流れる外気利用冷媒R1を用いて、外部の空隙を流れる堆肥化由来ガスGを冷却し得る。また、シェルを有するシェルアンドチューブ型熱交換器であることにより、外部の空隙を流れる堆肥化由来ガスGが外部に漏出することを防ぎ得る。
【0100】
外気利用液冷式熱交換器33がシェルアンドチューブ式熱交換器である場合、伝熱管の外径の下限は、10mm以上であることが好ましく、13mm以上であることが好ましく、15mm以上であることが好ましい。伝熱管の直径の下限を上述のとおり定めることにより、外気利用冷媒R1が外気利用液冷式熱交換器33内部を流れるときに受ける圧力(圧力損失)が高くなることを避け得る。これにより、圧力損失が大きい場合に用いられる大型のポンプ等を用いることなく、外気利用冷媒送出部32を構成し得る。
【0101】
外気利用液冷式熱交換器33がシェルアンドチューブ式熱交換器である場合、伝熱管の外径の上限は、24mm以下であることが好ましく、20mm以下であることが好ましく、18mm以下であることが好ましい。伝熱管の直径の上限を上述のとおり定めることにより、堆肥化由来ガスGと外気利用冷媒R1との熱交換が、よりいっそう行われ得る。
【0102】
外気利用液冷式熱交換器33がシェルアンドチューブ式熱交換器である場合、伝熱管の肉厚の下限は、0.5mm以上であることが好ましく、0.7mm以上であることが好ましく、0.8mm以上であることが好ましい。伝熱管の肉厚の下限を上述のとおり定めることにより、外気利用冷媒R1が外気利用液冷式熱交換器33内部を流れるときに受ける圧力等による伝熱管の変形及び/又は破損を防ぎ得る。
【0103】
外気利用液冷式熱交換器33がシェルアンドチューブ式熱交換器である場合、伝熱管の肉厚の上限は、2mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることが好ましく、1.2mm以下であることが好ましい。伝熱管の肉厚の上限を上述のとおり定めることにより、伝熱管における熱伝導がよりいっそう好適に行われ、堆肥化由来ガスGと外気利用冷媒R1との熱交換との熱交換が、よりいっそう行われ得る。
【0104】
外気利用冷媒R1が外気利用液冷式熱交換器33内部を流れるときの圧力損失の上限は、25kPa以下であることが好ましく、20kPa以下であることがより好ましく、17kPa以下であることがさらに好ましい。これにより、圧力損失が大きい場合に用いられる大型のポンプ等を用いることなく、外気利用冷媒送出部32を構成し得る。
【0105】
堆肥化由来ガスGが外気利用液冷式熱交換器33外部に設けられた空隙を流れるときの圧力損失の上限は、30Pa以下であることが好ましく、10Pa以下であることがより好ましく、5Pa以下であることがさらに好ましい。これにより、圧力損失が大きい場合に用いられる大型の送風機等を用いることなく、堆肥化由来ガスGと外気利用冷媒R1との熱交換を行い得る。
【0106】
外気利用液冷式熱交換器33がシェルアンドチューブ式熱交換器である場合、外気利用液冷式熱交換器33のシェルは、略直方体であることが好ましい。外気利用液冷式熱交換器33のシェルが略直方体であることにより、直方体の所定の面から対向する別の面に向けて伝熱管を配置する比較的簡易な配置で伝熱管を配置し得る。
【0107】
外気利用液冷式熱交換器33がシェルアンドチューブ式熱交換器であり、そのシェルが略直方体である場合、外気利用液冷式熱交換器33の長手方向における長さの上限は、3m以下であることが好ましく、2.2m以下であることがより好ましく、1.8m以下であることがさらに好ましい。外気利用液冷式熱交換器33の長手方向における長さの上限を上述のとおり定めることにより、外気利用液冷式熱交換部3をよりいっそう小型に構成することを可能とし、大型の臭気成分除去手段を設置することがよりいっそう困難な場所であっても、処理装置1を設置可能とし得る。
【0108】
外気利用液冷式熱交換器33がシェルアンドチューブ式熱交換器であり、その外形が略直方体である場合、外気利用液冷式熱交換器33の長手方向における長さの下限は、1m以上であることが好ましく、1.3m以上であることがより好ましく、1.5m以上であることがさらに好ましい。外気利用液冷式熱交換器33の長手方向における長さの下限を上述のとおり定めることにより、堆肥化由来ガスGと外気利用冷媒R1との熱交換が、よりいっそう行われ得る。
【0109】
[冷凍機利用液冷式熱交換部4]
冷凍機利用液冷式熱交換部4は、冷凍機利用冷媒R2を冷却可能な冷凍機42と、冷凍機利用冷媒R2を送出可能な冷凍機冷媒送出部43と、冷却された冷凍機利用冷媒R2を用いて堆肥化由来ガスGを冷却可能な冷凍機利用液冷式熱交換器44と、を含む。
【0110】
これにより、臭気成分の水系溶媒への溶解度が高い所望の温度が外気の温度より低い場合であっても、堆肥化由来ガスGの温度を所望の温度まで冷却できる。これにより、臭気成分をよりいっそう水系溶媒に溶解できる。また、溶解度が高いため、高温の堆肥化由来ガスG及び/又は外気と略同じ温度の堆肥化由来ガスGを処理する場合より小型に臭気成分溶解部5を構成し得る。
【0111】
冷凍機利用液冷式熱交換部4に加えて外気利用液冷式熱交換部3を備える場合、冷凍機利用液冷式熱交換部4及び外気利用液冷式熱交換部3それぞれをよりいっそう小型にし得る。外気利用液冷式熱交換部3、冷凍機利用液冷式熱交換部4、及び/又は臭気成分溶解部5をよりいっそう小型に構成し得ることにより、大型の臭気成分除去手段を設置することがよりいっそう困難な場所であっても、これらよりいっそう小型の部材を設置する場所に合わせて配置することによって堆肥化由来ガス処理装置1を設置できる。
【0112】
冷凍機利用液冷式熱交換部4において、冷却前の堆肥化由来ガスGの温度と、冷却後の堆肥化由来ガスGの温度との温度差の下限は、6℃以上であることが好ましく、8℃以上であることがより好ましく、9℃以上であることがさらに好ましい。温度差の下限を上述のとおり定めることにより、比較的小型の冷凍機利用液冷式熱交換部4において求められる冷却前の温度まで、高温の堆肥化由来ガスGを冷却できる。
【0113】
大型の冷凍機42及び/又は冷凍機利用液冷式熱交換器44等を用いれば、冷却前後の温度差を大きくできる。しかし、大型の冷凍機利用液冷式熱交換器44では冷媒が冷凍機利用液冷式熱交換器44の内部を流れるときに受ける圧力(圧力損失)が大きくなり、大型の冷凍機冷媒送出部43を必要とし得る。したがって、冷却前後の温度差を大きくすると、冷凍機利用液冷式熱交換部4が大型化し得る。これにより、冷凍機利用液冷式熱交換部4におけるエネルギー消費も大きくなり得る。
【0114】
冷凍機利用液冷式熱交換部4において、冷却前の堆肥化由来ガスGの温度と、冷却後の堆肥化由来ガスGの温度との温度差の上限は、20℃以下であることが好ましく、15℃以下であることがより好ましく、12℃以下であることがさらに好ましい。温度差の上限を上述のとおり定めることにより、冷却前後の温度差を大きくすることが可能な大型の冷凍機、大型の熱交換器、及び/又は大型の冷媒送出部を備えることなく、外気利用液冷式熱交換部3を構成し得る。
【0115】
(冷凍機利用冷媒R2)
冷凍機利用冷媒R2は、特に限定されず、外気利用冷媒R1と同じでよい。
【0116】
(冷凍機前放熱器41)
冷凍機前放熱器41は、外気との熱交換によって冷凍機利用冷媒R2を冷却可能な放熱器である。冷凍機前放熱器41は、特に限定されず、例えば、多管式熱交換器、シェルアンドチューブ式熱交換器、及びプレートアンドシェル式熱交換器等によって例示される従来技術の気体-液体熱交換器を含む放熱器でよい。冷凍機前放熱器41は、外気が冷凍機前放熱器41周囲を流れるようにする送風機を含むことが好ましい。これにより、外気と冷凍機利用冷媒R2との熱交換が、よりいっそう行われ得る。
【0117】
冷凍機前放熱器41の構成、外形、圧力損失、長手方向の長さ等は、特に限定されず、外気利用放熱器31と同様でよい。
【0118】
(冷凍機42)
冷凍機42は、冷凍機利用冷媒R2を冷却可能な冷凍機である。冷凍機42は、特に限定されず、従来技術の冷凍機でよい。冷凍機42は、冷凍機利用冷媒R2を臭気成分の水系溶媒への溶解度が高い所望の温度まで冷却可能であることが好ましい。
【0119】
所望の温度の上限は、25℃以下であることが好ましく、17℃以下であることがより好ましく、10℃以下であることがさらに好ましい。所望の温度の上限を上述のとおり定めることにより、臭気成分の水系溶媒への溶解度をよりいっそう高め得る。
【0120】
(冷凍機冷媒送出部43)
冷凍機冷媒送出部43は、冷凍機利用冷媒R2を送出可能であれば特に限定されず、ポンプ等によって例示される従来技術の液体を送出可能な部材でよい。冷凍機利用液冷式熱交換部4が冷凍機冷媒送出部43を含むことにより、冷凍機利用液冷式熱交換器44における熱交換によって温度が上がった冷凍機利用冷媒R2を冷凍機42に送出し、冷却し得る。また、冷凍機利用液冷式熱交換部4が冷凍機冷媒送出部43を含むことにより、冷凍機42によって温度が下がった冷凍機利用冷媒R2を冷凍機利用液冷式熱交換器44に送出し、熱交換を行い得る。
【0121】
(冷凍機利用液冷式熱交換器44)
冷凍機利用液冷式熱交換器44は、冷凍機利用冷媒R2との熱交換によって堆肥化由来ガスGを冷却可能な熱交換器である。冷凍機利用液冷式熱交換器44は、特に限定されず、例えば、多管式熱交換器、シェルアンドチューブ式熱交換器、及びプレートアンドシェル式熱交換器等によって例示される従来技術の気体-液体熱交換器を含む放熱器でよい。
【0122】
冷凍機利用液冷式熱交換器44は、内部において冷凍機利用冷媒R2が流れることが可能であり、外部において冷凍機利用冷媒R2が流れる向きと略直交する向きに堆肥化由来ガスGが流れることが可能な空隙を設けるよう密閉されたシェルの内部に配置された複数の伝熱管を有するシェルアンドチューブ式熱交換器であることが好ましい。
【0123】
これにより、複数の伝熱管を並べる比較的簡易な構成によって、伝熱管の内部を流れる冷凍機利用冷媒R2を用いて、外部の空隙を流れる堆肥化由来ガスGを冷却し得る。また、シェルを有するシェルアンドチューブ型熱交換器であることにより、外部の空隙を流れる堆肥化由来ガスGが外部に漏出することを防ぎ得る。
【0124】
冷凍機利用液冷式熱交換器44がシェルアンドチューブ式熱交換器である場合、伝熱管の外径の下限は、10mm以上であることが好ましく、13mm以上であることが好ましく、15mm以上であることが好ましい。伝熱管の直径の下限を上述のとおり定めることにより、冷凍機利用冷媒R2が冷凍機利用液冷式熱交換器44内部を流れるときに受ける圧力(圧力損失)が高くなることを避け得る。これにより、圧力損失が大きい場合に用いられる大型のポンプ等を用いることなく、冷凍機冷媒送出部43を構成し得る。
【0125】
冷凍機利用液冷式熱交換器44がシェルアンドチューブ式熱交換器である場合、伝熱管の外径の上限は、24mm以下であることが好ましく、20mm以下であることが好ましく、18mm以下であることが好ましい。伝熱管の直径の上限を上述のとおり定めることにより、堆肥化由来ガスGと冷凍機利用冷媒R2との熱交換が、よりいっそう行われ得る。
【0126】
冷凍機利用液冷式熱交換器44がシェルアンドチューブ式熱交換器である場合、伝熱管の肉厚の下限は、0.5mm以上であることが好ましく、0.7mm以上であることが好ましく、0.8mm以上であることが好ましい。伝熱管の肉厚の下限を上述のとおり定めることにより、冷凍機利用冷媒R2が冷凍機利用液冷式熱交換器44内部を流れるときに受ける圧力等による伝熱管の変形及び/又は破損を防ぎ得る。
【0127】
冷凍機利用液冷式熱交換器44がシェルアンドチューブ式熱交換器である場合、伝熱管の肉厚の上限は、2mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることが好ましく、1.2mm以下であることが好ましい。伝熱管の肉厚の上限を上述のとおり定めることにより、伝熱管における熱伝導がよりいっそう好適に行われ、堆肥化由来ガスGと冷凍機利用冷媒R2との熱交換との熱交換が、よりいっそう行われ得る。
【0128】
冷凍機利用冷媒R2が冷凍機利用液冷式熱交換器44内部を流れるときの圧力損失の上限は、8kPa以下であることが好ましく、6kPa以下であることがより好ましく、5kPa以下であることがさらに好ましい。これにより、圧力損失が大きい場合に用いられる大型のポンプ等を用いることなく、冷凍機冷媒送出部43を構成し得る。
【0129】
堆肥化由来ガスGが冷凍機利用液冷式熱交換器44外部に設けられた空隙を流れるときの圧力損失の上限は、10Pa以下であることが好ましく、5Pa以下であることがより好ましく、3Pa以下であることがさらに好ましい。これにより、圧力損失が大きい場合に用いられる大型の送風機等を用いることなく、堆肥化由来ガスGと冷凍機利用冷媒R2との熱交換を行い得る。
【0130】
冷凍機利用液冷式熱交換器44がシェルアンドチューブ式熱交換器である場合、冷凍機利用液冷式熱交換器44のシェルは、略直方体であることが好ましい。冷凍機利用液冷式熱交換器44のシェルが略直方体であることにより、直方体の所定の面から対向する別の面に向けて伝熱管を配置する比較的簡易な配置で伝熱管を配置し得る。
【0131】
冷凍機利用液冷式熱交換器44がシェルアンドチューブ式熱交換器であり、そのシェルが略直方体である場合、冷凍機利用液冷式熱交換器44の長手方向における長さの上限は、3m以下であることが好ましく、2.2m以下であることがより好ましく、1.8m以下であることがさらに好ましい。冷凍機利用液冷式熱交換器44の長手方向における長さの上限を上述のとおり定めることにより、冷凍機利用液冷式熱交換部4をよりいっそう小型に構成することを可能とし、大型の臭気成分除去手段を設置することがよりいっそう困難な場所であっても、処理装置1を設置可能とし得る。
【0132】
冷凍機利用液冷式熱交換器44がシェルアンドチューブ式熱交換器であり、その外形が略直方体である場合、冷凍機利用液冷式熱交換器44の長手方向における長さの下限は、1m以上であることが好ましく、1.3m以上であることがより好ましく、1.5m以上であることがさらに好ましい。冷凍機利用液冷式熱交換器44の長手方向における長さの下限を上述のとおり定めることにより、堆肥化由来ガスGと冷凍機利用冷媒R2との熱交換が、よりいっそう行われ得る。
【0133】
[臭気成分溶解部5]
臭気成分溶解部5は、堆肥化由来ガスGに含まれる臭気成分を水系溶媒Lに溶解可能であり、溶媒供給部51、溶媒接触部52、ガス送出部53、及び溶媒排出部54を含む。臭気成分を溶解させていない水系溶媒Lである溶解前水系溶媒L1を溶媒接触部52において堆肥化由来ガスGと接触させることにより、臭気成分を溶解前水系溶媒L1に溶解させ得る。これにより、臭気成分が溶解した水系溶媒Lである溶解後水系溶媒L2と、堆肥化由来ガスGから臭気成分を取り除いた処理後ガスDとを得うる。
【0134】
堆肥化由来ガスから臭気成分を除去する堆肥化由来ガス処理の一例として、微生物を用いて臭気成分を除去する微生物利用除去処理、堆肥化由来ガスを水系溶媒と接触させる等して臭気成分を水系溶媒に溶解させて除去する水系溶媒利用除去処理等が挙げられる。
【0135】
微生物利用除去処理は、微生物を培養する微生物槽を必要とし得る。このような微生物槽は、微生物の培養に適した環境(例えば、必要栄養分を豊富に含む環境、至適生育温度の環境、至適生育pHの環境、及び/又は至適生育酸素濃度の環境等)に微生物槽の環境を維持するための比較的大型の部材を必要とし得る。また、微生物槽の環境を維持し、微生物を培養する管理コスト等が膨大なものとなり得る。
【0136】
臭気成分溶解部5が堆肥化由来ガスGに含まれる臭気成分を水系溶媒Lに溶解可能であることにより、微生物利用除去処理との比較においてより小型の部材で臭気成分を除去し得る。
【0137】
臭気成分を水系溶媒Lに溶解させることに関し、有機物の堆肥化において生じる堆肥化由来ガスGは、例えば55℃以上70℃以下の高温で、アンモニア、硫化水素等によって例示される臭気成分を気体の態様で含む。液体に対する気体分子の溶解度は、通常、より低温であるほどより高くなることが知られている。堆肥化由来ガスGを冷却して低温(例えば、常温以下)にすれば、臭気成分を水系溶媒Lに溶解させて除去する処理の効率を改善し得る。
【0138】
空冷式熱交換部2が外気との熱交換によって堆肥化由来ガスGを冷却するため、大型のポンプ及び/又は大型の冷凍機等を用いることなく、堆肥化由来ガスGの温度を外気の温度と略同じ温度にするよう冷却し得る。そして、外気の温度と略同じ温度になった堆肥化由来ガスGを冷却する冷凍機利用液冷式熱交換部4が外気の温度から臭気成分の水系溶媒Lへの溶解度が高い所望の温度まで堆肥化由来ガスGを冷却し得る。
【0139】
堆肥化由来ガスGの温度が臭気成分の水系溶媒Lへの溶解度が高い所望の温度まで冷却されるため、高温の堆肥化由来ガスGを処理する場合より小型に臭気成分溶解部5を構成し得る。
【0140】
(水系溶媒L)
水系溶媒Lは、水系の溶媒であれば、特に限定されず、例えば、水道水及び井戸水等によって例示される中性の水でよい。JIS Z8802:2011の規定に従い測定される水系溶媒LのpHは、臭気成分を溶解させていない場合において6.0以上8.0以下であることが好ましい。
【0141】
臭気成分を水系溶媒に溶解させる処理の一例として、炭酸水等によって例示される酸性の水系溶媒に臭気成分を溶解させる酸性溶媒溶解処理、アルカリ性の水系溶媒に臭気成分を溶解させるアルカリ性溶媒溶解処理等が挙げられる。
【0142】
酸性溶媒溶解処理及び/又はアルカリ性溶媒溶解処理は、水系溶媒のpHを制御する比較的大型の部材を必要とし得る。酸性溶媒溶解処理は、酸性の水系溶媒に易溶であるアンモニア等の臭気成分の除去に適するものの、酸性の水系溶媒に難溶である硫化水素等の臭気成分を除去する点においてさらなる改良の余地がある。また、アルカリ性溶媒溶解処理は、アルカリ性の水系溶媒に易溶である臭気成分(例えば、硫化水素等)の除去に適するものの、アルカリ性の水系溶媒に難溶である臭気成分(例えば、アンモニア等)の除去を除去する点においてさらなる改良の余地がある。
【0143】
水系溶媒への溶解度が高い所望の温度まで冷却した堆肥化由来ガスGに含まれる臭気成分をpHが6.0以上8.0以下である中性の水系溶媒Lに溶解させる場合、酸性又はアルカリ性の水系溶媒を用いる場合に必要とし得る大型の部材を用いることなく、臭気成分を除去し得る。また、酸性の水系溶媒に難溶である臭気成分を除去することと、アルカリ性の水系溶媒に難溶である臭気成分を除去することとを両立し得る。
【0144】
(溶媒供給部51)
溶媒供給部51は、溶媒接触部52に溶解前水系溶媒L1を供給可能であれば、特に限定されず、ポンプ等によって例示される従来技術の液体を送出可能な部材でよい。臭気成分溶解部5が溶媒供給部51を含むことにより、臭気成分を溶解可能な溶解前水系溶媒L1を溶媒接触部52に送出し、臭気成分を除去し得る。
【0145】
(溶媒接触部52)
溶媒接触部52は、溶媒供給部51によって供給された溶解前水系溶媒L1と、冷凍機利用液冷式熱交換部4において冷却された堆肥化由来ガスGとを接触させ、溶解前水系溶媒L1に堆肥化由来ガスGの臭気成分を溶解する。溶解前水系溶媒L1は、接触により臭気成分を溶解した溶解後水系溶媒L2となる。堆肥化由来ガスGは、接触により臭気成分を取り除かれた処理後ガスDとなる。
【0146】
溶媒接触部52は、特に限定されず、例えば、湿式スクラバー等によって例示される従来技術の臭気成分を含むガスと臭気成分を溶解可能な溶媒とを接触させて溶媒を撹拌し、臭気成分をガスから除去する部材を含んで構成される。
【0147】
(ガス送出部53)
ガス送出部53は、処理後ガスDを溶媒接触部52から処理装置1外部に送出する。ガス送出部53は、特に限定されず、例えば、ファン等によって例示される従来技術のガスを送出可能な部材を含んで構成される。
【0148】
(溶媒排出部54)
溶媒排出部54は、溶解後水系溶媒L2を溶媒接触部52から臭気成分溶解部5外部に排出する。溶媒排出部54は、特に限定されず、例えば、溶解後水系溶媒L2が排出される向きに沿って重力方向下方に傾斜したパイプ、ポンプ等によって例示される従来技術の液体を送出可能な部材を含んで構成される。
【0149】
処理装置1が臭気成分除去部7を含む場合、溶媒排出部54は、溶解後水系溶媒L2を臭気成分除去部7に送出可能であることが好ましい。これにより、臭気成分除去部7において溶解後水系溶媒L2から臭気成分を除去できる。
【0150】
[結露液体送出部6]
結露液体送出部6は、空冷式熱交換部2、外気利用液冷式熱交換部3、及び/又は冷凍機利用液冷式熱交換部4において生じた臭気成分を含む結露液体C(臭気成分含有液体)を臭気成分除去部7に送出する。
【0151】
空冷式熱交換部2、外気利用液冷式熱交換部3、及び/又は冷凍機利用液冷式熱交換部4において堆肥化由来ガスGを冷却するときに、
【0152】
結露液体送出部6は、特に限定されず、結露液体Cが送出される向きに沿って重力方向下方に傾斜したパイプ、ポンプ等によって例示される従来技術の液体を送出可能な部材を含んで構成される。
【0153】
[臭気成分除去部7]
臭気成分除去部7は、溶解後水系溶媒L2及び/又は結露液体Cから臭気成分の少なくとも一部又は全部を除去する。臭気成分除去部7は、特に限定されず、例えば、臭気成分含有液体貯蔵部71、臭気成分含有液体送出部72、臭気成分処理部73、及び処理後液体排出部74を含んで構成される。
【0154】
(臭気成分含有液体貯蔵部71)
臭気成分含有液体貯蔵部71は、溶解後水系溶媒L2及び/又は結露液体Cを一時的に貯蔵する。これにより、臭気成分除去部7に流入する溶解後水系溶媒L2及び/又は結露液体Cを一時的に貯蔵し、臭気成分処理部73に送出される溶解後水系溶媒L2及び/又は結露液体Cの量を調整し得る。
【0155】
(臭気成分含有液体送出部72)
臭気成分含有液体送出部72は、臭気成分含有液体貯蔵部71に貯蔵された溶解後水系溶媒L2及び/又は結露液体Cを臭気成分処理部73に送出する。臭気成分含有液体送出部72は、特に限定されず、ポンプ等によって例示される従来技術の液体を送出可能な部材を含んで構成される。
【0156】
臭気成分含有液体送出部72は、臭気成分処理部73が臭気成分を処理する能力に応じて溶解後水系溶媒L2及び/又は結露液体Cを臭気成分処理部73に送出するよう構成されることが好ましい。これにより、臭気成分除去部7に流入する溶解後水系溶媒L2及び/又は結露液体Cの量が変化しても、臭気成分処理部73が臭気成分を処理する能力に応じて臭気成分を処理し得る。
【0157】
(臭気成分処理部73)
臭気成分処理部73は、臭気成分含有液体送出部72によって送出された溶解後水系溶媒L2及び/又は結露液体Cから臭気成分を除去する。これにより、溶解後水系溶媒L2及び/又は結露液体Cから臭気成分を除去した液体である処理後液体Pを得うる。臭気成分処理部73は、特に限定されず、従来技術の液体から臭気成分を除去可能な部材でよい。
【0158】
臭気成分がアンモニアを含む場合、臭気成分除去部7は、溶解後水系溶媒L2及び/又は結露液体Cに含まれるアンモニアを触媒に吸着させる触媒吸着部を含むことが好ましい。これにより、アンモニアを触媒に吸着させる比較的簡易な手段で臭気成分のうちアンモニアを除去し得る。
【0159】
臭気成分除去部7が触媒吸着部を含む場合、触媒吸着部の数は、1以上であれば特に限定されないが、2以上であることがより好ましい。これにより、アンモニアをよりいっそう除去し得る。
【0160】
(処理後液体排出部74)
処理後液体排出部74は、臭気成分処理部73において得られた処理後液体Pを処理装置1の外部に排出する。処理後液体排出部74は、特に限定されず、処理後液体Pが排出される向きに沿って重力方向下方に傾斜したパイプ、ポンプ等によって例示される従来技術の液体を送出可能な部材を含んで構成される。
【0161】
臭気成分がアンモニアを含む場合、処理後液体排出部74から排出される処理後液体Pにおけるアンモニア濃度は、300ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることがさらに好ましい。これにより、処理後液体Pが環境に与える影響を抑え得る。
【0162】
[支持構造8]
支持構造8は、処理装置1を構成する各種の部材(例えば、空冷式熱交換部2、外気利用液冷式熱交換部3、冷凍機利用液冷式熱交換部4等)を、処理装置1を設置する場所に適した配置で支持する。
【0163】
これにより、非方形の場所(例えば、三角地等)、狭い場所(例えば、複数の建物によって囲まれた場所等)、及び細長い場所(例えば、2以上の建物の間にある場所、建物と道路との間にある場所等)等によって例示される大型の臭気成分除去手段を設置することが困難な場所であっても、設置する場所に合わせて処理装置1を構成する各種の部材を配置することによって、処理装置1を設置できる。
【0164】
<システムSの使用例>
続いて、本実施形態におけるシステムSの使用例を説明する。
【0165】
〔処理装置1の設置〕
まず、処理装置1を設置する。図2は、本実施形態の堆肥化由来ガス処理装置1を非方形の場所に設置した場合を概略的に示す図である。図3は、本実施形態の堆肥化由来ガス処理装置1を狭い場所に設置した場合を概略的に示す図である。以下、図2及び図3を用いて、大型の臭気成分除去手段を設置することが困難な場所への処理装置1の設置を説明する。
【0166】
[非方形の場所への設置]
図2を用いて、非方形の場所である三角地への処理装置1の設置を説明する。図2に示す三角地は、堆肥製造装置Fと、第1土地境界B1と、第2土地境界B2と、によって画定される。このような非方形の場所では、例えば、図2に示す臭気成分溶解部5のような大型の部材を水平方向に複数並べて配置することに困難が生じ得る。
【0167】
そこで、比較的大型の部材である臭気成分溶解部5を第1土地境界B1の略中央近傍に設置し、臭気成分溶解部5、第1土地境界B1、及び堆肥製造装置Fによって囲まれた場所に空冷式熱交換部2を設置する。
【0168】
処理装置1は、空冷式熱交換部2と1以上の液冷式熱交換部(第3外気利用液冷式熱交換部3c、第4外気利用液冷式熱交換部3d、及び冷凍機利用液冷式熱交換部4)によって堆肥化由来ガスGを冷却したのちに臭気成分溶解部5で臭気成分を水系溶媒Lに溶解させる構成であるため、比較的小型の部材である空冷式熱交換部2を含む。したがって、臭気成分溶解部5、第1土地境界B1、及び堆肥製造装置Fによって囲まれた場所を無駄にすることなく、空冷式熱交換部2を設置する場所として利用できる。
【0169】
続いて、支持部材8を用いて第3外気利用液冷式熱交換部3c、第4外気利用液冷式熱交換部3d、及び冷凍機利用液冷式熱交換部4を細長い形状に支持し、第2土地境界B2に沿って臭気成分溶解部5と第2土地境界B2との間にある細長い場所に設置する。
【0170】
これらの部材を比較的小型に構成できることにより、臭気成分溶解部5のような大型の部材を設置する場所として適さない臭気成分溶解部5と第2土地境界B2との間にある細長い場所を、第3外気利用液冷式熱交換部3c、第4外気利用液冷式熱交換部3d、及び冷凍機利用液冷式熱交換部4を設置する場所として利用し得る。
【0171】
[狭い場所への設置]
図3を用いて、堆肥製造装置Fと第3土地境界B3、第4土地境界B4とに囲まれた狭い場所への処理装置1の設置を説明する。このような狭い場所では、例えば、図3に示す臭気成分溶解部5のような大型の部材を水平方向に複数並べて配置することに困難が生じ得る。
【0172】
そこで、比較的大型の部材である臭気成分溶解部5を狭い場所の略中央近傍に設置する。そして、支持構造8を用いて空冷式熱交換部2と1以上の液冷式熱交換部(第5外気利用液冷式熱交換部3e、第6外気利用液冷式熱交換部3f、及び冷凍機利用液冷式熱交換部4)とを立体的に支持し、これらを臭気成分溶解部5の上方に設置する。
【0173】
処理装置1は、空冷式熱交換部2と1以上の液冷式熱交換部(第5外気利用液冷式熱交換部3e、第6外気利用液冷式熱交換部3f、及び冷凍機利用液冷式熱交換部4)によって堆肥化由来ガスGを冷却したのちに臭気成分溶解部5で臭気成分を水系溶媒Lに溶解させる構成であるため、空冷式熱交換部2、1以上の液冷式熱交換部、及び臭気成分溶解部5それぞれを比較的小型に構成できる。したがって、支持部材8を用いてこれら比較的小型の部材を立体的に配置することにより、狭い場所であっても処理装置1を設置できる。
【0174】
〔有機物を堆肥化〕
処理装置1を設置したならば、有機物を堆肥製造装置Fに供給し、当該有機物を堆肥化する。堆肥化により、アンモニア等の臭気成分を含む高温(50-75℃)の堆肥化由来ガスGが発生する。
【0175】
〔堆肥化由来ガスGを冷却〕
空冷式熱交換部2と1以上の液冷式熱交換部(第5外気利用液冷式熱交換部3e、第6外気利用液冷式熱交換部3f、及び冷凍機利用液冷式熱交換部4)を用いて、高温の堆肥化由来ガスGを25℃以下に冷却する。
【0176】
50℃におけるアンモニアの水への溶解度は、重量比で約18%である。一方、25℃におけるアンモニアの水に対する溶解度は、重量比で約31%である。したがって、高温の堆肥化由来ガスGを25℃以下に冷却することにより、臭気成分のうちアンモニアの水に対する溶解度を約1.7倍に高め得る。
【0177】
〔臭気成分を水系溶媒Lに溶解〕
臭気成分溶解部5において、冷却によって水系溶媒Lへの溶解度を高めた臭気成分を水系溶媒Lに溶解させる。冷却によって水系溶媒Lへの溶解度を高めているため、臭気成分溶解部5を大型に構成することなく、臭気成分を水系溶媒Lに溶解させ、堆肥化由来ガスGから除去し得る。
【0178】
溶解により、臭気成分を除去された処理後ガスDと、臭気成分を溶解させた水系溶媒Lである溶解後水系溶媒L2とを得られる。溶媒排出部54は、溶解後水系溶媒L2を臭気成分除去部7へ排出する。
【0179】
〔臭気成分を含む液体から臭気成分を除去〕
結露液体送出部6を用いて結露液体Cを臭気成分除去部7へ送出し、溶解後水系溶媒L2とともに臭気成分含有液体貯蔵部71に貯蔵する。臭気成分含有液体送出部72を用いて貯蔵された臭気成分を含む液体を臭気成分処理部73へ送出し、液体から臭気成分を除去して処理後液体Pを得る。
【0180】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したものに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0181】
また、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0182】
1 堆肥化由来ガス処理装置
2 空冷式熱交換部
21 送風機
22 空冷式熱交換器
3 外気利用液冷式熱交換部
31 外気利用放熱器
32 外気利用冷媒送出部
33 外気利用液冷式熱交換器
4 冷凍機利用液冷式熱交換部
41 冷凍機前放熱器
42 冷凍機
43 冷凍機冷媒送出部
44 冷凍機利用液冷式熱交換器
5 臭気成分溶解部
51 溶媒供給部
52 溶媒接触部
53 ガス送出部
54 溶媒排出部
6 結露液体送出部
7 臭気成分除去部
71 臭気成分含有液体貯蔵部
72 臭気成分含有液体送出部
73 臭気成分処理部
74 処理後液体排出部
8 支持構造
B1 第1土地境界
B2 第2土地境界
B3 第3土地境界
B4 第4土地境界
C 結露液体
D 処理後ガス
F 堆肥製造装置
G 堆肥化由来ガス
L1 溶解前水系溶媒
L2 溶解後水系溶媒
P 処理後液体
R1 外気利用冷媒
R2 冷凍機利用冷媒
S 堆肥製造システム

図1
図2
図3