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特開2023-69300レーザ出射装置及び光ファイバ着脱方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069300
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】レーザ出射装置及び光ファイバ着脱方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/70 20140101AFI20230511BHJP
   B23K 26/142 20140101ALI20230511BHJP
【FI】
B23K26/70
B23K26/142
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181072
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 史記
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168CB03
4E168DA13
4E168DA26
4E168DA28
4E168EA17
4E168EA24
4E168FC04
4E168KB05
(57)【要約】
【課題】ヘッド本体の内部に配置された光学部品に塵埃が付着するのを抑える。
【解決手段】ヘッド本体21は、ファイバ接続口22と、メンテナンス開口23と、を有する。ヘッド本体21におけるメンテナンス開口23よりも出射方向の下流側には、コリメートレンズ24が配置される。エア吹出部26は、ヘッド本体21の内部空間Sにエアを吹き出す。第1蓋部材31は、メンテナンス開口23を塞ぐように、ヘッド本体21に対して着脱可能に取り付けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを介して伝送されたレーザ光を出射するレーザ出射装置であって、
前記光ファイバを着脱可能に接続するファイバ接続口と、前記ファイバ接続口と交差する方向に開口するメンテナンス開口と、を有するヘッド本体と、
前記ヘッド本体における前記メンテナンス開口よりも出射方向の下流側に配置された光学部品と、
前記ヘッド本体における前記光学部品と前記ファイバ接続口との間の内部空間にエアを吹き出すエア吹出部と、
前記ヘッド本体に対して着脱可能に取り付けられ、前記メンテナンス開口を塞ぐ蓋部材と、を備える
レーザ出射装置。
【請求項2】
請求項1のレーザ出射装置において、
前記蓋部材は、第1蓋部材と、前記第1蓋部材と交換可能な第2蓋部材と、を含み、
前記第1蓋部材は、前記メンテナンス開口を塞ぐ第1蓋本体を有し、
前記第2蓋部材は、前記メンテナンス開口を塞ぐ第2蓋本体と、前記第2蓋本体に設けられて前記ファイバ接続口から見て前記光学部品に重なり合う保護板と、を有する
レーザ出射装置。
【請求項3】
請求項2のレーザ出射装置において、
前記保護板における前記ファイバ接続口に対向する面には、前記保護板の一部が窪んだ凹部が形成される
レーザ出射装置。
【請求項4】
請求項2又は3のレーザ出射装置において、
前記保護板は、前記レーザ光が透過するガラス材料で構成される
レーザ出射装置。
【請求項5】
請求項2~4の何れか1つのレーザ出射装置において前記光ファイバの着脱を行う光ファイバ着脱方法であって、
前記内部空間にエアを吹き出す工程と、
前記ヘッド本体から前記第1蓋部材を取り外した後で、前記第2蓋部材を取り付ける工程と、
前記光ファイバを前記ファイバ接続口に接続する工程と、
前記ヘッド本体から前記第2蓋部材を取り外した後で、前記第1蓋部材を取り付ける工程と、
前記内部空間に対するエアの吹き出しを停止する工程と、を備える
光ファイバ着脱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ出射装置及び光ファイバ着脱方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、噴射口より噴射されたシールドガスを、コリメートレンズの入射面に沿って光路空間を横断させるとともに、真向かいの排気口から外へ排気して、コリメートレンズの入射面を覆うエアカーテンを形成するようにしたレーザ出射ユニットが記載されている。
【0003】
特許文献1の発明では、光ファイバ差し込み口から光路空間に侵入した塵や埃がコリメートレンズに付着するのを、エアカーテンによって遮るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6150612号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明は、コリメートレンズの入射面に沿ってシールドガスを噴射するものであり、シールドガスの流れだけでは吹き飛ばし切れない質量の大きな塵埃が、コリメートレンズに付着するおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ヘッド本体の内部に配置された光学部品に塵埃が付着するのを抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、光ファイバを介して伝送されたレーザ光を出射するレーザ出射装置であって、前記光ファイバを着脱可能に接続するファイバ接続口と、前記ファイバ接続口と交差する方向に開口するメンテナンス開口と、を有するヘッド本体と、前記ヘッド本体における前記メンテナンス開口よりも出射方向の下流側に配置された光学部品と、前記ヘッド本体における前記光学部品と前記ファイバ接続口との間の内部空間にエアを吹き出すエア吹出部と、前記ヘッド本体に対して着脱可能に取り付けられ、前記メンテナンス開口を塞ぐ蓋部材と、を備える。
【0008】
第1の発明では、ヘッド本体における光学部品とファイバ接続口との間の内部空間にエアを吹き出すことで、内部空間を陽圧にしている。そして、内部空間に吹き出されたエアは、ファイバ接続口から外部に排気されるので、ファイバ接続口から塵埃が侵入するのを抑えることができる。
【0009】
具体的に、従来の発明のように、ファイバ接続口を横切るようにガスを流通させてエアカーテンを形成した構成では、ガスの流れによって内部空間が負圧となり、ファイバ接続口から外気が流入することとなる。ここで、外気に含まれる塵埃のほとんどは、排気口から排気される一方、ガスでは吹き飛ばし切れない質量の大きな塵埃が、光学部品としてのコリメートレンズに付着することとなるため、ヘッド本体の内部に外気が流入する状況は好ましくない。
【0010】
これに対し、本発明では、ヘッド本体の内部空間に吹き出されたエアは、ファイバ接続口から外部に排気されるため、ファイバ接続口から外気が流入するのを抑えることができる。その結果、外気に含まれる塵埃が光学部品に付着するのを抑えることができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明のレーザ出射装置において、前記蓋部材は、第1蓋部材と、前記第1蓋部材と交換可能な第2蓋部材と、を含み、前記第1蓋部材は、前記メンテナンス開口を塞ぐ第1蓋本体を有し、前記第2蓋部材は、前記メンテナンス開口を塞ぐ第2蓋本体と、前記第2蓋本体に設けられて前記ファイバ接続口から見て前記光学部品に重なり合う保護板と、を有する。
【0012】
第2の発明では、第1蓋部材と第2蓋部材とを交換するようにしている。具体的に、レーザ出射装置の動作時には、第1蓋部材でメンテナンス開口を塞ぐ一方、光ファイバの着脱作業時には、第2蓋部材でメンテナンス開口を塞ぐようにする。
【0013】
このように、光ファイバの着脱作業時には、ファイバ接続口から見て光学部品に重なり合う位置に保護板が配置されることとなる。そのため、エアによって吹き飛ばすことができない質量の大きな塵埃がファイバ接続口から内部空間に侵入した場合でも、塵埃を保護板で受け止めることで、塵埃が光学部品に付着するのを抑えることができる。そして、光ファイバの着脱作業が終了した後で、第2蓋部材を取り外すことで、保護板で受け止めた塵埃を回収することができる。
【0014】
第3の発明は、第2の発明のレーザ出射装置において、前記保護板における前記ファイバ接続口に対向する面には、前記保護板の一部が窪んだ凹部が形成される。
【0015】
第3の発明では、保護板におけるファイバ接続口に対向する面に凹部を形成することで、内部空間に侵入した塵埃を保護板の凹部内に収容して回収しやすくなる。
【0016】
第4の発明は、第2又は3の発明のレーザ出射装置において、前記保護板は、前記レーザ光が透過するガラス材料で構成される。
【0017】
第4の発明では、保護板をガラス材料で構成することで、レーザ出射装置の動作時においても、第2蓋部材をヘッド本体に取り付けたままの状態とすることができる。これにより、第2蓋部材のみを用意しておけば、レーザ出射装置の動作時と光ファイバの着脱作業時との両方に対応することができ、在庫管理が容易となる。
【0018】
第5の発明は、第2~4の発明の何れか1つのレーザ出射装置において前記光ファイバの着脱を行う光ファイバ着脱方法であって、前記内部空間にエアを吹き出す工程と、前記ヘッド本体から前記第1蓋部材を取り外した後で、前記第2蓋部材を取り付ける工程と、前記光ファイバを前記ファイバ接続口に接続する工程と、前記ヘッド本体から前記第2蓋部材を取り外した後で、前記第1蓋部材を取り付ける工程と、前記内部空間に対するエアの吹き出しを停止する工程と、を備える。
【0019】
第5の発明では、内部空間にエアを吹き出して内部空間を陽圧とすることで、ファイバ接続口から外気が流入するのを抑えることができる。また、第1蓋部材と第2蓋部材とを交換することで、ファイバ接続口から内部空間に侵入した質量の大きな塵埃を保護板で受け止めることができる。また、第2蓋部材と第1蓋部材とを交換した後で、エアの吹き出しを停止することで、保護板で受け止めた塵埃を回収して、光学部品に塵埃が付着するのを抑えることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ヘッド本体の内部に配置された光学部品に塵埃が付着するのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係るレーザ出射装置の概略構成図である。
図2】レーザ加工ヘッドの内部構成を示す図である。
図3】光ファイバの着脱手順を示すフローチャート図である。
図4】製品出荷時のレーザ加工ヘッドを示す図である。
図5】キャップを取り外し、内部空間にエアを吹き出した状態を示す図である。
図6】第1蓋部材を取り外し、第2蓋部材を取り付ける状態を示す図である。
図7】第2蓋部材の構成を示す斜視図である。
図8】光ファイバを接続する状態を示す図である。
図9】第2蓋部材を取り外し、第1蓋部材を取り付ける状態を示す図である。
図10】エアの吹き出しを停止した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0023】
〈レーザ出射装置の構成〉
図1に示すように、レーザ出射装置1は、レーザ発振器10と、光ファイバ11と、ロボット15と、制御部16と、レーザ加工ヘッド20と、を備える。
【0024】
レーザ発振器10は、レーザ光LBを発振する。レーザ発振器10は、例えば、固体レーザ光源、気体レーザ光源、ファイバレーザ光源を用いることができる。また、レーザ発振器10は、半導体レーザからの出射光を直接に用いる半導体レーザ光源や、複数のレーザ光エミッタを備える半導体レーザアレイであってもよい。
【0025】
レーザ発振器10は、光ファイバ11の入射端に接続される。レーザ加工ヘッド20は、光ファイバ11の出射端に接続される。レーザ発振器10から出射されたレーザ光LBは、光ファイバ11を介してレーザ加工ヘッド20に伝送される。
【0026】
レーザ加工ヘッド20は、ロボット15に取り付けられる。レーザ加工ヘッド20は、ロボット15を動作させることで、ワークWに対するレーザ光LBの出射位置及び焦点位置を変更可能となっている。
【0027】
制御部16には、レーザ発振器10、レーザ加工ヘッド20、及びロボット15が接続される。制御部16は、レーザ加工ヘッド20の移動速度の他に、レーザ光LBの出力開始や停止、レーザ光LBの出力強度などを制御する。
【0028】
〈レーザ加工ヘッドの構成〉
図2に示すように、レーザ加工ヘッド20は、ヘッド本体21と、光学部品としてのコリメートレンズ24と、フォーカスレンズ25と、エア吹出部26と、を有する。
【0029】
ヘッド本体21は、レーザ光LBの出射方向に延びる筒状に形成される。ヘッド本体21は、ファイバ接続口22と、メンテナンス開口23と、レーザ出射口(図示省略)と、を有する。レーザ出射口は、図1でワークWに対向する面に開口する。
【0030】
ファイバ接続口22には、光ファイバ11が着脱可能に接続される。具体的に、光ファイバ11の出射端には、ファイバコネクタ12が設けられる。光ファイバ11は、ファイバコネクタ12をファイバ接続口22に差し込むことで、ヘッド本体21に接続される。
【0031】
メンテナンス開口23は、ファイバ接続口22と交差する方向に開口する。具体的に、メンテナンス開口23は、レーザ光LBの出射方向に直交して、ヘッド本体21の側壁に開口している。
【0032】
コリメートレンズ24は、ヘッド本体21におけるメンテナンス開口よりもレーザ光LBの出射方向の下流側に配置される。コリメートレンズ24は、光ファイバ11の出射端から出射されたレーザ光LBを平行化する。
【0033】
フォーカスレンズ25は、コリメートレンズ24で平行化されたレーザ光LBを集光する。フォーカスレンズ25で集光されたレーザ光LBは、レーザ出射口を通過してワークWに出射される。
【0034】
ヘッド本体21には、内部空間Sが設けられる。内部空間Sは、ヘッド本体21におけるコリメートレンズ24とファイバ接続口22との間の空間である。ヘッド本体21の下端部には、ヘッドノズル29が設けられる。ヘッドノズル29には、エア配管27が着脱可能に接続される。エア配管27には、エア供給部28が接続される。エア供給部28は、例えば、エアポンプである。
【0035】
ここで、レーザ加工時には、ヘッドノズル29は、エア配管27を介してエア供給部28に接続される。ヘッドノズル29は、エア供給部28から供給されたエアを、レーザ光LBの出射方向の下流側に吹き出す。これにより、ワークWの加工点で生じたスパッタがヘッド本体21の内部に侵入しないようにしている。
【0036】
エア吹出部26には、エア吹出部蓋30が着脱可能に取り付けられる。ここで、レーザ加工時には、エア吹出部蓋30は、エア吹出部26に取り付けられてエア吹出部26を塞ぐ。なお、詳しくは後述するが、光ファイバ11の着脱作業時には、エア吹出部蓋30は、エア吹出部26から取り外される。エア配管27は、ヘッドノズル29からエア吹出部26に付け替えられる。
【0037】
エア吹出部26は、ヘッド本体21の側壁におけるメンテナンス開口23よりも下側に設けられる。エア吹出部26は、エア供給部28から供給されたエアを、ヘッド本体21の内部空間Sに吹き出す。
【0038】
メンテナンス開口23には、第1蓋部材31が着脱可能に取り付けられる。第1蓋部材31は、メンテナンス開口23を塞ぐ第1蓋本体32を有する。レーザ出射装置1の動作時において、第1蓋部材31は、メンテナンス開口23を塞いでいる。詳しくは後述するが、第1蓋部材31は、光ファイバ11の着脱作業時に、第2蓋部材35と交換される。
【0039】
〈光ファイバ着脱方法〉
ところで、製品出荷時や光ファイバ11の交換作業時のように、一時的に、ヘッド本体21から光ファイバ11が取り外されることで、ヘッド本体21のファイバ接続口22が開口した状態となることがある。この場合、外気に含まれる塵埃40(図4参照)がファイバ接続口22からヘッド本体21の内部空間Sに侵入して、コリメートレンズ24に付着するおそれがある。
【0040】
そして、コリメートレンズ24に塵埃40が付着した状態でレーザ光LBを出射すると、コリメートレンズ24における塵埃40の付着箇所で焼損が生じるおそれがある。
【0041】
そこで、本実施形態では、光ファイバ11の着脱作業時に、ファイバ接続口22から塵埃40が侵入するのを抑えるようにしている。
【0042】
図3に示すように、ステップST11では、エア吹出部蓋30をエア吹出部26から取り外すとともに、ヘッドノズル29に接続されたエア配管27をエア吹出部26に付け替え、ステップST12に進む。具体的に、図4に示すように、エア配管27は、ヘッドノズル29に接続されている。エア吹出部26には、エア吹出部蓋30が取り付けられている。そして、エア吹出部26からヘッド本体21の内部空間Sにエアを供給するのにあたって、図5に示すように、エア吹出部26からエア吹出部蓋30を取り外し、ヘッドノズル29からエア配管27を取り外した後、エア配管27をエア吹出部26に接続する。
【0043】
図3のステップST12では、ヘッド本体21からキャップ33を取り外してファイバ接続口22を開口し、ステップST13に進む。具体的に、図4に示すように、製品出荷時には、ヘッド本体21から光ファイバ11が取り外されている。ファイバ接続口22には、キャップ33が嵌め込まれ、ファイバ接続口22が塞がれる。メンテナンス開口23には、第1蓋部材31が取り付けられ、メンテナンス開口23が塞がれる。そして、ヘッド本体21のファイバ接続口22に光ファイバ11を接続するのにあたって、図5に示すように、キャップ33を取り外す。
【0044】
図3のステップST13では、エア吹出部26から内部空間Sにエアを吹き出し、ステップST14に進む。具体的に、図5に示すように、エア供給部28から供給されたエアを、エア吹出部26から内部空間Sに吹き出す。これにより、内部空間Sが陽圧となる。そして、内部空間Sに吹き出されたエアは、ファイバ接続口22から外部に排気されるので、ファイバ接続口22から塵埃40が侵入するのを抑えることができる。
【0045】
図3のステップST14では、ヘッド本体21から第1蓋部材31を取り外し、ステップST15に進む。図6に示すように、第1蓋部材31を取り外すことで、メンテナンス開口23が開口する。このとき、メンテナンス開口23が開口しているが、内部空間Sへのエアの供給が継続される。そのため、内部空間Sに吹き出されたエアは、メンテナンス開口23から外部に排気されるので、メンテナンス開口23から塵埃40が侵入するのを抑えることができる。
【0046】
図3のステップST15では、ヘッド本体21に第2蓋部材35を取り付け、ステップST16に進む。図6及び図7に示すように、第2蓋部材35は、第2蓋本体36と、保護板37と、を有する。第2蓋本体36は、ヘッド本体21の側壁に取り付けられ、メンテナンス開口23を塞ぐ。
【0047】
保護板37は、第2蓋本体36に設けられ、ファイバ接続口22から見てコリメートレンズ24に重なり合う。保護板37におけるファイバ接続口22に対向する面には、保護板37の一部が窪んだ凹部38が形成される。
【0048】
図8に示すように、ヘッド本体21に第2蓋部材35を取り付けた状態では、ファイバ接続口22から見てコリメートレンズ24に重なり合う位置に保護板37が配置されることとなる。そのため、エアによって吹き飛ばすことができない質量の大きな塵埃40がファイバ接続口22から内部空間Sに侵入した場合でも、塵埃40を保護板37で受け止めることで、塵埃40がコリメートレンズ24に付着するのを抑えることができる。
【0049】
図3のステップST16では、光ファイバ11のファイバコネクタ12を、ヘッド本体21のファイバ接続口22に接続し、ステップST17に進む。図8に示すように、光ファイバ11の接続時には、ファイバ接続口22から排気されるエアの抵抗を受ける。そのため、ファイバコネクタ12をスムーズに差し込むことができるように、エアの供給圧力を適宜調整しておくのが好ましい。
【0050】
図3のステップST17では、ヘッド本体21から第2蓋部材35を取り外し、ステップST18に進む。図9に示すように、第2蓋部材35における保護板37の凹部38には、エアで吹き飛ばせなかった質量の大きな塵埃40が受け止められており、第2蓋部材35を取り外すことで回収することができる。このとき、メンテナンス開口23が開口しているが、内部空間Sへのエアの供給は継続されている。そのため、内部空間Sに吹き出されたエアは、メンテナンス開口23から外部に排気されるので、メンテナンス開口23から塵埃40が侵入するのを抑えることができる。
【0051】
図3のステップST18では、ヘッド本体21のメンテナンス開口23に第1蓋部材31を取り付け、ステップST19に進む。図10に示すように、第1蓋部材31によってメンテナンス開口23が塞がれることで、メンテナンス開口23から塵埃40が侵入するのを抑えることができる。
【0052】
図3のステップST19では、エア供給部28の動作を停止し、エア吹出部26からのエアの吹き出しを停止して、ステップST20に進む。図10に示すように、ヘッド本体21のファイバ接続口22は、ファイバコネクタ12で塞がれ、メンテナンス開口23は、第1蓋部材31で塞がれる。これにより、ヘッド本体21への塵埃40の侵入を抑えることができる。
【0053】
図3のステップST20では、エア吹出部26に接続されたエア配管27を取り外してヘッドノズル29に付け替えるとともに、エア吹出部26にエア吹出部蓋30を取り付ける。これにより、図2に示すように、レーザ加工装置1は、レーザ加工が可能な状態となり、光ファイバ11の着脱作業が終了する。
【0054】
《その他の実施形態》
前記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0055】
前記実施形態では、第2蓋部材35の保護板37を金属材料で構成することを想定しているが、この形態に限定するものではない。
【0056】
例えば、第2蓋部材35の保護板37を、レーザ光LBが透過するガラス材料で構成するようにしてもよい。このように、保護板37をガラス材料で構成することで、レーザ出射装置1の動作時においても、第2蓋部材35をヘッド本体21に取り付けたままの状態とすることができる。これにより、第2蓋部材35のみを用意しておけば、レーザ出射装置1の動作時と光ファイバ11の着脱作業時との両方に対応することができ、在庫管理が容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように、本発明は、ヘッド本体の内部に配置された光学部品に塵埃が付着するのを抑えることができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0058】
1 レーザ出射装置
11 光ファイバ
21 ヘッド本体
22 ファイバ接続口
23 メンテナンス開口
24 コリメートレンズ(光学部品)
26 エア吹出部
31 第1蓋部材(蓋部材)
32 第1蓋本体
35 第2蓋部材(蓋部材)
36 第2蓋本体
37 保護板
38 凹部
LB レーザ光
S 内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10