(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069281
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】汎用性に優れる認証式制御システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20230101AFI20230511BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20230511BHJP
E05B 65/02 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
G06Q10/08
E05B49/00 K
E05B49/00 L
E05B49/00 R
E05B65/02 A
E05B65/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181041
(22)【出願日】2021-11-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年9月30日 販売 PayPayカード株式会社 福岡本社(福岡県福岡市博多区博多駅前四丁目21番26号)
(71)【出願人】
【識別番号】310016278
【氏名又は名称】株式会社ワイエフテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】藤山 英明
【テーマコード(参考)】
2E250
5L049
【Fターム(参考)】
2E250AA13
2E250AA16
2E250BB05
2E250BB09
2E250DD06
2E250DD07
2E250DD08
2E250FF11
2E250FF36
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】制御対象に簡単に組み込むことができ、かつ用途に適するように制御内容のカスタマイズ性にも優れる認証式制御システムを提供する。
【解決手段】識別情報取得部10で取得した識別情報の認証処理を行い、制御対象40に直接又は間接的に制御信号を送信可能な制御部20に、表示部30で表示される制御対象選択画面において選択ボタンの数および配置態様の設定可能な選択画面設定手段21と、制御対象への制御信号の送信態様を切り替え可能な制御信号送信切替手段22と、識別情報から特定したユーザ属性に応じて制御対象選択画面中の任意の選択ボタンを非表示または選択不能に設定可能な選択対象絞り込み手段23と、識別情報の受付直後に制御信号の内容をユーザが選択可能な制御内容選択画面を表示部に表示する制御内容選択画面表示手段24と、を設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカード、バーコード、二次元コード、またはユーザの生体情報からなる識別情報の認証作業によって、制御対象の動作を制御可能な、認証式制御システムであって、
前記識別情報を取得可能な、識別情報取得部と、
取得した前記識別情報の認証処理を行い、前記制御対象に直接又は間接的に制御信号を送信可能な、制御部と、
前記認証作業の推移を画面表示可能な、表示部と、を少なくとも具備し、
前記制御部が、さらに、
前記表示部に表示可能な制御対象選択画面において、制御対象毎に割り当てられた選択ボタンの数および配置態様の設定可能な、選択画面設定手段と、
制御対象への制御信号の送信態様を切り替え可能な、制御信号送信切替手段と、を少なくとも有し、
前記制御信号送信切替手段は、前記認証処理において、
(a)前記選択画面を前記表示部に表示し、当該選択画面でユーザが選択した制御対象に対して、前記制御信号を送信するか、
または、
(b)前記選択画面を前記表示部で表示させずに、前記識別情報が予め紐付けられている制御対象に対して、前記制御信号を送信するか、
を切り替え設定に構成してあることを特徴とする、
認証式制御システム。
【請求項2】
前記制御部が、さらに、
前記識別情報から特定したユーザ属性に応じて、前記制御対象選択画面において、任意の選択ボタンを非表示または選択不能に設定可能な、選択対象絞り込み手段、
を有することを特徴とする、
請求項1に記載の認証式制御システム。
【請求項3】
前記制御部が、さらに、
前記識別情報の受付直後に、前記制御信号の内容をユーザが選択可能な、制御内容選択画面を前記表示部に表示する、制御内容選択画面表示手段、
を有することを特徴とする、
請求項1または2に記載の認証式制御システム。
【請求項4】
前記制御対象が、ユーザの所有物を預かる、ロッカーやキャビネットなどの保管庫であり、
前記制御信号が、前記保管庫の施解錠信号であることを特徴とする、
請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の認証式起動制御システム。
【請求項5】
前記制御対象が、ユーザの通行を管理するゲート、扉、シャッターなどの開閉体であり、
前記制御信号が、前記開閉体の開閉信号であることを特徴とする、
請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の認証式制御システム。
【請求項6】
前記制御対象が、生産機械や工作機械などの産業機械であり、
前記制御信号が、前記産業機械のON・OFF信号であることを特徴とする、
請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の認証式制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカード、バーコード、二次元コード、またはユーザの生体情報からなる識別情報の認証作業によって、制御対象の動作を制御可能な、認証式制御システムに関し、より詳しくは、既存の制御対象に簡単に組み込むことができ、かつ制御対象の種類に応じて、制御内容のカスタマイズ性にも優れる認証式制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末等の個人所有物の所持が禁止されている職場等では、出勤の際に、職場に用意されているロッカーなどに個人所有物を収容してから、勤務を開始する規則が定められている。
このロッカーの施解錠は、当然物理的な鍵を用いる事が多いものの、近年では、ICカードとパスワードの組合せでもって施解錠が可能な電子錠を設けた電子常識キャビネットなども存在する(特許文献1)
【0003】
また、近年では、駅などに設置されているコインロッカーにおいて、施解錠を行うための認証手段として、当該コインロッカーの利用者自身のICカードを利用するものなども提供されている(非特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】https://d-money.jp/dotmagazine/articles/898454627595979476
【非特許文献2】https://www.tokyu.co.jp/railway/guide/baggage/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これら従来技術に係るキャビネットやコインロッカーは、多額のコストをかけて新規に設計・開発された専用品であり、既存のキャビネットやコインロッカーをそのまま流用する形での適用はできず設備の総入れ換えが必要となるなど、コスト負担の面で非現実的である、という問題があった。
【0007】
また、このようなICカード等を用いた識別情報の認証作業でもって、制御対象に何らかの制御信号を送信する技術は、あらゆる分野への応用が期待できることから、近年のコロナ禍にあって切望されている、非接触態様での作業や、遠隔地からの作業などを行うにあたって、当該技術に係るシステム一式をモジュール化して、既存のシステムに簡単に組み込むことができるようになると好ましい、というニーズも生まれている。
【0008】
したがって、本願発明は、制御対象に簡単に組み込むことができ、かつ用途に適するように制御内容のカスタマイズ性にも優れる、認証式制御システムの提供を目的の一つとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべくなされた本願発明は、ICカード、バーコード、二次元コード、またはユーザの生体情報からなる識別情報の認証作業によって、制御対象の動作を制御可能な、認証式制御システムであって、前記識別情報を取得可能な、識別情報取得部と、取得した前記識別情報の認証処理を行い、前記制御対象に直接又は間接的に制御信号を送信可能な、制御部と、前記認証作業の推移を画面表示可能な、表示部と、を少なくとも具備し、前記制御部が、さらに、前記表示部に表示可能な制御対象選択画面において、制御対象毎に割り当てられた選択ボタンの数および配置態様の設定可能な、選択画面設定手段と、制御対象への制御信号の送信態様を切り替え可能な、制御信号送信切替手段と、を少なくとも有し、前記制御信号送信切替手段は、前記認証処理において、(a)前記選択画面を前記表示部に表示し、当該選択画面でユーザが選択した制御対象に対して、前記制御信号を送信するか、または、(b)前記選択画面を前記表示部で表示させずに、前記識別情報が予め紐付けられている制御対象に対して、前記制御信号を送信するか、を切り替え設定に構成してあることを特徴とする。
また、本願発明は、前記制御部が、さらに、前記識別情報から特定したユーザ属性に応じて、前記制御対象選択画面において、任意の選択ボタンを非表示または選択不能に設定可能な、選択対象絞り込み手段、を有するよう構成することができる。
また、本願発明は、前記制御部が、さらに、前記識別情報の受付直後に、前記制御信号の内容をユーザが選択可能な、制御内容選択画面を前記表示部に表示する、制御内容選択画面表示手段、を有するよう構成することができる。
また、本願発明は、前記制御対象が、ユーザの所有物を預かる、ロッカーやキャビネットなどの保管庫であり、前記制御信号が、前記保管庫の施解錠信号であるよう構成することができる。
また、本願発明は、前記制御対象が、ユーザの通行を管理するゲート、扉、シャッターなどの開閉体であり、前記制御信号が、前記開閉体の開閉信号であるよう構成することができる。
また、本願発明は、前記制御対象が、生産機械や工作機械などの産業機械であり、前記制御信号が、前記産業機械のON・OFF信号であるよう構成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によれば、以下に記載する効果のうち、少なくとも何れか1つの効果を奏する。
(1)識別情報取得部、制御部および表示部の一式からなるシステムを既存の制御対象に外付けする形で組み込むこともできるため、特注の専用品を製作する場合と比較して、導入コストの低減に寄与する。
(2)制御部に設けた選択画面設定手段によって、実在する制御対象の配置を模擬した選択画面を生成することができるため、ユーザによる操作の利便性が高い。
(3)制御部に設けた制御信号送信切替手段によって、制御信号をユーザの選択後に送信するか、自動送信するかを切り換え設定することができるため、使用方法を複雑にもシンプルにも設計することができ、用途や使用するユーザの属性に応じた設計が可能となる。
(4)制御部に設けた選択対象絞り込み手段によって、ユーザ毎に選択可能な制御対象の表示を切り替えることができるため、バリアフリーへの対応や、従業員のセキュリテイ権限の違いに配慮した運用が可能となる。
(5)制御部に設けた制御内容選択画面表示手段によって、制御内容選択画面の表示の有無を切り換えることができるため、一人のユーザが複数の制御対象に対し、制御内容を個別に変更しながら管理する場合などにも対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る認証式制御システムの全体構成を示す概略図。
【
図7】保管庫システムに適用した場合の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【実施例0013】
<1>全体構成(
図1)
本発明に係る認証式制御システムは、
図1に示すように、認証体から取得した識別情報の認証作業によって、制御対象40の動作を制御するためのシステムであり、少なくとも、識別情報取得部10、制御部20、および表示部30として機能するよう構成する。
これらの各部は、単一または複数の情報処理装置や制御部品等で構成することができ、当該情報処理装置等に内蔵される中央演算装置で実行されるプログラムによって機能することができる。
なお、本発明において、「制御対象40」は特段限定するものではなく、ロッカーやキャビネットなどの保管庫、ユーザの通行を管理するゲート、扉、シャッターなどの開閉体、生産機械や工作機械などの産業機械などが含まれる。したがって、制御対象に送られる制御信号は、保管庫の施解錠信号や、開閉体の開閉信号、産業機械のON・OFF信号などが挙げられる。
また、本発明では、「識別情報」についても特段限定するものではなく、認証体であるICカード、バーコード、二次元コードなどから取得可能な識別IDや、ユーザの生体情報(指紋、顔形状、虹彩、静脈、音声、DNA、筆跡)などが含まれる。
以下、各部の詳細について、識別情報取得部10、表示部30、制御部20の順に説明する。
【0014】
<2>識別情報取得部(
図1)
識別情報取得部10は、識別情報を読み取り可能な認証体(人・物何れも含む)から識別情報を読み取って取得する機能を有する。
識別情報取得部10は、ICカードリーダ、バーコードリーダ、二次元コードを撮影して識別情報を読み取る機能を有するカメラ、生体情報リーダなどで構成することができる。
【0015】
<3>表示部(
図1、
図2)
表示部30は、識別情報取得部10および制御部20での認証作業の推移を画面表示してユーザに確認または追加の操作を促す機能を有する。
表示部30は、ノートPCが具備するディスプレイや、外部ディスプレイ、スマートフォンやタブレットなどの携帯情報端末に備えたディスプレイ、壁等に映像を投影するプロジェクターなどを用いることができる。
また、表示部30を構成するディスプレイをタッチパネル式として、表示部30による画面上で、ユーザの手指やタッチペン等による追加操作を実施可能に構成してもよい。
【0016】
<3.1>表示部での表示例(制御対象選択画面)(
図2)
表示部30で表示される画面の一例として、
図2に複数の制御対象40から制御信号を掃引する対象を選択するための画面(制御対象選択画面33)のイメージ図を示す。本図では、制御対象40ごとに選択ボタン331が割り当てられており、3行×4列の計12台の制御対象40に対し個別にアクセス可能としている。
【0017】
<4>制御部(
図1、
図3)
制御部20は、識別情報取得部10で取得した識別情報の認証処理を行い、制御対象40に直接又は間接的に制御信号を送信する機能を有する。
制御部20は、マイクロコンピュータ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどの情報処理端末に限らず、物理サーバ、仮想サーバなどの大規模なサーバ装置を用いることもできる。
制御部20を機能別に大別すると、主として、選択画面設定手段21、制御信号送信切替手段22、選択対象絞り込み手段23、および制御内容選択画面表示手段24、に別れており、これらの各手段を、制御部20を構成する中央演算装置で実行されるプログラムによって実現する。
本発明では、各手段での処理を実行するための条件を任意に設計可能な構成とすることで、本システムを適用する用途に応じた認証処理および制御処理を実現することができる。
以下、各手段の詳細について説明する。
【0018】
<4.1>選択画面設定手段(
図3、
図4,
図5)
選択画面設定手段21は、表示部30に表示可能な制御対象選択画面33において、制御対象40毎に割り当てられた選択ボタン331の数および配置態様の設定を行うための手段である。
【0019】
<4.1.1>管理画面(
図4)
図3に、選択画面設定手段21による設定を行うための管理画面Aのイメージ図を示す。
管理画面Aは、管理者が操作する端末(管理者端末)からWEBブラウザ等を介して制御部20にアクセスした際に、管理者端末のディスプレイ上に表示される画面である。
本実施例では、この管理画面Aに表示されるメニューから特定のメニューを選択することで複数の設定欄Bを表示することができ、このうちの一つの設定欄B(第1の設定欄B1)上で、制御対象40毎に割り当てられた選択ボタン331の数および配置態様の設定を行うことができる。
【0020】
<4.1.2>第1の設定欄(
図5)
図4に、第1の設定欄B1のイメージ図を示す。
第1の設定欄B1では、列番号および行番号の数を設定する入力フィールドが設けてあり、管理者は、当該入力フィールドに所定の数を入力することで、制御対象選択画面33上での選択ボタン331の表示数やレイアウトを設定することができる。
したがって、本発明に係るシステムでの制御対象40を、ロッカーや靴箱のように縦横に並列する保管庫や、生産ライン上の産業機械などとした場合、選択画面設定手段21でもって、この制御対象の現実の配置構成を模擬するように設定することで、ユーザが、制御対象選択画面33を閲覧した際に、いずれの制御対象40を選択するかの理解を促すことができる。
【0021】
<4.2>制御信号送信切替手段(
図3、
図5)
制御信号送信切替手段22は、制御対象40への制御信号の送信態様を切り替えるための手段である。
本実施例では、制御信号送信切替手段22による設定の切り換えは、
図5で示した第1の設定欄B1における「選択画面の表示」の有無の切り換えによって行うことができる。
この制御信号の送信態様とは、主として以下の2種類に区別される。
【0022】
<4.2.1>手動設定型(制御内容選択画面を表示する場合)
「手動設定型」とは、識別情報の認証作業の完了後、制御対象選択画面33を表示部30に表示し、当該画面でユーザが選択した制御対象40に対して、制御信号を送信するパターンである。
本態様は、ユーザにとって、制御対象40に複数の選択肢がある状況下において有効である。例えば、以下のケースが考えられる。
[1]制御対象40がユーザの所有物を一時的に預ける保管庫である場合において、ユーザにどの保管庫を使用させるかを制御対象選択画面33上で選択してもらい、選択された保管庫を解錠して使用してもらう場合。
[2]制御対象40が産業機械などであって、生産ラインにおいてどの産業機械を起動させるかを制御対象選択画面33上でユーザに選択してもらう場合。
【0023】
<4.2.2>自動設定型(制御内容選択画面を表示しない場合)
「自動設定型」とは、識別情報の認証作業の完了後、制御対象選択画面33を表示部30に表示することなく、識別情報が予め紐付けられている制御対象40に対して、制御信号を送信するパターンである。
本態様は、ユーザにとって、制御対象40が特定されている状況下において有効である。例えば、以下のケースが考えられる。
[1]制御対象40がユーザの所有物を一時的に預ける保管庫である場合において、既にユーザの所有物が保管庫に預けた状態であり、認証作業の完了後直ちに対象の保管庫のみを解錠させる必要がある場合。
[2]開閉体や産業機械などの制御対象40が1つに絞り込まれている場合。
【0024】
<4.3>選択対象絞り込み手段(
図4,
図6)
選択対象絞り込み手段23は、識別情報から特定したユーザ属性に応じて、制御対象選択画面33上において、任意の選択ボタン331を非表示または選択不能に設定するための手段である。
本実施例では、選択対象絞り込み手段23による設定の切り換えは、
図4で示した管理画面A中に表示されるメニューから特定のメニューを選択することで表示される、制御対象40毎に設けた設定欄B(第2の設定欄B2)における「表示制限」の有無の切り換えによって行うことができる。
例えば、表示制限を「しない」に設定した場合には、いかなるユーザに対しても同様の表示を行い、他方表示制限を「する」に設定した場合には、特定の識別番号を有するユーザに対してのみ選択ボタン331を表示するよう構成することができる。
【0025】
本設定は、本システムを使用するユーザが複数の属性に分類されている状況下において有効である。例えば、以下のケースが考えられる。
[1]制御対象40がユーザの所有物を一時的に預ける保管庫である場合において、例えば、当該保管庫を使用するユーザの中に、車椅子を使用するユーザが含まれる場合、低い位置の保管庫が、全てその他のユーザの使用によって占められることの無いよう、その他のユーザによる認証時の選択画面では低い位置の保管庫の表示を行わないようにし、車椅子を使用するユーザの認証時にのみ、低い位置の保管庫を表示して、使用を促す場合。
【0026】
<4.4>制御内容選択画面表示手段24(
図4,
図5)
制御内容選択画面表示手段24は、識別情報の受付直後に、制御信号の内容をユーザが選択可能な、制御内容選択画面32を表示部30に表示するための手段である。
本実施例では、制御内容選択画面表示手段24による設定の切り換えは、
図5で示した第1の設定欄B1における「制御内容選択画面の表示」の有無の切り換えによって行うことができる。
【0027】
本設定は、本システムを使用するユーザにとって、認証作業を行う目的が複数存在する状況下において有効である。例えば、以下のケースが考えられる。
[1]制御対象40がユーザの所有物を一時的に預ける保管庫である場合において、同一ユーザが、複数の保管庫を使用できるように設定されている場合には、認証作業の完了後に、これから保管庫に所有物を預けるために保管庫を解錠するための動作(例:「出勤」ボタン)か、既に保管庫に預けた所有物を取り出すために、保管庫を解錠するための動作(例:「休憩」ボタン、または「退勤」ボタン)か、を選択する必要がある場合
【0028】
<5>使用イメージ(保管庫への適用例)
本発明に係る認証式制御システムを、職場に設置される保管庫であって、業務時間中での従業員の所有物の貸出・返却を行うための既存の保管庫を制御対象として事後的に組み込んだシステム(保管システム)として使用する場合の使用イメージについて、以下に説明する。
【0029】
(1)システム構成(
図7)
図7に、保管システムの構成図を示す。
本システムは、ICカードリーダからなる識別情報取得部10と、ノートPCなどの情報処理装置20Aおよび制御盤20Bからなる制御部20と、タッチディスプレイからなる表示部30と、3×10に並列した保管庫からなる制御対象40とで構成し、これらが図示しないネットワークを通じて互いに情報の送受信を可能に接続されている。
識別情報取得部10にICカードをかざす動作を行うことで識別情報が読み取られると、予め情報処理装置20Aで設定された制御フローに沿って、認証作業や、制御対象40の選択、制御内容の選択などを、表示部30でのユーザによるタッチ操作で実施することができる。
制御対象40である保管庫にはそれぞれ電子錠が内蔵されており、各電子錠に対し、情報処理装置20Aから制御盤20Bを介して制御信号(施錠信号、解錠信号)を送信することで、指定した保管庫の施解錠を行うことができる。
【0030】
(2)貸出時(
図8)
図8を参照しながら、保管庫の貸出イメージについて説明する。
【0031】
(2.1)受付処理
図8(a)は、本システムが待機状態の際に表示部30に表示される待機画面31を示している。待機画面31には、「カードリーダにカードをかざしてください」のメッセージが表示されており、ユーザは、使用時に識別情報取得部10であるICカードリーダに、自己の所有するICカード(交通系カード、社員証、その他ICチップを備えた物)のかざし動作を行って認証作業を開始する。
【0032】
(2.2)制御内容の選択
図8(b)は、制御内容選択画面32を示している。当該画面は、ICカード等のかざし動作後に、前記<4.4>で説明した第1の設定欄B1における「制御内容選択画面32の表示」の項目が「する」に設定されている場合に表示される画面である。
制御内容選択画面32では、「出社」「休憩」「退社」のボタンがそれぞれ表示されており、ユーザが「出社」ボタンを選択した場合に、保管庫の貸出処理へと進むことになる。
【0033】
なお、前記<4.4>で説明した第1の設定欄B1における「制御内容選択画面の表示」の項目が「しない」に設定されている場合には、
図8(b)の表示が省略されることになる。
【0034】
(2.3)制御対象の選択
図8(c1)(c2)は、制御対象選択画面33を示している。
本実施例では、読み取った識別情報から得られるユーザ属性に応じて、最下段の保管庫の扱いを変更するものとする。
より詳細には、前記<4.3>で説明した第2の設定欄B2における「表示制限」が「する」に選択されている場合、情報処理装置20Aでは、読み取った識別番号を自己のデータベースと照合し、最下段の保管庫の使用権限をもつユーザであるかの判定を行い、当該判定結果に応じて、再下段の保管庫を除く形で貸出可能な保管庫を点灯表示する場合(
図8(c1))と、最下段を含めて貸出可能な保管庫を点灯表示するか、或いは最下段のみ貸出可能な保管庫を表示する場合(
図8(c2))の何れかを表示する。
本構成とすることで、ユーザが車椅子を使用する者であったり、子供であったりする場合に、手の届きやすい下段の保管庫を優先的に使用させることができ、よりユーザーフレンドリーなシステムの構築が可能となる。
【0035】
(3)返却時(
図9)
図9を参照しながら、制御対象である保管庫の返却イメージについて説明する。
【0036】
(3.1)受付処理
図9(a)は、本システムが待機状態の際に表示部30に表示される待機画面31を示している。待機画面31には、「カードリーダにカードをかざしてください」のメッセージが表示されており、ユーザは、使用時に識別情報取得部10であるICカードリーダに、貸出時に使用したICカードのかざし動作を行って認証作業を開始する。
【0037】
(3.2)制御内容の選択
図9(b)は、制御内容選択画面32を示している。当該画面は、ICカード等のかざし動作後に、前記<4.4>で説明した第1の設定欄B1における「制御内容選択画面の表示」の項目が「する」に設定されている場合に表示される画面である。
制御内容選択画面32では、「出社」「休憩」「退社」のボタンがそれぞれ表示されており、「休憩」ボタンまたは「退社」ボタンを選択した場合に、返却処理へと進むことになる。
【0038】
なお、前記<4.4>で説明した第1の設定欄B1における「制御内容選択画面の表示」の項目が「しない」に設定されている場合には、
図9(b)の表示が省略されることになる。
【0039】
(3.3)制御対象の選択
図9(c)は、制御対象選択画面33を示している。
制御対象選択画面33では、既に当該ユーザに対し、ICカード等から読み取った識別情報を自己のデータベースと照合し、既に貸出中の状態で「休憩」ボタンまたは「退社」ボタンを選択されたことを確認した場合には、ICカード等から、貸出中の保管庫のみを点灯表示する。
画面上に点灯表示された保管庫をユーザが選択することにより、当該保管庫の解錠動作が行われ、ユーザは保管庫の中から所有物を取り出すことができる。
【0040】
なお、ユーザが保管庫(制御対象40)を複数使用できる権限を有さず、かつ既に貸出中である場合には、前記<4.2>で説明した制御信号送信切替手段22の自動設定型を採用して、前記
図9(b)(c)に係る画面を省略して、直ちに貸出中の保管庫を解錠する処理を行っても良い。