(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069360
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】浄水使用量制限機能付き浄水ウォーターサーバー
(51)【国際特許分類】
B67D 1/12 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
B67D1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181152
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】316003276
【氏名又は名称】株式会社コスモライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100127340
【弁理士】
【氏名又は名称】飛永 充啓
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】荒川 眞吾
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA01
3E082AA02
3E082BB01
3E082CC01
3E082DD01
3E082EE05
3E082FF01
(57)【要約】
【課題】浄水使用量の管理を安定して正確に行なうことが可能な浄水使用量制限機能付き浄水ウォーターサーバーを提供する。
【解決手段】浄水注出操作部6からの信号に基づいて浄水注出用電磁バルブ10の開弁と閉弁を制御する制御部30は、浄水注出用電磁バルブ10の開弁時間に基づいて、所定時間が経過するまでの間、浄水の注出量の累積値である浄水使用量を算出するとともに、所定時間が経過するごとに浄水使用量をゼロにリセットし、浄水使用量が所定の上限値に到達しているときは、浄水注出用電磁バルブ10の開弁を禁止する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を貯留する原水タンク(1)と、
交換式の浄水フィルタカートリッジ(2)と、
前記原水タンク(1)の原水を前記浄水フィルタカートリッジ(2)に流す電動ポンプ(8)と、
前記浄水フィルタカートリッジ(2)で濾過した浄水を収容する浄水タンク(3)と、
前記浄水タンク(3)内の浄水を外部に注出する浄水注出管(9)と、
前記浄水注出管(9)に設けられた浄水注出用電磁バルブ(10)と、
ユーザーにより操作される浄水注出操作部(6)と、
前記浄水注出操作部(6)からの信号に基づいて前記浄水注出用電磁バルブ(10)の開弁と閉弁を制御する制御部(30)と、を有し、
前記制御部(30)は、
前記浄水注出用電磁バルブ(10)の開弁時間に基づいて、所定時間が経過するまでの間、前記浄水の注出量の累積値である浄水使用量を算出するとともに、前記所定時間が経過するごとに前記浄水使用量をゼロにリセットする浄水使用量算出手段(S1~S8)と、
前記浄水使用量算出手段(S1~S8)で算出される前記浄水使用量が所定の上限値に到達しているか否かを判定し、前記上限値に到達していると判定したときは、前記浄水注出用電磁バルブ(10)の開弁を禁止する浄水使用量制限制御手段(S11、S12)と、を有する浄水使用量制限機能付き浄水ウォーターサーバー。
【請求項2】
前記浄水注出管(9)は、前記浄水タンク(3)内の浄水の自重により、前記浄水タンク(3)内の浄水を外部に注出するものであり、
前記浄水タンク(3)内の水位を検知する浄水タンク水位センサ(22)を更に有し、
前記制御部(30)は、
前記浄水タンク水位センサ(22)からの信号に基づいて前記浄水タンク(3)内の浄水の水位が所定の高水位以上であるか否かを判定する浄水タンク水位判定手段(S22)と、
前記浄水注出操作部(6)が操作されたときに、前記浄水タンク水位判定手段(S22)で判定される前記浄水タンク(3)内の浄水の水位が前記高水位未満のときは、前記浄水注出用電磁バルブ(10)の開弁を禁止する浄水タンク非高水位時開弁禁止制御手段(S21、S23)と、を更に有する請求項1に記載の浄水使用量制限機能付き浄水ウォーターサーバー。
【請求項3】
前記浄水タンク(3)は、互いに温度の異なる浄水を収容する複数の浄水タンク(3a、3b、3c)で構成され、
前記浄水注出管(9)は、前記複数の浄水タンク(3a、3b、3c)からそれぞれ浄水を注出する複数の浄水注出管(9a、9b、9c)で構成され、その複数の浄水注出管(9a、9b、9c)は、第1の浄水注出管(9a)と、前記第1の浄水注出管(9a)よりも単位時間あたりの浄水注出量が大きい第2の浄水注出管(9c)とを含み、
前記浄水注出用電磁バルブ(10)は、前記第1の浄水注出管(9a)に設けられた第1の浄水注出用電磁バルブ(10a)と、前記第2の浄水注出管(9c)に設けられた第2の浄水注出用電磁バルブ(10c)とを含み、
前記浄水使用量算出手段(S1~S8)は、前記第1の浄水注出用電磁バルブ(10a)の開弁時間に第1の係数を乗じた値を前記第1の浄水注出管(9a)からの浄水の注出量として前記浄水使用量に積算するとともに、前記第2の浄水注出用電磁バルブ(10c)の開弁時間に前記第1の係数よりも大きい第2の係数を乗じた値を前記第2の浄水注出管(9c)からの注出量として前記浄水使用量に積算する請求項1または2に記載の浄水使用量制限機能付き浄水ウォーターサーバー。
【請求項4】
前記原水タンク(1)内の水位を検知する原水タンク水位センサ(16)を更に有し、
前記制御部(30)は、
前記原水タンク水位センサ(16)からの信号に基づいて前記原水タンク(1)内の原水の水位が所定の基準水位以上であるか否かを判定する原水タンク水位判定手段(S33)と、
前記浄水注出操作部(6)が操作されたときに、その操作が、前記浄水使用量算出手段(S1~S8)で前記浄水使用量がゼロにリセットされた直後の浄水の注出に対応するものであるか否かを判定するリセット直後判定手段(S31、S32)と、
前記浄水注出操作部(6)が操作されたときに、その操作が、前記浄水使用量がゼロにリセットされた直後の浄水の注出に対応するものであり、かつ、前記原水タンク水位判定手段(S33)で判定される前記原水タンク(1)内の原水の水位が前記基準水位未満であるときは、前記浄水注出用電磁バルブ(10)の開弁を禁止する原水タンク低水位時開弁禁止制御手段(S34)と、を更に有する請求項1から3のいずれかに記載の浄水使用量制限機能付き浄水ウォーターサーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浄水使用量制限機能付き浄水ウォーターサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主にオフィスや病院などでウォーターサーバーが利用されてきたが、近年、水の安全や健康への関心の高まりから、一般家庭にもウォーターサーバーが普及しつつある。ウォーターサーバーは、一般に、交換式の水ボトルと、その水ボトルから水を導入して収容する冷水タンクと、冷水タンク内の水を冷却する冷却装置と、冷水タンク内の水を外部に注出する冷水注出管とを有し、その冷水注出管に設けられた冷水注出用バルブを開弁することで、いつでもすぐに美味しい冷水を利用することができ、優れた利便性をもつ(例えば、特許文献1)。
【0003】
ここで、交換式の水ボトルとしては、採水地で汲み上げた地下水を原水とし、加熱殺菌処理などを行なってボトルに充填したもの(いわゆる天然水ボトル)や、水道水などを原水とし、製水工場の浄水フィルタで浄化してボトルに充填したもの(いわゆるRO水ボトル)が使用される。
【0004】
ウォーターサーバー用の水ボトルは、通常10リットル前後の飲料水が収容されており、10kg前後の重量がある。近年、この水ボトルを配送するための配送コストが上昇しており、ウォーターサーバーを利用するユーザーの経済的負担が大きくなる傾向にある。
【0005】
そこで、本願の発明者は、ウォーターサーバー用の水ボトルの配送コストの問題を解決するため、家庭の水道水を濾過して使用する浄水ウォーターサーバーを提案している(例えば、特許文献2)。
【0006】
特許文献2の浄水ウォーターサーバーは、家庭の水道水を原水として貯留する原水タンクと、交換式の浄水フィルタカートリッジと、原水タンクの原水を浄水フィルタカートリッジに流す電動ポンプと、浄水フィルタカートリッジで濾過した浄水を収容する高温および低温の浄水タンクと、その各浄水タンク内の浄水を外部に注出する高温および低温の浄水注出管と、その各浄水注出管に設けられた高温および低温の浄水注出用電磁バルブとを有する。
【0007】
この浄水ウォーターサーバーは、家庭の水道水を浄水フィルタカートリッジで濾過して使用するので、水ボトルの配送コストがかからず、ユーザーの経済的負担を抑えることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-143111号公報
【特許文献2】特開2020-138764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
浄水ウォーターサーバーにおいては、定期的に浄水フィルタカートリッジを交換する必要がある。そこで、浄水ウォーターサーバーの業者は、ユーザーに対し、交換用の浄水フィルタカートリッジの定期的な配送を行なっている。ユーザーは、交換用の浄水フィルタカートリッジが業者から届くと、使用中の古い浄水フィルタカートリッジを浄水ウォーターサーバーから取り外し、業者から届いた新品の浄水フィルタカートリッジを浄水ウォーターサーバーに取り付ける。このように、浄水ウォーターサーバーの業者は、交換用の浄水フィルタカートリッジを定期的にユーザーに配送することで、ユーザーの使用する浄水の品質が低下するのを防止している。
【0010】
ところで、ユーザーが浄水ウォーターサーバーで使用する浄水の量は、ユーザーによって異なり、浄水フィルタカートリッジの最適な交換タイミングも、ユーザーによって異なる。例えば、多人数で、終日にわたり浄水ウォーターサーバーを使用するというユーザーは、浄水の使用量が多いため、浄水フィルタカートリッジの交換タイミングを短く設定する必要がある。一方、1~2名の少人数で、朝と晩のみ浄水ウォーターサーバーを使用するというユーザーは、浄水の使用量が少ないため、浄水フィルタカートリッジの交換タイミングを長く設定することが可能である。
【0011】
その点を考慮し、本願の発明者は、浄水ウォーターサーバーのユーザーを、浄水の使用量が多いユーザーと、浄水の使用量が少ないユーザーとに分け、浄水フィルタカートリッジの配送間隔を両者で異ならせることを検討した。具体的には、想定される浄水の使用量が多いユーザーに対しては、例えば、3ヶ月に1回の間隔で交換用の浄水フィルタカートリッジを配送するというように交換用の浄水フィルタカートリッジの配送間隔を短くし、一方、想定される浄水の使用量が少ないユーザーに対しては、例えば、6ヶ月に1回の間隔で交換用の浄水フィルタカートリッジを配送するというように交換用の浄水フィルタカートリッジの配送間隔を長くすることを検討した。このようにすると、想定される浄水の使用量が少ないユーザーは、交換用の浄水フィルタカートリッジの配送頻度を減らすことができるので、浄水の使用量が多いユーザーよりも、経済的負担を小さく設定することが可能となる。
【0012】
ところが、想定される浄水の使用量が少ないユーザーに対し、交換用の浄水フィルタカートリッジの配送間隔を長くした場合、そのユーザーが、想定を超える量の浄水を使用すると、交換用の新品の浄水フィルタカートリッジが届くよりも前に、使用中の浄水フィルタカートリッジが使用限界に達してしまい、ユーザーの使用する浄水の品質が低下するおそれがある。
【0013】
そのような事態を防止するために、本願の発明者は、所定時間(例えば24時間)が経過するまでの間、浄水ウォーターサーバーの累積の浄水使用量を検知し、浄水使用量が所定の上限値に到達したときは、所定時間が経過するまでの間、それ以上の浄水の注出を制限するという浄水使用量制限機能を付加することを検討した。
【0014】
この浄水使用量制限機能を付加すると、ユーザーが、所定時間(例えば24時間)あたりに想定を超える量の浄水を使用するのを未然に防ぐことができるので、想定される浄水の使用量が少ないユーザーに対し、交換用の浄水フィルタカートリッジの配送間隔を長くした場合にも、交換用の新品の浄水フィルタカートリッジが届くまでの間、浄水ウォーターサーバーの浄水の品質を確実に保つことが可能となる。
【0015】
そして、本願の発明者は、上記の浄水使用量制限機能付きの浄水ウォーターサーバーとして、浄水フィルタカートリッジに原水を流す電動ポンプの流量を検知する流量センサを設け、その流量センサからの信号に基づいて、所定時間(例えば24時間)が経過するまでの間、累積の浄水使用量を算出するとともに、所定時間が経過するごとに浄水使用量をゼロにリセットし、このようにして算出される浄水使用量が所定の上限値に到達したときは、浄水注出用電磁バルブの開弁を禁止する制御を行なうことを検討した。
【0016】
しかしながら、電動ポンプの流量を検知する流量センサからの信号に基づいて浄水使用量を算出したのでは、実際にはそれほど多くの浄水を使用していないにもかかわらず、流量センサからの信号に基づく浄水使用量が上限値に到達してしまうなど、浄水使用量の管理が不安定となるおそれがあることが分かった。
【0017】
例えば、浄水タンク内の水位が満水位よりも低いときに浄水使用量がゼロにリセットされ、その後、電動ポンプが駆動し、浄水タンクの水位が満水位まで上昇する場合がある。この場合、ユーザーが浄水を注出していなくても、電動ポンプが駆動した分、流量センサからの信号に基づく浄水使用量がカウントされることとなる。その結果、ユーザーが実際に注出した浄水の量が上限値に到達していないにもかかわらず、流量センサからの信号に基づく浄水使用量が上限値に到達してしまうおそれがある。
【0018】
この発明が解決しようとする課題は、浄水使用量の管理を安定して正確に行なうことが可能な浄水使用量制限機能付き浄水ウォーターサーバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、この発明では、以下の構成の浄水使用量制限機能付き浄水ウォーターサーバーを提供する。
原水を貯留する原水タンクと、
交換式の浄水フィルタカートリッジと、
前記原水タンクの原水を前記浄水フィルタカートリッジに流す電動ポンプと、
前記浄水フィルタカートリッジで濾過した浄水を収容する浄水タンクと、
前記浄水タンク内の浄水を外部に注出する浄水注出管と、
前記浄水注出管に設けられた浄水注出用電磁バルブと、
ユーザーにより操作される浄水注出操作部と、
前記浄水注出操作部からの信号に基づいて前記浄水注出用電磁バルブの開弁と閉弁を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記浄水注出用電磁バルブの開弁時間に基づいて、所定時間が経過するまでの間、前記浄水の注出量の累積値である浄水使用量を算出するとともに、前記所定時間が経過するごとに前記浄水使用量をゼロにリセットする浄水使用量算出手段と、
前記浄水使用量算出手段で算出される前記浄水使用量が所定の上限値に到達しているか否かを判定し、前記上限値に到達していると判定したときは、前記浄水注出用電磁バルブの開弁を禁止する浄水使用量制限制御手段と、を有する浄水使用量制限機能付き浄水ウォーターサーバー。
【0020】
このようにすると、所定時間(例えば24時間)が経過するまでの間、浄水注出用電磁バルブの開弁時間に基づいて浄水の注出量の累積値である浄水使用量が算出され、その浄水使用量が所定の上限値に到達すると、浄水注出用電磁バルブの開弁が禁止される。そのため、ユーザーが、所定時間あたりに想定を超える量の浄水を使用するのを未然に防ぐことができ、浄水ウォーターサーバーの浄水の品質を確実に保つことが可能となる。ここで、浄水使用量の算出は、浄水注出用電磁バルブの開弁時間に基づいて行なうので、浄水使用量が、ユーザーが実際に注出した浄水の量に一致しやすく、浄水使用量の管理を安定して正確に行なうことが可能である。
【0021】
前記浄水注出管が、前記浄水タンク内の浄水の自重により、前記浄水タンク内の浄水を外部に注出するものである場合、
前記浄水タンク内の水位を検知する浄水タンク水位センサを更に有し、
前記制御部は、
前記浄水タンク水位センサからの信号に基づいて前記浄水タンク内の浄水の水位が所定の高水位以上であるか否かを判定する浄水タンク水位判定手段と、
前記浄水注出操作部が操作されたときに、前記浄水タンク水位判定手段で判定される前記浄水タンク内の浄水の水位が前記高水位未満のときは、前記浄水注出用電磁バルブの開弁を禁止する浄水タンク非高水位時開弁禁止制御手段と、を更に有する構成を採用すると好ましい。
【0022】
このようにすると、浄水注出操作部が操作されたときに、浄水タンク内の浄水の水位が所定の高水位以上のときにのみ浄水注出用電磁バルブが開弁し、浄水タンク内の浄水の水位が所定の高水位未満のときは浄水注出用電磁バルブの開弁が禁止されるので、浄水注出用電磁バルブの開弁時間に基づいて算出される浄水使用量の精度が高くなる。すなわち、浄水の注出を、浄水タンク内の浄水の自重を利用して行なう場合、浄水注出用電磁バルブが開弁したときに単位時間あたりに浄水注出管から注出される浄水の量は、浄水タンク内の水位が高いときと、浄水タンク内の水位が低いときとで異なったものとなる。そのため、浄水タンク内の水位によらずに、浄水注出用電磁バルブの開弁を許容したのでは、浄水注出用電磁バルブの開弁時間に基づいて算出される浄水使用量の精度が低下するおそれがある。そこで、浄水注出操作部が操作されたときに、浄水タンク内の浄水の水位が所定の高水位未満のときは浄水注出用電磁バルブの開弁を禁止し、浄水タンク内の浄水の水位が所定の高水位以上のときにのみ浄水注出用電磁バルブが開弁するようにすると、浄水注出用電磁バルブの開弁時間に基づいて算出される浄水使用量の精度を高めることが可能となる。
【0023】
前記浄水タンクは、互いに温度の異なる浄水を収容する複数の浄水タンクで構成され、
前記浄水注出管は、前記複数の浄水タンクからそれぞれ浄水を注出する複数の浄水注出管で構成され、その複数の浄水注出管は、第1の浄水注出管と、前記第1の浄水注出管よりも単位時間あたりの浄水注出量が大きい第2の浄水注出管とを含み、
前記浄水注出用電磁バルブは、前記第1の浄水注出管に設けられた第1の浄水注出用電磁バルブと、前記第2の浄水注出管に設けられた第2の浄水注出用電磁バルブとを含む場合、
前記浄水使用量算出手段は、前記第1の浄水注出用電磁バルブの開弁時間に第1の係数を乗じた値を前記第1の浄水注出管からの浄水の注出量として前記浄水使用量に積算するとともに、前記第2の浄水注出用電磁バルブの開弁時間に前記第1の係数よりも大きい第2の係数を乗じた値を前記第2の浄水注出管からの注出量として前記浄水使用量に積算するように構成すると好ましい。
【0024】
このようにすると、第1の浄水注出管に設けられた第1の浄水注出用電磁バルブを開弁したときと、第2の浄水注出管に設けられた第2の浄水注出用電磁バルブを開弁したときとで、単位時間あたりに注出される浄水の浄水注出量が相違するが、その相違を第1の係数と第2の係数の大きさの差で補正し、浄水使用量を精度よく算出することが可能となる。
【0025】
前記原水タンク内の水位を検知する原水タンク水位センサを更に有し、
前記制御部は、
前記原水タンク水位センサからの信号に基づいて前記原水タンク内の原水の水位が所定の基準水位以上であるか否かを判定する原水タンク水位判定手段と、
前記浄水注出操作部が操作されたときに、その操作が、前記浄水使用量算出手段で前記浄水使用量がゼロにリセットされた直後の浄水の注出に対応するものであるか否かを判定するリセット直後判定手段と、
前記浄水注出操作部が操作されたときに、その操作が、前記浄水使用量がゼロにリセットされた直後の浄水の注出に対応するものであり、かつ、前記原水タンク水位判定手段で判定される前記原水タンク内の原水の水位が前記基準水位未満であるときは、前記浄水注出用電磁バルブの開弁を禁止する原水タンク低水位時開弁禁止制御手段と、を更に有する構成を採用すると好ましい。
【0026】
このようにすると、浄水使用量がゼロにリセットされた直後の浄水の注出時に、一度に多くの浄水が注出されたときにも、浄水タンク内の水位が下がり過ぎて、単位時間あたりの浄水注出量が過小となるのを防止することが可能となる。すなわち、浄水使用量がゼロにリセットされた直後は、所定の上限値に到達するまで注出可能な浄水の量が最も多いときである。このとき、原水タンクの残水が少ない状態で、一度に多くの浄水が注出されると、原水タンクが空となって原水タンクから浄水タンクへの水の補給が行なわれなくなり、その結果、浄水タンク内の水位が下がり過ぎ、単位時間あたりの浄水注出量が過小となってしまうおそれがある。そこで、浄水使用量がゼロにリセットされた直後の浄水の注出時に、原水タンク内の原水の水位が基準水位未満のときは浄水注出用電磁バルブの開弁を禁止し、原水タンク内の原水の水位が基準水位以上のときにのみ浄水注出用電磁バルブが開弁するようにすると、原水タンクからの浄水タンクへの水の補給を確実に行なうことができるので、一度に多くの浄水が注出されたときにも、浄水タンク内の水位が下がり過ぎるのを防止し、単位時間あたりの浄水注出量が過小となるのを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
この発明の浄水使用量制限機能付き浄水ウォーターサーバーは、所定時間(例えば24時間)が経過するまでの間、浄水注出用電磁バルブの開弁時間に基づいて浄水の注出量の累積値である浄水使用量が算出され、その浄水使用量が所定の上限値に到達すると、浄水注出用電磁バルブの開弁が禁止される。そのため、ユーザーが、所定時間あたりに想定を超える量の浄水を使用するのを未然に防ぐことができ、浄水ウォーターサーバーの浄水の品質を確実に保つことが可能となる。ここで、浄水使用量の算出は、浄水注出用電磁バルブの開弁時間に基づいて行なうので、浄水使用量が、ユーザーが実際に注出した浄水の量に一致しやすく、浄水使用量の管理を安定して正確に行なうことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】この発明の実施形態の浄水使用量制限機能付き浄水ウォーターサーバーを前側から見た正面図
【
図3】
図2に示す浄水タンク(高温、低温、常温)を前側から見た断面図
【
図6】
図1に示す浄水注出用電磁バルブの開弁と閉弁を制御する制御部のブロック図
【
図7】
図6に示す制御部による浄水使用量算出の制御例を示すフロー図
【
図8】
図6に示す制御部による浄水使用量制限制御の制御例を示すフロー図
【
図9】
図6に示す制御部による浄水タンク非高水位時開弁禁止制御の制御例を示すフロー図
【
図10】
図6に示す制御部による原水タンク低水位時開弁禁止制御の制御例を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に、この発明の実施形態の浄水使用量制限機能付き浄水ウォーターサーバーを示す。この浄水ウォーターサーバーは、水道水などの原水を原水タンク1に入れ、その原水タンク1の原水を浄水フィルタカートリッジ2(
図2参照)で濾過して浄水を生成し、その浄水を浄水タンク3(
図2参照)に貯留し、浄水注出口4から注出して使用するものである。筐体5の前面側には、ユーザーにより操作される浄水注出操作部6が設けられている。浄水注出操作部6は、高温の浄水注出操作部6aと、低温の浄水注出操作部6bと、常温の浄水注出操作部6cとで構成されている。
【0030】
図2に示すように、浄水ウォーターサーバーは、筐体5と、原水を貯留する原水タンク1と、交換式の浄水フィルタカートリッジ2と、原水タンク1と浄水フィルタカートリッジ2の間を連通する原水管7と、原水管7の途中に設けられた電動ポンプ8と、浄水フィルタカートリッジ2で濾過した浄水を収容する浄水タンク3と、浄水タンク3内の浄水を外部に注出する浄水注出管9と、浄水注出管9に設けられた浄水注出用電磁バルブ10とを有する。
【0031】
筐体5は、上下方向に延びる筒部11と、筒部11の上端に設けられた天板12と、筒部11の下端に設けられた底板13とを有する。原水タンク1は、天板12に着脱可能にセットされる。天板12には、原水管7の上流側の端部の原水導入口14が設けられている。
【0032】
原水タンク1にはタンク開閉弁15が設けられている。タンク開閉弁15は、原水タンク1を天板12から持ち上げた状態では、原水タンク1の内部と外部の連通を遮断し、原水タンク1を天板12にセットした状態では、原水タンク1の内部を原水導入口14に連通させる開閉弁である。また、筐体5の天板12には、原水タンク1内の水位を検知する原水タンク水位センサ16が設けられている。原水タンク水位センサ16としては、例えば、原水タンク1内の原水の水位に応じて上下に移動するように原水タンク1の内部に設けられた図示しないフロートの位置を検知するセンサを用いることができる。
【0033】
電動ポンプ8は、原水タンク1の側から原水を吸い込み、その原水を浄水フィルタカートリッジ2の側に吐出することで、原水管7内の原水を、原水タンク1の側から浄水フィルタカートリッジ2の側に移送する。浄水フィルタカートリッジ2と浄水タンク3との間は浄水管17で接続され、浄水フィルタカートリッジ2で濾過して生成された浄水が、浄水管17を通って浄水タンク3に導入されるようになっている。
【0034】
図3に示すように、浄水タンク3は、高温の浄水タンク3aと、低温の浄水タンク3bと、常温の浄水タンク3cとで構成されている。
【0035】
図4に示すように、高温の浄水タンク3aは、常温の浄水タンク3cの下方に配置されている。高温の浄水タンク3aと常温の浄水タンク3cは、タンク接続管18を介して接続され、そのタンク接続管18を通って、常温の浄水タンク3cから高温の浄水タンク3aに浄水が導入されるようになっている。高温の浄水タンク3aには、高温の浄水タンク3a内の浄水を加熱する加熱装置19が取り付けられている。高温の浄水タンク3a内の浄水は、加熱装置19によって所定の高温(例えば80℃以上)に保たれる。
【0036】
高温の浄水タンク3aの上面には、高温の浄水注出管9aが接続されている。高温の浄水注出管9aには、高温の浄水注出用電磁バルブ10aが設けられている。高温の浄水注出用電磁バルブ10aを開弁すると、高温の浄水タンク3a内の浄水が、高温の浄水タンク3aの上方に位置する常温の浄水タンク3c内の浄水の自重によって押し出され、高温の浄水注出管9aを通って注出される。このとき、高温の浄水タンク3aから注出される浄水と同量の浄水が、タンク接続管18を通って常温の浄水タンク3cから高温の浄水タンク3aに流入し、高温の浄水タンク3aは常に満水状態に保たれる。
【0037】
図2に示すように、低温の浄水タンク3bも、常温の浄水タンク3cの下方に配置されている。低温の浄水タンク3bと常温の浄水タンク3cは、タンク接続管20を介して接続され、そのタンク接続管20を通って、常温の浄水タンク3cから低温の浄水タンク3bに浄水が導入されるようになっている。低温の浄水タンク3bには、低温の浄水タンク3b内の浄水を冷却する冷却装置21が取り付けられている。低温の浄水タンク3b内の浄水は、冷却装置21によって所定の低温(例えば10℃以下)に保たれる。
【0038】
低温の浄水タンク3bの底面には、低温の浄水注出管9bが接続されている。低温の浄水注出管9bには、低温の浄水注出用電磁バルブ10bが設けられている。低温の浄水注出用電磁バルブ10bを開弁すると、低温の浄水タンク3b内の浄水が、低温の浄水タンク3bの上方に位置する常温の浄水タンク3c内の浄水の自重によって押し出され、低温の浄水注出管9bを通って注出される。このとき、低温の浄水タンク3bから注出される浄水と同量の浄水が、タンク接続管20を通って常温の浄水タンク3cから低温の浄水タンク3bに流入し、低温の浄水タンク3bは常に満水状態に保たれる。
【0039】
図3に示すように、常温の浄水タンク3cは、低温の浄水タンク3bおよび高温の浄水タンク3aの上方に配置されている。常温の浄水タンク3cには、空気と浄水とが、上下二層に収容されている。
図5に示すように、常温の浄水タンク3cの底面には、常温の浄水注出管9cが接続されている。常温の浄水注出管9cには、常温の浄水注出用電磁バルブ10cが設けられている。
【0040】
常温の浄水注出用電磁バルブ10cを開弁すると、常温の浄水タンク3c内の浄水が、その自重によって押し出され、常温の浄水注出管9cを通って注出される。このとき、常温の浄水タンク3cから注出される浄水の量に応じて、常温の浄水タンク3c内の水位は下がる。また、
図3に示す低温の浄水タンク3bから浄水を注出したときや、高温の浄水タンク3aから浄水を注出したときも、常温の浄水タンク3c内の水位は下がる。
【0041】
常温の浄水タンク3cには、常温の浄水タンク3c内の水位を検知する浄水タンク水位センサ22が設けられている。この浄水タンク水位センサ22からの信号に基づいて、電動ポンプ8(
図2参照)は制御される。電動ポンプ8は、浄水タンク水位センサ22で常温の浄水タンク3c内の水位が満水位未満であることが検知されたときに作動するように制御される。
【0042】
図1に破線で示すように、高温の浄水注出管9aと低温の浄水注出管9bと常温の浄水注出管9cは、共通の浄水注出口4から浄水が流出するように下流側端部で合流して設けられている。高温の浄水注出管9aと低温の浄水注出管9bと常温の浄水注出管9cは、互いに別個の注出口から浄水が流出するように離して設けてもよい。
【0043】
ここで、常温の浄水注出管9cから浄水を注出するときに流れる浄水の流路(
図5に示す常温の浄水注出管9c)は、高温の浄水注出管9aから浄水を注出するときに流れる浄水の流路(
図4に示す高温の浄水注出管9a、高温の浄水タンク3a、タンク接続管18)よりも短い。そのため、常温の浄水注出管9cから浄水を注出するときの単位時間あたりの浄水注出量は、高温の浄水注出管9aから浄水を注出するときの単位時間あたりの浄水注出量よりも大きい。この例では、常温の浄水注出管9cの単位時間あたりの浄水注出量は、高温の浄水注出管9aの単位時間あたりの浄水注出量の1.5倍程度の大きさである。
【0044】
同様に、常温の浄水注出管9cから浄水を注出するときに流れる浄水の流路(
図5に示す常温の浄水注出管9c)は、低温の浄水注出管9bから浄水を注出するときに流れる浄水の流路(
図2に示す低温の浄水注出管9b、低温の浄水タンク3b、タンク接続管20)よりも短い。そのため、常温の浄水注出管9cから浄水を注出するときの単位時間あたりの浄水注出量は、低温の浄水注出管9bから浄水を注出するときの単位時間あたりの浄水注出量よりも大きい。なお、高温の浄水注出管9aの単位時間あたりの浄水注出量と、低温の浄水注出管9bの単位時間あたりの浄水注出量は、同程度の大きさである。
【0045】
高温の浄水注出用電磁バルブ10a、低温の浄水注出用電磁バルブ10b、常温の浄水注出用電磁バルブ10cは、それぞれ、通電したときに開弁し、通電を停止したときに閉弁する電磁開閉弁である。これらの電磁バルブ10a、10b、10cの開弁および閉弁は、
図6に示す制御部30によって制御される。制御部30には、浄水タンク水位センサ22から、浄水タンク3内の浄水の水位を示す信号が入力され、原水タンク水位センサ16から、原水タンク1内の原水の水位を示す信号が入力され、高温の浄水注出操作部6aから、ユーザーによる高温の浄水注出操作があったか否かを示す信号が入力され、低温の浄水注出操作部6bから、ユーザーによる低温の浄水注出操作があったか否かを示す信号が入力され、常温の浄水注出操作部6cから、ユーザーによる常温の浄水注出操作があったか否かを示す信号が入力される。また、制御部30からは、高温の浄水注出用電磁バルブ10a、低温の浄水注出用電磁バルブ10b、常温の浄水注出用電磁バルブ10cを駆動するための信号が出力される。
【0046】
次に、
図7~
図10に基づいて、制御部30による浄水注出用電磁バルブ10(
図1に破線で示す高温の浄水注出用電磁バルブ10a、低温の浄水注出用電磁バルブ10b、常温の浄水注出用電磁バルブ10c)の制御の一例を説明する。
【0047】
<浄水使用量算出>
図7に示すように、浄水注出用電磁バルブ10の開弁時間に基づいて、所定時間(この例では24時間)が経過するまでの間、浄水の注出量の累積値である浄水使用量を算出する。具体的には、高温の浄水注出用電磁バルブ10aが開弁しているか否かを判定し(ステップS
1)、高温の浄水注出用電磁バルブ10aが開弁していると判定したときは、その開弁時間に第1の係数(ここでは1.0)を乗じた値を、高温の浄水注出管9aからの浄水の注出量として浄水使用量に積算する(ステップS
2)。同様に、低温の浄水注出用電磁バルブ10bが開弁しているか否かを判定し(ステップS
3)、低温の浄水注出用電磁バルブ10bが開弁していると判定したときは、その開弁時間に第1の係数(ここでは1.0)を乗じた値を、低温の浄水注出管9bからの浄水の注出量として浄水使用量に積算する(ステップS
4)。さらに、常温の浄水注出用電磁バルブ10cが開弁しているか否かを判定し(ステップS
5)、常温の浄水注出用電磁バルブ10cが開弁していると判定したときは、その開弁時間に第1の係数よりも大きい第2の係数(ここでは1.5)を乗じた値を、常温の浄水注出管9cからの浄水の注出量として浄水使用量に積算する(ステップS
6)。ここで、第1の係数と第2の係数の比は、
図4に示す高温の浄水注出管9aの単位時間あたりの浄水注出量と、
図5に示す常温の浄水注出管9cの単位時間あたりの浄水注出量の比と対応するように設定されている。このようにして、所定時間(この例では24時間)が経過するまでの間、
図1に破線に示す高温の浄水注出管9aと低温の浄水注出管9bと常温の浄水注出管9cとから注出される浄水の量の累積値である浄水使用量を計算する。そして、所定時間(この例では24時間)が経過するごとに(ステップS
7)、浄水使用量をゼロにリセットする(ステップS
8)。
【0048】
<浄水使用量制限制御>
図8に示すように、現時点での浄水使用量が、所定の上限値に到達しているか否かを判定し(ステップS
11)、所定の上限値に到達していると判定したときは、浄水注出用電磁バルブ10の開弁を禁止する(ステップS
12)。すなわち、上述のように算出される浄水使用量が、所定の上限値(例えば1.2リットルに相当する浄水使用量)に到達したときに、
図1の破線に示す高温の浄水注出用電磁バルブ10a、低温の浄水注出用電磁バルブ10b、常温の浄水注出用電磁バルブ10cのうち、開弁しているものがあればそれを閉弁させ、その後、ユーザーにより高温の浄水注出操作部6aと、低温の浄水注出操作部6bと、常温の浄水注出操作部6cが操作されたときにも、高温の浄水注出用電磁バルブ10a、低温の浄水注出用電磁バルブ10b、常温の浄水注出用電磁バルブ10cの開弁を禁止する制御を行なう。浄水注出用電磁バルブ10の開弁を禁止したとき、その開弁禁止は、
図7において所定時間が経過するタイミング(ステップS
7)で解除する。
【0049】
<浄水タンク非高水位時開弁禁止制御>
図9に示すように、高温の浄水注出操作部6a、低温の浄水注出操作部6b、常温の浄水注出操作部6cが操作されたときに(ステップS
21)、
図2に示す浄水タンク水位センサ22からの信号に基づいて、常温の浄水タンク3c内の浄水の水位が所定の高水位以上であるか否かを判定する(ステップS
22)。所定の高水位は、常温の浄水タンク3cの満水位の8割以上の範囲の水位(例えば、満水位や、満水位の9割以上の水位)に設定することができる。そして、
図2に示す常温の浄水タンク3c内の浄水の水位が所定の高水位以上であると判定されたときは、高温の浄水注出用電磁バルブ10a、低温の浄水注出用電磁バルブ10b、常温の浄水注出用電磁バルブ10cの開弁を許容し、一方、
図2に常温の浄水タンク3c内の浄水の水位が所定の高水位未満であると判定されたときは、高温の浄水注出用電磁バルブ10a、低温の浄水注出用電磁バルブ10b、常温の浄水注出用電磁バルブ10cの開弁を禁止する(ステップS
23)。
【0050】
ここで、ステップS
23における開弁禁止は、ユーザーによる浄水注出操作部6の操作があったときに、浄水注出用電磁バルブ10が閉弁状態から開弁状態に切り替わる動作を禁止するのみであり、常温の浄水タンク3c内の浄水の水位が下がって所定の高水位未満になったときに、開弁状態にある浄水注出用電磁バルブ10を強制的に閉弁状態に切り替えることはしない。一方、
図8に示す浄水使用量制限制御のステップS
12における開弁禁止は、ユーザーによる浄水注出操作部6の操作があったときに、浄水注出用電磁バルブ10が閉弁状態から開弁状態に切り替わる動作を禁止するだけでなく、浄水使用量が、所定の上限値に到達したときに、開弁状態にある浄水注出用電磁バルブ10を強制的に閉弁状態に切り替えるものである。
【0051】
<原水タンク低水位時開弁禁止制御>
図10に示すように、高温の浄水注出操作部6a、低温の浄水注出操作部6b、常温の浄水注出操作部6cが操作されたときに(ステップS
31)、その操作が、
図7に示すステップS
8で浄水使用量がゼロにリセットされた直後の浄水の注出に対応するものであるか否かを判定する(ステップS
32)。ここで、浄水使用量がゼロにリセットされた直後の浄水の注出に対応するか否かは、
図7に示すステップS
8で浄水使用量をゼロにリセットした後の最初の浄水の注出に該当するか否かで判定するようにしてもよく、また、
図7に示すステップS
8で浄水使用量をゼロにリセットした後に積算される浄水使用量が所定のしきい値未満であるか否かで判定するようにしてもよい。この判定により、浄水使用量がゼロにリセットされた直後の浄水の注出に対応するものであると判定されたときは、
図2に示す原水タンク水位センサ16からの信号に基づいて、原水タンク1内の原水の水位が所定の基準水位以上であるか否かを判定する(ステップS
33)。所定の基準水位は、原水タンク1の容積の半分以下の水位に設定することができる。そして、
図2に示す原水タンク1内の原水の水位が所定の基準水位以上と判定されたときは、高温の浄水注出用電磁バルブ10a、低温の浄水注出用電磁バルブ10b、常温の浄水注出用電磁バルブ10cの開弁を許容し、一方、
図2に示す原水タンク1内の原水の水位が所定の基準水位未満と判定されたときは、高温の浄水注出用電磁バルブ10a、低温の浄水注出用電磁バルブ10b、常温の浄水注出用電磁バルブ10cの開弁を禁止する(ステップS
34)。
【0052】
また、
図6に示す制御部30は、浄水使用量制限モードと浄水使用量制限解除モードとを切り替え可能となっている。浄水使用量制限モードは、
図7、
図8に示すように、所定時間(例えば24時間)が経過するまでの間、浄水注出用電磁バルブ10の開弁時間に基づいて浄水の注出量の累積値である浄水使用量が算出され、その浄水使用量が所定の上限値(この例では1.2リットルに相当する浄水使用量)に到達すると、浄水注出用電磁バルブ10の開弁が禁止されるモードであり、一方、浄水使用量制限解除モードは、そのような制限がかからないモードである。浄水使用量制限モードと浄水使用量制限解除モードの切り替えは、
図6に示す浄水使用量制限解除キー31を用意し、その浄水使用量制限解除キー31が制御部30に接続されているときは、浄水使用量制限解除モードとなり、一方、浄水使用量制限解除キー31が制御部30に接続されていないときは、浄水使用量制限モードとなるように構成して行なうことができる。
【0053】
ところで、上記の浄水ウォーターサーバーにおいては、定期的に、
図2に示す浄水フィルタカートリッジ2を交換する必要がある。そこで、浄水ウォーターサーバーの業者は、ユーザーに対し、交換用の浄水フィルタカートリッジ2の定期的な配送を行なう。ユーザーは、交換用の浄水フィルタカートリッジ2が業者から届くと、使用中の古い浄水フィルタカートリッジ2を浄水ウォーターサーバーから取り外し、業者から届いた新品の浄水フィルタカートリッジ2を浄水ウォーターサーバーに取り付ける。このように、浄水ウォーターサーバーの業者は、交換用の浄水フィルタカートリッジ2を定期的にユーザーに配送することで、ユーザーの使用する浄水の品質が低下するのを防止することができる。
【0054】
ここで、ユーザーが浄水ウォーターサーバーで使用する浄水の量は、ユーザーによって異なり、浄水フィルタカートリッジ2の最適な交換タイミングも、ユーザーによって異なる。例えば、多人数で、終日にわたり浄水ウォーターサーバーを使用するというユーザーは、浄水の使用量が多いため、浄水フィルタカートリッジ2の交換タイミングを短く設定する必要がある。一方、1~2名の少人数で、朝と晩のみ浄水ウォーターサーバーを使用するというユーザーは、浄水の使用量が少ないため、浄水フィルタカートリッジ2の交換タイミングを長く設定することが可能である。
【0055】
そこで、想定される浄水の使用量が多いユーザーに対しては、
図6に示す浄水使用量制限解除キー31を提供するとともに、例えば、3ヶ月に1回の間隔で交換用の浄水フィルタカートリッジ2を配送するというように交換用の浄水フィルタカートリッジ2の配送間隔を短くし、一方、想定される浄水の使用量が少ないユーザーに対しては、
図6に示す浄水使用量制限解除キー31を提供せずに、例えば、6ヶ月に1回の間隔で交換用の浄水フィルタカートリッジ2を配送するというように交換用の浄水フィルタカートリッジ2の配送間隔を長くする。
【0056】
このようにすると、想定される浄水の使用量が少ないユーザーは、交換用の浄水フィルタカートリッジ2の配送頻度を減らすことができるので、浄水の使用量が多いユーザーよりも、経済的負担を小さく設定することが可能となる。
【0057】
また、想定される浄水の使用量が少ないユーザーが、所定時間あたりに想定を超える量の浄水を使用するのを未然に防ぐことができ、交換用の新品の浄水フィルタカートリッジ2が届くまでの間、浄水ウォーターサーバーの浄水の品質を確実に保つことが可能となる。ここで、浄水使用量の算出は、浄水注出用電磁バルブ10の開弁時間に基づいて行なうので、浄水使用量が、ユーザーが実際に注出した浄水の量に一致しやすく、浄水使用量の管理を安定して正確に行なうことが可能である。
【0058】
また、上記の浄水ウォーターサーバーは、
図1に示す浄水注出操作部6が操作されたときに、
図2に示す常温の浄水タンク3c内の浄水の水位が所定の高水位以上のときにのみ浄水注出用電磁バルブ10が開弁し、常温の浄水タンク3c内の浄水の水位が所定の高水位未満のときは浄水注出用電磁バルブ10の開弁が禁止されるので、浄水注出用電磁バルブ10の開弁時間に基づいて算出される浄水使用量の精度が高い。すなわち、浄水の注出は、常温の浄水タンク3c内の浄水の自重を利用して行なうので、浄水注出用電磁バルブ10が開弁したときに単位時間あたりに浄水注出管9から注出される浄水の量は、常温の浄水タンク3c内の水位が高いときと、常温の浄水タンク3c内の水位が低いときとで異なったものとなる。そのため、常温の浄水タンク3c内の水位によらずに、浄水注出用電磁バルブ10の開弁を許容したのでは、浄水注出用電磁バルブ10の開弁時間に基づいて算出される浄水使用量の精度が低下するおそれがある。そこで、浄水注出操作部6が操作されたときに、常温の浄水タンク3c内の浄水の水位が所定の高水位未満のときは浄水注出用電磁バルブ10の開弁を禁止し、常温の浄水タンク3c内の浄水の水位が所定の高水位以上のときにのみ浄水注出用電磁バルブ10が開弁するようにすると、浄水注出用電磁バルブ10の開弁時間に基づいて算出される浄水使用量の精度を高めることが可能となる。
【0059】
また、上記の浄水ウォーターサーバーは、高温および低温の浄水注出管9a、9bに設けられた浄水注出用電磁バルブ10a、10bを開弁したときと、常温の浄水注出管9cに設けられた常温の浄水注出用電磁バルブ10cを開弁したときとで、単位時間あたりに注出される浄水の浄水注出量が相違するが、その相違を第1の係数(この例では1.0)と第2の係数(この例では1.5)の大きさの差で補正し、浄水使用量を精度よく算出することが可能となっている。
【0060】
また、上記の浄水ウォーターサーバーは、浄水使用量がゼロにリセットされた直後の浄水の注出時に、一度に多くの浄水が注出されたときにも、
図2に示す常温の浄水タンク3c内の水位が下がり過ぎて、単位時間あたりの浄水注出量が過小となるのを防止することが可能となっている。すなわち、
図7に示すステップS
8において、浄水使用量がゼロにリセットされた直後は、所定の上限値に到達するまで注出可能な浄水の量が最も多いときである。このとき、
図2に示す原水タンク1の残水が少ない状態で、一度に多くの浄水が注出されると、原水タンク1が空となって原水タンク1から常温の浄水タンク3cへの水の補給が行なわれなくなり、その結果、常温の浄水タンク3c内の水位が下がり過ぎ、単位時間あたりの浄水注出量が過小となってしまうおそれがある。そこで、浄水使用量がゼロにリセットされた直後の浄水の注出時に、原水タンク1内の原水の水位が基準水位未満のときは浄水注出用電磁バルブ10の開弁を禁止し、原水タンク1内の原水の水位が基準水位以上のときにのみ浄水注出用電磁バルブ10が開弁するようにすると、原水タンク1からの常温の浄水タンク3cへの水の補給を確実に行なうことができるので、一度に多くの浄水が注出されたときにも、常温の浄水タンク3c内の水位が下がり過ぎるのを防止し、単位時間あたりの浄水注出量が過小となるのを防止することが可能となる。
【0061】
上記実施形態では、高温と低温と常温の3つの温度に対応した浄水ウォーターサーバー(浄水タンク3、浄水注出操作部6、浄水注出管9、浄水注出用電磁バルブ10が、それぞれ、高温と低温と常温の浄水タンク3a、3b、3c、高温と低温と常温の浄水注出操作部6a、6b、6c、高温と低温と常温の浄水注出管9a、9b、9c、高温と低温と常温の浄水注出用電磁バルブ10a、10b、10cで構成されたもの)を例に挙げて説明したが、この発明は、高温と低温の2つの温度に対応した浄水ウォーターサーバーや、低温のみに対応した浄水ウォーターサーバーにも適用可能である。
【0062】
上記実施形態の浄水注出用電磁バルブ10の開弁動作に関し、常温の浄水注出操作部6cを操作したときに、常温の浄水注出用電磁バルブ10cのみが開弁するように制御することも可能であるが、常温の浄水注出操作部6cを操作したときに、常温の浄水注出用電磁バルブ10cが連続的に開弁し、同時に低温の浄水注出用電磁バルブ10bも間欠的に開弁するように制御してもよい。このようにすると、常温の浄水を注出するときに、常温の浄水タンク3c内の浄水の温度よりも温度を低く調整した浄水を注出することが可能となる。この場合も、常温の浄水注出用電磁バルブ10cと低温の浄水注出用電磁バルブ10bの開弁時間に基づいて浄水使用量を算出することが可能である。
【0063】
また、上記実施形態では、浄水フィルタカートリッジ2で原水タンク1の原水を濾過するために、浄水フィルタカートリッジ2の上流側に電動ポンプ8を設け、その電動ポンプ8で水を下流側に押し出すことで、原水タンク1の原水を浄水フィルタカートリッジ2に流すようにした浄水ウォーターサーバーを例に挙げて説明したが、この発明は、浄水フィルタカートリッジ2の下流側に電動ポンプ8を設け、その電動ポンプ8で水を上流側から吸い込むことで、原水タンク1の原水を浄水フィルタカートリッジ2に流すようにした浄水ウォーターサーバーに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 原水タンク
2 浄水フィルタカートリッジ
3 浄水タンク
3a 高温の浄水タンク
3b 低温の浄水タンク
3c 常温の浄水タンク
6 浄水注出操作部
7 原水管
8 電動ポンプ
9 浄水注出管
9a 高温の浄水注出管
9b 低温の浄水注出管
9c 常温の浄水注出管
10 浄水注出用電磁バルブ
10a 高温の浄水注出用電磁バルブ
10b 低温の浄水注出用電磁バルブ
10c 常温の浄水注出用電磁バルブ
16 原水タンク水位センサ
22 浄水タンク水位センサ
30 制御部