IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本ゼトック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-口腔用組成物 図1
  • 特開-口腔用組成物 図2
  • 特開-口腔用組成物 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069341
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20230511BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20230511BHJP
   A61K 8/362 20060101ALI20230511BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20230511BHJP
   A61K 6/20 20200101ALI20230511BHJP
【FI】
A61K8/44
A61Q11/00
A61K8/362
A61K8/365
A61K6/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181126
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】391066490
【氏名又は名称】日本ゼトック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】内山 理美
(72)【発明者】
【氏名】馬場(稲垣) みずき
【テーマコード(参考)】
4C083
4C089
【Fターム(参考)】
4C083AC291
4C083AC292
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC581
4C083AC582
4C083BB42
4C083BB45
4C083CC41
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE38
4C089AA06
4C089BC05
4C089CA03
(57)【要約】
【課題】象牙細管に対する封鎖性が高く、知覚過敏症を十分に予防することが可能な口腔用組成物を提供する。
【解決手段】 本発明に係る口腔用組成物は、乳酸アルミニウムと、炭素数が4以上で、かつ、ヒドロキシ基を有さないジカルボン酸化合物とを含むことに特徴を有している。また、本発明に係る口腔用組成物では、前記ジカルボン酸化合物の炭素数が、4~6であることが好ましい。また、本発明に係る口腔用組成物では、前記ジカルボン酸化合物が、グルタミン酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、または、これら酸のアルカリ金属塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸アルミニウムと、
炭素数が4以上で、かつ、ヒドロキシ基を有さないジカルボン酸化合物とを含む、口腔用組成物。
【請求項2】
前記ジカルボン酸化合物の炭素数は、4~6である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
前記ジカルボン酸化合物は、酸性アミノ酸である、請求項1または2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
前記ジカルボン酸化合物は、キレート剤である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項5】
前記ジカルボン酸化合物は、グルタミン酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、または、これら酸のアルカリ金属塩からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項6】
前記ジカルボン酸化合物の配合量は、0.001~5質量%である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項7】
象牙細管封鎖剤である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項8】
練歯磨剤である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の口腔用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
知覚過敏症は、歯周病や加齢、過度なブラッシングなどにより歯茎が後退し、歯の象牙質が露出することで生じる症状であり、露出した象牙質に温熱的等の刺激が加わることで、不快な痛みが生じるものである。
【0003】
知覚過敏症状を予防する技術としては、痛みの伝達を緩和させる方法や、開口した象牙細管を物理的に封鎖する方法が知られている。
開口した象牙細管を物理的に封鎖する方法として、乳酸アルミニウムを用いて象牙細管を物理的に封鎖し、知覚過敏症状を緩和する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1には、乳酸アルミニウムにさらにシュウ酸ナトリウムを加えることで、象牙細管に対する封鎖性が高まる口腔用組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-165550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の口腔用組成物では、象牙細管に対する封鎖性が十分ではなく、知覚過敏症を十分に予防することが困難であった。
そこで、本発明は、象牙細管に対する封鎖性が高く、知覚過敏症を十分に予防することが可能な口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る口腔用組成物は、乳酸アルミニウムと、
炭素数が4以上で、かつ、ヒドロキシ基を有さないジカルボン酸化合物とを含む。
また、本発明に係る口腔用組成物では、前記ジカルボン酸化合物の炭素数が、4~6であることが好ましい。
また、本発明に係る口腔用組成物では、前記ジカルボン酸化合物が、酸性アミノ酸であることが好ましい。
また、本発明に係る口腔用組成物では、前記ジカルボン酸化合物が、キレート剤であることが好ましい。
また、本発明に係る口腔用組成物では、前記ジカルボン酸化合物が、グルタミン酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、または、これら酸のアルカリ金属塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明に係る口腔用組成物では、前記ジカルボン酸化合物の濃度が、0.001~5質量%であることが好ましい。
本発明に係る口腔用組成物は、象牙細管封鎖剤であることが好ましい。
本発明に係る口腔用組成物は、練歯磨剤であることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、象牙細管に対する封鎖性が高く、知覚過敏症を十分に予防することが可能な口腔用組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の口腔用組成物を用いた評価方法における象牙細管の状態を示す電子顕微鏡写真である。
図2】比較例1の口腔用組成物を用いた評価方法における象牙細管の状態を示す電子顕微鏡写真である。
図3】比較例2の口腔用組成物を用いた評価方法における象牙細管の状態を示す電子顕微鏡写真である。
【0009】
以下、本発明の口腔用組成物の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、本明細書中における口腔用組成物は、練歯磨剤、粉歯磨剤、液状歯磨剤、液体歯磨剤などの歯磨剤類、トローチ剤、錠剤、クリーム剤、軟膏剤、貼付剤、洗口剤、及びチューインガム等を含むものである。これらの中でも、本発明の口腔用組成物は、練歯磨剤に適用することが好ましい。
また、本発明の口腔用組成物は、象牙細管封鎖剤として用いることが好ましい。
【0010】
本発明の口腔用組成物は、乳酸アルミニウムと、炭素数が4以上で、かつ、ヒドロキシ基を有さないジカルボン酸化合物とを含むものである。
これら成分を含むことにより、象牙細管を効果的に封鎖することができ、知覚過敏症を十分に予防することができる。
【0011】
(乳酸アルミニウム)
乳酸アルミニウムは、従来から知覚過敏症を予防する成分として歯磨剤に配合されている薬用成分である。
本発明の口腔用組成物において、乳酸アルミニウムの配合量は、特に限定されないが、0.01~5質量%であることが好ましく、0.1~4質量%であることがより好ましく、0.3~3質量%であることがさらに好ましい。これにより、製剤の安定性を保持しつつ、後述するジカルボン酸化合物と併用することで、象牙細管をより効果的に封鎖することができる。
【0012】
(ジカルボン酸化合物)
本発明の口腔用組成物には、ジカルボン酸化合物が含まれている。
本発明で用いるジカルボン酸化合物は、炭素数が4以上で、かつ、ヒドロキシ基を有さないものである。このようなジカルボン酸化合物と乳酸アルミニウムとを併用することで、象牙細管に対する封鎖性を高いものとすることができる。
なお、本発明においてジカルボン酸化合物の炭素数は、4以上であるが、4~6であることがより好ましい。炭素数が前記下限値未満であると、乳酸アルミニウムによる象牙細管に対する封鎖性を十分に促進することができない。
【0013】
また、本発明においてジカルボン酸化合物は、ヒドロキシ基を有していない化合物であるが、ヒドロキシ基を有するジカルボン酸化合物を用いた場合には、乳酸アルミニウムの象牙細管に対する封鎖性を促進することができず、また、かえって阻害してしまう場合もある。
また、ジカルボン酸化合物は、酸性アミノ酸であることが好ましい。これにより、乳酸アルミニウムによる象牙細管に対する封鎖性をより効果的に促進することができる。
本発明のジカルボン酸化合物として用いることができる酸性アミノ酸としては、例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸等が挙げられる。
また、ジカルボン酸化合物は、キレート剤であることが好ましい。これにより、乳酸アルミニウムによる象牙細管に対する封鎖性をより効果的に促進することができる。
本発明のジカルボン酸化合物として用いることができるキレート剤としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、フマル酸、または、これらのアルカリ金属塩等が挙げられる。
【0014】
炭素数が4以上で、かつ、ヒドロキシ基を有さないジカルボン酸化合物としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、フマル酸、または、これら酸のアルカリ金属塩等を挙げることができる。これらの中でも、ジカルボン酸化合物としては、コハク酸、アジピン酸、グルタミン酸、フマル酸、または、これら酸のアルカリ金属塩からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これにより、乳酸アルミニウムによる象牙細管に対する封鎖性をより効果的に促進することができる。
【0015】
ジカルボン酸化合物の配合量は、0.001~5質量%であることが好ましく、0.1~2質量%であることがより好ましく、0.3~1質量であることがさらに好ましい。これにより、製剤の安定性を保持しつつ、乳酸アルミニウムによる象牙細管に対する封鎖性をさらに効果的に促進することができる。
また、乳酸アルミニウムの配合量を1としたとき、ジカルボン酸化合物の配合量は、0.0017~8.3であることが好ましく、0.17~3.3であることがより好ましく、0.5~1.7であることがさらに好ましい。これにより、象牙細管をより効果的に封鎖することができ、知覚過敏症を十分に予防することができる。
【0016】
(その他の成分)
本発明の口腔用組成物には、上記成分の他、例えば、研磨剤、湿潤剤、溶剤、粘結剤、香料、賦形剤、甘味剤、pH調整剤、防腐剤、乳化剤、可溶化剤、発泡剤、滑沢剤、界面活性剤、油、色素、酸化防止剤、その他の薬剤などを適宜配合することができる。これらの添加剤は、医薬品組成物、口腔用組成物または食品処方設計に通常用いられ、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択することができ、また、適当な配合量で配合することができる。このような添加剤の例として、下記のものが挙げられる。
【0017】
研磨剤としては、シリカゲル、沈降性シリカ、火成性シリカ、含水ケイ酸、無水ケイ酸、ゼオライト、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、第二リン酸カルシウム二水和物、第二リン酸カルシウム無水和物等の歯磨用リン酸水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、合成樹脂系研磨剤等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0018】
湿潤剤としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、マルチトール、還元水あめ、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、キシロース、トレハロース、グルコース、ラクトース、マンノース、マルトース、フルクトース、イノシトール、ペンタエリスリトール、マルトトリオース、澱粉分解糖、澱粉分解糖還元アルコール等の多価アルコール等が挙げられ、これらの内、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
溶剤としてはアルコール等の有機溶剤や水が好ましく、例えば、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。これら溶剤は単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0020】
粘結剤としては、カラギーナン(ι、λ、κ)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルシウム含有アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩及びその誘導体、キサンタンガム、グァーガム、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0021】
香料としては、l-メントール、アネトール、メントン、シネオール、リモネン、カルボン、メチルサリシレート、エチルブチレート、オイゲノール、チモール、シンナミックアルデヒド、トランス-2-ヘキセナール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。これらの成分は単品で配合してもよいが、これらを含有する精油等を配合してもよい。また、上記香料成分に加え、脂肪族アルコールやそのエステル、テルペン系炭化水素、フェノールエーテル、アルデヒド、ケトン、ラクトン等の香料成分、精油を本発明の効果を妨げない範囲で配合してもよい。
【0022】
賦形剤としては、例えば、ショ糖、乳糖、デンプン、ブドウ糖、結晶性セルロース、マンニット、ソルビット、キシリトール、エリスリトール、パラチニット、パラチノース、マルチトール、トレハロース、ラクチトール、ラクチュロース、還元澱粉糖、還元イソマルトオリゴ糖、カップリングシュガー、ガムベース、アラビアガム、ゼラチン、セチルメチルセルロース、軽質無水ケイ酸、アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウムなどが挙げられる。
【0023】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、トレハロース、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0024】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、リン酸、パントテン酸、リンゴ酸、ピロリン酸、乳酸、酒石酸、グリセロリン酸、酢酸、硝酸、または、リン酸水素二ナトリウム等のこれらの化学的に可能な塩や水酸化ナトリウムなどが挙げられ、これらは、組成物のpHが適切な範囲となるよう、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0025】
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸及びその塩、サリル酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0026】
乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ステアロイル乳酸ナトリウム、大豆リン脂質、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。
可溶化剤としては、例えば、エステル類、ポリエチレングリコール誘導体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタンの脂肪酸エステル類、硫酸化脂肪アルコール類などが挙げられる。
【0027】
発泡剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、N-アシルグルタメート等のN-アシルアミノ酸塩、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、マルチトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、硬化油などが挙げられる。
油としては、抗菌成分として使用される上記精油や上記香料として使用される油以外の油、例えば、ココナッツ油、オリーブ油、ごま油、落花生油、パセリ油、パセリ種子オイル、紅花油などが挙げられる。
【0028】
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、α - オレフィンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、N-アシルグルタミン酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、アルキルグリコシド類、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルエタノールアマイド、ココイルサルコシン酸ナトリウム、N-ラウロイルメチルタウリンナトリウム液などが挙げられる。
【0029】
また、上述した成分の他にも、例えば、青色1号等の色素、酸化チタン等の顔料、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、エデト酸塩等のキレート剤、チャエキス、チャ乾留液等の矯味剤等を含んでいてもよい。
【0030】
なお、上記成分を組み合わせた本発明の口腔用組成物は、常法に準じて製造できるものである。
【0031】
また、得られた練歯磨剤等の組成物は、アルミニウムチューブ、ラミネートチューブ、ガラス蒸着チューブ、プラスチックチューブ、プラスチックボトル、エアゾール容器等に充填して使用することができる。
【0032】
以上、本発明の口腔用組成物について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明の口腔用組成物には、前述した成分の他に、任意の機能を有する成分を配合することができる。
【実施例0033】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
<口腔用組成物の調製>
(実施例1~6、比較例1~9)
乳酸アルミニウム及びジカルボン酸化合物又はモノカルボン酸化合物の濃度が表1に示す値となる口腔用組成物(水溶液)を調製した。なお、各口腔用組成物は、水酸化ナトリウムを用いてpHを7に調整した。
【0034】
<評価方法>
牛歯の歯根から縦横1cmほどの象牙質切片を作製し、表面をやすりで研磨した。象牙質切片は10%リン酸水溶液と10%次亜塩素酸溶液への30秒間の浸漬、洗浄をそれぞれ1回、3回ずつ行った後、超音波処理をし、象牙細管を開口させた。
開口させた象牙質切片を、各実施例及び各比較例の口腔用組成物に60分間撹拌させながら浸漬した。その後、洗浄し、乾燥させ、白金蒸着を施し、開口状態を電子顕微鏡で観察した。表面の開口状態は画像解析ソフト(image-j)にて開口部の面積を求め、封鎖率を算出し、下記の基準より評価した。
A :封鎖率80%以上
B :封鎖率50%以上80%未満
C :封鎖率25%以上50%未満
D :封鎖率5%以上25%未満
E :封鎖率5%未満
これらの結果を表1に合わせて示した。
また、実施例1、比較例1及び2の各口腔用組成物を用いた上記評価方法における象牙細管の状態を示す電子顕微鏡写真を図1~3に示した。
【0035】
【表1】
【0036】
表1及び図2から解るように、比較例1の乳酸アルミニウムのみの口腔用組成物では、象牙細管の穴の縁部分に付着物があり、やや封鎖する傾向はみられるが、その効果は不十分であった。
また、実施例1~4の口腔用組成物では、乳酸アルミニウムにグルタミン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸をそれぞれ組み合わせており、乳酸アルミニウムによる封鎖が促進されていることが解る(図1参照)。
また、実施例5の口腔用組成物では、グルタミン酸の濃度を高くしたが、同様の結果が得られている。
さらに、実施例6の口腔用組成物では、グルタミン酸の濃度を低くしたところ、比較例1と比べて十分な封鎖の促進はみられたが、実施例1の口腔用組成物ほどは封鎖の促進効果はみられなかった。
【0037】
また、比較例2~5の口腔用組成物では、グルタミン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、それぞれ単独での効果を確認したが、全く封鎖効果はみられなかった。
また、比較例6、7の口腔用組成物では、ヒドロキシ基を有するジカルボン酸であるリンゴ酸と酒石酸を乳酸アルミニウムと組み合わせたところ、乳酸アルミニウムの封鎖を阻害するという結果が得られた。
また、比較例8の口腔用組成物では、炭素数2であるジカルボン酸のシュウ酸と乳酸アルミニウムを組み合わせたところ、乳酸アルミニウムの封鎖を阻害するという結果が得られた。
また、比較例9の口腔用組成物では、ヒドロキシ基とカルボキシル基を1つずつ有するセリンと乳酸アルミニウムを組み合わせたが、乳酸アルミニウムによる封鎖を阻害も促進もしないという結果が得られた。
図1
図2
図3