(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069256
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】おんぶ用具
(51)【国際特許分類】
A61G 1/00 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
A61G1/00 702
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181004
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000133928
【氏名又は名称】株式会社テラモト
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】井上 歌詠
(72)【発明者】
【氏名】庄司 結衣
(72)【発明者】
【氏名】大隅 優依
(57)【要約】
【課題】使用者の負担を軽減するのに適したおんぶ用具を提供する。
【解決手段】おんぶ用具A1は、各々が柔軟性素材により構成されるシート体1,2と、シート体1に設けられたベルト31~33と、シート体2に設けられたベルト34,35と、を備える。シート体1は、領域11と、各々が領域11に対して第1方向一方側y1につながり、且つ第1方向yに直交する第2方向xの一方側x1および他方側x2に離間して配置された領域12,13と、を含む。シート体2は、領域11に固定され、且つ第1方向yに延びる帯状である。ベルト31は、領域11の第2方向一方側x1と領域13の第2方向他方側x2とをつなぎ、且つ着脱可能である。ベルト32は、領域11の第2方向他方側x2と領域12の第2方向一方側x1とをつなぎ、且つ着脱可能である。ベルト33は、領域12の第2方向他方側x2と領域13の第2方向一方側x1とをつなぐ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が柔軟性素材により構成される第1シート体および第2シート体と、
前記第1シート体に設けられた第1ベルト、第2ベルトおよび第3ベルトと、
前記第2シート体に設けられた第4ベルトおよび第5ベルトと、を備え、
前記第1シート体は、被背負い人の背、腰および尻を覆う第1領域と、各々が前記第1領域に対して第1方向の一方側につながり、且つ前記第1方向に直交する第2方向の一方側および他方側に離間して配置され、被背負い人の両脚の大腿部をそれぞれ覆う第2領域および第3領域と、を含み、
前記第2シート体は、第1領域に固定され、且つ前記第1方向に延びる帯状であり、被背負い人の尻、股および腹を覆い、
前記第1ベルトは、前記第1領域の前記第1方向の他方側で前記第2方向の一方側の部位と、前記第3領域における前記第2方向の他方側の部位とをつなぐとともに着脱可能な第1連結部および第2連結部を有し、
前記第2ベルトは、前記第1領域の前記第1方向の他方側で前記第2方向の他方側の部位と、前記第2領域における前記第2方向の一方側の部位とをつなぐとともに着脱可能な第3連結部および第4連結部を有し、
前記第3ベルトは、前記第2領域における前記第2方向の他方側の部位と前記第3領域における前記第2方向の一方側の部位とをつなぎ、
前記第4ベルトは、前記第2シート体の前記第1方向の一方側で前記第2方向の一方側の部位と、前記第2シート体の前記第1方向の他方側で前記第2方向の一方側の部位と、をつなぎ、
前記第5ベルトは、前記第2シート体の前記第1方向の一方側で前記第2方向の他方側の部位と、前記第2シート体の前記第1方向の他方側で前記第2方向の他方側の部位と、をつなぐ、おんぶ用具。
【請求項2】
前記第1ベルトは、前記第1領域から延出し、前記第1連結部が取り付けられた第1ベルト片と、前記第3領域から延出し、前記第2連結部が取り付けられた第2ベルト片と、を有し、
前記第2ベルトは、前記第1領域から延出し、前記第3連結部が取り付けられた第3ベルト片と、前記第2領域から延出し、前記第4連結部が取り付けられた第4ベルト片と、を有し、
前記第1ベルト片および前記第2ベルト片は、同一の色または模様が施されており、
前記第3ベルト片および前記第4ベルト片は、前記第1ベルト片および前記第2ベルト片の色または模様とは異なる、同一の色または模様が施されている、請求項1に記載のおんぶ用具。
【請求項3】
前記第1連結部および前記第2連結部は、同一の色または模様が施されており、
前記第3連結部および前記第4連結部は、前記第1連結部および前記第2連結部の色または模様とは異なる、同一の色または模様が施されている、請求項1または2に記載のおんぶ用具。
【請求項4】
前記第1ベルト、前記第2ベルト、前記第3ベルト、前記第4ベルトおよび前記第5ベルトは、各々、長さ調整可能である、請求項1ないし3のいずれかに記載のおんぶ用具。
【請求項5】
前記第3ベルトは、着脱可能な第5連結部および第6連結部を有する、請求項1ないし4のいずれかに記載のおんぶ用具。
【請求項6】
前記第4ベルトは、着脱可能な第7連結部および第8連結部を有し、
前記第5ベルトは、着脱可能な第9連結部および第10連結部を有する、請求項1ないし5のいずれかに記載のおんぶ用具。
【請求項7】
前記第2領域および前記第3領域それぞれにおける前記第1方向の一方側の端部、ならびに前記第1領域における前記第1方向の他方側の端部には、弾性変形可能なクッション材が設けられている、請求項1ないし6のいずれかに記載のおんぶ用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば要介護者や病人を背負う時に使用するおんぶ用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば病人等を背負うためのおんぶ用具が提案されている(たとえば特許文献1を参照)。特許文献1に記載されたおんぶ用具は、シート状のおぶひも本体(2)、およびこのおぶひも本体の左右両端から延出する複数ずつの紐を備えている。当該おんぶ用具を使用する際、おぶひも本体折り返して背負われる人(被背負い人)の背、腰、尻から腹までを覆い、おぶひも本体の左右から延出する複数ずつの紐を背負う人(背負い人)の肩や腰に掛けて被背負い人をおんぶする。上記従来のおんぶ用具においては、被背負い人の体重の殆どが尻の周辺で受け止められることになる。したがって、被背負い人の負担が大きくなる場合があった。また、尻を覆う部分から股を覆う部分にかけては左右の幅が比較的狭くなっており、横揺れが生じ易くなっていた。その結果、被背負い人の安全性を担保することができず、上記横揺れによって背負い人の負担も増すこととなっていた。また、左右から延びる複数ずつの紐については、バックル等を介して背負い人の体の正面側で接続するように構成されているが、どの紐を接続するのか分かり難く、紐の接続作業が煩雑となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、使用者の負担を軽減するのに適したおんぶ用具を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0006】
本発明によって提供されるおんぶ用具は、各々が柔軟性素材により構成される第1シート体および第2シート体と、前記第1シート体に設けられた第1ベルト、第2ベルトおよび第3ベルトと、前記第2シート体に設けられた第4ベルトおよび第5ベルトと、を備え、前記第1シート体は、被背負い人の背、腰および尻を覆う第1領域と、各々が前記第1領域に対して第1方向の一方側につながり、且つ前記第1方向に直交する第2方向の一方側および他方側に離間して配置され、被背負い人の両脚の大腿部をそれぞれ覆う第2領域および第3領域と、を含み、前記第2シート体は、第1領域に固定され、且つ前記第1方向に延びる帯状であり、被背負い人の尻、股および腹を覆い、前記第1ベルトは、前記第1領域の前記第1方向の他方側で前記第2方向の一方側の部位と、前記第3領域における前記第2方向の他方側の部位とをつなぐとともに着脱可能な第1連結部および第2連結部を有し、前記第2ベルトは、前記第1領域の前記第1方向の他方側で前記第2方向の他方側の部位と、前記第2領域における前記第2方向の一方側の部位とをつなぐとともに着脱可能な第3連結部および第4連結部を有し、前記第3ベルトは、前記第2領域における前記第2方向の他方側の部位と前記第3領域における前記第2方向の一方側の部位とをつなぎ、前記第4ベルトは、前記第2シート体の前記第1方向の一方側で前記第2方向の一方側の部位と、前記第2シート体の前記第1方向の他方側で前記第2方向の一方側の部位と、をつなぎ、前記第5ベルトは、前記第2シート体の前記第1方向の一方側で前記第2方向の他方側の部位と、前記第2シート体の前記第1方向の他方側で前記第2方向の他方側の部位と、をつなぐ。
【0007】
好ましい実施の形態においては、前記第1ベルトは、前記第1領域から延出し、前記第1連結部が取り付けられた第1ベルト片と、前記第3領域から延出し、前記第2連結部が取り付けられた第2ベルト片と、を有し、前記第2ベルトは、前記第1領域から延出し、前記第3連結部が取り付けられた第3ベルト片と、前記第2領域から延出し、前記第4連結部が取り付けられた第4ベルト片と、を有し、前記第1ベルト片および前記第2ベルト片は、同一の色または模様が施されており、前記第3ベルト片および前記第4ベルト片は、前記第1ベルト片および前記第2ベルト片の色または模様とは異なる、同一の色または模様が施されている。
【0008】
好ましい実施の形態においては、前記第1連結部および前記第2連結部は、同一の色または模様が施されており、前記第3連結部および前記第4連結部は、前記第1連結部および前記第2連結部の色または模様とは異なる、同一の色または模様が施されている。
【0009】
好ましい実施の形態においては、前記第1ベルト、前記第2ベルト、前記第3ベルト、前記第4ベルトおよび前記第5ベルトは、各々、長さ調整可能である。
【0010】
好ましい実施の形態においては、前記第3ベルトは、着脱可能な第5連結部および第6連結部を有する。
【0011】
好ましい実施の形態においては、前記第4ベルトは、着脱可能な第7連結部および第8連結部を有し、前記第5ベルトは、着脱可能な第9連結部および第10連結部を有する。
【0012】
好ましい実施の形態においては、前記第2領域および前記第3領域それぞれにおける前記第1方向の一方側の端部、ならびに前記第1領域における前記第1方向の他方側の端部には、弾性変形可能なクッション材が設けられている。
【0013】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係るロールペーパー携帯用ポーチの一例を示す展開図である。
【
図2】
図1に示したおんぶ用具を説明するための図である。
【
図3】
図1に示したおんぶ用具を裏返した状態を示す図である。
【
図4】
図1に示したおんぶ用具の使用方法を説明するための図である。
【
図5】
図1に示したおんぶ用具の使用方法を説明するための図であり、
図4の次の手順を示す。
【
図6】
図1に示したおんぶ用具の使用方法を説明するための図である。
【
図7】
図1に示したおんぶ用具の使用方法を説明するための図であり、
図5の次の手順を示す。
【
図8】
図1に示したおんぶ用具の使用方法を説明するための図であり、
図7の次の手順を示す。
【
図9】
図1に示したおんぶ用具の使用方法を説明するための図であり、
図8の次の手順を示す。
【
図10】
図1に示したおんぶ用具の使用状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
図1~
図3は、本発明に係るおんぶ用具の一例を示す。本実施形態のおんぶ用具A1は、第1シート体1、第2シート体2、第1ベルト31、第2ベルト32、第3ベルト33、第4ベルト34、第5ベルト35およびクッション材71~75を備えている。おんぶ用具A1は、たとえば要介護者や病人を背負って運搬する際に使用するものである。
【0017】
なお、おんぶ用具A1の説明において、
図1における図中上下方向を「第1方向y」と呼ぶ。
図1において第1方向yに対して直交する図中左右方向を「第2方向x」と呼ぶ。また、また、おんぶ用具A1の説明においては、便宜上、
図1において図中下側を「第1方向一方側y1」と呼び、図中上側を「第1方向他方側y2」と呼ぶ。
図1において図中左側を「第2方向一方側x1」と呼び、図中右側を「第2方向他方側x2」と呼ぶ。
【0018】
第1シート体1は、第1領域11、第2領域12および第3領域13を含む。第1領域11は、第1方向yおよび第2方向xに沿った略矩形状とされており、背負われる人(被背負い人)の背、腰および尻を覆う部分である。第2領域12および第3領域13は、第1領域11に対して、第1方向一方側y1につながっている。第2領域12および第3領域13は、それぞれ第1方向一方側y1に延びている。また、第2領域12および第3領域13は、第2方向xにおいて互いに離間している。第2領域12は第2方向一方側x1に位置し、第3領域13は、第2方向他方側x2に位置する。第2領域12および第3領域13は、被背負い人の両脚の大腿部をそれぞれ覆う部分である。
【0019】
第1領域11および第2領域12、ならびに第1領域11および第3領域13は、それぞれ明瞭な境界は存在しないが、
図1~
図3において、第1領域11と第2領域12との境界位置の目安、および第1領域11と第3領域13との境界位置の目安を、それぞれ仮想線で表している。
図3に示すように、第1領域11の適所には反射シート14が取り付けられている。上記構成の第1シート体1(第1領域11、第2領域12および第3領域13)は、所定の強度を有する柔軟性素材により構成されており、たとえばポリエステル繊維素材の布地によって構成されている。
【0020】
第2シート体2は、第1領域11に固定されており、第1方向yに延びる帯状である。本実施形態では、第2シート体2の第1方向他方側y2の端部が、第1領域11の第1方向他方側y2寄り且つ第2方向xの略中央の位置に縫着されている。これにより、第2シート体2の端部は、第1領域11対して強固に固定されている。
図1に示した例では、第2シート体2は、第2方向xにおいて一定幅とされており、第1方向yに長状に延びている。第2シート体2は、第1方向一方側y1に第1領域11を越えて延びており、第2シート体2の第2方向一方側x1の端部は、第2領域12および第3領域13の第1方向一方側y1の端部付近に到達する。第2シート体2は、被背負い人の尻、股および腹を覆う部分である。上記構成の第2シート体2は、所定の強度を有する柔軟性素材により構成されており、たとえばポリエステル繊維素材の布地によって構成されている。
【0021】
第1ベルト31および第2ベルト32は、背負う人(背負い人)がおんぶ用具A1を用いて被背負い人を背負う際、両肩に掛けるのに用いられる。第1ベルト31は、第1領域11と第3領域13とを着脱可能につなぐ。第1ベルト31は、第1領域11における第1方向他方側y2で第2方向一方側x1の部位と、第3領域13における第2方向他方側x2の部位と、をつなぐ。本実施形態において、第1ベルト31は、第1ベルト片311、第1連結部312、第2ベルト片313、第2連結部314および肩当て部315を有する。
【0022】
第1ベルト片311は、柔軟性を有する帯紐部材であり、第1領域11から延出している。図示した例では、第1領域11の第1方向他方側y2の端部(以下、適宜「上端部111」という)は、袋状に縫い付けられている。第1ベルト片311は、基端側が上端部111の第2方向一方側x1に収容されている。第1ベルト片311の基端側は、第1領域11に対してたとえば縫着により固定されている。第1連結部312は、第1ベルト片311の先端側に取り付けられている。
【0023】
第2ベルト片313は、柔軟性を有する帯紐部材であり、第3領域13から延出している。図示した例では、第3領域13の第1方向一方側y1の端部(以下、適宜「下端部131」という)は、袋状に縫い付けられている。第2ベルト片313は、基端側が下端部131に収容されている。第2連結部314は、第2ベルト片313の先端側に取り付けられている。
【0024】
第1連結部312および第2連結部314は、たとえば、いわゆる差し込みバックル式の連結具であり、着脱可能に連結される。なお、第1ベルト片311に対する第1連結部312の取り付け位置は、当該第1連結部312を第1ベルト片311の長手方向にスライドさせることで変更可能である。これにより、第1ベルト片311(第1ベルト31)は、長さ調整可能とされている。本実施形態では、第1ベルト片311および第2ベルト片313は、同一の色または模様が施されている。肩当て部315は、筒状とされており、第1ベルト片311に外嵌されている。
【0025】
第2ベルト32は、第1領域11と第2領域12とを着脱可能につなぐ。第2ベルト32は、第1領域11における第1方向他方側y2で第2方向他方側x2の部位と、第2領域12における第2方向一方側x1の部位と、をつなぐ。本実施形態において、第2ベルト32は、第3ベルト片321、第3連結部322、第4ベルト片323、第4連結部324および肩当て部325を有する。
【0026】
第3ベルト片321は、柔軟性を有する帯紐部材であり、第1領域11から延出している。図示した例では、第3ベルト片321は、基端側が上端部111の第2方向他方側x2に収容されている。第3ベルト片321の基端側は、第1領域11に対してたとえば縫着により固定されている。第3連結部322は、第3ベルト片321の先端側に取り付けられている。
【0027】
第4ベルト片323は、柔軟性を有する帯紐部材であり、第2領域12から延出している。図示した例では、第2領域12の第1方向一方側y1の端部(以下、適宜「下端部121」という)は、袋状に縫い付けられている。第4ベルト片323は、基端側が下端部121に収容されている。第4連結部324は、第4ベルト片323の先端側に取り付けられている。
【0028】
第3連結部322および第4連結部324は、たとえば差し込みバックル式の連結具であり、着脱可能に連結される。なお、第3ベルト片321に対する第3連結部322の取り付け位置は、当該第3連結部322を第3ベルト片321の長手方向にスライドさせることで変更可能である。これにより、第3ベルト片321(第2ベルト32)は、長さ調整可能とされている。肩当て部325は、筒状とされており、第3ベルト片321に外嵌されている。
【0029】
本実施形態では、第3ベルト片321および第4ベルト片323は、同一の色または模様が施されている。また、第3ベルト片321および第4ベルト片323に施された色または模様は、第1ベルト31の第1ベルト片311および第2ベルト片313の色または模様とは異なっている。ここで、色が異なる態様としては、同じ色相で濃淡が異なる態様や、色相が異なる態様が挙げられる。図示した例では、第1ベルト片311および第2ベルト片313において同一の色が施されており、第3ベルト片321および第4ベルト片323において、第1ベルト片311および第2ベルト片313の色とは異なる色が施された場合を示す。
【0030】
第3ベルト33は、背負い人がおんぶ用具A1を用いて被背負い人を背負う際、腰の両側から身体の正面にかけて締めるのに用いられる。第3ベルト33は、第2領域12と第3領域13とをつなぐ。第3ベルト33は、第2領域12における第2方向他方側x2の部位と、第3領域13における第2方向一方側x1の部位と、をつなぐ。本実施形態において、第3ベルト33は、第5ベルト片331、第5連結部332、第6ベルト片333および第6連結部334を有する。
【0031】
第5ベルト片331は、柔軟性を有する帯紐部材であり、第2領域12から延出している。図示した例では、第5ベルト片331は、基端側が下端部121に収容されている。なお、本実施形態において、第5ベルト片331の基端側は、下端部121内において第4ベルト片323の基端側と一連につながっている。本実施形態とは異なり、第5ベルト片331の基端側および第4ベルト片323の基端側が互いに分離し、且つ第2領域12にそれぞれ縫着により固定された構成であってもよい。第5連結部332は、第5ベルト片331の先端側に取り付けられている。
【0032】
第6ベルト片333は、柔軟性を有する帯紐部材であり、第3領域13から延出している。図示した例では、第6ベルト片333は、基端側が下端部131に収容されている。なお、本実施形態において、第6ベルト片333の基端側は、下端部131内において第2ベルト片313の基端側と一連につながっている。本実施形態とは異なり、第6ベルト片333の基端側および第2ベルト片313の基端側が互いに分離し、且つ第3領域13にそれぞれ縫着により固定された構成であってもよい。第6連結部334は、第6ベルト片333の先端側に取り付けられている。
【0033】
第5連結部332および第6連結部334は、たとえば差し込みバックル式の連結具であり、着脱可能に連結される。これにより、第3ベルト33(第5連結部332が取り付けられた第5ベルト片331および第6連結部334が取り付けられた第6ベルト片333)は、第2領域12と第3領域13とを着脱可能につなぐ。なお、第5ベルト片331に対する第5連結部332の取り付け位置は、当該第5連結部332を第5ベルト片331の長手方向にスライドさせることで変更可能である。これにより、第5ベルト片331(第3ベルト33)は、長さ調整可能とされている。
【0034】
第4ベルト34および第5ベルト35は、おんぶ用具A1を使用する際、被背負い人の尻、股および腹を第2シート体2で覆うのに用いられる。第4ベルト34は、第2シート体2の第1方向一方側y1で第2方向一方側x1の部位と、第2シート体2の第1方向他方側y2で第2方向一方側x1の部位と、をつなぐ。本実施形態において、第4ベルト34は、第7ベルト片341、第7連結部342、第8ベルト片343および第8連結部344を有する。
【0035】
第7ベルト片341は、柔軟性を有する帯紐部材であり、第2シート体2から延出している。図示した例では、第7ベルト片341の基端側は、第2シート体2の第1方向一方側y1の端部にたとえば縫着により固定されている。第7ベルト片341は、第2シート体2の第2方向一方側x1から延出している。第7連結部342は、第7ベルト片341の先端側に取り付けられている。
【0036】
第8ベルト片343は、柔軟性を有する帯紐部材であり、第2シート体2から延出している。図示した例では、第8ベルト片343の基端側は、第2シート体2の第1方向他方側y2の端部にたとえば縫着により固定されている。第8ベルト片343は、第2シート体2の第2方向一方側x1から延出している。第8連結部344は、第8ベルト片343の先端側に取り付けられている。
【0037】
第7連結部342および第8連結部344は、たとえば差し込みバックル式の連結具であり、着脱可能に連結される。なお、第7ベルト片341に対する第7連結部342の取り付け位置は、当該第7連結部342を第7ベルト片341の長手方向にスライドさせることで変更可能である。これにより、第7ベルト片341(第4ベルト34)は、長さ調整可能とされている。
【0038】
第5ベルト35は、第2シート体2の第1方向一方側y1で第2方向他方側x2の部位と、第2シート体2の第1方向他方側y2で第2方向他方側x2の部位と、をつなぐ。本実施形態において、第5ベルト35は、第9ベルト片351、第9連結部352、第10ベルト片353よび第10連結部354を有する。
【0039】
第9ベルト片351は、柔軟性を有する帯紐部材であり、第2シート体2から延出している。図示した例では、第9ベルト片351の基端側は、第2シート体2の第1方向一方側y1の端部にたとえば縫着により固定されている。第9ベルト片351は、第2シート体2の第2方向他方側x2から延出している。第9連結部352は、第9ベルト片351の先端側に取り付けられている。
【0040】
第10ベルト片353は、柔軟性を有する帯紐部材であり、第2シート体2から延出している。図示した例では、第10ベルト片353の基端側は、第2シート体2の第1方向他方側y2の端部にたとえば縫着により固定されている。第10ベルト片353は、第2シート体2の第2方向他方側x2から延出している。第10連結部354は、第10ベルト片353の先端側に取り付けられている。
【0041】
第9連結部352および第10連結部354は、たとえば差し込みバックル式の連結具であり、着脱可能に連結される。なお、第9ベルト片351に対する第9連結部352の取り付け位置は、当該第9連結部352を第9ベルト片351の長手方向にスライドさせることで変更可能である。これにより、第9ベルト片351(第5ベルト35)は、長さ調整可能とされている。
【0042】
図2に示したクッション材71~75は、各々、弾性変形可能な部材によって構成されている。
図2においては、クッション材71~75の配置領域にハッチングを付している。クッション材71は、第1シート体1の第1領域11における上端部111(第1方向他方側y2の端部)に配置されている。クッション材71は、第1領域11の第2方向xにおける略全長にわたって設けられている。クッション材72は、第2領域12の下端部121(第1方向一方側y1の端部)に配置されている。クッション材72は、第2領域12の第2方向xにおける略全長にわたって設けられている。クッション材73は、第2領域12の下端部121(第1方向一方側y1の端部)に配置されている。クッション材73は、第3領域13の第2方向xにおける略全長にわたって設けられている。クッション材74は、肩当て部315に配置されている。クッション材75は、肩当て部325に配置されている。クッション材71~75の各々の構成材料は特に限定されず、たとえば厚さが5mm~10mm程度の発泡ウレタン等のスポンジ状部材が挙げられる。
【0043】
次に、おんぶ用具A1の使用方法について、
図4~
図10を参照して説明する。
【0044】
本実施形態のおんぶ用具A1を使用する際、まず、
図4におんぶ用具A1を椅子やベッド上に展開した状態に広げて、当該おんぶ用具A1に被背負い人P1が座った状態にする。ここで、第1ベルト31、第2ベルト32、第3ベルト33、第4ベルト34および第5ベルト35は、各々その連結部どうしを分離した状態にしておく。被背負い人P1は、第2シート体2の上に座る。被背負い人P1の両脚の大腿部は、第1シート体1の第2領域12および第3領域13の上に載せる。
【0045】
次に、
図5、
図6等から理解されるように、背負い人P2等が第2シート体2を被背負い人P1の股および腹を覆うように持ち上げ、第4ベルト34の第7連結部342および第8連結部344、ならびに第5ベルト35の第9連結部352および第10連結部354をそれぞれ連結する。このとき、被背負い人P1が苦しくない程度に第4ベルト34および第5ベルト35の長さを適宜調整する。
【0046】
次いで、
図7に示すように、背負い人P2が被背負い人P1の両脚の間に移動し、第1ベルト31(第1ベルト片311)を被背負い人P1の右脇を通して背負い人P2の右肩に掛け、第2ベルト32(第3ベルト片321)を被背負い人P1の左脇を通して背負い人P2の左肩に掛ける。そして、第1ベルト31(第1ベルト片311と第2ベルト片313)および第2ベルト32(第3ベルト片321と第4ベルト片323)をそれぞれ背負い人P2の身体の正面で交差させて、第2シート体2の第1連結部312および第2連結部314、ならびに第2ベルト32の第3連結部322および第4連結部324をそれぞれ連結する。
【0047】
次に、
図8に示すように、第3ベルト33(第5ベルト片331および第6ベルト片333)を背負い人P2の腰の両側から身体の正面に持ってきて、第5連結部332および第6連結部334を連結する。次いで、被背負い人P1と背負い人P2が密着するように、第1ベルト31、第2ベルト32および第3ベルト33それぞれの長さを適宜調整する。
【0048】
次いで、
図9に示すように、背負い人P2は、各ベルト31~33が締まっていることを確認しながら、ゆっくりと立ち上がる。
図10は、おんぶ用具A1を装着して被背負い人P1が背負い人P2に背負われた状態を示している。本実施形態のおんぶ用具A1は、たとえば要介護者や病人を運搬するのに用いられる。ただし、おんぶ用具A1を使用して運搬される被背負い人P1の対象としては、特に限定されるものではない。また、おんぶ用具A1を使用する状況も種々な場合がある。おんぶ用具A1は、たとえば災害時に避難が必要な場合等において、自力で避難することが困難な人を運搬するのに用いられる。
【0049】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0050】
本実施形態のおんぶ用具A1は、第1シート体1および第2シート体2を備える。第1シート体1は第1領域11、第2領域12および第3領域13を含む。第1領域11は被背負い人P1の背、腰および尻を覆っており、第2領域12および第3領域13は、被背負い人P1の両脚の大腿部を下方から覆っている。第2シート体2については、第1領域11に固定されるとともに、被背負い人P1の尻、股および腹を覆っている。このような構成によれば、被背負い人P1においては、当該被背負い人P1の体重は、第1領域11によって主に尻周辺に、第2領域12および第3領域13によって大腿部周辺に、さらに第2シート体2によって尻周辺に、それぞれ分散して受け止められる。したがって、被背負い人P1が背負われる際の身体への負担を軽減することができる。
【0051】
また、おんぶ用具A1の装着時において、第2シート体2によって被背負い人P1の尻周辺が支持されるとともに、この第2シート体2を覆うように配置された第1領域11(第1シート体1)によっても被背負い人P1の尻周辺が支持される。このような構成によれば、被背負い人P1の尻の位置が安定し、運搬時における被背負い人P1の横揺れを抑制することができる。その結果、被背負い人P1の安全性を担保することができ、背負い人P2の負担も軽減することができる。
【0052】
第1ベルト31は、第1領域11における第1方向他方側y2で第2方向一方側x1の部位と、第3領域13における第2方向他方側x2の部位とをつなぐとともに、着脱可能な第1連結部312および第2連結部314を有する。第2ベルト32は、第1領域11における第1方向他方側y2で第2方向他方側x2の部位と、第2領域12における第2方向一方側x1の部位とをつなぐとともに、着脱可能な第3連結部322および第4連結部324を有する。このような構成によれば、背負い人P2が左右両肩に掛ける2本の第1ベルト31および第2ベルト32は、背負い人P2の身体の正面で交差させることができる。これにより、被背負い人P1と背負い人P2の身体が密着しやすくなり、運搬する際の安定感が増す。
【0053】
第1ベルト31の第1ベルト片311および第2ベルト片313は、同一の色または模様が施されている。第2ベルト32の第3ベルト片321および第4ベルト片323は、同一の色または模様が施されている。また、第3ベルト片321および第4ベルト片323に施された色または模様は、第1ベルト31の第1ベルト片311および第2ベルト片313の色または模様とは異なっている。このような構成によれば、第1ベルト片311および第2ベルト片313、ならびに第3ベルト片321および第4ベルト片323を互いに接続する際には、同一の色または模様どうしを合わせることで、第1ベルト31および第2ベルト32をそれぞれ、取り違えることなく迅速につなぐことができる。したがって、おんぶ用具A1の装着作業性に優れる。
【0054】
本実施形態では、第1ベルト31、第2ベルト32、第3ベルト33、第4ベルト34および第5ベルト35は、各々その長さ調整が可能とされている。このような構成によれば、被背負い人P1と背負い人P2が密着する状態を適切に維持することができる。
【0055】
第3ベルト33は、着脱可能な第5連結部332および第6連結部334を有する。このような構成によれば、おんぶ用具A1を装着する際、第3ベルト33を背負い人P2の正面を横切るように容易に配置することができ、おんぶ用具A1の装着作業性に優れる。また、本実施形態では、第2シート体2に取り付けられた第4ベルト34は着脱可能な第7連結部342および第8連結部344を有し、第5ベルト35は第9連結部352および第10連結部354を有する。このような構成によれば、第2シート体2を覆うように容易に配置することができ、おんぶ用具A1の装着作業性に優れる。
【0056】
第1シート体1において、第2領域12の下端部121(第1方向一方側y1の端部)および第3領域13の下端部131(第1方向一方側y1の端部)には、クッション材72,73が設けられている。また、第1領域11の上端部111(第1方向他方側y2の端部)には、クッション材71が設けられている。被背負い人P1の身体のうち当該被背負い人P1を受け止める第1シート体1の端縁付近と接触する部分が圧迫を受けやすい。上記のようにクッション材71~73が設けられた構成によれば、おんぶ用具A1の装着時の被背負い人P1の身体の過度な圧迫を防止することができる。また、本実施形態では、第1ベルト片311および第3ベルト片321に外嵌された肩当て部315,325には、クッション材74,75が設けられている。このような構成によれば、背負い人P2の両肩への過度な圧迫を防止することができる。
【0057】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。本発明に係るおんぶ用具の各部の具体的な形状や材質なども、上記実施形態に限定されるものではない。
【0058】
上記実施形態において、第1ベルト31の第1ベルト片311および第2ベルト片313が同一の色または模様が施され、第2ベルト32の第3ベルト片321および第4ベルト片323において、第1ベルト片311および第2ベルト片313の色または模様とは異なる、同一の色または模様が施された場合について説明した。本発明における第1ベルト31と第2ベルト32を区別する手法はこれに限定されない。たとえば、第1ベルト31における第1連結部312および第2連結部314に同一の色または模様を施し、第2ベルト32の第3連結部322および第4連結部324において、第1連結部312および第2連結部314の色または模様とは異なる、同一の色または模様を施してもよい。
【0059】
上記実施形態では、第1シート体1の第1領域11が略矩形状である場合について説明したが、第1領域11の形状はこれに限定されない。たとえば第1領域11の上端部111(第1方向他方側y2の端部)が湾曲していてもよい。また、第1領域11の左端部(第2方向一方側x1の端部)や右端部(第2方向他方側x2の端部)が湾曲する形状であってもよい。第2領域12、第3領域13および第2シート体2の各々の形状についても、上記実施形態に記載された形状に限定されず、使用に適した範囲で様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
A1 :おんぶ用具
1 :第1シート
11 :第1領域
111 :上端部(第1領域の第1方向他方側の端部)
12 :第2領域
121 :下端部(第2領域の第1方向一方側の端部)
13 :第3領域
131 :下端部(第3領域の第1方向一方側の端部)
14 :反射シート
2 :第2シート体
31 :第1ベルト
311 :第1ベルト片
312 :第1連結部
313 :第2ベルト片
314 :第2連結部
315 :肩当て部
32 :第2ベルト
321 :第3ベルト片
322 :第3連結部
323 :第4ベルト片
324 :第4連結部
325 :肩当て部
33 :第3ベルト
331 :第5ベルト片
332 :第5連結部
333 :第6ベルト片
334 :第6連結部
34 :第4ベルト
341 :第7ベルト片
342 :第7連結部
343 :第8ベルト片
344 :第8連結部
35 :第5ベルト
351 :第9ベルト片
352 :第9連結部
353 :第10ベルト片
354 :第10連結部
71,72,73,74,75:クッション材
P1 :被背負い人
P2 :背負い人
x :第2方向
x1 :第2方向一方側
x2 :第2方向他方側
y :第1方向
y1 :第1方向一方側
y2 :第1方向他方側