(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069371
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】回転ツール、接合装置及び接合方法
(51)【国際特許分類】
B23K 20/12 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
B23K20/12 344
B23K20/12 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181165
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 伸城
(72)【発明者】
【氏名】小泉 慎吾
【テーマコード(参考)】
4E167
【Fターム(参考)】
4E167AA06
4E167AA07
4E167AA08
4E167BG08
4E167BG09
4E167BG11
(57)【要約】
【課題】マシニングセンタに装着した状態で荷重制御を行える回転ツール、接合装置及び接合方法を提供する。
【解決手段】被接合部材の摩擦攪拌接合を行う接合装置に用いられる回転ツール1であって、本体部10、被接合部材に対する摩擦攪拌を行う攪拌ピン50、及び被接合部材を押圧するショルダ60、を備え、攪拌ピン50とショルダ60は、アセンブリ70を構成し、アセンブリ70を攪拌ピン50の先端側に向けて付勢する第一弾性部材51、及びアセンブリ70が回転軸の軸方向の基端側へ移動することを規制する第一規制部材100、をさらに備え、第一規制部材100は、アセンブリの移動に伴って第一弾性部材51に生じる変形量が、第一弾性部材51の最大許容量を超えないように、アセンブリ70の移動を規制する、ことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被接合部材の摩擦攪拌接合を行う接合装置に用いられる回転ツールであって、
前記接合装置に取り付けて固定される固定部と、前記接合装置からの回転力を伝達する回転軸とを有する本体部、
前記本体部からの回転力を受けて回転可能に、且つ前記回転軸の軸方向に対して移動可能に前記本体部に配設され、前記被接合部材に挿入されて前記被接合部材に対する摩擦攪拌を行う攪拌ピン、及び
前記攪拌ピンとは別体に構成され、前記本体部からの回転力を受けず、前記回転軸の軸方向に対して移動可能に前記本体部に設けられ、前記被接合部材に接触した状態で前記被接合部材を押圧するショルダ、を備え、
前記攪拌ピンと前記ショルダは、相対回転可能であるとともに一体的に前記回転軸の軸方向に対して移動するように取り付けられてアセンブリを構成し、
前記回転軸の軸方向に対して、前記アセンブリを前記攪拌ピンの先端側に向けて付勢する第一弾性部材、及び
前記アセンブリが前記回転軸の軸方向の基端側へ移動することを規制する第一規制部材、をさらに備え、
前記第一規制部材は、前記アセンブリの移動に伴って前記第一弾性部材に生じる変形量が、前記第一弾性部材の最大許容量を超えないように、前記アセンブリの移動を規制する、
ことを特徴とする回転ツール。
【請求項2】
前記本体部は、前記回転軸に取り付けられた中空筒状のホルダと、前記ホルダの中心部に回転軸方向にスライド可能に収容されるとともに前記ホルダと同期回転するスライド軸とをさらに有し、
前記アセンブリは、前記スライド軸の先端に設けられ、
前記スライド軸は、前記第一弾性部材を介して前記アセンブリの先端側に向けて付勢されており、
前記第一規制部材は、前記スライド軸が前記回転軸の軸方向の基端側へ移動することを規制する、
請求項1に記載の回転ツール。
【請求項3】
前記回転軸の軸方向に対して前記ショルダを前記攪拌ピンの先端側に向けて付勢する第二弾性部材、及び
前記ショルダが前記回転軸の軸方向の基端側へ移動することを規制する第二規制部材、をさらに備え、
前記第二規制部材は、前記ショルダの移動に伴って前記第二弾性部材に生じる変形量が、前記第二弾性部材の最大許容量を超えないように、前記ショルダの移動を規制する、
請求項1又は2に記載の回転ツール。
【請求項4】
前記第一規制部材は、前記ホルダ内に設けられており、
前記スライド軸の移動に伴い、前記スライド軸の基端部及び前記ホルダの基端側の底部と前記第一規制部材とが接触することで、前記スライド軸の移動が規制される、
請求項2に記載の回転ツール。
【請求項5】
前記第一規制部材は、前記ホルダの基端側の底部に設けられており、
前記スライド軸の移動に伴い、前記スライド軸の基端部と前記第一規制部材とが接触することで、前記スライド軸の移動が規制される、
請求項2に記載の回転ツール。
【請求項6】
前記第一規制部材は、前記スライド軸の基端部に設けられており、
前記スライド軸の移動に伴い、前記ホルダの基端側の底部と前記第一規制部材とが接触することで、前記スライド軸の移動が規制される、
請求項2に記載の回転ツール。
【請求項7】
前記第一規制部材は、前記スライド軸の外周面に設けられており、
前記スライド軸の移動に伴い、前記第一規制部材と前記ホルダの中間部が接触することで、前記スライド軸の移動が規制される、
請求項2に記載の回転ツール。
【請求項8】
前記第一規制部材は、前記スライド軸の外周面に設けられており、
前記スライド軸の移動に伴い、前記第一規制部材と前記ホルダの先端部とが接触することで、前記スライド軸の移動が規制される、
請求項2に記載の回転ツール。
【請求項9】
前記第一規制部材は、前記スライド軸の先端部に設けられており、
前記スライド軸の移動に伴い、前記第一規制部材と前記ホルダの先端部とが接触することで、前記スライド軸の移動が規制される、
請求項2に記載の回転ツール。
【請求項10】
前記攪拌ピンが、前記第一規制部材であり、
前記スライド軸の移動に伴い、前記攪拌ピンと前記ホルダの先端部とが接触することで、前記スライド軸の移動が規制される、
請求項2に記載の回転ツール。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の回転ツールを備える接合装置であって、
前記回転ツールの前記回転軸に伝達する回転力を出力する動力手段、及び
前記回転ツールの前記固定部を保持して、前記回転ツールの位置制御を行う位置制御手段を備え、
前記位置制御手段によって前記回転ツールを前記被接合部材に対して所定の高さ位置となるように移動させて、前記被接合部材に前記攪拌ピンを挿入して、前記被接合部材に対する摩擦攪拌接合を行う、
ことを特徴とする接合装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の回転ツールを、前記被接合部材に対して所定の高さ位置となるように移動させて、前記被接合部材に前記攪拌ピンを挿入して、前記被接合部材に対する摩擦攪拌接合を行う、
ことを特徴とする接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦攪拌接合に用いられる回転ツール、接合装置及び接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
摩擦攪拌接合を行うための接合装置として、被接合部材に対して回転ツールの押込み量を制御するために、荷重制御を行うものと、位置制御を行うものが知られている。荷重制御は、主として、ロボット(ロボットアーム)による接合装置で用いられ、位置制御は、主として、マシニングセンタ(MC)による接合装置で用いられていた。
【0003】
荷重制御を行う接合装置としては、例えば特許文献1に開示されたものがあった。特許文献1の接合装置は、接合条件に応じて好適な精度で良好な接合品質を得るために、ショルダ部材またはピン部材の被接合物への圧入深さを制御するものである。かかる接合装置は、圧入深さの制御を行うために、圧入基準点設定部で設定された圧入基準点に基づいて、ショルダ部材に対するピン部材の相対位置を制御する。接合装置は、前記制御を行うために、加圧力検出部、圧力基準点設定部や工具駆動制御部等を備えている。また、工具駆動部は、回転駆動部、ピン駆動部、ショルダ駆動部及びクランプ駆動部(弾性部材:コイルスプリング)等を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の接合装置は、荷重制御を行うため、構造が複雑で高価である。そのため、近年では、位置制御のみを行える比較的安価なMCに装着可能で且つ荷重制御を行える回転ツールが求められている。
【0006】
このような観点から、本発明は、マシニングセンタに装着した状態で荷重制御を行える回転ツール、接合装置及び接合方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明は、被接合部材の摩擦攪拌接合を行う接合装置に用いられる回転ツールであって、前記接合装置に取り付けて固定される固定部と、前記接合装置からの回転力を伝達する回転軸とを有する本体部、前記本体部からの回転力を受けて回転可能に、且つ前記回転軸の軸方向に対して移動可能に前記本体部に配設され、前記被接合部材に挿入されて前記被接合部材に対する摩擦攪拌を行う攪拌ピン、及び前記攪拌ピンとは別体に構成され、前記本体部からの回転力を受けず、前記回転軸の軸方向に対して移動可能に前記本体部に設けられ、前記被接合部材に接触した状態で前記被接合部材を押圧するショルダ、を備え、前記攪拌ピンと前記ショルダは、相対回転可能であるとともに一体的に前記回転軸の軸方向に対して移動するように取り付けられてアセンブリを構成し、
前記回転軸の軸方向に対して、前記アセンブリを前記攪拌ピンの先端側に向けて付勢する第一弾性部材、及び前記アセンブリが前記回転軸の軸方向の基端側へ移動することを規制する第一規制部材、をさらに備え、前記第一規制部材は、前記アセンブリの移動に伴って前記第一弾性部材に生じる変形量が、前記第一弾性部材の最大許容量を超えないように、前記アセンブリの移動を規制する、ことを特徴とする。
【0008】
また、前記本体部は、前記回転軸に取り付けられた中空筒状のホルダと、前記ホルダの中心部に回転軸方向にスライド可能に収容されるとともに前記ホルダと同期回転するスライド軸とをさらに有し、前記アセンブリは、前記スライド軸の先端に設けられ、前記スライド軸は、前記第一弾性部材を介して前記アセンブリの先端側に向けて付勢されており、前記第一規制部材は、前記スライド軸が前記回転軸の軸方向の基端側へ移動することを規制することが好ましい。
【0009】
また、前記回転軸の軸方向に対して前記ショルダを前記攪拌ピンの先端側に向けて付勢する第二弾性部材、及び前記ショルダが前記回転軸の軸方向の基端側へ移動することを規制する第二規制部材、をさらに備え、前記第二規制部材は、前記ショルダの移動に伴って前記第二弾性部材に生じる変形量が、前記第二弾性部材の最大許容量を超えないように、前記ショルダの移動を規制することが好ましい。
【0010】
また、前記第一規制部材は、前記ホルダ内に設けられており、前記スライド軸の移動に伴い、前記スライド軸の基端部及び前記ホルダの基端側の底部と前記第一規制部材とが接触することで、前記スライド軸の移動が規制されることが好ましい。
【0011】
また、前記第一規制部材は、前記ホルダの基端側の底部に設けられており、前記スライド軸の移動に伴い、前記スライド軸の基端部と前記第一規制部材とが接触することで、前記スライド軸の移動が規制されることが好ましい。
【0012】
また、前記第一規制部材は、前記スライド軸の基端部に設けられており、前記スライド軸の移動に伴い、前記ホルダの基端側の底部と前記第一規制部材とが接触することで、前記スライド軸の移動が規制されることが好ましい。
【0013】
また、前記第一規制部材は、前記スライド軸の外周面に設けられており、前記スライド軸の移動に伴い、前記第一規制部材と前記ホルダの中間部が接触することで、前記スライド軸の移動が規制されることが好ましい。
【0014】
また、前記第一規制部材は、前記スライド軸の外周面に設けられており、前記スライド軸の移動に伴い、前記第一規制部材と前記ホルダの先端部とが接触することで、前記スライド軸の移動が規制されることが好ましい。
【0015】
また、前記第一規制部材は、前記スライド軸の先端部に設けられており、前記スライド軸の移動に伴い、前記第一規制部材と前記ホルダの先端部とが接触することで、前記スライド軸の移動が規制されることが好ましい。
【0016】
また、前記攪拌ピンが、前記第一規制部材であり、前記スライド軸の移動に伴い、前記攪拌ピンと前記ホルダの先端部とが接触することで、前記スライド軸の移動が規制されることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の回転ツールを備える接合装置であって、前記回転ツールの前記回転軸に伝達する回転力を出力する動力手段、及び前記回転ツールの前記固定部を保持して、前記回転ツールの位置制御を行う位置制御手段を備え、前記位置制御手段によって前記回転ツールを前記被接合部材に対して所定の高さ位置となるように移動させて、前記被接合部材に前記攪拌ピンを挿入して、前記被接合部材に対する摩擦攪拌接合を行うことを特徴とする。
【0018】
また、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の回転ツールを、前記被接合部材に対して所定の高さ位置となるように移動させて、前記被接合部材に前記攪拌ピンを挿入して、前記被接合部材に対する摩擦攪拌接合を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る回転ツール、接合装置及び接合方法によれば、弾性部材を利用した荷重制御を行うことができる。また、本発明に係る回転ツール、接合装置及び接合方法によれば、比較的硬い被接合部材に対しても、弾性部材を利用しながら攪拌ピンを挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る回転ツールを示す断面図である。
【
図2】第一実施形態に係る回転ツールが最も収縮した状態を示す断面図である。
【
図3】第一実施形態に係る回転ツールを示す斜視図である。
【
図4】第一実施形態に係る回転ツールを示す分解斜視図である。
【
図5】第一実施形態に係る回転ツールの摩擦攪拌接合時の各部の動作を示す断面図である。
【
図6】第一実施形態に係る回転ツールの摩擦攪拌接合時の時間と発生反力を示すグラフである。
【
図7】本発明の第一実施形態の第一変形例に係る回転ツールを示す斜視図である。
【
図8】本発明の第一実施形態の第二変形例に係る回転ツールを示す断面図である。
【
図9】本発明の第二実施形態に係る回転ツールを示す断面図である。
【
図10】本発明の第三実施形態に係る回転ツールを示す断面図である。
【
図11】本発明の第四実施形態に係る回転ツールを示す断面図である。
【
図12】第四実施形態に係る回転ツールが最も収縮した状態を示す断面図である。
【
図13】本発明の第五実施形態に係る回転ツールを示す断面図である。
【
図14】第五実施形態に係る回転ツールが最も収縮した状態を示す断面図である。
【
図15】本発明の第六実施形態に係る回転ツールを示す断面図である。
【
図16】第六実施形態に係る回転ツールが最も収縮した状態を示す断面図である。
【
図17】本発明の第七実施形態に係る回転ツールを示す断面図である。
【
図18】第七実施形態に係る回転ツールが最も収縮した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。本発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。また、実施形態における構成要素は、一部又は全部を適宜組み合わせることができる。さらに、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであり、表された各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。
【0022】
[1.第一実施形態]
[1-1.回転ツール]
まず、本実施形態に係る回転ツールの構成を説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る回転ツール1は、被接合部材2(
図5参照)の摩擦攪拌接合を行う接合装置3(
図1参照)に用いられるものであって、被接合部材2の突合せ部に回転しながら挿入される。かかる回転ツール1は、本体部10、攪拌ピン50、ショルダ60、第一弾性部材51、及び第一規制部材100を備えている。攪拌ピン50とショルダ60は、相対回転可能であるとともに一体的に回転軸の軸方向に対して移動するように取り付けられて、アセンブリ70を構成している。また、回転ツール1は、保持部80(
図3参照)を備えている。
【0023】
<本体部>
本体部10は、例えばマシニングセンタ等の接合装置3に固定される部分であって、固定部11と、回転軸12とを備えている。固定部11は、接合装置3に取り付けられて固定される部位であり、円筒形状を呈している。固定部11はチャック機構であり、接合装置3に設けられた対となるチャック機構と協働することで、固定部11を接合装置に対して着脱可能に固定することができる。チャック機構としては、例えば、固定部11に設けられた溝と、接合装置3に設けられて、固定部11側の溝に嵌合して挟み付ける爪とが挙げられる。固定部11の接合装置3に取り付けられる側とは他端側(
図1中、下側)に、回転軸12が連結して設けられている。回転軸12は、円柱形状を呈している。回転軸12は、接合装置3からの回転力を攪拌ピン50に伝達する部位であり、固定部11を介して接合装置3の回転軸(図示せず)に連結されている。
【0024】
図2及び
図3にも示すように、本体部10は、ホルダ21と、スライド軸31とをさらに備えている。
【0025】
<ホルダ>
ホルダ21は、回転軸12に取り付けられ、回転軸12と同期回転し、スライド軸31及び攪拌ピン50を支持する部位である。ホルダ21は、上部が閉じた有底円筒形状(中空筒状)を呈しており、内部の中空部が、スライド軸31が挿入される収納凹部22となっている。収納凹部22は、円柱形状を呈しており、回転軸12の軸方向の下側(
図1中、下側)が開口している。ホルダ21の円筒胴部には、キー溝23が形成されている。キー溝23は、回転軸12の軸方向(
図1中、上下方向)に沿って長尺の長円形に形成されており、ホルダ21の外周面から内周面まで貫通している。なお、キー溝23は、円筒胴部を貫通していなくてもよく、円筒胴部の内周面に溝状に形成されていてもよい。キー溝23は、円筒胴部の円周方向に180°間隔で配置され、互いに対向して2か所に形成されている。なお、キー溝23の個数は、2に限定されるものではなく、1であってもよいし、3以上であってもよい。
【0026】
<スライド軸>
スライド軸31は、ホルダ21の中心部の収納凹部22に、回転軸方向(
図1中、上下方向)にスライド可能に収納されるとともに、ホルダ21と同期回転(共回り)する部位である。スライド軸31は、円柱形状を呈しており、収納凹部22に収納可能な外径を有している。スライド軸31の外周面には、外側に突出するキー32が設けられている。キー32は、スライド軸31の基端部(回転軸12側の端部:
図1中、上端部)で、キー溝23に相当する位置に固定されており、キー溝23に挿入されている。キー32は、回転軸方向に長い長円形状を呈しており、キー溝23と同等の幅寸法を備えるとともに、キー溝23の長手方向寸法よりも短い長さ寸法を備えている。つまり、キー32は、キー溝23の幅方向に嵌合するとともに長手方向に移動可能である。なお、キー32の形状は、長円形状に限定されるものではなく、キー溝23と同等の幅寸法を備えていれば、円形や楕円形、長楕円、長方形等の他の形状であってもよい。スライド軸31の先端部(接合装置3から離間する側の端部:
図1中、下端部)には、攪拌ピン50が一体的に設けられている。したがって、攪拌ピン50は、第一弾性部材51によって先端側に付勢されることによって、スライド軸31の先端側(接合装置3から離間する側:
図1中、下側)に付勢される。
【0027】
<攪拌ピン>
攪拌ピン50は、本体部10からの回転力を受けて、被接合部材2に回転しつつ挿入されて被接合部材2に対する摩擦攪拌を行う部位である。攪拌ピン50は、例えば工具鋼で円柱形状に形成されている。攪拌ピン50の先端部52(
図1中、下端部)は、先端に向かうにつれて先細りになっている。攪拌ピンの先端部52の先端は、軸方向に直交する平坦面状となっている。攪拌ピン50の基端部には、拡径した鍔部53が一体形成されている。鍔部53は、スライド軸31と一体形成されており、攪拌ピン50及び鍔部53は、スライド軸31のスライド移動によって、回転軸の軸方向に移動する。鍔部53は、スライド軸31よりも大径であり、鍔部53とスライド軸31との連結部(鍔部53の基端部)には、平面視でリング状の段部54が形成されている。鍔部53は、スライド軸31の基端側(接合装置3の近い側:
図1中、上側)からの第一弾性部材51の弾性力を受ける受け部として機能する。また、鍔部53は、攪拌ピン50の先端側(
図1中、下側)に設けられるショルダ60を支持する支持部としても機能する。
【0028】
<ショルダ>
ショルダ60は、被接合部材2に接触した状態で被接合部材2を押圧する部位である。ショルダ60は、攪拌ピン50とは別体に構成され、攪拌ピン50とは相対回転可能に設けられて、本体部10からの回転力を受けないようになっている。ショルダ60は、攪拌ピン50と回転軸12の軸方向に対して相対移動不可となっており、攪拌ピン50と共に軸方向に移動する。つまり、ショルダ60は、ホルダ21に対しては軸方向に移動可能になっている。具体的には、ショルダ60は、例えば工具鋼にて形成されている。ショルダ60は、円筒形状を呈しており、攪拌ピン50を囲うように同軸状に配置されている。つまり、ショルダ60の中空部61には、攪拌ピン50が挿入されている。中空部61の基端部(
図1中、上端部)は開口しており、攪拌ピン50とショルダ60の間にベアリング63が介設されている。ベアリング63は、攪拌ピン50を囲うように配置されている。これによって、ショルダ60は、攪拌ピン50に対して相対回転可能で且つ軸方向に相対移動不能になっている。
【0029】
ショルダ60の先端部(先端面)は、攪拌ピン50の先端部52のテーパ面の基端部と同一高さとなっている。つまり、ショルダ60の先端面から攪拌ピン50の先端部52が先端側に向かって突出している。ショルダ60は、スライド軸31のスライド移動によって、スライド軸31に一体的に連結された攪拌ピン50とともに回転軸12の軸方向に移動する。
【0030】
以上のように、攪拌ピン50とショルダ60は、一体化され、共に回転軸12の軸方向に移動するアセンブリ70となっている。つまり、アセンブリ70は、スライド軸31の先端に設けられている。
【0031】
<第一弾性部材>
第一弾性部材51は、回転軸の軸方向に対して攪拌ピン50とショルダ60とを備えたアセンブリ70を先端側に向けて付勢する部位である。第一弾性部材51は、例えばコイルばねにて構成されており、ホルダ21の内部に収容され、スライド軸31の基端部31bと、ホルダ21の収納凹部22の底部22aとの間に装着されている。第一弾性部材51は、アセンブリ70側から受ける力に対して、アセンブリ70を先端側に向けて付勢できるようになっている。
【0032】
第一弾性部材51の弾性は、アルミニウム、銅、マグネシウム、及びこれらの合金からなる群より選ばれる少なくとも一つの材料からなる被接合部材2に対して、攪拌ピン50を、所定の押し込み荷重で挿入する場合に、第一弾性部材51による攪拌ピン50の全可動範囲内で、所定の範囲で攪拌ピン50が変位して挿入されるように設定されている。
【0033】
例えば、第一弾性部材51がコイルネばねの場合であって、第一弾性部材51に加わる荷重を100kg~5tで挿入する場合に、第一弾性部材51の自由長に対して、第一弾性部材51のたわみ量が0~30%の範囲で変形した状態で、攪拌ピン50が被接合部材2に挿入されるとともに、ショルダ60が被接合部材2を押圧するように設定されている。これにより、被接合部材2に対して一定の高さで攪拌ピン50を押し込んだ場合に、被接合部材2の高さが変化した場合にも、被接合部材の変化に合わせて第一弾性部材51が変形することで、攪拌ピン50の挿入量を一定に保ちやすくなる。
【0034】
なお、第一弾性部材51は、コイルばねに限定されるものではなく、板ばね、皿ばね等の金属ばねや、ゴム、高分子樹脂、スポンジ状樹脂等の高分子弾性体(エラストマー)であってもよい。さらに第一弾性部材51は、空気圧、ガス圧や油圧を用いた流体ばねや、磁力や電磁力を用いた磁性ばねであってもよい。
【0035】
第一弾性部材51は、接合条件を考慮して、攪拌ピン50が所定の深さにまで挿入される変形量と弾性率との関係を満たすように設定すればよい。また、第一弾性部材51は、接合条件を考慮して、被接合部材2に押し付けられたショルダ60が、被接合部材2と接触した状態で、被接合部材2に挿入されずに、被接合部材2を押さえ付けることができる変形量と弾性率との関係を満たすように設定すればよい。第一弾性部材51の設定に影響を与える接合条件としては、例えば、被接合部材2の材質や接合部の形状といった接合部材の条件や、攪拌ピン50の挿入深さ、回転ツール1の形状、回転速度、移動速度といった接合態様が挙げられる。
【0036】
なお、ショルダ60は、少なくとも一部が被接合部材2と接触していればよく、被接合部材2の表面形状との関係に応じて被接合部材2との間に多少の空間が生じても良いが、摩擦攪拌接合によって溢れ出した金属材料を押さえ付けてバリの発生を防ぐことができるように、被接合部材2と隙間なく接触することが好ましい。また、ショルダ60は、被接合部材2に多少は挿入されてもよいが、接合後に被接合部材2とショルダ60との接触による凹部が生じない程度に、被接合部材2に深く挿入されないことが好ましい。
【0037】
<第一規制部材>
第一規制部材(第一遊嵌規制部材)100は、
図1等に示すように、攪拌ピン50が、所定の範囲を超えて回転軸12の基端側へ移動することを規制する部材である。第一規制部材100は、本実施形態では、ホルダ21の内部において第一弾性部材51の中空部に遊嵌状態で配置されている。第一規制部材100は、摩擦攪拌接合時の反力に耐え得るように、金属、樹脂、ゴム等であって比較的硬質の材料で形成されている。第一規制部材100は、本実施形態では、円柱状を呈するが、配置場所の形状に合わせて適宜形成すればよい。第一規制部材100は、攪拌ピン50の移動に伴って第一弾性部材51に生じる変形量が、第一弾性部材51の最大たわみ量(最大許容量)を超えないように攪拌ピン50の移動を規制する。
【0038】
例えば、本実施形態に係る第一弾性部材51の最大たわみ量は、第一弾性部材51の自由長に対して30%変形したときに設定している。最大たわみ量とは、第一弾性部材51の弾性力を発現する際に最も圧縮した量を意味する。最大たわみ量を超えると、第一弾性部材51の弾性力が性能通りに発揮しなかったり、想定よりも早期に破損したりする。
【0039】
図2に示すように、第一規制部材100は、本実施形態では、第一弾性部材51の自由長に対して、第一弾性部材51のたわみ量が30%となった場合に、第一規制部材100の先端部(先端面)100aがスライド軸31の基端部31bに当接するとともに、基端部(基端面)100bが底部22aに当接する。これにより、第一弾性部材51が最大たわみ量を超えて変形することを防ぐことができる。第一弾性部材51の最大たわみ量は、第一弾性部材51及び第一規制部材100に応じて適宜設定することができる。第一弾性部材51の最大たわみ量は、例えば、25%としてもよく、20%としてもよく、15%としてもよく、10%としてもよく、5%としてもよい。
【0040】
なお、本実施形態では、第一弾性部材51を用いているため、「最大たわみ量」とした。また、前記したように、例えば、第一弾性部材を他の部材(空気圧、ガス圧や油圧を用いた流体ばねや、磁力や電磁力を用いた磁性ばね)を用いた場合は、その量を超えると、弾性力が発現しなかったり、弾性部材が破損したりする量を「最大許容量」と定義する。
【0041】
また、第一規制部材100は、本実施形態では、金属等の固体とし、接触させることで攪拌ピン50の移動を規制したが、例えば、空気圧、ガス圧や油圧を用いた流体ばねや、磁力や電磁力を用いた磁性ばねで非接触により攪拌ピン50の移動を規制してもよい。
【0042】
また、第一規制部材100は、アセンブリ70の移動を規制するものであれば、その形状や配置は限定されない。例えば、第一規制部材100は、本体部10や攪拌ピン50の一部が第一規制部材100として機能するものであってもよく、第一規制部材100が本体部10や攪拌ピン50と一体として形成されることで設けられるものであってもよく、第一規制部材100が本体部10や攪拌ピン50に対して別個の部材を取り付ける形で設けられるものであってもよい。
【0043】
<保持部>
保持部80は、
図3に示すように、ロッド状のアーム状の部材であって、先端部がショルダ60の外周面に固定されている。保持部80の基端部は、接合装置3側の固定系に接続されており、ショルダ60を無回転状態に保持するようになっている。この保持部80は、回転ツール1に含まれている。ショルダ60は、回転軸12、並びにホルダ21及び攪拌ピン50に対して相対回転可能に設けられており、さらに、保持部80によって無回転状態に保持される。これにより、攪拌ピン50が回転する場合であっても、ショルダ60を無回転状態に保持することができる。
【0044】
[1-2.接合装置]
次に、前記構成の回転ツール1を備えた接合装置3の構成を説明する。かかる接合装置3は、回転ツール1の回転軸12に伝達する回転力を出力する動力手段(図示せず)と、回転ツール1の固定部11を保持して回転ツールの位置制御を行う位置制御手段(図示せず)と、を備えている。接合装置3は、例えば位置制御を行うマシニングセンタにて構成されており、位置制御装置は、CPU等にて構成され、予め入力された位置情報に基づいて、動力手段を作動させて回転ツール1を移動させる。動力手段は、回転ツール1をXYZの3軸方向に移動させる。
【0045】
[1-3.接合方法]
次に、本発明に係る接合方法を、
図5を参照して説明する。かかる接合方法では、本実施形態の回転ツール1を、被接合部材2に対して予め設定された所定の高さ位置となるように移動させて、被接合部材2に対して回転ツール1のショルダ60を押圧しながら、被接合部材2に回転ツール1の攪拌ピン50を挿入して、被接合部材2に対する摩擦攪拌接合を行う。
【0046】
攪拌ピン50の挿入時には、回転ツール1を被接合部材2に向けて挿入方向に近づけるにつれて、まずは攪拌ピン50の先端が被接合部材2に接触する。回転ツール1をさらに被接合部材2に近づけると、第一弾性部材51が圧縮を受けることで、被接合部材2に向けて攪拌ピン50を付勢する第一弾性部材51による弾性力が強まりながら、攪拌ピン50が被接合部材に挿入される。
【0047】
回転ツール1をさらに被接合部材2に近づけると、ショルダ60が被接合部材2に接触する。第一弾性部材51が圧縮を受けることで、被接合部材2に向けて攪拌ピン50及びショルダ60を付勢する第一弾性部材51による弾性力がより強まりながら、ショルダ60が被接合部材2に押し付けられる。このとき、第一弾性部材51のたわみ量が最大たわみ量を超えないように、第一弾性部材51の変形による余力を残した状態で、攪拌ピン50が被接合部材2に挿入されるとともに、ショルダ60を被接合部材2に押圧することができるように第一弾性部材51及び接合条件が設定されている。あるいは、第一弾性部材51のたわみ量が最大たわみ量を超えないように、第一規制部材100によってアセンブリ70の移動が規制された状態で、攪拌ピン50が被接合部材2に押圧されることによって、攪拌ピン50が被接合部材2に挿入される。また、ショルダ60が、被接合部材2と接触した状態で、被接合部材2に挿入されずに、被接合部材2を押さえ付けることができるように第一弾性部材51及び接合条件が設定されている。
【0048】
回転ツール1による接合中は、
図5中、左側に示すように、攪拌ピン50とショルダ60を備えたアセンブリ70が第一弾性部材51によって先端側に向けて付勢されている。これにより、被接合部材2の高さが設定値に対して誤差が無い場合は、
図5中、左側に示すように、攪拌ピン50の先端部52が、所望の深さで被接合部材2に押し込まれる。また、ショルダ60は、被接合部材2に対して接触した状態で、被接合部材2に挿入されずに、被接合部材2を押さえ付けることができるようになっている。
【0049】
次に、
図5中、中央部に示すように、摩擦攪拌接合を行ううちに被接合部材2の高さが誤差によって設定値より少し高くなった場合について説明する。ここで、仮に、第一弾性部材51が存在せずに攪拌ピン50をそのまま被接合部材2に押し込んでいた場合には、被接合部材2の高さが設定値に対して誤差が無い場合と比べて、被接合部材2の高さが高くなった分だけ攪拌ピン50及びショルダ60の挿入量が大きくなる。
【0050】
これに対して、本実施形態の回転ツール1により接合を行った場合には、被接合部材2の高さが高くなったことで攪拌ピン50を含むアセンブリ70が被接合部材2からの上向きの反力を受けて押し上げられるとともに、この押し上げによって第一弾性部材51が圧縮されて、アセンブリ70が第一弾性部材51から下向きの弾性力を受けて押し下げられる。このような被接合部材2の高さの変化に伴う上向きの反力と下向きの弾性力との釣り合う位置に、攪拌ピン50及びショルダ60の位置が変更される。このときの攪拌ピン50及びショルダ60の挿入量が、被接合部材2の高さが設定値に対して誤差が無い場合の挿入量と比べて同程度となるように、第一弾性部材51が設定されている。仮に、第一弾性部材51の弾性力が弱すぎると、被接合部材2の高さの変化に伴う上向きの反力の方が大きくなり、挿入量が小さくなってしまう。一方、第一弾性部材51の弾性力が強すぎると、被接合部材2の高さの変化に伴う下向きの弾性力の方が大きくなり、挿入量が大きくなってしまう。すなわち、被接合部材2の高さが変動して高くなった場合であっても、回転ツール1では、被接合部材2の設定値の高さに合わせて設定した所望の深さで攪拌ピン50が被接合部材2に挿入されるように、第一弾性部材51が設定されている。また、被接合部材2の高さが変動して高くなった場合であっても、回転ツール1では、ショルダ60が被接合部材2に接触した状態で、被接合部材2に挿入されずに、被接合部材2を押さえ付けるように、第一弾性部材51が設定されている。
【0051】
さらに、被接合部材2の高さが設定値より低くなると、
図5中、右側に示すように、第一弾性部材51が伸張して、攪拌ピン50を含むアセンブリ70が下降する。このように、被接合部材2の高さが変動して低くなった場合であっても、回転ツール1では、被接合部材2の設定値の高さに合わせて設定した所望の深さで攪拌ピン50が被接合部材2に挿入されるように、第一弾性部材51が設定されている。また、被接合部材2の高さが変動して低くなった場合であっても、回転ツール1では、ショルダ60が被接合部材2に接触した状態で、被接合部材2に挿入されずに、被接合部材2を押さえ付けるように、第一弾性部材51が設定されている。
【0052】
以上のように、回転ツール1では、第一弾性部材51の作用によって、攪拌ピン50が被接合部材2に対して一定の深さで挿入されるので、塑性化領域が一定の深さで形成される。したがって、安定した接合品質を得ることができる。また、回転ツール1では、第一弾性部材51の作用によって、ショルダ60が被接合部材2を押圧する状態を保ちながら、攪拌ピン50を被接合部材2に挿入して摩擦攪拌を行うことで、攪拌ピン50による摩擦攪拌を受けて攪拌ピン50の挿入部位から溢れ出した金属材料をショルダ60が押さえ付けることができる。したがって、バリの発生を軽減することができる。
【0053】
[1-4.作用・効果]
本実施形態に係る回転ツール1、接合装置3及び接合方法によれば、回転軸12の軸方向に対して移動可能に設けられたアセンブリ70が、第一弾性部材51によって先端側に向けて付勢されていることによって、攪拌ピン50の先端部52を被接合部材2に挿入した際に、第一弾性部材51の弾性に応じて、攪拌ピン50が所定の深さにまで挿入される。また、アセンブリ70が、第一弾性部材51によって先端側に向けて付勢されていることによって、第一弾性部材51の弾性に応じて、ショルダ60が被接合部材2に押圧される。接合部材や接合態様といった接合条件を考慮して、第一弾性部材51を設定することで、攪拌ピン50を所望の深さに挿入させるとともに、ショルダ60によって被接合部材2を押さえ付けることができる。つまり、回転ツール1は、第一弾性部材51を用いた疑似的な荷重制御を行うことができる。
【0054】
位置制御のみを行える、例えばマシニングセンタ等の接合装置に弾性部材が無い回転ツールを装着した場合には、マシニングセンタによる設定値に基づいて回転ツール1の支持高さが一定となり、攪拌ピン50の挿入位置が略一定になる。これに対して、本実施形態の回転ツール1を用いると、マシニングセンタによる回転ツール1の支持高さが一定であっても、被接合部材2の高さの変動に応じて、第一弾性部材51が適宜伸縮して、アセンブリ70が軸方向に移動する。このように、第一弾性部材51の弾性を利用することで、攪拌ピン50の被接合部材2への挿入深さと、ショルダ60による被接合部材2への接触態様を制御できるという荷重制御が可能となる。
【0055】
また、回転ツール1は、回転軸12からの回転力を受けずに、回転軸12の軸方向に対して攪拌ピン50とは個別に移動可能に配設されて、被接合部材2を押圧するショルダ60を備えている。攪拌ピン50による摩擦攪拌を受けて攪拌ピン50の挿入部位から溢れ出した金属材料をショルダ60が押さえ付けることによって、バリの発生を軽減することができる。このようにして、ショルダ60によって、摩擦攪拌接合後の表面の仕上がりが良好になる。
【0056】
ここで、荷重制御に関して、弾性部材として例えば、圧縮コイルばねを用いて摩擦攪拌行うと、1000系の比較的に柔らかいアルミニウム合金に対しては攪拌ピンを挿入することができたが、硬いアルミニウム合金に対しては攪拌ピンを挿入することができないという問題があった。
【0057】
これは、圧縮コイルばねが、最大許容量(最大たわみ量)を超えて圧縮されるのを避ける必要があることによる。言い換えれば、圧縮コイルばねの最大たわみ量を超える程に回転ツールに荷重を加えることは困難である。すなわち、圧縮コイルばねの限度を超えるほどに圧縮することが必要となるような硬質な被接合部材に対して、簡易荷重制御を施しながら攪拌ピンを挿入することは困難である。仮に、圧縮コイルばねの最大たわみ量を超えると、ばねが早期に破損するおそれもある。
【0058】
ところで、例えば、摩擦攪拌接合の開始位置のように、被接合部材2に対して攪拌ピン50を接触させて、回転ツール1に加える荷重を増しながら挿入を進める際には、時間が経過して挿入量が増えるにつれて、発生する反力(発生反力)と摩擦熱による発熱が増加する。通常、摩擦攪拌接合では、攪拌ピン50の挿入に対して攪拌ピン50の発熱による材料の軟化が追い付かず、攪拌ピン50を所定の深さまで押込んでいる時が最も発生反力が高くなる。被接合部材2に所定の深さまで攪拌ピン50が挿入され回転ツール1の押込みが止まると、回転ツール1の挿入量に対して攪拌ピン50の発熱による材料の軟化が追い付き、回転ツール1に加える荷重を軽減することができ、発生反力を低下させることができる。このような状態は「定常状態」と称されている。
【0059】
図6は、第一実施形態に係る回転ツールの摩擦攪拌接合時の時間と発生反力を示すグラフである。点P1は、摩擦攪拌接合の開始位置において攪拌ピン50を被接合部材2に最も押し込んだ位置を示している。点P2は、摩擦攪拌接合の定常状態の開始位置を示している。点P1に至るまでは右肩上がりの直線となっており、攪拌ピン50を被接合部材2に押し込んでいる状態を示している。摩擦攪拌接合時には、攪拌ピン50を押し込むときに発生反力が徐々に大きくなってピークを向かえ(点P1)、攪拌ピン50の進行に応じて発生反力が少し低下した後、定常状態(点P2)となって発生反力は概ね一定となる。
【0060】
本実施形態に係る回転ツール1は、攪拌ピン50の軸方向の基端側への移動を規制する第一規制部材100を備えている。これにより、発生反力(荷重)が最大となる回転ツール1の挿入時や、被接合部材2の形状が大きく変化する位置においては、第一弾性部材51に生じるたわみ量が、第一弾性部材51の最大たわみ量を超えない範囲で、第一規制部材100によって攪拌ピン50の移動が規制される。したがって、被接合部材2が比較的に硬く、大きな荷重を要する場合であっても、第一弾性部材51が限度を超えて変形するのを避けることができる。これにより、比較的硬い被接合部材2に対しても、第一弾性部材51を利用しながら攪拌ピン50を挿入することができ、かつ、第一弾性部材51及び回転ツール1の破損を防ぐことができる。
【0061】
また、第一規制部材100によって規制される攪拌ピン50が第一規制部材100によって支持された状態(第一規制部材100がスライド軸31と底部22aとに当接し挟持された状態)で攪拌ピン50が被接合部材2に押圧されるとともに、接合装置によって加えられる荷重は、第一規制部材100を介して攪拌ピン50に加えられることで、被接合部材2に攪拌ピン50を挿入することができる。
【0062】
その後、定常状態では、発生反力(荷重)が軽減され、第一規制部材100による攪拌ピン50の支持が解除されて、第一規制部材100により規制されなくなった攪拌ピン50は回転軸12の軸方向への移動を行うことができるようになる。
【0063】
また、回転ツール1の大型化を防ぐために、第一弾性部材51の外径や自由長は極力小さい(短い)方が好ましい。一定の外径で、第一弾性部材51の自由長を短くすればするほど、ばね定数が大きくなるため、比較的硬い被接合部材2にも挿入しやすくなる。しかし、ばね定数を大きくすると、変化量に対する発生反力(荷重)が大きくなる傾向にあるため、ロバスト性が低くなる。つまり、ばね定数を大きくすると、第一弾性部材51によって攪拌ピン50が影響を受けやすくなるため、定常状態において攪拌ピン50の動作が安定しない(制御しづらい)という問題がある。
【0064】
この点、本実施形態によれば、第一弾性部材51のばね定数を大きくしなくても、第一規制部材100がスライド軸31の移動を規制するため、第一規制部材100を介して攪拌ピン50に力を伝えることができる。これにより、比較的硬い被接合部材2にも攪拌ピン50を挿入することができる。また、第一規制部材100を設ける分、第一弾性部材51のばね定数を大きくしなくてよいため、第一弾性部材51の設計の自由度が増すとともに、定常状態におけるロバスト性を高めることができ、攪拌ピン50を安定して制御することができる。
【0065】
本体部10は、円筒状のホルダ21と、ホルダ21の中心部に回転軸方向にスライド可能に収容されるとともにホルダ21と同期回転するスライド軸31とをさらに有し、アセンブリ70は、スライド軸31の先端に設けられている。これにより、本体部10からの回転力をアセンブリ70に伝達しつつ、アセンブリ70を回転軸方向にスライドすることができる。
【0066】
回転ツール1においては、第一弾性部材51は、ホルダ21の内部に収容され、スライド軸31の基端部31bとホルダ21の底部22aとの間に配置されている。これにより、第一弾性部材51が攪拌ピン50側から受ける力をホルダ21の底部22aによって受けることができる。したがって、スライド軸31が移動しても、第一弾性部材51が攪拌ピン50を先端側に向けて安定に付勢するため、攪拌ピン50の荷重制御の精度を高めることができる。
【0067】
また、ホルダ21にキー溝23が形成され、スライド軸31にキー32が形成されている。これにより、スライド軸31及びアセンブリ70が、ホルダ21の回転に伴って同期回転しつつ、軸方向への移動を安定した状態で許容する。したがって、攪拌ピン50及びショルダ60の動作がより一層安定する。
【0068】
ショルダ60と攪拌ピン50との間には、ベアリング63が介設されている。したがって、ショルダ60と攪拌ピン50とが安定した状態で相対回転できる。
【0069】
また、回転ツール1は、ショルダ60を無回転状態に保持する保持部80を備えているので、ショルダ60を無回転状態に保持しやすくなり、摩擦攪拌接合後の被接合部材2の表面の仕上がりがより一層良好になる。
【0070】
回転ツール1においては、第一弾性部材51は、固体ばね、流体ばね、磁力、及び電磁力から選ばれる少なくとも一つによって弾性力を付与する弾性部材である。このような構成によれば、第一弾性部材51の弾性を調整し易い。
【0071】
接合装置3は、回転ツール1、動力手段、及び位置制御手段を備えている。そして、位置制御手段によって回転ツール1を被接合部材2に対して所定の高さ位置となるように移動させて、被接合部材2に対してショルダ60を押圧しながら、被接合部材2に攪拌ピン50を挿入して、被接合部材2に対する摩擦攪拌接合を行う。接合装置3によれば、第一弾性部材51の弾性を利用することで、攪拌ピン50の被接合部材2への挿入深さと、ショルダ60による被接合部材2への接触を制御する荷重制御を行いながら摩擦攪拌接合を行うことができる。また、攪拌ピン50による摩擦攪拌を受けて攪拌ピン50の挿入部位から溢れ出した金属材料をショルダ60が押さえ付けることによってバリの発生を軽減して、摩擦攪拌接合後の表面の仕上がりが良好になる。したがって、マシニングセンタを用いても、疑似的な荷重制御が可能となるとともに、摩擦攪拌接合後の表面の仕上がりが良好になる。
【0072】
本接合方法は、回転ツール1を、被接合部材2に対して所定の高さ位置となるように移動させて、被接合部材2に対してショルダ60を押圧しながら、被接合部材2に回転する攪拌ピン50を挿入して、被接合部材2に対する摩擦攪拌接合を行う。本接合方法によれば、第一弾性部材51の弾性を利用することで、攪拌ピン50の被接合部材2への挿入深さと、ショルダ60による被接合部材2への接触を制御する荷重制御を行いながら摩擦攪拌接合を行うことができる。また、攪拌ピン50による摩擦攪拌を受けて攪拌ピン50の挿入部位から溢れ出した金属材料をショルダ60が押さえ付けることによってバリの発生を軽減して、摩擦攪拌接合後の表面の仕上がりが良好になる。
【0073】
以上説明したように、回転ツール1、接合装置3、及び接合方法によれば、位置制御のみを行うマシニングセンタに装着した状態であっても、第一弾性部材51を利用して荷重制御を行いながら摩擦攪拌接合を行うことができる。また、回転ツール1、接合装置3、及び接合方法によれば、第一規制部材100を利用することで、比較的硬い被接合部材に対しても第一弾性部材51の破損を防いで攪拌ピンを挿入するとともに、荷重制御を行いながら摩擦攪拌接合を行うことができる。
【0074】
[2.第一変形例]
次に、
図7を参照しながら、第一実施形態の第一変形例について説明する。第一変形例に係る保持部85は、
図7に示すように、鍔部53の下方に設けられたショルダ65の外形が矩形形状を呈しており、回転ツール1Aの移動軌跡に沿ってガイド部材86が設けられている。ガイド部材86は、長尺部材からなり、ショルダ65を両側から挟むようにそれぞれ配置されている。ガイド部材86は、接合装置3が備える保持部である。このような構成のショルダ65は、外周面がガイド部材86の側面に摺動しながら回転せずに移動軌跡に沿って移動する。ショルダ65の内部には、
図1のショルダ60と同様に、攪拌ピン50及びベアリング63が挿入されている。その他の構成は、
図1の回転ツール1と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0075】
[3.第二変形例]
次に、
図8を参照しながら、第一実施形態の第二変形例について説明する。前記実施形態では、ショルダ60の下端面は、攪拌ピン50に対して、回転軸の軸方向に移動不能であるが、第二変形例に係るショルダ90は、
図8に示すように、ショルダ90の下端面を軸方向に移動可能な構成となっている。具体的には、回転ツール1Bのショルダ90は、第一部材91と、第二部材92と、第二弾性部材99と、第二規制部材110と、を有している。また、攪拌ピン50とショルダ90とは一体化されて、共に回転軸12の軸方向に移動するアセンブリ75となっている。
【0076】
第一部材91は、攪拌ピン50とは相対回転可能に設けられる部位であって、例えば工具鋼にて形成されている。第一部材91は、円筒形状を呈しており、攪拌ピン50を囲うように同軸状に配置されている。第一部材91の中空部93には、攪拌ピン50が挿入されている。中空部93の基端部(
図8中、上端部)は開口しており、攪拌ピン50と第一部材91との間にベアリング63が介設されている。ベアリング63は、攪拌ピン50を囲うように配置されている。これによって、第一部材91は、攪拌ピン50に対して相対回転可能で且つ軸方向に相対移動不能になっている。
【0077】
第一部材91の先端部(
図8中、下端部)には、第一部材91の中間端面91aから先端側に突出する突出部94が形成されている。突出部94は、円筒形状を呈しており、内部に攪拌ピン50が挿通されている。突出部94は、第二部材92を接続するための部材である。突出部94の先端部には、外周面から外側に突出するキー96が設けられている。キー96は、後記する第二部材92のキー溝97に挿入される。キー96は、回転軸方向に長い長円形状を呈しており、円周方向に180°間隔で放射状に配置され、2か所に形成されている。なお、キー96の形状は、長円形状に限定されるものではなく、キー溝97と同等の幅寸法を備えていれば、円形や楕円形、長楕円、長方形等の他の形状であってもよい。
【0078】
第二部材92は、被接合部材2に接触した状態で被接合部材2を押圧する部位である。第二部材92は、突出部94に取り付けられ、第一部材91と同期回転するとともに、第一部材91に対して、回転軸12の軸方向に相対移動可能な部位である。第二部材92は、例えば工具鋼にて形成されている。第二部材92は、円筒形状を呈しており、攪拌ピン50を囲うように同軸状に配置されている。第二部材92の中空部95には、攪拌ピン50が挿入されている。中空部95の基端部(
図8中、上端部)は開口しており、突出部94の先端部が挿入されている。
【0079】
中空部95には、キー溝97が形成されている。キー溝97は、回転軸12の軸方向(
図8中、上下方向)に沿って長尺の長円形に形成されており、中空部95の内周面に溝状に形成されている。キー溝97は、突出部94のキー96に対応する位置の2か所に形成されている。キー溝97の軸方向長さは、キー96の軸方向長さより長く、第二部材92が第一部材91に対して軸方向に移動可能となっている。キー溝97の幅寸法は、キー96の幅寸法と同等であり、第二部材92が第一部材91に対して相対回転不能になっている。キー96がキー溝97の基端側に位置するときに、第二部材92の先端部(先端面)は、攪拌ピン50の先端部52のテーパ面の基端部と同一高さとなっている。つまり、第二部材92の先端面から攪拌ピン50の先端部52が先端側に向かって突出している。第二部材92は、前記位置から第一部材91側に移動することで、ショルダ90の軸方向長さが短くなる。
【0080】
第二弾性部材99は、回転軸12の軸方向に対してショルダ90の一部である第二部材92を攪拌ピン50の先端側に向けて付勢する部位である。第二弾性部材99は、例えばコイルばねにて構成されており、突出部94の外周面を囲うように配置されている。第二弾性部材99は、第一部材91の中間端面91aと第二部材92の基端部(基端面)92bとの間に装着されている。第二弾性部材99は、第二部材92から受ける力に対して、第二部材92を先端側に向けて付勢できるようになっている。
【0081】
第二弾性部材99の弾性は、アルミ、銅、マグネシウム、及びこれらの合金からなる群より選ばれる少なくとも一つの材質からなる被接合部材2に対して攪拌ピン50を所定の押し込み荷重で挿入する場合に、弾性部材による第二部材92の全可動範囲に対して所定の範囲で、第二部材92が変位して被接合部材2を押圧するように設定されている。
【0082】
例えば、第二弾性部材99がコイルネばねの場合であって、第二弾性部材99に加わる荷重を50kg~2tで挿入する場合には、第二弾性部材99の自由長に対して、第二弾性部材99のたわみ量が0~30%の範囲で変形した状態で、第二部材92が被接合部材2を押圧するように設定されている。これにより、被接合部材2に対して第二部材92が接触した状態で、第二部材92が被接合部材2に挿入されることなく、第二部材92で被接合部材2を押さえ付けやすくなる。第二弾性部材99は、第一弾性部材51よりも変形し易くなっている。
【0083】
なお、第二弾性部材99は、第一弾性部材51と同様にコイルばねに限定されるものではなく、板ばね、皿ばね等の金属ばねや、ゴム、高分子樹脂、スポンジ状樹脂等の高分子弾性体(エラストマー)であってもよい。さらに第二弾性部材99は、空気圧、ガス圧や油圧を用いた流体ばねや、磁力や電磁力を用いた磁性ばねであってもよい。
【0084】
第二弾性部材99は、接合条件を考慮して、被接合部材2に押し付けられたショルダ90が、被接合部材2と接触した状態で、被接合部材2に挿入されずに、被接合部材2を押さえ付けることができる変形量と弾性率との関係を満たすように設定すればよい。第二弾性部材99の設定に影響を与える接合条件としては、例えば、被接合部材2の材質や接合部の形状といった接合部材の条件や、攪拌ピン50の挿入深さ、回転ツール1Bの形状、回転速度、移動速度といった接合態様が挙げられる。なお、ショルダ90は、少なくとも一部が被接合部材2と接触していればよく、被接合部材2の表面形状との関係に応じて被接合部材2との間に多少の空間が生じても良いが、摩擦攪拌接合によって溢れ出した金属材料を押さえ付けてバリの発生を防ぐことができるように、被接合部材2と隙間なく接触することが好ましい。また、ショルダ90は、被接合部材2に多少は挿入されてもよいが、接合後に被接合部材2とショルダ90との接触による凹部が生じない程度に、被接合部材2に深く挿入されないことが好ましい。
【0085】
第二規制部材110は、
図8に示すように、第一部材91に対して第二部材92が所定の範囲を超えて回転軸12の基端側へ移動することを規制する部材である。第二規制部材110は、本実施形態では、第二部材92の基端部92bに固定されている。第二規制部材110の形状は特に制限されないが、本実施形態では円筒状を呈する。第二規制部材110は、摩擦攪拌接合時の反力に耐え得るように、金属、樹脂、ゴム等であって比較的硬質の材料で形成されている。第二規制部材110は、第二部材92の移動に伴って第二弾性部材99に生じる変形量が、第二弾性部材99の最大たわみ量(最大許容量)を超えないように第二部材92の軸方向の移動を規制する。
【0086】
このような構成によれば、ショルダ90の先端面と攪拌ピン50との相対移動が可能となり、第二弾性部材99によってショルダ90の荷重制御が可能となる。したがって、ショルダ90の荷重制御の精度をより一層高めることができる。さらに、本変形例のショルダ90では、図示しない保持部が第一部材91の外周面に固定されており、保持部によってショルダ90及び第二部材92を無回転状態に保持するようになっていてもよい。
【0087】
また、本実施形態に係る回転ツール1Bは、第一部材91に対して第二部材92の基端側への移動を規制する第二規制部材110を備えている。より詳しくは、被接合部材2によって第二部材92を介して第二弾性部材99が押された際に、第二弾性部材99のたわみ量が最大たわみ量に達するまでに、第二規制部材110が第一部材91の中間端面91aに当接する。これにより、発生反力(荷重)が最大となる回転ツール1Bの挿入時や、被接合部材2の形状が大きく変化する位置においては、第二弾性部材99に生じる変形量が、第二弾性部材99の最大たわみ量を超えない範囲で、第二規制部材110によって第二部材92の移動が規制される。したがって、被接合部材2が比較的に硬く、大きな荷重を要する場合であっても、第二弾性部材99が限度を超えて変形するのを避けることができる。これにより、比較的硬い被接合部材2に対してショルダ90で押圧することができ、かつ、回転ツール1Bの破損を防ぐことができる。
【0088】
また、第二規制部材110によって規制される第二部材92(ショルダ90)が第二規制部材110によって支持された状態(第二規制部材110が第一部材91と第二部材92とに当接し挟持された状態)で第二部材92が被接合部材2に押圧されるとともに、接合装置によって加えられる荷重は、第二規制部材110を介して第二部材92に加えられることで、被接合部材2を第二部材92で押圧することができる。
【0089】
その後、定常状態では、発生反力(荷重)が軽減され、第二規制部材110による第二部材92の支持が解除されて、第二規制部材110により規制されなくなった第二部材92は軸方向への移動を行うことができるようになる。
このとき、第二部材92が第二弾性部材99によって先端側に向けて付勢されていることによって、被接合部材2が第二部材92に押圧される。つまり、被接合部材2や接合態様といった接合条件を考慮して、第二弾性部材99を設定することで、第二部材92を所望の応力で押圧させる、第二弾性部材99を用いた疑似的な荷重制御を行うことができる。
【0090】
また、回転ツール1Bの大型化を防ぐために、第二弾性部材99の外径や自由長は極力小さい(短い)方が好ましい。一定の外径で、第二弾性部材99の自由長を短くすればするほど、ばね定数が大きくなるため、比較的硬い被接合部材2にも挿入しやすくなる。しかし、ばね定数を大きくすると、変化量に対する発生反力(荷重)が大きくなるため、ロバスト性が低くなる。つまり、ばね定数を大きくすると、第二弾性部材99によって第二部材92が影響を受けやすくなるため、定常状態において第二部材92の動作が安定しない(制御しづらい)という問題がある。
【0091】
この点、本実施形態によれば、第二弾性部材99のばね定数を大きくしなくても、第二規制部材110が第二部材92の移動を規制するため、第二規制部材110を介して第二部材92に力を伝えることができる。これにより、比較的硬い被接合部材2にも第二部材92を押圧することができる。また、第二規制部材110を設ける分、第二弾性部材99のばね定数を大きくしなくてよいため、第二弾性部材99の設計の自由度が増すとともに、定常状態におけるロバスト性を高めることができ、第二部材92を安定して制御することができる。
【0092】
なお、第二変形例については前記した構成に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、第二変形例では、第二規制部材110を第二部材92に設けたが、第二規制部材110を第一部材91の中間端面91aに設けてもよい。第二弾性部材99が最大たわみ量に達するまでに、第二規制部材110と、第二部材92の基端部92bとが当接することで、第二弾性部材99が最大たわみ量を超えて変形するのを防ぐことができる。また、第二規制部材110をリング状とし、第一部材91と第二部材92の間に遊嵌させてもよい。
【0093】
また、第二変形例では、第二規制部材110を第二部材92に設けたが、第二規制部材110を第二部材92の中空部95の底部95aに設けてもよい。第二弾性部材99が最大たわみ量に達するまでに、第二規制部材110と、突出部94とが当接することで、第二弾性部材99が最大たわみ量を超えて変形するのを防ぐことができる。
【0094】
また、第二変形例では、第二規制部材110を第二部材92に設けたが、第二規制部材110を突出部94の端部(下端部)に設けてもよい。第二弾性部材99が最大たわみ量に達するまでに、第二規制部110と中空部95の底部95aとが当接することで、第二弾性部材99が最大たわみ量を超えて変形するのを防ぐことができる。
【0095】
また、第二変形例では、第二規制部材110を第二部材92に設けたが、第二規制部材110を突出部94の先端側の外周面に設けてもよい。また、第二部材92の内周面に第二規制部材110の軸方向の移動を許容する溝部を設けてもよい。第二弾性部材99が最大たわみ量に達するまでに、第二規制部110と溝部の溝壁とが当接することで、第二弾性部材99が最大たわみ量を超えて変形するのを防ぐことができる。なお、キー溝97とキー96とによって、第二部材92の溝部と第二弾性部材99とを実現してもよい。
【0096】
また、第二変形例では、第二規制部材110を第二部材92に設けたが、第二規制部材110を突出部94の基端側の外周面(側面部)に設けてもよい。第二弾性部材99が最大たわみ量に達するまでに、第二規制部110と第二部材92の基端部92bとが当接することで、第二弾性部材99が最大たわみ量を超えて変形するのを防ぐことができる。
【0097】
[4.第二実施形態]
次に、
図9を参照しながら、第二実施形態に係る回転ツール1Cについて説明する。第二実施形態に係る回転ツール1Cは、ホルダ21とスライド軸31とを有する本体部10、攪拌ピン50、第一弾性部材51、及び第一規制部材100Cを備えている。基本的な構成は、前記した実施形態と同じであるため、同じ符号を付して説明を省略する。
【0098】
本実施形態に係る第一規制部材(第一基端側固定規制部材)100Cは、ホルダ21の底部22aに固定されて設けられている。つまり、第一規制部材100Cの基端部100Cbと底部22aとが常に接続されている。具体的な図示は省略するが、
図2を参照するように、第一弾性部材51が最大たわみ量に達するまでに、第一規制部材100Cの先端部100Caとスライド軸31の基端部31bとが当接し、スライド軸31及び攪拌ピン50(アセンブリ70)の基端側への移動を規制することができる。
【0099】
本実施形態によっても、第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。さらに、本実施形態によれば、第一規制部材100Cがホルダ21の底部22aに設けられていることにより、規制部材がホルダ21の内部を遊動することによって規制部材と第一弾性部材51とが接触することを避けることができる。また、第一規制部材100Cを定位置に固定することができるため、第一規制部材100Cの先端部100Caとスライド軸31の基端部31bとを一定の位置で当接させることができ、回転ツール1Cの挿入に伴い発生する反力を所定の位置で受け止めて安定的な動作を行わせることができる。
【0100】
[5.第三実施形態]
次に、
図10を参照しながら、第三実施形態に係る回転ツール1Dについて説明する。第三実施形態に係る回転ツール1Dは、ホルダ21とスライド軸31とを有する本体部10、攪拌ピン50、第一弾性部材51、及び第一規制部材100Dを備えている。基本的な構成は、前記した実施形態と同じであるため、同じ符号を付して説明を省略する。
【0101】
本実施形態に係る第一規制部材(第一先端側固定規制部材)100Dは、スライド軸31に固定されて設けられている。つまり、第一規制部材100Dの先端部100Daとスライド軸31の基端部31bとが常に接続されている。具体的な図示は省略するが、
図2を参照するように、第一弾性部材51が最大たわみ量に達するまでに、第一規制部材100Dの基端部100Dbとホルダ21の底部22aとが当接し、スライド軸31及び攪拌ピン50(アセンブリ70)の基端側への移動を規制することができる。
【0102】
本実施形態によっても、第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。さらに、本実施形態によれば、第一規制部材100Dがスライド軸31に設けられていることにより、規制部材がホルダ21の内部を遊動することによって規制部材と第一弾性部材51とが接触することを避けることができる。また、第一規制部材100Dを定位置に固定することができるため、第一規制部材100Dの基端部100Dbとホルダ21の底部24とを一定の位置で当接させることができ、回転ツール1Dの挿入に伴い発生する反力を所定の位置で受け止めて安定的な動作を行わせることができる。
【0103】
[6.第四実施形態]
次に、
図11及び
図12を参照しながら、第四実施形態に係る回転ツール1Eについて説明する。第四実施形態に係る回転ツール1Eは、ホルダ21とスライド軸31とを有する本体部10、攪拌ピン50、第一弾性部材51、及び第一規制部材100Eを備えている。基本的な構成は、前記した実施形態と同じであるため、同じ符号を付して説明を省略する。
【0104】
本実施形態に係る第一規制部材(第一中間規制部材)100Eは、スライド軸31の外周面(側面部)に固定されて設けられている。第一規制部材100Eは、スライド軸31の外周面から垂直に径外方向に張り出す板状部材である。特には、第一規制部材100Eは、スライド軸31の軸方向基端側の外周面に設けられている。第一規制部材100Eは単数でもよいし複数個形成されていてもよい。第一規制部材100Eは、ホルダ21に径外方向に貫通する貫通孔M内を、スライド軸31の移動に伴い軸方向に移動するように形成されている。
図12に示すように、第一弾性部材51が最大たわみ量に達するまでに、第一規制部材100Eと貫通孔Mの基端側の孔壁(ホルダの中間部)Maとが当接し、スライド軸31及び攪拌ピン50(アセンブリ70)の基端側への移動を規制することができる。
【0105】
なお、本実施形態では、ホルダ21の貫通孔Mを「中間部」としたが、ホルダ21の他の部位を「中間部」に設定し、当該中間部と第一規制部材100Eとを当接させてもよい。また、貫通孔Mではなく溝部を設け、当該溝部内で第一規制部材100Eが移動するようにしてもよい。また、キー溝23とキー32とによって、貫通孔Mと第一規制部材100Eとを実現してもよい。
【0106】
本実施形態によっても、第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。さらに、本実施形態によれば、第一規制部材100Eがスライド軸31の外周面に設けられていることにより、ホルダ21の内部に収容される第一弾性部材51との干渉を避けることができる。このため、例えば弾性部材の構造、形状、動作、又は機能の影響により、規制部材を弾性部材とともにホルダ21の内部に収納することができない場合であっても、外周面に設けられた第一規制部材100Eによって、アセンブリ70の移動を規制することができる。したがって、設計の自由度を増すことができる。
【0107】
[7.第五実施形態]
次に、
図13及び
図14を参照しながら、第五実施形態に係る回転ツール1Fについて説明する。第五実施形態に係る回転ツール1Fは、ホルダ21とスライド軸31とを有する本体部10、攪拌ピン50、第一弾性部材51、及び第一規制部材100Fを備えている。基本的な構成は、前記した実施形態と同じであるため、同じ符号を付して説明を省略する。
【0108】
本実施形態に係る第一規制部材(第一先端側規制部材)100Fは、スライド軸31の外周面(側面部)に固定されて設けられている。特には、第一規制部材100Fは、スライド軸31の先端側の外周面に設けられている。第一規制部材100Fは、スライド軸31の外周面から垂直に径外方向に張り出す板状部材である。第一規制部材100Fは単数でもよいし複数個形成されていてもよい。
図14に示すように、第一弾性部材51が最大たわみ量に達するまでに、第一規制部材100Fとホルダ21の先端部21aとが当接し、スライド軸31及び攪拌ピン50(アセンブリ70)の基端側への移動を規制することができる。
【0109】
本実施形態によっても、第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。さらに、本実施形態によれば、第一規制部材100Fがスライド軸31の外周面に設けられていることにより、ホルダ21の内部に収容される第一弾性部材51との干渉を避けることができる。このため、例えば弾性部材の構造、形状、動作、又は機能の影響により、規制部材を弾性部材とともにホルダ21の内部に収納することができない場合であっても、外周面に設けられた第一規制部材100Fによって、アセンブリ70の移動を規制することができる。したがって、設計の自由度を増すことができる。また、キー溝23とキー32とによって貫通孔Mと第一規制部材100Eを実現して、第一規制部材100Eとキー溝23とが当接する場合と比べて、本実施形態によれば、第一規制部材100Fとホルダ21の先端部21aとが当接するため、キー溝23に負荷が加わることを避けることができる。
【0110】
[8.第六実施形態]
次に、
図15及び
図16を参照しながら、第五実施形態に係る回転ツール1Gについて説明する。第六実施形態に係る回転ツール1Gは、ホルダ21とスライド軸31とを有する本体部10、攪拌ピン50、第一弾性部材51、及び第一規制部材100Gを備えている。基本的な構成は、前記した実施形態と同じであるため、同じ符号を付して説明を省略する。
【0111】
本実施形態に係る第一規制部材(第一先端面規制部材)100Gは、スライド軸31の先端部(先端面)31aに固定されて設けられている。第一規制部材100Gは、スライド軸31の先端部(先端面)31aから垂直に径外方向に張り出す板状部材である。第一規制部材100Gは、スライド軸31の外周面よりも外側に張り出している。第一規制部材100Gは単数でもよいし複数個形成されていてもよい。
図16に示すように、第一弾性部材51が最大たわみ量に達するまでに、第一規制部材100Gとホルダ21の先端部21aとが当接し、スライド軸31及び攪拌ピン50(アセンブリ70)の基端側への移動を規制することができる。
【0112】
本実施形態によっても、第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。さらに、本実施形態によれば、第一規制部材100Gがスライド軸31の先端部に設けられていることにより、ホルダ21の内部に収容される第一弾性部材51との干渉を避けることができる。このため、例えば弾性部材の構造、形状、動作、又は機能の影響により、規制部材を弾性部材とともにホルダ21の内部に収納することができない場合であっても、先端部に設けられた第一規制部材100Gによって、アセンブリ70の移動を規制することができる。したがって、設計の自由度を増すことができる。また、キー溝23とキー32とによって貫通孔Mと第一規制部材100Eを実現して、第一規制部材100Eとキー溝23とが当接する場合と比べて、本実施形態によれば、第一規制部材100Gとホルダ21の先端部21aとが当接するため、キー溝23に負荷が加わることを避けることができる。
【0113】
[9.第七実施形態]
次に、
図17及び
図18を参照しながら、第七実施形態に係る回転ツール1Hについて説明する。第七実施形態に係る回転ツール1Hは、ホルダ21とスライド軸31とを有する本体部10、攪拌ピン50、及び第一弾性部材51を備えている。基本的な構成は、前記した実施形態と同じであるため、同じ符号を付して説明を省略する。
【0114】
本実施形態に係る攪拌ピン50は、先端部52と、鍔部53とで構成されている。鍔部53は、先端部52よりも大径になっている。また、鍔部53の外径は、スライド軸31の内径よりも大きくなっている。また、鍔部53の外径は、ホルダ21の収納凹部22の内径よりも大きくなっている。
図18に示すように、第一弾性部材51が最大たわみ量に達するまでに、攪拌ピン50の鍔部53とホルダ21の先端部21aとが当接し、スライド軸31及び攪拌ピン50(アセンブリ70)の基端側への移動を規制することができる。つまり、本実施形態では、攪拌ピン50そのものが、規制部材となっている。
【0115】
本実施形態によっても、第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。さらに、本実施形態によれば、攪拌ピン50が規制部材として機能することにより、ホルダ21の内部に収容される第一弾性部材51との干渉を避けることができる。このため、例えば弾性部材の構造、形状、動作、又は機能の影響により、規制部材を弾性部材とともにホルダ21の内部に収納することができない場合であっても、攪拌ピン50によって、攪拌ピン50それ自体及びアセンブリ70の移動を規制することができる。したがって、設計の自由度を増すことができる。
【0116】
[10.その他]
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。前記実施形態では、ホルダ21にキー溝23が形成され、スライド軸31にキー32が形成されているが、これに限定されるものではない。ホルダ21にキーを形成し、スライド軸31にキー溝を形成してもよい。
【0117】
また、前記実施形態では、回転ツール1が、ショルダ60に固定される保持部80を備え、この保持部が接合装置に接続されてショルダ60を無回転状態に保持する場合を例示したがこれに限定されるものではない。接合装置3が第二保持部として、接合装置3の固定系に固定されるロッド状のアーム部材を備え、この第二保持部が回転ツール1のショルダ60に接続されてショルダ60を無回転状態に保持するものであってもよい。この第二保持部は、接合装置3に含まれている。また、回転ツール1が保持部80として、ショルダ60に固定されるロッド状のアーム部材を備えるとともに、接合装置3が第二保持部として、接合装置3の固定系に固定されるロッド状のアーム部材を備え、両保持部が互いに接続されることで、ショルダ60を無回転状態に保持するものであってもよい。この保持部は、回転ツール1、及び接合装置3に含まれている。このように、回転ツール1に含まれる保持部と、接合装置3に含まれて、回転ツール1に含む保持部と共同して動作する第二保持部とを同時に設けてもよい。以上のように、接合装置3がショルダ60を無回転状態に保持する第二保持部を備えることで、ショルダ60を無回転状態に保持しやすくなり、摩擦攪拌接合後の被接合部材2の表面の仕上がりがより一層良好になる。
【0118】
また、前記実施形態では、第一弾性部材51は、スライド軸31と収納凹部22の底部22aとの間に配置されているが、アセンブリ70を先端側に付勢する位置であればどこに配置しても良い。また、第一弾性部材51の配置に合わせて規制部材の配置を変更してもよい。例えば、第一弾性部材51はスライド軸31の外周であってホルダ211と鍔部53との間に配置してもよい。このような場合には、第一弾性部材51がスライド軸31と攪拌ピン50との中間部付近に位置するとともに、第一弾性部材51がスライド軸31の周方向に均等に作用する。したがって、スライド軸31が移動しても、第一弾性部材51がアセンブリ70を先端側に向けて安定に付勢する。したがって、攪拌ピン50及びショルダ60の荷重制御の精度を高めることができる。
【0119】
また、前記第二変形例では、攪拌ピン50の先端部52が第二部材92の先端部(先端面)92aよりも下方に突出している場合を例示したが、これに限定されるものではない。回転ツール1Bは、被接合部材2と接触していない状態で、第二部材92の先端部92aが攪拌ピン50の先端部52よりも下方に突出していてもよい。これにより、回転ツール1Bを被接合部材2から引き抜く際に、回転ツール1Bを被接合部材2から遠ざけていくと、第二部材92が被接合部材2を押圧した状態で、第二部材92よりも先に攪拌ピン50が被接合部材2から離脱する。このとき、第二部材92が被接合部材2を押圧する状態を保ちながら、攪拌ピン50を引き抜くことによって、攪拌ピン50の挿入によって流動して溢れ出した金属材料を第二部材92が押さえ付けることができる。したがって、攪拌ピン50を抜く際に生じる抜き穴を、第二部材92が押さえ付けた金属材料によって埋めやすくなる。特には、摩擦攪拌接合時に回転ツール1Bを挿入した位置で接合を行い、挿入位置から移動させずに引き抜く、スポットでの摩擦攪拌を行う場合に抜き穴の形成を防ぎやすくなる。
【0120】
また、前記実施形態では、第一規制部材100が円柱状であって、第一規制部材100が第一弾性部材51の中空部に配置されている場合を例示して説明した。第一規制部材は、内径が第一弾性部材51の外径よりも大きい筒状であってもよい。この場合、第一規制部材の内側に第一弾性部材51が配置されて、第一規制部材が第一弾性部材51の外側を覆うように配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0121】
1 回転ツール
2 被接合部材
3 接合装置
10 本体部
11 固定部
12 回転軸
21 ホルダ
23 キー溝
31 スライド軸
32 キー
50 攪拌ピン
51 第一弾性部材
60 ショルダ
61 中空部
63 ベアリング
65 ショルダ
70 アセンブリ
80,85 保持部
90 ショルダ
99 第二弾性部材
100 第一規制部材
110 第二規制部材