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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006937
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】壁パネル
(51)【国際特許分類】
   E04C 2/12 20060101AFI20230111BHJP
   E04C 2/30 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
E04C2/12 E
E04C2/30 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109823
(22)【出願日】2021-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】517124930
【氏名又は名称】グローバルストーンマテリアル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591120088
【氏名又は名称】越井木材工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】508346527
【氏名又は名称】一般社団法人大阪府木材連合会
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(72)【発明者】
【氏名】井出 寛
【テーマコード(参考)】
2E162
【Fターム(参考)】
2E162CC02
2E162CE01
2E162FB01
(57)【要約】
【課題】杉材の普及を促すために、躯体等の壁に容易に着脱することができる壁パネルを提供する。
【解決手段】建物の壁12に磁性ペイント13を塗布する。壁パネル10は、呼吸管を切断するスリットが刻まれている杉板20と、壁12に取り外し可能に磁気吸着するマグネット25とからなる。
【効果】杉板20は、何時でも壁12に取付け、何時でも壁12から取り外すことができる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸管を切断するスリットが刻まれている杉板と、
壁に取り外し可能に磁気吸着するマグネットと、
このマグネットを前記杉板に連結する連結部材と、
からなることを特徴とする壁パネル。
【請求項2】
請求項1記載の壁パネルであって、
前記マグネットは、複数個の前記杉板を載せると共に薄くて可撓性に富むマグネットシートであり、
前記連結部材は、前記マグネットシートの裏面から前記杉板へ打込まれたコ字状の金属針であることを特徴とする壁パネル。
【請求項3】
請求項1記載の壁パネルであって、
前記マグネットは、複数個の前記杉板を載せると共に薄くて可撓性に富むマグネットシートであり、
前記連結部材は、前記マグネットシートの裏面から前記杉板へねじ込まれた又は打込まれた木ねじ、釘、頭付きピンの何れかであることを特徴とする壁パネル。
【請求項4】
請求項1記載の壁パネルであって、
前記マグネットは、前記杉板の裏に埋設または付設される磁石片であり、
前記連結部材は、前記磁石片を前記杉板に連結する接着剤であることを特徴とする壁パネル。
【請求項5】
請求項1記載の壁パネルであって、
前記マグネットは、薄くて可撓性に富むマグネットシートであり、
前記連結部材は、接着剤であることを特徴とする壁パネル。
【請求項6】
請求項5記載の壁パネルであって、
前記マグネットシートは、複数個の前記杉板を載せる大きさのシートであり、
前記杉板には、前記呼吸管の長手方向に並ぶようにして複数条の前記スリットが刻まれており、複数条の前記スリットの最も外側の2本のスリットを外側スリット、その他のスリットを内側スリットと呼ぶときに、前記外側スリットの溝は、前記内側スリットの溝より、深くしたことを特徴とする壁パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁などに磁気吸着させる壁パネルに関する。
なお、漢字で表記した「表面」は、物の外表面の全てと、裏面の反対面との二通りに解され、不明瞭である。本書では、「裏面」の反対面を「おもて面」と表記して明瞭化を図る。
【背景技術】
【0002】
大気汚染が社会問題となって久しい。大気中の汚染物質を除去する技術が各種提案されてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1は、スギ(杉)材を用いた二酸化窒素等の浄化技術に関する。すなわち、杉材が空気中の汚染物質を吸着して除去する性質を有することを活用した技術である。
杉材は、建築物の内壁、天井、床、家具、インテリア部材、小物、建築物の型枠などに使用される(特許文献1段落0060)。
【0004】
新築の木造家屋であれば、内壁、天井、床に、特許文献1の杉材を使用することは難しくない。
一方、既存の木造家屋では、内壁、天井、床に杉材を貼り付けるか、内壁、天井、床の構成材を杉材と交換することになる。貼り付け工事又は交換工事が面倒である。
【0005】
その上、新築、既存を問わずに、一度取付けた杉材を、別の杉材に交換すると、交換費用が嵩む。
しかし、生活様式の変化に伴って、今の杉材を、別の意匠の杉材に変えたいということはかなりの頻度で起こる。
特許文献1の技術では、そのような変更には対応できない。このことが杉材の普及の妨げになっている。
【0006】
杉材の普及を促すために、躯体等の壁に容易に着脱することができる壁パネルが、切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4759550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、杉材の普及を促すために、躯体等の壁に容易に着脱することができる壁パネルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、呼吸管を切断するスリットが刻まれている杉板と、
壁に取り外し可能に磁気吸着するマグネットと、
このマグネットを前記杉板に連結する連結部材と、
からなる壁パネルを提供する。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の壁パネルであって、
前記マグネットは、複数個の前記杉板を載せると共に薄くて可撓性に富むマグネットシートであり、
前記連結部材は、前記マグネットシートの裏面から前記杉板へ打込まれたコ字状の金属針であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1記載の壁パネルであって、
前記マグネットは、複数個の前記杉板を載せると共に薄くて可撓性に富むマグネットシートであり、
前記連結部材は、前記マグネットシートの裏面から前記杉板へねじ込まれた又は打込まれた木ねじ、釘、頭付きピンの何れかであることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1記載の壁パネルであって、
前記マグネットは、前記杉板の裏に埋設または付設される磁石片であり、
前記連結部材は、前記磁石片を前記杉板に連結する接着剤であることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1記載の壁パネルであって、
前記マグネットは、薄くて可撓性に富むマグネットシートであり、
前記連結部材は、接着剤であることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項5記載の壁パネルであって、
前記マグネットシートは、複数個の前記杉板を載せる大きさのシートであり、
前記杉板には、前記呼吸管の長手方向に並ぶようにして複数条の前記スリットが刻まれており、複数条の前記スリットの最も外側の2本のスリットを外側スリット、その他のスリットを内側スリットと呼ぶときに、前記外側スリットの溝は、前記内側スリットの溝より、深くしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、杉板にマグネットが連結部材で連結されているため、杉板を着脱自在に壁等に取付けることができる。
すなわち、本発明により、杉材を躯体等の壁に容易に着脱することができる壁パネルが提供され、杉材の普及が促される。
【0016】
請求項2に係る発明では、マグネットは、複数個の杉板を載せると共に薄くて可撓性に富むマグネットシートである。その上で、マグネットシートにコ字状の金属針で杉板が連結されている。
金属針は点であるため、マグネットシートに杉板が点で連結されている。金属針と
隣りの金属針との間では、杉板からマグネットシートが離れ得る。
壁が湾曲したり、波打っていても、マグネットシートが変形して壁に付く。
【0017】
加えて、壁パネルは、杉板と、マグネットシートと、金属針とに容易に分割することができる。不要になった壁パネルは、分割して、杉板を木材として再使用し、マグネットシートを再使用することができる。金属針は金属屑として処分することができる。
よって、本発明の壁パネルは、環境保全に適したパーツと言える。
【0018】
請求項3に係る発明では、マグネットは、複数個の杉板を載せると共に薄くて可撓性に富むマグネットシートである。その上で、マグネットシートに木ねじ、釘、頭付きピンの何れかで杉板が連結されている。
木ねじ、釘、頭付きピンの何れかは点であるため、マグネットシートに杉板が点で連結されている。木ねじ、釘、頭付きピンの何れかと隣りの木ねじ、釘、頭付きピンの何れかとの間では、杉板からマグネットシートが離れ得る。
壁が湾曲したり、波打っていても、マグネットシートが変形して壁に付く。
【0019】
加えて、壁パネルは、杉板と、マグネットシートと、木ねじ、釘、頭付きピンの何れかとに容易に分割することができる。不要になった壁パネルは、分割して、杉板を木材として再使用し、マグネットシートを再使用することができる。木ねじ、釘、頭付きピンの何れかは金属屑として処分することができる。
よって、本発明の壁パネルは、環境保全に適したパーツと言える。
【0020】
請求項4に係る発明では、マグネットは、杉板の裏に埋設または付設される磁石片である。
磁石片は、学童が工作や理科の実験で使用するコイン状の永久磁石や、柱状の永久磁石で差し支えない。
磁石片は、入手が容易で安価であるため、本発明による壁パネルは安価となる。
【0021】
請求項5に係る発明では、マグネットは、薄くて可撓性に富むマグネットシートであり、このマグネットシートに杉板が貼られている。
1枚のマグネットシートに1枚の杉板を貼ることや、1枚のマグネットシートに複数個の杉板を貼ることは差し支えない。
接着剤は入手が容易で安価であるため、本発明による壁パネルは安価となる。
【0022】
請求項6に係る発明では、複数条のスリットが刻まれている杉板において、外側スリットの溝は、内側スリットの溝より、深くした。
1枚のマグネットシートに複数個の杉板を貼るときに、接着剤は多めに塗られ勝ちである。多めに塗られると接着剤の一部が杉板と隣りの杉板との間の隙間に侵入して固まる。この固まりが、杉板の木口を塞ぐことになる。
本発明では、外側スリットを木口の代わりにした。結果、杉板の浄化性能が低下することなく維持される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明で使用する杉板の正面図である。
図2】杉板の底面図である。
図3図1の3-3線断面拡大図である。
図4】本発明に係る壁パネルの分解図である。
図5】壁パネルの正面図である。
図6】壁パネルの背面図である。
図7図6の7-7線断面図である。
図8】本発明に係る壁パネルを壁に取付ける手順を説明する図である。
図9】変更例に係る壁パネルの分解図である。
図10】変更例を説明する図である。
図11】変更例を説明する図である。
図12】変更例を説明する図である。
図13】変更例を説明する図である。
図14図13に示す変更例の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例0025】
図1に示すように、杉板20は、例えば、縦が100mmで横が300mmの横長矩形の板である。この例では、繊維21が横に延びており、この繊維21に直交(ほぼ直交を含む。)するように、縦に複数条のスリット22が刻まれている。複数条のスリット22の内、最も外側のスリット22を外側スリット22aと呼び、それ以外を内側スリット22bと呼ぶことにする。
【0026】
繊維21に直交(ほぼ直交を含む。)する外側の面が、木口24となる。なお、木口は(きぐち)や(こぐち)と読まれ、小口(こぐち)とも呼ばれる。
【0027】
図2に示すように、杉板20は、例えば、厚さが15mmであり、スリット22の溝深さは5mmである。
なお、杉板20の厚さ、縦横寸法は任意に決めることができる。また、スリット22の溝深さやスリット22の本数、ピッチは任意に決めることができる。
【0028】
図3に示すように、杉板20には、繊維(図1、符号21)と同方向に、呼吸管23が内包されている。呼吸管23は微細な管で、無数の管からなるが、図3では、理解を促すために、呼吸管23を誇張して描いた。
【0029】
複数条のスリット22は、呼吸管23の長手方向に並ぶように設けられている。
また、便宜的に呼吸管23は、おもて面から裏面に向かって順に、第1管23a、第2管23b~第6管23fと呼ぶことにする。
【0030】
スリット22で切断されていない第3管23c~第6管23fは、杉板20の木口24から空気が出入りする。
【0031】
対して、第1管23a及び第2管23bは、外側スリット22aとその隣りの内側スリット22bとの間で空気が流通する。
スリット22a、22bにより、空気の出入口が飛躍的に増えたため、空気の浄化性能が高まる。
【0032】
すなわち、図2において、仮に、スリット22、22a、22bが刻まれていないとすると、左右の木口24のみが空気の出入口となる。
対して、スリット22、22a、22bを刻むと、スリット22、22a、22bの溝の左壁と右壁が、新たな木口になる。そのため、図2の形態であれば、空気の出入口が飛躍的に増える。
【0033】
図4に示すように、杉板20の裏面に、マグネット25としてのマグネットシート26を当て、マグネットシート26の裏面からマグネットシート26を貫通させつつ連結部材30としてのコ字状の金属針31を、杉板20へ打込む。
【0034】
マグネットシート26は、ニトリルゴム(又は軟質プラスチック)にフェライト粉を混ぜて、0.5~2.0mm厚さの薄板に成形してなる。薄くて柔らかいため鋏などで容易に切断できる。フェライト粉を磁化処理するとマグネットシート26は、磁性ペイントが塗布されている壁や磁性材(単なる鉄板で可)が埋められている壁に磁気吸着する。
【0035】
コ字状の金属針31は、ステープル(staple)と呼ばれ、安価で入手が容易である。
コ字状の金属針31は、ガンタッカー、タッカー又はステープラー(stapler)と呼ばれる打込み器で打込まれる。
【0036】
すなわち、壁パネル10は、呼吸管(図3、符号23)を切断するスリット22が刻まれている杉板20と、壁に取り外し可能に磁気吸着するマグネット25と、このマグネット25を杉板20に連結する連結部材30と、からなり、マグネット25は、複数個の杉板20を載せると共に薄くて可撓性に富むマグネットシート26であり、連結部材30は、マグネットシート26の裏面から杉板20へ打込まれたコ字状の金属針31であることを特徴とする。
【0037】
壁パネル10は、図5に示すように、例えば、3枚の杉板20を有する。スリット22が縦に延びているため、空気中の汚れがスリット22に載っても脱落する。すなわち、壁パネル10は汚れにくくなる。ただし、杉板20の向きは任意である。
【0038】
図6に示すように、1枚のマグネットシート26当たり、3枚の杉板20が金属針31で連結されている。
図7に示すように、金属針31は、一対の脚部32と、これらの脚部32の基部同士を連結するブリッジ部33とからなる。脚部32はマグネットシート26を貫通して杉板20の厚さ方向途中まで打込まれているので外からは見えない。対してブリッジ部33は露出している。
【0039】
マグネットシート26はゴム又は軟質プラスチックで構成されているため、ブリッジ部33で圧縮される。結果、ブリッジ部33のほぼ半分程度がマグネットシート26に潜る。ブリッジ部33の突出量が半減する。
マグネットシート26を壁に磁気吸着させるときに、ブリッジ部33の存在が吸着作用に影響するが、ブリッジ部33の突出量が半減されているため、吸着作用への影響は軽微である。
【0040】
経年劣化などにより、壁パネル20を廃棄することがある。
そのときには、金属針31を抜く。金属針31は変形し、このままでは再利用は困難である。しかし、金属屑として再溶解、再利用が可能である。
【0041】
また、マグネットシート26には、金属針31が貫通した貫通穴が残っているが、貫通穴はごく小規模である。マグネットシート26の大部分は健全であるため、マグネットシート26の再利用は十分に可能である。
【0042】
また、杉板20には、裏面に金属針31を抜いた穴が残っているが、この穴はおもて面からは見えないため、杉板20の再利用は十分に可能である。すなわち、マグネットシート26から分離した杉板20は、汚れを落とすだけで、再利用が可能となる。
【0043】
また、杉板20やマグネットシート26に接着剤が付着していないため、仮に杉板20やマグネットシート26を焼却しても有毒なガスは発生しない。
【0044】
図8に示すように、建物の壁12に磁性ペイント13を塗布する。磁性ペイント13の代わりに、壁12に薄い鋼板を貼ってもよい。壁12は、スチール製ロッカーの壁であってもよい。
磁気吸着作用により、壁12に壁パネル10を、着脱自在に取付けることができる。
【0045】
ところで、壁12の面が平坦である他、湾曲していることがある。
図6で説明したように、杉板20は、マグネットシート26に、金属針31で点の状態で留められている。
【0046】
金属針31と、隣りの金属針31との間では、杉板20に対してマグネットシート26が離れ得る。平坦な杉板20に対して、マグネットシート26が湾曲化し得る。
結果、壁パネル10は、湾曲の壁12にも、マグネットシート26がフィットし、結果、十分な吸着力で取付け得る。
【0047】
次に本考案の変更例を説明する。
図9に示すように、連結部材30は、頭が平らな木ねじ34であってもよい。
図10(a)に示すように、木ネジ34の頭が、マグネットシート26の外面とほぼ面一(つらいち)となり、好ましい。
【0048】
または、図10(a)に示すように、連結部材30は、釘35であってもよい。釘35の頭が、マグネットシート26の外面とほぼ面一となる。
または、図10(b)に示すように、連結部材30は、頭付きピン36であってもよい。頭付きピン36の頭が、マグネットシート26の外面とほぼ面一(つらいち)となる。
【0049】
木ネジ34、釘35及び頭付きピン36は、杉材20に対して、マグネットシート26が点で連結される。点と点の間の部位で、杉材20からマグネットシート26が離れ得る。壁が曲面や波面であっても、マグネットシート26が好ましく変形し、壁にマグネットシート26が強く吸着される。
【0050】
または、図11(a)に示すように、マグネット25は、磁石片27であってもよい。
図11(b)は図11(a)のb部拡大図であり、磁石片27は、両端が面取りされた円柱又は角柱である。杉板20の裏面に凹部を設け、この凹部に接着剤37を介して磁石片27を、ほぼ埋設する。柱状の磁石片27は、学童が工作や理科の実験で使用する永久磁石が採用できる。柱状の磁石片27は入手が容易で安価である。
【0051】
または、図11(c)に示すように、杉板20の裏面に凹部を設け、この凹部に接着剤37を介して磁石片27を、埋設する。この例では、杉板20の裏面と磁石片27の面が面一(つらいち)となる。杉板20の裏面が躯体等の壁の面に接触するため、壁パネルが安定的に壁に取付けられる。
【0052】
または、図11(d)に示すように、杉板20の裏面に、凹部を設けないで、接着剤37で磁石片27を付設する。磁石片27はコイン状の永久磁石である。
【0053】
または、図12に示すように、連結部材30は、接着剤37であってもよい。
ただし、後述する図14に示すように、接着剤37の一部が、杉板20と隣りの杉板20との間の隙間38に侵入することがある。この侵入により、杉板20の木口24が塞がれると、浄化性能が低下する。
【0054】
その対策を講じた例を、次に説明する。
図13に示すように、外側スリット22aの溝を、内側スリット22bの溝より深くする。
【0055】
図14に示すように、図左の外側スリット22aと図右の外側スリット22aとが空気の出入口となって、第1管23a~第5管23eに空気が流通する。
よって、杉板20と隣りの杉板20との間の隙間38が接着剤37などで塞がれていても、所望の浄化性能を発揮させることができる。
【0056】
また、意匠や施工の都合で、杉板20と隣りの杉板20を密に並べることがある。
杉板20に隣りの杉板20を密接させ、木口24同士が塞がれても、深い外側スリット22aが木口24の代役を果たすため、所望の浄化性能が得られる。
【0057】
尚、実施例では、壁パネル10は正面視(図5)で正方形としたが、正面視で長方形、三角形、正円、楕円、多角形、その他の形状にすることは差し支えない。
【0058】
また、スリット22は、直線の他、くの字、Wの字、蛇行、円弧の何れであってもよい。
また、壁パネル10は、狭義の躯体壁に限定されず、天井や床に取付けることは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、躯体等の壁に取付ける壁パネルに好適である。
【符号の説明】
【0060】
10…壁パネル、12…壁、20…杉板、22…スリット、22a…外側スリット、22b…内側スリット、23…呼吸管、24…木口、25…マグネット、26…マグネットシート、27…磁石片、30…連結部材、31…コ字状の金属針、34…木ねじ、35…釘、36…頭付きピン、37…接着剤。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14